以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当行グループは、お客さまの声を明日への羅針盤とする「最も身近で信頼される銀行」を目指してまいります。
「信 頼」:法令等を遵守し、お客さまを始め、市場、株主、社員との信頼、社会への貢献を大切にします。
「変 革」:お客さまの声・環境の変化に応じ、経営・業務の変革に真摯に取り組んでいきます。
「効 率」:お客さま志向の商品・サービスを追求し、スピードと効率性の向上に努めます。
「専門性」:お客さまの期待に応えるサービスを目指し、不断に専門性の向上を図ります。
(2) 経営環境
当連結会計年度の経済情勢を顧みますと、世界経済は、地域によりばらつきがみられました。米国では、経済がプラス成長を維持する中、インフレ率の低下に伴い、連邦準備制度理事会は2024年9月、11月及び12月に利下げを実施しました。一方、ユーロ圏経済は、欧州中央銀行が2024年6月以降6回の利下げを行いましたが、大きな回復は見られず、低調に推移しました。日本経済は、賃金が上昇し、内需の持ち直しもあり、底堅く推移しました。円安トレンドが継続し、物価上昇が続く中、日本銀行は2024年7月及び2025年1月に利上げを行いました。
金融資本市場では、米国の長期市場金利は、インフレ率低下の傾向を受け、低下基調で推移しておりました。大統領選挙の結果などを受け、一旦上昇する局面もあったものの、米国の関税政策による景気悪化への懸念等から期末にかけて大きく低下しました。また、日本の長期市場金利は、インフレ見通しもあり上昇基調で推移し、一時1.6%近傍まで上昇しました。
ドル円相場は、2024年4月初めの151円台後半から、期末時点で149円台と大きく水準は変わらなかったものの、同年7月上旬には161円台後半まで円安が進行し、その後の為替介入を契機に140円台まで円高進行するなど、年度を通しては大きな変動が見られました。
S&P500種指数は、2024年8月に生じた景気悪化懸念により一旦下落したものの、その後の米国企業の好調な決算発表や新政権への政策期待等もあって上昇基調で推移し、2025年2月には史上最高値を更新しました。しかしその後は、米国の関税政策などによる景気悪化への懸念から大幅に下落しました。
日経平均株価は、日本企業の好調な決算発表から2024年7月には42,000円台まで上昇し、史上最高値を更新しましたが、米国株式と同様に、一時31,000円台まで急落しました。その後は40,000円程度まで持ち直したものの、米国の関税政策等を巡る不透明感が強まる中、軟調な米国株式とともに下落に転じました。
当行グループを取り巻く経営環境については、日本銀行による金融政策転換を受け、国内長期金利は上昇傾向にあり、今後も上昇基調が継続した場合には、日本国債等の新規投資利回りの向上等による収益改善が見込まれます。また、インフレ鎮静化を受けた米欧中央銀行の金融政策転換を背景に、海外短期金利が低下し、外貨調達コストが減少傾向となりました。
しかしながら、米国政権の経済政策の動向等を始め、現下の金融経済環境は引き続き不透明な状況にあることから、ダウンサイドリスクには注意が必要であると認識しており、当行グループとしては適切なリスク管理の下、安定的な収益の確保に努めてまいります。
(3) 経営戦略、対処すべき課題等
当行グループを取り巻く経営環境は、各国中央銀行の金融政策転換、人口動態の変化、生成AIの浸透を始めとする社会のデジタル化進展等、大きく変化しております。特に、米新政権による関税政策等により、金融市場の混乱や世界的な景気後退リスクへの懸念が高まっています。
中期経営計画(2021年度~2025年度)の最終年度にあたる2025年度は、こうした環境変化に機動的に対応しつつ、「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「Σ(シグマ)ビジネス(投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネス)」という当行グループ独自の強みを活かした3つのビジネス戦略の推進及びそれらを支える経営基盤の強化を一層加速させ、企業価値向上を追求するとともに、次期中期経営計画に向けた道筋を描く年度といたします。
(事業戦略)
○3つのビジネス戦略
「リテールビジネス」については、お客さま本位の営業活動の徹底を前提に、お客さま基盤の維持・深耕を最重要課題と捉え、リアルチャネルとデジタルチャネルの相互補完戦略の加速を通じ、お客さまとの繋がりを長く継続させるための各種取組みを推進します。具体的には、「ゆうちょ通帳アプリ(以下「通帳アプリ」)」を中核とした次期中期経営計画以降のデジタルサービス展開を見据え、郵便局ネットワークも活用しつつ、通帳アプリの更なる利用拡大を追求します。更に、デジタル技術を活用した業務改革を進め、資産運用商品販売体制や各種事務手続きの一層の高度化を図ることで、利便性を向上しつつ、お客さまの資産形成サポートの推進や、業務量の削減による生産性向上に努めます。
「マーケットビジネス」については、国内金利の上昇トレンドを捉え、預け金等から日本国債への投資シフトを引き続き推進します。また、リスク性資産については、円金利資産の収益見通しやリスクアセットへの影響等に配意した投資を行い、リスク管理を深化しつつ、円金利資産とリスク性資産を組み合わせた最適な運用ポートフォリオを追求します。
「Σビジネス」については、子会社のゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社に加え、その他の共同事業者と立ち上げる投資ビークルを通じた投資業務に関し、より一層投資の質を重視した取組みを推進するほか、地域特性等を踏まえたソーシング手法の確立や、マーケティング支援業務の改善・見直し等に取り組みます。地域企業の成長支援、地域社会の課題解決を通じて、より一層、地域経済の発展と地方創生の実現に貢献するとともに、将来的にサステナブルな収益基盤の構築を目指してまいります。
○経営基盤の強化
3つのビジネス戦略を推進するため、引き続き経営基盤の強化に努めてまいります。
競争力・価値創造の源泉である人財を最重要資本の1つと捉え、戦略的人財配置やエンゲージメント向上に資する施策等、「成長を促す」、「能力を引き出す」、「多様性を活かす」という3つの柱を軸とした人事戦略を遂行することで、変化を捉え自ら志高く学びながら金融革新に挑戦する人財を育成してまいります。
また、郵便局において発生した、お客さまの事前同意を取得しないまま貯金等における非公開金融情報を用いて保険募集や投資信託・国債の募集を目的とした来局誘致等を行った事案を受けて、当行グループの銀行業務委託先である日本郵便株式会社への管理・監督体制強化を含め、日本郵政グループの総力をあげて、個人情報管理体制の強化を含む再発防止策に取り組むとともに、部内犯罪の防止等、内部管理態勢の更なる強化を図ってまいります。
加えて、お客さまや社員の声を新規サービスの検討や業務改善等に活かすスキームを通じて、お客さま本位の業務運営及び組織風土改革を推進してまいります。
(財務目標・資本政策等)
財務目標については、引き続き、収益性指標として連結当期純利益(当行帰属分)・ROE(株主資本ベース)、効率性指標としてOHR(金銭の信託運用損益等を含むベース)(注1)・営業経費(2020年度対比)、健全性指標として自己資本比率(国内基準)・CET1(普通株式等Tier1)比率(国際統一基準)(注2)を設定しています。金融ユニバーサルサービスを提供する責務を果たしながら、中期経営計画で定めた財務目標の達成に向けた取組みを推進し、資本コストや資本収益性を意識した経営に努めます。
資本政策は、株主還元・財務健全性・成長投資のバランスを意識した運営に引き続き努めてまいります。特に株主還元については、経営における最重要課題の一つと認識しており、中期経営計画期間中は、基本的な考え方として、配当性向は50%程度とする方針です。ただし、配当の安定性・継続性等を踏まえ、配当性向50~60%程度の範囲を目安とすることとしております。なお、自己株式の取得は、市場環境、業績や内部留保の状況、成長投資の機会、日本郵政グループの当行株式保有方針等を踏まえて検討してまいります。
そのほか、株主のみなさまの日頃からのご支援に感謝するとともに、当行株式への投資魅力を高め、より多くの方々に当行株式を保有していただくことを目的として、株主優待制度を実施しております。
(注) 1.Over Head Ratioの略。銀行業務の効率性を示す指標の一つで、一般的には、経費の業務粗利益に対する比率のこと。当行は相応の規模で金銭の信託を活用した有価証券運用等を行っていることを踏まえ、金銭の信託に係る運用損益等も分母に含めたOHRを指標として設定。経費÷(資金収支等+役務取引等利益)で算出。資金収支等とは、資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む。)
2.その他有価証券評価益除くベース。2028年度末のバーゼルⅢ規制最終化(完全適用)を踏まえ、2025年度末以降は、完全適用ベースでの確保を目標とする
以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
当行グループは、直営店や全国の郵便局ネットワーク、ATM等の金融インフラを基盤に全国で事業を展開しており、その活動は社会課題の解決に寄与するものと強く認識しております。
当行グループは中期経営計画において、パーパス、経営理念、ミッションを明確化し、その達成に向けた3つのビジネス戦略を通じた取組みを通じて、中長期的に環境、社会、ガバナンスに係る社会課題解決(社会的価値創出)と企業価値向上を両立し、サステナブルな(持続性のある)経営の実現を目指す「サステナビリティ経営」に取り組んでおります。
サステナビリティ経営の根幹にあるのは、「当行グループが事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、様々なステークホルダーへ価値を提供することが、当行グループの企業価値向上に結びつく」という「価値創造の循環」の考え方であります。
中期経営計画においては、社会課題のうち、当行グループが特に注力すべき重点課題(マテリアリティ)を4つ設定しました。「日本全国あまねく誰にでも『安心・安全』な金融サービスを提供」、「地域経済発展への貢献」、「環境の負荷低減」、「多様な人財の活躍、ガバナンス高度化の推進」の4つであります。これらは「お客さまと社員の幸せを目指し、社会と地域の発展に貢献する」ことをパーパスとし、「最も身近で信頼される銀行」を目指す当行グループが、お客さま、地域社会、環境、社員などのステークホルダーに価値を提供する過程において、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当行グループの事業活動によるインパクト」の観点から、特に重視すべき社会課題として抽出・整理したものであります。
4つの重点課題(マテリアリティ)については、各々リスクと機会を整理の上、リスクの最小化と機会の最大化を図るため、経営戦略と連動した具体的な取組みを策定し、進捗をマネジメントするための指標・目標として目標KPIを設定しております(目標KPIについては、後記「(6) 指標と目標」をご参照ください。)。また、それぞれの進捗を評価・管理するためのガバナンス、リスク管理についても社内体制を整備しております。
パーパスや経営理念に立ち返って重点課題(マテリアリティ)を特定したことにより、社会・地域と共存して成長することの重要性を全社員が認識し、その解決に向け取り組んでおります。
<4つの重点課題(マテリアリティ)>
当行グループは、経営会議や取締役会での議論を経て、サステナビリティを推進するための基本的な方針を定めた「サステナビリティ基本方針」を制定しております。同方針においては、サステナビリティを「中長期的に持続可能な社会的価値創出と企業価値向上の両立」と定義し、サステナビリティ推進を経営上の最重要施策と位置づけております。また、「ゆうちょ銀行環境方針」、「ゆうちょ銀行人権方針」等も制定し、環境や人権に配慮した事業活動に取り組んでおります。なお、同方針は国際的な外部基準等を踏まえて2025年4月に改定しており、今後も継続的な同方針の見直しを通じ事業活動の改善を図ってまいります。
(a) 監督体制
当行は、経営の意思決定の迅速化・透明性向上のため、指名委員会等設置会社の制度を採用しております。
また、当行の取締役会は、員数の過半数は独立役員により構成されるものとしており、豊富な経験・見識を有する多様な取締役により構成しております。本有価証券報告書提出日現在14名の取締役のうち9名は独立社外取締役で、5名が女性であります。
取締役会は「サステナビリティ推進状況の監督」を行う立場として、執行側から付議・報告される取組状況について、適時・適切に対応を行っております。
(b) 執行体制
当行コーポレートスタッフ部門経営企画部サステナビリティ推進室において、サステナビリティに関する企画調整及び各業務所管部の推進状況確認を行う等、サステナビリティに関する活動を統括しております。同室は、サステナビリティに関する活動計画等に基づき、施策の推進状況を把握・分析し、要改善点があれば関係部署と調整し、必要な改善等を行っております。
サステナビリティ推進への取組事項については、経営会議の諮問機関として設置しているサステナビリティ委員会において協議等を行うとともに、代表執行役社長を議長とする経営会議で付議・議論した上で、取締役会に適時・適切に付議・報告しております。

なお、当行のコーポレート・ガバナンスの概要については、
サステナビリティ推進に向けた取組みについて、社員一人ひとりが自らの業務に当てはめて理解し、主体的に実践することを目指し、経営幹部向け研修、社員向け研修(eラーニング、情報紙発行等)等、各種研修を実施しております。
当行グループは、4つの重点課題(マテリアリティ)を経営戦略と連動させるサステナビリティ経営により、事業活動を通じて社会課題の解決を図る取組みを進めております。
重点課題(マテリアリティ)のうち、「日本全国あまねく誰にでも『安心・安全』な金融サービスを提供」及び「地域経済発展への貢献」への取組みについては、
当行グループは、環境・社会及び企業活動にも大きな影響を及ぼす気候変動等への対応を経営上の重要課題の一つと認識し、2019年4月にTCFD提言(注1)への賛同を表明しました。以降、ペーパーレス化推進等を含めた各種取組みを経営戦略に組み込み、パリ協定の目標に整合的となるよう対応の高度化を進めております。
気候変動を始めとする環境課題に対しては、環境に配慮した事業活動に努めるため、「ゆうちょ銀行環境方針」を制定しております。また、パリ協定の目標に沿い、2050年までに自社及び投融資ポートフォリオのGHG(温室効果ガス)排出量のネットゼロ達成を目指す「ゆうちょ銀行 GHG排出量ネットゼロ宣言」を2022年3月に公表、2023年3月に脱炭素に向けたロードマップを公開しております。自社排出量・投融資ポートフォリオ排出量の削減に向けた取組みのほか、脱炭素を後押しするファイナンスとして、ESGテーマ型投融資(注2)の推進や、石炭火力発電所の建設を使途とするプロジェクトファイナンスについては残高ゼロを継続することを掲げております。また、各種目標の引き上げ・新規設定等により、定期的にロードマップの見直しをしております(目標KPIについては、後記「(6) 指標と目標」をご参照ください。)。
更に、TCFD提言の内容を踏まえ、気候変動関連のリスクと機会の特定や、気候変動関連のリスクが、経営戦略や投融資ポートフォリオ等に及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析、炭素関連資産に対する貸出エクスポージャーのモニタリング等を実施しており、気候変動関連のリスクと機会が事業に与える実際の影響と潜在的な影響について分析・開示しております。特に、物理的リスク(当行グループが全国に設置・保有しているATM・窓口端末機等の設備への影響)及び移行リスク(法規制等による投資先企業の炭素コスト増加が投資先企業の収益に与える影響)について、定性・定量的なシナリオ分析を実施・開示しております。
また、気候変動や生物多様性等の環境問題、人権侵害等の社会問題に適切に対応するために、「ESG投融資方針」を制定し、投融資先の環境や社会への配慮状況を確認するとともに、グリーンボンド/ローンへの投融資等、ESGテーマ型投融資の推進を通じて、社会全体のGHG排出量削減の取組みを後押ししております(目標KPIについては、後記「(6) 指標と目標」をご参照ください。)。同方針については、機関投資家として気候変動に対する社会的責任を果たすため、内容の更なる充実を検討してまいります。
(注) 1.気候変動に関する企業情報開示の充実を目的とする国際的な提言
2.ESG債(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド、トランジションボンド等)、再生可能エネルギーセクター向け与信、地域活性化ファンド等
<脱炭素へのロードマップ>

当行グループは、競争力・価値創造の「源泉」かつ「財産」である人財を最重要資本の一つと捉え、パーパス・経営理念・ミッションと連動した人的資本強化に対する取組みを行っております。具体的には、「人事戦略の基本的考え方」を定め、「成長を促す」×「能力を引き出す」×「多様性を活かす」という3つの柱の掛け算を通じて、当行グループを多様な人財が活躍する「いきいき・わくわく」に満ちた会社にすることを目指しております(目標KPIについては、後記「(6) 指標と目標」をご参照ください。)。

当行グループは、中期経営計画のスローガンである「信頼を深め、金融革新に挑戦」というチャレンジ精神を醸成するために、社員一人ひとりの自律的な成長の促進に取り組んでおります。具体的には、①キャリアデザイン研修の実施やキャリアデザインガイドブックの策定等による「キャリア開拓意欲の醸成」、②キャリアチャレンジ制度を通じた「キャリア選択機会の提供」、③DX(注3)研修や他企業への派遣等の専門知識の向上に係る「学習機会の提供」により、キャリア形成支援や専門性向上等に取り組んでおります。

また、中期経営計画に掲げる3つのビジネス戦略を強力に推進するため、外部人財の積極的採用、社内人財の育成に注力しております。
「リテールビジネス」の推進に向けては、リアルとデジタルの融合や新たなビジネスの創出等の実現に向け、デジタルリテラシー、DXの基本知識の習得から始まり、データ分析、デジタル思考などレベルに応じた研修等を通じたDX人財の育成に注力しております。
「マーケットビジネス」の推進に向けては、2016年4月からプロフェッショナル職制度を導入・適用し、多様な経歴・スキルを有する人財を採用・確保するとともに、そのノウハウを蓄積・継承・深化させることで、社内人財の育成に努め、プロフェッショナル職への内部登用者数も年々増やしております。その他にも、2024年10月から市場運用リスク管理・ALMの分野において、高度専門管理職制度を導入し、特に高度かつ専門的な知識を有する人財の拡大に努めております。
「Σビジネス」の推進に向けては、研修やキャリアチャレンジ制度を通じた社内での育成に加え、協業企業等(GP(注4)等)へ出向者を派遣し、新たな知見や実務経験を得ることで、当該ビジネスの中核を担う人財の育成に力を入れて取り組んでおります。
(注) 3.デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略。デジタル技術を活用し、ビジネスや生活を変革する取組み
4.General Partnerの略。案件選定、投資判断等を行うファンドの運営主体
当行グループは、社員が培った知識・経験を最大限発揮するためには、社員一人ひとりが自分らしく健康でいきいきと働くことができる仕組みや環境の整備が必要不可欠であると考えております。そのために、①人財ポートフォリオの可視化による「適所適財の人財配置の取組み」、②テレワーク環境の拡充、フルフレックスの導入等による「柔軟な働き方の取組み」、③生活習慣病の予防・改善に向けた保健指導、メンタルヘルスケア等の健康保持・増進施策の充実を通じた「健康経営の取組み」、④各種研修による社員の人権意識の醸成、社内外の相談窓口設置等による「ハラスメント根絶の取組み」等に注力しております。
加えて、社員一人ひとりの意識と組織の抱える課題を測定・把握するため、エンゲージメント調査を実施し、改善取組みにつなげることで、社員の働きがい・やりがいの向上に取り組んでおります。更に、iDeCo、従業員持株会、財形貯蓄等の福利厚生制度の充実と浸透に加え、資産形成セミナーの開催等を通じて価値創造の担い手である社員自身の資産形成支援に向けたファイナンシャル・ウェルネスの向上にも取り組んでおります。
当行グループは、お客さまを始めとする様々なステークホルダーのニーズに対応するため、多様性に富んだ人財確保が不可欠と考えております。社員一人ひとりの多様な価値観を尊重し、組織の力とする文化を構築することを目指し、ダイバーシティ・マネジメントを推進しております。
具体的には、「女性活躍」、「男女育児休業取得」、「障がい者雇用」に関する目標KPIを設定して取組みを強化しております。加えて、同性パートナーであっても、扶養手当や介護休業等の適用及び社宅への入居等ができる制度を整備する等、「性の多様性への対応」も進めております。
また、社員の4割強を女性社員が占める当行において、「女性活躍」の一層の推進は、経営やサービスに多様な視点を取り入れる観点から、極めて重要な課題と捉えております。そのため、2026年4月までに女性管理者数比率20%達成の目標を掲げ、①上司・社内の意識改革、②女性リーダーの育成、③活躍支援・環境整備に取り組んでおります。

当行グループは、財務健全性を維持しつつ、安定的かつ中長期的な収益を確保するため、リスクアペタイト・フレームワークを導入しております(
4つの重点課題(マテリアリティ)については、進捗をマネジメントするための指標・目標として、中期経営計画において以下のとおり目標KPIを設定しております。
(注) 1.GHG排出量削減目標を除き2025年度の目標を記載しております。
2.女性管理者数比率は2026年4月の目標、障がい者雇用率は2025年6月の目標であります。また、2024年度の男性の育児休業取得率は100%であります。
3.男女の賃金の差異についての状況等は、
4. 指標・目標設定については当行グループに属するすべての会社では行われていないため、当行グループにおける記載が困難であります。このため、目標及び進捗状況は、連結グループにおける主要な事業を営む当行のものを記載しております。
当行グループの事業、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると、当行グループが認識している重要な事項について、記載しております。
当行グループの事業、業績及び財政状態等に特に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクについては、リスクアペタイト・フレームワークの枠組みの中で取締役会及び経営会議において議論した上、影響度・蓋然性を踏まえて、トップリスクとして選定しております。選定したトップリスクへの対応は、当行の経営計画に反映し、定期的にコントロール状況等を確認した上、必要に応じて追加的な対応を行っております。
トップリスクは、以下のとおりであります。
当行グループの事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクを踏まえ、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。もっとも、当行グループの事業等のリスクはこれらトップリスクに限定されるものではなく、それ以外においても、投資家の投資判断上、特に重要であると考えられる事項は、投資家に対する情報開示の観点から、以下に記載しております。なお、当行グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。しかしながら、これらの対応が十分に成果を上げない場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態等に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本項において、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。また、当行グループが認識していない、又は重要性が乏しいと考えている追加的なリスク等が、当行グループの事業、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性もあります。
当行グループは、リスク管理に関する規程を定め、管理態勢を整備し、リスク管理を実施しております。また、当行グループは、経営環境、リスクの状況、今後の事業規模・範囲拡大などの想定に応じ、リスク管理態勢全般について随時見直しを行っておりますが、有効にリスク管理態勢が機能しない場合には、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、新たな投資領域を開拓するなど当行グループが有価証券等の運用業務・対象を多様化し、また、貸付け業務の範囲・規模を拡大した場合、信用・市場リスク管理態勢や不公正取引発生防止態勢等を拡充する必要がありますが、かかる業務の拡大に比してリスク管理態勢の拡充が十分になされない可能性があります。
加えて、当行グループによるリスク管理方針の実施、その遵守状況の監督は、当行グループ内部だけでなく、当行の商品・サービス(貯金・資産運用商品・為替等)を販売する日本郵便株式会社の郵便局ネットワーク全体についても行う必要がありますが、約24,000もの郵便局を有する広範な郵便局ネットワークでの実施・監督に困難又は不備が生じた場合には、当行グループによるリスク管理方針が機能せず、又は不十分となる可能性があります。これらの結果、郵便局ネットワークが利用できなくなる場合には、当行の事業の存続に重大な悪影響を及ぼす可能性があるとともに、郵便局ネットワークの信頼性や効率性が損なわれる場合には、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループが保有する金融資産・負債の多くは、市場の変動による価値変化等を伴うものであります。当行では、中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALM(Asset Liability Management)の枠組みの下、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行っているほか、ストレス・テストや損益シミュレーション等を実施することにより、市場リスク等を適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、大幅な市場変動等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。
特に、これまでは、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締めを受け、国内外の金利差の拡大、これに伴う外貨調達コスト増加の影響が顕在化しておりました。足許では、米欧中央銀行は政策金利を引き下げる一方、日本銀行は政策金利を引き上げるなど、各国中央銀行の金融政策が転換局面を迎える中、国内外の金利差の拡大傾向は落ち着きつつありますが、今後の金融政策の動向等によって、国内外の金利差が再び拡大した場合は、外貨調達コストの増加を通じて、当行グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。加えて、国内外の景気変動、今後の各国中央銀行の金融政策の動向、米国政権の経済政策の動向、ウクライナ及び中東情勢の悪化等に伴い、市場の大幅な変動や金融市場の混乱等が生じた場合には、当行グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当行が保有する日本国債(2025年3月末日現在、40.3兆円・総資産額の17%)や外国証券(2025年3月末日現在、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)は87.4兆円・総資産額の37%)などの金融資産と、定額貯金を始めとする貯金や外貨を含む市場性調達の負債の期間や金利更改サイクル等には、差異が存在します。このため、金利(長期や短期の金利)の変動は、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の金融政策の動向により、金利が低下する場合、運用収益の減少に比して、相対的に貯金の調達コストが減少しないことにより、資金粗利鞘が減少し、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、これまでは、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締めを受け、国内外の金利差の拡大、これに伴う外貨調達コスト増加の影響が顕在化しておりました。足許では、米欧中央銀行は政策金利を引き下げる一方、日本銀行は政策金利を引き上げるなど、各国中央銀行の金融政策が転換局面を迎える中、国内外の金利差の拡大傾向は落ち着きつつありますが、今後の金融政策の動向等によって、国内外の金利差が再び拡大した場合は、外貨調達コストの増加を通じて、当行グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当行は、日本銀行による政策金利引き上げ等の金融政策変更に伴う国内金利の上昇に対応して、預け金等から日本国債への新規投資の拡大による「円金利ポートフォリオの再構築」を実施しておりますが、国内金利の上昇が当行の予測を下回る場合において日本国債への新規投資を実施するときには、資金収支等が当行の予測を下回ったり、他のより利回りの高い商品への投資の機会を失う可能性があります。
また、市場金利及びクレジットスプレッドの変動は、当行の債券ポートフォリオ等の価値に影響を及ぼします。足許においては、日本銀行による政策金利引き上げ等の金融政策変更に伴う国内金利の上昇により、当行グループの保有する債券等の価値が下落しております。加えて、国内外の景気変動、今後の各国中央銀行の金融政策動向、日本国政府の財政運営やその信認の変化、米国政権の経済政策の動向等、様々な要因により市場金利が上昇(クレジットスプレッドが拡大)した場合、保有する債券等の価値下落によって評価損・減損損失、売却損や当行が保有する有価証券中の投資信託において収益認識できない特別分配金の発生等が生じる可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この他、貯金について、急激な市場金利上昇等に伴う貯金金利引き上げや、定額貯金(預入から6か月経過後は払戻し自由、3年までは6か月ごとの段階金利、それ以降は固定金利の10年満期・複利貯金)への預け替え等が発生した場合にも、調達コスト等の上昇等を通じて、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、市場金利上昇等に伴う他行の預金金利引き上げ等により、急激な貯金流出が発生した場合にも、運用資産への新規投資額の減少等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行は、収益源泉・リスクの分散を目的に、運用の高度化・多様化の一環として国際分散投資を進め、外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等の外国証券の保有が増加しております。これらのうち、外貨建て資産については、為替リスクを軽減する目的から通貨スワップや為替予約等によりヘッジ取引を行っておりますが、その一部については為替リスクを軽減するヘッジを行わない、又は短期のヘッジを行うことがあります。今後の為替変動については、米国や日本など各国の中央銀行の金融政策や各国の景気動向等によるため正確な予測は困難ですが、大幅な為替相場の変動が発生した場合、非ヘッジ部分に係る差損が発生し、又は通貨ベーシスの拡大が発生した場合、外貨調達コストが増加すること等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、直接又は金銭の信託や投資信託を通じて間接的に、株式を保有しており、国内外の経済状況又は市場環境の変化や地政学的な緊張・対立の影響によって株価が変動する場合には、これら保有株式に評価損・減損損失や売却損等が生じ、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当行グループは、プライベートエクイティファンドに関する数値について、プライベートエクイティファンドのGPから提出されるレポートの情報に依拠しており、情報受領のタイミングにより概ね3か月前の時価に基づき算出されるため、実際の時価とは乖離が生じる可能性があります。
当行では、市場流動性を確保する観点から、流動性が低い資産への投資が過大にならないよう、また、市場規模に比して過大なポジションを保有することがないよう、基準を設定することにより、市場流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、経済状況の著しい悪化や金融市場の混乱、銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が低下する場合等には、当行グループが国内外の市場で取引・決済ができなくなることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされること等により、損失を被る可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行では、安定的な資金繰りを達成するため、資金の受払いの差額について基準を設定しているほか、予期しない資金流出等に備え、流動性の高い資産の保有額に基準を設定することにより、資金流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、当行グループの業績や財政状態の悪化、風評等の発生や、予期せぬ資金流出、運用と調達の期間のミスマッチ(差異)等、また、当行グループの収益力・信用力の低下、日本国債の格下げ等の影響を受けた当行格付の引き下げにより、円貨・外貨の必要資金確保が困難になる、又は、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、損失を被る可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行では、有価証券発行体や貸出先などの債務者に対し、内部格付を付与の上、定期的にモニタリングを行うほか、個社・企業グループ及び国・地域に対するエクスポージャーの上限管理等を実施することにより、信用リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、債務者において、国内外の経済情勢(景気・信用状況等)や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、誤った経営判断、不祥事等の発生、その他不測の事態により財政状態が悪化した結果、当行グループの与信関係費用が増加又は当行グループが保有する有価証券等の価値が下落することによって評価損・減損損失や売却損等が生じ、当行グループの業績、財政状態及び自己資本の状況に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。
当行グループや当行の商品・サービスを販売・提供する日本郵便株式会社の役員・従業員が、事務に関する社内規程・手続等に定められた事務処理を怠る、あるいは事故・不正等を起こすリスクが存在します。当行グループでは、各種研修等を通じて手続等の浸透、不正の防止に努めておりますが、かかる事務リスクが顕在化した場合には、当行グループへの行政処分、訴訟提起等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当行グループの業務に関連して、顧客その他の第三者が、偽名による口座開設、当行口座の不正目的による使用、又は盗難カードを使用した犯罪行為その他の不正行為を行った場合や、当行グループの取引先が反社会的勢力と何らかの関係を有する者であった場合には、これに対応する費用の支出が発生する等、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、当行が保有する銀行業に係るシステムのほか、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険と共用しているシステムも利用して、銀行口座、資産運用等の取引・管理を行い、また、全国の郵便局ネットワークや全国銀行データ通信システム等と通信しているなど、情報通信システムは、当行グループの事業にとって極めて重要な機能を担っております。当行では、重要なシステムについては、システム監視や不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定する等して、システムの安定稼働の維持に努めておりますが、自然災害・サイバー攻撃等の外的要因に加えて、人的過失、事故、コンピュータウイルスの感染、システムの新規開発・更新における瑕疵等により、システム障害が発生する可能性があります。こうしたシステムの不具合、故障等が生じた場合に、これに対応する費用の支出の発生、業務の停止・混乱、それに伴う損害賠償、行政処分、社会的信用の毀損等が発生することにより、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、多数の個人・法人のお客さま等の情報を保有しております。顧客情報は銀行法、金融商品取引法等により適切な取扱いが求められ、特に個人情報については個人情報保護法等の下で、より厳格な管理が求められております。
当行グループでは、プライバシーポリシー等情報管理に関する規程等を整備し、厳正な情報管理に努めておりますが、機密情報や顧客情報等の重要な情報について、内部からの漏えいや、コンピュータへのサイバー攻撃等外部からの不正なアクセス等が発生する可能性があり、業務委託先を含め、仮にこのような事象が生じた場合には、これに対応する費用の支出の発生、当行グループに対する損害賠償請求、行政処分、社会的信用の毀損等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(郵便局において発生した顧客の事前同意を取得しないまま貯金等における非公開金融情報を用いて保険募集や投資信託・国債の募集を目的とした来客誘致を行った事案(以下「クロスセル事案」)については、後記「(12) 日本郵便株式会社との関係に係るリスク ① 郵便局ネットワークをメインチャネルとする営業に係るリスク」をご参照ください。)。
当行グループは、事業の遂行に関して、人事労務、業務上の事故、外部委託、知的財産権等の利用に関する事項を始めとする、訴訟等が提起されるリスクを有しております。
業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当行グループに不利な判断がなされた場合には、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループでは、各種研修等を通じて、ハラスメントを含む人権問題、人事処遇、勤務管理などの人事労務上の問題、職場の安全衛生管理上の問題等の発生の防止に努めておりますが、かかる問題が発生した場合や、これらに関連する重大な訴訟等が発生し、当行グループに不利な判断がなされた場合、当行グループの業績、社会的信用及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループでは、風説・風評が伝達される媒体を定期的に確認し、風説・風評の把握に努めるとともに、その影響度等に応じた対応によるレピュテーショナル・リスクの管理に努めておりますが、当行グループや当行グループの事業の風説・風評が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板への書込み、SNS等により拡散した場合、また、報道機関により憶測に基づいた報道が行われた場合には、お客さまや市場関係者等が、当行グループについて事実と異なる理解・認識をし、当行グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当行グループと競合する他の金融機関等に関する問題や不祥事の発生、批判、風評等であっても、それにより銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が下落する場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、大規模災害等に備えた事業継続計画等を整備し、危機管理態勢の強化に努めておりますが、大規模災害、パンデミックの発生(感染症の大流行)、テロリズム・武力衝突等の人的災害、電気・通信その他の社会インフラの障害や混乱等が発生した場合、当行の店舗・事務センター等といった施設・有形資産やシステム等が毀損し、又は正常な業務遂行が困難になること等により、当行グループが損失を被る可能性があります。また、かかる状況の下で当行グループの業務が円滑に機能していたとしても、かかる状況の発生による経済・社会活動の沈滞や、インフラの機能不全等の影響を受けて、当行グループが保有する金融商品に評価損・減損損失や売却損等が生じたり、当行グループの不良債権・与信関係費用が増加したりする可能性もあり、その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ サイバー攻撃等に係るリスク
当行が保有する銀行業に係るシステムのほか、業務の遂行にあたって利用する情報通信システムは、当行グループの事業にとって極めて重要な機能を担っております。特に、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方に対応したリモートワークの増加や、近年のデジタル技術の著しい発展によるインターネットやスマートフォンを利用した取引の増加等により、当行のデジタルチャネルの拡充も進んでいる一方、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も進んでおり、金融機関を取り巻くサイバーリスクは高まっております。更に、経済安全保障の観点からも、国外からの各種サービスの安定的な提供に対する妨害行為等への対策の重要性が高まっている状況です。当行ではこれらのサイバーリスクの低減を図るため、サイバーセキュリティに関する専門部署の設置やサイバーセキュリティ担当役員(CISO:Chief Information Security Officer)を配置し、多層的な防御・検知対策の整備をしております。また、専門知識を有する人財を配置するとともに、外部専門機関との連携等を通じて新たな攻撃手口の分析や対策を行うなど、必要な対策を講じております。当行のサイバーセキュリティ態勢が十分に機能しなかった場合には、国内外からのサイバー攻撃や不正アクセス、コンピュータウイルス感染等の要因により、機密事項・顧客情報の漏えい・紛失、各種サービスの不正利用・不正送金や情報通信システムの障害等が発生した場合には、お客さまへの経済的・精神的損害や業務の停止及びそれに伴う損失や損害賠償の発生、行政処分や罰則、お客さま及びマーケット等からの信頼失墜等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 法令違反等に係るリスク
当行グループは、お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に取り組み、法令・諸規則等を遵守すべく、コンプライアンスやその意識の水準向上、内部牽制・内部監査・顧客保護等管理など内部管理の強化を経営上の重要課題として位置づけ、適切な指示・指導・モニタリングを行う態勢を整備するとともに、法令違反・不正行為等の防止策を講じております。しかしながら、これらが十分な効果を発揮せず、横領その他の犯罪行為、インサイダー取引規制等違反、お客さまの属性に照らし不適合な顧客説明や資産運用商品の販売等、法令・諸規則等を遵守できない等のミスコンダクトリスクが発生する可能性があります。また、これらの法令等の不遵守を、組織として迅速・適切に認識できない可能性もあります。業務委託先である日本郵便株式会社等を含め、法令違反・不正行為等に関するリスクが顕在化した場合には、当行グループへの訴訟提起、行政処分等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ マネー・ローンダリング等に係るリスク
昨今、我が国において、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融に係る事案、特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺、口座の不正利用・売買、インターネットバンキングにおいて不正に入手したID・パスワードを使用した預金等の払戻し、非対面取引時のなりすまし、犯罪収益を暗号資産に転換するなど、金融機関のサービスを悪用した金融犯罪は減少の兆しを見せず、手口も年々高度化・巧妙化が進んでおります。また、流動的な国際情勢を反映し、国連及び各国・地域では経済制裁等が実施されており、制裁対象者等に商品・サービスを提供した金融機関に対しては、厳しい処分が科されております。
当行ではこれらの防止のため、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備し、顧客管理措置、疑わしい取引の検知・届出、商品・サービスの見直し、経済制裁措置への対応等の対策を講じることで、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策の強化に取り組んでおります。加えて、投資詐欺等の被害のおそれが高い口座を検知した場合、当該情報等を警察に連携する体制を構築し、被害の抑制に取り組んでおります。
しかしながら、これら施策の実施にもかかわらず、マネー・ローンダリング等の法令諸規制に違反する不正な取引が発生した場合や経済制裁対象者等に対し当行の商品・サービスが提供された場合には、当行グループへの行政処分、多額の制裁金の支払、社会的信用の毀損等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 気候変動を始めとするサステナビリティ課題に係るリスク
2015年に採択された気候変動問題に関する国際的枠組みである「パリ協定」を受け、脱炭素社会への移行が社会全体で進んでおり、当行グループでもその対応の重要性は高まっております。
気候変動リスクとしては、GHG排出に係る規制の強化等、低炭素経済への移行に関するリスクや、気候変動に伴う洪水等の異常気象の深刻化・増加等による、物理的変化に関するリスクが挙げられます。当行グループでは、気候変動リスクの顕在化による投融資先の業績悪化等に伴う保有有価証券の価値の低下や、自然災害等による当行の店舗・事務センター等といった施設・有形資産やシステムの毀損等を、主な気候変動リスクとして想定しております。
当行グループでは、気候変動への対応は、環境・社会及び企業活動にも大きな影響を及ぼす重要な課題であると認識しており、2019年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともに、同提言を踏まえた気候変動シナリオ分析の高度化等、気候変動に係るリスクの適切な管理や情報開示に取り組んでおります。
また、目標KPIとして、自社のGHG排出量は2030年度までに2019年度比60%削減、投融資ポートフォリオの投資単位あたりGHG排出量※は2030年度までに2019年度比50%削減、ESGテーマ型投融資残高は2025年度末までに7兆円と設定するとともに、2050年までに自社及び投融資ポートフォリオのGHG排出量のネットゼロ達成を目指す「ゆうちょ銀行 GHG排出量ネットゼロ宣言」を発表し、気候変動対応の取組みを推進しております。
この他、生物多様性保全や人権尊重等、サステナビリティ課題への関心や重要性が高まっていることを踏まえ、当行グループは、様々な環境保全活動や国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューデリジェンス等を実施しております。
しかしながら、これらの取組みが十分な効果を発揮しない場合や、これらの取組みや開示が不十分とみなされた場合は、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※投資単位(1億円)あたりのGHG排出量(t-CO2/億円)
(8) 事業戦略・経営計画に係るリスク
当行グループは、“信頼を深め、金融革新に挑戦”のスローガンの下、2021年度から2025年度までを計画期間とする中期経営計画を推進しております。2024年5月には、当行グループを取り巻く経営環境の変化を踏まえ、2024年度から2025年度の残り2年間の計画を見直しており、「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「Σビジネス」という3つの成長エンジンをビジネス戦略の中心に据え、それを支える経営基盤の強化とあわせて取り組んでおります。
しかしながら、これらに向けた当行グループの事業戦略・経営計画は、各種のリスクにより実施が困難となり、又は有効でなくなる可能性があります。また、本項に記載したリスク要因等に伴い、事業戦略・経営計画の策定時に前提とした各種の想定が想定通りとならないこと等により、当初計画した成果が得られない可能性もあります。特に、市場(金利・為替等)・経済情勢(景気・信用状況等)等が計画策定時の想定通り安定推移しなかった場合、例えば、日本国債への投資が想定通り進捗しないことによる運用収益の減少によって計画が達成できない可能性や、市場金利の低下による運用利回りの減少や米ドルを始めとする海外短期金利上昇に伴う外貨調達コストの増加によって計画が達成できない可能性、海外のクレジットスプレッド拡大による当行が保有する有価証券中の投資信託の特別分配金発生によって計画が達成できない可能性、プライベートエクイティファンドの投資先の企業価値向上や資金回収のペースが想定対比で乖離することによって計画が達成できない可能性、国際分散投資等の高度化・加速を継続していく中で、適切なポートフォリオ分散を達成できない可能性、より高いリスクを有する運用資産の増加によって価格変動リスクを受けやすくなり、当行グループの事業、業績及び財政状態に及ぼす影響が大きくなる可能性があります。また、当行は、運用ポートフォリオの高度化・多様化を進めており、2007年10月1日時点(民営化時点)においては国債(預託金を含む)が運用資産の88.0%を、2016年3月末(新規上場期)においては国債が運用資産の40.1%を占めておりましたが、2025年3月末においては、国債、外国証券等、預け金等、その他がそれぞれ運用資産の17.5%、37.9%、28.1%、16.3%を占めております。特に、当行は、プライベートエクイティファンド、不動産ファンド(エクイティ・デット)、ダイレクトレンディングファンド、インフラデットファンド等を戦略投資領域と位置づけ、優良な案件への選別的な投資に努め、残高を積み上げておりますが、これらの投資は一般的に投資期間が長期に及び、株式市場や不動産市場等の変動を受けやすいなどリスクが高く、当行の投資ノウハウや経験の不足、専門的な知識を備えた人財の確保が困難であること、経済情勢や株式市場、不動産市場の急激な変動等により、投資先の企業価値向上や資金回収が想定通りに進捗しない可能性があり、当行の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。加えて、当行グループは、現在、主にLP(有限責任組合員)として出資をしておりますが、2024年5月21日付で投資運用業務を事業内容とする当行100%出資子会社である「ゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社」を設立し、GP業務の本格化を進めていることから、当行グループが負う上記の投資リスクはより高くなることが見込まれます。更に、DXの推進等による、各種決済サービス及び資産形成サポートサービスの利用促進等並びに店舗改革等の業務効率化、運用・リスク管理・営業等の人財確保・育成が、想定通り進捗しなかった場合、役務取引等利益や市場運用業務における利益の拡大、営業経費の削減等の計画が達成できなくなる可能性や、当行の既存の対面型のサービスとの両立が困難となる可能性があります。更に、当行グループが推進するΣビジネスについては、地域経済の低迷、地域金融機関又は地方自治体の利益相反若しくは協力不足、適切な収益機会の逸失等により期待された成果を上げない可能性があります。また、減損損失、売却損の計上等により十分な利益水準が確保できない場合や、法令によりその他有価証券の評価損が発生した際は分配可能額から控除する必要があることから、相場変動によりその他有価証券の評価損が拡大し、分配可能額を確保できない場合等には、株主還元の目標が達成できない可能性があります。更に、日本郵政株式会社は、将来的なグループ連結ベースでのIFRS適用を検討しており、将来的に当行グループもIFRSを適用する可能性があるほか、事業の内容又は経営環境の変化に対応して会計方針等の変更を行う可能性もあります。これらの結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、新たな収益機会を得るために新規業務を行い又は新規子会社を保有しようとする等の場合、郵政民営化法、銀行法の規制により必要となる当局の認可等を適時に取得できない可能性があります。例えば、当行は、2012年9月3日に行った相対による法人向け貸付などを内容とする認可申請を、2017年3月31日に取り下げました。なお、2025年3月の日本郵政株式会社による当行株式の売出し及び今後予定している日本郵政株式会社による同社が保有する当行株式に係る株式処分信託に対する拠出により、日本郵政株式会社の当行に対する議決権比率は50%を下回る見込みであり、その場合、日本郵政株式会社は当行の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出る予定です。その結果、新規業務を開始する際の当局の認可は不要となり、代わりに新規業務を開始する旨及び当該事業の内容を内閣総理大臣及び総務大臣に届け出ること、並びに他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮を行うことが必要となります。しかし、当行が上記の要件を充足できない場合又は当局等が当行と異なる解釈をする場合には、当行の新規業務の開始が妨げられ、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、規制上必要な手続に従って業務範囲を拡大した場合でも、当行グループが限定的な経験しか有していない業務分野に進出した場合、競争の激しい分野に進出した場合等において、業務範囲の拡大が功を奏しない、又は、当初想定した成果をもたらさない可能性があります。その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行は、郵政民営化法第98条第1項により、次に掲げる条件付きで銀行法第4条に定める銀行業の免許を受けたものとみなされております。
・郵政民営化法第110条第1項各号に掲げる業務(いわゆる新規業務。「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考) (1) 業務の制限」をご参照ください。)を行おうとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこと。
・郵政民営化法第8章第3節の規定の適用を受ける間、業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる銀行代理業者への継続的な業務の委託がされていること。
この免許につきましては、有効期間は定められておりませんが、銀行法第26条、第27条、第28条及び第41条に規定された要件に該当した場合、業務の停止又は免許の取消し等を命じられることがあります。2025年3月末日現在において、当行は、これらの要件に該当する事実はないものと認識しておりますが、将来、何らかの事由により当行がこれらの要件に該当した場合には、当行の主要な事業活動に支障をきたし、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは事業を行うにあたり、銀行法を始め税制・会計基準を含む各種法令等が適用され、銀行免許・当局の監督を受けております。また、我が国はWTO(World Trade Organization:世界貿易機関)の加盟国であり、当行グループが物品等を調達する場合にも、WTOによる政府調達ルールの遵守が求められます。各種法令等の改正や新たな法的規制等により、当行グループの競争条件が悪化したり、営業・運用等の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会の制限等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、米国の外国資産管理法による指定国等に対する経済制裁の発動・強化は、当行の国際分散投資を制約し、直接又は投資信託を通じ保有する外国証券のリスクを高める可能性があります。
また、当行は、郵政民営化法によって、他の銀行には課せられていない規制が課されております(当行に係る郵政民営化法に基づく規制は、「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考)」をご参照ください。)。例えば、当行は、他の銀行と比較して業務拡大等に係る経営の自由度が限定されており、また、銀行を当行の子会社とすることや、預入限度額を超える一顧客からの貯金受入れも、原則としてできません。郵政民営化法の規制により、当行グループの事業、成長戦略を含む事業戦略・経営計画の策定・遂行、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に将来、現行の民営化の枠組みを変更する法律が制定された場合、その内容によっては、当行グループに影響をもたらす可能性もあります。
当行グループが行う事業による収益の多くは日本国内での貯金調達や国内外での有価証券運用によって得られており、国内外の景気・信用状況や人口動態等の経済・社会情勢、金利・為替等の市場の変動・悪化が、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、消費税率の引き上げによる家計の可処分所得の低下や、インフレ高進に伴う実質所得の低下、少子高齢化等に伴い、日本の貯蓄率・預金水準が低下し、当行の貯金残高が減少する可能性があります。また、米国政権の経済政策等に端を発する国内外の金融市場の混乱等が生じた場合、当行グループの事業の低迷や資産内容の悪化、資金調達力・資産流動性の低下等が生じる可能性があります。このような場合、中長期的な収益の確保を目的とした運用の高度化・多様化が、目的に即した結果を生まない可能性もあります。
当行グループが行う事業は、いずれも激しい競争状況に置かれております。当行の主力事業は郵便局ネットワークをメインチャネルとするリテール・バンキング事業であるため、当行は、都市銀行のほか、地方銀行その他の金融機関と競合しております。また、当行グループが業務範囲を拡大した場合には、現時点では当行グループと競合関係にない会社との競合が新たに生じる可能性もあります。この他、近年では、国内外の各業界において統合や再編、業務提携が積極的に行われており、参入規制の緩和や業務範囲の拡大等の規制緩和も行われております。更に、テクノロジーの進化により、他業界からの新たな金融サービスの提供者の参入や顧客ニーズの多様化が進展しております。
当行グループでは、新たなテクノロジーの活用や、デジタル化の推進等によるサービスの改善・充実に努めておりますが、当行グループが競合する他の金融機関に対して優位に立てない場合や、市場構造の変化に対応できなかった場合、規制緩和や新規参入が想定以上に進んだ場合、テクノロジーの進化や顧客ニーズの多様化に対応できなかった場合は、顧客基盤の流出・弱体化、収益力の低下、既存サービス・ネットワークの陳腐化等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
日本郵政株式会社は、以下の諸点を通じ、当行の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
日本郵政株式会社は、2025年3月末日現在において、当行の発行済株式総数(自己株式を除く。)のうち約50%を保有しており、当行の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等、当行の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、2025年3月の日本郵政株式会社による当行株式の売出し及び今後予定している日本郵政株式会社による同社が保有する当行株式に係る株式処分信託に対する拠出により、日本郵政株式会社の当行に対する議決権比率は50%を下回る見込みではありますが、当行に適用される会計基準のいわゆる実質支配力基準により、日本郵政株式会社は引き続き当行の親会社であることに変更はない予定です。
引き続き日本郵政株式会社は、当行株式の保有を通じ、当行の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等、当行の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、日本郵政株式会社は、後記「5 重要な契約等」に記載の日本郵政グループ協定その他の契約や、日本国政府による日本郵政株式会社株式の保有等により、当行について他の一般株主と異なる利害関係を有しており、一般株主の期待と異なる議決権の行使を行う可能性があります。更に、当行以外の日本郵政グループ各社が、直接又は子会社等を通じて当行と競合し又は競合する可能性のある事業を行うなど、当行の一般株主の利益とは異なる観点で行動する可能性があります。
下表のとおり、日本郵政グループの役員等が当行の役員を兼任しております。
また、当行経営会議(「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」をご参照ください。)には、原則、日本郵政株式会社の役員は出席しないものの、会議の議題に応じて、出席が必要と当行が考える日本郵政株式会社の代表執行役に限り出席を要請することとしております。
更に、従業員についても、2025年3月末日現在、当行に、日本郵政株式会社の子会社である日本郵便株式会社からの受入出向者が7名、当行・日本郵便株式会社に、両社職務の兼務者が539名(当行所属従業員259名、日本郵便株式会社所属従業員280名)おります。この他、日本郵政株式会社等からの受入出向者は1名であります。当行は日本郵便株式会社に銀行代理業務等を委託しており、代理店の現状に精通した人財を代理店の業務指導・支援に活用し、また、代理店の要員に当行直営店業務を経験させることは、代理店の事務品質・代理店要員の業務知識の向上を狙いとしております。更に、当行エリア本部、日本郵便株式会社の支社の所属者を相互に兼務させ、営業施策の立案・推進管理、営業人財の育成を協働推進させることは、直営店・郵便局一体の営業力強化を企図しております。なお、これらの受入出向者・兼務者はいずれも、当行の重要な意思決定に影響を与える職位・職務には就いておりません。
日本郵政株式会社は、上記の役員兼任等を通じ、当行の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
(日本郵政グループの役員等と当行役員を兼任している者)
本有価証券報告書提出日現在
(注) 1.田中 進氏は、2025年6月24日付で当行取締役兼代表執行役副社長を退任し、同年6月25日付で日本郵政株式会社常務執行役を退任する予定であります。また、後任として当行執行役副社長の小方 憲治氏が、2025年6月24日付で当行取締役兼代表執行役副社長に就任し、同年6月25日開催予定の日本郵政株式会社定時株主総会後の取締役会において同社常務執行役に就任する予定であります。
2.増田 寬也氏は、2025年6月24日付で当行取締役を退任し、同年6月25日付で日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長を退任する予定であります。また、後任として日本郵政株式会社常務執行役の根岸 一行氏が、2025年6月24日開催予定の当行定時株主総会において当行取締役として選任され、就任する予定であります。なお、同氏は、2025年6月25日付で日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長に就任する予定であります。
当行は、後記「5 重要な契約等」や「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載のとおり、日本郵政グループ各社と契約を締結し取引しておりますが、当該取引にあたっては、契約の締結・改定の際に、取引の目的・必要性、取引条件の適正性(銀行法に定めるアームズ・レングス・ルール)等を確認しており、日本郵政グループ内の取引を適正に管理する態勢を整備しております。加えて、当行と日本郵政グループ各社との重要な取引や、当行と当行の主要株主との非定型的な取引については、取締役会において審議の上、承認することにより、当行又は株主共同の利益を害することのないよう監視しております。
当行は、後記「5 重要な契約等」に記載のとおり、グループ共通の理念・方針等のグループ運営に係る基本的事項を定め、円滑なグループ運営に資することを目的とした日本郵政グループ協定等を締結しております。これらの協定等に基づき、当行は一定の重要事項につき日本郵政株式会社と事前協議等を行うこととされ、また日本郵政株式会社から「ゆうちょ」等の商標の使用を許諾されるとともに、日本郵政株式会社に対し、日本郵政グループに属することによる利益の対価として、別途合意した算定方法に従いブランド価値使用料を支払っております。これらの協定等は後記「5 重要な契約等」に記載の要件が満たされ解除されない限り、原則として存続するため、当行は当該解除までの間、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合にかかわらず、一定の重要事項につき日本郵政株式会社と事前協議等を行う義務や、日本郵政株式会社に対してブランド価値使用料を支払う義務等を負います。
また、後記「5 重要な契約等」に記載の要件が満たされ、これらの協定等の終了又は見直しにより現在の条件での商標の使用が継続できなくなった場合や、重大な経済情勢の変化等が生じたと判断してブランド価値使用料の算定方法が変更された場合等には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
日本郵政株式会社は、2025年3月の日本郵政株式会社による当行株式の売出し実施前の時点において、当行の発行済株式総数(自己株式を除く。)のうち約62%を保有しておりましたが、当該売出し及び今後予定している日本郵政株式会社による同社が保有する当行株式に係る株式処分信託に対する拠出により、日本郵政株式会社の当行に対する議決権比率は50%を下回る見込みです。なお、郵政民営化法は、日本郵政株式会社が保有する当行株式は、その全部を処分することを目指し、当行の経営状況及びユニバーサルサービスの提供への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとしており、日本郵政株式会社は当行株式について、保有割合が50%以下になった以降も株式処分について検討を進める旨を公表しております。今後の株式売却の時期・規模等は未確定ですが、将来、当行株式の追加的な売却が行われ、又はかかる売却により市場で流通する当行の株式数が増え需給が悪化するとの認識が市場で広まった場合には、当行株式の流動性・株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本郵政グループ協定等は、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合にかかわらず、後記「5 重要な契約等」に記載の要件が満たされ解除されない限り、原則として存続しますが、日本郵政株式会社が当行株式を更に売却し、当行又は株式会社かんぽ生命保険が日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合、これらの協定等の多くは見直すこととされているため、当行にとって不利な条件に変更される等の場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
一方、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合は、郵政民営化法による他の銀行には課せられていない規制(「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考)」をご参照ください。)が緩和される要件の一つであるため、日本郵政株式会社による当行株式の追加処分が行われない場合、当該緩和が、期待通りに進まず、当行の経営の自由度の拡大が実現しない可能性があります。
当行は、日本国政府から何らの明示又は黙示の保証その他の信用補完を受けておりません。しかし、日本郵政株式会社による当行株式の処分や、日本国政府による日本郵政株式会社株式の処分の進捗に伴い、当行と日本国政府との関係の希薄化により、当行に付与された信用格付が格付機関によって引き下げられた場合や、当行の経済的信用力が低下したとの誤認や錯誤が伝播した場合等には、貯金等の減少、取引条件や人財の採用・定着への影響等を通じ、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行は、後記「5 重要な契約等」に記載のとおり、銀行代理業務の委託契約等に基づき日本郵便株式会社に銀行代理業務等を委託しております。2025年3月末日現在、当行の店舗23,494のうち23,259が代理店(郵便局)となっており、貯金残高の約9割が代理店で開設された口座への預入による等、当行の事業は代理店である日本郵便株式会社の郵便局ネットワークによる営業に大きく依拠しております。
従って、コミュニケーション手段の多様化、競合するネットワークやサービスの利便性向上、デジタルサービスの拡充等により、当行の代理店である郵便局の利用者数や利用頻度が減少したり、代理店で取り扱う当行の商品・サービスの種類や代理店数が減少した場合、当行代理店業務に従事する従業員の確保やその教育が十分でない場合、郵便局で取り扱う競合商品との競争が激化する場合、日本郵便株式会社が人材等のリソースを当行の商品・サービス以外に優先的に配分する場合等においては、当行の貯金等や新商品等の販売が伸びず、その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、郵便局において資金横領等事案の部内犯罪が発生している事態を受け、日本郵便株式会社及び日本郵政株式会社と連携し、発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、不祥事件の撲滅に向けてコンプライアンスの徹底・強化に取り組んでおります。加えて、郵便局において発生したクロスセル事案については、2025年3月18日に金融庁から、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険及び当行に対して再発防止策及びその実施状況等について、定期的に報告するよう命令を受けております。日本郵便株式会社への監督体制強化を含め日本郵政グループ各社と連携し、再発防止策に取り組んでおります。更に、過年度においてお客さま情報の紛失等が発生した投資信託取引及び国債取引に関する金融商品仲介補助簿に係る取扱いについては、当該補助簿の電子化による再発防止策を実施したほか、当該補助簿以外の書類についても、紛失防止に向け、保存書類の削減、電子化(ペーパーレス化)を進めております。しかしながら、これらの取組みが功を奏しない場合や、その他の法令違反等の不適正な事案が発覚する等の場合には、日本郵政グループの社会的信用に影響を与える可能性があり、今後、当行の金融商品の販売が低迷し、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当行は、上記の銀行代理業務の委託契約等に基づき、日本郵便株式会社の郵便局を商品・サービスの販売・提供のメインチャネルとし、相当額の委託手数料を日本郵便株式会社に対して支払っております(後記「5 重要な契約等」をご参照ください。)が、当該委託手数料の算定方法その他の条件が当行と日本郵便株式会社との間の合意により見直されたり、当該契約等が解除され代替委託先等を適時に確保できない場合、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、上記(10)①のとおり、日本郵便株式会社が当行との間で締結している銀行代理業務の委託契約等は、当行の主要な事業活動の前提となっております。当該契約は期限の定めのない契約ですが、解除に係る協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。2025年3月末日現在において、日本郵便株式会社から当該契約等の見直しや解除の申入れ等、契約の存続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該要因が発生した場合には、当行の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当行は、後記「5 重要な契約等 (1) 銀行窓口業務契約」に記載のとおり、日本郵便株式会社との間で銀行窓口業務契約を締結しており、同社は全国の郵便局で、当行の基本的な商品・サービスを、日本郵便株式会社法に基づくいわゆるユニバーサルサービス提供に係る法的責務の履行として提供しております。当行は、法令上この責務を直接負わないものの、郵便局で使用するATM・窓口端末機など銀行委託業務に係るITシステムの導入・運行コストとともに(なお、当該ITシステムは当行が所有)、同業務に従事する日本郵便株式会社の従業員の指導・教育等を通じ、ユニバーサルサービス提供に係る一定のコストを負担しております。
その結果、より収益性の高い業務や地域への経営資源配分が制約されること等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、銀行窓口業務契約は、期限の定めがなく、また、本契約に定める特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り、解除できないものと定めております。また、当行の定款には、日本郵便株式会社と銀行窓口業務契約を締結する旨規定しているため、当該契約を終了させる場合には、定款の変更を要します。従って、当行が銀行窓口業務契約を終了させるためには、これらの手続等を充足させる必要があります。
一方、本契約が終了した場合にも、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました(下記「(参考) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要」をご参照ください。)。これによって、2019年度から当行と日本郵便株式会社との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。下記のとおり、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)から日本郵便株式会社に交付される交付金の原資となる拠出金は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構に関する省令に基づき、人件費、賃借料、工事費等の郵便局ネットワークの維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)から算出されており、郵政管理・支援機構が年度毎に算定しております。そのため、当行直営店での業務コストの増減にかかわらず、当行の関与できない部分で拠出金と委託手数料の合計額が将来的に増加する可能性があります。また、今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(参考) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要
2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これにより、2019年4月1日に独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の名称が「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に変更され、また、郵政管理・支援機構の目的として、「郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金を交付することにより、郵政事業に係る基本的な役務の提供の確保を図り、もって利用者の利便の確保及び国民生活の安定に寄与すること」が追加されました。
郵便局ネットワーク維持に要する費用は、従来、日本郵便株式会社と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われておりましたが、当該費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、本法に基づき、2019年度から、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われております。
当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用の算定方法は、直近の郵便局ネットワークの維持の状況を基礎とした次の費用の合計額です。
ア あまねく全国において郵便局でユニバーサルサービスが利用できるようにすることを確保するものとなるように郵便局ネットワークを最小限度の規模の郵便局により構成するものとした場合における人件費、賃借料、工事費その他の郵便局の維持に要する費用、現金の輸送及び管理に要する費用、並びに固定資産税及び事業所税
イ 簡易郵便局で郵政事業に係る基本的な役務が利用できるようにすることを確保するための最小限度の委託に要する費用
当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用及び交付金・拠出金の算定等に係る郵政管理・支援機構の事務経費は、郵便窓口業務、銀行窓口業務又は保険窓口業務において見込まれる利用者による郵便局ネットワークの利用の度合等に応じて按分され、銀行窓口業務に係る按分額を当行が拠出金として拠出しており、拠出金の額は郵政管理・支援機構が年度毎に算定し、総務大臣の認可を受けております。なお、2025年度に当行が支払う拠出金の額は2,630億円です。
また、2019年度から、郵便局ネットワークの維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われているため、当行が業務委託契約等に基づいて日本郵便株式会社に支払っている委託手数料についても見直しを行っております(後記「5 重要な契約等」をご参照ください。)。
当行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に基づき、自己資本比率の規制比率(4%以上)を維持する必要があります。2025年3月末日現在、バーゼルⅢ最終化を反映した当行の連結自己資本比率は15.08%となっており、規制比率に比べ高い水準を確保しておりますが、運用の高度化・多様化により、自己資本比率が低下傾向にあることに加え、業績・財政状態や運用ポートフォリオの変動、比率の算出方法変更等により、当行の自己資本比率が低下したり、新たな規制等への対応が必要となる可能性があります。当行の自己資本比率等が規制比率を満たさない場合には、当局から業務の縮小・停止等の行政上の措置が課されること等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2017年12月には、バーゼル委員会によってバーゼルⅢの最終化が公表され、かかる最終化には信用リスクの標準的手法の見直しが含まれております。日本の当局も最終化されたバーゼルⅢに関する最終規則を公表しており、当該規則は海外に営業拠点を持つ銀行には2024年3月に施行済みであり、国内基準行である当行にも2025年3月に施行されました。今後も、当行は必要十分な財務健全性の確保を前提に適切な自己資本比率の管理を徹底してまいりますが、2030年3月のバーゼルⅢ最終化完全適用により、自己資本比率が低下する可能性があります。
また、当行は、金利リスク状況のモニタリングの一環として、当局による「主要行等向けの総合的な監督指針(以下「監督指針」)」において定められた重要性テストの過程で用いられる手法に基づき、金利変動による資産・負債の経済価値の減少額(以下「ΔEVE」)を計測しております。今後、当行のΔEVEの最大値が重要性テストにおける評価基準である自己資本の額の20%を超え、当局から深度ある対話を行う必要が認められる銀行と判断される場合には、対話を通じて共有された課題認識に基づき、原因への対応も含めて必要な改善対応を求められる可能性があります。なお、仮に当該改善計画を確実に実行させる必要があると当局から判断された場合、当局から行政上の措置が課される可能性があります。
重要性テストの適用については、監督指針において、「ゆうちょ銀行は、法令上、一部の資産について国債等の安全資産の保有が義務付けられているため、(重要性テストに該当する場合の)監督上の対応をするにあたっては、当該特殊事情を適切に勘案することとする。」とされております。
また、当行は、国内基準行でありますが、海外向け与信の大きさ等から、国内の大規模金融機関と同水準の資本管理を目指す考え方に基づき、自己資本比率(国内基準)に加え、CET1比率(国際統一基準)でのリスク管理を行っており、2025年3月末日現在、CET1比率(国際統一基準、その他有価証券評価益除くベース)は11.77%となっております。今後リスク・アセットが増加等した場合は、中期経営計画において平時の目標水準として設定している10%程度を下回る可能性があります。
② 財務報告に係る内部統制に関するリスク
当行グループは、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書の提出及び監査人による監査を受けることが義務付けられております。
当行グループは、財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制の評価及び報告に関する規程等を制定し、財務報告に係る内部統制について必要な体制を整備しております。また、評価の過程で発見された問題点等は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、財務報告に係る内部統制が有効でない場合には、当行グループの財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
本有価証券報告書には、日本の会計基準によらず外部監査を受けていない管理会計等に基づく数値・分析等が、含まれております。当行は、これらについても内部管理の体制を整備しておりますが、有効でない場合には、数値等の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる等の場合、退職給付費用及び債務が増加又は追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、安定した事務遂行と高い専門性を必要とする業務を行っており、営業・市場運用・戦略投資領域・ALM・リスク管理・システム開発・DX・GP・サイバーセキュリティ・財務・コンプライアンス等の分野において有能で熟練した人財が必要とされます。そのため、専門人財の採用や、各種研修等を通じて人財育成を行っておりますが、当行グループは、他の金融機関等と競争状況に置かれているため、有能な人財を採用し定着・育成することができず、当該専門分野を中心に人財確保に支障をきたした場合には、事業の競争力、業務運営の効率性等が損なわれ、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、上記分野等の要員に係る採用、報酬等の処遇、育成に注力しても、十分なスキルを持った従業員を育成・定着させることができない可能性や、経営幹部を採用・定着させられない可能性があり、これらの場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、業務の提携、運用・事務・システム開発等の外部委託等を行っております。当行グループが期待していたとおりの成果や利益を達成できない場合や、業務提携先や当行グループの関係会社・日本郵政グループ各社を含む委託先等で、業務遂行の問題が生じ商品・サービスの提供等に支障をきたしたり、お客さまの情報等の重要な情報漏えい等の違法行為が発生した場合、また、提携・委託等が解消され適切な代替委託先等を適時に確保できない場合等において、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、国内の銀行、証券会社、保険会社等の金融機関と取引を行っておりますが、取引先や他の金融機関の業績や財政状態の悪化により信用力等に問題が生じた場合、当行グループが当該金融機関との取引で損失を被ったり、政府が当該金融機関の資本増強や収益回復等のために規制・資金調達・税務等に係る救済措置を講じ、預金保険料等が増加したり、競争上の不利益を被ること等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。当行の連結財務諸表と個別財務諸表の差は僅少であるため、経営成績及び財政状態の状況に関する分析・検討内容の一部については、当行単体のものを記載しております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
また、当行グループは、銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当行グループは、「お客さまと社員の幸せを目指し、社会と地域の発展に貢献する」というパーパス(社会的存在意義)と、「お客さまの声を明日への羅針盤とする『最も身近で信頼される銀行』を目指す」という経営理念の下、果たすべき3つのミッション(社会的使命)を定め、その実現に向け、2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画に取り組んでおります。
2024年度は、2024年5月に公表した見直し後の中期経営計画に示しているとおり、「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「Σビジネス」という当行グループ独自の強みを活かした3つのビジネス戦略を推進するとともに、それらを支える経営基盤の強化に取り組みました。
当行グループのパーパス・経営理念・ミッション・ビジネス戦略

(リテールビジネスの変革)
「リテールビジネス」では、日本国内における金融経済環境の変化等に応じ当行グループのお客さま基盤を深耕・強化すべく、リアルとデジタルの相互補完を通じたお客さま本位のビジネス展開を加速し、伝統的な銀行業務を超えた新しいリテールビジネスへの変革に向けた取組みを推進しました。
デジタルサービスでは、スマートフォン上で基本的な銀行取引が行える通帳アプリの利便性向上を図るとともに、更なる利用拡大に向けて、ポイントプログラム拡充等の各種キャンペーン等を通じたプロモーションに加え、窓口での積極的なご案内等を推進し、登録口座数は1,300万口座を突破しました。
また、直営店で口座開設等の各種取引をお客さまご自身で行えるセルフ型営業店端末「Madotab」やスマートフォン上で口座開設等が行える「ゆうちょ手続きアプリ」の機能改善を図る等、DXを通じたお客さまの利便性向上及び業務効率化を推進しました。
資産形成サポートビジネスでは、投資信託商品のラインアップ拡充やデジタルチャネルの利便性向上を図ったほか、直営店、郵便局と専門コンサルタントが配属されているリモートセンターとをタブレットで接続し、各種ご案内を実施するリモートチャネルの整備・拡充を進めました。また、投資信託の基準価額や市場動向等の情報をメールでお届けする「ますますわかる投資信託アフターフォローサービス」の提供を開始する等、リアルチャネルとデジタルチャネルを融合させ、お客さまの資産形成ニーズにシームレスにお応えする取組みを進めました。
これら各種取組みに加え、TVコマーシャルやSNS広告による積極的なプロモーションを通じ、お客さまによる当行口座・サービスのご利用を促進しました。
(マーケットビジネスの深化)
「マーケットビジネス」では、日本銀行の金融政策変更を受けた国内金利上昇局面を捉え、預け金等から日本国債への投資シフトを推進しました。
また、米欧中央銀行の政策金利引き下げや、米新政権による経済政策等の不透明感が残存する中、リスク対比リターンを意識しつつ国際分散投資を推進しました。投資適格領域の外国社債等を中心にリスク性資産残高を107.9兆円まで拡大するとともに、リスク性資産のうち、プライベートエクイティファンド等の戦略投資領域(注1)は、優良案件への選別的な投資に努め、残高を13.3兆円まで積み上げました。
一方で、ポートフォリオ運営を支えるモニタリング態勢の充実等、リスク管理の深化を図り、2025年3月末の自己資本比率(連結・国内基準)は15.08%と十分な財務健全性を確保しております。
(注) 1.プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域
(Σビジネスの本格始動)
投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネスと位置づける「Σビジネス」においては、地域の事業者への資本性資金の供給(投資業務)、新たなビジネスの原石となる投資先候補企業の発掘(ソーシング業務)及び投資先企業等の商品・サービスの紹介・媒介(マーケティング支援業務)の推進に努めました。
特に、2024年5月には投資業務の中核を担う当行100%出資子会社「ゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社」を設立し、Σビジネスの本格始動に向けた態勢を整備しました。この他、投資業務の推進に向けて、株式会社ジェイ・ウィル・コーポレーション、また三井物産株式会社の子会社とそれぞれ共同ファンドを設立しました。
(経営基盤の強化)
3つのビジネス戦略を担う人財の強化に向けた人的資本経営を推進するとともに、内部管理態勢の強化や組織風土改革に取り組みました。
人的資本経営の推進にあたっては、キャリアデザイン研修の充実化等による自律的社員の育成、強化分野への積極的な人財配置や、多様な人財が活躍する職場づくりに向けたダイバーシティマネジメント等、経営戦略と連動した人事戦略の遂行を通じ、人的資本のパフォーマンス最大化に向けて尽力しました。
内部管理態勢については、システム基盤整備、サイバーセキュリティやマネー・ローンダリング対応態勢の強化に加え、取締役会を中心としたガバナンス高度化等、多角的な観点から強化を図りました。
更に、代表執行役社長を委員長とする「サービス向上委員会」を再編し、「みんなの声委員会 -ECHO-」に改め、お客さまの声を活かした商品・サービスの提案・改善や、社員の声をもとにした職場改善等を役職員一丸となって推進し、お客さま本位の業務運営及び組織風土改革に邁進しました。
(株式売出しによる民営化プロセスの進展)
当行の親会社である日本郵政株式会社は、当行株式の保有割合を、2025年度までに50%以下とする方針を打ち出してきました。これに基づき、2025年3月、日本郵政株式会社による当行株式の売出しが実施され、同社の当行に対する議決権比率は50%を下回ることとなりました(注2)。その結果、他行には課せられていない郵政民営化法上の制約が一部緩和され(新規業務規制が認可制から届出制へ移行)、新規業務展開の機動性・自由度向上が期待されるなど、完全民営化に向けた当行の民営化プロセスは着実に進展いたしました。
(注) 2.2025年3月31日時点の日本郵政株式会社の当行に対する議決権比率は50.05%です。今後、日本郵政株式会社は、同社が保有する当行普通株式に係る株式処分信託を設定し、本信託に対する当行普通株式の拠出を行う旨を公表しており、当該株式処分信託への当行普通株式の拠出をもって、議決権比率は49.90%程度となる見込みです。
(中期経営計画の財務目標における当連結会計年度の実績)
中期経営計画において、財務目標として掲げている項目の当連結会計年度の実績は、下表のとおりとなりました。
(注) 3.ROE(株主資本ベース)は、連結当期純利益(当行帰属分)÷((当期首株主資本+当期末株主資本)÷2)で算出しております。
4.OHRは、経費÷(資金収支等+役務取引等利益)で算出しております。資金収支等とは、資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む。)です。なお、当行は相応の規模で金銭の信託を活用した有価証券運用等を行っていることを踏まえ、金銭の信託に係る運用損益等も分母に含めたOHRを指標として設定しております。
5.自己資本比率(国内基準)は、自己資本の額÷リスク・アセット等で算出しております(なお、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」に記載の自己資本比率とは、算出方法が異なります。)。
6.CET1(普通株式等Tier1)比率(国際統一基準)は、CET1資本÷リスク・アセット等で算出しております(なお、CET1資本は、その他有価証券評価益除くベースです。また、一部計算項目を簡便的に算出しております。)。当行は国内基準行(規制上の所要自己資本比率:4%以上)であるものの、海外向け与信の大きさ等から、国内の大規模金融機関と同水準の資本管理を目指す考えに基づき、CET1比率10%程度を平時の目標水準として設定しております。
当連結会計年度の連結粗利益は、前連結会計年度比3,119億円増加の1兆456億円となりました。このうち、資金利益は、外債投資信託からの収益や国債利息・日銀預け金利息の増加等により、前連結会計年度比2,409億円の増加となりました。役務取引等利益は、前連結会計年度比33億円の増加となりました。その他業務利益は、外国為替売買損益及び国債等債券損益の増加を主因に、前連結会計年度比676億円の増加となりました。
経費は、前連結会計年度比134億円減少の9,156億円となりました。
連結業務純益は、前連結会計年度比3,254億円増加の1,299億円となりました。
臨時損益は、プライベートエクイティファンド等からの収益が増加した一方、株式のリスク調整オペレーションに伴う売却益の減少を主因に、前連結会計年度比2,370億円減少の4,546億円となりました。
経常利益は、前連結会計年度比884億円増加の5,845億円となりました。通期業績予想の経常利益5,750億円に対し、達成率は101.6%となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、4,143億円と前連結会計年度比581億円の増益となりました。通期業績予想の親会社株主に帰属する当期純利益4,000億円に対する達成率は103.5%となりました。
なお、「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(注) 1.連結業務純益=連結粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、連結損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております(非支配株主に帰属する当期純損失を除く。)。
① 損益の概要(単体)
当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比3,143億円増加の1兆432億円となりました。このうち、資金利益は、外債投資信託からの収益や国債利息・日銀預け金利息の増加等により、前事業年度比2,412億円の増加となりました。役務取引等利益は、前事業年度比33億円の増加となりました。その他業務利益は、外国為替売買損益及び国債等債券損益の増加を主因に、前事業年度比697億円の増加となりました。
経費は、前事業年度比137億円減少の9,125億円となりました。
業務純益は、前事業年度比3,280億円増加の1,307億円となりました。
臨時損益は、プライベートエクイティファンド等からの収益が増加した一方、株式のリスク調整オペレーションに伴う売却益の減少を主因に、前事業年度比2,493億円減少の4,427億円となりました。
経常利益は、前事業年度比786億円増加の5,735億円となりました。
この結果、当期純利益は4,105億円、前事業年度比562億円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(参考) 与信関係費用
(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。
2.金額が損失又は費用には△を付しております。
② 国内・国際別の資金利益等(単体)
当行は、銀行業の単一セグメントであり、海外店や海外に本店を有する連結子会社(以下「海外連結子会社」)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は3,774億円、役務取引等利益は1,558億円、その他業務利益は△2億円となりました。
国際業務部門においては、資金利益は5,793億円、役務取引等利益は△9億円、その他業務利益は△681億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は9,568億円、役務取引等利益は1,548億円、その他業務利益は△684億円となりました。
イ.国内業務部門
ロ.国際業務部門
ハ.合計
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度16,945百万円、当事業年度19,785百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借に係る利息)等は下表のとおりであります。
③ 国内・国際別資金運用/調達の状況(単体)
当事業年度の資金運用勘定の平均残高は229兆7,716億円、利回りは0.76%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は219兆6,408億円、利回りは0.36%となりました。
国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は220兆6,735億円、利回りは0.24%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は214兆8,353億円、利回りは0.07%となりました。
国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は87兆2,054億円、利回りは1.43%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は82兆9,128億円、利回りは0.81%となりました。
イ.国内業務部門
(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。
2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,340,262百万円、当事業年度2,131,496百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,340,262百万円、当事業年度2,131,496百万円)及び利息(前事業年度△7,722百万円、当事業年度△7,313百万円)を控除しております。
3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ハ.合計」においても同様であります。
ロ.国際業務部門
(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
2.当行は、海外店及び海外連結子会社を有しておりません。
3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,926,795百万円、当事業年度3,345,371百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,926,795百万円、当事業年度3,345,371百万円)及び利息(前事業年度24,667百万円、当事業年度27,098百万円)を控除しております。
ハ.合計
(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度5,267,058百万円、当事業年度5,476,867百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度5,267,058百万円、当事業年度5,476,867百万円)及び利息(前事業年度16,945百万円、当事業年度19,785百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借の平均残高及び資金貸借に係る利息)は下表のとおりであります。
④ 役務取引等利益の状況(単体)
当事業年度の役務取引等利益は、前事業年度比33億円増加の1,548億円となりました。
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末比3,064億円減少の233兆6,015億円となりました。主要勘定については、有価証券は前連結会計年度末比2兆9,026億円減少の143兆5,880億円、貸出金は前連結会計年度末比3兆7,177億円減少の3兆1,305億円となりました。貯金残高は、定額貯金の残高減少を主因に、前連結会計年度末比2兆3,389億円減少の190兆4,617億円となりました。
株主資本は、配当金の支払い及び自己株式の取得の一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末比2,050億円増加しました。その他の包括利益累計額は、国内金利の上昇等に伴い、前連結会計年度末比8,317億円減少し、純資産は9兆909億円となりました。株主資本のうち、利益剰余金は2兆7,844億円となりました。
① 預金残高の状況(単体)
当事業年度末の貯金残高は前事業年度末比2兆3,379億円減少の190兆4,650億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
○ 預金の種類別残高(平残・構成比)
(注) 1.通常貯金等=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が日本郵政公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
4. 上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考) (2) 預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。
② 資産運用の状況(末残・構成比) (単体)
当事業年度末の運用資産のうち、国債は40.3兆円、その他の証券は87.4兆円となりました。
(注) 「預け金等」は日銀預け金、買入金銭債権であります。
③ 評価損益の状況(末残)(単体)
当事業年度末の評価損益(その他目的)は、国内金利の上昇等に伴い、ヘッジ考慮後で、前事業年度末から1兆2,103億円悪化し、△1兆879億円(税効果前)となりました。
(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、買入金銭債権を含んでおります。
④ 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)(単体)
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.当行は、海外店及び海外連結子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末118,384百万円、当事業年度末34,618百万円であります。
キャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比4兆5,162億円増加の4兆5,972億円、投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比12兆8,036億円増加の2兆5,254億円、財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比285億円増加の△2,080億円となりました。その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比6兆9,146億円増加の64兆6,391億円となりました。
当面の設備投資及び株主還元などは自己資金で賄う予定であります。
また、当行グループは、正確な資金繰りの把握及び資金繰りの安定に努めるとともに、適切なリスク管理態勢の構築を図っております。有価証券等の運用については、大部分をお客さまからお預かりした貯金にて調達するとともに、必要に応じて外貨建てを中心に、売現先取引や債券貸借取引等による資金調達を行っております。
(参考) ポートフォリオの状況
1.ポートフォリオの概要

当行は、ALM(資産・負債の総合管理)の枠組みとして7つのポートフォリオを設け、当行の内部規程に基づく管理会計により管理しております。上図は、その概要をイメージ図として重要性の観点から簡略化して記載しております。(なお、ALMとは、有価証券等の資産や貯金等の負債の金利・期間を把握し、将来の金利変動等を予測した上で、市場・信用・流動性等のリスクを管理しつつ、収益の確保を図る管理手法です。)
① 円金利ポートフォリオ(日本国債ポートフォリオを含む。)
主に円金利リスクを取得・管理するポートフォリオです。日本国債、政府保証債、短期運用資産等の運用サイドに加え、調達サイド(貯金等)も含めて、円金利リスクを管理します。
② 日本国債ポートフォリオ
円金利ポートフォリオの内、運用サイド(短期運用資産等を除く。)を特に日本国債ポートフォリオと呼びます。
③ クレジット・ポートフォリオ
主に信用リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には国内外の地方債、社債等が含まれます。
④ 外国国債ポートフォリオ
主に外貨金利リスク、為替変動リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には外国国債等が含まれます。
⑤ 株式ポートフォリオ
主に株価変動リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には株式及び株式関連デリバティブ等が含まれます。
⑥ オルタナティブ・ポートフォリオ
主にオルタナティブ資産に係るリスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産にはプライベートエクイティファンド、不動産ファンド等が含まれます。
⑦ ファイナンス・ポートフォリオ(2025年度より「地域リレーションポートフォリオ」へ改称)
主に貸付に係る信用リスクを取得・管理するポートフォリオで、地方公共団体向け貸付(郵政管理・支援機構向け貸出金を含む。)、法人向け貸付、地域活性化ファンド等への投資を実施します。
ポートフォリオ間の内部資金取引には、市場金利等をベースにした仕切りレートを、トランスファー・プライス(以下「TP」)として設定しております。
≪ポートフォリオ別資産の概要、期末残高≫ (単位:億円)
(注) 1.円金利ポートフォリオから調達サイド(貯金等)を除いたものとなります。
2.クレジット・ポートフォリオ、外国国債ポートフォリオ、株式ポートフォリオ、オルタナティブ・ポートフォリオ、ファイナンス・ポートフォリオの合計となります。
3.戦略投資領域は、オルタナティブ資産(プライベートエクイティファンド、不動産ファンド(エクイティ)等)、不動産ファンド(デット)、ダイレクトレンディングファンド、インフラデットファンド等であります。
2.ポートフォリオ別平残・損益の概要
(単位:平残/兆円、損益/億円)
(注) ポートフォリオ別平残は、期首残高と期末残高の平均であります。
ポートフォリオ別損益は、以下により算出しており、各ポートフォリオの損益の合計は当行の経常利益に概ね一致します。
損益=資金収支等(資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む))+役務取引等収支(役務取引等収益-役務取引等費用)-経費(損益計算書上の営業経費に相当)
資金収支等は、社外との実際の取引、社内の内部取引(TPを設定)を、各ポートフォリオに帰属させ、その収益・費用を計上しております。例えば、円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)には、貯金で調達した資金を同期間の国債で運用した利鞘等を、リスク性資産には、国債レート(TP)の社内取引で調達した資金を同期間の社債等で運用した利鞘(信用スプレッド)等を、計上しております。
役務取引等に係る収益・費用は、大部分が為替・決済業務や投資信託販売手数料などサービス・商品販売に係る手数料とその費用であり、主に円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)に計上しております。
経費は、以下により各ポートフォリオに帰属させていますが、そのほとんどは円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)に計上しております。
① 各ポートフォリオに直接帰属させることが可能な経費
ア 特定のポートフォリオと関係の深い部署の経費は、当該ポートフォリオに賦課
イ 複数のポートフォリオと関係の深い部署の経費は、業務に従事する社員数等に応じて各ポートフォリオに配賦
② 各ポートフォリオに直接帰属させることができない経費
各ポートフォリオの業務に従事する社員数に応じて配賦
以上により算出したポートフォリオ別損益を概観しますと、当行全体の経費のほとんどが賦課されることから、円金利ポートフォリオの損益は赤字となっております。しかし、日本銀行の政策金利引き上げを受けた国内金利の上昇により、円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)がALM部署から受け取るTP収益が増加したことから、損益は改善しており、今後も国内金利の上昇が継続する場合は、更なる回復が期待されます。一方、リスク性資産の収益は、引き続きポートフォリオ全体の収益確保に貢献しております。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用の上、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法、マーケット・リスク相当額の算出においては標準的方式を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
単体自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
(1) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
(2) 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
(3) 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
(4) 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(1)から(3)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
重要な契約等は、次のとおりであります。
日本郵便株式会社は、日本郵便株式会社法により、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金・債権債務の決済の役務、簡易に利用できる生命保険の役務を、利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国で公平に利用できるようにするユニバーサルサービス義務を、日本郵政株式会社とともに負っています。このうち簡易な貯蓄、送金・債権債務の決済の役務の業務を、銀行代理業として提供するために、日本郵便株式会社は、当行との間で銀行窓口業務契約を締結しており(日本郵便株式会社法第2条第2項、同法第4条第1項、同法第5条)、当行定款にもこの旨規定しております。
銀行窓口業務契約では、日本郵便株式会社が、当行を関連銀行として、ユニバーサルサービス(通常貯金、定額貯金、定期貯金、普通為替、定額小為替、通常払込み、電信振替)の銀行窓口業務を営むこととしております。
なお、本契約は、銀行窓口業務の健全・適切な運営確保の観点から特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り解除できないものと定めております。
当行は、上記(1)の銀行窓口業務契約で定めたユニバーサルサービスに関する業務を含め、貯金の受払いや国債・投資信託の募集の取扱等の業務を委託するため、日本郵便株式会社との間で銀行代理業に係る業務の委託契約、金融商品仲介業に係る業務の委託契約を締結しております。
なお、本契約は、解除協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。また、銀行窓口業務に該当する業務については、銀行窓口業務契約に定めがある場合を除くほか、銀行代理業に係る業務の委託契約の定めるところによるものとしております。
当行は、日本郵便株式会社との間で、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)より受託した郵便貯金管理業務の一部について、日本郵便株式会社が郵便貯金管理業務を営むこととする再委託契約を締結しております。本契約は、以下(5)の契約と同様、解除協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。
当行は、日本郵便株式会社との間で、上記(1)~(3)に係る業務の対価としての委託手数料の算定方法等を定めた支払要領を締結し、日本郵便株式会社に対して委託手数料を支払っております。
2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。郵便局ネットワークの維持に要する費用は、従来、日本郵便株式会社と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われておりましたが、当該費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、本法に基づき、2019年度から、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として、郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われております。
これに伴い、日本郵便株式会社の委託業務に係る費用は、これまでの委託手数料から、交付金と新たな委託手数料で賄われることになっております。
具体的には、2019年度以降の委託手数料については、従来の算定方法を変更し、以下の算定方法により支払っております。
(基本委託手数料)
委託手数料は、「基本委託手数料(貯金、投資信託、送金決済等の事務に対する手数料)」と「営業・事務報奨」から構成されております。
基本委託手数料は、当行の管理会計により毎年算出した単位業務コストをベースに、日本郵便株式会社での取扱実績等に基づき、委託業務コストに見合う額を算出し、その前年度からの増減率を、前年度の基本委託手数料に乗じて算出しております。
なお、基本委託手数料は、「貯金や投資信託等の預かり資産に係る事務等」、「送金決済その他役務の提供事務等」毎に毎年、料率・単価を設定し、下表の式により支払っております。
(注) 「平均総預かり資産残高」とは、貯金平均残高と投資信託平均残高の合計値です。また、「平均総預かり資産残高」及び「取扱件数」は、日本郵便株式会社の月次の取扱実績によるものであります。なお、本要領は、上記(1)~(3)の契約すべてを解除するまで、効力を有するものと定めております。
2019年度の基本委託手数料は、前年度の基本委託手数料が算定方法を変更する前であり、乗じる対象がないため、委託業務コストに見合う額から交付金で賄われる部分を除いて算出しております。
(営業・事務報奨)
営業目標達成や事務品質向上を確保するため、成果に見合った「営業・事務報奨」を支払っております。
(参考:委託手数料・拠出金の推移) (単位:百万円)
(注) 2024年度の委託手数料(3,028億円)の内訳は、総預かり資産1,380億円、送金等1,239億円、営業・事務報奨408億円であります。
当行は、郵政管理・支援機構との間で郵政管理・支援機構の業務である郵便貯金管理業務(日本郵政公社から承継した郵便貯金の管理に関する業務等)の一部(払戻し、利息支払い等)について、業務委託契約を締結し委託を受けております。
また、当行は、郵政管理・支援機構との間で郵便貯金資産(郵便貯金管理業務の経理を区分する郵便貯金勘定に属する資産)の運用のための貯金(特別貯金)に関する契約を締結しております。本契約は、当行の国債等の安全資産保有額が特別貯金の合計額を下回ってはならないこと、また、特別貯金残高を基準として定める額以上の国債・地方債等を担保として郵政管理・支援機構に提供することを定めております。
なお、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法上、郵便貯金管理業務委託契約の変更又は解除には、総務大臣の認可が必要とされております。
(6) 郵政管理・支援機構の借入金に関する契約(2007年9月12日締結)(期間の定めのない契約)
郵便貯金の預金者・地方公共団体に対し郵政管理・支援機構が保有する貸付債権のバックファイナンスとして、当行は、郵政管理・支援機構との間でその総額に相当する額について、当行からの借入金として郵政管理・支援機構が債務を負うものとする契約を締結しております。
当行は、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険との間で、日本郵政グループ各社の相互の連携・協力、シナジー効果の発揮が、グループ各社、ひいては日本郵政グループ全体の価値を向上させることに鑑み、グループ共通の理念・方針等のグループ運営に係る基本的事項を定め、円滑なグループ運営に資することを目的とした日本郵政グループ協定を締結しております。
この協定を受け、当行は、日本郵政株式会社との間で、日本郵政グループ運営に関する契約等を締結し、グループ運営の重要事項を、同社との事前協議事項(経営理念・経営方針、中期経営計画・年度事業計画の策定・変更等)、同社への報告事項(月次の貸借対照表・損益計算書等)としておりますが、同社は当行の意思決定を妨げ又は拘束しない旨、明定しております。更に、上記協定では、当行を含む同社の事業子会社は、日本郵政グループに属する利益を活用し、自主的・自律的な経営を行う旨、また、この旨を踏まえた上で、同社と日本郵便株式会社が、郵政民営化法第7条の2が規定する基本的な役務(いわゆるユニバーサルサービス)を確保するに当たり、グループとしての総合力を発揮できるよう相互に連携する旨、定めております。
これらの協定・契約等は、当行又は株式会社かんぽ生命保険のいずれかが、それぞれ上記(1)の銀行窓口業務契約又は日本郵便株式会社法第2条第3項に定める保険窓口業務契約を解除するまで存続する旨、また、両社のいずれかが日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合には、必要な見直しを行う旨、定めております。
当行は、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険との間で、日本郵政グループのブランド価値の維持・向上を目的とした商標管理協定、日本郵政株式会社との間で商標管理契約を締結しております。
これらの協定・契約に基づき、当行は日本郵政株式会社が一元的に管理(商標権の取得等)する「ゆうちょ」等の商標の使用を許諾されており、本協定・契約は、上記(7)の日本郵政グループ協定が存続する間存続し、同協定を見直した場合は必要な見直しをする旨、定めております。
上記(7)の契約に基づき、当行は、日本郵政株式会社に対し2015年度から、日本郵政グループに属することによる利益の対価として、ブランド価値使用料を支払っており、本覚書は当該使用料の算定方法等を定めております。
ブランド価値使用料は、「ゆうちょ」等の商標使用料を含んでおり、他の企業グループでの例も参考に、当行が日本郵政グループのブランド力から利益を受ける代表的な業績指標に、当行と日本郵政株式会社が協議し合意した料率を乗じて、各事業年度の支払い総額を算出しております。具体的には、前事業年度の平均貯金残高に0.0023%を乗じた額としております。
上記の算定方法は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り、変更しないものとしております。
(参考:ブランド価値使用料の推移) (単位:百万円)
該当事項はありません。