文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社が掲げる経営理念には、お客さまによりそい、一人ひとりの人生を守り続けていくために、全社員一丸となって歩んでいくという、当社の決意が込められております。この経営理念を実現するため、当社が目指していく具体的な姿を経営方針として制定しております。
いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。
かんぽ生命保険は、お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社を目指します。
① お客さま一人ひとりの人生によりそい、分かりやすい商品と質の高いサービスを提供します。
② お客さまにより良いサービスを提供するため、お客さまと接する社員が力を発揮する態勢を整備します。
③ 社員一人ひとりが成長でき、明るく生き生きと活躍できる環境をつくります。
④ コーポレート・ガバナンスの確立による健全な経営を行い、常に新しい価値を創造することで、持続的な成長を生み出します。
⑤ 健康促進、環境保護、地域と社会の発展に積極的に貢献します。
⑥ すべてのステークホルダーと密接なコミュニケーションを図ります。
2019年度の日本経済は、年度前半は底堅い成長が続きましたが、年度後半に消費税率の引き上げが実施された後は民間内需を中心に鈍化し、年度末にかけて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための外出自粛要請の影響等から急速に悪化しました。米国、ユーロ圏、中国等の海外経済も、年度前半は比較的堅調な成長が続きましたが、年度末にかけて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策の実施等から急速に悪化しました。
こうした経済状況の中、運用環境は以下のようになりました。
国内長期金利は、4月は△0.05%程度で推移していましたが、その後、米中貿易交渉における緊張の高まり等による世界経済の急減速懸念や、それを受けた米国等各国での利下げ等を受けて、世界的に長期金利が低下基調となり、国内長期金利も8月末に一時△0.29%まで低下しました。年末にかけて、米中貿易交渉の進展期待の高まりや日本銀行の国債買い入れ額の調整等を受けて、国内長期金利は0.00%程度まで上昇しましたが、年明けからは新型コロナウイルス感染症の感染拡大懸念から一旦低下した後、再び上昇するなど不安定な動きとなり、3月末は0.01%となりました。
日経平均株価は、年度前半は、米中貿易交渉における緊張の高まり等による世界経済の急減速懸念からの下落や、それに対応した米国での政策金利引き下げ等を受けた上昇などを繰り返し、20,000円~22,000円台前半で上下しました。その後は、米中貿易交渉に対する進展期待が高まったことや、米欧株価が上昇したこと等から、日経平均株価も24,000円程度まで上昇しました。しかし、2月下旬以降は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大懸念から大幅に下落し、3月末は18,000円台後半となりました。
また、近年、生命保険業界を取り巻く経営環境は大きく変化しております。
少子高齢化の進展や単身世帯の増加に伴い、伝統的な死亡保障へのニーズが縮小する一方、社会保障制度に対する不安感や自助努力意識の高まりから、医療・介護等の第三分野商品、年金商品といった生存保障(長生きリスク)に対するニーズの高まりが見られ、今後もこの傾向は継続するものと考えられます。また、医療ビッグデータやAI等の活用により、保険引受能力の向上や、契約者の健康づくりを支援する新たな商品・サービスの開発につなげる動きが広がっております。
販売チャネルにつきましては、従来からの営業職員チャネルが依然として主要な地位を占めるものの、銀行を中心とした金融機関の窓口販売や来店型ショップ等の新たな販売チャネルが台頭するなど、お客さまが保険に加入される際の選択肢の多様化が進展しております。さらに、顧客基盤につきましては、人口減少による市場規模の縮小を見据え、相対的に加入率の低い若年層の需要の掘り起こしが課題となる中、デジタル技術の活用等により顧客接点の拡大を図る動きが活発化しております。
当社におきましては、創業以来、養老保険・終身保険を中心とした簡易で小口な商品を、全国津々浦々の郵便局を通じて、家庭市場を中心に多くのお客さまにご提供するという独自のビジネスモデルを展開してまいりました。商品・チャネル・顧客基盤といったこれらの特徴は、他社にはない当社の大きな強みである一方、時代や環境の変化に適応したビジネスモデルの進化を図る必要性を認識しております。当該ビジネスモデルの再構築にかかる詳細は、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
また、当社は、お客さまに不利益が生じた契約乗換等に係る事案の発生により、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月1日から3月31日までの間、お客さまの自発的な意思表示を受けて行う保険募集及び保険契約の締結を除き、当社保険商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止するとともに、適正な業務運営を確保し、保険契約者の保護を図るための改善計画(業務改善計画)を策定し、同年1月31日に金融庁に提出いたしました。
今回の行政処分を厳粛に受け止め、当該業務改善計画の実行を経営の最重要課題として位置づけ、お客さまからの信頼回復に向けて全社をあげて取り組んでまいります。なお、同年4月1日以降も、当面は当社商品の積極的なご提案は控え、お客さまからご契約のお申し出があった場合には、商品内容を丁寧にご説明させていただき、ご意向に沿ったお申し込み内容であることを確認した上で、お申し込みいただくこととしております。本事案の経緯及び業務改善計画における再発防止策等の詳細については、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります(以下、かかる事案の経緯及び再発防止に向けた取り組み等を総称し、「募集品質に係る諸問題」といいます。)。
日本郵政グループでは、お客さまが安全・安心で、快適で、豊かな生活・人生を実現することをサポートする「トータル生活サポート企業グループ」を目指す、との経営の方向性を示すものとして、2019年3月期からの中期経営計画「日本郵政グループ中期経営計画2020」を、2018年5月に公表しております。本中期経営計画において、当社グループは、「お客さま本位の業務運営の徹底」、「持続的な成長の実現」、「事業経営における健全性の確保」を経営の基本的な考え方に据えて、販売・資産運用両面での収益向上と保有契約年換算保険料※1の反転・成長を目指すこととしており、具体的には、保有契約年換算保険料(個人保険)※2、1株当たり当期純利益及び1株当たり配当額という3つの主要定量目標を設定しております。
当該主要定量目標の達成状況については、下記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 目標とする経営指標の達成状況等」に記載のとおりであります。
※1 年換算保険料とは、保険料の支払方法(月払い、年払いなど)の違いを調整し、1年(12カ月)あたりに換算した金額です。新契約や保有契約に関する年換算保険料は、保険料等収入とともに生命保険会社の売上規模を表す指標です。
※2 郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約(保険)を含めています(別段の記載がない限り、以下同様)。
(当社における募集品質に係る諸問題について)
当社では、本連結会計年度において当社及び当社代理店の募集品質に係る諸問題が発生いたしました。
そのため当社は、お客さまが保障内容の見直しをされる際の保険契約の乗換において、お客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性が特定可能な類型のご契約について、ご契約時の状況等をご確認するための調査を、書面、お電話、ご訪問等を通じて行いました(特定事案調査)。また、全てのご契約について、お客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたものがないかを確認するための書面調査を行いました(全ご契約調査)。
特定事案調査では、対象のお客さまに、ご契約時の状況や契約復元等のご意向確認を実施し、お客さまの不利益の解消を優先して、お手続きを進めさせていただくとともに、ご契約時の状況に関する調査等の確認結果に基づき、当該保険契約を受理した募集人への調査(募集人調査)を行いました。全ご契約調査では、ご加入いただいているご契約がご意向に沿うものであるかのほか、ご要望やご意見をお聞きし、お申し出の内容に応じて必要な対応や調査を行いました。
郵便局及び当社支店においては、2019年7月以降、当社商品の積極的なご提案を控えることとし、これらの調査に係るお客さま対応に最優先で取り組みました。その結果、特定事案調査(対象となるお客さま数15.6万人)におけるお客さま対応については、お客さま都合によるもの等を除いて、2020年3月末に完了しております。また、全ご契約調査についても、お客さま約1,900万人に対してご契約内容の確認を実施し、約101万通の回答をいただきましたが、お客さま都合によるもの等を除いて、同年3月末にお客さま対応が完了しております。
特定事案調査における募集人調査については、当該募集人が病気休暇中等の理由により調査不能となっている事案を除き、同年4月末でほぼ判定が終了しており、法令違反・社内ルール違反に該当した募集人のうち、現時点で業務廃止と判定されていない募集人に対する研修を実施しています。全ご契約調査については、ご契約内容の説明、住所変更などの各種手続きのご要望や感謝・激励のお声のほか、苦情やお叱りなど多数のご意見をいただいておりますが、このうち法令違反や社内ルール違反の可能性を確認しているご契約等について、募集人調査やお客さまの利益回復に向けた対応を実施しております。
また、全ご契約調査等でお客さまからいただいたご回答・ご意見等の中から、多数回にわたって契約の消滅・新規契約が繰り返され、お客さまのご意向に沿ったものではない可能性がある事例を把握しました。そのため、同年2月より、こうしたご契約について募集状況等の調査を行い、不利益が発生しているお客さまについてはその解消を図るため、全ご契約調査の更なる深掘調査を、優先順位の高いものから順次実施しております。本深掘調査については、ご契約内容の確認を同年6月末目処に進める予定ですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、計画が遅れる可能性がございます。
上記の調査対象以外についても、お客さまへの訪問活動等を通じてお客さまのご意見・ご要望を丁寧にお聞きし、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じている場合には、誠実にその解消を図るなど、ご契約内容の確認等を通じてお客さまからの信頼を回復していくための活動を継続して行ってまいります。
当社は、本問題に関し、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社とともに、この3社と利害関係を有しない外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、特定事案調査及び全ご契約調査が適正に実施されるように適宜ご意見をいただくとともに、事案の徹底解明、原因究明及び改善策の提言を行っていただきました。また、2019年12月27日に、金融庁より本問題について行政処分を受けたことから、特別調査委員会からのご指摘も踏まえた業務改善計画を策定し、2020年1月31日に金融庁に提出いたしました。
なお、今回の問題を招いた責任を明確化するため、同年1月5日付けで当社代表執行役社長が辞任するとともに役員の月額報酬の減額等を実施しており、一定の責任を有している本社・エリア本部等の管理社員については、同年夏期賞与を減額支給することとしました。
当社は、業務改善命令における指摘事項及び特別調査委員会からの提言事項等を踏まえ、業務改善計画において掲げた以下の再発防止策(健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化)を確実に実行してまいります。
1. 健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立
組織全体にお客さま本位の意識を醸成するとともに、それに基づく保険募集を実践することが適切に評価される態勢を構築するため、以下の施策に取り組みます。
① 適切な募集方針の策定及び浸透
生命保険本来の役割・使命を踏まえた高い倫理観に基づき保障を提供するというプリンシプルベースの基本的な行動の実践を徹底するため、2020年2月にお客さま本位の理念を反映させた勧誘方針を策定し、2020年4月にお客さまに対して公表しました。
また、上記勧誘方針に基づくかんぽ営業の行動原則を「かんぽ営業スタンダード」として定義するとともに、募集人等に対して、これを浸透させる研修等、お客さま本位の理念に基づいた行動規範の理解・定着に向けて継続的に研修を実施しております。
② 営業目標等の体系の見直し
2021年3月期は営業目標の設定を行いませんが、2022年3月期以降に営業目標を設定する場合においては、生命保険マーケット等の見通しを踏まえ、現場の営業力に不適切な募集が含まれていないかを確認することのほか、当年度と次年度の各種施策の変化要素にコンサルタント数の増減の影響を加えた上で算出するとともに、適正な募集品質に基づく営業力で達成可能かなど、営業部門・経営企画部門のほか、募集管理部門との間で協議のうえ、決定することとしております。
日本郵便株式会社の各支社及び各郵便局への当該目標の配算についても、営業目標の水準の適正化と合わせて、適切に実施できているか日本郵便株式会社の取り組みの確認を行います。
また、これまでの新契約月額保険料実績に偏重した目標管理等を、新契約と契約継続の両方を同じ重要度で評価できるよう、新契約と消滅契約(解約等)の月額保険料を差し引きしたストックを重視した目標に改めるとともに、契約乗換については販売実績の計上を行わないこととし、現行の手当(通常の契約の二分の一支給)を不支給としました。人事評価についても、営業推進と募集品質の人事評価項目を一本化することにより、募集品質の確保を前提とした営業推進を評価する内容に見直しております。
③ 保障見直しの仕組みの改善
2020年1月に、保障の見直しをお客さま本位で実現できる制度として、条件付解約等制度※1を導入しました。また、既契約の解約を伴わない、契約転換制度※2の導入に向けてシステム開発等の具体的な検討を進めております。
※1 条件付解約等制度とは、お客さまの不利益を未然に防ぐため、新契約が有効に成立したことを条件として既契約の解約等の効力を発生させる制度をいいます。
※2 契約転換制度とは、既契約を解約することなく新たな内容の契約に移行できる制度をいいます。
④ その他の対策
上記のほか、お客さま本位の販売を定着させるため以下の施策などに取り組んでまいります。
ア ご高齢者に対する募集対策
満70歳以上のお客さまについては、原則、募集人からの勧奨を停止しておりますが、お客さまのご意向によりお申込みをいただく場合には、必ずご家族等の同席又はご家族等への事前のご説明を実施することとしているほか、お申込みの受付時に被保険者さまから事前同意をいただくなど、取り扱いを強化しております。
イ 商品開発
青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに応えるための商品の開発を検討してまいります。
ウ 社員の声の把握
当社では、社員から社長への直接提案制度を導入したほか、当社経営陣が当社各支店等を訪問し、現場の社員の声を直接聞く「役員ダイアログ(対話)」を開始しました(新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ一時中断しておりましたが、2020年5月28日よりWeb会議方式で一部再開しております。)。
2. 適正な募集管理態勢の強化
お客さまのご意向に沿わない契約の発生を未然に防止するため、以下のとおり、チェック・統制による牽制を行ってまいります。
① 郵便局・コールセンター・サービスセンター等の態勢強化
ア お申込みからご契約締結までの重層的なチェック体制
外形上、募集品質に懸念のある申込みについては、それを検知する「募集事前チェック機能」の対象を拡大するとともに、郵便局管理者によるお客さまへのご意向確認に加え、当社専用コールセンターによるお客さまへの重層的なご意向確認を行い、引受審査時に当社サービスセンターが申込関係書類とこれらのご意向確認結果からお客さまのご意向に沿っているかどうかの確認をしております。
そのほか、契約乗換の判定期間に近接する契約についてはアラート表示を行うなどのシステム対応も実施し、契約乗換潜脱を防止する仕組みを整備しました。
また、募集品質管理に活用するため、お客さまの過去のご契約の加入・消滅履歴等をシステム上、簡易に把握できる仕組みを設けるなど、お客さま情報を募集品質管理に活用できる態勢を整備してまいります。
イ 解約請求受付時のチェック体制
郵便局の管理者による説明・確認に加え、当社専用コールセンターからお客さまにご意向確認や不利益事項のご説明の有無の確認を行っております。
② 本社等の態勢強化
ア 適正な募集管理に向けた態勢の強化
(ア) 本社及び支店等機能の見直し
従来は、本社における第2線(コンプライアンス部門・募集管理部門)が担ってきた適正募集の実現に向けた企画・指導業務を第1線(営業部門)に移管し、これまでよりも第1線が募集品質の確保を前提とした営業への責任を担うとともに、第2線が第1線の施策に対する検証業務に注力することで、適正な相互牽制の下、お客さま本位に立脚した施策の立案が可能となる態勢を構築しました。また、コンプライアンス調査室を新設し、不適正募集等に対する調査業務の指揮命令機能を集約し、調査機能を強化しました。
支店等では、代理店支援において営業推進に注力していたことを踏まえ、今後は募集品質の確保を前提とした代理店支援・指導へ見直し、募集態様調査及び適正募集指導に係る体制を強化してまいります。
(イ) 苦情等の検知
募集態様に問題が疑われる苦情を高いリスク感度を持って検知し、各担当部署の役割分担を明確にした上で、入口から出口まで責任を持って、フォローを行う態勢の構築に向けた各種検討を開始しました。
イ 事故判定と処分基準の厳格化等による牽制
自認に頼らない事実認定及び事故判定を実施するとともに、募集状況の可視化を図るため、募集状況の録音・保管の試行を開始しました。そのほか、募集人処分に「業務停止」及び「注意」を追加し、不適正募集の程度に応じた処分を実施するための処分基準の厳格化や、当該募集人の管理者に対しても厳格な処分を日本郵便株式会社に要請することとしており、これらの対応により、不適正募集等に対する牽制を強化してまいります。
③ 内部監査部門の態勢強化
内部監査の人材、体制及びリスクアセスメントの強化を行うとともに、内部監査に関する監査委員会との連携を強化してまいります。
3. 取締役会等によるガバナンスの強化
経営層がリスクを適切に把握し、正確な情報把握に基づきガバナンスを強化のうえ、PDCAサイクルの徹底、再発防止に向けた改善策の着実な実施・定着を図る態勢を構築してまいります。
① 募集状況等の実態把握の強化及びPDCAサイクルの徹底
お客さまからの苦情、新たに設置する金融営業専用の社外通報窓口に寄せられた社員の声など様々な情報を、リスク感度を高めて把握、分析し、深度ある議論の上、改善策の効果検証等を実施することとしました。
② 取締役会及び監査委員会の機能の強化
取締役会の決議事項の対象範囲の見直しをしたほか、従来の「決議」、「報告」に加え、決議案の作成段階から社外取締役の知見を活用する「審議」を新設しました。また、必要に応じて取締役会を臨時開催するほか、社外取締役間会合を実施するなど、取締役間の意見交換を充実化させる場を設けることとしました。
内部監査計画の決定・変更及び内部監査部門の重要人事については、監査委員会の事前同意を必須化し、監査委員会による募集態様等の検証のための調査指示及び担当執行役への助言等を実施する体制を整備しました。
(新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応について)
当該事業年度以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、世界的に大きな社会問題となっており、国内における個人の生活、企業経営に多大な影響が生じております。当社は、こうした非常事態において、生命保険会社の社会的使命・機能を確実に果たしていくため、社員の健康・安全を十分に配慮した上で、継続すべき重要業務として、ご契約調査への対応、保険金のお支払い等の業務を適切に行ってまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、金融市場が大きな影響を受けております。2021年3月期の資産運用については、これらの影響等による金融市場の動向を注視しながら、財務の健全性を維持しつつ、利差益の確保を目指してまいります。
さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、非対面でのサービス利用の広まり等、様々なライフスタイルの変化をもたらすことが予想されます。当社は、保険契約の各種お手続等の保険サービスの提供が、時間や場所の制限なく行うことができる環境整備等に向けて、更なるデジタル技術の活用を検討してまいります。
(ビジネスモデルの再構築について)
当社は、上記のお客さま本位の業務運営を徹底するための様々な改善策のほか、お客さまへのフォローアップ活動、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応等の取り組みを確実に実施し、お客さまからの信頼を早期に回復することで、これまで約100年間の長きに渡って培った当社及び郵便局の安心と信頼のブランドの再構築を図るとともに、当社のビジネスモデル(顧客・チャネル・商品)の進化を図ることで、中長期的な企業価値の向上や持続的成長につなげてまいります。
超高齢社会が進展する中、公的社会保障を補完する生命保険会社の役割は、今後ますます重要になると見込まれます。これまで当社の主要な顧客層であった、女性・中高年層のお客さまとの関係をより大事に深めながら、青壮年層のお客さまに対しても必要な保障をより積極的にご案内することで、今後の健康長寿社会の実現に貢献してまいりたいと考えております。このため、地域に根差した対面チャネルとしての郵便局の強みを再生しつつ、デジタル技術の活用等により、お客さまとの接点を拡げてまいります。更に、青壮年層を含めた全てのお客さまの保障ニーズにお応えするため、早期に商品ラインアップの拡充を目指してまいります。
このほか、ESGの取り組みとして、健康促進、ESG投資とスチュワードシップ活動、ダイバーシティ、環境保護の取り組み等の推進により、社会的課題の解決に積極的に貢献することで、中長期的な企業価値の向上や持続的な成長につなげてまいります。
今後も、上記の成長に向けた改革に積極的に取り組んでいくことで、株主、投資家をはじめとする各ステークホルダーのご期待に沿えるよう、安定的な利益創出に基づく利益還元を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況並びに企業価値を表すEV(エンベディッド・バリュー)等の指標に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループでは、事業等のリスクを「最も重要なリスク」、「重要なリスク」、「上記以外のリスク」に分類しております。当該リスクの分類及び各リスク情報の記載にあたっては、当社グループの経営陣の各リスクの影響、発生可能性、対応策及び影響等に関する認識を適切に反映させるため、2020年3月末日現在の一定の役職以上の執行役に対して、事業等のリスクに関するアンケートを実施し、その集計結果を踏まえ、リスク管理委員会及び経営会議で協議を行うとともに、社外取締役からの意見聴取も行っております。
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
Ⅰ 最も重要なリスク
(1) 募集品質・コンプライアンスに関するリスク
① 保険募集プロセスの品質事案に関するリスク
当社は、2019年3月期からの中期経営計画において、お客さま本位の業務運営の徹底を主要戦略のひとつとして掲げ、日本郵便株式会社と連携しながら、保険募集プロセスの品質向上やご家族同席などの高齢者募集対応をはじめとした諸課題に取り組んでまいりました。しかしながら、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおり、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じた契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案の発生により、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの信用は大きく毀損されている状況にあり、早期の信用回復が最重要課題と認識しております。
当社グループにおいては、かかる事案に対処するため、2020年1月31日付けで金融庁に提出した業務改善計画に基づき、健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化などの施策や取り組み等を実施し、保険募集プロセスの品質改善を通じ、お客さま本位の業務運営を徹底することとしておりますが、これらの取り組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の時間を要する場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信用回復に影響を及ぼす可能性があります。さらに取り組みによる効果が発揮されるまでの間に再度同種の事案が発生する等の場合には、当社グループの社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
当社及び日本郵便株式会社は、多数契約等の全ご契約調査の更なる深掘調査や、これらに関連する保険契約を受理した募集人調査等を継続して行っておりますが、これらの調査については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、計画が遅れる可能性があります。また、今後、当該調査等を通じて、お客さまのご意向に沿わず不利益となる他の事例や法令違反又は社内ルール違反となる他の事例が追加で判明する等の場合には、当社グループの社会的信用にさらに影響を与える可能性があります。また、今後行われる募集人処分(業務停止等)の規模や程度によっては、新契約の獲得の減少又は既存契約の解約数の増加を招く可能性があるほか、さらに追加での調査やお客さまの不利益の解消に向けた保険契約に関するお手続き(契約復元等)のための追加的な費用を要する可能性があります。
2019年7月以降、郵便局及び当社支店からの積極的な当社商品のご提案を控えていたことに加えて、2019年12月27日に金融庁から業務停止命令を受けたことに伴い、2020年1月1日から2020年3月31日までの間、当社商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止しておりました。本書提出日時点においては、当該業務停止命令期間は終了しているものの、上記のご契約調査に関する対応や募集品質の改善に向けた取り組みに最優先で対応するため、積極的な当社商品のご提案を控えている状況にあります。その結果、通常よりも新契約の獲得が進まないなどの理由により、当社グループの業務運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかる経営成績等への影響は、手数料支払の減少による利益の増加が先行するという当社の利益構造の特性により、短期的には顕在化しにくいものの、積極的な当社商品のご提案を控える期間がより長期にわたり継続する場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びEV等の指標に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の保険商品の営業社員が報酬の低下等により離職する、又はモチベーションを喪失することにより、当社の通常の営業活動の再開に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社及び日本郵便株式会社からお客さまに対する通常のご提案が可能となったとしても、当社グループへの信用の毀損等により、当社の新契約の獲得が回復しない可能性があります。
当社グループは、保険業法及び郵政民営化法に基づき、金融庁及び総務省の監督に服しており、当社は2019年12月27日、金融庁より保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令及び業務改善命令を受けました。当該処分を受けて、当社は、2020年1月31日付けで、業務改善計画を金融庁に提出しております。今後は、当該業務改善計画の実施完了までの間、3カ月ごとの進捗及び改善状況を報告することとなりますが、当該計画の進捗及び改善状況について監督当局がそれらを不十分であると判断した等の場合には、さらなる行政処分を受ける可能性があり、当社グループの業務運営の存続や方法に重大な影響を及ぼす可能性や当社グループへの信用がさらに毀損する可能性があります。また、保険募集プロセスの品質事案に関連して、保険契約者等から訴訟を提起された場合にも、当社グループの社会的信用、業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② コンプライアンス違反、不正・不祥事に関するリスク(従業員、代理店、業務委託先、保険契約者等の不正により損害を被るリスクを含む)
当社グループは、保険業法及び郵政民営化法に基づき、金融庁及び総務省の監督に服しております。加えて、保険法、消費者契約法、個人情報の保護に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律等、生命保険契約を取り扱う事業者として、各種関係法令の遵守の義務を負っております。
当社グループにおいては、「コンプライアンス・プログラム」を策定し、当社役職員への定期的なコンプライアンス研修、情報管理の徹底、犯罪防止・マネー・ローンダリング対策の強化等を通じ、法令遵守の徹底を図っておりますが、役職員による作為若しくは不作為による法令等の違反が発生した場合、又は法令等の違反を防止するための対策が効果を発揮しなかった場合には、当社グループの社会的信用及び業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
特に、当社の業務を行う日本郵便株式会社の従業員に対しては、従来から法令等の遵守、お客さま本位の営業活動の徹底についての指導・教育を行ってまいりましたが、上記「① 保険募集プロセスの品質事案に関するリスク」に記載の契約乗換等に係る事案が発生したことから、お客さま本位の理念に基づく行動規範等を策定し、郵便局等の営業現場まで浸透させるための研修を実施するなど、全社を挙げて、より一層のコンプライアンスの強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの指導・教育が十分に行われない、又は十分に行われたとしても効果を発揮しないこと等により、同社従業員による不適正な募集活動などの法令等の違反が発生した場合、特に当社が、日本郵便株式会社の従業員による不適正な活動の実態を適時かつ適切に把握することができていない場合には、当社グループの社会的信用及び業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社は膨大な保険契約や業務委託・物品購入等の契約を締結していますが、当社の契約の相手方による詐欺的行為の被害を受けた場合、反社会的勢力との契約を締結した場合等には、当社グループの社会的信用及び業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、従業員、代理店、業務委託先、保険契約者等による詐欺その他の不正による潜在的な損失リスクにさらされております。当社の営業職員及び代理店は、保険契約者との対話を通じて、保険契約者の個人情報及び家計情報を熟知しており、違法な販売手法、詐欺、なりすまし、個人情報の紛失・漏えい又は不適切な利用等が発生してしまう可能性は否定できません。当社はこのような違法行為等を未然に防止し、又は発見するための対策を講じておりますが、当社の取り組みがこれらを排除できない場合には、当社グループの社会的信用及び業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
③ 当社の企業風土又は組織文化に関するリスク
上記「① 保険募集プロセスの品質事案に関するリスク」に記載の契約乗換等に係る事案の事実関係及び原因等の究明に関して、「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」が2019年12月18日付けで公表した調査報告書では、当社グループにおいて、「リスク事象を探知した際の原因追究・解決の先送り」、「問題の矮小化」並びに「部門間の横での連携不足及び上意下達のもとでの情報伝達の目詰まり」といった企業風土又は組織文化が従前から存在してきたことが指摘されていました。当社グループにおいては、経営陣主導のもと、かかる企業風土又は組織文化の健全化に取り組んでおりますが、かかる取り組みが功を奏しない又は功を奏するまでに想定以上の時間を要する場合には、類似の事案が発生する結果となり、当社グループの社会的信用がさらに毀損される、又は当社グループの事業の持続可能性、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 日本郵便との関係に関するリスク
① ユニバーサルサービスの提供に関するリスク
日本郵便株式会社は、郵政民営化法上のユニバーサルサービスに係る規定を遵守するため、当社と生命保険募集・契約維持管理業務委託契約及び保険窓口業務契約を締結して当社の保険代理業務を受託し、全国の各郵便局において、当社の商品及びサービスを提供しております(かかる契約の詳細については「4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。)。特に、保険窓口業務契約は、期間の定めのない契約であり、本契約に定める特段の事情がない限り当社から一方的に解除することはできないこととされております。また当社の定款上、当社は日本郵便株式会社との間で、保険窓口業務契約を締結する旨の規定が存在し、当該契約を終了させる場合には当社の定款変更が必要となります。したがって、当社が日本郵便株式会社との間の保険窓口業務契約を終了させるには、これらの手続等を充足する必要があります。
このように、当社が、ユニバーサルサービスの提供義務を負う日本郵便株式会社との間で、解除することが困難な保険窓口業務契約を締結していることで、日本郵便株式会社がユニバーサルサービスを提供する上での関連保険会社としての地位を維持する契約上の義務を負うため、当社の柔軟な事業展開が困難となる可能性があります。また、今後ユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等の内容によっては、当社グループの業務運営や経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2018年12月1日付けでの独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の施行により、従来は日本郵便株式会社と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われていた郵便局ネットワーク維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く)は、同法に基づき、2020年3月期から、当社及び株式会社ゆうちょ銀行からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われることとなっております。この点、拠出金・交付金の額の算出に必要な当該不可欠な費用は、直近の郵便局ネットワークの維持の状況を基礎とした以下の費用の合計額として算定されるものであり、最終的には関係法令に基づき郵政管理・支援機構が算定するため、当社の意向が反映されるものではありません(なお、当該不可欠な費用及び交付金・拠出金の算定等に係る郵政管理・支援機構の事務費用は、郵便窓口業務、銀行窓口業務、保険窓口業務において見込まれる利用者による郵便局ネットワークの利用の度合等に応じて按分され、保険窓口業務に係る按分額を当社が拠出金として拠出することとなり、2020年3月期に当社が支払った拠出額は575億円です。)。
ア 郵便局ネットワークを最小限度の規模の郵便局により構成するものとした場合における人件費、賃借料・工事費その他の郵便局の維持に要する費用、現金の輸送及び管理に要する費用、固定資産税・事業所税
イ 簡易郵便局で郵政事業に係る基本的な役務が利用できるようにすることを確保するための最小限度の委託に要する費用
当社は、日本郵便株式会社がユニバーサルサービスを提供する上での関連保険会社として、当該拠出金を拠出する必要があり、郵政管理・支援機構により算定された当該不可欠な費用の額が、当社の想定よりも多額である場合又は郵便局ネットワークの使用により当社グループが受ける利益と比較して多額である場合には、当社グループの業務運営や経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 日本郵便株式会社への委託手数料等に関するリスク
当社は、日本郵便株式会社と締結している生命保険募集・契約維持管理業務委託契約、保険窓口業務契約等及び代理店手数料規程等に基づき、日本郵便株式会社に対して委託手数料を支払っておりますが、その一部には、日本郵便株式会社が当社に提供する業務に必要な経費単価に郵便局数等を乗じて算定するものや、保有契約の維持管理のための活動に応じて加算されるものが含まれており、当社からの委託業務に基づき発生する費用に応じて増加する可能性があります。
当社は、契約乗換等の事案の発生を受け、2021年3月期から、契約の継続及び募集品質の向上を一層強化する観点から、一部手数料率等の見直しを行っており、今後も各年度における当社グループの事業戦略と整合させながら、日本郵便株式会社において、募集品質の確保を前提に、一定基準以上の販売実績を確保した場合のボーナス手数料を追加するなど、適切なインセンティブの仕組みの導入を検討する場合がありますが、かかる適切な仕組みを設定することができない場合には、募集品質の向上に関する当社の取り組みが不十分と評価され当社への信用がさらに毀損する可能性や、新契約の獲得又は保有契約の維持に影響を及ぼす可能性があります。なお、2021年3月期においては、販売実績に対するボーナス手数料の追加は行わず、募集品質の向上等に対するインセンティブの仕組みを実施しております(委託手数料の詳細及び2021年3月期における見直しの内容については、「4 経営上の重要な契約等 (参考) 日本郵便株式会社に支払う委託手数料」に記載のとおりであります。)。
③ 郵便局ネットワークへの依存に関するリスク
当社の商品及びサービスの提供は、郵便局ネットワークに大きく依存しており、当社の新契約保険料の9割程度が郵便局ネットワークにおいて獲得されております。
近年はコミュニケーション手段の多様化により、生活に必要な様々なサービスがインターネット等によって簡単に利用できるようになっております。加えて、契約乗換等に係る事案の発生により、郵便局ネットワークに対するお客さまからの信用は大きく毀損されています。これらに伴う、郵便局数及び郵便局の利用者数又は利用頻度の減少、さらには郵便サービス自体の利用頻度の減少により、郵便局ネットワークの販売力や魅力が損なわれる場合には、当社の新契約の獲得や既存契約の維持に影響を及ぼす可能性があります。
当社の商品及びサービスの提供の大部分は、業務委託先である日本郵便株式会社の従業員により行われております。そのため、日本郵便株式会社が優秀な人材を確保できない場合や、当社による日本郵便株式会社の従業員の保険業務に関する教育、特に新しい商品及びサービスに関する必要な知識の獲得のための教育が十分でない場合等においては、当社の商品及びサービスの提供が期待どおりに行われない可能性があります。さらには、日本郵便株式会社の金融商品の販売に関する総合的コンサルティング施策の推進により、日本郵便株式会社において、お客さまへのかんぽ生命商品のご提案、保全・維持活動等への従事割合が相対的に減少する場合には、郵便局における当社商品及びサービスについての販売力・活動量が低下する恐れがあります。
また、日本郵便株式会社では、当社の商品以外にも、他の生命保険会社の生命保険や変額年金保険、損害保険会社の損害保険の受託販売を行っております。日本郵便株式会社が人材その他の経営資源を他社の商品等の販売に充てた場合や、日本郵便株式会社において取り扱われる他社の商品等の割合が当社の商品等に比べて著しく増大した場合には、当社グループの業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
上記のとおり、商品・サービスの供給の太宗を郵便局ネットワークに依存している当社のビジネスモデルには様々なリスクが内在しております。当社は、これらのリスクの顕在化に備え、郵便局ネットワークを補完又は一部代替する商品・サービスの提供手段を検討してまいりますが、郵便局ネットワークを補完又は一部代替できるだけの提供手段を開拓できる保証はなく、いったん開拓できた場合でも当該新たな提供手段が郵便局ネットワークに比べ有効に機能しない場合には、当社グループの業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
(3) ビジネスモデル、当社特有の規制に関するリスク
① 商品の集中、顧客構成に関するリスク
当社の取り扱う商品は、個人向け生命保険、とりわけ養老保険・終身保険など貯蓄性の高い商品に集中しております。個人向け生命保険については、国内の雇用水準及び家計水準、代替商品であるその他の商品に対する相対的魅力、保険会社の財務健全性、社会的信用に対する一般的な認識、出生率及び高齢化といった日本の人口構成に影響を与える長期的な人口動態等の要因が、新規契約数や既存契約の消滅率に影響を及ぼしています。
また、当社の顧客基盤(2020年3月末:お客さま数 約2,468万人(個人保険及び個人年金保険の契約者数並びに被保険者数の合計(当社が受再している簡易生命保険契約を含みます。)))は中高年層及び女性の比重が高く、青壮年層の割合が相対的に低くなっております。
当社は、下記「③ 郵政民営化法に基づく法規制に関するリスク」における一定の制約の下、青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに適切にお応えできる、競争力の高い新商品開発を目指しておりますが、これが想定どおりに進捗しない場合には、中長期的な商品・販売戦略に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業費の削減に関するリスク
上記「(1) 募集品質・コンプライアンスに関するリスク ① 保険募集プロセスの品質事案に関するリスク」に記載のとおり、現在、積極的な募集活動を停止していることから、新契約の獲得及び保有契約の維持は困難な状況となっております。一方で、当社の事業費には、日本郵便株式会社に委託している保険料の収納や保険金の支払事務等の対価として支払う委託手数料(維持・集金手数料の一部)や、郵政管理・支援機構への拠出金、システム維持費など、営業活動量に左右されず固定的に発生する経費が一定程度含まれることから、かかる保有契約の減少見通しに連動して直ちに事業費を削減することができない可能性があります。そのため、仮に積極的な募集活動の停止期間が長期にわたり継続する等により、保有契約が減少する場合には、当社商品及びサービスの収益性の低下を通じ、当社グループの経営成績、財政状態及びEV等の指標に影響を及ぼす可能性があります。
③ 郵政民営化法に基づく法規制に関するリスク
当社は、郵政民営化法及び関係政省令の下、金融庁及び総務省の監督下にあります。また、郵政民営化法及び関係政省令の主な目的は、国内における公正かつ自由な競争を促進することに加えて、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じることにあります。同法では、当社が郵政民営化に関する施策で重要なものを企画する場合は、この目的を担保するため、内閣官房に設置された郵政民営化推進本部が運営する、郵政民営化委員会における審議が必要である旨が定められております。
郵政民営化法の目的である、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件の確保の観点から、当社には他の日本の生命保険会社にはない業務制限規制が課されております。主な規制項目として、被保険者一人あたりの加入可能な保険金額に上限があること、保険会社等の子会社化が禁止されていること、新商品の開発にあたって内閣総理大臣及び総務大臣の認可が必要であること、新たな資産運用手段を実施するにあたって内閣総理大臣及び総務大臣の認可が必要であること等があります(以下「上乗せ規制」といいます。かかる規制の詳細については「第1 企業の概況 3 事業の内容 (参考) 郵政民営化法による特例措置」に記載のとおりであります。)。これらの規制により、将来的に当社の競争力や収益機会がさらに制限された場合には、当社グループの業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 事業環境等に関するリスク
① 経済環境の変動に伴うリスク
当社グループが行う事業は、その収益の多くが日本国内において生み出されるものであるため、国内の景気や世帯収入の動向などが、当社グループの行う事業に影響を及ぼす可能性があります。近年は、国内及び海外経済の不確実性や金融市場の変動の影響が懸念されております。また、長期にわたる少子化の影響を受け、国内の総人口及び労働人口の継続的な減少も予測されております。さらに、足下では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出等により、経済活動全体及び金融市場に多大な悪影響が生じています。これらの経済情勢等の動向は当社グループの業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社との競争に関するリスク
当社は、日本の生命保険市場において、国内生命保険会社、外資系生命保険会社、各種協同組合等との激しい競争に直面しております。近年は、特に、商品内容・ラインナップ、販売チャネル、保険料水準等に関して、当社より優位に立っている会社もあります。また、統合や再編、異業種との提携等により、又は新技術等(FinTechやサービスの自動化・AI化など)を応用した魅力的な商品・サービスの開発により、競合他社が今後より高い競争力を備える可能性もあります。さらに、当社が業務範囲を拡大した場合や、当社を取り巻く規制緩和、新規参入等に伴い市場構造に変化が生じた場合に、現時点では競合関係にない会社との競合関係が新たに生じる可能性もあります。以上のような競合他社の動向等を踏まえ、当社においても、ICTを活用した事務サービスの高度化とお客さまサービスの向上、次世代システムの構築、お客さまニーズにマッチした保険商品の開発等を進めてまいりますが、これらの取り組みが競合他社に劣後した場合には、当社の競争力に影響を及ぼす可能性があります。
③ 日本の人口動態に関するリスク
1970年代半ば以降、日本の出生率は総じて徐々に低下する傾向にあり、現在は世界で最低の水準にあります。これらの結果、15歳から64歳までの人口は減少傾向が続いており、この傾向が、日本国内における生命保険の総保有契約高の減少の主要な要因であると考えております。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、15歳から64歳までの人口は、今後も減少し続けるであろうと予測しております。こうした見通しの下、当社は、人口減少や公的医療費の増加等の社会的課題を踏まえ、健康増進サービスやデジタルマーケティングの推進、青壮年層等を含むお客さまニーズにマッチした保障性商品等の開発等の検討を進めてまいりますが、お客さまニーズにマッチしたサービスの提供や商品開発ができない場合には、当社グループの業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 事業戦略・経営計画が奏功しないリスク
当社は、中期経営計画をはじめとする事業戦略・経営計画を策定しておりますが、これらに含まれる施策の実施については、本「事業等のリスク」に記載された各種のリスクが内在しております。また、将来において、当社による上記施策の実施を阻害するリスクが高まる又は新たなリスクが生じる可能性もあります。
さらに、これらの事業戦略・経営計画は、市場金利、外国為替、株価、事業環境、法制度、一般的経済状況、当社及び日本郵便株式会社の従業員の活動状況等に係る多くの前提を置き、それらに基づいて作成されておりますが、かかる前提どおりとならない場合には、当該計画における目標を達成できない可能性があります。また、当社は、現中期経営計画において、「保障重視の販売の強化」、「新たな顧客層の開拓」、「新商品開発」等に取り組むこととしておりましたが、現在、契約乗換等に係る事案の発生により積極的な募集活動を停止するなど計画策定時における前提が大きく変化しており、当該計画における目標を達成できない可能性があります。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおり、日本郵政グループの中期経営計画において、当社グループは、保有契約年換算保険料(個人保険)、1株当たり当期純利益及び1株当たり配当額という3つの主要定量目標を設定しております。しかしながら、保有契約年換算保険料(個人保険)については、市場金利の低下に伴う保険料の値上げなどにより貯蓄性商品の新契約の獲得実績が想定以上に減少したこと及び、契約乗換等に係る事案の発生により積極的な募集活動を停止していることを主たる要因として、2019年6月末、9月末、12月末及び2020年3月末においてそれぞれ4.6兆円、4.5兆円、4.4兆円及び4.3兆円と推移しており、加えて2021年3月期においては保有契約年換算保険料に係る目標及び営業目標を設定しないことから、中期経営計画における保有契約年換算保険料(個人保険)の目標達成は困難であると認識しております。
さらに、2022年3月期以降に営業目標を設定する場合においては、適正な募集品質に基づく営業力に見合った目標設定へ見直すとともに、新契約と契約継続を同じ重要度で評価できるよう、新契約と消滅契約(解約等)の月額保険料を差し引きしたストック目標の導入や、募集品質に係る評価項目の見直しを行う予定でありますが、かかる営業目標・評価基準等の見直しが奏功しない場合には、当社グループの業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、お客さま本位の営業活動の徹底と抜本的な改善策により、全社をあげて信用回復に取り組んでおりますが、かかる信用が早期に回復しないことにより、新契約の獲得が計画どおり進まない場合や既存の契約の解約数が増加する場合には、当該計画における目標の達成がさらに困難になるほか、当該計画期間終了後も新契約の獲得や既存の契約の維持については、厳しい状況が継続することが見込まれます。
当社は、法令上可能な限りにおいて、新たな収益機会を得るため新規業務への参入を行うことがありますが、契約乗換等に関する事案の発生により当社グループへの信用が大きく毀損している状況では、新規業務への参入が困難となる可能性があります。加えて、当社は新商品の販売開始にあたって、郵政民営化法に基づく認可を取得する必要がありますが、当該認可が得られない可能性や認可取得のために当社の計画どおりの時期又は内容で新商品を投入できない可能性があります。また、かかる認可を取得し、新商品を販売した場合であっても、商品性が市場ニーズにマッチしない、営業体制が確保できない、予想を超える外部要因等により収益が確保できない等、当該商品が当初想定した成果をもたらさない可能性があります。このような結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらには、現中期経営計画期間において、次期オープン系システム・基幹系システム・新営業用携帯端末等のシステム整備・改修等に約1,500億円規模の投資を行うこととしております。これらの投資は減価償却を通じて今後数年間にわたり費用化されるとともに、その管理・維持には相当程度のコストが生じる見込みでありますが、投資額に見合った成果が得られない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ 重要なリスク
(6) 日本郵政との関係に関するリスク
① 日本郵政株式会社が議決権を保有することによる影響力及び他の一般株主との利益相反に関するリスク
日本郵政株式会社は、2019年4月の日本郵政株式会社による当社株式の売出し及び当社による自己株式取得後において、64%程度まで低下したものの、当連結会計年度末現在において、引き続き50%超の当社株式を保有しております。したがって、日本郵政株式会社が、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、日本国政府は、当連結会計年度末において、日本郵政株式会社の発行済株式総数の約57%(自己株式を除く議決権割合は約63%)を保有しております。
日本郵政株式会社は、下記「② 日本郵政グループとの人的関係及び取引関係に関するリスク」に記載の当社との業務委託関係その他の取引・契約関係等にあるほか、子会社等を通じて当社と競合し又は競合する可能性のある事業(当社以外の生命保険会社の商品の受託販売等)を行うなど、当社について他の一般株主と異なる利害関係を有しております。例えば、2018年12月19日に、日本郵政株式会社は、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との間で、「資本関係に基づく戦略提携」に関する基本合意書を締結いたしました。この合意において、日本郵政株式会社は、アフラック・インコーポレーテッドの普通株式の発行済株式総数の7%を取得することのほか、がん保険に関する取り組みの再確認、新たな協業の取り組みの検討を行うこととしております。新たな協業の取り組みについては、顧客の多様なニーズに応えるとともに、当社を含む日本郵政グループ3社(日本郵政株式会社、日本郵便株式会社及び当社)及びアフラック生命保険株式会社の各社の企業価値向上に資することを目的として、日本郵便株式会社及び当社又はいずれかにおいて販売されるアフラック生命保険株式会社の新商品開発を含め協業項目を今後検討していくこととしておりますが、現時点で具体的にその内容は決定しておりません。このため、協業に基づくアフラック生命保険株式会社の新商品の販売が当社グループの業績等に影響を及ぼすなど、当社と日本郵政株式会社との間で協業項目の具体的な内容について意見の相違が生じ、当社又は当社の一般株主の利益と相反する可能性があります。また、日本郵政グループの利益やユニバーサルサービスの提供等の観点から議決権の行使等を行うなど、一般株主の利害と異なる議決権の行使その他の行為を行う可能性があります。
② 日本郵政グループとの人的関係及び取引関係に関するリスク
a.日本郵政グループにおける当社の位置づけ
当社グループは、当社の親会社である日本郵政株式会社を中心とした日本郵政グループにおける、生命保険事業セグメントを担っております。
なお、日本郵政グループは、生命保険業のほか、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業等を行っております。
b.日本郵政グループとの人的関係
本書提出日現在において、当社では、日本郵政グループの役員を兼任する役員が在職しております。そのうち、主な日本郵政グループの役員を兼任する役員は、下表のとおりとなっております。また、当社の経営会議(「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 b.業務執行」に記載のとおりであります。)には、当社の常務以上の執行役を兼任している者を除き、原則、日本郵政株式会社の役員は出席していませんが、議題又は報告事項に応じて、出席が必要と当社が考える日本郵政株式会社の代表執行役に出席を要請することとしております。
(注) 同氏は、日本郵政株式会社の子会社である、株式会社ゆうちょ銀行の取締役(非常勤)も兼任しております。
当社の役員の状況については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2) 役員の状況」に記載のとおりであります。
また、当社は、日本郵政株式会社及びその子会社である日本郵便株式会社との間で、人事交流を目的として相互に出向者を受け入れており、モニタリングその他郵便局に対する支援等の業務を行っておりますが、このうち、当社において事業運営に重要な影響を及ぼす役職についている者はおりません。
c.日本郵政グループとの取引
当社は日本郵政グループに属する他社との取引を行っております。当連結会計年度における主な取引は以下のとおりであります。
(注) 上記のほか、「(2) 日本郵便との関係に関するリスク ① ユニバーサルサービスの提供に関するリスク」に記載のとおり、郵便局ネットワーク維持に係る郵政管理・支援機構への拠出金の支払いが、2020年3月期において575億円あります。
なお、日本郵政グループに属する他社との取引条件の適切性を確保するため、新たに重要な取引を実施する場合及び既存の重要な取引条件を変更する場合に、社外取締役を含む取締役会で決議する態勢を整備しております。
d.日本郵政株式会社に対するブランド価値使用料
当社は、2015年3月31日付けで、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社及び株式会社ゆうちょ銀行との間で、日本郵政グループ共通の理念及び方針その他のグループ運営に係る基本的事項について定め、円滑な日本郵政グループの運営に資することを目的とした「日本郵政グループ協定」を締結し、また、その下で、日本郵政株式会社との間で「日本郵政グループ運営に関する契約」を締結しております(かかる契約の詳細については「4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。)。
当該協定等に基づき、グループ運営を適切・円滑に行うために必要な事項や、法令等に基づき日本郵政株式会社による管理等が必要となる事項については、日本郵政株式会社との事前協議又は日本郵政株式会社への報告の対象となります。
また、当該協定等に基づき、当社は日本郵政株式会社に対し、日本郵政グループが持つブランド力を当社の事業活動に活用できることによる利益の対価(郵政ブランドに対するロイヤリティ)として、ブランド価値使用料を支払っております。
当該協定の締結前においても、当社は日本郵政グループに属することによるブランド価値の利益を享受していたものの、完全親子会社関係を前提としていたため、当該ブランド価値に係る金銭の支払いは行っておりませんでしたが、株式会社ゆうちょ銀行及び当社が2015年11月4日に株式上場するにあたり、グループの総合力としてのブランド価値を維持・向上させるという日本郵政株式会社の責務が明確化されたことを契機に、当社はブランド価値使用料を支払うことといたしました。
当社が日本郵政グループに属することにより利益を享受するブランド価値は当社の業績に反映されるとの考え方に基づき、当該利益が反映された業績指標である前年度末時点の保有保険契約高に対して、一定の料率(0.0036%)を掛けて算出することとしております。
この料率は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り変更しないこととしております。
なお、ブランド価値使用料は、当社が日本郵政グループに属している限り、継続して支払うこととなり、当社が日本郵便株式会社法に定める関連保険会社としての業務を行っている間は、日本郵政株式会社の当社株式の保有割合にかかわらず、当社は日本郵政グループに属するものとして、当該使用料の支払義務が継続いたします。
重大な経済情勢の変化等の特段の事情に起因してブランド価値使用料の算定方法が変更された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
e.日本郵政株式会社が有する商標
日本郵政株式会社は、「日本郵政グループ」、「JP」のほか、「かんぽ生命」、「JAPAN POST INSURANCE」等の商標を有しており、2015年3月31日付けで締結した「日本郵政グループ商標管理協定」及び「グループ商標管理契約」により、当社グループがこれらの商標を使用する場合のルールを定めております。また、これらの商標使用についての対価は、上記dに記載のブランド価値使用料に含まれております。
なお、当社はこれらの商標が当社のブランド認知度等に貢献していると考えており、「日本郵政グループ商標管理協定」の終了等により、当該商標が使用できなくなった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 日本郵政株式会社による当社株式の追加処分に関するリスク
日本郵政株式会社は、当連結会計年度末現在、当社の総議決権数のうち約64.5%を保有しており、引き続き50%超の当社株式を保有しておりますが、郵政民営化法上、日本郵政株式会社が保有する当社株式は、その全部を処分することを目指し、当社の経営状況及びユニバーサルサービスの提供への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとされております。日本郵政株式会社は、当社株式を、当社の経営の自由度の拡大、日本郵政グループの一体性や総合力の発揮等も視野に入れ、まずは、保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却していく旨を公表しております。郵政民営化法に基づき、当社は同業他社にはない上乗せ規制に服しておりますが(上記「(3) ビジネスモデル、当社特有の規制に関するリスク ③ 郵政民営化法に基づく法規制に関するリスク」に記載のとおりであります。)、かかる規制は、(ⅰ)日本郵政株式会社が当社株式の全部を処分した場合、又は、(ⅱ)日本郵政株式会社が当社株式の2分の1以上を処分し、かつ、内閣総理大臣及び総務大臣が、他の金融機関等との間の適切な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認め、当該規制を適用しない旨を決定した場合に適用されなくなります(郵政民営化法第134条、第135条)。しかしながら、今後の日本郵政株式会社による当社株式の売却の時期等は未定であり、また上記の決定には当局の裁量が存在するため、上乗せ規制がいつどのように撤廃されるかは、不透明な状況にあります。ただし、上乗せ規制のうち、新商品の開発及び新たな資産運用手段を実施するにあたっての認可等、郵政民営化法第138条に定める業務の制限については、日本郵政株式会社が当社株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は適用されないとされております。この場合において、当社が各業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならないとされており、また、業務を行うにあたっては他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないとされております(郵政民営化法第138条の2)。
今後の日本郵政株式会社による当社株式の売却の時期、売却の規模等は未確定ですが、将来、当社株式の追加的な売却が行われ、又はかかる売却により市場で流通する当社株式の数が増え需給が悪化するとの認識が市場で広まった場合には、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
逆に、当社株式の処分に係る郵政民営化法の定めの変更、株式市場の動向等により日本郵政株式会社による当社株式の売却が予定どおりに進まない場合には、上乗せ規制の撤廃が行われず、日本郵政株式会社及び当社が期待する経営の自由度の拡大等が実現しない可能性もあります。
④ 日本郵政株式会社による当社株式の追加処分に伴う、日本郵政グループとの契約関係に関するリスク
日本郵政株式会社による当社株式の売却に伴い、当社が日本郵便株式会社との間で締結している生命保険募集・契約維持管理業務委託契約、保険窓口業務契約、その他の契約の条件が当社に不利な内容に変更された場合や、当該契約が終了した場合は、当社が郵便局ネットワークを利用できなくなるなど、当社の事業を従前どおり維持するために莫大なコストと時間等が必要となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が日本郵政グループとの間で締結している日本郵政グループ協定及び日本郵政グループ商標管理協定、並びに当社が日本郵政株式会社との間で締結している日本郵政グループ運営に関する契約及びグループ商標管理契約について、当社が関連保険会社に該当しないこととなり協定や契約そのものを適用しないこととなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 日本国政府との関係が希薄化することによる顧客の認識の変化に関するリスク
当社は、当社の唯一の株主を日本郵政株式会社、日本郵政株式会社の唯一の株主を日本国政府としている当社の上場前の状態にあっても、日本国政府その他の公的機関から何らの保証その他の信用補完を受けていたわけではありませんが、日本郵政株式会社が当社の親会社ではなくなることに伴い、当社と日本国政府との関係が弱まった場合には、顧客等が、当社の経済的信用力が低下したという誤認や錯誤を有することとなる可能性があります。実際の当社の経済的信用力とは無関係であるにもかかわらず、かかる誤認や錯誤が社会に広く伝播した場合等においては、当社による従業員採用活動への悪影響や、当社の顧客その他の取引先による当社との取引停止、取引量の減少、保険契約の解約、当社にとって不利な取引条件の変更等を誘発する可能性があります。
(7) 資産運用に関するリスク
① 国内金利に関する市場リスク
当社の資産構成においては、円金利資産の割合が高く、当社の契約者に対する債務のデュレーションが運用資産より長期であることから、資産と負債のデュレーションのミスマッチによる国内金利の変動リスクを有しております。
2016年2月の日本銀行によるマイナス金利政策導入以降、低金利環境が継続しておりますが、当社が既に保有している保険契約の予定利率は変わらないことから、当初想定していた運用収益が確保できない、あるいは逆ざや(資産運用ポートフォリオの平均運用利回りが既契約の責任準備金の積立てに用いた予定利率を下回る現象)となる可能性があります。
一方、国内金利が現在の水準より上昇した場合には、資産運用利回りが上昇することにより、利息収入などの収益が向上するものの、債券価格の下落により、評価損・減損損失や売却損等が発生する可能性があります。また、保険契約者がより高い収益を得られる別の金融商品へ資金を移動させることにより、保険契約の解約が増加する可能性があります。
② ①以外の市場リスク
当社は外貨建資産を保有しており、その一部については、為替リスクをヘッジするため為替予約をしております。当社の保有する外貨建資産に係る為替リスクがへッジされていない部分について、為替相場の変動が発生した場合や、為替リスクをヘッジしていたとしても、国内外の金利差拡大によりヘッジコストが高まり、これまでの条件でロールによる為替予約が出来なくなった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、外国金利の変動により、当社の保有する外国証券の価値が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社において、国内外の経済状況又は市場環境の悪化や低迷等によって、保有している株式の価格が下落した場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、オルタナティブ運用などの資産運用の多様化が、期待した結果を生まない可能性があります。
③ 信用リスク
当社グループの取引先・投資先・当社が保有する有価証券の発行者において、国内外の景気動向や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、不祥事の発生、国家間紛争等その他不測の事態により、財政状態が悪化した場合には、信用リスク及び与信関係費用が増加し、又は当社が保有する有価証券の価値が下落すること等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、外国公社債運用などの資産運用の多様化が、期待した結果を生まない可能性があります。
上記①~③のリスクに備えて、当社では、保険契約の引受けによって生じる負債に見合った運用資産を適切に管理し、損益の安定を図る目的で、資産と負債のバランスを考慮してリスクコントロールを行う、ALM(Asset Liability Management:資産・負債の総合的な管理)及び財務健全性の維持を軸にしたERM(Enterprise Risk Management:統合的リスク管理)の高度化に向けた取り組みを継続しております。また、定期的にストレステストを実施し、ストレス事象発生時の対応力を検証するとともに、特に運用資産の多様化にあたっては、審査やモニタリングの体制を強化しています。しかしながら、そうした対応が奏功しないあるいは当社のALMによって対処可能な程度を超えて市場環境が大きく変動した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼすほか、その結果としてお客さまからの信用が毀損され、新規保険契約の減少や解約の増加にもつながる可能性があります。
(8) 保険料設定に関するリスク
当社は、保険の種類及び内容、契約時の被保険者の年齢、性別、保険金額等を考慮して、次に掲げる計算基礎率(予定死亡率、予定利率、予定事業費率)等に基づいて保険料を設定しております。
保険契約においては、実際の死亡率が事前に設定した予定死亡率を超過した場合、実際の運用利回りが事前に設定した予定利率を下回った場合、実際の経費が事前に設定した予定事業費を超過した場合には、保険期間中の保険料等の受取総額を、保険金・経費等の支払総額が上回ることにより損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 大規模災害等の発生に伴うリスク
当社は、日本全国に営業網を有して生命保険業を営んでおります。このため、地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪等大規模災害、新型インフルエンザ等の感染症の大流行、テロリズム、国家間紛争等の人的災害、水道、電気、ガス、通信・金融サービス等に係る社会的インフラの重大な障害や混乱等が発生した場合には、以下のような事態が発生する可能性があります。
・当初の想定を超える保険金の支払い、又は保険契約解約の発生
・被災に伴う、新規の保険営業機会の低下や保険ニーズの低下による収入保険料の減少
・大規模感染症の拡大に伴う外出自粛要請の発令等による経済活動の停滞と、金融市場におけるリスク回避志向の高まりによる保有株式等の価値の毀損
・当社役職員・関係職員の被災・罹患あるいは災害拡大防止に伴う出勤者の減少による業務の停止又は停滞と、事業継続・復旧のための費用の発生
・当社グループの本社、支店その他の設備や施設の損壊による業務の停止又は停滞と、事業継続・復旧のための費用の発生
・非常時における社会的要請等を踏まえた特別の取扱いやサービスの設定及びその適用事例が当初想定を超えて発生することによる損失の発生
とりわけ、2020年3月期末に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、当社においても上記の状況が発生するリスクが高まっております。加えて、首都圏直下型地震や、大型台風などの異常気象、大規模感染症等のリスクがあります。
当社では、保険金支払に備えて保険業法上の基準に従って危険準備金を積み立てるほか、十分な資金流動性の確保に努めております。また、万一の際に、保険会社として保険金支払などの重要な業務を確実に実施できる体制を確保するための業務継続計画を策定し、平時から定期的に危機管理委員会や防災訓練等を実施し、全役職員の危機管理意識向上を図るとともに、災害に向けての対応状況を確認しています。また、危機発生時には危機管理委員会を中心に適切かつ迅速な対応をとる体制としており、今般の新型コロナウイルス感染症対応にあたっても、感染の防止と通常業務の維持に努めております。
しかしながら、そうした対応が奏功しないあるいは想定以上の災害が発生し、多額の保険金・給付金の支払いが発生した場合、又は資金繰りの悪化あるいは保険金支払の体制が維持できないことにより、保険金の支払いが滞ることで、社会的な評価の低下を招いたり、業務の復旧に多額の費用や長期の期間を要する場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 情報漏えいリスク
当社グループは、事業を行う上で、当社が直接に又は当社の代理店である日本郵便株式会社を通して、大量の情報を取得し保有しております。この情報には、保険契約者等の個人や法人のお客さまの情報のほか、業務上知り得た様々な内部情報が含まれます。その中でも、個人情報(「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に定める個人番号も含みます。以下同じ。)については、個人情報の保護に関する法律をはじめとする関係法等に基づき、適切な取扱いが求められております。特に、近年、企業・団体が保有する個人情報の漏えい・紛失や不正なアクセス、サイバー攻撃等が発生するケースが多発しており、より厳格な管理が要求されております。
当社グループでは、プライバシーポリシーを策定するとともに、情報管理に関する規程等を整備し、厳正な情報管理に努めております。従業員、代理店、業務委託先又はその他の者による不正なアクセス等により、今後、仮に当社が保有する個人情報やその他重要な情報が外部に漏えい等した場合には、損害賠償請求や行政調査、指導又は処分を受ける可能性があり、また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じること、当社グループの社会的信用が毀損すること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 人材の確保に関するリスク
当社グループは、生命保険会社としての業務遂行のため、保険数理、資産運用、リスク管理等各分野において安定した事務遂行と高い専門性を有する有能で熟練した人材を必要としております。しかし、有能で熟練した人材は限られており、かつ、当社グループは人材の確保及び採用において他社等と競合しているため、有能で熟練した人材の採用又は育成及び定着を図ることができない可能性があります。
また、「(1) 募集品質・コンプライアンスに関するリスク ① 保険募集プロセスの品質事案に関するリスク」に記載のとおり、現在、当社グループはお客さま等ステークホルダーからの信用を大きく毀損しており、有能な人材の確保は一層困難な状況になっています。さらに、役職員の自己都合による退職が増加する可能性があります。
以上のようなリスクに備えて、当社グループでは、多様かつ有為な人材の確保・育成に向けて、①計画的な人材育成、②適材適所に基づくジョブローテーション、③一人ひとりのモチベーションの最大化、④働き方改革に取り組んでおりますが、これらの対応が奏功せずに、有能な人材の確保・育成が進まない、又は退職者が想定を超えて増加する等の場合には、当社グループの競争力の相対的な低下を招き、結果として、当社グループの業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 訴訟等に関するリスク
当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟、行政処分その他の法的手続が提起又は開始されるリスクを有しております。また、人事処遇や勤務管理などの人事労務上の問題、職場の安全衛生管理上の問題等に関連する訴訟等を、当社グループの従業員等から提起される可能性もあります。さらに、「(1) 募集品質・コンプライアンスに関するリスク ① 保険募集プロセスの品質事案に関するリスク」に記載のとおり、保険募集プロセスの品質事案に関連して、保険契約者等から訴訟を提起される可能性があります。
当社に対する新たな訴訟が提起された場合、その解決には相当の時間及び費用を要する可能性があります。また、社会的関心・影響の大きな事象についての訴訟等が発生し、当社に対して損害賠償の支払いが命じられる等不利益となる判断がなされた場合には、当社グループの社会的信用、業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 風評・風説等に関するリスク
当社グループが行っている事業全般に対する風評・風説が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板やソーシャル・ネットワーキング・サービスへの書き込み等により拡散し、報道機関により否定的報道が行われる場合には、当社グループが提供するサービスの公益性、事業規模、社会における認知度・注目度等を背景に、当該風評・風説、報道等が事実に基づくか否かにかかわらず、顧客や市場関係者等から否定的理解・認識をされ、又は強い批判がなされる可能性があり、それにより、商品、サービス、事業のイメージ・社会的信用がさらに毀損し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 格付けの低下に関するリスク
当社は、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)の各格付会社より信用格付けを取得しております。2020年3月末現在における信用格付けは、それぞれ「AA-」(保険金支払能力)、「AA」(保険金支払能力格付)、「A」(保険財務力格付け)となっており、当社の財務の健全性に対して一定の評価を得ているものと認識しております。しかしながら、契約乗換等に係る事案の発生を受け、当社の業務運営の根幹である新契約の獲得、保有契約の維持並びに事業費の抑制などが計画どおりに進捗せず、当社の将来的な財務内容の見通しが悪化することにより、各社の信用格付けが引き下げられた場合には、当社グループの資本市場における負債性資金の調達が当社グループに有利な内容で行えない可能性があるとともに、当社の業務運営に対する不安を想起させ、さらなる新規契約の減少又は既存契約の解約の増加等につながる可能性があります。
Ⅲ 上記以外のリスク
<リスク管理全般に関するもの>
(15) リスク管理の有効性に関するリスク
当社グループは、リスク管理に関する規程を定め、リスク管理態勢を整備し、保険引受リスク、資産運用リスク、市場流動性リスク、資金繰りリスク及びオペレーショナルリスクの全般の管理を実施しております。
しかしながら、当社グループのリスク管理は、過去の経験・データに基づいて構築されているため、将来発生するリスクを正確に予測することができず、新しい業務分野への進出や外部環境の変化等によりリスク管理が有効に機能しない可能性があります。
また、当社グループがリスク管理の方針及び手続を策定する際、参考又は前提とした情報が真実性、正確性、完全性又は合理性に欠ける場合には、リスク管理の有効性に悪影響を与える可能性があります。
さらに、当社グループの事業に内在するリスクを管理するためには、膨大な取引や事象の適切な記録、審査、調査等に係る方針及び手続の有効性や効率性等が重要ですが、かかる方針や手続が万全とは言えない可能性があります。
加えて、リスク管理の実施及びその遵守状況の監督は、当社グループ内部だけでなく、当社の商品及びサービスを提供する日本郵便株式会社における郵便局ネットワーク全体に対しても行う必要があります。郵便局ネットワークは、当社の商品及びサービスに加えて、株式会社ゆうちょ銀行の商品及び日本郵便株式会社の郵便・物流サービスも提供しているところ、約2万局の郵便局を有する郵便局ネットワークに対する実施・監督に困難又は落ち度が生じた場合には、当社によるリスク管理が機能せず、又は不十分となる可能性があります。
当社は、経営環境、リスクの状況などの変化に応じ、リスク管理態勢全般について随時見直しを行い、万全のリスク管理態勢を構築するよう努めておりますが、当社グループのリスク管理態勢が有効に機能しない場合や、欠陥が発生した場合等には、予期していなかった損失を被る可能性や、行政処分を受ける可能性があり、当社グループの社会的評価、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は今後、必要な許認可等を取得の上、当社の商品及びサービスの内容や範囲を拡充する方針ですが、当社の事業拡大に伴い、リスク管理態勢の増強も必要となります。しかし、事業の拡大に比してリスク管理態勢の拡充が十分ではない場合等においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 市場流動性・資金繰りに関するリスク
① 市場流動性リスク
金融市場の混乱等により、市場において正常に金融商品の取引・資金決済ができなくなった場合や、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることになった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の金融市場及び経済状況の悪化等により、市場の流動性が減退した場合には、当社の保有する資産の売却可能性や価値が減少する可能性があります。
② 資金繰りリスク
当社の財務内容の悪化等による新契約の減少に伴う保険料収入の減少、大量解約に伴う解約返戻金支出の増加、巨大災害に伴う保険金の大量支払による資金流出等により資金繰りが悪化し、保険金等の支払いが滞った場合や資金の確保に通常よりも著しく低い価格での資産売却を余儀なくされることにより損失を被った場合には、当社グループの業務運営、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) オペレーショナルリスク
当社グループが業務を遂行していく過程には、オペレーショナルリスクが存在し、内部及び外部の不正行為、労務管理及び職場環境面での問題発生、顧客本位の業務運営への対応が不十分であることによる信用失墜、自然災害による被災やシステム障害等に伴う事業中断及び不適切な事務処理、外部への情報漏えいの発生等が生じる可能性があります。特に、当社は郵便局ネットワークに大きく依存しており、そこでは当社の事業のみならず、銀行・物流のサービスも並行して提供されるため、これらのオペレーショナルリスクが顕在化する可能性が相対的に高く、当社グループの業務運営、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 事務リスク
当社グループの業務には、従業員等が適正かつ正確な事務を怠る、あるいは事故、不正等を起こすことにより損失を被る事務リスクが存在します。これらの事務リスクが顕在化した場合には、当社グループの業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
② システムリスク
当社グループは、当社が保有するシステムだけでなく、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社及び株式会社ゆうちょ銀行が所有するシステム等も利用して、生命保険の募集及び管理業務を行い、また、全国の郵便局や当社の各種拠点等と通信を行っており、情報システムは、当社の事業にとって極めて重要な機能を担っております。
かかる情報システムには、地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪、火災等の自然災害やテロリズム等の外的要因に加えて、人的過失、事故、停電、ハッキング、コンピュータウイルスの感染、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新における瑕疵、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵等により重大な障害や故障等が発生する可能性があります。こうしたシステム障害・故障等が生じた場合には、業務の停止・混乱及びそれに伴う損害賠償、行政処分、社会的信用の毀損、これらに対する対応や対策のためのコスト等が発生することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 保険金の支払いに関するリスク
当社は、正確・迅速な保険金等のお支払いが生命保険会社の根幹業務であるとの認識の下、支払管理態勢の強化、お客さまサポートの充実に取り組んでおりますが、何らかの理由により、監督当局又は当社が支払管理態勢の強化が不十分であると判断した場合には、各種改善策を講じる可能性があり、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 業務提携に伴うリスク
当社グループは、様々な業務について、他社との提携を行っております。業務提携先において業務遂行上の問題が生じ、商品・サービスの提供に支障をきたす場合、保険契約者の情報の漏えい等の重大な違法行為が発生した場合等において、当社グループの業務運営、社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 保険会社全般に適用される法制度等に関するリスク
当社は日本の生命保険会社であり、保険業法及び関連業規制の下、他の日本の生命保険会社と同様に、金融庁による監督下にあります。保険業法及び関連業規制の主な目的は、保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することにより、保険契約者等の利益を保護することにあります。この目的に基づき、保険業法は、内閣総理大臣(原則として金融庁長官に権限委任。以下同じ。)に対して、免許取消しや業務停止、報告徴求、会計記録等に関する厳格な立入り検査の実施等、保険業に係る広範な監督権限を与えております。特に、以下のいずれかに該当することとなったときには、保険業法第133条及び第134条の定めにより、業務の全部若しくは一部の停止又は免許の取消しを命ぜられる可能性があります。
・法令、法令に基づく内閣総理大臣の処分又は定款、事業方法書、普通保険約款、保険料及び責任準備金の算出方法書に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき
・保険業の免許に付された条件に違反したとき
・公益に害する行為をしたとき
・保険会社の財産の状況が著しく悪化し、保険業を継続することが保険契約者の保護の見地から適当でないと認められたとき
生命保険業免許は、当社の主要な事業活動の前提となっております。当該免許に期限はありませんが、上記のとおり取消事由等が定められております。当連結会計年度末現在において、免許取消事由等に該当する事象は発生していないと認識していますが、当該事象が発生した場合には当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社は、金融庁が日本の生命保険会社の健全性を判断する指標として定める、ソルベンシー・マージン比率と実質純資産に基づく監督に服しております。
ソルベンシー・マージン比率は、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つです。2020年3月31日現在、当社の連結ソルベンシー・マージン比率は1,070.9%であり、法令上の規制比率に比べ相当程度高い水準を確保しておりますが、近時の金融市場の状況に対応した収益追求資産の増加により、低下する傾向にあります。これが200%を下回った場合には、内閣総理大臣による早期是正措置が発動される可能性があり、当社グループの業務運営、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、保険監督者国際機構(以下「IAIS」といいます。)は、コムフレーム(国際的に活動する保険会社グループ(以下「IAIGs」といいます。)に対する共通の監督枠組み)やその一部であるIAIGsに対する保険資本基準(以下「ICS」といいます。)について議論を行ってきました。その結果、IAISは、2019年11月にコムフレームを採択し、ICSについて2020年から5年間のモニタリングを行った後、2025年から規制資本要件として適用する実施計画を公表しております。IAISの構成員である金融庁は、この議論に沿った国内各社に対する新たな規制の導入を検討しておりますが、現行の規制とは大きく異なる可能性があります。このように新たな規制や基準等が導入された場合には、これらに含まれる制約が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのほか、国際会計基準審議会は、2017年5月に保険契約に関する初めての真に国際的な基準として、国際財務報告基準(以下「IFRS」といいます。)第17号「保険契約」を公表しております。当該基準は保険契約を経済価値で評価するため、毎期の変動が純資産に影響を及ぼす可能性があります。今後、日本の法定会計の変更等により、IFRS又は同基準に準じる基準を当社グループの会計基準において適用する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 法改正に伴うリスク
当社グループは、上記「(19) 保険会社全般に適用される法制度等に関するリスク」に記載した保険業法による規制以外にも、保険法、犯罪による収益の移転防止に関する法律等、各種の法規制の適用を受けており、その改正、その執行に関する政府方針の変更等が行われることにより、関連するコンプライアンス対策の強化・改善のための追加的な費用が発生するなど、当社グループの業務運営、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(21) WTOの手続きに関するリスク
日本は、国家間での物品・サービス等の調達について、国際的なルールを定める機関である、WTO(World Trade Organization:世界貿易機関)の加盟国であることから、政府調達においては、国内の供給者等に特別な保護を与えることなく、透明性のある、かつ、公平な方法で調達を実施することが要請されております。
日本は、加盟国として「政府調達に関する協定を改正する議定書」を定めていますが、この中で、公社を承継した会社は、この議定書に定められたルールが適用されるとされており、当社グループが物品等の調達を実施する場合においては、WTOによる政府調達のルールを遵守する必要性があります。
当社グループの作為又は不作為により、これらのルールを遵守できなかった場合には、調達行為が成立しない、あるいは調達行為に遅れが発生する可能性があり、当初想定していた計画が実施できないなど、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<財務諸表に関連するもの>
(22) 責任準備金の積立に関するリスク
当社は、日本の生命保険会社として、保険業法及び関連業規制に基づき、保険料収入の大部分を、責任準備金として将来の保険金等の支払いに備えて積み立てております。責任準備金は、当社の負債の最も大きな部分を占めているものであり、各保険契約の保障対象となる事象の起こる頻度や時期、保険金等支払額、資産運用額等につき一定の前提を置き、これらに基づく見積りによって計算されるものであります。これらの前提と実際の結果が乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、責任準備金の積立水準に関するガイドラインや標準利率・標準生命表は、金融当局である金融庁等によって定められているものですが、これらに変更があった場合には、保険料見直しや責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(23) 契約者配当準備金に関するリスク
当社が確保すべき契約者配当準備金の繰入額は費用として扱われ、これにより各事業年度における純利益が減少します。当社は契約者配当準備金の繰入額の決定について裁量を有しており、その水準については、当社商品の競争力、業績、ソルベンシー・マージン比率等の様々な要素を考慮して判断しておりますが、その水準によっては、当社グループの株主への配当原資の額、事業、業績及び財政状態又は当社の株式価値に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約については、「旧簡易生命保険契約に基づく保険責任に係る再保険契約」において、当社が引き受けた保険契約と区分してその収益及び費用を経理するものとし、簡易生命保険契約の再保険損益の8割を契約者配当準備金に繰り入れることとしております。また、再保険配当の計算方法の変更の必要性について、毎事業年度、郵政管理・支援機構と当社間で協議することとされておりますが、本契約締結以降、当該計算方法が変更されたことはなく、当連結会計年度末時点において変更の予定もありません。
(24) 固定資産の減損損失に関するリスク
当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化や収益性の低下等により減損損失を計上することになる場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(25) 繰延税金資産に関するリスク
当社の繰延税金資産は、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産額が減少するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(26) 退職給付債務に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、前提条件に変更があった場合等には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、当社が追加的に負担すべき債務が発生する可能性があります。これらの退職給付費用及び債務の増加又は発生により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(27) 生命保険契約者保護機構への負担金及び国内の他の生命保険会社の破綻に係るリスク
当社は、生命保険契約者保護機構(以下「保護機構」といいます。)への負担金支払義務を負っております。保護機構は、破綻した生命保険会社の保険契約者を保護することを目的としており、破綻した生命保険会社から他の生命保険会社へ保険契約を移転する際に、資金援助を実施しております。保護機構への負担金額は保険料収入及び責任準備金の額などに応じて決められるため、当社の保険料収入及び責任準備金の額が他の生命保険会社に比して増加した場合、負担金が増加する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、日本の他の生命保険会社の破綻は、日本の生命保険業界全体の評価にも悪影響を与え、保険契約者の生命保険業界全体に対する信用を損ない、これにより当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(28) 管理会計等に基づく数値等の正確性に関するリスク
本書には、日本の会計基準によらず、外部監査を受けていない管理会計等に基づく数値・分析等が含まれております。当社は、これらについても正確性の確保に努めておりますが、有効でない場合等には、当該数値等の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。
有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には合理的な見積りに基づいて算定された価額によっております。
将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積額は変動する可能性があります。
なお、金融商品の時価の算定方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(金融商品関係)及び(デリバティブ取引関係)に記載のとおりであります。
金銭の信託で運用する有価証券を含め売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価又は実質価額が著しく下落したものについては合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。株式市場の悪化等、将来の金融市場の状況によっては、多額の減損損失を計上する可能性があります。
なお、有価証券の減損処理に係る基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(有価証券関係)及び(金銭の信託関係)に記載のとおりであります。
繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積っております。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来、当社を取り巻く経営環境に大きな変化があった場合等、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、回収不能見積額を計上しております。
将来、債務者の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
なお、貸倒引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
保険契約に基づいて支払義務が発生した保険金等のうち、未だ支払っていないもののために必要な金額を支払備金として計上しております。この支払備金には、当社が未だ支払事由の発生の報告を受けていないが支払事由が既に発生したと認める保険金等の支払のために必要なものを含みます。
将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、支払備金の計上額が当初の見積額から変動する可能性があります。
保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。
責任準備金の計算に使用される予定死亡率、予定利率及び予定事業費率などの基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。
なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
⑦ 保険金等支払引当金の計上基準
保険金等支払引当金は、お客さまのご意向確認等の実績を踏まえて、お客さまの利益を回復するための将来の契約措置により生じる保険金等の支払見込額等を合理的に見積り計上しております。保険金等支払引当金の計上等に係る詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(追加情報)の「2.ご契約調査及び改善に向けた取組」に記載しております。
将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、保険金等支払引当金の計上額が当初の見積額から変動する可能性があります。
なお、保険金等支払引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
⑧ 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、割引率など将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。
このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。
なお、退職給付債務等の計算の基礎に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(退職給付関係)に記載のとおりであります。
当連結会計年度における営業面においては、2019年7月中旬以降、積極的な営業活動を自粛したこと、業務停止命令を受けたことに伴う保険募集の停止(2020年1月1日から3月31日まで)により、新契約の年換算保険料は、個人保険が1,469億円(前期比58.2%減)、第三分野が221億円(前期比64.1%減)と前期比で大きく落ち込みました。保有契約年換算保険料は、個人保険が4兆3,186億円(前期比7.7%減)(受再している簡易生命保険契約(保険)を含む)、第三分野が7,155億円(前期比5.0%減)(受再している簡易生命保険契約を含む)といずれも減少となりました。
資産運用面においては、円金利資産と円金利負債のマッチングを図るALMの観点から、公社債を中心に運用しておりますが、昨今の低金利環境を踏まえ、資産運用の多様化を進めてきた結果、収益追求資産の占率は13.9%まで拡大しました。基礎利益上の運用収支等の利回り(利子利回り)は前期比で0.03%上昇の1.82%となり、また、平均予定利率が前期比で0.01%低下し1.69%となったことから、順ざやは前期と比べ220億円増加し804億円となりました。
この結果、当連結会計年度における経常利益は、保有契約の減少及び新型コロナウイルス感染症の感染拡大による市場環境の悪化に伴うキャピタル損失の増加があったものの、2019年7月中旬以降の積極的な営業活動の自粛及び2020年1月以降の業務停止による新契約の減少に伴う事業費等の減少や資産運用における順ざやが増加したこと等により、前連結会計年度と比べ217億円増加し2,866億円(前期比8.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に加え、キャピタル損失に対応した価格変動準備金の戻し入れを行ったこと等により、1,506億円と前連結会計年度と比べ302億円の増益(前期比25.1%増)となりました。修正後の通期業績予想1,340億円に対する進捗率は112.5%となりました。ただし、新契約の減少は、短期的には利益にプラスとなるものの、中長期的にはマイナスの影響となります。
2020年1月31日に金融庁に提出いたしました業務改善計画を着実に実施するとともに、お客さまの信頼回復に全力で取り組み、企業価値の向上を目指してまいります。
当連結会計年度末の総資産額は、保有契約の減少に伴い保険契約準備金が減少したことに対応し、有価証券及び貸付金が減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ2兆2,402億円減少し、71兆6,647億円(前期比3.0%減)となりました。
資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ2兆2,402億円減少し、71兆6,647億円(前期比3.0%減)となりました。主な資産構成は、有価証券55兆8,705億円(同4.4%減)、貸付金5兆6,627億円(同16.6%減)及び金銭の信託3兆560億円(同9.6%増)となっております。
当連結会計年度においては、海外金利が低下するなか、外国証券への投資を抑制した一方、株式などへの投資は継続しましたが、含み益が減少したことから収益追求資産の残高は減少しました。国内の公社債については、安定的な収益が確保できる資産として長期債及び超長期債を中心に運用を行いましたが、償還等により残高は減少しました。貸付金については、郵政管理・支援機構への貸付、シンジケート・ローン、地方公共団体貸付、保険約款貸付を実施しており、郵政管理・支援機構への貸付金の償還により残高は減少しました。
負債の部合計は、前連結会計年度末に比べ2兆334億円減少し、69兆7,364億円(前期比2.8%減)となりました。その大部分を占める保険契約準備金は、保有契約の減少により64兆1,919億円(同4.3%減)となりました。
なお、当連結会計年度末において、お客さまのご意向確認等の実績を踏まえて、お客さまの利益を回復するための将来の契約措置により生じる保険金等の支払見込額等を合理的に見積り、保険金等支払引当金として297億円計上しております。
純資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ2,067億円減少し、1兆9,283億円(前期比9.7%減)となりました。純資産の部のうち、資本剰余金は、2019年4月8日付けで取得した自己株式37,411千株について2019年5月31日付けで37,400千株消却したことに伴い、前連結会計年度末に比べ950億円減少し、4,050億円(同19.0%減)となりました。また、その他有価証券評価差額金は、国内株式の株価下落等により前連結会計年度末に比べ1,926億円減少し、2,640億円(同42.2%減)となりました。
経常収益は、前連結会計年度と比べ7,052億円減少し、7兆2,114億円(前期比8.9%減)となりました。経常収益の内訳は、保険料等収入3兆2,455億円(同18.0%減)、資産運用収益1兆1,377億円(同5.5%減)、その他経常収益2兆8,280億円(同2.8%増)となっております。
保険料等収入は、保有契約の減少及び保険募集の停止等に伴う新契約の減少等により、前連結会計年度に比べ7,143億円減少し、3兆2,455億円(前期比18.0%減)となりました。
資産運用収益は、総資産残高の減少に伴う利息及び配当金等収入の減少並びに金銭の信託で保有する有価証券の売却益の減少及び評価損の増加等による運用益の減少等により、前連結会計年度に比べ666億円減少し、1兆1,377億円(前期比5.5%減)となりました。
その他経常収益は、責任準備金戻入額の増加等により、前連結会計年度に比べ757億円増加し、2兆8,280億円(前期比2.8%増)となりました。
経常費用は、前連結会計年度と比べ7,269億円減少し、6兆9,248億円(前期比9.5%減)となりました。経常費用の内訳は、保険金等支払金が6兆1,913億円(同9.9%減)、資産運用費用が1,240億円(同15.1%減)、事業費が4,738億円(同8.8%減)、その他経常費用が1,355億円(同15.8%増)等となっております。
保険金等支払金は、満期保険金の減少等により、前連結会計年度に比べ6,775億円減少し、6兆1,913億円(前期比9.9%減)となりました。
資産運用費用は、有価証券売却損の減少等により、前連結会計年度に比べ220億円減少し、1,240億円(前期比15.1%減)となりました。
事業費は、保険募集の停止等の影響による業務委託手数料の減少等により、前連結会計年度に比べ459億円減少し、4,738億円(前期比8.8%減)となりました。
その他経常費用は、税金が減少したものの、保険金等支払引当金の繰り入れ等により、前連結会計年度に比べ185億円増加し、1,355億円(前期比15.8%増)となりました。
経常利益は、保有契約の減少及び新型コロナウイルス感染症の感染拡大による市場環境の悪化に伴うキャピタル損失の増加があった一方で、新契約の減少に伴う事業費等の減少及び資産運用における順ざやが増加したこと等により、前連結会計年度に比べ217億円増加し、2,866億円(前期比8.2%増)となりました。
提出会社の経常利益等の明細については、「(参考4) 健全性の状況 (1) 基礎利益」の(経常利益等の明細(基礎利益))に記載のとおりであります。
特別損益は、キャピタル損失に対応した価格変動準備金の戻入額の増加等により、前連結会計年度に比べ217億円増加し、392億円の利益となりました。
契約者配当準備金繰入額は、民営化後に有配当の特約の販売を終了し、有配当の特約の保有契約件数が減少していること等により、前連結会計年度に比べ25億円減少し、1,092億円(前期比2.3%減)となりました。
経常利益に、特別損益、契約者配当準備金繰入額及び法人税等合計を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に加え、キャピタル損失に対応した価格変動準備金の戻入額の増加等により、前連結会計年度に比べ302億円増加し、1,506億円(前期比25.1%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、保有契約の減少及び保険募集の停止等に伴う新契約の減少等の影響による収入が減少した一方、満期保険金の減少等により保険金等支払金が減少しました。加えて法人税等の支払額及び契約者配当金の支払額が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ1,014億円支出減の2兆5,902億円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収による収入が増加したこと等から、5,952億円収入増の3兆2,482億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出があったこと及び前連結会計年度にはあった社債発行による収入がなくなったこと等により、前連結会計年度に比べ2,233億円支出増の1,654億円の支出となりました。
上記a.~c.の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首から4,925億円増加し、1兆4,102億円となりました。
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載の設備投資を含む当面の設備投資及び株主還元などは自己資金又は社債の発行による調達資金で賄う予定であります。
(3) 目標とする経営指標の達成状況等
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」に記載の3つの主要定量目標のうち、1株当たり当期純利益については、新契約の減少に伴う販売費用の減少及び利差益の増加により、267円40銭と期初計画(2019年11月に通期連結業績予想の上方修正)を上回る進捗となっております。もっとも、新契約の減少による純利益への影響は短期的には顕在化しにくいものの、今後も新契約の獲得が進まない場合には、中長期的には純利益に悪影響を及ぼす可能性があると認識しております。1株当たり配当額については、期初計画どおり、2019年12月に中間配当38円を実施し、期末配当についても38円といたします。
保有契約年換算保険料(個人保険)については、市場金利の低下に伴う保険料の値上げなどにより貯蓄性商品の新契約の獲得実績が想定以上に減少したこと及び、募集品質に係る諸問題を受けた営業活動の自粛等を主たる要因として、2019年6月末、9月末、12月末及び2020年3月末においてそれぞれ4.6兆円、4.5兆円、4.4兆円及び4.3兆円と推移しております。加えて、2021年3月期においては、営業目標の設定を行わず、お客さまの信頼回復に最優先で取り組むことにより、今後の営業につながる環境整備を図っていくこと等から、中期経営計画における保有契約年換算保険料(個人保険)の目標達成は困難であると認識しております。
(4) 生産、受注及び販売の状況
生命保険事業における業務の特殊性により、該当する情報がないため記載しておりません。
なお、新契約高の状況は、下記「(参考1) 当社の保険引受の状況 (2) 新契約高明細表」に記載のとおりです。募集品質に係る諸問題を受けた営業活動の自粛等によって2020年3月期における新契約の獲得実績は大幅に減少しております。
(個人保険及び個人年金保険は、当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(単位:千件、百万円)
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。
(単位:千件、百万円)
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
(単位:百万円)
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(単位:百万円)
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(単位:千件、百万円)
(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。
(単位:百万円)
(注) 当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記「(参考1) 当社の保険引受の状況 (3) 保有契約年換算保険料明細表」に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、当社が算出した金額であります。
(注) 1.機構貸付とは、郵政管理・支援機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。
2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。
(単位:%)
(注) 1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。
2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。
3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。
基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。
当社の当事業年度における基礎利益は、4,006億円となりました。
(単位:百万円)
(注) 1.金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額(前事業年度:64,865百万円、当事業年度:78,097百万円)を「その他キャピタル費用」に計上し、基礎利益に含めております。
2.「その他臨時費用」には、保険業法施行規則第69条第5項の規定により責任準備金を追加して積み立てた額(前事業年度:179,882百万円、当事業年度:176,734百万円)を記載しております。
生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率は1,070.9%と高い健全性を維持しております。
(単位:百万円)
(注) 保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
生命保険会社では、大災害の発生、金融資産の価格変動等、生命保険事業の経営環境の変化に伴うリスクに備え、将来にわたる健全で安定的な経営を確保するために、危険準備金と価格変動準備金を積み立てることとしております。
当連結会計年度末における残高は危険準備金1兆7,973億円、価格変動準備金8,583億円となり、合計で2兆6,557億円となりました。
(単位:億円)
実質純資産額とは、資産全体を時価評価して求めた資産の合計から、危険準備金や価格変動準備金等の資本性の高い負債を除いた負債の合計を引いたものであり、決算期末の保険会社の健全性の状況を示す行政監督上の指標のひとつであります。この数値がマイナスになると業務停止命令等の対象となることがあります(ただし、満期保有目的の債券及び責任準備金対応債券の含み損を除いた額がプラスとなり、かつ、流動性資産が確保されている場合には、原則として業務停止命令等の措置は取られないこととなっております。)。当連結会計年度末における連結実質純資産額は12兆3,509億円となりました。
(単位:億円)
追加責任準備金とは、加入時の計算基礎で計算した積立額では、逆ざや等により保険金等の支払いに不足する額として追加して積み立てている責任準備金であります。当連結会計年度末における追加責任準備金は5兆8,303億円を積み立てております。なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
(単位:億円)
貸付金のうち、返済状況が正常でない債権をリスク管理債権といいますが、当社において、リスク管理債権に該当するものはありません。
エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。
修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。
保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。
生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。
EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、2004年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。
2016年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに2016年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。
今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。
当社は、郵政民営化法に基づき、2007年10月1日に発足しました。また、2007年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、郵政管理・支援機構に承継されるとともに、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてについて、当社が受再しております。
当社は、郵政管理・支援機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び郵政管理・支援機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、郵政管理・支援機構へ再保険配当として支払うことを定めております。EEVの計算においては、この郵政管理・支援機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。
このように郵政管理・支援機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。
当社のEEVは以下のとおりであります。
(単位:億円)
修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。当期純利益による増加があったものの、自己株式の取得や株主配当金の支払いを主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から減少しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有する当社株式の帳簿価額を加えております。
2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。
3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(注) 1.連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有する当社株式の帳簿価額を加えております。
2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分を計上しております。詳細は「(2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。
3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。「(4) 前事業年度末EEVからの変動要因」に記載のとおり、前提条件(経済前提)と実績の差異や前提条件(非経済前提)の変更を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から減少しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。
将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。詳細は「(2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。
(単位:億円)
新契約価値は、当期間に獲得した新契約(医療特約の切替加入契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。2019年7月中旬からの積極的な営業活動の自粛及び2020年1月以降の業務停止等により新契約が減少したことや金利が低下したことを主な理由として、当事業年度における新契約価値は前事業年度から減少しております。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。
(単位:億円)
なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。
(単位:億円)
当社は当事業年度において645億円の株主配当金を支払うとともに、999億円の自己株式の取得を行っており、修正純資産がその分減少しております。
新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表したものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート(△0.178%)分に相当する収益が発生しております。
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。当事業年度の超過収益を計算するために使用した期待収益率は、「付録B EEV計算における主な前提条件 (1) 経済前提」に記載のとおりであります。
当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。
前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。
前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支が変化することによる影響であります。このうち、将来の事業費前提の変更により3,517億円減少し、失効解約率の前提変更により511億円増加しております。
事業費前提については直近の実績を織り込むとともに、会社全体(簡易生命保険契約を含む)の保有契約量が減少基調にあることから、事業費率の上昇を見込んで設定しております。将来の保有契約量の前提を、前事業年度末のEEVでは過去の実績から設定しておりましたが、当事業年度末のEEVでは募集品質問題(注1)に係る評価日時点での状況を踏まえて設定したため、将来の保有契約量の見込みが減少することとなり、前提となる事業費率が上昇しております。
また、前事業年度末のEEVでは乗換による影響を含めて失効解約率を設定しておりましたが、当事業年度末のEEVでは、業務改善計画(注2)において、契約乗換への対策を行うこと、条件付解約等制度や契約転換制度を導入することが決定しているため、失効解約率設定時に乗換による影響を除外し、前提となる失効解約率が低下しております。なお、今後、条件付解約等制度や契約転換制度を活用した解約の影響も、乗換同様に失効解約率設定時に除外することを予定しておりますが、同時に新契約価値については正味増加分のみを評価することを予定しております。従って、失効解約率前提の設定において乗換による影響を除外することによる価値の変動は当事業年度限りとなります。
(注) 1.「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載の募集品質に係る諸問題とその取組み等
2.「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載の適正な業務運営を確保し、保険契約者の保護を図るための改善計画(業務改善計画)
市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積りの変更を含んでおります。
主に為替変動リスクのヘッジに伴う金融派生商品費用の発生により、修正純資産は101億円減少しております。
主に国内金利の変動や株価の下落により、保有契約価値は3,206億円減少しております。
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に1つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。
(単位:億円)
感応度1から4について、修正純資産の増減額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの増減額となります。
(単位:億円)
(注) 参考値として、保有契約に係る資産の含み損益も加えた増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
新契約価値の感応度
(単位:億円)
なお、リスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。
株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。
事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。
解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。
また、EEVの計算において新型コロナウイルス感染症(COVID-19(注))の潜在的な影響を直接的には考慮しておりません。
これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。
(注) 2020年2月11日に世界保健機構(WHO)によってCOVID-19と命名された新型コロナウイルス感染症のこと。
当社では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、EEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。
当社が当事業年度末のEEVを計算するために使用した方法及び前提は市場整合的手法であり、EEV原則とその指針(ガイダンス)に準拠しております。
計算の対象範囲は、当社及びその子会社の取り扱う生命保険事業であります。
なお、当社は生命保険事業のみを取り扱っております。
また、当社は日本郵政グループの一員ですが、本計算は当社単独の計算となっております。
修正純資産は、貸借対照表の純資産の部の金額に対して、以下の調整を加えて計算しております。
なお、修正純資産から必要資本を控除したものがフリー・サープラスと呼ばれております。
なお、保険契約に係る資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
保有契約価値は、確実性等価将来利益現価から、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用を控除することにより算出しております。
確実性等価将来利益現価は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提に基づき、将来キャッシュ・フローを決定論的手法により計算したもので、将来利益をリスク・フリー・レートで割り引いた現在価値であります。
将来利益の計算において、保険契約に係る資産の運用収益を簿価評価しておりますが、リスク・フリー・レートによる割引現在価値は資産時価と一致しております(この取扱いは「EEV原則の指針(ガイダンス)G10.11」のとおりであります。)。なお、EEV及び新契約価値における確実性等価将来利益現価の計算では、将来の資産運用リスクのプレミアム(例えば、株式や債券等に期待されるリスク・フリー・レートを超過する利回り)は反映されておりません。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。詳細は「(参考5)当社のEV (2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。
この価値には、契約者配当等のオプションと保証の本源的価値も反映しておりますが、オプションと保証の時間価値は反映されず、別途、計算しております。
オプションと保証の時間価値は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提に基づいた値(確実性等価将来利益現価)と、市場で取引されているオプション価格と整合的な前提により確率論的に計算された将来の税引後利益現価の平均との差として計算しております。
オプションと保証の時間価値は、以下のような要素を勘案しております。
有配当保険においては、発生した損益に対して、株主への分配可能な利益には、非対称性が存在しております。例えば、利益が発生した場合には、契約者配当を支払うことから、利益のすべてが株主には帰属しておりません。一方、損失が発生した場合には、契約者に追加の負担が生じないため、損失のすべてが株主負担となります。契約者配当は、収益状況に応じた一定割合を還元するように設定しているため、シナリオによって異なった金額となります。
経済の状況等に応じて、契約者はさまざまな行動を取るオプションを有しております。ここでは、金利水準により契約者の解約行動が変化することを反映しております。
保険会社は健全性維持のために負債の額を超えて必要資本を保有する必要があります。この必要資本に係る運用収益に対する税金と資産運用管理のための費用を認識しております。
EEV原則において、この必要資本は、法定最低水準以上であることが求められ、さらに、内部の目的を達成するために必要となる金額とすることが認められております。日本における法定最低水準の資本要件はソルベンシー・マージン比率200%であることを踏まえ、当社では、必要資本を維持するための費用の計算にあたり、ソルベンシー・マージン比率600%に相当する金額を必要資本としております。
なお、日本におけるソルベンシー・マージン基準では、一定の範囲内で、全期チルメル式責任準備金相当額超過額をマージンに反映することが規定されており、本計算においてもこれを反映しております。また、保有契約価値の計算において、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金に加え、保険契約に係るその他有価証券評価差額金、一般貸倒引当金及び劣後債を含めて評価しており、これらの準備金等をマージンに含めております。
当社の前事業年度末における必要資本はゼロ、当事業年度末における必要資本は924億円となっております。
EEV原則では、「EVは対象事業のリスク全体を考慮した上で、対象事業に割り当てられた資産から発生する分配可能利益の中の株主分の現在価値」と定義されており、すべてのリスクを勘案してEEVを計算することが求められております。
一部のリスクについては、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提だけではEEVに与えるさまざまな影響を十分に反映できない場合があり、EEVの計算において、ヘッジ不能リスクに係る費用として認識するという補正が必要となります。このような例として、オペレーショナル・リスクや大災害リスク等が挙げられております。
また、将来、剰余が発生した場合には税金を支払いますが、損失が発生した場合には税金はゼロとなります。この場合でも、税務上の欠損金の多くは翌年度以降に繰り越すことにより回収可能と考えられますが、繰越期間内に回収できないリスクが存在しております。
さらに、計算に用いるリスク・フリー・レートのうち、超長期の金利には十分な取引のある市場が存在しないことにより、価値の不確実性が存在しております。
当社では、簡易モデルによってヘッジ不能リスクに係る費用を推定しております。
当事業年度の新契約価値は、当期間に獲得した新契約の獲得時点における価値であります。
計算対象は、新契約及び特約の中途付加であり、既契約の更新は含めておりません。2017年10月2日の無配当傷害医療特約及び無配当総合医療特約の販売開始に伴い、中途付加時の切替加入(注)を認めております。この切替加入契約の新契約価値としては、旧特約の価値からの正味増加分を反映しております。また、経済前提は2019年12月末時点のもの、非経済前提は保有契約価値と同一の期末時点のものを用いております。
新契約価値の評価について、当社では、実際の契約者配当の水準を、保有契約全体の損益に基づいて決定していることを踏まえ、新契約を獲得した場合の保有契約全体の損益に基づいて計算したEVと、新契約を獲得しなかった場合の保有契約全体の損益に基づいて計算したEVの差とするマージナル方式としております。マージナル方式では、新契約獲得に伴う分散効果によるリスクの軽減の影響等も新契約価値として評価されております。
(注) 医療特約の約款に定められている医療特約の中途付加と同時に旧特約を解約する場合の特則を適用して加入すること。
確実性等価将来利益現価の計算においては、当社の保有資産等を考慮し、リスク・フリー・レートとして、評価日時点の国債を使用しております。
参照金利のない超長期の金利は、終局金利を用いて補外しております。
具体的には終局金利として前事業年度は3.5%、当事業年度は3.8%を仮定し、日本国債の流動性等を踏まえ補外開始年度を30年目と設定しております。31年目以降のフォワード・レートは補外開始年度以降30年間で終局金利の水準に収束するようにSmith-Wilson法により補外しております。
計算に使用したリスク・フリー・レート(スポット・レート換算)の年限別数値は以下のとおりであります。
保有契約価値の計算に用いるリスク・フリー・レート
(データ:財務省 補正後)
新契約価値の計算に用いるリスク・フリー・レート
(データ:財務省 補正後)
金利モデルとして、日本円、米ドル、ユーロ、豪ドルを通貨とする確率論的αβρ-LIBOR マーケットモデルを構築しました。各金利変動の相関を考慮するとともに、日本円を基準通貨とするリスク中立アプローチに基づきモデルを調整しております。金利モデルは、評価日時点の市場にキャリブレートされており、パラメータはイールド・カーブと期間の異なる複数の金利スワップションのインプライド・ボラティリティから推計しております。オプションと保証の時間価値を算出するための確率論的手法では5,000シナリオを使用しております。これらのシナリオは保険数理に関する専門知識を有する第三者機関により生成されたものを使用しております。
シナリオのキャリブレーションに使用した金利スワップションのインプライド・ボラティリティ(抜粋)は以下のとおりであります。
金利スワップション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Bloomberg)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Bloomberg)
主要な株式のインデックス及び通貨のボラティリティについては、市場で取引されているオプションのインプライド・ボラティリティのデータに基づいてキャリブレーションを行っております。シナリオのキャリブレーションに使用したインプライド・ボラティリティ(抜粋)は以下のとおりであります。なお、当社が実際に使用する国内株式インデックスは、主にTOPIXをベンチマークとした運用がなされていることを踏まえ、TOPIXの日経225に対するヒストリカル・ボラティリティ比(2019年12月31日:96.1%、2020年3月31日:95.4%)を下記の日経225のインプライド・ボラティリティに乗じて算出しております。
株式オプション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Markit 補正後)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Markit 補正後)
通貨オプション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Bloomberg)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Bloomberg)
前述のインプライド・ボラティリティに加え、相関係数を元に当社の資産構成を反映させたインプライド・ボラティリティを計算しております。
相関係数については、十分な流動性を有するエキゾチック・オプションに基づく市場整合的なデータが存在しておりません。このため、評価日時点の直近10年間の市場データから計算した値を使用しております。
主要な変数間の相関係数は以下のとおりであります。
保有契約価値の計算で使用
(データ:日本円金利は財務省、その他はBloomberg)
新契約価値の計算で使用
(データ:日本円金利は財務省、その他はBloomberg)
当社の評価日時点の資産構成の実態を考慮するとともに、将来の新規購入資産は、負債特性を踏まえた年限での運用を想定しております。
また、当社の外貨建資産の通貨別構成を踏まえ、すべての外貨建資産は米ドル建、ユーロ建及び豪ドル建から構成されるとみなしております。
「前事業年度末EEVからの変動要因」の期待収益(超過収益分)の計算に用いた主な資産の期待収益率(リスク・フリー・レート分と超過収益分の合計)は以下のとおりであります。
期待収益(超過収益分)の計算に用いる期待収益率は、前事業年度末における資産占率に上記の期待収益率を乗じることにより算出しております。会社全体における資産占率考慮後の期待収益率は、0.034%であります。
保険料、事業費、保険金・給付金、解約返戻金、税金等のキャッシュ・フローは、契約消滅までの期間にわたり、保険種類別に、直近までの経験値及び期待される将来の実績を勘案して(最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提)予測しております。
なお、将来の事業費の改善については織り込んでおりません。
b.消費税については、2019年9月までは8%、2019年10月以降は10%としております。
現行の配当実務に基づき、配当率の前提を設定しております。
なお、郵政管理・支援機構への再保険配当については、郵政管理・支援機構との再保険契約に基づく額を支払うこととしております。
直近の実効税率に基づき、28.00%としております。
当社は、郵政管理・支援機構との間で再保険契約を締結し、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約に基づく郵政管理・支援機構の保険責任のすべてを受再しております。また、当該再保険契約に基づき、簡易生命保険契約及びそこから生じた利益を他の保険契約と区分して管理しており、過年度の実績の推移は下表のとおりであります。
下表における旧区分の数値は、上記に基づき算出した簡易生命保険契約に係るものであり、新区分の数値は、全体から旧区分の数値を差し引いたものであります。よって、下表は当社の内部管理上の数値であり、企業会計原則に則って作成される数値ではありません。
経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。
当社は、親会社である日本郵政株式会社を含む、日本郵政グループ内各社と契約を締結しており、また、これらの契約に基づく取引が発生しております。なお、当社には保険業法が適用されることから、日本郵政グループ内各社との取引にあたっては、アームズ・レングス・ルール(保険会社は、親会社及びその子会社等の一定の関係者との間で、通常と著しく異なる条件での取引等を行ってはならないこととされており、この定めを「アームズ・レングス・ルール」といいます。)に基づき、日本郵政グループ内取引の必要性、取引条件の適正性等の観点からのチェックを実施しております。
日本郵政グループ共通の理念及び方針その他のグループ運営に係る基本的事項について定め、円滑な日本郵政グループの運営の実施に資することを目的とした協定であり、グループ商標等に係る商標権の取得・管理等を含む、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び当社の責務が定められております。
本協定の存続期間は、2015年4月1日から、株式会社ゆうちょ銀行又は当社のいずれかが、それぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める銀行窓口業務契約又は同条第3項に定める保険窓口業務契約を解除する日までとされております。また、株式会社ゆうちょ銀行又は当社が日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合には、本協定について必要な見直しを行うものとされております。
日本郵政グループを統轄する日本郵政株式会社が行うグループ運営に関する基本的事項(当社から日本郵政株式会社に対して事前協議又は報告を行うこと等)について定めた契約であり、上記①a.日本郵政グループ協定に基づき締結されたものであります。本契約に基づいて締結したグループ運営のルールに関する覚書における主な事前協議事項は下記のとおりでありますが、当該事前協議は当社の意思決定を妨げる又は拘束するものではない旨が本契約で定められております。
(主な事前協議事項)
・ 株主総会の決議事項
・ 代表執行役及び役付執行役の選定又は解職
・ 執行役の選任又は解任
・ 経営理念及び経営方針等の策定又は変更
・ 中期経営計画の策定又は変更
・ 年度事業計画(資金調達及び運用計画を含む。)の策定又は変更
・ 子会社の新設
・ 重要な株式の取得及び処分(運用目的の場合を除く。)の決定
・ 重要な業務提携等の決定
・ 重要な資産(不動産、株式、運用目的の債権等の資産を除く。)の取得、処分の決定
・ 重要な投資又は融資の決定
・ 資本戦略の決定
なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載の募集品質に係る諸問題の発生を受け、グループ会社間の連携及びガバナンス態勢の強化等を図る観点から、2020年1月以降、上記覚書において、営業(業務)に関する目標・指標の制定又は改廃、年度営業(業務)方針・計画の策定又は改廃に関する報告事項(事前報告)を追加するとともに、内部監査、コンプライアンス、オペレーショナルリスクの各領域において、当社と日本郵政株式会社との間で協議・調整を行う会議体を設置すること等を明文化するなど、一部改定を実施しております。
本契約の存続期間は、2015年4月1日から、株式会社ゆうちょ銀行又は当社のいずれかが、それぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める銀行窓口業務契約又は同条第3項に定める保険窓口業務契約を解除する日までとされております。また、株式会社ゆうちょ銀行又は当社が日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合には、本契約について必要な見直しを行うものとされております。
また、本契約に基づき、当社は日本郵政株式会社に対して、ブランド価値使用料を支払うものとされております。ブランド価値使用料の算定方法は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り、変更しないものとしており、日本郵政株式会社の当社株式の保有割合に直接影響されるものではありません。なお、2020年3月期の当社から日本郵政株式会社に支払ったブランド価値使用料は、29億円であります。
2012年の郵政民営化法の改正に伴い、日本郵便株式会社に保険のユニバーサルサービス義務が課されました。本契約は、日本郵便株式会社が果たすべきユニバーサルサービス義務のうち、「簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により、あまねく全国において公平に利用できるようにする」との責務を果たすため締結した契約であります。本契約においては、日本郵便株式会社にユニバーサルサービス義務が課される終身保険及び養老保険について、保険募集、満期保険金及び生存保険金の支払請求の受理について、日本郵便株式会社が保険窓口業務を提供することが定められております。
本契約は、期間の定めのない契約であり、本契約に定める特段の事情がない限り、日本郵便株式会社又は当社から一方的に解除することはできないものとされております。また、当社の定款上、本契約を日本郵便株式会社との間で締結することが定められております(本契約に関し、当社グループに生じうるリスクについては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。)。
なお、当社は日本郵便株式会社に対して各種の委託手数料を支払っていますが、ユニバーサルサービス義務が課された業務に対し、同義務が課されていることによる追加的な手数料は支払っておりません。当該手数料の詳細については、下記の「(参考)日本郵便株式会社に支払う委託手数料」に記載のとおりであります。
上記a.の保険窓口業務契約で定めたユニバーサルサービス義務が課された業務を含め、当社を保険者とする生命保険契約の募集及び維持・管理等に関する業務、具体的には保険契約の締結の媒介、保険料等の受領、保険金等の支払等に関する業務を、日本郵便株式会社に委託する契約であります。
なお、本契約に基づき募集を委託する保険商品は当社の全商品としておりますが、当社は通知により、委託する商品を追加、変更又は削除することが可能であります。本書提出日現在においては、当社はかかる通知を行っておりません。
本契約において当社は、日本郵便株式会社が行う業務の対価として、当社が別途定める代理店手数料規程に基づき手数料を支払う旨が定められております。本契約は期限の定めのない契約であり、6カ月前の書面による通知により解除について協議を申し入れた上で、解除することが可能であります。また、本契約に定める特段の事由が存在する場合、当社は事前協議及び書面による通知なしに本契約を解除することが可能であります。なお、保険窓口業務に該当する業務については、保険窓口業務契約に定めがある場合を除くほか、生命保険募集・契約維持管理業務委託契約の定めるところによるものとしております。
当社が郵政管理・支援機構から受託した簡易生命保険管理業務の一部(簡易生命保険契約に係る保険料等の受領、保険金等の支払等)について、日本郵便株式会社に再委託する契約であります。本契約において当社は、日本郵便株式会社が行う業務の対価として、当社が別途定める代理店手数料規程に基づき手数料を支払う旨が定められております。本契約は期限の定めのない契約であり、日本郵便株式会社又は当社のいずれか一方から、6カ月前までに、事業運営上の合理的な理由により本契約を解約する旨の意思表示が書面によりなされた場合には、解約することが可能であります。また、郵政管理・支援機構と当社との間の簡易生命保険管理業務委託契約が解除された場合等、本契約に定める特段の事由が存在する場合、当社は予告なしに本契約を解除することが可能であります。
当社を保険者とする生命保険契約の募集を行う簡易郵便局に対する指導・教育等について、日本郵便株式会社に委託する契約であります。本契約において当社は、日本郵便株式会社が行う業務の対価として、当社が別に定める総括代理店手数料規程に基づき総括代理店手数料を支払う旨が定められております。
本契約の有効期間は契約締結日から1年間(1年ごとの自動更新条項付)とされており、日本郵便株式会社又は当社のいずれか一方から、6カ月前までに、事業運営上の合理的な理由により本契約を解約する旨の書面での意思表示がなされた場合には、解約することが可能であります。また、生命保険募集・契約維持管理業務委託契約が解除された場合には、当社は文書による予告なしに本契約を解除することが可能であります。
株式会社ゆうちょ銀行が所有し、郵便局の窓口に設置している窓口端末機等を、当社並びに当社の業務を委託している日本郵便株式会社、当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社が当社業務の実施を目的として使用することについて、株式会社ゆうちょ銀行が当社に許諾すること等を定めた契約であります。本契約において当社は、株式会社ゆうちょ銀行に対して、株式会社ゆうちょ銀行が毎年度通知する機器使用料を支払うものとされております。本契約の有効期間は契約締結日から1年間(1年ごとの自動更新条項付)とされております。
なお、本契約は、株式会社ゆうちょ銀行が所有し、郵便局の窓口に設置している紙幣硬貨入出金機を、日本郵便株式会社が郵便及び物販窓口業務の実施を目的として使用することについて、株式会社ゆうちょ銀行が日本郵便株式会社に許諾することについても定めた契約となっているため、3社での契約となっております。
郵政管理・支援機構が公社から承継した簡易生命保険管理業務のうち、簡易生命保険契約の維持・管理、保険料の収納、保険金の支払い、資産運用等の業務を当社が郵政管理・支援機構から受託する契約であります。本契約において郵政管理・支援機構は、下記②の再保険契約が有効である間については、委託業務に関する手数料は支払わないものとされております。本契約は期限の定めのない契約であり、再保険契約の終了に伴い終了する旨が定められております。また、当社が破産の申立てを行った場合等、本契約に定める特段の事由が発生した場合には、郵政管理・支援機構は、予告なく本契約を解除することが可能であります。なお、本契約の変更・解除は、郵政管理・支援機構が総務大臣の認可を受けなければ効力を生じないとされております。
郵政管理・支援機構が公社から承継した簡易生命保険契約について、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてを当社が受再する契約であります。郵政管理・支援機構は、簡易生命保険契約の保険料のすべてを再保険料として当社に払い込むこととされております。また、本契約において当社は、毎事業年度末において、再保険損益の8割と公社解散時において確定している簡易生命保険契約の契約者配当の分配のために必要な額の合計額を、再保険配当として契約者配当準備金に繰り入れることとしております。再保険配当の計算方法の変更の必要性については、毎事業年度、郵政管理・支援機構と当社間で協議することとされておりますが、本契約締結以降、当該計算方法が変更されたことはなく、本書提出日時点において変更の予定もありません。
本契約は期限の定めのない契約であり、郵政管理・支援機構は、6カ月前の書面による通知により解除について協議を申し入れた上で、解除することが可能であります。また、本契約に定める特段の事由が存在する場合、郵政管理・支援機構は直ちに本契約を解除することが可能であります。なお、本契約の変更・解除は、郵政管理・支援機構が総務大臣の認可を受けなければ効力を生じないとされております。
郵政管理・支援機構が公社から承継した簡易生命保険契約の契約者に対する貸付金及び地方公共団体等に対する貸付金の総額に相当する額について、公社が相手方と約定した貸付条件と同一の条件で、当社が郵政管理・支援機構に対し貸付けをする契約であります。
該当事項はありません。