以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当行グループは、以下の経営理念の下、お客さまの声を明日への羅針盤とする「最も身近で信頼される銀行」を目指してまいります。
「信 頼」:法令等を遵守し、お客さまを始め、市場、株主、社員との信頼、社会への貢献を大切にします。
「変 革」:お客さまの声・環境の変化に応じ、経営・業務の変革に真摯に取り組んでいきます。
「効 率」:お客さま志向の商品・サービスを追求し、スピードと効率性の向上に努めます。
「専門性」:お客さまの期待に応えるサービスを目指し、不断に専門性の向上を図ります。
(2) 経営環境
当連結会計年度の経済情勢を顧みますと、世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大による未曽有の悪化後、政府・中央銀行による大規模な景気支援策の下、経済活動の段階的再開により、持ち直しました。中国経済は、日米欧に先がけ4-6月期に大きく持ち直した後、順調な回復が続き、日米欧経済も7-9月期以降、総じて持ち直しに転じました。しかし、欧州(ユーロ圏)は感染再拡大、経済活動制限強化を受け10-12月期以降2四半期連続のマイナス成長、日本も緊急事態宣言発令を受け1-3月期はマイナス成長となりました。ワクチン普及時期や変異種の動向等、新型コロナウイルス収束には不確実な要素が多く、先行きの経済情勢は不透明感が残ります。
金融資本市場では、日米欧とも中央銀行が大規模かつ矢継ぎ早に流動性供給と信用支援を進めた結果、米国の10年債利回りは10月までは概ね0.7%程度で推移した後、11月以降、大統領選、議会選挙を経て、新政権による大型追加経済対策が成立し、3月にかけ1.7%台まで上昇しました。日本の10年債利回りも概ね0%をやや上回る水準で推移した後、0.1%台に上昇しました。また、前連結会計年度末に急拡大した海外のクレジットスプレッドも急速に縮小した後は、低位で推移しました。
外国為替市場では、米実質金利の低下に、ワクチン開発進展や米大統領選決着によるリスクオンムードも加わり、対ドルでは一時102円台まで円高が進行しましたが、1月以降、米金利上昇を受け110円台まで反転しました。対ユーロでは、欧州復興基金合意を契機に円安基調で推移しました。
日経平均株価は、景気の急激な悪化を織り込み、2020年4月初め時点では19,000円を下回っていましたが、政府・日本銀行による大規模な景気支援策の下、主要各国の経済活動再開に伴う景気回復期待や、高値更新を演じた米国株高も映し上昇基調に転じ、2021年に入ってからは米追加経済対策や欧米のワクチン接種進展を受けたグローバル経済の急回復期待により、2月に約30年半ぶりの30,000円台に回復した後、3月末にかけ概ね28,000円~30,000円のレンジで推移しました。
このように、低金利環境が長期化するとともに、新型コロナウイルスにおいては、ワクチンが開発され、また一部地域で接種が進んでいるものの、変異種の出現など、引き続き国際社会・世界経済にとって不確実性の高い環境になっており、国内外の有価証券による運用を主たる収益源とする当行グループにとって、厳しい経営環境が継続しております。
(3) 経営戦略、対処すべき課題等
当行グループは、2021年度から2025年度までを計画期間とする「中期経営計画」を策定いたしました。
前中期経営計画(2018年度から2020年度)では、「『やっぱり、ゆうちょ』と言われることを、もっと。」というスローガンの下、お客さま本位の良質な金融サービスの提供、地域への資金の循環等、運用の高度化・多様化及び経営管理態勢の強化に取り組み、目指す姿の実現に向けた基盤固めを着実に遂行しました。
一方、人口減少・超高齢化社会、地域経済の縮小、デジタル革命の進展、コロナ禍を受けた新しい生活様式への変化、超低金利環境の長期化など、当行グループをとりまく事業環境は大きく変化しており、こうした環境変化への課題認識と当行グループの強み・経営資源を踏まえ新しい中期経営計画(2021年度から2025年度)を策定しました。
なお、新しい中期経営計画の計画期間は、収益基盤・事業基盤の抜本的な強化に必要な期間等を考慮し、5年に設定しております。
中期経営計画期間を「信頼を深め、金融革新に挑戦」する5年間と位置づけ、次の5つの重点戦略を通じて、ビジネスモデルの変革と事業のサステナビリティ強化を目指します。
<中期経営計画における主な取組み>

※ DXとは、Digital Transformationの略。データやデジタル技術を活用して、業務やビジネスモデルをより良いものに変革すること
<財務目標>
中期経営計画期間の財務目標について、収益性指標として連結当期純利益(当行帰属分)・ROE(株主資本ベース)、効率性指標としてOHR(金銭の信託運用損益等を含むベース)(注1)・営業経費(2020年度対比)、健全性指標として自己資本比率(国内基準)・CET1(普通株式等Tier1)比率(国際統一基準)(注2)を設定しました。
当行グループは、この財務目標の下、約24,000の郵便局ネットワークを通じて全国のお客さまに良質な金融サービスを提供しながら、同時に収益性・効率性改善に向けた取組みにも着手してまいります。
(注) 1.Over Head Ratioの略。銀行業務の効率性を示す指標の一つで、一般的には、経費の業務粗利益に対する比率のこと。当行は相応の規模で金銭の信託を活用した有価証券等運用を行っていることを踏まえ、金銭の信託に係る運用損益も分母に含めたOHRを指標として設定。経費÷(資金収支等+役務取引等利益)で算出。資金収支等とは、資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む)
2.その他有価証券評価益除くベース。2025年度目標はバーゼルⅢ完全実施ベース
(リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革)
○デジタルサービス戦略の展開
安心・安全を最優先に、すべてのお客さまが利用しやすいデジタルサービスを拡充するとともに、郵便局ネットワークを活用し、デジタルサービスの普及を進めます。また、顧客基盤を活用し、多様な事業者との連携により最適なサービスを提供する、オープンな「共創プラットフォーム」の構築にも努めてまいります。
具体的には、各種デジタルサービスの本人確認機能等のセキュリティの強化、「通帳アプリ」の機能拡充や「家計簿・家計相談アプリ」の構築、UI/UX(注3)の継続的な改善等に取り組んでまいります。
また、全国の郵便局ネットワークを活用することで、お客さまに最適なチャネルをご案内するとともに、デジタルサービスの身近なサポートも行ってまいります。
当行グループは、邦銀随一の顧客基盤を有するため、「通帳アプリ」を中心に、デジタル領域での顧客基盤の拡大に取り組み、多くのお客さまに安心、便利にご利用いただけるデジタルサービスの普及に努めてまいります。
(注) 3.ユーザー・インターフェース(User Interface)/ユーザー・エクスペリエンス(User Experience)の略
UIは「商品・サービスに係るユーザーの操作性や使い勝手」、UXは「ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験価値」のこと
○資産形成サポートビジネスの推進
資産形成サポートビジネスについては、お客さま本位の業務運営の下、いつもの社員に相談できる「対面チャネル」と、かんたん・べんり・低コストの「デジタルチャネル」でお客さまに最適なサービスを提供してまいります。
対面チャネルにおいては、資産運用商品のラインアップを当行グループの顧客層に合った商品に整理するとともに、投資初心者のお客さまには主に積立投資を提案してまいります。また、オンライン相談機能の導入・拡大や、「資産運用コンサルタント」の育成等を進め、お客さまに一層寄り添ったライフプラン・コンサルティングを実施してまいります。
一方、デジタルチャネルにおいては、競争力のある料金水準の下、Webサイトやアプリでのサービスを拡充するなど、誰でも使いやすい資産運用プラットフォームの整備に努めてまいります。
○新規ビジネスの推進
お客さまの人生を長くサポートする新サービスや、利便性をより高める新サービスを展開してまいります。
具体的には、「口座貸越サービス(注4)」や「フラット35(注5)」の直接取扱を2021年5月から開始しております。また、「投資一任サービス(注6)」や「相続・信託サービス」についてもサービスの開始に向けて準備してまいります。
(注) 4.独立行政法人住宅金融支援機構の個人向け固定金利住宅ローン
5.口座残高を超える払戻し、自動払込み等、各種決済サービスを利用した取扱いの際に、不足額を自動的に融資するサービス
6.投資一任契約に基づき、投資運用業者がお客さまから投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づきお客さまのための投資を行うに必要な売買・管理等までを行うサービス
(デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上)
店舗においては、窓口タブレットを導入する等、定型的な取引のセルフ処理を可能とする仕組みを広げるとともに、デジタルチャネルの充実を図り、お客さまの取引チャネルの選択肢を拡充しながら、窓口業務の効率化を進めてまいります。
貯金事務センターにおいては、AI-OCR(注7)・RPA(注8)の拡大や、BPMS(注9)の導入等、デジタル技術を組み合わせた総合的な業務の自動化を推進してまいります。
これらの取組みを通じ、直営店や貯金事務センター等の業務量を削減する一方、計画的なスキルアップにより強化分野に人員をシフトすることで、態勢の整備と生産性の向上を図ってまいります。
また、戦略的なIT投資等、重点分野への投資を強化しつつ、既定経費の削減により、経営の効率性の改善を目指してまいります。
(注) 7.AIを活用し、非定型帳票や手書き文字等の認識率を向上したOCR
8.Robotics Process Automation の略。今まで人間がマウスやキーボードで操作していた、端末操作等を自動化すること等によって、作業時間の短縮や品質向上を図る技術
9.Business Process Management Systemの略。RPAを自動で起動し、人による確認作業等を要求するなど、業務フローをシステム的に制御し、自動的に工程管理を行うシステム
(多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化)
お客さまからお預かりした大切な資金を、地域へと循環するために、多様な枠組みを通じた資金供給により、地域活性化への貢献に努めてまいります。特に、子会社の「JPインベストメント株式会社」のほか、「株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)」や「地域活性化ファンド」等を通じた資金供給により、地域のエクイティ性資金(リスクマネー)のニーズに応えてまいります。
また、地域金融機関と連携し、「地域の金融プラットフォーム」の中核として、当行グループのATMネットワークの活用や事務の共同化など各地域の実情に応じた金融ニーズにも応えていきます。
このような地域経済活性化に向けた取組みについては、地方公共団体・地域金融機関との連携を一層強化しながら推進するため、2021年4月に「地域リレーション部門」を新設いたしました。
(ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化)
○国際分散投資の推進
低金利が継続する厳しい経営環境の中、「リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)(注10)」に基づき、取得するリスクの種類や水準を明確にした上で、リスク対比リターンを意識しつつ、収益性の向上を目指して国際分散投資を拡充してまいります。
具体的には、投資適格領域を中心にリスク性資産残高を積み上げてまいります。また、リスク性資産のうち、戦略投資領域については、選別的に投資を進め、残高の拡大を目指してまいります。
また、ストレス事象発生に備え、ストレス耐性のあるポートフォリオ構築を進めるとともに、ストレステストの高度化やモニタリングの強化等、リスク管理の深化に一層努めてまいります。
(注) 10.リスクアペタイト(自社のビジネスモデルの個別性を踏まえた上で、事業計画達成のために進んで受け入れるべきリスクの種類と総量)を、資本配分や収益最大化を含むリスクテイク方針全般に関する銀行内の共通言語として用いる経営管理の枠組み
(一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化)
全社員で「お客さま本位の業務運営」を実現し、一層信頼される企業となるため、次の社内改革に努めてまいります。
○組織風土改革
「サービス向上委員会」を中心に、社員一人ひとりが、日々の活動の中でお客さま本位の業務運営を実践していくために、継続的に組織風土改革に取り組みます。具体的には、経営理念の社内浸透に加えて、お客さま本位の考え方を組織や社員の評価体系等に一層反映してまいります。
○内部管理態勢の強化
変化の激しい社会・経済環境の中、リスク感度を向上し、変化に対して迅速・柔軟に対応しながら外部との連携も含め、各種管理態勢を強化します。
具体的には、「1線(営業部門、事務部門)」の自律的管理の強化、1線に対する「2線(管理部門)」・「3線(監査部門)」の社内横断的な牽制態勢の強化などリスクマネジメント態勢の強化に取り組みます。あわせて高度なセキュリティ対策の実行と新たなリスクに備えたITガバナンスとセキュリティ検証態勢の強化等、「安心・安全の確保」に努めてまいります。
また、コンプライアンス態勢については、日本郵便株式会社と連携し部内犯罪等の防止を図り、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の高度化については、モニタリングの高度化や新システムの構築等に引き続き取り組んでまいります。
(ESG経営の推進)
中期経営計画においては、当行グループの企業価値向上と社会的課題解決の両立に向けた基本方針の一つとして、「ESG経営」を位置づけております。
ESG経営の推進にあたり、当行グループが優先的に取り組むべき課題として、「日本全国あまねく誰にでも、安心・安全な金融サービスを提供」「地域経済発展への貢献」「環境の負荷低減」「働き方改革、ガバナンス高度化の推進」の4つの重点課題を特定しております。各重点課題を、経営戦略と具体的取組みに結び付け、KPIを設定した上でESG経営を推進してまいります。
このうち「環境の負荷低減」については、CO2排出量を2030年度までに2019年度対比46%削減し、ESGテーマ型投資残高を2025年度末に2兆円程度へ拡大するKPIを設定しております。
(日本郵政グループの「お客さまの信頼回復に向けた約束」について)
2019年度に発覚したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題など金融商品販売に係る不祥事等により、日本郵政グループはお客さまからの信頼を大きく失うこととなりました。日本郵政グループとしてはお客さまから失った信頼を取り戻し、再びお客さまに安心して日本郵政グループの商品・サービスをご利用いただけるようになるためには、同様の事案を発生させないための再発防止策を徹底することはもとより、日本郵政グループが真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わることが必要と考えております。
その決意を幅広く公表するために、日本郵政グループとして、外部専門家で構成されるJP改革実行委員会の助言も受けながら、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を2020年9月に策定いたしました。
当行は日本郵政グループの一員として、一人ひとりの社員がこの約束を実践していくことで、お客さまからの信頼を回復できるよう、引き続き、一丸となって取り組んでまいります。
お客さまの信頼回復に向けた約束
「目指す姿の約束」
一人ひとりのお客さまに寄り添い、お客さまの満足と安心に最優先で取り組み、信頼していただける会社になることを約束します。
「活動の約束」
〇 お客さま本位の事業運営を徹底し、お客さまにご満足いただける丁寧な対応を行います。
〇 お客さまの声をサービス向上に反映するため、お客さまの声に誠実に耳を傾けます。
〇 社員の専門性を高め、お客さまにご納得いただけるよう正確にわかりやすく説明します。
〇 法令・ルールを遵守し、お客さまが安心してご利用いただける高品質のサービスを提供します。
〇 お客さまのニーズを踏まえ、お客さまに喜んでいただける商品・サービスを提供します。
(かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について)
日本郵便株式会社において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち、法令違反が認められた株式会社かんぽ生命保険の保険商品と当行グループの投資信託の横断的な販売への対応について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、日本郵政グループとして商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。今後も、お客さま対応が必要なものについては適切に対応してまいります。
当行グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると、当行グループが認識している重要な事項について、記載しております。
当行グループの事業、業績及び財政状態等に特に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクについては、リスクアペタイト・フレームワークの枠組みの中で取締役会及び経営会議において議論した上、影響度・蓋然性を踏まえて、トップリスクとして選定しております。選定したトップリスクへの対応は、当行の経営計画に反映し、定期的にコントロール状況等を確認した上、必要に応じて追加的な対応を行っております。
トップリスクは、以下のとおりであります。
本項において、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。また、当行グループが認識していない、又は重要性が乏しいと考えている追加的なリスク等が、当行グループの事業、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性もあります。
当行グループは、リスク管理に関する規程を定め、管理態勢を整備し、リスク管理を実施しております。また、当行グループは、経営環境、リスクの状況、今後の事業規模・範囲拡大などの想定に応じ、リスク管理態勢全般について随時見直しを行っておりますが、有効にリスク管理態勢が機能しない場合には、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、新たな投資領域を開拓するなど当行グループが有価証券等の運用業務・対象を多様化し、また、貸付け業務の範囲・規模を拡大した場合、信用・市場リスク管理態勢や不公正取引発生防止態勢等を拡充する必要がありますが、かかる業務の拡大に比してリスク管理態勢の拡充が十分になされない可能性があります。
加えて、当行グループによるリスク管理方針の実施、その遵守状況の監督は、当行グループ内部だけでなく、当行の商品・サービス(貯金・資産運用商品・為替等)を販売する日本郵便株式会社の郵便局ネットワーク全体についても行う必要がありますが、約24,000もの郵便局を有する広範な郵便局ネットワークでの実施・監督に困難又は不備が生じた場合には、当行グループによるリスク管理方針が機能せず、又は不十分となる可能性があります。これらの結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループが保有する金融資産・負債の多くは、市場の変動による価値変化等を伴うものであります。当行では、中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALM(Asset Liability Management)の枠組みの下、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行っているほか、ストレス・テストや損益シミュレーション等を実施することにより、市場リスク等を適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、大幅な市場変動等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、各国政府・中央銀行が打ち出している財政政策・金融政策等により、金融市場は落ち着きを取り戻しているものの、更なる感染の長期化・深刻化に伴う金融市場の混乱や大幅な市場変動等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行が保有する日本国債(2021年3月末日現在、50.4兆円・総資産額の22%)や外国証券(2021年3月末日現在、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)は71.1兆円・総資産額の31%)などの金融資産と、定額貯金を始めとする貯金や外貨を含む市場性調達の負債の期間や金利更改サイクル等には、差異が存在します。このため、金利(長期や短期の金利)の変動は、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2021年3月末日現在において、日本国債の一部の金利がマイナスとなる等市場金利は非常に低い水準にあり、更に、今後の金融政策の動向によりかかる金利水準が長期に亘り継続し又は低下する場合、運用収益の減少に比して、相対的に貯金の調達コストが減少しないことにより、資金粗利鞘が減少し、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
更に、市場金利の変動は、当行の債券ポートフォリオ等の価値に影響を及ぼします。例えば、国内外の景気変動、中央銀行の金融政策、日本国政府の財政運営やその信認の変化等、様々な要因により市場金利が上昇した場合、保有する債券等の価値下落によって評価損・減損損失や売却損等が生じ、その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、定額貯金(2021年3月末日現在、83.4兆円・総貯金額の44%。預入から6か月経過後は払戻し自由、3年までは6か月ごとの段階金利、それ以降は固定金利の10年満期・複利貯金)について、急激な市場金利上昇等により、事前のリスク管理の想定を超える貯金流出や預け替えが発生した場合にも、計画以上の運用原資の減少や調達コストの上昇を通じて、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行は、収益源泉・リスクの分散を目的に、運用の高度化・多様化の一環として国際分散投資を進め、外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等の外国証券の保有が増加しております。これらのうち、外貨建て資産については、為替リスクを軽減する目的から通貨スワップや為替予約等によりヘッジ取引を行っておりますが、その一部については為替リスクを軽減するヘッジを行わない、又は短期のヘッジを行うことがあります。その結果、大幅な為替相場の変動が発生した場合、ヘッジしていない部分に差損が発生し、又はヘッジコストが上昇すること等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、直接又は金銭の信託や投資信託を通じて間接的に、株式を保有することがあることから、国内外の経済状況又は市場環境の変化によって株価が変動する場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が生じ、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行では、市場流動性を確保する観点から、流動性が低い資産への投資が過大にならないよう、また、市場規模に比して過大なポジションを保有することがないよう、基準を設定することにより、市場流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、経済状況の著しい悪化や金融市場の混乱、銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が低下する場合等には、当行グループが国内外の市場で取引・決済ができなくなることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされること等により、損失を被る可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行では、安定的な資金繰りを達成するため、資金の受払いの差額について基準を設定しているほか、予期しない資金流出等に備え、流動性の高い資産の保有額に基準を設定することにより、資金流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、当行グループの業績や財政状態の悪化、風評等の発生や、予期せぬ資金流出、運用と調達の期間のミスマッチ(差異)等、また、当行グループの収益力・信用力の低下、日本国債の格下げ等の影響を受けた当行格付の引き下げにより、円貨・外貨の必要資金確保が困難になる、又は、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、損失を被る可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行では、有価証券発行体や貸出先などの債務者に対し、内部格付を付与の上、定期的にモニタリングを行うほか、個社・企業グループ及び国・地域に対するエクスポージャーの上限管理等を実施することにより、信用リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、債務者において、国内外の経済情勢(景気・信用状況等)や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、誤った経営判断、不祥事等の発生、その他不測の事態により財政状態が悪化した結果、当行グループの与信関係費用が増加又は当行グループが保有する有価証券等の価値が下落することによって評価損・減損損失や売却損等が生じ、当行グループの業績、財政状態及び自己資本の状況に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。
当行グループや当行の商品・サービスを販売・提供する日本郵便株式会社の役員・従業員が、事務に関する社内規程・手続等に定められた事務処理を怠る、あるいは事故・不正等を起こすリスクが存在します。当行グループでは、各種研修等を通じて手続等の浸透、不正の防止に努めておりますが、かかる事務リスクが顕在化した場合には、当行グループへの行政処分、訴訟提起等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当行グループの業務に関連して、顧客その他の第三者が、偽名による口座開設、当行口座の不正目的による使用、又は盗難カードを使用した犯罪行為その他の不正行為を行った場合や、当行グループの取引先が反社会的勢力と何らかの関係を有する者であった場合には、これに対応する費用の支出が発生する等、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、当行が保有する銀行業に係るシステムのほか、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険と共用しているシステムも利用して、銀行口座、資産運用等の取引・管理を行い、また、全国の郵便局ネットワークや全国銀行データ通信システム等と通信しているなど、情報通信システムは、当行グループの事業にとって極めて重要な機能を担っております。当行では、重要なシステムについては、システム監視や不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定する等して、システムの安定稼働の維持に努めておりますが、自然災害・サイバー攻撃等の外的要因に加えて、人的過失、事故、コンピュータウイルスの感染、システムの新規開発・更新における瑕疵等により、システム障害が発生する可能性があります。こうしたシステムの不具合、故障等が生じた場合に、これに対応する費用の支出の発生、業務の停止・混乱、それに伴う損害賠償、行政処分、社会的信用の毀損等が発生することにより、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、多数の個人・法人のお客さま等の情報を保有しております。顧客情報は銀行法、金融商品取引法等により適切な取扱いが求められ、特に個人情報については個人情報保護法等の下で、より厳格な管理が求められております。
当行グループでは、プライバシーポリシー等情報管理に関する規程等を整備し、厳正な情報管理に努めておりますが、機密情報や顧客情報等の重要な情報について、内部からの漏えいや、コンピュータへのサイバー攻撃等外部からの不正なアクセス等が発生する可能性があり、業務委託先を含め、仮にこのような事象が生じた場合には、これに対応する費用の支出の発生、当行グループに対する損害賠償請求、行政処分、社会的信用の毀損等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、事業の遂行に関して、訴訟等が提起されるリスクを有しております。
業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当行グループに不利な判断がなされた場合には、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループでは、各種研修等を通じて、ハラスメントを含む人権問題、人事処遇、勤務管理などの人事労務上の問題、職場の安全衛生管理上の問題等の発生の防止に努めておりますが、かかる問題が発生した場合や、これらに関連する重大な訴訟等が発生し、当行グループに不利な判断がなされた場合、当行グループの業績、社会的信用及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループでは、風説・風評が伝達される媒体を定期的に確認し、風説・風評の把握に努めるとともに、その影響度等に応じた対応によるレピュテーショナル・リスクの管理に努めておりますが、当行グループや当行グループの事業の風説・風評が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板への書込み、ソーシャル・ネットワーク・サービス等により拡散した場合、また、報道機関により憶測に基づいた報道が行われた場合には、お客さまや市場関係者等が、当行グループについて事実と異なる理解・認識をし、当行グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当行グループと競合する他の金融機関等に関する問題や不祥事の発生、批判、風評等であっても、それにより銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が下落する場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、大規模災害等に備えた事業継続計画等を整備し、危機管理態勢の強化に努めておりますが、大規模災害、パンデミックの発生(感染症の大流行)、テロリズム・武力衝突等の人的災害、電気・通信その他の社会インフラの障害や混乱等が発生した場合、当行の店舗・事務センター等といった施設・有形資産やシステム等が毀損し、又は正常な業務遂行が困難になること等により、当行グループが損失を被る可能性があります。また、かかる状況の下で当行グループの業務が円滑に機能していたとしても、かかる状況の発生による経済・社会活動の沈滞や、インフラの機能不全等の影響を受けて、当行グループが保有する金融商品に評価損・減損損失や売却損等が生じたり、当行グループの不良債権・与信関係費用が増加したりする可能性もあり、その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(新型コロナウイルス感染症に係るリスク)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、2021年5月末日現在で三度に亘って政府より緊急事態宣言が出される等、引き続き新型コロナウイルス感染症が国際社会・世界経済にとって大きな脅威となっております。当行グループでは、お客さまや社員への感染拡大防止や業務継続態勢の確保に努めておりますが、かかる対応にかかわらず、当行グループの商品・サービスの利用者が著しく減少した場合、また、当行グループ社員に感染が拡大することにより業務の継続が困難となった場合等は、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(新型コロナウイルス感染症に係る金融市場の混乱等が当行グループに及ぼすリスクについては前記「(2) 市場リスク」をご参照ください。)。
⑧ サイバー攻撃等に係るリスク
当行が保有する銀行業に係るシステムのほか、業務の遂行にあたって利用する情報通信システムは、当行グループの事業にとって極めて重要な機能を担っております。特に、近年のデジタル技術の著しい発展により、インターネットやスマートフォンを利用した取引が増加している一方、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も進んでおり、金融機関を取り巻くサイバーリスクは高まっております。当行ではこれらのサイバーリスクの低減を図るため、サイバーセキュリティに関する専門部署の設置やCISO(Chief Information Security Officer 最高情報セキュリティ責任者)を配置し、多層的な防御・検知対策の整備をしております。また、専門知識を有する人材を配置するとともに、外部専門機関との連携等を通じて新たな攻撃手口の分析や対策を行うなど、必要な対策を講じております。しかしながら、当行のサイバーセキュリティ態勢が十分に機能せず、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、コンピュータウイルス感染等の要因により、機密事項・顧客情報の漏えい・紛失、各種サービスの不正利用・不正送金や情報通信システムの障害等が発生した場合には、お客さまへの経済的・精神的損害や業務の停止及びそれに伴う損失や損害賠償の発生、行政処分や罰則、お客さま及びマーケット等からの信頼失墜等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 法令違反等に係るリスク
当行グループは、お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に取り組み、法令・諸規則等を遵守すべく、コンプライアンスやその意識の水準向上、内部牽制・内部監査・顧客保護等管理など内部管理の強化を経営上の重要課題として位置づけ、適切な指示・指導・モニタリングを行う態勢を整備するとともに、法令違反・不正行為等の防止策を講じております。しかしながら、これらが十分な効果を発揮せず、横領その他の犯罪行為、インサイダー取引規制等違反、お客さまの属性に照らし不適合な顧客説明や資産運用商品の販売等、法令・諸規則等を遵守できない等のミスコンダクトリスクが発生する可能性があります。また、これらの法令等の不遵守を、組織として迅速・適切に認識できない可能性もあります。業務委託先である日本郵便株式会社等を含め、法令違反・不正行為等に関するリスクが顕在化した場合には、当行グループへの訴訟提起、行政処分等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ マネー・ローンダリング等に係るリスク
昨今、我が国において、各種マネー・ローンダリングに係る事案、振り込め詐欺、口座の不正利用・売買、インターネットバンキングを標的とした預金等の不正な払戻し等金融機関のサービスを悪用した金融犯罪は減少の兆しを見せず、手口も年々高度化しております。当行ではこれらの防止のため、顧客管理措置、疑わしい取引の検知・届出、商品・サービスの見直し等の対策を講じておりますが、これら施策の実施にもかかわらず、マネー・ローンダリング等の不正な取引が発生した場合等には、これに対応する費用の発生、追加的な再発防止策の実行、当行グループへの行政処分、社会的信用の毀損等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 気候変動等に係るリスク
気候変動リスクとしては、温室効果ガス排出に係る規制の強化等、低炭素経済への移行に関するリスクや、気候変動に伴う洪水等の異常気象の深刻化・増加等による、物理的変化に関するリスクが挙げられます。このうち、当行グループでは、規制の強化に伴う当行グループが保有する有価証券の価値の低下や、自然災害等による当行の店舗・事務センター等といった施設・有形資産やシステムの毀損等を当行グループの主な気候変動リスクとして想定しております。
当行グループでは、気候変動への対応は、環境・社会及び企業活動にも大きな影響を及ぼす重要な課題であると認識しており、気候変動シナリオ分析の高度化等、気候変動に係るリスクの適切な管理や情報開示に取り組んでおります。しかしながら、これらが十分な効果を発揮せず、気候変動リスクが顕在化した場合には、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この他、ESGやSDGsに係る取組みへの関心が高まる中で、その取組みや開示が不十分とみなされた場合には、社会的な批判の高まり等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 事業戦略・経営計画に係るリスク
当行グループは、“信頼を深め、金融革新に挑戦”のスローガンの下、5つの重点戦略である「リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革」、「デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上」、「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」、「ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化」、「一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化」を通じて、2021年度から2025年度までを計画期間とする中期経営計画を推進しております。
しかしながら、これらに向けた当行グループの事業戦略・経営計画は、各種のリスクにより実施が困難となり、又は有効でなくなる可能性があります。また、本項に記載したリスク要因等に伴い、事業戦略・経営計画の策定時に前提とした各種の想定が想定通りとならないこと等により、当初計画した成果が得られない可能性もあります。特に、市場(金利・為替等)・経済情勢(景気・信用状況等)等が計画策定時の想定通り安定推移しなかった場合、例えば、市場金利の低下による運用利回りの減少によって計画が達成できない可能性や、海外のクレジットスプレッド拡大による当行が保有する有価証券中の投資信託の特別分配金発生によって計画が達成できない可能性、プライベートエクイティファンドの投資先の企業価値向上や資金回収のペースが想定対比で乖離することによって計画が達成できない可能性、国際分散投資等の高度化・加速を継続していく中で、適切なポートフォリオ分散を達成できない可能性、より高いリスクを有する運用資産の増加によって価格変動リスクを受けやすくなり、当行グループの事業、業績及び財政状態に及ぼす影響が大きくなる可能性があります。更に、デジタルトランスフォーメーションの推進等による、各種決済サービス及び資産形成サポートサービスの利用促進等並びに店舗改革等の業務効率化、運用・リスク管理・営業等の人材確保・育成が、想定通り進捗しなかった場合、役務取引等利益の拡大や営業経費の削減等の計画が達成できなくなる可能性があります。また、減損損失、売却損の計上等により十分な利益水準が確保できない場合や、法令によりその他有価証券の評価損が発生した際は分配可能額から控除する必要があることから、相場変動によりその他有価証券の評価損が拡大し、分配可能額を確保できない場合等には、株主還元の目標が達成できない可能性があります。更に、日本郵政株式会社は、将来的なグループ連結ベースでのIFRS適用を検討しており、将来的に当行グループもIFRSを適用する可能性があるほか、事業の内容又は経営環境の変化に対応して会計方針等の変更を行う可能性もあります。これらの結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、新たな収益機会を得るために新規業務を行おうとする場合、郵政民営化法、銀行法の規制により必要となる当局の認可等を適時に取得できない可能性があります。例えば、当行は、2012年9月3日に行った相対による法人向け貸付などを内容とする認可申請を、2017年3月31日に取り下げました。
また、認可を得て業務範囲を拡大した場合でも、当行グループが限定的な経験しか有していない業務分野に進出した場合、競争の激しい分野に進出した場合等において、業務範囲の拡大が功を奏しない、又は、当初想定した成果をもたらさない可能性があります。その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行は、郵政民営化法第98条第1項により、次に掲げる条件付きで銀行法第4条に定める銀行業の免許を受けたものとみなされております。
・郵政民営化法第110条第1項各号に掲げる業務(いわゆる新規業務。「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考) (1) 業務の制限」をご参照ください。)を行おうとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこと。
・郵政民営化法第8章第3節の規定の適用を受ける間、業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる銀行代理業者への継続的な業務の委託がされていること。
この免許につきましては、有効期間は定められておりませんが、銀行法第26条、第27条、第28条及び第41条に規定された要件に該当した場合、業務の停止又は免許の取消し等を命じられることがあります。2021年3月末日現在において、当行は、これらの要件に該当する事実はないものと認識しておりますが、将来、何らかの事由により当行がこれらの要件に該当した場合には、当行の主要な事業活動に支障をきたし、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは事業を行うにあたり、銀行法を始め税制・会計基準を含む各種法令等が適用され、銀行免許・当局の監督を受けております。また、我が国はWTO(World Trade Organization:世界貿易機関)の加盟国であり、当行グループが物品等を調達する場合にも、WTOによる政府調達ルールの遵守が求められます。各種法令等の改正や新たな法的規制等により、当行グループの競争条件が悪化したり、営業・運用等の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会の制限等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、米国の外国資産管理法による指定国等に対する経済制裁の発動・強化は、当行の国際分散投資を制約し、直接又は投資信託を通じ保有する外国証券のリスクを高める可能性があります。
また、当行は、郵政民営化法によって、他の銀行には課せられていない規制が課されております(当行に係る郵政民営化法に基づく規制は、「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考)」をご参照ください。)。例えば、当行は、他の銀行と比較して業務拡大等に係る経営の自由度が限定されており、また、銀行を当行の子会社とすることや、預入限度額を超える一顧客からの貯金受入れも、原則としてできません。郵政民営化法の規制により、当行グループの事業、成長戦略を含む事業戦略・経営計画の策定・遂行、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に将来、現行の民営化の枠組みを変更する法律が制定された場合、その内容によっては、当行グループに影響をもたらす可能性もあります。
当行グループが行う事業による収益の多くは日本国内での貯金調達や国内外での有価証券運用によって得られており、国内外の景気・信用状況や人口動態等の経済・社会情勢、金利・為替等の市場の変動・悪化が、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、消費税率の引き上げによる家計の可処分所得の低下や、少子高齢化に伴い、日本の貯蓄率・預金水準が低下し、当行の貯金残高が減少する可能性があります。また、国内外の金融市場に混乱等が生じた場合、当行グループの事業の低迷や資産内容の悪化、資金調達力・資産流動性の低下等が生じる可能性があります。このような場合、中長期的な収益の確保を目的とした運用の高度化・多様化が、目的に即した結果を生まない可能性もあります。
当行グループが行う事業は、いずれも激しい競争状況に置かれております。当行の主力事業は郵便局ネットワークをメインチャネルとするリテール・バンキング事業であるため、当行は、都市銀行のほか、地方銀行その他の金融機関と競合しております。また、当行グループが業務範囲を拡大した場合には、現時点では当行グループと競合関係にない会社との競合が新たに生じる可能性もあります。この他、近年では、国内外の各業界において統合や再編、業務提携が積極的に行われており、参入規制の緩和や業務範囲の拡大等の規制緩和も行われております。更に、テクノロジーの進化により、他業界からの新たな金融サービスの提供者の参入や顧客ニーズの多様化が進展しております。
当行グループでは、新たなテクノロジーの活用や、デジタル化の推進等によるサービスの改善・充実に努めておりますが、当行グループが競合する他の金融機関に対して優位に立てない場合や、市場構造の変化に対応できなかった場合、規制緩和や新規参入が想定以上に進んだ場合、テクノロジーの進化や顧客ニーズの多様化に対応できなかった場合は、顧客基盤の流出・弱体化、収益力の低下、既存サービス・ネットワークの陳腐化等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
日本郵政株式会社は、以下の諸点を通じ、当行の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
日本郵政株式会社は、2021年3月末日現在において、当行の発行済株式総数(自己株式を除く。)のうち約89%を保有しており、当行の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等、当行の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、日本郵政株式会社は、後記「4 経営上の重要な契約等」に記載の日本郵政グループ協定その他の契約や、日本国政府による日本郵政株式会社株式の保有等により、当行について他の一般株主と異なる利害関係を有しており、一般株主の期待と異なる議決権の行使を行う可能性があります。更に、当行以外の日本郵政グループ各社が、直接又は子会社等を通じて当行と競合し又は競合する可能性のある事業を行うなど、当行の一般株主の利益とは異なる観点で行動する可能性があります。
下表のとおり、日本郵政グループの役員等が当行の役員を兼任しております。
また、当行経営会議(「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」をご参照ください。)には、原則、日本郵政株式会社の役員は出席しないものの、会議の議題に応じて、出席が必要と当行が考える日本郵政株式会社の代表執行役に限り出席を要請することとしております。
更に、従業員についても、2021年3月末日現在、当行に、日本郵政株式会社の子会社である日本郵便株式会社からの受入出向者が約220名、当行・日本郵便株式会社に、両社職務の兼務者が約640名(当行所属従業員約260名、日本郵便株式会社所属従業員約380名)おります。この他、日本郵政株式会社等からの受入出向者は8名であります。当行は日本郵便株式会社に銀行代理業務等を委託しており、代理店の現状に精通した人材を代理店の業務指導・支援に活用し、また、代理店の要員に当行直営店業務を経験させることは、代理店の事務品質・業務知識の向上を狙いとしております。更に、当行エリア本部、日本郵便株式会社の支社の所属者を相互に兼務させ、営業施策の立案・推進管理、営業人材の育成を協働推進させることは、直営店・郵便局一体の営業力強化を企図しております。なお、これらの受入出向者・兼務者はいずれも、当行の重要な意思決定に影響を与える職位・職務には就いておりません。
日本郵政株式会社は、上記の役員兼任等を通じ、当行の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
(日本郵政グループの役員等と当行役員を兼任している者)
本有価証券報告書提出日現在
当行は、後記「4 経営上の重要な契約等」や「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載のとおり、日本郵政グループ各社と契約を締結し取引しておりますが、当該取引にあたっては、契約の締結・改定の際に、取引の目的・必要性、取引条件の適正性(銀行法に定めるアームズ・レングス・ルール)等を確認しており、日本郵政グループ内の取引を適正に管理する態勢を整備しております。加えて、当行と日本郵政グループ各社との重要な取引や、当行と当行の主要株主との非定型的な取引については、取締役会において審議の上、承認することにより、当行又は株主共同の利益を害することのないよう監視しております。
当行は、後記「4 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、グループ共通の理念・方針等のグループ運営に係る基本的事項を定め、円滑なグループ運営に資することを目的とした日本郵政グループ協定等を締結しております。これらの協定等に基づき、当行は一定の重要事項につき日本郵政株式会社と事前協議等を行うこととされ、また日本郵政株式会社から「ゆうちょ」等の商標の使用を許諾されるとともに、日本郵政株式会社に対し、日本郵政グループに属することによる利益の対価として、別途合意した算定方法に従いブランド価値使用料を支払っております。これらの協定等は後記「4 経営上の重要な契約等」に記載の要件が満たされ解除されない限り、原則として存続するため、当行は当該解除までの間、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合にかかわらず、一定の重要事項につき日本郵政株式会社と事前協議等を行う義務や、日本郵政株式会社に対してブランド価値使用料を支払う義務等を負います。
また、後記「4 経営上の重要な契約等」に記載の要件が満たされ、これらの協定等の終了又は見直しにより現在の条件での商標の使用が継続できなくなった場合や、重大な経済情勢の変化等が生じたと判断してブランド価値使用料の算定方法が変更された場合等には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
日本郵政株式会社は、上記①のとおり、2021年3月末日現在において、当行の発行済株式総数(自己株式を除く。)のうち約89%を保有しておりますが、郵政民営化法は、日本郵政株式会社が保有する当行株式は、その全部を処分することを目指し、当行の経営状況及びユニバーサルサービスの提供への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとしております。また、2018年12月26日に郵政民営化委員会により提出された「郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見」において、将来の通常貯金の預入限度額の見直しについては、日本郵政株式会社が保有する当行株式を3分の2未満となるまで売却することを条件にすると、記載されております。今後の株式売却の時期・規模等は未確定ですが、日本郵政株式会社は、前記「第1 企業の概況 2 沿革」に記載のとおり、同社の金融2社株式保有割合を、中期経営計画期間中(2021年度~2025年度)のできる限り早期に50%以下とすることを目指す方針を発表しており、将来、当行株式の追加的な売却が行われ、又はかかる売却により市場で流通する当行の株式数が増え需給が悪化するとの認識が市場で広まった場合には、当行株式の流動性・株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本郵政グループ協定等は、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合にかかわらず、後記「4 経営上の重要な契約等」に記載の要件が満たされ解除されない限り、原則として存続しますが、日本郵政株式会社が当行の株式を更に売却し、当行又は株式会社かんぽ生命保険が日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合、これらの協定等の多くは見直すこととされているため、当行にとって不利な条件に変更される等の場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
一方、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合は、郵政民営化法による他の銀行には課せられていない規制(「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考)」をご参照ください。)が緩和される要件の一つであるため、日本郵政株式会社による当行株式の追加処分が行われない場合、当該緩和が、期待通りに進まず、当行の経営の自由度の拡大が実現しない可能性があります。
当行は、日本国政府から何らの明示又は黙示の保証その他の信用補完を受けておりません。しかし、日本郵政株式会社による当行株式の処分や、日本国政府による日本郵政株式会社株式の処分の進捗に伴い、当行と日本国政府との関係の希薄化により、当行の経済的信用力が低下したとの誤認や錯誤が伝播した場合等には、貯金等の減少、取引条件や人材の採用・定着への影響等を通じ、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行は、後記「4 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、銀行代理業務の委託契約等に基づき日本郵便株式会社に銀行代理業務等を委託しております。2021年3月末日現在、当行の店舗23,815のうち23,581が代理店(郵便局)となっており、貯金残高の約9割が代理店で開設された口座への預入による等、当行の事業は代理店である日本郵便株式会社の郵便局ネットワークによる営業に大きく依拠しております。
従って、コミュニケーション手段の多様化、競合するネットワークやサービスの利便性向上等により、当行の代理店である郵便局の利用者数や利用頻度が減少したり、代理店で取り扱う当行の商品・サービスの種類や代理店数が減少した場合、当行代理店業務に従事する従業員の確保やその教育が十分でない場合、郵便局で取り扱う競合商品との競争が激化する場合、日本郵便株式会社が人材等のリソースを当行の商品・サービス以外に優先的に配分する場合等においては、当行の貯金等や新商品等の販売が伸びず、その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
株式会社かんぽ生命保険及び日本郵便株式会社におけるお客さまのご意向に沿わず不利益が生じた保険契約乗換等に係る事案に関し、日本郵政グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの大きく低下した信頼の回復は未だ途上にあり、日本郵政グループとして、外部専門家で構成されたJP改革実行委員会のモニタリングを受けながら、お客さまからの信頼回復に向けた改善策を実行してまいりました。
また、日本郵便株式会社において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち、法令違反が認められた株式会社かんぽ生命保険の保険商品と当行グループの投資信託の横断的な販売について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、日本郵政グループとして商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。
しかしながら、かかる取組みが功を奏しない場合や、今後も法令違反等の不適切な事案が発生する等の場合には、日本郵政グループへの信頼の喪失等により、日本郵便株式会社が取り扱う当行グループの金融商品の販売が回復しない可能性があります。結果的に、当行が委託している投資信託の販売等に影響し、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2021年4月6日に公表した長崎県内の郵便局における長期・高額な現金詐取事案を含め、郵便局において部内犯罪が増加している事態を受け、日本郵便株式会社及び日本郵政株式会社と連携し、発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、不祥事件の撲滅に向けてコンプライアンスの徹底・強化に取り組んでおります。しかしながら、今後も法令違反等の不適正な事案が発覚する等の場合には、日本郵政グループの社会的信用に影響を与える可能性があり、今後、当行の金融商品の販売が低迷し、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当行は、上記の銀行代理業務の委託契約等に基づき、日本郵便株式会社の郵便局を商品・サービスの販売・提供のメインチャネルとし、相当額の委託手数料を日本郵便株式会社に対して支払っております(「4 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)が、当該委託手数料の算定方法その他の条件が当行と日本郵便株式会社との間の合意により見直されたり、当該契約等が解除され代替委託先等を適時に確保できない場合、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、上記(10)①のとおり、日本郵便株式会社が当行との間で締結している銀行代理業務の委託契約等は、当行の主要な事業活動の前提となっております。当該契約は期限の定めのない契約ですが、解除に係る協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。2021年3月末日現在において、日本郵便株式会社から当該契約等の見直しや解除の申入れ等、契約の存続に支障を来す要因は発生しておりませんが、当該要因が発生した場合には、当行の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当行は、後記「4 経営上の重要な契約等 (1) 銀行窓口業務契約」に記載のとおり、日本郵便株式会社との間で銀行窓口業務契約を締結しており、同社は全国の郵便局で、当行の基本的な商品・サービスを、日本郵便株式会社法に基づくいわゆるユニバーサルサービス提供に係る法的責務の履行として提供しております。当行は、法令上この責務を直接負わないものの、郵便局で使用するATM・窓口端末機など銀行委託業務に係るITシステムの導入・運行コストとともに(なお、当該ITシステムは当行が所有。)、同業務に従事する日本郵便株式会社の従業員の指導・教育等を通じ、ユニバーサルサービス提供に係る一定のコストを負担しております。
その結果、より収益性の高い業務や地域への経営資源配分が制約されること等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、銀行窓口業務契約は、期限の定めがなく、また、本契約に定める特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り、解除できないものと定めております。また、当行の定款には、日本郵便株式会社と銀行窓口業務契約を締結する旨規定しているため、当該契約を終了させる場合には、定款の変更を要します。従って、当行が銀行窓口業務契約を終了させるためには、これらの手続等を充足させる必要があります。
一方、本契約が終了した場合にも、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました(下記「(参考) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要」をご参照ください。)。これによって、2019年度から当行と日本郵便株式会社との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。下記のとおり、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)から日本郵便株式会社に交付される交付金の原資となる拠出金は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構に関する省令に基づき、人件費、賃借料、工事費等の郵便局ネットワークの維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)から算出されており、郵政管理・支援機構が年度毎に算定しております。そのため、当行直営店での業務コストの増減にかかわらず、拠出金と委託手数料の合計額が将来的に増加する可能性があります。また、今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(参考) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要
2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これにより、2019年4月1日に独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の名称が「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に変更され、また、郵政管理・支援機構の目的として、「郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金を交付することにより、郵政事業に係る基本的な役務の提供の確保を図り、もって利用者の利便の確保及び国民生活の安定に寄与すること」が追加されました。
郵便局ネットワーク維持に要する費用は、従来、日本郵便株式会社と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われておりましたが、当該費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、本法に基づき、2019年度から、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われております。
当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用の算定方法は、直近の郵便局ネットワークの維持の状況を基礎とした次の費用の合計額です。
ア あまねく全国において郵便局でユニバーサルサービスが利用できるようにすることを確保するものとなるように郵便局ネットワークを最小限度の規模の郵便局により構成するものとした場合における人件費、賃借料、工事費その他の郵便局の維持に要する費用、現金の輸送及び管理に要する費用、並びに固定資産税及び事業所税
イ 簡易郵便局で郵政事業に係る基本的な役務が利用できるようにすることを確保するための最小限度の委託に要する費用
当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用及び交付金・拠出金の算定等に係る郵政管理・支援機構の事務経費は、郵便窓口業務、銀行窓口業務又は保険窓口業務において見込まれる利用者による郵便局ネットワークの利用の度合等に応じて按分され、銀行窓口業務に係る按分額を当行が拠出金として拠出しており、拠出金の額は郵政管理・支援機構が年度毎に算定し、総務大臣の認可を受けております。なお、2021年度に当行が支払う拠出金の額は2,370億円です。
また、2019年度から、郵便局ネットワークの維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われているため、当行が業務委託契約等に基づいて日本郵便株式会社に支払っている委託手数料についても見直しを行っております(「4 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)。
当行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に基づき、自己資本比率の規制比率(4%以上)を維持する必要があります。2021年3月末日現在、当行の連結自己資本比率は15.53%となっており、規制比率に比べ高い水準を確保しておりますが、運用の高度化・多様化により、自己資本比率が低下傾向にあることに加え、業績・財政状態や運用ポートフォリオの変動、比率の算出方法、バーゼル銀行監督委員会の議論(信用リスクの標準的手法の見直し等)の結果を受けた規制の新設・変更等により、当行の自己資本比率が低下したり、新たな規制等への対応が必要となる可能性があります。当行の自己資本比率等が規制比率を満たさない場合には、当局から業務の縮小・停止等の行政上の措置が課されること等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当行は、金利リスク状況のモニタリングの一環として、当局による「主要行等向けの総合的な監督指針(以下「監督指針」)」において定められた重要性テストの過程で用いられる手法に基づき、金利変動による資産・負債の経済価値の減少額(以下「ΔEVE」)を計測しております。2021年3月末日現在、当行のΔEVEの最大値は重要性テストにおける評価基準である自己資本の額の20%を超えております。ΔEVEで計測した金利リスクに対し、自己資本の余裕を十分に確保しているものと認識しておりますが、金融庁から深度ある対話を行う必要が認められる銀行と判断される場合には、対話を通じて共有された課題認識に基づき、原因への対応も含めて必要な改善対応を求められる可能性があります。
重要性テストの適用については、監督指針において、「ゆうちょ銀行は、法令上、一部の資産について国債等の安全資産の保有が義務付けられているため、(重要性テストに該当する場合の)監督上の対応をするにあたっては、当該特殊事情を適切に勘案することとする。」とされております。
また、国際的な金融規制の流れを考慮し、内部管理として、国際統一基準行目線での管理も行っております。
② LIBOR等の指標金利に関するリスク
当行は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の指標金利を参照する金融商品を保有しており、更に当該指標金利は、当行内における金融商品の評価等においても利用されております。
2014年7月に、金融安定理事会が、金利指標の改革及び代替金利指標としてリスク・フリー・レートの構築を提言し、また、2017年7月には、LIBORを規制する英国の金融行動監視機構(FCA)長官が、2021年末以降はLIBOR公表継続のためにパネル銀行にレート呈示を強制する権限を行使しない旨表明しており、2021年末以降のLIBORの公表には不確実性があるとされていましたが、2021年3月5日、LIBOR運営機関(IBA)が、米ドルの一部テナーを除き、2021年12月末をもってLIBORの公表を停止する旨を公表しました(米ドルの一部テナーは、2023年6月末まで公表継続)。
当行では、LIBOR公表停止に向けて、代替金利指標への移行に対する対応を進めておりますが、後継指標に関する市場慣行、導入時期等、未だ決定されていない事項が多く、参照金利や評価方法の変更等により、指標金利を参照する当行の金融資産につき損失が発生し、また、システム開発が必要になること等に伴う費用の増加等の要因により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 財務報告に係る内部統制に関するリスク
当行グループは、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書の提出及び監査人による監査を受けることが義務付けられております。
当行グループは、財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制の評価及び報告に関する規程等を制定し、財務報告に係る内部統制について必要な体制を整備しております。また、評価の過程で発見された問題点等は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、財務報告に係る内部統制が有効でない場合には、当行グループの財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
本書には、日本の会計基準によらず外部監査を受けていない管理会計等に基づく数値・分析等が、含まれております。当行は、これらについても内部管理の体制を整備しておりますが、有効でない場合には、数値等の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる等の場合、退職給付費用及び債務が増加又は追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、安定した事務遂行と高い専門性を必要とする業務を行っており、営業・運用・ALM・リスク管理・IT・財務・コンプライアンス等の分野において有能で熟練した人材が必要とされます。そのため、専門人材の採用や、各種研修等を通じて人材育成を行っておりますが、当行グループは、他の金融機関等と競争状況に置かれているため、有能な人材を採用し定着・育成することができなかった場合には、事業の競争力、業務運営の効率性等が損なわれ、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば上記分野等の要員に係る採用、報酬等の処遇、育成に注力しても、十分なスキルを持った従業員を育成・定着させることができない可能性や、経営幹部を採用・定着させられない可能性があり、これらの場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、業務の提携、運用・事務・システム開発等の外部委託等を行っております。当行グループが期待していたとおりの成果や利益を達成できない場合や、業務提携先や当行グループの関係会社・日本郵政グループ各社を含む委託先等で、業務遂行の問題が生じ商品・サービスの提供等に支障をきたしたり、お客さまの情報等の重要な情報漏えい等の違法行為が発生した場合、また、提携・委託等が解消され適切な代替委託先等を適時に確保できない場合等において、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、国内の銀行、証券会社、保険会社等の金融機関と取引を行っておりますが、取引先や他の金融機関の業績や財政状態の悪化により信用力等に問題が生じた場合、当行グループが当該金融機関との取引で損失を被ったり、政府が当該金融機関の資本増強や収益回復等のために規制・資金調達・税務等に係る救済措置を講じ、預金保険料等が増加したり、競争上の不利益を被ること等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。当行の連結財務諸表と個別財務諸表の差は僅少であるため、経営成績及び財政状態の状況に関する分析・検討内容の一部については、当行単体のものを記載しております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当行グループは、銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当行グループは、低金利環境の長期化などの厳しい経営環境において、2018年度から2020年度を計画期間とする中期経営計画で当行グループの目指す姿として掲げた「お客さま本位の良質な金融サービスの提供」、「運用の高度化・多様化」、「地域への資金の循環等」及び「経営管理態勢の強化」に取り組み、この実現に向けた基盤固めを進めました。
(お客さま本位の良質な金融サービスの提供)
○キャッシュレス決済サービスにおける不正利用等に関する各種対応状況
当行グループの即時振替サービスやmijica(Visaデビット・プリペイドカード)において、悪意の第三者による不正利用等が発生し、お客さまに多大なるご迷惑をおかけしました。
この対応として、2020年9月初旬以降順次不正利用が発生したサービスを停止し、被害に遭われたお客さまに対する補償を行いました。また、当行の代表執行役社長が直接指揮する「セキュリティ総点検タスクフォース」を立ち上げ、当行グループのキャッシュレス決済サービスのセキュリティの堅牢性やお客さまの利用状況のモニタリング態勢等の再確認を行いました。
その後、即時振替サービスについては、セキュリティ態勢等の確認ができた事業者から、2021年1月以降順次サービスを再開しております。mijicaについては、2022年春の新たなブランドデビットカードへの移行に向けて準備を進めております。
更に、不正利用等への対応を巡るガバナンス上の課題についても、当行の監査委員会及び日本郵政グループ4社が設置した、外部専門家を委員とする「JP改革実行委員会」からの提言などを踏まえ、改善に向けた取組みを進めてきました。
当行グループは、キャッシュレス決済サービスを経営上の重要施策と考えており、今般の経験と反省を踏まえ、お客さまにより安全・安心にサービスをご利用いただけるよう、一層のセキュリティ強化に取り組むとともに、リスク感度の向上を図りお客さま本位の業務運営に努めてまいります。
○デジタル化等によるサービスの高度化、業務の効率化
フィンテック(金融とITの融合)に代表される新たなテクノロジーの活用や、お客さまの利便性を一層高めるような金融チャネルの高度化・充実を通じて、いつでもどこでも使える「新しいべんり」の提供に努めました。
具体的には、スマートフォンを使っていつでも現在高や入出金明細を確認できる「ゆうちょ通帳アプリ」について、多くの方々にご利用いただけるように、プッシュ通知機能の追加や普及促進に取り組みました。スマートフォン決済サービス「ゆうちょPay」については、利用できる店舗の拡大を進めるとともに、ゆうちょPay等の当行グループのキャッシュレス決済サービスを郵便局でご利用いただいたお客さまを対象とする「郵便局キャッシュレス決済キャンペーン」等の施策を実施しました。
あわせて、事業所向けWebセミナー等を通じて、お客さまからの要望が多い機能を備えたインターネットバンキングサービス「ゆうちょBizダイレクト」への法人のお客さまの移行推奨に注力しました。
また、2020年10月にコールセンターにAIシステムを導入し、同年11月にホームページ上のチャットボットで対応可能な回答範囲を拡大するなど、デジタル技術を活用したお客さま対応の品質や運営効率の向上に取り組みました。
更に、幅広い世代のお客さまニーズに応えるために、「フラット35」の直接取扱や「口座貸越サービス」等の新たなサービスの開始に向けて、2020年12月に金融庁及び総務省に認可を申請し、2021年4月に認可を取得しました(2021年5月サービス開始)。
このほか、2021年3月には、民間発行型のデジタル通貨実現のための取組み及びプラットフォーム開発に参画することを展望し、「株式会社ディーカレット」に出資しました。
○お客さまの資産形成への貢献
お客さま本位の業務運営の一層の浸透を図る視点から、お客さまニーズに応じたコンサルティングの充実に努めました。
具体的には、商品の内容等を分かりやすくまとめたお客さま向け販売ツールの整備、お客さまの資産形成のご相談に応じる社員の育成とアフターフォローの充実、ご高齢のお客さまへのサービス強化に向けた「シニアライフアドバイザー(注1)」の試験的な配置等に取り組みました。
また、営業目標・人事評価体系についても、「営業の品質」及び「お客さま視点」を一層意識した体系に見直しを行いました。
更に、2019年5月に大和証券グループとの間で協業の検討に合意した「投資一任サービス」について、サービスの開始に向けた準備を進めました。このほか、ご高齢者向けの新サービスとして「相続・信託サービス」の検討に着手しました。
(注) 1.高齢のお客さまへのアフターフォローを専門的に行う社員
(運用の高度化・多様化)
○運用の高度化・多様化
新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う市場の混乱は落ち着きを取り戻しつつあるものの、先行き不透明な状況が継続し、国内の低金利環境など、厳しい運用環境の中、リスク・リターンやクレジットクオリティ(投資先の信用力等)を意識しつつ、リスク性資産残高を2021年3月末時点で91.1兆円まで拡大しました。リスク性資産のうち、戦略投資領域への投資については、優良な案件への選別的な投資に努め、残高を4.2兆円まで積み上げました。
○財務健全性の確保
運用の高度化・多様化を推進していく中にあっても、財務健全性の観点から必要十分な自己資本比率を確保しています。また、「リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)」を活用し、当行グループが取得する適切なリスクの種類や水準を明確にした上で、安定的な収益と財務健全性のバランスに配慮した投資方針を決定しました。
(地域への資金の循環等)
○地域活性化への貢献
お客さまからお預かりした大切な資金を地域に循環し、地域経済の活性化に貢献するために、地域金融機関との連携を通じて、2016年度から地域活性化ファンドへの参加を積極的に推し進めています。2020年度も事業承継や起業・創業支援、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている企業への支援等を目的として、新たに4件(累計32件)の地域活性化ファンドに参加しました。また、2021年1月には、長期的視点に立って地方創生に向けた取組みを行う投資・事業経営会社「株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)」に出資しました。
更に、2019年10月から開始している税公金の取りまとめ事務の共同化については、2021年3月から京都信用金庫・尼崎信用金庫とも開始するなど、地域金融機関との連携強化に取り組みました。
(経営管理態勢の強化)
○お客さま本位の業務運営
キャッシュレス決済サービスにおける不正利用事案では、当行の監査委員会より、当該事案に係るガバナンスの構築・運用状況の検証が行われ、改善に向けた提言が報告されました。また、「JP改革実行委員会」からも、当行のガバナンス等に係る検証結果が公表され、ガバナンス強化に向けた改善案が提言されました。こうした提言を踏まえ、2021年1月に「お客さまサービス統括部」を、2021年3月には「キャッシュレス被害相談デスク」を設置するなど、お客さまからの苦情や相談対応について受付から解決まで一元的に管理する態勢を整備しました。また、新商品や新サービスの導入時や導入後の継続的なセキュリティ検証態勢を強化するため、2021年4月に「リスク管理委員会」の下部組織として「新商品・サービス検討小委員会(営業/事務)」や「システムリスク小委員会」を設置することを決定しました。
更に、2020年2月に設置した代表執行役社長が委員長を務める「サービス向上委員会」を中心に、お客さま本位の業務運営の強化に全社一体となって取り組みました。具体的には、お客さまの声に接する全国の店舗等の社員と経営とのコミュニケーション強化を図るために、社長による「トップメッセージ動画」を定期的に全社員向けに配信したほか、社長直通の意見箱を全社員がアクセスできる社内イントラネット上に設置するなど、組織風土・文化改革に取り組みました。
○リスクガバナンスの強化
当行グループでは、リスクガバナンスの中核となる「リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)」を導入しており、RAFの枠組みに基づき、リスクアペタイト方針(注2)・指標(注3)、トップリスクの選定・管理を継続的に行うことで、経営管理態勢の強化を図りました。
また、「サービス向上委員会」や「コンプライアンス委員会」など、経営会議の諮問機関である専門委員会の連携強化等を通じて、縦割り組織からの脱却を図り、横断的なリスクガバナンスの向上に努めました。
(注) 2.会社全体としてどのようなリスクを取って収益を獲得するか(リスクアペタイト)に関する基本方針
3.リスクアペタイト方針に基づいた、収益性と財務健全性等の両立を図るための目標指標
○サイバー攻撃への態勢強化
複雑・巧妙化するサイバー攻撃への対応として、不正なアクセスの監視や被害防止に向けたサイバーセキュリティ態勢の強化に努めております。特に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けたサイバー攻撃の脅威の高まりへの備えを強化したほか、キャッシュレス決済サービス不正利用事案を踏まえた対策に取り組みました。
○コンプライアンス態勢の強化
日本郵政グループ一体となって信頼回復に向けた業務運営を進めている最中、2021年4月6日に公表した、長崎県内の郵便局における長期・高額な現金詐取事案を含め、部内犯罪が増加している事態を深刻に受けとめています。いずれの事案についても、被害に遭われたお客さまに対する補償を行うとともに、日本郵便株式会社と連携し、発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、不祥事件の撲滅に向けてコンプライアンスの徹底・強化に取り組んでいます。
このほか、資産運用商品については、適正な販売に努めるとともに、内部通報窓口の改善に取り組みました。
また、国際的な責務であるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止対策については、商品・サービスの見直し、モニタリングの高度化や新システム構築に向けた準備など態勢強化に取り組みました。
○人事戦略
女性管理社員比率の上昇、キャリアチャレンジ(社内公募)の導入等によるキャリア形成支援、“イクボス(注4)”の養成や、新型コロナウイルス感染拡大を契機としたテレワークやWeb会議環境の整備、フレックスタイム制の推進など、社員の多様性に対応した働きやすい職場環境作りに加え、生産性の向上等により、ダイバーシティ・マネジメントを推進しました。
また、トランザクション業務(窓口等における定型業務)を効率化する一方、運用の高度化・多様化、サイバー・デジタル等の強化・成長分野への人材確保・育成を推進しました。
(注) 4.職場で共に働く仲間のワーク・ライフ・バランスを考え、部下のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司
○ESG(環境、社会、ガバナンス)
当行グループでは、ESG・CSRの推進を経営上の最重要施策の1つとして位置づけております。2020年度においては、国際目標であるSDGs等を踏まえ、「お客さま・マーケット」「地域社会」「社員(ダイバーシティ・マネジメント)」「環境」の4つをテーマとして設定し、ESGの取組みを推進しました。
具体的な取組み例としては、2020年4月にESG室を新設、従来の「CSR委員会」を「ESG・CSR委員会」(経営企画部所管)に改組することでESG推進態勢を整備しました。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく気候変動リスクのシナリオ分析の着手、ESG投資方針の改正等の取組みを実施しました。
当連結会計年度の連結粗利益は、前連結会計年度比51億円増加の1兆3,191億円となりました。このうち、資金利益は、低金利環境の継続など厳しい経営環境下、有価証券利息が減少し、前連結会計年度比146億円の減少となりました。役務取引等利益は、投資信託関連手数料の減少を主因に、前連結会計年度比9億円の減少となりました。その他業務利益は、外貨調達コストの低下もあり、前連結会計年度比206億円の増加となりました。
経費は、物件費の削減を主因に、前連結会計年度比100億円減少の1兆114億円となりました。
連結業務純益は、前連結会計年度比151億円増加の3,076億円となりました。
経常利益は、前連結会計年度比150億円増加の3,942億円となりました。通期業績予想の経常利益3,750億円に対し、達成率は105.1%となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、2,801億円と前連結会計年度比66億円の増益となり、通期業績予想の親会社株主に帰属する当期純利益2,700億円に対する達成率は103.7%となりました。
なお、「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(注) 1.連結業務純益=連結粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、連結損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております(非支配株主に帰属する当期純損失を除く。)。
① 損益の概要(単体)
当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比48億円増加の1兆3,190億円となりました。このうち、資金利益は、低金利環境の継続など厳しい経営環境下、有価証券利息が減少し、前事業年度比149億円の減少となりました。役務取引等利益は、投資信託関連手数料の減少を主因に、前事業年度比9億円の減少となりました。その他業務利益は、外貨調達コストの低下もあり、前事業年度比207億円の増加となりました。
経費は、物件費の削減を主因に、前事業年度比100億円減少の1兆101億円となりました。
業務純益は、前事業年度比149億円増加の3,088億円となりました。
経常利益は、前事業年度比152億円増加の3,943億円となりました。
この結果、当期純利益は2,798億円、前事業年度比67億円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(参考) 与信関係費用
(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。
2.金額が損失又は費用には△を付しております。
② 国内・国際別の資金利益等(単体)
当行は、銀行業の単一セグメントであり、海外店や海外に本店を有する子会社(以下「海外子会社」)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当事業年度は、国内業務部門においては、国債利息の減少を主因に資金利益は4,556億円に減少、役務取引等利益は1,278億円、その他業務利益は△413億円となりました。
国際業務部門においては、外貨調達コストの低下等により、資金調達費用が減少し、資金利益は5,061億円、役務取引等利益は0億円、その他業務利益は2,705億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は9,618億円、役務取引等利益は1,279億円、その他業務利益は2,292億円となりました。
イ.国内業務部門
ロ.国際業務部門
ハ.合計
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度5,441百万円、当事業年度4,760百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
③ 国内・国際別資金運用/調達の状況(単体)
当事業年度の資金運用勘定の平均残高は210兆4,304億円、利回りは0.56%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は203兆6,928億円、利回りは0.11%となりました。
国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は204兆9,282億円、利回りは0.25%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は197兆7,831億円、利回りは0.03%となりました。
国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は67兆1,005億円、利回りは1.11%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は67兆5,080億円、利回りは0.36%となりました。
イ.国内業務部門
(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。
2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,483,454百万円、当事業年度3,107,611百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,483,454百万円、当事業年度3,107,611百万円)及び利息(前事業年度1,744百万円、当事業年度1,147百万円)を控除しております。
3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
ロ.国際業務部門
(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
2.当行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度646,071百万円、当事業年度994,585百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度646,071百万円、当事業年度994,585百万円)及び利息(前事業年度3,696百万円、当事業年度3,613百万円)を控除しております。
ハ.合計
(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度3,129,526百万円、当事業年度4,102,197百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度3,129,526百万円、当事業年度4,102,197百万円)及び利息(前事業年度5,441百万円、当事業年度4,760百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
④ 役務取引等利益の状況(単体)
当事業年度の役務取引等利益は、電信振替の料金改定等により、為替・決済関連手数料が増加したものの、投資信託関連手数料が減少し、前事業年度比9億円減少の1,279億円となりました。
当連結会計年度末における総資産は、有価証券で保有する投資信託及び預け金等の増加を主因に、前連結会計年度末比12兆9,597億円増加の223兆8,706億円となりました。主要勘定については、有価証券は前連結会計年度末比2兆9,996億円増加の138兆2,042億円、貸出金は前連結会計年度末比2,700億円減少の4兆6,917億円となりました。貯金残高は、通常貯金等の残高増加を主因に、前連結会計年度末比6兆5,865億円増加の189兆5,885億円となりました。
株主資本が前連結会計年度末比1,866億円増加、その他の包括利益累計額が前連結会計年度末比2兆1,901億円増加し、純資産は11兆3,948億円となりました。株主資本のうち、利益剰余金は2兆7,502億円となりました。
① 預金残高の状況(単体)
当事業年度末の貯金残高は、通常貯金等の残高増加を主因に、前事業年度末比6兆5,887億円増加の189兆5,934億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
○ 預金の種類別残高(平残・構成比)
(注) 1.「通常貯金等」=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は郵政管理・支援機構からの預り金のうち、同機構が日本郵政公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
4. 上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考) (2) 預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。
② 資産運用の状況(末残・構成比) (単体)
当事業年度末の運用資産のうち、国債は50.4兆円、その他の証券は71.1兆円となりました。
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
③ 評価損益の状況(末残)(単体)
当事業年度末の評価損益(その他目的)は、ヘッジ考慮後で3兆488億円(税効果前)となりました。
(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。
④ 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)(単体)
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.当行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末439,734百万円、当事業年度末340,563百万円であります。
(参考) リスク管理債権(末残)(単体)
キャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比6兆4,952億円増加の9兆4,312億円、投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比1兆5,393億円増加の△2,479億円、財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比1,031億円増加の△791億円となりました。その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比9兆1,042億円増加の60兆7,044億円となりました。
当面の設備投資及び株主還元などは自己資金で賄う予定であります。
また、当行グループは、正確な資金繰りの把握及び資金繰りの安定に努めるとともに、適切なリスク管理態勢の構築を図っております。有価証券等の運用については、大部分をお客さまからお預かりした貯金にて調達するとともに、必要に応じて外貨建てを中心に、売現先取引や債券貸借取引等による資金調達を行っております。
(参考) ポートフォリオの状況
1.ポートフォリオの概要

当行は、ALM(資産・負債の総合管理)の枠組みとして7つのポートフォリオを設け、当行の内部規程に基づく管理会計により管理しております。上図は、その概要をイメージ図として重要性の観点から簡略化して記載しております。(なお、ALMとは、有価証券等の資産や貯金等の負債の金利・期間を把握し、将来の金利変動等を予測した上で、市場・信用・流動性等のリスクを管理しつつ、収益の確保を図る管理手法です。)
① 円金利ポートフォリオ(日本国債ポートフォリオを含む。)
主に円金利リスクを取得・管理するポートフォリオです。日本国債、政府保証債、短期運用資産等の運用サイドに加え、調達サイド(貯金等)も含めて、円金利リスクを管理します。
② 日本国債ポートフォリオ
円金利ポートフォリオの内、運用サイド(短期運用資産等を除く。)を特に日本国債ポートフォリオと呼びます。
③ クレジット・ポートフォリオ
主に信用リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には国内外の地方債、社債等が含まれます。
④ 外国国債ポートフォリオ
主に外貨金利リスク、為替変動リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には、外国国債等が含まれます。
⑤ 株式ポートフォリオ
主に株価変動リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には株式及び株式関連デリバティブ等が含まれます。
⑥ オルタナティブ・ポートフォリオ
主にオルタナティブ資産に係るリスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産にはプライベートエクイティファンド、不動産ファンド等が含まれます。
⑦ ファイナンス・ポートフォリオ
主に貸付に係る信用リスクを取得・管理するポートフォリオで、地方公共団体向け貸付(郵政管理・支援機構向け貸出金を含む。)、法人向け貸付、地域活性化ファンド等への投資を実施します。
ポートフォリオ間の内部資金取引には、市場金利等をベースにした仕切りレートを、トランスファー・プライス(以下「TP」)として設定しております。
≪ポートフォリオ別資産の概要、期末残高≫ (単位:億円)
(注) 1.円金利ポートフォリオから調達サイド(貯金等)を除いたものとなります。
2.クレジット・ポートフォリオ、外国国債ポートフォリオ、株式ポートフォリオ、オルタナティブ・ポートフォリオ、ファイナンス・ポートフォリオの合計となります。
3.戦略投資領域は、オルタナティブ資産(プライベートエクイティファンド、不動産ファンド(エクイティ)等)、不動産ファンド(デット)、ダイレクトレンディングファンド、インフラデットファンド等であります。
2.ポートフォリオ別平残・損益の概要
(単位:平残/兆円、損益/億円)
(注) ポートフォリオ別平残は、期首残高と期末残高の平均であります。
ポートフォリオ別損益は、以下により算出しており、各ポートフォリオの損益の合計は当行の経常利益に概ね一致します。
損益=資金収支等(資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む))+役務取引等収支(役務取引等収益-役務取引等費用)-経費(損益計算書上の営業経費に相当)
資金収支等は、社外との実際の取引、社内の内部取引(TPを設定)を、各ポートフォリオに帰属させ、その収益・費用を計上しております。例えば、円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)には、貯金で調達した資金を同期間の国債で運用した利鞘等を、リスク性資産には、国債レート(TP)の社内取引で調達した資金を同期間の社債等で運用した利鞘(信用スプレッド)等を、計上しております。
役務取引等に係る収益・費用は、大部分が為替・決済業務や投資信託販売手数料などサービス・商品販売に係る手数料とその費用であり、主に円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)に計上しております。
経費は、以下により各ポートフォリオに帰属させていますが、そのほとんどは円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)に計上しております。
① 各ポートフォリオに直接帰属させることが可能な経費
ア 特定のポートフォリオと関係の深い部署の経費は、当該ポートフォリオに賦課
イ 複数のポートフォリオと関係の深い部署の経費は、業務に従事する社員数等に応じて各ポートフォリオに配賦
② 各ポートフォリオに直接帰属させることができない経費
各ポートフォリオの業務に従事する社員数に応じて配賦
以上により算出したポートフォリオ別損益を概観しますと、国債等の歴史的な低金利の継続を反映して、円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)がALM部署から受取るTP収益が低下する一方、貯金調達レートの低下余地は限定的で、当行全体の経費のほとんどが賦課されることから、円金利ポートフォリオの損益は赤字となっております。しかし、国内金利が平常化していく局面では、基本的には収益の回復が期待されます(詳細は、「2 事業等のリスク (2) 市場リスク ① 金利リスク」をご参照ください。)。一方、外国証券等に運用を拡大・多様化してきたリスク性資産の収益は増加してきており、歴史的低金利の下で、ポートフォリオ全体の収益確保に貢献しております。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
単体自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
(1) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
(2) 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
(3) 要管理債権
要管理債権とは、3カ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
(4) 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(1)から(3)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
当行が連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、次のとおりであります。
有価証券の時価評価
当行及び連結子会社における時価で測定される有価証券の残高は多額であり、連結財務諸表に対する影響が大きいため、有価証券の時価は会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。
債券については、取引所の価格、日本証券業協会が公表する店頭売買参考統計値、比準価格方式により算定された価額又はブローカー等から提示された価格、投資信託の受益証券については基準価額を時価としております。比準価格方式により算定された価額又はブローカー等から提示された価格における主要な仮定は、時価評価において用いられているインプットであり、イールドカーブ、類似銘柄の価格から推計されるスプレッド等の市場で直接又は間接的に観察可能なインプットのほか、重要な見積りを含む市場で観察できないインプットが使用されている場合もあります。
当行の経営者は、有価証券の時価評価に用いた会計上の見積りの仮定は合理的であると判断しております。ただし、市場環境の変化等により主要な仮定であるインプットが変化することで、有価証券の時価が増減する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴い金融市場が混乱する場合、有価証券の時価評価における主要な仮定に影響が及び、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。
日本郵便株式会社は、日本郵便株式会社法により、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金・債権債務の決済の役務、簡易に利用できる生命保険の役務を、利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国で公平に利用できるようにするユニバーサルサービス義務を、日本郵政株式会社とともに負っています。このうち簡易な貯蓄、送金・債権債務の決済の役務の業務を、銀行代理業として提供するために、日本郵便株式会社は、当行との間で銀行窓口業務契約を締結しており(日本郵便株式会社法第2条第2項、同法第4条第1項、同法第5条)、当行定款にもこの旨規定しております。
銀行窓口業務契約では、日本郵便株式会社が、当行を関連銀行として、ユニバーサルサービス(通常貯金、定額貯金、定期貯金、普通為替、定額小為替、通常払込み、電信振替)の銀行窓口業務を営むこととしております。
なお、本契約は、銀行窓口業務の健全・適切な運営確保の観点から特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り解除できないものと定めております。
当行は、上記(1)の銀行窓口業務契約で定めたユニバーサルサービスに関する業務を含め、貯金の受払いや国債・投資信託の募集の取扱等の業務を委託するため、日本郵便株式会社との間で銀行代理業に係る業務の委託契約、金融商品仲介業に係る業務の委託契約を締結しております。
なお、本契約は、解除協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。また、銀行窓口業務に該当する業務については、銀行窓口業務契約に定めがある場合を除くほか、銀行代理業に係る業務の委託契約の定めるところによるものとしております。
当行は、日本郵便株式会社との間で、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)より受託した郵便貯金管理業務の一部について、日本郵便株式会社が郵便貯金管理業務を営むこととする再委託契約を締結しております。本契約は、以下(5)の契約と同様、解除協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。
当行は、日本郵便株式会社との間で、上記(1)~(3)に係る業務の対価としての委託手数料の算定方法等を定めた支払要領を締結し、日本郵便株式会社に対して委託手数料を支払っております。
2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。郵便局ネットワークの維持に要する費用は、従来、日本郵便株式会社と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われておりましたが、当該費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、本法に基づき、2019年度から、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として、郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われております。
これに伴い、日本郵便株式会社への委託業務に係る費用は、これまでの委託手数料から、交付金・拠出金と新たな委託手数料で賄うように見直しております。
具体的には、2019年度以降の委託手数料については、従来の算定方法を変更し、以下の算定方法により支払っております。
(基本委託手数料)
委託手数料は、「基本委託手数料(貯金、投資信託、送金決済等の事務に対する手数料)」と「営業・事務報奨」から構成されております。
基本委託手数料は、当行の管理会計により毎年算出した単位業務コストをベースに、日本郵便株式会社での取扱実績等に基づき、委託業務コストに見合う額を算出し、その前年度からの増減率を、前年度の基本委託手数料に乗じて算出しております。
なお、基本委託手数料は、「貯金や投資信託等の預かり資産に係る事務等」、「送金決済その他役務の提供事務等」毎に毎年、料率・単価を設定し、下表の式により支払っております。
(注) 「平均総預かり資産残高」とは、貯金平均残高と投資信託平均残高の合計値です。また、「平均総預かり資産残高」及び「取扱件数」は、日本郵便株式会社の月次の取扱実績によるものであります。なお、本要領は、上記(1)~(3)の契約すべてを解除するまで、効力を有するものと定めております。
2019年度の基本委託手数料は、前年度の基本委託手数料が算定方法を変更する前であり、乗じる対象がないため、委託業務コストに見合う額から交付金で賄われる部分を除いて算出しております。
(営業・事務報奨)
営業目標達成や事務品質向上を確保するため、成果に見合った「営業・事務報奨」を支払っております。
(参考:2018年度までの算定方法)
当行の管理会計により毎年算出した単位業務コストに日本郵便株式会社での取扱実績を乗じて委託業務コストに見合う額を算出し、その中から、郵便局ネットワークの確保のために、郵便局維持に係るコスト(日本郵便株式会社の管理会計による当行委託業務配賦分)を「窓口基本手数料」としておりました。また、残額について、「貯金の預払事務等」、「送金決済その他役務の提供事務等」、「資産運用商品の販売事務等」毎に毎年、料率・単価を算出し、下表の式により支払うこととしておりました。
併せて、営業目標達成や事務品質向上を確保するため、成果に見合った「営業・事務報奨」を支払うこととしておりました。
(注) 「平均貯金残高」「取扱件数」「販売額」「平均投信残高」は、日本郵便株式会社の月次の取扱実績によるものであります。
(参考:委託手数料・拠出金の推移) (単位:百万円)
(注) 1.独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法に基づき、2019年度から、日本郵便株式会社への交付金の原資となる拠出金を、郵政管理・支援機構に拠出しております。
2.2020年度の委託手数料(3,663億円)の内訳は、総預かり資産1,779億円、送金等1,489億円、営業・事務報奨395億円であります。
当行は、郵政管理・支援機構との間で郵政管理・支援機構の業務である郵便貯金管理業務(日本郵政公社から承継した郵便貯金の管理に関する業務等)の一部(払戻し、利息支払い等)について、業務委託契約を締結し委託を受けております。
また、当行は、郵政管理・支援機構との間で郵便貯金資産(郵便貯金管理業務の経理を区分する郵便貯金勘定に属する資産)の運用のための貯金(特別貯金)に関する契約を締結しております。本契約は、当行の国債等の安全資産保有額が特別貯金の合計額を下回ってはならないこと、また、特別貯金残高を基準として定める額以上の国債・地方債等を担保として郵政管理・支援機構に提供することを定めております。
なお、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法上、郵便貯金管理業務委託契約の変更又は解除には、総務大臣の認可が必要とされております。
(6) 郵政管理・支援機構の借入金に関する契約(2007年9月12日締結)(期間の定めのない契約)
郵便貯金の預金者・地方公共団体に対し郵政管理・支援機構が保有する貸付債権のバックファイナンスとして、当行は、郵政管理・支援機構との間でその総額に相当する額について、当行からの借入金として郵政管理・支援機構が債務を負うものとする契約を締結しております。
当行は、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険との間で、日本郵政グループ各社の相互の連携・協力、シナジー効果の発揮が、グループ各社、ひいては日本郵政グループ全体の価値を向上させることに鑑み、グループ共通の理念・方針等のグループ運営に係る基本的事項を定め、円滑なグループ運営に資することを目的とした日本郵政グループ協定を締結しております。
この協定を受け、当行は、日本郵政株式会社との間で、日本郵政グループ運営に関する契約等を締結し、グループ運営の重要事項を、同社との事前協議事項(経営理念・経営方針、中期経営計画・年度事業計画の策定・変更等)、同社への報告事項(月次の貸借対照表・損益計算書等)としておりますが、同社は当行の意思決定を妨げ又は拘束しない旨、明定しております。更に、上記協定では、当行を含む同社の事業子会社は、日本郵政グループに属する利益を活用し、自主的・自律的な経営を行う旨、また、この旨を踏まえた上で、同社と日本郵便株式会社が、郵政民営化法第7条の2が規定する基本的な役務(いわゆるユニバーサルサービス)を確保するに当たり、グループとしての総合力を発揮できるよう相互に連携する旨、定めております。
これらの協定・契約等は、当行又は株式会社かんぽ生命保険のいずれかが、それぞれ上記(1)の銀行窓口業務契約又は日本郵便株式会社法第2条第3項に定める保険窓口業務契約を解除するまで存続する旨、また、両社のいずれかが日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合には、必要な見直しを行う旨、定めております。
当行は、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険との間で、日本郵政グループのブランド価値の維持・向上を目的とした商標管理協定、日本郵政株式会社との間で商標管理契約を締結しております。
これらの協定・契約に基づき、当行は日本郵政株式会社が一元的に管理(商標権の取得等)する「ゆうちょ」等の商標の使用を許諾されており、本協定・契約は、上記(7)の日本郵政グループ協定が存続する間存続し、同協定を見直した場合は必要な見直しをする旨、定めております。
上記(7)の契約に基づき、当行は、日本郵政株式会社に対し2015年度から、日本郵政グループに属することによる利益の対価として、ブランド価値使用料を支払っており、本覚書は当該使用料の算定方法等を定めております。
ブランド価値使用料は、「ゆうちょ」等の商標使用料を含んでおり、他の企業グループでの例も参考に、当行が日本郵政グループのブランド力から利益を受ける代表的な業績指標に、当行と日本郵政株式会社が協議し合意した料率を乗じて、各事業年度の支払い総額を算出しております。具体的には、前事業年度の平均貯金残高に0.0023%を乗じた額としております。
上記の算定方法は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り、変更しないものとしております。
(参考:ブランド価値使用料の推移) (単位:百万円)
該当事項はありません。