第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「ITサービスで企業の成長を継続的に支援します」というミッションを掲げており、ITサービスを通じてデジタル化を継続的に推進し、企業の成長と、そこで働く人々の幸せに貢献してまいります。

 また、「日本を代表する企業になる」をビジョンに掲げ、達成すべきゴールとして捉えておりますが、当社グループでは、ゴール達成のための思考と行動指針に大きな特徴があります。

 

(思考)

「ユニークネス」と称しており、以下の4項目で構成されております。

・ゴールオリエンテッド

・着実な継続

・誠実な合理性

・不確実性の排除

 

(行動指針)

「ラクスリーダーシッププリンシプル(RLP)」と称しており、以下の11項目で構成されております。

・自分自身の会社だと思う

・全体最適視点をもつ

・誠意をもって人と接する

・学習し成長し続ける

・小さく試して大きく育てる

・費用対効果を考える

・やるべきことを実行する

・他者の考えを受け入れる

・失敗を許容する

・考えている事を言葉で伝える

・結果にこだわる

 

 当社は、思考と行動指針をもとに今までにも高いゴールを掲げ、それらを着実に達成してきました。引き続きミッション・ビジョンの実現のため、事業を推進してまいります。

 

 以上をもとに当社では、経営方針を定めております。その基本方針については以下のとおりです。

 

①人材育成方針

 当社は、企業価値の持続的な向上のために「人の成長が組織の成長につながる」という考えのもと、全社員が自律的に学び、挑戦し、行動し続けることができる環境を整えることを重視しております。

 社員が「安心して働き、成長し続けられる」ことを人材マネジメントの根幹に据え、単なるスキル習得にとどまらず、リーダーシップ・倫理観・社会的責任感を兼ね備えた人材の育成を目指しております。

 また、RLPを全社的な育成・評価・制度設計の基盤としております。

 

②社内環境整備方針

 当社は、「社員一人ひとりがゴールを共有する仲間である」という認識のもと、社員が安心して能力を発揮し、継続的に成長できる環境の整備を重視しております。

 また、成長戦略を支えるためには、社員の多様な価値観・ライフステージ・職種特性に応じた柔軟な働き方と、心身の健康を支える制度設計が不可欠であると考えております。

 こうした考えに基づき、当社は単なる制度提供にとどまらず、インナーブランディングやリアルな接点機会の提供を通じてカルチャー醸成を図り、全社的なエンゲージメントの向上と行動指針の浸透を推進しております。

 

③環境方針

 当社は、環境保全への取組を経営の重要課題の一つと位置づけ、環境マネジメントの実践を通じて、環境への配慮と汚染の未然防止を継続的に推進してまいります。

 

④人権方針

 当社は、事業活動を通じて直接的または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識しており、関係するすべての人々の権利を尊重し、責任ある取組を推進してまいります。

 

⑤DEI方針

 当社は、ジェンダー、年齢、国籍、障がいの有無、宗教・信条、性的指向・性自認、家庭環境、ライフスタイルなど、多様な背景を持つ社員一人ひとりの個性と価値観を尊重し、誰もが安心して働き、能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指します。

 

⑥マルチステークホルダー方針

 当社は、株主、顧客、従業員、取引先、地域社会等の多様なステークホルダーとの協働・対話を重視し、価値協創及びその適切な分配を通じて、持続的な経済発展への貢献を目指しております。

 

⑦情報セキュリティ基本方針

 当社は、情報資産の漏えい・改ざん・滅失・盗難などの脅威から守るため、体制構築と従業員教育を通じて情報セキュリティの維持・強化を図っております。

 

⑧個人情報保護方針

 当社は、クラウドサービス等の提供にあたり、顧客企業の個人情報を安全に管理することを重要な社会的責任と位置付け、社内体制の整備及び全社的な取組を推進しております。

 

⑨腐敗防止方針

 当社は、あらゆる形態の贈収賄や不正な利益供与、資金洗浄、その他の腐敗行為を排除し、誠実かつ倫理的な事業運営を行うことが、企業の社会的責任であると認識しております。

 

⑩反社会的勢力排除に関する基本方針

 当社は、反社会的勢力とは一切関係を持たず、組織としての明確な姿勢をもって遮断を徹底しております。

 

⑪ディスクロージャーポリシー

 当社は、投資判断に重要な影響を与える決定事実、発生事実、決算に関する情報が生じた場合には、適時開示規則の基準に沿って迅速に開示するとともに、適時開示規則に該当しない場合でも、適時開示規則に準拠し、公表が必要となる会社情報、及び投資判断に影響を与えると当社で判断した重要な会社情報につきましては積極的に開示いたします。

 

 上記基本方針のうち、③~⑪の詳細については、当社コーポレートサイト(注1)にて公開しております。

 以上の方針をもとに、株主、顧客、従業員、取引先、地域社会等の多様なステークホルダーとの協働・対話を重視し、価値協創及びその適切な分配を通じて、持続的な経済発展への貢献を目指しております。

 

(2)経営戦略等

  当社グループが競争力を高め、持続的な成長を実現するための施策として、当社の成長を牽引している「楽楽精算」「楽楽明細」「楽楽販売」をはじめとした「楽楽シリーズ」にリソースを重点的に配分いたします。その他のサービスについては競争優位性と市場の成長性を勘案した上で、利益貢献を重視しながら適切にリソースを配分することにより、当社グループ全体の持続的な事業成長を目指してまいります。

 

 人的資本については、経営方針に基づき、具体的な施策として以下を実施しております。

 

(人材育成施策)

・RLPの浸透と運用

RLPをもとにした評価制度及び研修体系を整備し、管理職の行動実践を可視化。定期的なレビューを通じて実効性を高めております。

・役割等級と連動した研修体系

等級別研修(Next Leader Program、意思決定研修、1on1実践研修)やOJT支援制度を整備し、職位に応じたスキルとマインドの段階的な習得を促進しております。

 

・キャリア自律支援と配置の柔軟性確保

社内公募制度・ジョブローテーション制度の運用により、社員の希望と適性に応じたキャリア選択を支援。年次を問わない抜擢登用も実施しております。

 

・評価の透明性と納得性の向上

コンピテンシー評価と成果評価による2軸評価制度を導入。評価フィードバックと納得度調査に基づき、上司のマネジメント改善サイクルを運用しております。

 

・エンゲージメント向上と組織風土づくり

年2回のエンゲージメントサーベイを実施し、部門単位でアクションプランを策定。組織課題の特定と継続的な改善を図っております。

 

(社内環境整備施策)

・柔軟な就業制度の整備

時差出勤制度、在宅勤務制度などを整備し、ライフスタイルや業務特性に応じた柔軟な働き方を推進しております。

 

・健康と安心を支える制度の拡充

年次有給休暇とは別に、本人または同居家族の私傷病に対して最大5日間の特別有給休暇を付与する「シックリーブ制度」を導入。加えて、メンタルヘルス支援、健康診断・再検査支援制度を提供しております。

 

・エンゲージメント向上施策の実施

全社員向けイベント「楽!フェス」のリアル開催、社内イントラネットによる情報発信、表彰制度「ラクスAWARD」などを通じ、価値観の共有と士気向上を図っております。

 

・多様な社員が活躍できる環境の整備

性別、年齢、国籍を問わず、すべての社員が能力を発揮できる環境を整備。時短勤務、看護休暇といった育児、介護、私傷病との両立支援制度も導入しております。

 

・継続的な制度改善サイクルの構築

社員の声をもとに施策をアップデートし、有給休暇取得率90%以上、月平均時間外労働時間20時間未満を継続実現するなど、働きやすい社内環境の整備に向けた実効性ある制度運用を継続しております。

 

 

(3)経営環境

  当社が所属する情報通信サービス市場においては、人手不足や働き方改革の影響からデジタルトランスフォーメーションによる業務効率化を推進する企業が増加する等、IT投資への意欲は引き続き旺盛に推移しております。

 一方で、経費精算市場を中心とした一部の事業領域では市場の成熟化が進みつつあり、サービスを提供する企業も複数存在することから、競争環境は年々、より厳しさを増している状況にあります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  インターネットは経済活動を支えるインフラとして不可欠なものとなっており、当社グループが提供しているクラウドサービス及びITエンジニア派遣サービスは今後も需要が拡大するものと予測されます。

  一方で、一部事業領域では市場の成熟化が進行し、競争環境が厳しさを増す中で、当社グループが持続的な成長を実現するためには、以下の課題への対応が重要であると認識しております。

 

①成長サービスへの集中・強化

 クラウドサービス市場は今後も拡大が見込まれる一方、競合の増加や一部分野の成熟化が進行しており、事業ごとに成長余地に差が生じつつあります。

 このような環境下、当社では成長性の高いサービスへの経営資源の重点配分を進め、確実な市場シェアの獲得と収益力の向上を図ってまいります。

②サービスラインナップの拡充

 特定のサービスへの依存度が高い状態は、将来的な成長機会やリスク分散の観点で課題となり得ます。

 当社は既存プロダクト群に加え、顧客の新たなニーズを捉えた新サービスの開発・導入、M&Aによるプロダクト獲得を推進し、事業ポートフォリオの多様化と持続的な売上成長の両立を目指してまいります。

 

③営業・販売体制の強化

 拡大する市場で継続的な成長を実現するためには、営業活動の質と量の両面から強化が必要です。

 クラウド事業は、東京・大阪・札幌・名古屋・新潟・広島・福岡の7拠点(注2)で営業活動を行っており、今後も営業人員を増員し営業力を強化するとともに、パートナー企業や販売代理店との連携を強化することにより販路の拡大も図ってまいります。 また、中長期的には、既存顧客に対しても自社プロダクトのクロスセル提案等により収益機会の最大化に努めてまいります。

 IT人材事業は、派遣先での業務を通じてITエンジニアのキャリアアップを行い、提供するサービスの高付加価値化を行う事業であり、多くの案件を常に確保し、ITエンジニアの成長機会を提供することが不可欠であります。そのため営業担当者が顧客のニーズを引き出し、最適なマッチングを行うことで継続的な案件確保に努めてまいります。

 

④マーケティング戦略の高度化による認知度向上

 当社グループはこれまでインターネットやテレビ、雑誌への広告の掲載、展示会への出展や販売代理店を通じて顧客を獲得してまいりました。提供する各サービスの顧客数を拡大し、企業価値の向上を実現するには当社及びサービス名の認知度の向上が不可欠であると考えております。

 一方、現在行っているマーケティング戦略は、時間とともに陳腐化する可能性があります。引き続き、費用対効果を見極めながら、インターネットやテレビ、雑誌などマスメディアの活用に加え、展示会への出展を推進いたします。また、オンライン・オフライン双方のチャネルを活用しながら、データ分析に基づくマーケティング精度の向上に取り組み、ブランド認知度の向上と顧客獲得効率の改善を図ってまいります。

 

⑤開発力の強化

 クラウドサービス市場においてサービスの機能優位性を維持していくためには機能の改善・追加をスピーディーかつ継続的に実施していく必要があります。当社グループでは、従来の国内、ベトナムでの開発に加え、2025年4月にはインドネシアに新たな開発拠点を設立する等、開発リソースの確保に注力しており、今後も開発リソースの最適化と技術力の強化を進め、プロダクトの優位性維持と顧客満足度の向上を目指してまいります。

 

⑥人材の確保と育成

 当社グループの成長のためには優秀な人材を数多く確保することが不可欠であります。そのため積極的な採用活動を継続することはもちろんのこと、労働市場において知名度の向上を図り採用力の向上に努めてまいります。

 また、採用後も人的資本投資として研修制度やキャリア支援の充実、エンゲージメント向上施策を推進し、組織の競争力向上を図ってまいります。

 

⑦システムの安定性とセキュリティの確保

 当社グループは、インターネット上で顧客にサービスを提供しており、システムの安定稼働の確保は必要不可欠であります。安定してサービスを提供していくため顧客の増加に合わせたサーバーの増設等の設備投資を継続的に行い、システムの安定性の確保に努めてまいります。

 また、災害対策に加え、ISMS(注3)、PMS(注4)等の管理体制の強化を通じて、安定稼働と情報セキュリティリスクの低減を図ってまいります。

 

⑧財務基盤の強化と資本効率の向上

 当社グループは、営業キャッシュ・フローの増加や成長投資による資本構成の変化を踏まえ、引き続き財務の健全性を維持しながら、資本効率の向上にも取り組む方針です。

 1株当たり利益(EPS)の持続的成長を最重要指標と位置付けつつ、中期経営目標の達成を図ってまいります。

 

⑨ガバナンス・内部統制の強化

 組織の拡大とともに、経営の透明性やリスク管理体制の実効性確保がより重要となります。

 当社は、取締役会及び各種委員会の運営強化、内部監査機能の充実を通じて、健全かつ透明性の高い経営体制の構築を推進してまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  当社グループは1株当たり利益(EPS)の持続的成長を最重要指標として掲げております。EPSを中長期で大きく伸長させていくために、成長投資を強化し、売上高の拡大を目指してまいります。

 

 現在取り組んでいる中期経営目標においては、成長投資強化期間中は高い売上成長を優先する方針でしたが、最終年度に向けては投資効率を見極め、営業利益率の向上を図ることで、EPSの持続的成長を実現する方針です。

  一方、2027年3月期を起点とする次期中期経営計画については、2026年5月の開示を目指して準備を進めております。骨子としては、主力プロダクトである「楽楽精算」の市場成熟や当社の事業規模の拡大を踏まえ、売上の「ハイグロース」から、収益性改善を伴う「クオリティグロース」への移行を想定しております。

 

 なお、2026年3月期を最終年とする中期経営目標数値は以下のとおりです。

 ・5カ年の売上高      : CAGR(年平均成長率)31%~32%
 ・2026年3月期 当期純利益 : 100億円以上
 ・2026年3月期 純資産   : 200億円以上

 

(注)1.当社コーポレートサイトのURLは以下のとおりです。https://www.rakus.co.jp/

2.2025年4月7日付で静岡営業所を設立しており、本書提出日現在では8拠点となっております。

3.「ISMS」とは、Information Security Management System(情報セキュリティマネジメントシステム)の略で、組織の情報セキュリティを管理するための枠組みのこと。当社では一般財団法人「日本品質保証機構」によるISMS認証を2021年1月15日に登録しており、継続的に維持更新しております。

4.「PMS」とは、Personal Information Protection Management Systems(個人情報保護マネジメントシステム)の略で、企業が個人情報を適切に取り扱うための枠組みのこと。当社では一般財団法人「日本情報システム・ユーザ協会」によるプライバシーマークを2006年9月5日に登録しており、継続的に維持更新しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  世界最速で進行する労働人口減少という社会課題において、経済的豊かさを維持するためには、一人当たりの労働生産性を高めることが喫緊の課題とされております。

 当社は、ミッションである「ITサービスで企業の成長を継続的に支援します」、ビジョン「日本を代表する企業になる」の実現を通じて、こうした社会課題の解決に貢献していくことを目指しております。

  特に、当社が提供するサービスは、顧客企業の業務効率化やペーパーレス化を支援するものであり、事業活動自体が社会の生産性向上に寄与するものと捉えております。この考えのもと、当社ではマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティ経営の推進を図っております。

 各マテリアリティに対応した指標及び目標については、モニタリング、管理を行っており、経営判断や改善活動に活用しております。今後も取組の可視化と説明責任を果たすため、開示内容の充実に努めてまいります。

 

(1)ガバナンス

  当社は、「サステナビリティの考え方」を経営の基盤とし、社内外のステークホルダーとのエンゲージメント向上、ならびにコーポレート・ガバナンスの実効性及びサステナビリティ経営の推進を支える仕組みとして、取締役会の監督のもとに複数の会議体・委員会を設置しております。

 マテリアリティの特定及び見直しにつきましては、関係部門による課題の抽出・評価を経て、経営管理本部が取りまとめ、専門委員会での検討を踏まえたうえで、最終的に取締役会の決議により承認されております。

 加えて、ステークホルダーとの対話機会を通じて得られた意見や期待も、マテリアリティの見直しに反映する体制としております。

 また、マテリアリティごとの実務対応は、経理財務部、人事部、総務労務部、情報セキュリティ部、広報IR部などの関係部門が担っており、これらの部門が日常的に各課題への対応を進めるとともに、必要に応じて専門委員会、関係部署、内部監査室を通じた報告、共有、審議を行うことで、全社的な取組として運営しております。

 当社が運営している主要な会議体とその目的は、以下のとおりです。

 

①取締役会(定期開催:月1回、臨時開催:随時、適用規則等:取締役会規則)

 経営に関する重要事項の協議・決議

 

②監査役会(定期開催:月1回、適用規則等:監査役会規則)

 監査に関する重要事項の協議・決議

 

③指名報酬委員会(不定期開催:随時、適用規則等:指名報酬委員会規程)

 取締役の指名、報酬等に関する審議・答申

 

④投資委員会(不定期開催:随時、適用規則等:有価証券管理規程、投資委員会要領)

 事業譲渡、有価証券の取得、売却に関する協議

 

⑤人事委員会(不定期開催:3月及び随時、適用規則等:各賃金規程、各人事考課規程)

 昇格・降格の審議

 

⑥評価調整会議(不定期開催:上・下期各1回、適用規則等:正社員人事考課規程)

 個別評価及び賞与査定

 

⑦内部統制委員会(定期開催:月1回、適用規則等:内部統制規程)

 内部統制の整備

 

⑧システム委員会(定期開催:月1回、適用規則等:情報セキュリティ対策基本規程)

 社内システムのリスク軽減を協議

 

⑨セキュリティ委員会(定期開催:月1回、適用規則等:情報セキュリティ対策基本規程、ISMS/PMS運用実施要領)

 ISMS/PMS活動の推進及び各種連絡

⑩衛生委員会(定期開催:月1回、適用規則等:労働安全衛生法)

 事業場の衛生管理

 

⑪ハラスメント防止委員会(不定期開催:不定期、適用規則等:セクシャルハラスメント防止規程、パワーハラスメント防止規程)

 各種ハラスメントの防止

 

⑫業務プロセス適正化委員会(定期開催:月1回、適用規則等:業務に関する各規程)

 業務プロセスにおける諸課題の解決及びその適正化

 

⑬懲戒委員会(不定期開催:不定期、適用規則等:懲戒委員会要領)

 従業員の懲戒処分を実施する際に公正な取扱いの検討

 

⑭サービス価格改定委員会(定期開催:不定期、適用規則等:独占禁止法)

 独占禁止法や顧客視点及び、経営全体への影響などから、総合的に価格改定を承認・否認

 

(2)戦略

 当社は、社会課題に向き合い、事業を通じてよりよい社会の実現に貢献するため、持続可能な事業運営を重視しており、12項目のマテリアリティを特定しております。また、それぞれのマテリアリティに内包される、リスク、機会、対応を以下のように整理しております。

 

マテリアリティ

リスク

機会

対応

(共有要素)

・各マテリアリティへの対応不備による罰則、行政指導、社会的批判及びステークホルダーからの信頼低下、企業価値の毀損

・各マテリアリティへの適切な対応による社会的評価、ステークホルダーからの信頼及び企業価値の向上

・各マテリアリティに則した適切な対応によるリスク、機会の管理と開示

①気候変動に対する企業責任の拡大

・地域、業界別の環境要請と認知の乖離による対応遅れと信用低下

・環境対応や開示に消極的との企業評価による販売機会の喪失

・国際基準(TCFD、ISSB等)との不整合による海外展開の遅れ

・地域、業界別の環境要請に対する適切な認知と対応による信用向上

・環境対応や開示に積極的との企業評価による販売機会の拡大

・国際基準(TCFD、ISSB等)との整合による海外展開の加速

・環境方針の開示と継続的な見直し、更新によるリスク、機会の識別、評価、管理

・再生可能エネルギー導入についての可能性調査、検討

②温室効果ガス(GHG)排出量の管理と削減への期待

・当社の排出実態、削減努力が可視化されず、環境配慮に乏しい企業として社会的評価が低下

・プロダクトに環境配慮志向が組み込まれていないことによる販売機会の喪失

・プロダクトによる環境貢献効果が定量的に開示されていないことによる販売機会喪失

・当社の排出実態や削減努力の可視化による環境配慮型企業としての社会的評価獲得

・プロダクトに環境配慮型機能が実装されることによる販売機会の拡大

・プロダクトによる環境貢献効果が定量的に開示されていることによる販売機会拡大

・管理指標を設定した上での継続的なモニタリングと開示

・環境配慮型機能を意識したプロダクト開発の推進

・プロダクトによる環境貢献効果の定量可視化とステークホルダーへの情報提供

③人的資本の育成と従業員エンゲージメント

・成長機会の不足による能力開発の停滞、エンゲージメント低下

・キャリアビジョンの不明瞭な状態によるエンゲージメント低下

・評価制度への不信感によるエンゲージメント低下

・潤沢な成長機会による能力開発の加速、エンゲージメント向上

・キャリアビジョンの確立によるエンゲージメント向上

・評価制度への信頼によるエンゲージメント向上

・ラクスリーダーシッププリンシプル(RLP)の浸透による能力開発の加速

・等級・職種に応じた研修実施による、教育機会提供の実感向上

・キャリアアンケートの実施および上長を通じた配置の調整

・評価制度の適正運用とフィードバックスキル強化を通じた、評価フィードバックの納得度向上

④労働環境と待遇の健全性への社会的関心の高まり

・長時間労働や休暇取得不足による心身の健康被害と生産性低下

・ワークライフバランス欠如による人材流出

・労働時間・処遇格差による係争リスク、エンゲージメント低下

・「働きづらい会社」認識による採用力低下

・健康経営の推進による心身の健康被害抑制と生産性改善

・ワークライフバランス配慮による人材定着

・適切な労働時間・処遇管理で係争回避、エンゲージメント向上

・「働きやすい会社」認識による採用力向上

・人権方針の開示と継続的な見直し、更新によるリスク、機会の識別、評価、管理

・衛生委員会による職場環境改善

・ラクスマイル制度(注1)の導入

・計画有給休暇管理による利用促進

・産育休前後の面談による制度説明

・柔軟な勤務制度導入と活用促進

・外部認証の取得

⑤多様性、公平性、包摂性への社会的関心の高まり

・多様性欠如による意思決定の硬直化

・公平性欠如によるハラスメント発生、人材流出

・多様性欠如による採用競争力低下

・多様な人材の受容による創造性、課題解決力向上

・公平性のある応対を通じたエンゲージメント向上、人材の定着

・多様性に対する企業理解による採用競争力向上

・DEI方針の開示と継続的な見直し、更新によるリスク、機会の識別、評価、管理

・ラクスリーダーシッププリンシプル(RLP)の浸透による公平なマネジメント体制構築

・内部通報制度、相談体制の整備と適切運用

・バイアス除去を配慮した採用活動

⑥法令遵守・倫理リスクの顕在化

・組織内不正やハラスメントの発生による訴訟リスクと経営の不安定化

・不誠実な企業文化の蔓延による従業員エンゲージメントの低下

・内部統制の不備に起因する意思決定の遅延と経営判断の誤り

・海外展開や新規取引拡大に伴う各国規制への対応遅延

・コンプライアンス違反や不正行為の未然防止及び早期把握による経営の安定性向上

・誠実で透明性の高い企業文化の定着を通じたエンゲージメントの向上

・適切な内部統制に基づく迅速な意思決定とリスクの抑制

・各国規制リスクの適切な把握、対応による海外展開や取引拡大の安全性確保

・腐敗防止方針の開示と継続的な見直し、更新によるリスク、機会の識別、評価、管理

・内部通報制度の整備及び匿名性、報復防止の仕組みの運用

・法令遵守、倫理に関連した研修の定期実施

・内部統制に関連する組織体の適切な運用

⑦情報開示・説明責任への要求高度化

・ステークホルダーとの対話不足による経営課題に対する認識の遅れ

・非財務情報の認識不足による社内意識改革や経営改善の遅れ

・サステナビリティ開示の不整備による長期志向の投資家からの関心低下

・ステークホルダーとの建設的対話による経営課題に対する適切な認識獲得

・非財務情報の可視化を通じた社内意識改革や経営改善の加速

・サステナビリティ開示の充実による本質的な企業価値の訴求

・ディスクロージャーポリシーの開示と継続的な見直し、更新によるリスク、機会の識別、評価、管理

・ステークホルダーとの対話を前提としたマテリアリティレビューの実施

・サステナビリティレポートの継続開示と高度化

・国際的な開示フレームワークとの整合と開示の高度化

・経営者自らによるアカウンタビリティの推進

⑧自然災害、感染症、システム障害等による事業継続リスクの顕在化

・自然災害、感染症、システム障害等による機能停止、対応と復旧の遅れによる被害及び社会的影響の拡大

・BCP(事業継続計画)の未整備や定期訓練の不足に起因する初動遅延、顧客影響と人的被害の拡大、企業信頼性の失墜

・脆弱なクラウド基盤、バックアップ体制による、クラウド型サービス提供の不安定化

・サプライヤー、外部委託先の稼働停止に伴うサービス提供の停止、遅延

・自然災害、感染症、システム障害等における機能停止の回避、早期対応と復旧による被害及び社会的影響の抑制

・BCPの整備と定期訓練に基づく迅速な初動対応による顧客影響と人的被害の抑制、企業信頼性の向上

・強靭なクラウド基盤及びバックアップ体制による、安定的なクラウド型サービスの提供

・サプライチェーン全体のリスクマネジメント向上を通じた安定的なサービス提供

・BCPの策定と定期的な見直し

・緊急対応訓練の実施、継続的な教育活動

・安否確認システム、緊急連絡体制の整備

・リモートでの業務継続環境の整備

・クラウド基盤やサーバーの冗長化及びバックアップ体制の強化

・サプライヤー、外部委託先のBCP整備状況の確認と連携強化

⑨情報セキュリティとサイバー攻撃に関するリスクの高まり

・脆弱なシステム構成や運用管理により、サービス停止やインシデントが発生

・インシデント発生によるステークホルダーからの信頼低下

・セキュリティ要件未達により、官公庁・大企業との契約機会を喪失

・社内におけるセキュリティ知見の蓄積不足による、人的・技術的対応力の低下

・サイバー攻撃手法高度化への対応遅れによるセキュリティ体制の陳腐化

・多層防御や脆弱性管理の強化によるサービスの可用性、安定性向上

・高いセキュリティ基準の実装によるステークホルダーからの信頼向上

・官公庁・大手企業など、セキュリティ要件の高い顧客層との取引機会拡大

・セキュリティ分野の社内ノウハウ強化による人材育成、事業拡張の基盤形成

・サイバー攻撃への対応力蓄積を活用した事業展開や競争力向上

・ISMS認証の維持更新

・標的型攻撃メール訓練の実施

・情報セキュリティ基本方針の開示と継続的な見直し、更新によるリスク、機会の識別、評価、管理

・情報セキュリティに関連する組織体の適切な運用

・全従業員を対象とした定期研修の実施

・利用する外部サービスまで含めた安全状況確認の実施

⑩プライバシーと個人情報保護に関するリスクの高まり

・個人情報の管理ミス、誤送信など不適切な運用による情報漏洩

・プライバシー保護体制の不備や不透明な運用によるステークホルダーからの信頼低下

・個人情報管理体制の不備により、官公庁・大企業との契約機会を喪失

・教育不足に起因する従業員による不適切な個人情報の取り扱いと信用喪失

・プライバシーに関する苦情対応体制の不備による対応の遅れ

・個人情報の取り扱いを委託している外部サービスにおける管理不備による影響拡大

・情報管理ルールの整備と実行を通じた情報漏洩の回避及び発生時の影響最小化

・プライバシー保護体制の透明性確保によるステークホルダーからの信頼向上

・官公庁・大企業など、個人情報保護要件の厳しい顧客層との取引機会の拡大

・適切な社内教育による個人情報の取り扱い精度向上とリスク低減

・プライバシーに関する苦情対応体制の整備による初動の迅速化と信頼確保

・外部サービスの安全性評価を通じたリスク回避と安心なサービス提供体制の構築

・プライバシーマークの維持更新

・個人情報保護方針の開示と継続的な見直し、更新によるリスク、機会の識別、評価、管理

・個人情報保護に関連する組織体の適切な運用

・全従業員を対象とした定期研修の実施

・プライバシーに関する問い合わせ、苦情対応窓口の整備

・利用する外部サービスまで含めた安全状況確認の実施

⑪地方部におけるDX化の遅れとデジタル格差

・DX化未対応層への訴求不足による市場開拓機会の損失

・初期導入、定着フェーズにおける支援体制の脆弱さによる解約率上昇、顧客満足度低下

・ブランド想起率、プロダクト認知の不足による事業展開の遅れ

・DX化未対応層への訴求による市場開拓機会の獲得

・初期導入、定着フェーズにおける支援体制充実による解約率低下、顧客満足度向上

・ブランド想起率、プロダクト認知の向上による事業展開の加速

・中小企業が導入しやすいプロダクト設計の推進

・プロダクトごとに対応した専門性の高いカスタマーサクセス体制の整備

・費用対効果を意識した積極的なプロモーション活動の推進

⑫資本コストや株価を意識した経営への要請

・資本効率の低下、市場期待未達による企業価値毀損

・市場信認低下による資金調達コストの上昇

・市場期待を上回る資本効率改善による企業価値向上

・市場信認向上による資金調達コストの低下

・現行中計経営目標の着実な達成

・次期中期経営計画策定に向けた準備

・資本効率改善を意識した資本政策の検討

・株主還元方針の継続的な見直し及び明示的開示

 

 

(3)リスク管理

 当社では、マテリアリティに基づき、事業を取り巻く外部環境の変化から生じるリスク及び機会を識別し、各部門が定期的にモニタリングを実施しております。識別された項目については、必要に応じて評価を行い、設定された指標及び目標に基づく集計結果を代表取締役社長がレビューした上、取締役会に報告しております。

 これらのプロセスを通じて、リスク及び機会を経営判断に適切に反映させる体制を整備しており、持続的な事業運営を支えております。なお、マテリアリティそのものについても、社会課題の変化やステークホルダーの期待を踏まえ、毎期見直しを行っております。

 一方、リスク及び機会の評価については、現時点では定性的な評価を中心としており、発生頻度及び影響度等の定量化については、業界特性、事業内容の多様性及び将来予測の不確実性等の理由から十分な精度での算定が難しい状況です。当社では、これらの評価手法について継続的に改善を図っており、各ステークホルダーとの協議や調査を通じて、段階的な定量的評価への移行を検討しております。加えて、現在認識しているリスク及び機会については、影響の軽減および機会活用のための具体的な対応策を推進し、指標及び目標を活用した進捗管理を実施しております。

 

(4)指標及び目標

 当社では、リスク管理の一環として、特定したマテリアリティごとに対応する指標及び目標を設定し、その進捗をモニタリングしております。これらの情報は、リスク及び機会を適切に識別、評価するとともに、経営判断への反映や説明責任の履行に資するものと考えております。

 以下に、各マテリアリティに対応した主要な指標及び目標を記載いたします。

 

マテリアリティ

指標(2025年3月期実績)

目標

①気候変動に対する企業責任の拡大

・環境方針のレビュー:1回実施

・環境方針のレビュー頻度:年1回以上

②温室効果ガス(GHG)排出量の管理と削減への期待

・CO₂排出量

 Scope2:810(t-CO₂)

 Scope3:1,181(t-CO₂)

 Scope2+3:1,991(t-CO₂)

(注2)

・年間電力消費量:6,796(GJ)

(注3)

・年間紙消費量:7,604(kg)(注4)

・「楽楽精算」による社会全体での紙消費削減量:約6,700万枚(注5)

・「楽楽明細」による社会全体での紙消費削減量:約5,900万枚(注6)

・CO₂排出量、年間電力消費量、年間紙消費量については、従業員1人当たりの定量目標設定を検討中

・「楽楽精算」による社会全体での紙消費削減量:9,200万枚(2029年3月期)

・「楽楽明細」による社会全体での紙消費削減量:1億2,000万枚(2029年3月期)

③人的資本の育成と従業員エンゲージメント

・RLP実践度調査(注7) 4.0以上の割合:97.1%

・サービスレベルアンケートにおいて、教育機会提供を実感と回答した割合:70.6%

・キャリアアンケートにおいて、社内でのキャリアを描けていると回答した割合:71.9%

・評価納得度アンケートにおいて、評価フィードバックに納得していると回答した割合:92.9%

・RLP実践度調査 4.0以上の割合:90%以上

・サービスレベルアンケートにおいて、教育機会提供を実感と回答した割合:70%以上

・キャリアアンケートにおいて、社内でのキャリアを描けていると回答した割合:75%以上

・評価納得度アンケートにおいて、評価フィードバックに納得していると回答した割合:90%以上

④労働環境と待遇の健全性への社会的関心の高まり

・人権方針のレビュー:1回実施

・衛生委員会の開催:年12回開催

・疲労蓄積度セルフチェック(注8)において、4点未満の割合:87.9%

月間平均時間外労働時間18.2時間(単体)

有給休暇消化率89.5(単体)

全社育児休業取得率79.0(単体)

男性育児休業取得率72.0(単体)

全社育児休業取得後の復職率96.2(単体)

・労働環境に関する外部認証:2件獲得(詳細は「(5)人的資本経営に関係する外部機関等からの評価」を参照)

・人権方針のレビュー頻度:年1回以上

・衛生委員会の開催頻度:年12回以上

・疲労蓄積度セルフチェックにおいて、4点未満の割合:90%以上

・月間平均時間外労働時間:20時間以内(単体)

・有給休暇消化率:90%以上(単体)

・全社育児休業取得率:75%以上(単体)

・男性育児休業取得率:70%以上(単体)

・全社育児休業取得後の復職率:90%以上(単体)

・労働環境に関する外部認証の獲得

⑤多様性、公平性、包摂性への社会的関心の高まり

・DEI方針のレビュー:1回実施(2025年5月に新規制定)

・RLP実践度調査 4.0以上の割合:97.1%

・内部通報から翌営業日までの調査対応着手率:100%達成

・内部通報から20営業以内での対応完了率:100%達成

・新規採用における女性比率:34.7%(単体)

・障がい者雇用比率:2.10%(連結)

・DEI方針のレビュー頻度:年1回以上

・RLP実践度調査 4.0以上の割合:90%以上

・内部通報から翌営業日までの調査対応着手率:100%

・内部通報から20営業以内での対応完了率:100%

・新規採用における女性比率:30%以上(単体)

・障がい者雇用比率:法定雇用率2.5%以上(2026年3月期)、2.7%以上(2027年3月期以降)(連結)

⑥法令遵守・倫理リスクの顕在化

・腐敗防止方針のレビュー:1回実施(2025年5月に新規制定)

・内部通報から翌営業日までの調査対応着手率:100%達成

・内部通報から20営業以内での対応完了率:100%達成

・休職者を除くすべての正規雇用労働者を対象とした法務研修の実施:1回実施

・休職者を除くすべての正規雇用労働者を対象としたインサイダー取引研修の実施:1回実施

・監査役会の開催:13回開催

・内部統制委員会の開催:12回開催

・腐敗防止方針のレビュー頻度:年1回以上

・内部通報から翌営業日までの調査対応着手率:100%

・内部通報から20営業以内での対応完了率:100%

・休職者を除くすべての正規雇用労働者を対象とした法務研修の実施頻度:年1回以上

・休職者を除くすべての正規雇用労働者を対象としたインサイダー取引研修の実施頻度:年1回以上

・監査役会の開催頻度:年12回以上

・内部統制委員会の開催頻度:年12回以上

⑦情報開示・説明責任への要求高度化

・ディスクロージャーポリシーのレビュー:1回実施
・マテリアリティの更新:1回実施

・代表取締役社長による決算説明会の開催:4回開催

・ディスクロージャーポリシーのレビュー頻度:年1回以上
・マテリアリティの更新頻度:年1回以上

・代表取締役社長による決算説明会の開催頻度:年4回以上

⑧自然災害、感染症、システム障害等による事業継続リスクの顕在化

・BCPシナリオに基づいた大規模障害時の対応訓練:1回実施

・データ復元テストの実施による回復可否確認:1回実施

・実際のサービス運用環境とは物理的に分離されたサーバーに対して、全顧客データをバックアップ:毎日1回実施

・主要なサービス提供拠点とは異なる地理的ロケーションに設置されたサーバーに対し、全顧客データをバックアップ:毎週1回実施

・BCPシナリオに基づいた大規模障害時の対応訓練実施頻度:年1回以上

・データ復元テストの実施による回復可否確認頻度:年1回以上

・実際のサービス運用環境とは物理的に分離されたサーバーに対して、全顧客データをバックアップ頻度:毎日1回以上

・主要なサービス提供拠点とは異なる地理的ロケーションに設置されたサーバーに対し、全顧客データをバックアップ頻度:毎週1回以上

⑨情報セキュリティとサイバー攻撃に関するリスクの高まり

・ISMS認証:維持更新

・標的型攻撃メール訓練の実施:1回実施

・情報セキュリティ基本方針のレビュー:1回実施

・システム委員会の開催:12回開催

・セキュリティ委員会の開催:12回開催

・e-learningによるセキュリティ講習受講率:100%(休職者除く)達成

・ISMSに対応し、年間を通じて取り組む是正方針の全社周知:1回実施

・当社グループの重要業務に関わる情報資産の取り扱いを委託しているすべての外部サービスの安全状況確認:1回実施

・ISMS認証:維持更新できている

・標的型攻撃メール訓練の実施頻度:年1回以上

・情報セキュリティ基本方針のレビュー頻度:年1回以上

・システム委員会の開催頻度:年12回以上

・セキュリティ委員会の開催頻度:年12回以上

・e-learningによるセキュリティ講習受講率:100%(休職者除く)

・ISMSに対応し、年間を通じて取り組む是正方針の全社周知頻度:年1回以上

・当社グループの重要業務に関わる情報資産の取り扱いを委託しているすべての外部サービスの安全状況確認頻度:年1回以上

⑩プライバシーと個人情報保護に関するリスクの高まり

・プライバシーマーク:維持更新

・個人情報保護方針のレビュー:1回実施

・システム委員会の開催:12回開催

・セキュリティ委員会の開催:12回開催

・e-learningによるセキュリティ講習受講率:100%(休職者除く)達成

・プライバシーマーク認定に対応し、年間を通じて取り組む是正方針の全社周知:1回実施

・当社が個人情報の取り扱いを委託しているすべての外部サービスの安全状況確認:年1回実施

・プライバシーマーク:維持更新できている

・個人情報保護方針のレビュー頻度:年1回以上

・システム委員会の開催頻度:年12回以上

・セキュリティ委員会の開催頻度:年12回以上

・e-learningによるセキュリティ講習受講率:100%(休職者除く)

・プライバシーマーク認定に対応し、年間を通じて取り組む是正方針の全社周知:年1回以上

・当社が個人情報の取り扱いを委託しているすべての外部サービスの安全状況確認:年1回以上

⑪地方部におけるDX化の遅れとデジタル格差

・広域営業(注9)分野での累計導入社数:8,738社

・2029年3月期の広域営業分野での累計導入社数:2.3万社以上

⑫資本コストや株価を意識した経営への要請

・2021年3月期を基準年とする4か年のCAGR(年平均成長率):33.5%

・2025年3月期の当期純利益:80億円

・2025年3月期末の純資産:219億円

・2021年3月期を基準年とする5か年のCAGR(年平均成長率):31%~32%

・2026年3月期の当期純利益:100億円以上

・2026年3月期末の純資産:200億円以上

 

(5)人的資本経営に関係する外部機関等からの評価

 Great Place to Work®「働きがいのある会社」ランキング ベスト100
(初参加から8年連続選出、大規模部門では3年連続選出)

 Great Place to Work®「働きがいのある会社」女性ランキング
(2年連続選出)

0102010_001.jpg0102010_002.png

 

(注)1.「ラクスマイル制度」とは、小学3年生までの同居養育する子を持つ正社員を対象に、勤務時間を最大2時間まで30分単位で短縮可能とし、それに対応した評価基準を選択できるようにする制度です。また、3歳未満の保育所未入所の児童がいる従業員は在宅勤務が可能となっております。

2.当社のCO₂排出量は、Scope2及びScope3のうち、カテゴリ6(出張)、カテゴリ7(従業員の通勤)を対象とした国内拠点における合計値を一定の仮定のもとに推計しております。Scope2についてはオフィス電力消費量に地域ごとの係数を乗じて算出。Scope3のうち、カテゴリ6は営業日数、従業員数、係数を乗じて算出、カテゴリ7は交通機関別出張費に係数を乗じて算出しております。なお「t-CO₂」は、CO₂(二酸化炭素)の排出量をトン単位で表したものとなります。

3.当社の年間電力消費量は、国内拠点におけるオフィス電力消費量の合計を請求書から推計しております。なお「GJ」はギガジュールを指し、電力や熱などの消費量を示す際に広く用いられている単位となります。

4.当社の年間紙消費量は、当社の国内拠点で購入したコピー用紙、パンフレット、請求書、DM等を重量換算することにより推計しており、コピー用紙及びパンフレットが全体の9割超を占めております。

5.「楽楽精算」による社会全体での紙消費削減量は、経費精算処理1件につき、紙消費が1枚削減されたとの仮定のもとに推計しております。

6.「楽楽明細」による社会全体での紙消費削減量は、電子帳票発行1件につき、紙消費が1枚削減されたとの仮定のもとに推計しております。

7.「RLP実践度調査」とは、当社の管理職が持つべきマインド、行動指針を11の項目に明文化し、部下からの評価により実践度合を可視化することで、マネジメント品質の改善を図ることを目的に実施している調査です。四半期毎に部下全員が管理職の各項目を1~6点で採点し、すべてにおいて継続的に高得点を取得できるような意識を持ったマネジメントの実践に活用しております。

8.「疲労蓄積度セルフチェック」とは、法定労働時間が45時間を超えた従業員を対象に当社が実施している制度です。直近1か月の自覚症状と勤務状況に関してセルフチェックを行い、0~7点での評価が総合判定されます。当社では、4点以上の従業員を高ストレス者と判定しております。

9.広域営業とは、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)、中京圏(愛知県、三重県、岐阜県)、京阪圏(大阪府、京都府、兵庫県)を除いた、37道県が対象エリアとなります。

 

3【事業等のリスク】

 当社では、リスクの適切な管理・運営による経営の健全性を確保するために「リスク管理規程」を定めており、具体的な事象を想定した経営に重大な影響を与えるまたはその可能性が高いリスクの発生に備えております。

 「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」においては、事業活動におけるマテリアリティ(重要課題)を特定し、各課題に付随するリスク及び機会を記載しておりますが、本項では、同章に記載されたリスクに加えて、当社の事業継続および業績に重大な影響を及ぼす可能性のあるその他のリスク要因について網羅的に記載しております。

 また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要と考えられる事項については、積極的に開示してまいります。

  なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1)経営環境の変化について

 当社グループは、インターネット業界においてクラウドサービス及びITエンジニア派遣サービスを提供しております。現在は、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、業務効率化・人材不足対策の観点から、企業のIT投資は一定の底堅さを維持しております。一方、景気動向の不確実性や金利上昇によるコスト意識の高まり、地政学的リスク等が顧客企業の投資判断に影響を与える可能性もあります。

 このような外部環境の変動により、IT導入・更新の意思決定が先送りされるような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合他社による影響について

 当社グループは、クラウドサービスの特定領域における先行者メリットと高い市場シェアを活かしつつ、顧客のニーズに合ったサービスの開発を行うことで優位性を高めております。しかしながら、クラウドサービスの新規参入の技術的な障壁は必ずしも高いものとは言えず、市場の成熟に伴い、価格競争のみならず、機能面でも競争は一層激化しております。

 資金力やブランド力を有する大手企業による機能的に優れた代替製品の登場や、競合他社による積極的な顧客獲得施策が当社顧客の解約や新規獲得の機会損失を招いた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(3)特定の製品への依存リスクについて

  当社グループは、法人向けに業務効率化に貢献するクラウドサービスの提供を行っており、経費精算システム「楽楽精算」、電子請求書発行システム「楽楽明細」が主力サービスとして、当社グループの業績を牽引しております。両サービスが当社グループの売上高に占める割合は大きく、今後、競合製品との競争激化により売上高が大幅に減少した場合には、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)生成AIを含む技術革新等への対応について

  当社グループが各種サービスを提供するインターネット業界においては新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われており、非常に変化の激しい業界となっております。そのため常に新しい技術要素をITエンジニアに習得させてまいりますが、何らかの理由で技術革新への対応が遅れた場合当社グループが提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のため予定していないシステムへの投資が必要となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

  加えて、近年は生成AIをはじめとする人工知能技術が急速に進展しております。当社グループにおいても、AI技術の業務活用や製品への応用を積極的に検討・導入しておりますが、AIを活用した新規サービスの台頭や、他社による業務効率化・自動化の加速により、当社グループの既存サービスとの競争環境が短期間で大きく変化する可能性があります。また、AIを含む新技術への対応に遅れた場合、当社グループの競争優位性が低下し、事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)ITエンジニア派遣市場の動向について

  現在、多様なインターネットサービスの登場や企業の情報システム化に伴い国内ITエンジニア派遣市場は活況を呈しておりますが、企業によるシステム開発の内製化、人件費や事業コストの安い新興国の企業・人材を活用して開発コストを削減するオフショア開発が当社グループの想定する以上に急激に進んだ場合、及び、主要な派遣先の業績不振等により派遣受入ニーズが減退した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、生成AIの進展により、従来型のシステム開発やプログラミング業務の一部が自動化されることで、エンジニアのスキルセットに対する需要が変化し、派遣ニーズの構造的変化を引き起こす可能性があります。このような変化に適応できない場合には、当社グループのIT人材事業にも影響を与える可能性があります。

 

(6)システムトラブルによるリスクについて

  当社グループは、クラウドサービスを通じて顧客に価値を提供しており、その安定的な保守・運用・管理は、インターネット通信ネットワークやクラウドインフラに強く依存しております。安定的なサービス提供のため、サーバー設備の増強や情報セキュリティ責任者が適切なセキュリティ手段を講じることで外部からの不正アクセスの回避等を行っておりますが、以下のようなシステム障害やサイバーリスクの発生時には、当社サービスの提供停止や顧客影響、社会的信用の毀損等により、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

①サービス提供を行っているコンピューターシステムへの急激なアクセスの増加や電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因によって当該コンピューターシステム及び周辺システムが停止した場合

②ランサムウェア、ゼロデイ攻撃、サプライチェーン攻撃等、高度化するサイバー攻撃によりサービス提供が阻害された場合

③従業員や委託先の過誤等による、当社グループの提供サービスのプログラムの改ざん、重要なデータの削除や漏洩等に適切に対応できない場合

 

(7)情報管理体制について

  当社グループは、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しておりますが、このような対策にもかかわらず重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)自然災害について

  クラウド事業の顧客の情報資産が格納されるサーバーは、東京都内及び大阪府内に分散管理することでリスクを分散させておりますが、データセンターやその周辺ネットワーク設備等に被害を及ぼす災害、事故等が発生し情報資産の消失又はサービスの提供が維持できない状態に至った場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、災害、事故等によりIT人材事業における派遣先の重要な設備が損壊し事業活動の停止もしくは事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)法的規制によるリスクについて

①クラウド事業について

  当社グループは、電気通信事業者(旧一般第二種電気通信事業者)として総務省に届出(届出番号E17-2681)を行っており、電気通信事業法に基づく通信役務の提供を行っております。現在のところ、当社の事業に対する同法による規制の強化等が行われるという認識はありませんが、社会情勢の変化等により当社の事業展開を阻害する規制の強化等が行われる可能性は絶無では無く、万一かかる規制の強化がなされた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

②IT人材事業について

  当社グループのIT人材事業においては、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)により規制されているため、当社は同法に基づき厚生労働大臣の許可を受け、一般労働者派遣事業を行っております(派遣:派13-310802、紹介:13-ユ-309573)。労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行うもの(派遣元事業主)が、派遣元事業主としての欠格事項に該当したり、法令に違反した場合には、事業許可の取り消し、又は業務の停止を命じる旨を定めております。当社では、社員教育の徹底、内部監査等による関連法規の遵守状況モニター、取引先の啓蒙等により、法令違反等の未然防止に努めておりますが、万一当社役職員による重大な法令違反等が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

 また、会計、税務、人事労務その他の規制に関する変更により、当社グループが提供するサービスについて重大な修正を要した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)知的財産の侵害におけるリスクについて

  当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性を否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)特定の人物への依存について

  代表取締役社長である中村崇則は、当社グループの創設者であり、会社経営の最高責任者として経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社グループの事業推進において重要な役割を果たしております。

  当社グループは、中村崇則に過度に依存しない経営体制を整備するため、取締役間の相互の情報共有や事業部制導入による経営組織の強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により中村崇則が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)人材の採用・育成について

  当社グループは、今後の業容拡大を図る中で、各事業において、専門性を有する人材の採用・育成は不可欠であると認識しております。そのため人材の採用・育成を継続的に行っておりますが、今後各事業において人材獲得競争が激化し、優秀な人材の採用が困難となる場合や在職している人材の社外流出が大きく生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)海外子会社について

  当社グループは、海外子会社においてクラウドサービスの一部を開発しており、当該国の政治・経済・社会情勢の変動に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規則の変更等により当地における事業の継続が困難となる等のカントリーリスクを有しております。カントリーリスクについては顧問契約を締結している現地の会計事務所や法律事務所と情報を共有し適切に対応することでリスクヘッジを行っております。しかしながら、このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)有価証券の価格変動リスク

  当社グループでは、有価証券を保有しておりますが、市場価格のない株式等以外の有価証券については、株式市場の変動などにより時価が著しく下落した場合には、評価損を計上することとしております。また、市場価格のない有価証券については、期末時点での発行会社の財務状況や今後の見通しから減損すべきだと判断した場合には、評価損を計上することとしております。このような状況になった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)のれん及び顧客関連資産の減損による影響について

 当社グループは、企業買収に伴い生じたのれん及び顧客関連資産を計上しております。買収時の収益計画と概ね相違ない進捗であり、減損を認識する必要はないと判断しているものの、収益性の悪化などによる価値の毀損により、当該のれん及び顧客関連資産の減損処理を実施する場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

  当社が所属する情報通信サービス市場においては、働き方の見直しや深刻化する人手不足等を背景に、企業における業務効率化への関心が一層高まっており、企業活動のデジタル化が進展しております。その結果、企業によるIT投資は引き続き堅調に推移いたしました。一方で、一部の事業領域では市場の成熟化が進んでいるほか、類似のサービスを展開する事業者の増加により、競争環境は厳しさを増しているものと認識しております。

  このような経営環境の中、当社グループは、2021年3月期を基準として、2026年3月期までの5ヵ年で、売上高CAGR(年平均成長率)31%~32%、2026年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益100億円以上、純資産200億円以上とする中期経営目標に取り組んでおります。

  当連結会計年度においては、中期経営目標の最終年度に向け、投資効率のさらなる向上を図るべく、各サービスの受注動向に応じた機動的な投資配分の見直しや、営業プロセスの見直し等の取り組みを継続的に実施してまいりました。

  この結果、当連結会計年度の業績は、売上高48,904百万円(前連結会計年度比27.3%増)、営業利益10,192百万円(前連結会計年度比83.3%増)、経常利益10,218百万円(前連結会計年度比82.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,003百万円(前連結会計年度比91.2%増)となりました。

 

 財政状態については次のとおりであります。

a.資産

  当連結会計年度末における流動資産は19,296百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,151百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が4,357百万円、売掛金が1,509百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は12,357百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,268百万円増加いたしました。主な要因は、のれんが333百万円、顧客関連資産が145百万円それぞれ減少したものの、投資有価証券が3,448百万円、工具、器具及び備品が609百万円、繰延税金資産が524百万円、差入保証金が79百万円、ソフトウエアが73百万円それぞれ増加したことによるものであります。

  この結果、総資産は31,654百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,419百万円増加いたしました。

 

b.負債

  当連結会計年度末における流動負債は9,462百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,090百万円増加いたしました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が538百万円減少したものの、未払法人税等が1,515百万円、未払金が480百万円、未払費用が437百万円、契約負債が170百万円、未払消費税等が164百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は213百万円となり、前連結会計年度末に比べ300百万円減少いたしました。主な要因は、長期未払費用が71百万円増加したものの、長期借入金が216百万円、繰延税金負債が128百万円それぞれ減少したことによるものであります。

  この結果、負債合計は9,676百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,789百万円増加いたしました。

 

c.純資産

  当連結会計年度末における純資産合計は21,977百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,630百万円増加いたしました。主な要因は、剰余金の配当により425百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により8,003百万円、その他有価証券評価差額金の計上により1,043百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

  経営成績については次のとおりであります。

a.売上高

  当連結会計年度の売上高は48,904百万円(前連結会計年度比27.3%増)となりました。クラウド事業においては「楽楽精算」「楽楽明細」が堅調に推移しており、売上高は41,862百万円(前連結会計年度比28.9%増)となっております。IT人材事業においては稼働エンジニア数の増加により、売上高は7,041百万円(前連結会計年度比18.5%増)となりました。

 

b.売上原価、売上総利益

  当連結会計年度の売上原価は12,594百万円(前連結会計年度比16.7%増)となりました。これは主に労務費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は36,310百万円(前連結会計年度比31.5%増)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

  当連結会計年度の販売費及び一般管理費は26,117百万円(前連結会計年度比18.4%増)となりました。これは主に、業容拡大に伴う給料手当、広告宣伝費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は10,192百万円(前連結会計年度比83.3%増)となりました。

 

d.営業外収益、営業外費用及び経常利益

  当連結会計年度の営業外収益は為替差益、助成金収入等により28百万円(前連結会計年度53百万円)となりました。

  当連結会計年度の営業外費用は支払利息等により2百万円(前連結会計年度2百万円)となりました。これらの結果、経常利益は10,218百万円(前連結会計年度比82.1%増)となりました。

 

e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

  当連結会計年度の特別損失は固定資産除却損の計上により2百万円(前連結会計年度9百万円)となりました。

  この結果、税金等調整前当期純利益は10,216百万円(前連結会計年度比82.2%増)となり、法人税等合計2,212百万円(前連結会計年度比55.5%増)の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は8,003百万円(前連結会計年度比91.2%増)となりました。

 

  セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

a.クラウド事業

  クラウド事業は、主力サービスである楽楽精算、楽楽明細において、インボイス制度や電子帳簿保存法の前倒し需要の反動影響は第1四半期連結会計期間に底を打ち、堅調な需要環境を背景に第2四半期連結会計期間以降は回復し、堅調に推移しました。また積極的な投資は継続しつつも、各サービスの受注状況を踏まえた機動的な投資の再配分や、営業プロセスの見直し等の施策を進めた結果、利益率が改善いたしました。

  この結果、売上高は41,862百万円(前連結会計年度比28.9%増)、セグメント利益は9,365百万円(前連結会計年度比88.1%増)となりました。

 

b.IT人材事業

  IT人材事業は、営業活動強化により稼働エンジニア数が増加し、高水準の稼働率を維持することができました。

この結果、売上高は7,041百万円(前連結会計年度比18.5%増)、セグメント利益は827百万円(前連結会計年度比42.7%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,357百万円増加し、11,366百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、9,006百万円の収入(前連結会計年度は5,288百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益10,216百万円、減価償却費797百万円、未払費用の増加額510百万円、未払金の増加額481百万円、のれん償却額333百万円、未払消費税等の増加額161百万円の増加要因があった一方、法人税等の支払額1,864百万円、売上債権の増加額1,358百万円の減少要因があったことによるものであります。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、3,465百万円の支出(前連結会計年度は4,860百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,947百万円、有形固定資産の取得による支出1,265百万円、差入保証金の差入による支出224百万円があったことによるものであります。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,180百万円の支出(前連結会計年度は579百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出754百万円、配当金の支払額425百万円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、インターネット上での各種サービス及びITエンジニア派遣を主たる事業としており、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

  至  2025年3月31日)

前連結会計年度比(%)

クラウド事業(百万円)

41,862

128.9

IT人材事業(百万円)

7,041

118.5

合計(百万円)

48,904

127.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、成長投資にかかる人件費及び広告宣伝費等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、サーバー等の設備投資、投資有価証券の取得等によるものです。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金を基本としているものの、金融機関からの長期借入等について柔軟に対応することとしております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は216百万円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は11,366百万円となっております。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は以下のとおりです。

当社グループは1株当たり利益(EPS)の中長期的な成長を最重要指標として掲げております。また、2021年3月期を基準として、2026年3月期までの5ヵ年で売上高をCAGR(年平均成長率)31%~32%成長させること、親会社株主に帰属する当期純利益を100億円以上、期末の純資産を200億円以上とする中期経営目標を掲げており、それぞれ達成を見込んでおります。

次期中期経営計画については2026年5月に開示する予定です。2026年3月期を基準とした2029年3月期までの3ヵ年計画を検討しており、事業の選択と集中、積極的なM&A戦略の推進を通じて、成長と収益性改善の両立を目指してまいります。

 

決算年月

第23期

2023年3月

第24期

2024年3月

第25期

2025年3月

売上高

(百万円)

27,399

38,408

48,904

営業利益

(百万円)

1,656

5,559

10,192

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

1,274

4,185

8,003

1株当たり当期純利益

(円)

7.03

23.10

44.18

EBITDA

(百万円)

2,263

6,480

11,351

EBITDAマージン

 

8.3%

16.9%

23.2%

純資産

(百万円)

9,548

13,347

21,977

  (注)1.EBITDA=税金等調整前当期純利益+特別損益+減価償却費+のれん償却費+支払利息

2.EBITDAマージン=EBITDA÷売上高

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

  当連結会計年度における研究開発活動の総額は55百万円となっております。

  当社グループは「ITサービスで企業の成長を継続的に支援します」をミッションに掲げ、将来を見据えた研究開発や新規事業の創出及び新サービスの開発スピードが重要な課題であると考え、安定的な高成長を目指して、「新たなクラウドサービスの追加」を推進するための研究開発活動と中長期の競争力確保につながる研究開発及びノウハウの蓄積を継続的に行っております。セグメント別の研究開発活動の概要は以下のとおりです。

 

(1) クラウド事業

当セグメントの研究開発活動の金額は55百万円となっております。中長期視点での技術力強化のために、国内外の様々な事例から調査・分析・検証に関する取り組みを実施しました。なお、2024年10月に請求書受領を効率化する新サービス「楽楽請求」をリリースいたしました。

 

(2) IT人材事業

当セグメントにおいては研究開発活動を行っておりません。