第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

      当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「美味しいものを、より楽しく、より健康に、より安く」をテーマに、「なりたい自分」を目指すスタッフが個性的な店舗運営を行うことにより、外食の未来を創造する企業として成長を遂げてまいりたいと考えております。その思いをもとに、より多くの人々が楽しく豊かに暮らせる社会を目指して、「食から始まる日本創再生」をVISIONにかかげ、「食」を通してそのエリアの良さを再認識し、持続可能な循環型社会の実現に貢献することを目指しております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、前連結会計年度に2028年7月期を最終年度とする中期経営計画「イノベーティブシナジー 2028」を策定しておりましたが、事業環境の変化を反映し、当連結会計年度におきまして2029年7月期を最終年度とする中期経営計画「イノベーティブシナジー 2029」としてローリングしております。

レストラン事業につきまして、2024年7月期は食材や光熱費の高騰により外食各社が値上げに動く中、当社は重要なKPIとして原価率に焦点をあて、サービス料の設定やマーケットに応じたきめ細やかな施策を通して、トータルの満足度を上げていくことで店舗原価率を低下させることができました。その結果、売上の増加も相まって、レストランの店舗利益率(貢献利益率)が大幅に上昇したことにより、既存店の収益力が向上しました。更に下期に入ると、2023年8月1日に再編した運営子会社の成長もあり、多くのレストラン出店が決定いたしました。2024年7月期下期は矢継ぎ早に5店舗を出店し、2025年7月期以降で5店舗の出店が決定しております。店舗利益率は15%以上を想定しているため、今後の収益の拡大に寄与する見込みです。

エステートビルドアップ事業(EB事業)について、淡路島「Frogs FARM ATMOSPHERE」に関わる年間売上は11億円超となり、訪問客数は年間38万人を超えました。ドッグランなど新たな施設も開業し、総面積は5haを超え、施設数は20施設に拡大しました。2024年3月には「KAMOME SLOW HOTEL」の土地を目標価格で売却することができました。また当エリアにつきましては、エリア活性化による周辺地価の上昇を背景に不動産の含み益が拡大しております。

出雲「WINDY FARM ATMOSPHERE」は2次開発の検討を開始し、今後、エリアの活性化に取り組んでまいります。また「出雲ホテルザクリフ」は、ホテルとしては国内初となるミシュランガイドに選定され1ミシュランキーを獲得し、今後の当社ホテルのブランディングに役立つものと考えております。他エリアについては、南あわじでの開発を始動し、まずは2024年7月にレストラン「TRATTORIA amarancia」の開業を果たしました。2025年7月期からは本格的なエリア開発へと移行してまいります。

このような経営環境のもと、2025年7月期からはレストラン出店のスピードを更に加速させ、エステートビルドアップ事業においても複数のエリアで新たな展開を進めることで、グループの成長を加速してまいります。

 

当社グループの中長期的な会社の経営戦略としては、以下の点を重点的に行ってまいります。

① 基本戦略

イノベーティブシナジー戦略の推進

レストラン事業 出店エリアを厳選した出店(年間6~8店舗以上)

EB事業    淡路島北西海岸及び出雲以外のエリアにおける開業(3ヵ所)、出雲2次開発

 

②重点課題

イノベーティブシナジー戦略推進に関する課題

・既存開発エリアにおける店舗の高収益化と不動産投資回収計画の推進

・新たなエリア開発のための人材採用及び育成強化と魅力あるコンテンツの開発

・投資スキームの更なる進化と深化(多彩なファイナンススキーム、多くの外部企業とのアライア

ンス強化)

組織課題

・運営子会の経営能力の向上及び成長促進

・ITやAIを活用した業務効率化の推進と、より付加価値の高い業務へのシフト

・運営子会社を含めたガバナンス体制強化、リスク管理機能の強化

 

(3)経営環境と対処すべき課題

① 既存開発エリアにおける店舗の高収益化と不動産投資回収計画の推進

当社グループでは、食をベースとした地方創再生プロジェクトとして兵庫県淡路島北西海岸「Frogs FARM ATMOSPHERE」を筆頭に、島根県出雲市西海岸「WINDY FARM ATMOSPHERE」に取り組むことで、地方創生ネットワークの形成を推進しております。レストラン事業よりも大規模な人流の創出を行うことが必要であり、マーケティング戦略の高度化、地域の皆様との協業、旅行会社や外部企業との連携、新たなコンテンツの開発など、様々な角度から徹底的に検討し迅速に実施していくことでプロジェクトの更なる高収益化を目指してまいります。

また、エステートビルドアップ事業では、本来の価値が見過ごされているエリアの不動産開発を行い、食を通じて活性化した不動産の流動化を促進し、新たな収益の創出を目指しています。今後も活性化させたエリアにおける所有不動産の売却を行うことで、新たな収益を実現していくとともに、エステートビルドアップ事業における不動産販売実績を積み上げることで、今後開発していく新たな開発エリアへの投資を呼び込んでまいります。

 

② 新たなエリア開発のための人材採用及び育成強化と魅力あるコンテンツの開発

今後の出店及びエリア開発を見据えると同時に、多くのプロジェクトが進行することが予想されます。人材採用及び育成に関しましては、2024年8月より人事総務部を人事総務本部に再編し、新たに人事部を設立いたしました。これにより、運営会社の人材教育と採用手法の高度化、フィロソフィのボトムアップによる伝播の仕組みを構築し、店舗の開発と運営を担う人材を多数輩出する基盤を構築していきます。また魅力あるコンテンツの開発については2024年4月に、代表取締役佐藤の直轄部隊として想像&創造ブランディング部(以下ICB部という。)を立ち上げ、エリア開発における様々な企画、プロモーションを推進しております。今後、ICB部が当社のエンジンとして魅力あるコンテンツを生み出してくことが期待されています。

 

③ 投資スキームの更なる進化と深化

淡路島西海岸においては、淡路島のエリア不動産開発を目的に、開発資金拠出を企図しNECキャピタルソリューション株式会社と不動産SPCを設立し、地域活性化のノウハウを活かした金融面からのサポートをもらいながら連携しております。また、当社はSBIホールディングス株式会社並びに同グループの投資先企業や提携先金融機関との連携を推進しており、2023年6月30日にはSBIホールディングス株式会社のグループ会社であるSBI地方創生サービシーズ株式会社と全国エリアを対象とした地方創生活性化の為に、迅速な判断と投資を行う事が可能なマザーファンドを設立しております。また2024年3月には当社初のSPC(特別目的会社)を活用した資金調達スキームによる開発物件「KAMOME SLOW HOTEL」の売買を完了し、エステートビルドアップ事業において初めてのイグジットを達成しております。今後も、資金調達先と出口戦略を多様化し、当社独自の安定した投資スキームを構築してまいります。

 

④ 運営子会社の経営能力の向上及び成長推進

今後の出店及びエリア開発を見据え、多くのプロジェクトが進行する中、その運営を行う子会社の経営能力はますます重要となります。2023年8月1日には運営子会社5社を当社に吸収合併し、グループ全体の運営体制を一層強化いたしました。今後は店舗運営子会社制度を更に強化し、人材の育成やオペレーション能力向上など更なる発展を目指してまいります。

現在、運営子会社の経営幹部が自社の店舗運営の課題や人材育成の状況を分析し、経営方針や戦略を策定することで各社独自の事業推進を開始しております。今後、各社の経営会議を強化することで、経営能力の向上及び各社成長のための取り組みを実施してまいります。グループ横断の取り組みとしては、グループ経営会議による成功事例の横展開や課題の共有、経営者間でのアドバイスを行うことで全体の経営レベルの向上を図ります。

 

⑤ ITやAIを活用した業務効率化の推進と、より付加価値の高い業務へのシフト

今後多くの新規出店や店舗数の拡大が見込まれる中、本部の人員増員を伴わずに業務を遂行していく必要があります。現在、人事総務部門、経理部門でITの導入を進めておりますが、今後はこれを更に加速させ、営業部門や企画部門に展開することで、全社的な省力化を推進していきます。またそこで削減された工数を企業成長に必要な業務や、戦略立案・遂行に関わる業務に引き当てていくことでより付加価値の高い業務の執行を目指してまいります。

 

⑥ 運営子会社を含めたガバナンス体制とリスク管理機能の強化

今後の事業の成長のためには運営子会社の位置付けが非常に重要となりますが、現在、運営子会社を含めガバナンス体制を強化するため運営子会社経営幹部向けの勉強会を実施し、ガバナンス体制の強化を図っております。また不動産関連の事業の拡大により、不動産の市場価格、金利の上昇など、レストラン事業とは違ったリスクが発生しております。ガバナンス体制を強化するとともにリスク管理を徹底し、投資意思決定時のリスク分析や事業への影響分析などを適宜行うことでリスクへの対応力を強化してまいります。

当社は、2023年9月14日公表「分配可能額を超えた剰余金の配当に関する調査委員会設置のお知らせ」及び2023年10月4日公表「分配可能額を超えた剰余金の配当に関する一連の経緯及び再発防止策について」でお知らせしましたとおり、2022年7月期の期末配当及び2023年7月期中の中間配当につきまして、会社法及び会社計算規則により算定した分配可能額を超えて配当金の支払いを行ったことが判明したため、外部調査委員会による調査を実施いたしました。当社は2024年10月29日の第33期定時株主総会で取締役会の監督機能を強化し、コーポレートガバナンスを強化することにより、経営の透明性を一層向上させるとともに意思決定のさらなる迅速化を実現するため、監査等委員会設置会社へ移行することを決議いたしました。また外部からの採用を実施し、経営管理部の人員を拡充することで専門人材を強化するとともに、配当関連業務におきましては業務プロセスの整備を完了させております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、企業価値を持続的に高めていくことが経営上の重要課題だと認識しており、売上高成長率及び営業利益率などの経営指標を重視しております。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は「食から始まる日本創再生」をVISIONに掲げ、地方創生を目指して事業活動を行っております。私たちは「食」を通してそのエリアの良さを再認識し、持続可能な循環型社会の実現に向けて、ステークホルダーの皆様と一緒に取り組んでまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社はサステナビリティ委員会がサステナビリティ関連(気候変動、人的資本を含む)のリスク及び機会を分析し、推進体制の構築・整備及び目標の策定と進捗管理を行っております。サステナビリティ委員会は取締役会に対して重要事項の上程及び報告を実施し、取締役会の監督・指示を受けながらサステナビリティの推進を行っております。またサステナビリティ関連(気候変動、人的資本を含む)のリスクについては一部、リスク管理委員会でも発生可能性と影響度を分析し、取締役会に報告することで監視を強化しております。

 サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会の構成については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

(2)戦略

 ESGに関わる課題を抽出し、当社にとっての影響度及びステークホルダーにとっての重要度の観点より、当社のマテリアリティを特定いたしました。

区分

マテリアリティ

施策

環境

気候変動への対応

・店舗でのエネルギー、廃棄物、仕入管理の強化

・再生可能エネルギーシステムの導入

資源循環の推進

・店舗でのプラスチック製品の削減

・店舗での備品・什器のリユース製品の活用

社会

「食」を起点とした社会課題への取り組み

・地方創生への取り組み強化

・豊かな食生活とライフスタイルの提案

従業員とのエンゲージメント強化

・スタッフの自己実現への支援

・地方での採用及び都市部と地方での柔軟な働き方の推進

ガバナンス

リスク管理の強化

・EB事業での不動産にかかるリスク管理強化

 気候変動におきましてはシナリオ分析において産業革命前と比べ2100年までに世界の平均気温が4℃上昇するシナリオと、上昇を1.5℃に抑える1.5℃シナリオを採用し、各シナリオにおいて政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施いたしました。

 移行リスクでは炭素税の引き上げによる税負担の増加、食材・輸送費・エネルギーコストの増加が大きなリスクとして挙げられますが、引き続き、その近隣地域の食材の有効活用を推進することで仕入コストの上昇を抑えることや店舗別のエネルギー管理を強化することで光熱費の上昇に備えてまいります。

 物理リスクでは長期的に平均気温の上昇や降水・気象パターンの変化、異常気象の激甚化により農作物の価格高騰や品質低下、来店者数が減少する可能性がありますが、気候や食材にあわせた柔軟なメニューの開発を進めることで対応していけると考えております。

 エステートビルドアップ事業ではエリア開発における再生可能エネルギーの導入や地産地消型のエネルギーシステムの構築など、そのエリアの環境面や防災面での提案を行うことでよりその地域への貢献を進めてまいります。また地域の農家、畜産業者、漁業関係者の皆様との連携により地域の食材の活用を進めることで品質のよい食材を安定的に仕入れることを行い、更には当社自ら地域での農業に取り組んでいくことで、従業員や地域の皆様と「環境と食」の問題を考えてまいります。

人材の育成方針につきましては、今後の出店及びエリア開発を見据えた場合、同時に多くのプロジェクトが進行することになるため、その運営を行う子会社の経営能力が非常に重要となります。2023年8月1日には運営子会社5社を当社に吸収合併いたしました。今後は店舗運営子会社制度を更に強化し、人材の育成やオペレーション能力向上など更なる発展を目指してまいります。現在、運営子会社の経営幹部が自社の店舗運営の課題や人材育成の状況を分析し、経営方針や戦略を策定することで各社独自の事業推進を開始しております。今後、各社の経営会議を強化することで、経営能力の向上及び各社成長のための取り組みを実施してまいります。グループ横断の取り組みとしては、グループ経営会議による成功事例の横展開や課題の共有、経営者間でのアドバイスを行うことで全体の経営レベルの向上を図ります。また本部主催の経営管理やコンプライアンス等に関する各種勉強会を実施し、基本的な経営知識の底上げを行ってまいります。

社内環境整備に関する方針につきましては、店舗において、来店いただいたお客様へ十分なサービスを提供し続けるためには従業員の健康が第一であるという考えより、健康診断の内容の充実、毎日の衛生管理の強化、自身の健康への取り組みの推進を行っております。グループ会社を含めた健康経営を推進することで、従業員が生き生きと活躍できる職場環境を整備してまいります。

 気候変動に関する戦略は「2022年7月統合報告書 第4章 未来をともにつくる(環境)」をご参照ください。(https://ir.balnibarbi.com/library/integrated_report.php)

(3)リスク管理

 サステナビリティ関連(気候変動、人的資本を含む)のリスク及び機会については、サステナビリティ委員会が当社に関連する社会のメガトレンド別のリスク及び機会を抽出・分析することで、当社にとって重要なリスク及び機会の認識を行っております。重要なリスク及び機会は取締役会に報告され、事業戦略立案において考慮されております。

 また、サステナビリティ関連(気候変動、人的資本を含む)のリスクについてはリスク管理委員会でリストアップされ、発生の可能性と発生した場合の影響度を分析し、リスクに対する監視を強化しております。

 リスク及び機会の詳細は、「2022年7月期統合報告書第 3章 リスク・機会認識とマテリアリティの特定」をご参照ください。(https://ir.balnibarbi.com/library/integrated_report.php)

(4)指標及び目標

 環境・社会課題を解決するための取り組みとしては、中期経営計画及び「エコ・ファーストの約束」により指標や目標を設定、進捗管理し、実効性が向上する施策を推進しています。特定したリスクや機会に関して、リスク低減あるいは機会獲得の進捗を評価するために、指標を設定し定期的にモニタリングしています。

(重要な指標及び目標:廃棄物の排出量削減)

テーマ

指標と目標

実績(2023年7月期)

実績(2024年7月期)

生ごみ排出量の削減

基幹店舗に順次生ごみ処理機を導入

関東:シエロイリオ

関西:GARB weeks

淡路島、出雲

関東:両国テラス

関西:GARB weeks

淡路島、出雲

東京 20t、大阪10t、淡路島18t、年間合計48tの削減を達成

目標は概ね達成

目標は概ね達成

割り箸等の有料化

テイクアウト商品販売時において、割り箸・プラスチック製のスプーン・フォークの無料提供を廃止

実施完了

実施完了

石油系プラスチックからの脱却

2026年までに全店舗を対象として、石油系プラスチック素材のストロー使用をゼロにする

70%程度の達成率

75%程度の達成率

スタッフの環境保全への意識向上

2022年7月までに、オフィス内でのペットボトル使用を原則禁止とする

実施完了

実施完了

 自社の事業活動で排出するGHG排出量(Scope1・Scope2)を算定いたしました。今後はGHG排出量を削減する取り組みを推進していきます。2030年には2021年を基準として42%の削減、2050年には排出量実質ゼロを目指し、エネルギーの効率的な使用や太陽光発電設備の導入を進めてまいります。

 Scope3については現在算定中ですが、主に輸送や廃棄物、仕入食材にかかるGHG排出量を把握し、スタッフ一人ひとりが意識を高めることにより、通常のオペレーションの中でGHG排出量を削減してまいります。

GHG排出量(単位t-CO2)

 

2021年7月期

2022年7月期

2023年7月期

Scope1

2,300

2,347

2,133

Scope2

5,855

5,881

6,193

※2024年7月期は算定中です。

 また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。健康経営に関する勉強会は2025年7月期より実施いたします。

指標

目標

実績(2024年7月期)

子会社を含む経営幹部へのコンプライアンス勉強会の実施

出席率100

96.5

グループ経営会議の実施

1の実施

1回の実施

子会社を含む経営幹部への健康経営に関する勉強会の実施

出席率100

    

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1) 出店計画について

当社グループでは、新規出店を行うために1年以上の期間を要することもあり、当社グループの年度予算は出店計画を踏まえて作成されております。そのため、新規出店が予定どおり行われない場合もしくは出店時期が何らかの事情により延期となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、新規出店が多く重なる場合、広告宣伝費、人件費、消耗品費等の出店コストが先行して発生するため、短期的な損失が計上される可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、新規プロジェクト並びに新規出店の進捗に対しては、取締役会並びに経営会議にて個別にきめ細やかな報告と確認を随時行っております。

また出店コストに関しましても、新規プロジェクト並びに新規出店に対して、適時検討を行い、適正なコストを目指しております。

 

(2) 店舗コンセプトについて

当社グループが運営する店舗は、短期的な流行に左右されず、周囲の良好な環境、デザインされた空間、リーズナブルな価格設定により、顧客ニーズの獲得に努めておりますが、今後の景況感、市況動向、外食に係る顧客の消費、嗜好の変化等により、当社グループが展開する店舗のコンセプト、価格帯、料理、サービス等が受け入れられない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、出店検討を行う時点より、周辺マーケットの調査、当社の類似環境店舗における顧客ニーズ、これまでのノウハウなどを統括し、店舗コンセプトの策定を行っております。

 

(3) 季節変動及び天候の影響について

当社グループの運営する店舗の大半は、周囲の環境との一体化を図るデザインをしているので、天候の影響を受けやすく、特にテラス席の稼働状況が店舗収益に大きな影響を与えます。当社グループといたしましては、テラス席の稼働日数を増加させるため、雨除けや冷暖房設備の工夫などのノウハウを構築しておりますが、極寒期である1月から2月の店舗収益は大幅に減少する傾向にあり、季節変動及び天候が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、継続的により快適なテラス利用の企画開発及び、天候や季節変動に伴う来客予測に基づく仕入や人件費コントロールを行っております。

 

(4) 競合について

レストラン業界は厳しい競合状態が続いており、顧客からの支持を得られないレストランは継続的な経営が困難な状況となることがあります。当社グループでは、「ガーブ」「グッドモーニングカフェ」などの同一ブランドを使用している店舗であっても、その周辺環境などを考慮し、店舗ごとにプランニングを行うことでチェーン店にはない魅力のある店舗づくりにより顧客満足度の向上を図っておりますが、さらに競合状態が激化し、当社グループのレストランの魅力が相対的に低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、店舗ごとにプランニングされたチェーン店にはない魅力ある店舗運営に関するノウハウの蓄積を継続して行うことで、顧客満足度の高いレストランの運営に努めております。

 

(5) 海外飲食企業とのライセンス契約について

当社グループでは、海外飲食企業とのライセンス契約に基づく店舗運営を行っておりますが、ライセンス契約が更新されない場合、事業の継続が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、ライセンス先との情報交換を適宜行うことで、友好な関係の維持に努めております。

 

(6) 不動産賃貸借契約について

当社グループの店舗は、不動産賃貸借契約に基づき運営を行っておりますが、店舗家賃の高騰リスク、定期借家契約に基づく解約リスク、賃貸人の経営状況悪化等に伴う差入保証金返還リスク等のリスクが内在しており、リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、該当するリスクのある店舗につきましては、土地・建物・借地権の取得など、その不動産を保有することで店舗運営の安定化による収益の確保に加え、不動産価値の上昇による財務体質の改善に努めております。

 

(7) 商標管理について

当社グループが展開する店舗ブランドにつきましては、原則として商標登録を行っており、当社グループが保有する商標について、第三者の商標権等を侵害している事実はありませんが、第三者の商標権を侵害していると認定され、その結果、使用差し止め、使用料・損害賠償等の支払いを請求された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループの関連部署において適宜調査を行った上で商標登録を行っております。

 

(8) エネルギー価格の高騰について

当社グループは主となるレストランの出店に加え、自社商品の製造を行う工場や自社農園等を展開しておりますが、昨今の石炭・液化天然ガスの需要の高まりによる電気代・軽油費等のエネルギー価格の高騰等が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは店舗損益管理の高度化を図ると共に、店舗における太陽光発電パネルの設置や再生可能エネルギーの利用推進によりエネルギーの自給自足を目指しております。

 

(9) 食材の調達及び安全性について

当社グループにおきましては、特定の食材に依存している事実はありませんが、食材に関わる安全性の問題や原材料価格の高騰等の事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが使用する食材について、食中毒、異物混入など安全性が疑われる問題が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは原材料の複数の仕入ルートの確保及び、法定の食品衛生に加え、定期的な店舗衛生検査の実施、食品衛生管理者の設置、従業員の健康状態の確認や手洗い・消毒の励行などにより、安全な商品を提供するための衛生管理を徹底しております。

 

(10)人材の確保及び育成について

当社グループの成長の源泉は、スタッフのモチベーションの向上とそのスタッフを統率するリーダーである店舗運営子会社の経営陣の育成にあるものと認識しております。当社グループでは、デザイン性、ファッション性に優れた店舗展開とマニュアルによらないスタッフの創意工夫に基づいた店舗運営方針により、十分な採用力を有していると認識しておりますが、リーダーとなる幹部スタッフの育成の遅延や何らかの理由によるレピュテーションの低下により、人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、社内外から広く人材の発掘を行い、その人材の個々に合わせたきめ細やかな育成への取り組みを継続的に行っております。

 

(11)自然災害について

当社グループの運営する店舗において、異常気象及び地震並びに台風等の天変地異により、お客様の来店が困難な状況が続き来客数が減少した場合、また店舗の破損等に伴う修繕費や除却損等の多額の費用が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、自然災害などの緊急時において、お客様の人命と安全の確保を第一として、お客様に近い店舗運営子会社の経営陣と適宜情報交換を行い、店舗の営業中止などの迅速な判断を行い、災害発生の際に損害を最小限に抑えるよう努めております。

 

(12)新型コロナウイルスなどの感染症に関するリスクについて

新型コロナウイルス感染症などの感染が再び拡大した場合、個人消費の低迷や警戒心による来客数の減少、政府や行政の緊急事態宣言などに応じた臨時休業や営業時間の短縮等の実施を余儀なくされた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、店舗での感染リスクに備え、従業員の検温や健康状態の確認、手洗い・消毒の徹底、店舗内の換気や間隔を空けた席配置などの取り組みを実施するとともに、銀行借入による資金調達、政府及び自治体からの各種助成金等の活用に加え、賃料の減免交渉などのコスト削減を図り企業の体制強化に努めております。

また、今後の顧客のニーズの変化に対応したデリバリーや通販などのサービスや商品の開発にも取り組み収益力の向上に努めてまいります。

 

(13)減損損失について

当社グループが保有している固定資産について、市場価格の著しい下落、予期しない環境の変化や競争の激化による店舗収益の低下等により、減損損失の兆候を認識し減損損失を計上するリスクがあり、これらの資産について減損損失の認識が必要となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、月次決算において店舗ごとの損益の把握を踏まえた各種施策を実施すること等により店舗ごとの利益管理を継続的に行っております。

 

(14)金利の動向について

当社グループでは、周囲の環境デザインへの取り込みや商業施設等との賃貸契約の条件交渉により、初期投資を軽減させ、財務健全性の確保を目指しております。現在のところ、出店資金及び運転資金の調達は借入金利が低水準で推移していることから、主に金融機関からの借入により調達しております。今後の出店等に伴う資金調達についても、経済情勢や金利動向、財務バランスを勘案し、金融機関からの借入も行う予定としておりますが、借入金利が上昇した場合には、当社グループの業績、財務健全性に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループの関連部署において、より有利な資金調達方法や金利の動向について継続的な情報収集を行っております。

 

(15)法的規制について

当社グループでは、会社法、金融商品取引法、法人税法などの一般的な法令に加え、食品衛生法、食品安全基本法、健康増進法、労働基準法、消防法、個人情報保護法などレストランの営業に関わる各種法的規制を受けております。これらの法的規制に変更が生じた場合、それに対応するための新たな費用が発生する場合があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、これらの法的規制に抵触する事態が生じた場合には、当社グループの事業活動及びレピュテ―ションに影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループの関連部署において法的規制について継続的な情報収集を行っております。

 

(16)アルバイト就業者への社会保険加入義務化の適用基準拡大について

当社グループでは、各店舗において多数のアルバイト就業者を雇用しており、社会保険加入義務化の適用基準拡大等の法改正の動向により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは法令遵守を第一に、より緻密な人件費コントロールのノウハウの構築と蓄積を進めております。

 

(17)経営陣への依存について

当社グループの経営方針及び事業戦略は、現経営陣にその大半を依存しており、現経営陣が当社グループの経営執行を継続することが困難となった場合、店舗運営については店舗運営子会社及び事業子会社に権限を移譲しているため、短期的には事業運営への支障は少ないものの、中長期的な当社グループの成長に影響を与える可能性があります。

このため、当社グループでは社内外から広く人材の発掘を行い、その人材の個々に合わせたきめ細やかな育成への取り組みを継続的に行っております。

 

(18)不動産開発のリスクについて

当社グループでは、用地取得、開発、建設等の各段階において投資を行っており、投資回収までには一定の年月を要します。特にエステートビルドアップ事業におけるエリア開発に要する期間及び投資額は、不動産需要の変化、天候、自然災害、事故、不祥事、請負業者の倒産、政府の規制または政策の変更、市場環境の変化、規制当局からの許認可の取得の遅延、その他予期し得ない問題等、多くの要因により影響を受け、コストの増加、開発スケジュールの遅延等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績等および当社グループの市場での評価が影響を受ける可能性があります。

このため、不動産取得におきましては適切な計画立案・推進および施工管理を行うと共に、不動産価値向上を目的としたアライアンスによるファイナンススキームとして、アライアンス先が設立する不動産SPC(特別目的会社)を活用したスキームを主としております。なお比較的小さな規模の案件の場合、土地のみならず建物についても自己資金で取得する場合もありますが、物件売却後も施設の運営は当社が実施することで店舗の空気感を崩すことなく継続することが可能です。

 

(19)資産価値変動リスクについて

当社グループは、エステートビルドアップ事業に関連して、有形・無形固定資産及び販売用不動産等の棚卸資産を多く保有しております。当該資産については、開発の遅延等による保有期間の長期化によりマーケット価格の変動に影響を受けたり、投資家の要求する不動産の投資期待利回りの上昇等により、資産価値の変動リスクを負うことがあります。また、市場金利の上昇により、所有する資産価値が低下する可能性があります。

このため、当社グループは、マーケットにおける資産価値変動の要因・動向を注視するとともに商品企画やサービスの向上等を通じた市場競争力の強化により、資産価値変動リスクの軽減に努めております。

 

(20)サステナビリティへの取り組み

当社グループは、2021年2月17日に環境省より「エコ・ファースト企業」に認定されております。また持続可能な循環型社会の実現に向けた最大のマテリアリティは「食を起点とした社会課題解決への取り組み」だと考えております。中でも、地方創生への取り組みを最重要課題と捉えており、地方の活性化や住みやすい街づくりへ貢献してまいります。また地方で大規模なエリア開発を行うことで地球温暖化防止に向けた気候変動の取り組み、資源循環や生態系保全への取り組みを推進しやすいフィールドを拡大しております。

また2022年10月にサステナビリティ基本方針を策定し、サステナビリティ委員会及びサステナビリティ専門部署(サステナビリティ推進課)を発足し、サステナビリティへの取り組みを強化するとともに、全社の取り組みに関して監督及び経営層への報告のサイクルを進めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の活発化に伴い、個人消費の回復やインバウンド需要の増加を背景に、景気は穏やかな回復がみられた一方で、エネルギー・原材料価格の高騰、円安等に起因して物価が上昇する等、先行きは依然として不透明な状況であります。外食業界におきましては、来店客数に回復の動きがみられつつある中で景況感に回復の兆しがみられたものの、物価上昇や労働者不足などにより厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社グループでは、新たな成長戦略として「イノベーティブシナジー戦略」を掲げ、従来の「レストラン事業」におけるバッドロケーション戦略での出店で培ったノウハウや知見をもとに、食をベースに総合的なエリア開発を行うことで活性化した不動産の流動化により新たな収益を見込む「エステートビルドアップ事業」を2つ目の成長戦略の柱とし、「食から始まる日本創再生」に取り組んでおります。

レストラン事業においては、ニューノーマルのライフスタイルにおける新しい外食時間として、時間の概念にとらわれず楽しんでいただけるメニューの提案や空間づくりに取り組むと共に、顧客体験の向上と収益の最大化を目指し、既存店の再構築を進めております。2023年8月に再編した店舗運営子会社を中心に、その店舗のマーケットや環境に適したきめ細やかなサービス内容の拡充や価格帯の見直し、業態変更等を含む総合的なアプローチなどにより、お客様の潜在的なニーズに応えることで付加価値を高め、市場競争力の一層の強化を図るべく、グループ一丸となって取り組みを行っております。また定期的なメニューの見直しやサービスの改善を行うことで、お客様により満足度の高い体験を提供することを目指すことにより、多くのお客様に喜んでいただける環境を整備し、成長戦略の一環として、今後のレストラン事業拡大を見据えています。また不動産ディベロッパーや自治体からの出店要請は引き続き強いニーズがあると考えられ、出店エリアを厳選したうえで新規出店に伴う運営体制の構築に取り組んでおります。

エステートビルドアップ事業においては淡路島北西海岸を舞台に展開する食を通じた地方創再生プロジェクト「Frogs FARM ATMOSPHERE」におきまして、飲食店、宿泊施設の展開等、現在20施設を展開しており、地域の皆さまや賛同者との協業を推進しております。廃校をリノベーションし雇用の創出、定住人口・交流人口の増加、地元交流を目的にした「SAKIA」につきましては、地域資源を活用した官民連携サテライトオフィス拠点整備事業に参画し、企業や起業家のワーケーション、サテライトオフィス利用や淡路島でのビジネスやお試し移住体験に向けた中長期滞在先など、多様なニーズに応える施設として新たにワーキングスペース機能や宿泊機能等を整備し、2024年4月に開設いたしました。さらに、2024年7月には新たに淡路島南岸において、約900坪を占めるエリアを開発し、レストランを出店いたしました。今後、島全体の周遊を促進するとともに、四国からのアクセスの良さを活かし、今後開業予定のホテルとも連携しながら淡路島に新たな観光客を呼び込む拠点としての役割を果たします。また2023年5月開業いたしました島根県出雲市西海岸における観光、二拠点ライフ、移住を見据えた地方創再生プロジェクト「WINDY FARM ATMOSPHERE」につきましては、レストラン、宿泊施設の運営を強化すると共に、パーキングエリアを活用したアウトドアスタイルのウェディングプランの構築など様々な施策に取り組んでおります。現在、開発エリアを拡大するための準備を実施しておりますが、より多様な施設やサービスを提供できるよう、自治体や地域企業と連携しながら地方創生の取り組みを推進いたします。

また株主の皆様に適正な利益還元を行うこと及び当社サービスをご利用いただきより理解を深めていただくことを目的として、株主優待制度の拡充及び電子化を2023年7月末基準日より導入いたしました。株主優待制度の電子化につきましては株主様の利便性の向上を図るとともに、当社の事務効率化やコストの抑制につながり、株主様への更なる還元が可能となると考えております。

当連結会計年度における当社及び連結子会社の店舗の増減といたしましては、レストラン事業のバッドロケーションデベロッパーにおいて3店舗をクローズ、不動産デベロッパーにおいて3店舗をオープン、1店舗をクローズ、行政公共機関において2店舗をオープン、大学・その他において1店舗をクローズ、期間限定店舗2店舗をオープン、期間限定店舗を2店舗クローズ、エステートビルドアップ事業において1店舗をオープン、1店舗をクローズし、当連結会計年度末における当社グループの運営する店舗数は96店舗となっております。

 

 

a.財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,345,553千円増加し、10,171,735千円となりました。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ893,597千円増加し、6,742,968千円となりました。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ451,956千円増加し、3,428,767千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における当社グループの売上高は13,452,987千円(前年同期比0.7%増)、営業利益は647,933千円(前年同期比44.2%減)、経常利益646,965千円(前年同期比41.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益538,220千円(前年同期比20.1%減)となっております。

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

 

(a)レストラン事業

店舗運営におきましては、店舗運営子会社における各店舗の状況に合わせたきめ細かい店舗運営に取り組み、ビアガーデンやバーベキュー、こたつテラス等季節に応じた店舗運営、営業企画やイベントの立案、ソーシャルディスタンスを保った安心安全なテラスの活用や、顧客満足度の向上と収益性を安定させる取り組みを実施しております。

この結果、当連結会計年度における売上高は12,069,331千円(前年同期比10.1%増)となり、セグメント利益は436,238千円(前年同期比688.2%増)となりました。

 

ⅰ バッドロケーション

バッドロケーション戦略におきましては、大型・複合型物件の開発を進める一方で、行政や大手デベロッパーとの連携により様々なソーシャルプロジェクト等へ参画を行うことで、食をベースに複合的な店舗開発を推進しております。また引き続き、バッドロケーション戦略の店舗の運営安定化を目的に不動産定期借家契約による退店リスクのある物件につきましては土地、建物、借地権取得等不動産保有を推進し、店舗運営の安定化による収益性確保、不動産価値向上による財務体質の改善に努めております。東京都台東区の複合商業施設「ミラー」の譲渡に伴い、2023年12月には同ビル内にて運営しておりました「シエロ イ リオ」、「リバヨン」、「プリバード」をクローズしております。

この結果、当連結会計年度末におけるバッドロケーション戦略の店舗数は、関東地区17店舗、関西地区7店舗、その他地域2店舗の計26店舗となり、当連結会計年度における売上高は3,556,829千円(前年同期比6.9%増)となりました。

 

ⅱ 不動産デベロッパー

不動産デベロッパー戦略におきましては、好立地、特別な店舗家賃での誘致や初期投資の軽減等好条件での物件獲得を行うことができ、売上規模、収益性、話題性の高い物件を選定することで当社グループの個性を活かした店舗開発を推進しております。2023年8月には大阪市北区のグランフロント北館6階ウメキタフロアにおいて「ノーストランク」をオープン、業務委託契約満了に伴い1店舗をクローズ、2024年4月には奈良県東大寺門前の夢風ひろばにおいて「ナラッド パークサイド」をオープン、2024年6月には2025年4月に全面開業予定の大阪・堺旧港地区の複合施設ポルトマーレ(仮称)において「青いナポリ ウミソバ」をオープンしております。

この結果、当連結会計年度末における不動産デベロッパー戦略の店舗数は、関東地区18店舗、関西地区15店舗、その他地域2店舗の計35店舗となり、当連結会計年度における売上高は5,531,312千円(前年同期比11.3%増)となりました。

 

ⅲ 行政・公共機関

行政・公共機関戦略におきましては、新たな地方自治体との取り組みにおいて、その街ならではのオリジナルな業態の開発、地域活性化イベントの開催等を行い、地方創再生ネットワークの形成を推進しております。2024年7月には堺市民芸術文化ホールに「サカイテラス サルト」をオープン、大阪府泉大津市シーパスパークに「ガーブ グリーンウォーク」をオープンしております。いずれもエリアの活性化や周辺地域の賑わい創出を目的とした公募型プロポーザルで事業者に選定されての出店であり、今後新たな魅力の創出に取り組んでまいります。

 

この結果、当連結会計年度末における行政・公共機関戦略の店舗数は、関西地区13店舗、その他地域1店舗の計14店舗となり、当連結会計年度における売上高は2,126,128千円(前年同期比13.2%増)となりました。

 

ⅳ 大学・その他

大学・その他戦略におきましては、学生のみならず近隣住民へのターゲット層の拡大及びコストコントロールによる収益性改善を進めております。また、顧客の消費動向の変化により拡大した中食需要の取り込みを目的とした通販サイト「CANDLE TABLE」の展開等、顧客満足度の向上と収益性を安定させる取り組みを行っております。2023年12月には冬季期間限定店舗として新潟県魚沼郡のかぐらスキー場に「ぶなキッチン」「スープステーション田代」をオープンし2024年5月にクローズ、2023年12月には長野県北安曇郡のつがいけマウンテンリゾートに「瀬戸内淡路島 中華そばいのうえ」をオープンし、2024年3月にクローズ、2024年1月には契約満了に伴い「ムー ガーデンテラス」をクローズしております。

この結果、当連結会計年度末における大学・その他戦略の店舗数は、関東地区1店舗、 関西地区3店舗の計4店舗となり、当連結会計年度における売上高347,360千円(前年同期比4.0%減)となりました。

 

ⅴ その他の事業

その他の事業におきましては、企業、行政機関等に対して、地域ブランド振興、カフェやレストランの企画・ 開発等のコンサルティングを行っております。

この結果、当連結会計年度における売上高は243,812千円(前年同期比4.2%減)となりました。

 

(b)エステートビルドアップ事業

当社グループでは、食をベースとした地方創再生プロジェクトとして兵庫県淡路島北西海岸「Frogs FARM ATMOSPHERE」を筆頭に、島根県出雲市西海岸「WINDY FARM ATMOSPHERE」に取り組むことで、地方創生ネットワークの形成を推進しております。兵庫県淡路市におきましては、2024年3月に「KAMOME SLOW HOTEL Doggy」をオープン、2024年4月には「KAMOME SLOW HOTEL BEACHD」、「Frogs FARM DOG RUN」をオープン、地域資源を活用したデジタル田園都市国家構想交付金「地方創生テレワーク型」事業を淡路市と連携・活用したサテライトオフィス拠点「SAKIA STAY」をオープンしております。兵庫県南あわじ市におきましては、2024年7月には「トラットリア アマランチャ」をオープンしております。島根県出雲市におきましては、2024年5月に「出雲クリフエンド アイスクリーム」をクローズしております。また、2024年3月には当社初のSPC(特別目的会社)を活用した資金調達スキームによる開発物件「KAMOME SLOW HOTEL」の売買を完了し、エステートビルドアップ事業において初めてのイグジットを達成しております。

この結果、当連結会計年度末におけるエステートビルドアップ事業の店舗数は関西地区13店舗、その他地域4店舗の計17店舗となり、当連結会計年度における売上高は1,647,543千円(前年同期比36.0%減)となり、セグメント利益は211,695千円(前年同期比80.9%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ273,699千円増加し、1,809,182千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は424,674千円(前年同期は548,674千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益578,160千円、減価償却費437,277千円及び販売用不動産の増加500,858千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は784,089千円(前年同期は952,422千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出760,493千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は632,812千円(前年同期は743,466千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金による純増額866,484千円、長期借入れによる収入861,157千円及び長期借入金の返済による支出968,793千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.仕入実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第33期連結会計年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

レストラン事業

3,042,746

104.9

バッドロケーション

924,740

100.7

不動産デベロッパー

1,447,099

107.1

行政・公共機関

553,927

110.8

大学・その他

98,693

89.2

その他の事業

18,286

98.1

エステートビルドアップ事業

299,663

119.2

合計

3,342,410

106.1

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第33期連結会計年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

レストラン事業

11,805,443

109.4

バッドロケーション

3,556,829

106.9

不動産デベロッパー

5,531,312

111.3

行政・公共機関

2,126,128

113.2

大学・その他

347,360

96.0

その他の事業

243,812

95.8

エステートビルドアップ事業

1,647,543

64.0

合計

13,452,987

100.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2022年8月1日

至  2023年7月31日)

当連結会計年度

(自  2023年8月1日

至  2024年7月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社LeTech

1,393,300

10.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

(a)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における流動資産は4,470,347千円となり、前連結会計年度末と比べ374,761千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が266,274千円増加したものの、保有目的の変更等により販売用不動産が574,421千円減少したことによるものであります。固定資産は5,701,388千円となり、前連結会計年度末と比べ1,720,315千円増加いたしました。これは主に建物及び構築物が1,248,227千円、工具、器具及び備品が166,959千円及び土地が243,237千円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は、10,171,735千円となり、前連結会計年度末と比べ1,345,553千円増加いたしました。

 

(負債合計)

当連結会計年度末における流動負債は3,566,760千円となり、前連結会計年度末と比べ1,000,108千円増加いたしました。これは主に短期借入金が866,484千円増加したものの、未払法人税等が234,067千円減少したことによるものであります。固定負債は3,176,207千円となり、前連結会計年度末に比べ106,511千円減少いたしました。これは主に長期借入金が119,541千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は、6,742,968千円となり、前連結会計年度末と比べ893,597千円増加いたしました。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産合計は3,428,767千円となり、前連結会計年度末と比べ451,956千円増加いたしました。これは主に利益剰余金が449,654千円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は32.5%(前連結会計年度末は32.3%)となりました。

 

(b)経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は13,452,987千円となり、前連結会計年度と比較して0.7%の増加となりました。レストラン事業におきましては、堺旧港地区の活性化を目的とした大型出店や公共空間の賑わい創出を目的とした出店等により、12,069,331千円(前年同期比10.1%増)となりました。出店戦略ごとの内訳は、バッドロケーションは、3,556,829千円(前年同期比6.9%増)、不動産デベロッパーは、5,531,312千円(前年同期比11.3%増)、行政・公共機関は、2,126,128千円(前年同期比13.2%増)、大学・その他は347,360千円(前年同期比4.0%減)、その他の事業は、243,812千円(前年同期比4.2%減)となっております。

エステートビルドアップ事業におきましては、食をベースとした地方創再生プロジェクトとして兵庫県淡路島北西海岸「Frogs FARM ATMOSPHERE」における新規出店並びに、兵庫県南あわじ市におけるレストランの出店に加え、2024年3月には当社初のSPC(特別目的会社)を活用した資金調達スキームによる開発物件「KAMOME SLOW HOTEL」を売却したことにより1,647,543千円(前年同期比36.0%減)となっております。

 

(営業損益及び経常損益)

当連結会計年度は、エネルギーや原材料価格の高騰をきめ細やかなコストコントロールにより対応し、利益については営業利益647,933千円(前年同期比44.2%減)となり、さらに営業外収益として受取保険金の計上、営業外費用として支払利息の計上により、経常利益646,965千円(前年同期比41.1%減)となっております。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として補助金収入及び子会社清算益、特別損失として減損損失、固定資産圧縮損及び契約解約損の計上により538,220千円(前年同期比20.1%減)となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営陣は、最大限入手可能な情報に基づき現状の事業環境を確認し、最善の経営戦略を立案し、実行できるよう努めております。

その中でも、当社グループが持続的に成長するために、最も重要となる問題は事業規模の拡大に合わせたリーダーシップを有する人材の確保と育成にあると認識しております。

今後の方針といたしましては、常に社内外からの人材の発掘に努めるとともに、その中からリーダーシップを有する人材を育成するために、店長やシェフの経験だけではなく、運営子会社の幹部に登用して、計数管理、人材採用や人材配置、新規出店、複数店舗のマネジメント、コンプライアンスに関する見識など運営子会社の経営陣として必要な様々な能力を獲得できる成長機会を設けることで、経験の豊かなリーダーを育成してまいります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、レストラン事業における国内外を含む店舗展開、エステートビルドアップ事業における新規事業開発に伴う不動産等取得等に伴うものとなっております。

 

財務政策

当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達をおこなっております。新型コロナウイルス感染症への対応として、主要取引銀行との間で短期でのシンジケーション方式によるコミットメントラインを締結しておりましたが、収益力が回復したことにより長期の約定弁済に切り替えを行っております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

当社グループは企業価値を継続的に高めていくことが経営上の重要課題だと認識しており、売上高成長率及び営業利益率などを経営指標として重視しております。

当連結会計年度における売上高成長率は0.7%(前年同期比33.3ポイント減)、営業利益率は4.8%(前年同期比3.9ポイント減)となりました。昨今の情勢を踏まえてこれらの指標が改善されるように取り組んでまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

公募及び第三者割当増資による新株の発行

当社は、2024年10月7日付の取締役会において、公募及び第三者割当増資による新株の発行を決議しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な後発事象」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。