第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第17期

第18期

第19期

第20期

第21期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

11,300

2,504

15,408

5,280

72

経常損失(△)

(千円)

1,823,996

1,738,636

1,481,945

1,473,774

1,158,929

当期純損失(△)

(千円)

1,857,774

1,719,634

1,484,192

1,485,633

1,168,082

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

5,433,211

6,459,712

6,700,382

362,185

650,661

発行済株式総数

(株)

42,101,000

50,817,500

55,253,100

62,891,200

70,741,300

純資産額

(千円)

3,235,237

3,537,642

2,531,475

1,567,541

978,987

総資産額

(千円)

3,474,639

3,749,428

2,771,202

1,701,444

1,230,257

1株当たり純資産額

(円)

75.49

69.10

45.40

24.60

13.52

1株当たり配当額

(円)

(1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純損失金額(△)

(円)

44.20

36.14

28.55

24.90

18.21

潜在株式調整後1株当たり
当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

91.5

93.7

90.5

90.9

77.7

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,784,461

1,769,848

1,512,022

1,204,401

1,156,920

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

106,879

36,211

17,566

1,760

7,648

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

8,521

2,053,090

569,226

432,104

690,959

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

3,018,356

3,265,388

2,305,026

1,530,969

1,057,360

従業員数〔ほか、平均臨時
雇用者数〕

(名)

44

-〕

44

4

38

6

32

1

24

4

株主総利回り

(%)

70.5

63.3

33.4

55.8

21.8

(比較指標:東証グロース市場250指数)

(%)

(51.4)

(99.8)

(65.5)

(62.1)

(61.9)

最高株価

(円)

389

356

199

270

185

最低株価

(円)

170

171

85

61

63

 

(注) 1.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

2.第17期、第18期、第19期、第20期及び第21期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.自己資本利益率については、当期純損失のため記載しておりません。

4.第17期、第18期、第19期、第20期及び第21期の株価収益率については、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。

5.従業員数は就業人員であり、従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員数(派遣社員を含む)の期中平均雇用人員であります。

6.株主総利回りの比較指標については、東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、「東証マザーズ指数」から「東証グロース市場250指数」へ変更されております。

7.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズにおけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場におけるものであります。

 

2 【沿革】

 当社は、がん治療における手術・放射線療法・化学療法に次ぐ「第4の治療法」として、アンメット・メディカル・ニーズ(未だに有効な治療方法がない医療ニーズ)を満たす新規がん治療薬となりうる「がん免疫治療薬」の開発を行っております。当社の事業は、元久留米大学医学部の伊東恭悟教授らが1992年から先駆的に実施したがんペプチドワクチンの基礎研究及び臨床研究の成果を、2003年の設立とともに承継したところから出発しました。

 2016年8月には、本格的な自社創製シーズの開発と、他研究機関との共同研究の拠点として、川崎市殿町のライフイノベーションセンター内に川崎創薬研究所を設置し、免疫調整因子を標的とする抗体医薬の分野に研究領域を拡大しており、さらに、2016年10月以降は、細胞医薬の分野にも研究領域を拡げて、パイプラインの拡充・新薬の開発を進めております。

2017年7月には、がん免疫治療薬分野における最先端のサイエンスを追求し研究領域を拡大・推進していく意思として、会社名を「ブライトパス・バイオ株式会社」に変更いたしました。

 

  

年 月

変遷の内容

2003年5月

福岡県久留米市旭町67番地に当社設立(資本金10,000千円)

2006年1月

ITK-1の去勢抵抗性前立腺がんに対する第Ⅰ相臨床試験を開始

2008年11月

本社を福岡県久留米市百年公園1番1号に移転

2009年6月

東京支社を東京都文京区本郷に設置

2009年7月

ITK-1の膠芽腫及び去勢抵抗性前立腺がんに対する第Ⅰ相臨床試験継続投与試験が完了

2011年11月

富士フイルム株式会社とITK-1に関する独占的ライセンス契約を締結

2013年6月

ITK-1の去勢抵抗性前立腺がん患者に対する第Ⅲ相臨床試験を開始

2014年10月

東京支社を東京都千代田区麹町に移転

2015年6月

ITK-1の去勢抵抗性前立腺がん患者に対する第Ⅲ相臨床試験の中間解析の結果、最終解析における主要評価項目達成の見込みが一定以上あることが示され、効果安全性評価委員会が計画通りの試験継続を推奨

2015年10月

GRN-1201のメラノーマ(悪性黒色腫)患者に対する第Ⅰ相臨床試験を開始

 

東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場

2016年8月

神奈川県川崎市殿町地区に川崎創薬研究所を開所

2017年1月

GRN-1201の免疫チェックポイント阻害剤との併用による非小細胞肺がんに対する米国での第Ⅱ相臨床試験を開始

2017年7月

会社名をブライトパス・バイオ株式会社(BrightPath Biotherapeutics Co., Ltd.)に変更

2018年4月

国立研究開発法人理化学研究所(以下:理研)のiPS細胞由来再生NKT細胞療法開発プロジェクトに参画

2018年5月

ITK-1の去勢抵抗性前立腺がん患者に対する第Ⅲ相臨床試験の開鍵(キーオープン)を実施

2019年5月

ITK-1の開発を中止

2019年6月

本店を神奈川県川崎市川崎区殿町三丁目25番22号に移転

2020年6月

iPS-NKT細胞療法の医師主導治験開始

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しによりマザーズ市場からグロース市場へ移行

2022年5月

HER2 CAR-T細胞療法(BP2301)の医師主導治験開始

2022年5月

GRN-1201の米国第Ⅱ相臨床試験の早期中止を発表

2022年11月

理研に対してiPS-NKTに関わる全世界での独占的開発製造販売権の導入オプションを行使

2024年1月

iPS-NKT細胞療法の頭頸部がん患者に対する第Ⅰ相臨床試験が終了

 

 

 

3 【事業の内容】

 当社は、新規の「がん免疫治療薬」の開発に領域を定める、探索研究から早期臨床試験段階にある複数のパイプラインを有する創薬ベンチャーです。事業モデル、技術の特徴は以下のとおりであります。

 

(1) 事業モデル

 当社の事業モデルは、新規がん免疫治療薬を自社創製もしくは導入し、探索研究から早期臨床試験までを手掛け、国内外の製薬会社に開発製造販売権をライセンスアウトし、ライセンス先からライセンス収入を得るものです。

 医薬品開発は上市までに一般的に10年以上かかり、投資回収までが長く、開発後期段階になるほど要する資金が大きくなるため、ベンチャーで創薬を事業として成立させるためには、開発投資を早期に回収できる仕組みが必要ですが、医薬品産業においては大手製薬企業が開発途上にあるベンチャーが創製するシーズをライセンスインする取引が豊富に行われています。現在は承認薬に至ったシーズのうち、ベンチャーが創製するシーズの数が、従来の大手製薬企業のそれを上回るようになっています。

 


 

 この事業モデルでは、上市前の開発段階で、ライセンス先製薬企業から開発進捗に応じたライセンス関連収入(ライセンス契約締結時の一時金、その後開発進捗に応じて設定したマイルストンを達成する毎に得られる開発マイルストン収入、上市後は製品売上高の一定割合を得る販売ロイヤリティ収入等)を得ることを目指します。ライセンス後もライセンス先企業と共同開発し、開発費の貢献に合わせて将来の利益を按分したり、ライセンス先から開発協力金を得て開発を主導する等、色々な形態があります。

 


 

当社は、様々な開発ステージにあるパイプライン(医薬品候補)の開発を同時並行で進めることにより、投資早期回収と黒字転換後の継続的な収入の実現を図ります。

 

(2) 開発中のがん免疫治療薬の特徴

 がん免疫治療薬の開発では、動かなくなってしまったがん免疫を再び動くようにすること、いったん動いたがん免疫が、任務を終えた後に「元に戻る」仕組みによってブレーキをかけられるのを防ぎ、持続させることが、創薬のターゲットとなります。これに成功すればがんを治療できることは、2018年にノーベル賞を受賞したPD-1という免疫チェックポイント(免疫のブレーキ)を阻害する抗体が、がん治療に革新をもたらしたことによって、立証されてきました。今を生きる私たちは、この治療の革新の恩恵を受ける途上にあり、がんの個別性や免疫応答の多様性にどう対応していくか、未解明の領域がたくさん残されていると考えています。がん免疫にがんの目印を与えるがんワクチン、T細胞というがん免疫そのものを大量に外から投入する細胞医薬、PD-1以外にもいくつもある「免疫が元に戻る仕組み」を一定期間止める抗体医薬、これらが当社の開発している薬です。がんの克服を目指す人に、新たな治療選択肢を提供するために、これからも研究活動を推進してまいります。

 

(3) 開発パイプライン

 当社の開発パイプラインは以下のとおりです。このほか、次世代パイプラインの構築を目的として複数の探索・非臨床試験研究を実施しております。

 


 

細胞医薬

〔iPS細胞由来再生NKT細胞療法:BP2201〕

BP2201(iPS-NKT)は、iPS細胞から分化誘導したナチュラル・キラーT(NKT)細胞*1をがん治療に用いる新規の他家細胞医薬品候補です。NKT細胞は、がん細胞を直接殺傷する能力をもつと同時に、他の免疫細胞を活性化することにより、間接的にも抗腫瘍効果を発揮する免疫細胞です。しかし、ヒト末梢血中にわずか0.01~0.1%程度しか存在しないとされ、NKT細胞を体外に取り出し、がん治療に必要な細胞数まで培養・増殖させることが非常に難しいという課題がありました。
 
 そこで国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)では、生命医科学研究センター副センター長の古関明彦氏を中心に、この課題を解決する方法として、iPS細胞技術を用いることが計画されました。具体的には、NKT細胞を初期化して樹立したiPS細胞(NKT-iPS細胞)から再度NKT細胞(iPS-NKT細胞)に分化・誘導可能なことが示され、2010年、iPS細胞から抗腫瘍活性を備えたNKT細胞だけを大量に作り出すことに成功しました。
 
 当社は、本細胞療法の研究開発に、開発元の理研とともに取り組んでまいりましたが、2022年11月に導入オプション権を行使し、全世界で独占的に開発・製造・販売するライセンスを取得しました。

 

本ライセンスにより、1)iPS由来NKT細胞の他家細胞療法使用を広範かつ排他的に保護する「特許」(日米欧で登録済み)、2)現在進行中の治験によって臨床上の安全性と一定の有効性の示唆が期待される「マスターiPSセルバンク」、3)マスターiPSセルバンクからNKT細胞へ高純度で大量に分化誘導させる「製造法」の3つで構成されるプラットフォームを有することになりました。

このプラットフォームは、いろいろながん種のがん抗原に対するCAR遺伝子を導入した、新たな遺伝子改変iPS-NKT細胞医薬へ展開する土台/プラットフォームとなり、幅広いがん種と世界の幅広い地域への展開を可能にします。

また、2020年6月より国立大学法人千葉大学において、世界初のiPS-NKTを用いた頭頸部がんを対象とする臨床第Ⅰ相医師主導治験(以下「本治験」)が実施され、2024年1月に無事終了しました。本治験について、2024年2月に学会で発表されたトップライン・データでは、主要評価項目である忍容性および安全性に問題ないこと、並びに初期的な臨床活性の確認が示されました。

 

〔CAR-iPSNKT細胞療法:BP2202〕

BP2202(CAR-iPSNKT)は、非遺伝子改変iPS-NKT細胞にがんの目印(抗原)を認識するキメラ抗原受容体(CAR: Chimeric Antigen Receptor)を付加し、がん細胞殺傷能を高めた新規のCAR-T細胞療法*2です。CAR-T細胞療法とは、がん細胞が細胞表面上に発現する抗原(がんの目印)を認識するキメラ抗原受容体(CAR:Chimeric Antigen Receptor)を、体外でT細胞に遺伝子導入し、CARを導入したCAR-T細胞を培養で増殖させて投与する治療法です。

当社が試作したHER2を標的抗原とする CAR iPS-NKTは、非遺伝子改変iPS-NKTと比較して抗腫瘍効果が高まることをマウスモデルで確認しています。

また、当社は2023年5月にSTAR-CRISPRTM遺伝子編集技術をライセンス導入し、固形がんを含む様々な適応症に対して高度な遺伝子組換型CAR-iPSNKT細胞療法プログラムを創出することが可能となり、現在そのプロトタイプ製品の研究開発を進めています。

 

〔HER2 CAR-T細胞療法:BP2301〕

BP2301は、様々な固形がんで高発現するHER2を標的抗原とするCAR-T細胞療法です。これまで血液がんを標的とするCAR-T細胞療法は、優れた臨床効果が臨床試験で示され、グローバルで承認されてきました。しかし、より多くの方が罹患される固形がんへの展開においては、投与されたCAR-T細胞が、免疫抑制的な腫瘍微小環境において疲弊して機能を喪失し、十分に臨床効果を発揮できないという課題が明らかになってきました。

この課題を解決するために、BP2301では、体内での優れた複製能と長期生存能を特徴とし、それによって腫瘍微小環境における疲弊抵抗性と持続的抗腫瘍効果が期待される幹細胞様免疫記憶型(ステムセル・メモリー・フェノタイプ)細胞を多く含むCAR-T細胞を用います。これは、信州大学の中沢洋三教授の非ウイルス遺伝子導入法に基づき、中沢教授及び同大学柳生茂希教授と新規の細胞培養法を共同開発したことによって可能になりました。

 

2022年5月より国立大学法人信州大学においてHER2陽性の再発・進行骨・軟部肉腫及び婦人科悪性腫瘍を対象とする遺伝子改変HER2 CAR-T細胞の臨床第Ⅰ相医師主導治験が行われています。

 

   抗体医薬

  抗体医薬では、腫瘍組織においてがん細胞を排除する免疫の働きを抑制する免疫チェックポイント分子*3もしくは免疫調整分子に結合し、その機能を阻害する抗体の開発を進めています。がん免疫を抑制するアデノシン産生に介入するCD73とCD39をそれぞれ標的とするBP1200とBP1202、免疫細胞に発現し、その抑制に関わるTIM-3を標的とするBP1210のほかに、CD39分子とTIM-3分子を双方発現する免疫細胞においてこれらを同時に阻害する抗CD39×抗TIM-3二重特異性抗体BP1212を開発パイプラインとして有します。

 

がんワクチン

   〔免疫チェックポイント抗体連結個別化ネオアンチゲン・ワクチン:BP1209〕

  BP1209は、がん細胞由来の遺伝子変異に由来しヒトの免疫システムが高い反応性を示すネオアンチゲンを標的とするがん免疫を、患者1人ひとりに対応して誘導するのに最適化された、完全個別化ネオアンチゲン・ワクチン*4・プラットフォームです。ワクチンとなるネオアンチゲン・ペプチドを、T細胞へ標的情報を伝える樹状細胞へ送達するのに免疫チェックポイント抗体を用います。同抗体への結合が可能となるよう当社オリジナルのリンカー技術が組み込まれています。抗腫瘍免疫を指令する樹状細胞に効率よくワクチン抗原を送達することによって、ネオアンチゲンを標的とするT細胞をペプチド単体よりもはるかに強力に惹起させることを、担がんマウスモデルで証明しました。

今後、個別化ネオアンチゲン・ワクチン開発は、BP1209のフォーマットに絞って、臨床応用に向けて準備を進めていきます。

 

(4) 許認可、免許及び登録等の状況について

① 許認可、免許及び登録、行政指導等

医薬品開発は、各国の医薬品の開発及び当局への申請等に関する法律、日本では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:薬機法、2014年11月25日施行、「薬事法」から改称)、米国では「連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)及びその関連する法令」、上記の他、日本及び米国を含め各国における当局の省令やガイダンス、ならびに安全性に関する非臨床試験の実施基準(GLP;Good Laboratory Practice)、臨床試験の実施基準(GCP;Good Clinical Practice)、製造管理及び品質管理規則(GMP;Good Manufacturing Practice)の下で進めております。

 

② 知的財産権の状況

当社は、2022年11月に理研からiPS由来NKT細胞を全世界で独占的に開発・製造・販売する権利を導入するオプション権を行使し、iPS由来NKT細胞の他家細胞療法使用を広範かつ排他的に保護する特許の独占実施権を得ました。

<主要な特許の状況>

発明の名称

特許登録番号

出願国
(登録国)

権利者

上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)由来ペプチド

4579836

日本

当社

7655751

米国

がんペプチドワクチン

5706895

日本

当社

5980303

日本

NKT細胞由来iPS細胞およびそれ由来のNKT細胞

5652783

日本

理研

8945922

米国

2336303

欧州

アロNKT細胞を用いた免疫療法およびそのためのT細胞抗原受容体(TCR)遺伝子のα鎖領域が均一なVα-Jαに再構成されている細胞および該細胞由来NKT細胞のバンキング

6320473

日本

理研

10813950

米国

264738

欧州

 

    (注)欧州については、欧州特許条約に則った特許出願(EPC出願)によっております。

 

[用語解説]

*1(NKT細胞)

ナチュラル・キラー(NK)細胞とT細胞の特徴を併せもち、自然免疫と獲得免疫をつなぐ役割をもつ免疫細胞。がん細胞をT細胞受容体やNK細胞受容体を通して直接殺傷する能力をもつと同時に、T細胞や樹状細胞など他の免疫細胞を活性化させるアジュバント作用をもつ。活性化すると、多様なサイトカインを産生し、自然免疫系に属するNK細胞の活性化と樹状細胞の成熟化を促す。成熟した樹状細胞は、さらに獲得免疫系に属するキラーT細胞を増殖・活性化させることで、相乗的に抗腫瘍効果が高まる。

 

*2(CAR-T細胞療法)
 Chimeric Antigen Receptor T-cell Therapy:キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法。がん細胞が発現する抗原を認識するキメラ抗原受容体を、T細胞(抗腫瘍免疫をもつリンパ球の一種)に遺伝子導入し、培養で増殖させて投与する治療法。

 

*3(免疫チェックポイント分子)
 免疫恒常性を保つために自己に対する免疫応答を抑制するとともに、過剰な免疫反応を抑制する分子群のこと。がん免疫においては、過剰な活性化によって自己を攻撃するのを防ぐために存在しているが、発がん過程では、がん細胞が免疫系からの攻撃を回避し増殖するために利用される。

 

*4(完全個別化ネオアンチゲン・ワクチン)
 個々の患者のがん細胞にあるネオアンチゲンを探索し、これに対するオーダーメイドのがんワクチン。海外ではアカデミアや先行開発企業による臨床試験が行われており、その中にはネオアンチゲンをコードするmRNAを脂質ナノパーティクル(LNP)に格納したmRNAワクチンも含まれる。

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

24

46.6

4.7

8,906

 

 

事業部門の名称

従業員数(名)

医薬開発部

 

10

CMC開発部

 

3

創薬研究部

 

8

(2)

事業開発部

 

1

全社(共通)

 

2

(2)

合計

 

24

(4)

 

(注) 1.当社は単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。

 2.従業員数の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

4.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

5.前事業年度末に比べ従業員が8名減少しておりますが、役員就任と自己都合退職によるものです。

 

(2) 労働組合の状況

当社には、労働組合は組織されておりませんが、労使関係は良好に推移しております。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。