当第3四半期累計期間における当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生及び前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間末日現在において、当社が判断したものです。
(1)経営成績の状況
当第3四半期累計期間において当社は、米国で非小細胞肺がん※1対象の第二相臨床試験を実施中のがんペプチドワクチン GRN-1201等、がんワクチン、細胞医薬、抗体医薬をモダリティとする新規がん免疫療法の研究開発を推進しました。
米国でのライセンスアウトを目指すGRN-1201は、メラノーマ(悪性黒色腫)を対象とした米国での第一相臨床試験の結果、主要評価項目である安全性・忍容性及び副次評価項目の免疫応答を確認し、現在はより患者数の多い非小細胞肺がんを対象に同じく米国で、免疫チェックポイント阻害剤との併用による第二相臨床試験を進めています。
免疫チェックポイント阻害剤との併用試験は、ワクチンで誘導されたGRN-1201抗原特異的細胞傷害性T細胞が、がん局所でPD1/PD-L1を介して受ける抑制シグナルから免れることにより、単剤の場合を上回るがん免疫誘導が発揮され、主要評価項目の奏効率に結びつくことが期待されます。
iPS-NKTは、NKT細胞※2由来iPS細胞から再分化誘導したNKT細胞を用いる新規他家細胞医薬です。がん細胞を直接殺傷するとともに他の免疫細胞を活性化させる作用を持つものの、体内には微量にしか存在しないNKT細胞を、iPS細胞の高い増殖性を活かして大量に増やし、必要なときに即時提供することができる細胞医薬を目指すものです。
当社は、2018年3月に、国立研究開発法人理化学研究所統合生命医科学研究センターが進める細胞医薬の技術開発と臨床応用に向けたプロジェクトに参画しました。本プロジェクトは、理化学研究所が中心となって日本医療研究開発機構(AMED)の再生医療実現拠点ネットワークプログラム、疾患・組織別実用化研究拠点(拠点B)に採択された「NKT細胞再生によるがん免疫治療技術開発拠点」プロジェクト及び理研創薬・医療技術基盤プログラムのプロジェクトとして進められているもので、頭頸部がんを対象とする医師主導治験が2019年度中をめどに開始される計画となっています。
当社は、理化学研究所からiPS-NKT細胞療法の独占的開発製造販売ライセンスのオプション権を取得し、世界でも初となるiPS再生NKT細胞療法の臨床応用実現に向け、本医師主導治験を全面的に後押しするとともに、医師主導治験の次の企業治験を見据えた製造工程改良を進めています。
③BP2301(HER2 CAR-T)
BP2301は、固形がん(骨肉腫)を対象として、国立大学法人信州大学の中沢洋三教授及び京都府公立大学法人京都府立医科大学の柳生茂希助教らが製法を確立したHER2抗原を認識するHER2 CAR-T細胞療法です。
血液がんで優れた臨床効果を示し承認されたCAR-T(キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞)療法は、より多くの患者がいる固形がんへと適応を拡げるにあたって、がん免疫に抑制がかかる腫瘍微小環境において疲弊し十分に機能を発揮できないという課題がありました。この課題を乗り越えるために、当社は中沢教授らと新規CAR-T細胞培養法を共同開発し、これを中沢教授の非ウイルス遺伝子導入法と組み合わせることにより、疲弊していない若いメモリーフェノタイプのまま体内で長期生存可能なCAR-Tの製造に成功しました。これにより、CAR-T移入後の持続的な抗腫瘍効果発現が期待されます。現在、非臨床試験を進めています。
④BP1401(TLR9アゴニスト)
BP1401は、抗腫瘍効果を持つT細胞が能動的に賦活化される環境を整えるために樹状細胞の受容体TLR9を刺激するTLR9アゴニストです。BP1401による刺激はサイトカインシグナルを介して、賦活化されたT細胞をはじめとする免疫細胞が腫瘍局所に存在していない、いわゆる“Cold Tumor”の状態を、それらが多く存在する“Hot Tumor”へと転換することを図るものです。これにより、抗腫瘍免疫が効果的に働くことが期待されます。
このTLR9アゴニストの有効成分である核酸を脂質に包埋することにより、血中での安定性を高めることで、先行品の腫瘍局所投与のような制限のない静脈投与を可能にすることに、国立大学法人大阪大学の青枝大貴特任准教授、松崎高志特任講師、小山正平助教及び学校法人帝京大学の鈴木亮教授らが成功しました。がん治療薬として世界で臨床でのコンセプトが示されつつあるTLR9アゴニストですが、従来技術では臨床的制約の高い腫瘍内投与でしか用いることができませんでした。BP1401は静脈内投与が可能な新規デリバリーフォーマットを採用し、開発のリスクを低減しつつ、他剤とは大きく差別化された製品です。
当社は、2019年12月にライセンス契約及び共同研究契約を締結しており、これから非臨床試験に入ります。
上記の他、第2四半期に続き、国立研究開発法人国立がん研究センター、国立大学法人東京大学、地方独立行政法人神奈川県立がんセンター、国立大学法人三重大学など各種研究機関との共同研究によるネオアンチゲン※3(遺伝子変異抗原)をターゲットとする完全個別化ネオアンチゲンワクチンや、PD-1の次の世代の免疫チェックポイントを含む免疫調整因子を標的とする抗体医薬の創製も進めています。
この結果、当第3四半期累計期間におきましては、営業損失は1,324,986千円、経常損失は1,323,898千円、四半期純損失は1,337,711千円となりました。
なお、当社は単一事業であり、セグメントは「医薬品開発事業」でありますので、セグメントごとの記載はしておりません。
※1「非小細胞肺がん」:(NSCLC:Non-small cell lung cancer)肺がんは、大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の2種類に分けられる。「非小細胞肺がん」は「小細胞肺がん」に比べ比較的進行が穏やかである一方、化学療法と放射線療法の効果が現れにくいという特徴を有する。日本人においては、肺がん患者の8割以上がこの「非小細胞肺がん」に分類される。「非小細胞肺がん」は更に「腺がん」、「扁平上皮がん」、「大細胞がん」などに分類される。
※2「NKT細胞」:(NKT:Natural Killer T細胞) NKT細胞は、がん細胞を直接殺傷する能力をもつと同時に、他の免疫細胞を活性化させるアジュバント作用をもつ免疫細胞。活性化すると、多様なサイトカインを産生し、自然免疫系に属するNK細胞の活性化と樹状細胞の成熟化を促す。成熟した樹状細胞は、更に獲得免疫系に属するキラーT細胞を増殖・活性化させることで、相乗的に抗腫瘍効果が高まる。また、自然免疫系を同時に活性化させることで、T細胞では殺傷できないMHC陰性のがん細胞に対しても殺傷能を持つ。
※3「ネオアンチゲン」:(Neoantigen) がん細胞に独自の遺伝子異常が起きた際に生じる、遺伝子変異(アミノ酸変異)を含む抗原のこと。個々の患者のがん細胞に生じた独自の遺伝子変異によって発現されるようになったがん特異的な抗原で、正常な細胞には存在しない。免疫系から「非自己」として認識されるネオアンチゲンを標的とすることで、がん細胞を殺傷する免疫を効率よく誘導できるようになることが期待されている。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産は前事業年度末より1,305,985千円減少し、3,998,478千円となりました。これは、現金及び預金が研究開発等に関連する支出により1,303,874千円減少したことが主な要因であります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債は前事業年度末より35,286千円増加し、243,677千円となりました。これは、久留米大学への包括的業務契約に基づくロイヤリティ等の支払により買掛金が27,684千円減少したこと、研究開発費等の増加により流動負債その他の未払金が68,934千円増加したことが主な要因であります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産は前事業年度末より1,341,272千円減少し、3,754,800千円となりました。これは、四半期純損失1,337,711千円を計上したことが主な要因であります。
以上の結果、自己資本比率は前事業年度末の94.7%から92.5%となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期累計期間における研究開発費の総額は、1,057,369千円であります。
当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。