第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」という使命の下、お客様に最適なソリューションを提供し、新たなビジネス価値を創造するとともに、多様化への取り組みも推進してまいりました。これからも持続的で健全な成長の実現を目指すために、以下の施策を重点的に取り組んでいく所存であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)従来ビジネスの拡大

① 既存受託案件の継続的品質向上

CRM事業において当社グループが考える品質とは、コンタクトセンターにおける応対品質を指すだけではなく、カスタマーの満足度向上等、クライアント企業にとっての品質管理指標(顧客満足度等のサービス提供指標)の達成、及び当社グループにとっての生産性指標(時間あたりの受注金額とコストのバランス等)の達成を高いレベルで両立することができた状態であると認識しております。そのために当社グループは、センター単位ではなく受託業務単位での品質をきめ細かく徹底的に向上させる体制を構築しており、今後も引き続き品質改善体制の強化を進めてまいります。クライアント企業に対し、高品質なサービスを継続的に提供することを通じ、そこから派生する新たな案件を獲得することができ、それが安定成長のための基盤になるものと考えております。

② 新規クライアント企業の積極的獲得

新規のクライアント企業を獲得し、当社グループの営業基盤を増強していくことは、当社グループの成長のために必要不可欠な、最重要課題の一つであります。当社グループは、これまでの新規クライアント企業獲得営業体制に加え、伊藤忠商事グループの国内外の広範な企業ネットワークを活用することにより、従来、アプローチをすることができなかった企業層へのアプローチが可能となることで、新たな売上機会を創出してまいります。また、カスタマーに最高の顧客体験を提供することを意図した高付加価値型CRMオペレーション手法の導入や、カスタマー接点を起点に、クライアント企業のバリューチェーンを活性化するBPOサービスの展開等、CRM事業を革新、発展させて提供することを通じ、新規クライアント企業の開拓に拍車をかける戦略も推進してまいります。

③ 伊藤忠商事グループ及び凸版印刷株式会社との連携

伊藤忠商事グループ及びその取引先企業等に対し、同社のネットワークを活用してアプローチを行い、事業の拡張を図ってまいります。加えて、単に面的に事業領域の拡張を図るだけでなく、当社グループと伊藤忠商事グループとの協業によって、クライアント企業とカスタマーの接点であるコンタクトセンター事業の新たな価値を創出してまいります。

また、媒体製作やバックオフィス業務に強みを持つ凸版印刷株式会社(以下、「凸版印刷㈱」と言う。)とコンタクトセンター業務に強みを持つ当社グループの各々のソリューションや顧客基盤を活用することにより、幅広い業種の企業向けに新たなサービスを提供するとともに、AI(人工知能)等を用いた高度なBPOビジネスを推進してまいります。

④ CRMインフラの提供

当社グループは、従来より積極的なIT投資を行ってまいりました。国内のソリューションセンターをクラウドで連携した音声系プラットフォームであるBellCloud®や、同プラットフォームを応用し在宅コンタクトセンターサービスを可能にするBell@Home、また、人員配置とコストの最適化を実現するWFM(ワークフォースマネジメント)等の先進的かつ科学的なCRMサービスを提供しております。このような実績豊富なCRMインフラを、今後は、当社グループが受託した案件に活用する以外に、クライアント企業にCRMインフラとして提供する取り組みを強化してまいります。CRMインフラとオペレーションのノウハウを、当社グループから一括で提供することにより、クライアント企業は、初期コストを抑えた上で高品質なコンタクトセンターを開設することが可能となります。

 

(2)新領域での拡大

① 新技術・新ビジネスモデルの取り組み

将来の高効率なオペレーションを実現するため、AIを活用した顧客対話支援のモデルやデータサイエンスを活用した顧客セグメントの効率化等、先進テクノロジー領域での取り組みにも注力してまいります。

 

② 高品質なグローバル基準のオペレーションの提供

グローバルに事業を展開する企業においては、世界各国において高いレベルでの均質的なサービスを展開するため、コンタクトセンター運営においても世界共通の多岐にわたる厳格な指標が設定されており、高水準のオペレーションが要求されております。

当社グループでは、こうしたグローバル企業の要求する高水準のオペレーションを実行するため、欧米の最先端コンタクトセンター事業会社が提供する世界基準のカスタマーサポート業務を、日本でも同様に提供できる体制を構築し、既に国内のグローバル企業において多数の実績を上げております。今後も、日本で事業展開をする外資系企業のみならず、日本企業に対してもこの高品質なコンタクトセンターサービスの提供を加速してまいります。

③ ASEAN諸国をはじめとする海外での事業展開

新たな事業機会の創出を目的として、伊藤忠商事グループや凸版印刷㈱の海外ネットワークを活用し、ASEAN諸国をターゲットに見据えたコンタクトセンターの海外事業展開を目指します。当社グループが30余年で培ったコンタクトセンターの運営ノウハウを、各国の事情に合わせてカスタマイズし、高品質の現地サービスを提供してまいります。

 

(3)人材マネジメントの高度化

① 安定的な人材確保

当社グループでは、人材不足や、人件費等の上昇によるオペレーションコストの増加をもたらす雇用環境の変化に対応していくことが、事業基盤を拡大し、成長を続けるために必要不可欠な重要課題の一つと考えております。とりわけ、働き方改革関連法の施行に伴う「労働時間法制の見直し」「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」にも対処してまいりました。「パートタイム・有期雇用労働法」の施行並びに「労働者派遣法」の改正(同一労働同一賃金)に関しては、法施行(2020年4月)までに対応方針の整備が完了し、従業員の賃金、手当、福利厚生等の見直しを行いました。この対応方針に沿い、クライアント企業とは、引き続き人件費等の上昇を反映したサービス提供価格の適正化に向けた交渉に取り組むとともに、業務の効率化やコストコントロールの徹底により収益基盤の拡充を進めてまいります。

② 働きやすい職場環境の整備

従業員が長く安心して働ける取り組みとして、段階的に新たな人事制度の導入を進めている他、企業内保育所の設置や教育研修施設の開設等、人材の支援や育成に努めております。今後も多様な働き方や安定した雇用を実現するための取り組みを続け、退職抑止等による収益性の向上や、当社グループの強みである現場力をさらに高めてまいります。

③ ダイバーシティ推進

当社グループは、企業理念に基づきダイバーシティ活動を推進しております。女性活躍推進を目的とした育成プログラム等の実施や、子育てや介護と仕事の両立支援策の拡充、従業員個々の多様な働き方を支援するモバイルワークや柔軟な人事制度の設定、及び障がい者が生き生きと働くことのできる環境の整備等に引き続き注力してまいります。

 

(4)リスク管理体制の強化

当社グループでは、自然災害や事故、また新型インフルエンザや新型コロナウイルス等、様々な脅威による被害を最小限に抑え、事業を早期に復旧し継続できるようBCM(事業継続マネジメント)に取り組んでいます。具体的には、「緊急時対応計画(対策本部設置ガイドライン)」、「緊急時対応計画(従業員行動ガイドライン)」、「危機管理計画(事業継続計画ガイドライン)」、「緊急時対応計画(新型インフルエンザ等対応ガイドライン)」等を制定し、従業員の生命と安全の確保を最優先することはもちろん、お客様へのサービス提供の継続体制を構築し、事業を早期に再開・復旧することで、経営への影響を最小限にとどめる仕組みの構築を推進しております。また、従業員の安否確認システムを導入し、災害・事故発生時には迅速に安否確認を行っております。全部門を対象とした定期的な模擬訓練も実施しており、人命最優先の体制構築に向けて更なる取り組みを強化してまいります。

 

 

(5)コンプライアンス管理体制の強化

株主をはじめ、クライアント企業、取引先、社員等、当社グループを取り巻く各ステークホルダーや、社会から信頼される企業であり続けるため、コーポレート・ガバナンスの充実とコンプライアンス体制の整備及び向上は重要事項であると認識しております。特に、コンプライアンスは当社グループの事業活動のすべてにおいて最優先の事項であると認識しております。

当社グループでは、「コンプライアンス規程」に基づき、CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー:コンプライアンス担当役員)を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス体制面での運用状況管理、整備を行っております。また、情報セキュリティについてもCPO(チーフ・プライバシー・オフィサー:最高個人情報保護責任者)及びCISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティー・オフィサー:最高情報セキュリティ責任者)を置き、プライバシーマークの認証基準に基づいた個人情報保護体制、並びに、ISMS認証基準に基づいた情報セキュリティ保護体制を構築しております。その他、全社員を対象としてコンプライアンス研修を実施し、また「ベルシステム24グループ行動規範」を制定し、これらに従い全役職員が法令等を遵守し、高い倫理観をもった行動をとるよう啓蒙に努めております。

以上のようにコンプライアンス管理体制の強化に向けて継続的に制度・体制及び企業風土の改善を行ってまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境等について

当社グループが属する情報サービス業界のうち、派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は8,900億円を超え、2018年度以降2023年度までの間に年平均成長率5%程度で拡大すると予測されております(出典:株式会社ミック経済研究所「BPO総市場の現状と展望2019年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第14版)」)。この背景としては昨今の経済状況によるクライアント企業のコスト削減を目的としたアウトソーシング化の流れがあります。景気の後退期等においては、クライアント企業での費用削減の傾向が強まり、これまで以上にクライアント企業からのコスト圧縮の要求が高まった場合や、クライアント社内の余剰人材の活用による内製化への転換等が行われた場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)取引先の業況

当社グループのCRM事業においては、多様な業界・クライアントと取引することで、特定の業界や特定のクライアントの業況に大きく影響受けない、リスクを分散した安定的な運営を行っております。また、当社グループのクライアントは上場企業等の大企業が多く、かつ1年毎の更新となる長期契約が多いことから、短期的に売上高の大きな変動はないものと考えております。しかしながら、取引先企業の業績が悪化した場合には、アウトソーシング費用低減を目的として、急激な業務量の変更が行われる懸念があります。当社グループは、派遣受入社員及び有期雇用者の業務シフトの見直しや契約解除等で対応いたしますが、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)競合について

当社グループの中核をなすCRM事業が属する「コンタクトセンターアウトソース分野」の市場環境は、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が続いております(出典:株式会社ミック経済研究所「BPO総市場の現状と展望2019年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第14版)」)。当社グループは、寡占化が進む同事業領域において、以下のようなさらなる差別化戦略の遂行を通じ、価格競争とは一線を画す形で他社との競争優位性を確立の上、業界トップクラスのポジションを確固たるものとしてまいります。

① 業界での高い経験値と実績に裏付けられた、クライアント企業の要望に応じて迅速かつ的確な対処を可能とする「現場対応力」及びその能力を向上させ続けるための現場実務を担うオペレーター向け育成研修プログラム

② クライアント企業との間で取り決められた「成果」をコミットし、高い生産性によってクライアント企業の満足度向上を実現する先進的なグローバルオペレーションプロセスの実行力と、その実行を担保する人材・ITインフラ等の経営資源

③ 伊藤忠商事グループや凸版印刷㈱のネットワークを活用した新規コンタクトセンター需要の獲得、及びこれらの企業の様々なソリューションを活用することによる、より高付加価値なサービスの提供

しかしながら、今後景気の悪化や、業界のコスト構造の変化、業界内の合従連衡等により、当社グループが属する市場の規模が想定したほど拡大しない場合、あるいは、当社グループの差別化戦略が奏功せず、競合優位性の確立につながらなかった場合には、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)顧客との契約について

多くのクライアント企業との契約は1年毎の更新となっておりますが、クライアント企業の事情による内製化あるいは他企業への委託等により途中解約となる、又は契約が更新されない可能性があり、その場合には当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

加えて、業務受注量や、受注単価等の取引条件の再変更等によって、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(5)法規制について

現在のところ当社グループの事業に直接的に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、コンタクトセンター業務においては、一部の業務について労働者を派遣することにより実施しております。当社グループでは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」と言う。)その他の関係法令を遵守しつつ労働者派遣を行っておりますが、労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)に該当し、又は労働者派遣法その他の関係法令に違反した場合には、派遣事業の許可の取消(労働者派遣法第14条)もしくは事業の全部又は一部の停止等を命ぜられ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権の侵害について

当社グループは、新たなサービスの開発や事業の開始にあたっては、可能な範囲で調査を行い、第三者の知的財産権を侵害することのないよう努めております。しかしながら、予期せず第三者の知的財産権を侵害する等の事態が発生した場合には、当該第三者から損害賠償又は使用差止等の請求を受けることにより、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの受託業務の成果物に関する著作権は当社グループ単独又は当社グループとクライアントの共同保有となっているものがほとんどであり、知的財産権として保護されております。

当社グループのオペレーション上の運用手順・ノウハウ、あるいは当社グループのIT基盤上における当社が開発したソフトウエアは、その多くが特許等知的財産権としての性質を有するものではございません。オペレーション上の運用手順・ノウハウについては、当社グループ社員との間の雇用契約における守秘義務及び当社グループとクライアントとの間の業務委託契約等にて機密保持義務が課される対象となっており、当社グループ社員との雇用契約においては、退職後においても守秘義務及び機密保持義務は継続されることとなっていますが、何らかの理由により他社に漏えい又は模倣される等して、当社グループが損失を受ける可能性は否定できず、結果として当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)情報システムに障害が発生した場合の影響について

昨今の高度に発達した情報化社会においては、情報システムに障害等が生じた場合には、多大な損害が発生することとなります。当社グループの事業においても、営業/オペレーションの運用管理から人事労務管理及び経理全般に至る業務遂行において情報システムに大きく依存しております。万一の場合に備えて可能な限りの事前防止策に努めておりますが、自然災害や想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能なコンピュータウィルスの感染等により情報システムに障害等が生じた場合には、クライアントの事業に影響を与え、それにより損害の賠償を求められる可能性がある他、当社グループの事業への信頼喪失を招き、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)業務量に対するコスト適正化の遅行性及びスポット案件受注による収益の変動について

当社グループが属する情報サービス業界のうち、コンタクトセンターサービスにおける主なコストは人件費により占められており、有期契約の契約社員を積極的に活用することで、効率的なコンタクトセンター運営を実現しております。コンタクトセンター運営においては業務量の増減に合わせて人員の調整を行っておりますが、その調整において業務量の減少に対して人員の調整が追いつかず、コストの適正化が遅行するといった事象が発生した場合、収益低下につながる可能性があります。

また、当社グループがリコール対応や選挙対応のように、一定の期間に限定された大型の業務(スポット業務)を受託した場合、コンタクトセンターの稼働率上昇により収益性が一時的に向上することがありますが、その反動により、翌連結会計年度に売上収益の減少や収益性の低下が起こる可能性があります。

 

 

(9)人材の確保及び人件費の高騰について

当社グループは、高度な専門的知識及び経験を有する優秀な基幹人材の確保、並びにコンタクトセンターにおいてはサービスを直接提供するオペレーターの確保が大きな課題であります。今後の外部環境等の変化により人員計画等に基づいた採用が行えなかった場合や離職率が上昇した場合には、顧客の要望に対応できない可能性がある他、代替人員の確保のための採用・研修等に関するコストが増加することによって、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、コンタクトセンターのオペレーター1時間当たりの人件費は、上昇傾向を示しており、その傾向が緩和することは想定しづらい環境にあります。これに対応するべく、当社グループはサービス提供価格への適切な価格転嫁に取り組むとともに、業務の効率化やコストコントロールの徹底を進めてまいりますが、今後景気の拡大、労働力人口の減少による労働者獲得競争が一段と激しくなり、採用コストや人件費上昇の影響を完全に排除できない場合には、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)労務関連について

当社グループでは、多くのパートタイム・アルバイト等の有期契約社員が、コンタクトセンター業務に従事しております。2013年の改正労働契約法の施行により、施行日以降において有期雇用契約が反復更新され通算契約期間が5年を超えた場合に労働者が申込みをしたときは、期間の定めのない雇用契約に転換されることが法定された他、2016年10月からは短期労働者に対する厚生年金及び健康保険の適用が拡大されました。また、2015年の改正労働者派遣法の施行により、施行日以降において派遣先が同一の事業所において派遣可能期間の3年を超えて派遣社員を受け入れることが原則としてできなくなりました。2020年4月から施行された「パートタイム・有期雇用労働法」の施行並びに「労働者派遣法」の改正(同一労働同一賃金)の導入では、同一企業内におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇格差を設けることが禁止されました。今後もこうした労働関連法規制への対応や労働環境の変化により、当社グループが優秀な人材を雇用できなくなる可能性や当社グループの人件費が高騰する可能性があります。

 

(11)不動産の賃借について

当社グループの本社及びコンタクトセンターは、建物を第三者から賃借しており、敷金や保証金を賃貸人に対して差し入れている物件が大半を占めております。予期せぬ賃貸人の破産等が発生した場合は、当該敷金や保証金が回収不能となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社グループが新規コンタクトセンターを新設する場合の他、賃借する建物の老朽化等に伴いコンタクトセンターを移転せざるを得なくなった場合、既存コンタクトセンターの賃貸借の更新を行う場合において、景気の変動等により賃料相場が上昇する可能性があります。この他、当社グループが当初策定した通りのコンタクトセンターの新設や増床そのものが困難となる可能性があるとともに、賃貸借契約の内容によっては費用が増加する可能性があります。これらの場合においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)多額の借入金、金利の変動及び財務制限条項への抵触について

当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入れを行っており、2020年2月期の有利子負債依存度は56.0%(注1)となっております。借入金にかかる金利のうち、変動金利部分については、市場金利が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの借入金には財務制限条項が付されている契約があり、これに抵触した場合、貸付人の請求があれば契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。

(注1)有利子負債依存度は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債の総資産に占める割合となります。

 

(13)自然災害等について

当社グループは、全国にコンタクトセンターを分散配置することで、大規模な地震・風水害・津波・大雪・新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症の大流行等が発生した場合においても、被災していないエリアのコンタクトセンターが被災したエリアのコンタクトセンターを補うことが可能となっております。しかしながら、当社グループの本社機能が被災した場合や、被災していないコンタクトセンターにおいて被災したコンタクトセンターを補うだけの人員を遅滞なく確保することができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(14)情報漏洩リスクについて

コンタクトセンターは、クライアント企業から預託を受けた各種情報が集積する場所であるため、当社グループにおいては、従来から個人情報保護及び機密保持に最大の関心を払った施策を行っており、「個人情報保護方針」、「情報セキュリティ方針」(いずれも2005年制定)をはじめ情報保護に関する規程類を整備し、従業員への周知徹底を図ってまいりました。これらの経緯をふまえ、当社グループが社会やクライアント企業からさらなる信頼を獲得するとともに、企業の社会的責任を果たすべく「ベルシステム24グループ企業行動憲章」を制定し、さらに2012年7月には当社グループが取り組むべきコンプライアンスに対する基本姿勢をより具体的に示すために「ベルシステム24グループ企業行動憲章」を発展的に改定した「ベルシステム24グループ行動規範」を制定いたしました。また、当社の連結子会社である株式会社ベルシステム24においては、2003年5月に情報セキュリティに関する英国規格「BS7799-2:2002」及び国内規格「ISMS認証基準(Ver.2.0)」に基づく認証を現在の松江ソリューションセンター(当社グループにおけるコンタクトセンターの呼称)で同時取得し、2006年7月以降、これらの規格の国際化に対応した「ISO/IEC27001:2005/JISQ27001:2006」認証の登録範囲を、当社のCRMソリューションサービスの提供全体に関連するシステム全般に広げております。本規格は、2014年に「ISO/IEC27001:2013/JISQ27001:2014」に改訂され、新たな規格での認証を付与されております。
 さらに、2007年2月には、個人情報を適切に取り扱う体制を整えた事業者に付与される「プライバシーマーク(JISQ15001:2006)」の認定を取得し、2017年改訂の新たな規格「プライバシーマーク(JISQ15001:2017)」の認定を付与されております。しかしながら、情報漏洩リスクを完全に排除することは困難であることから、万が一、クライアント企業から預託を受けた情報について漏洩事故が発生した場合、当該クライアント企業からの業務委託の打ち切りや損害賠償請求、その他クライアント企業の離反や社会的信用の失墜等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)伊藤忠商事株式会社との関係

当社は、伊藤忠商事株式会社(以下、「伊藤忠商事㈱」と言う。)から出資を受け入れており、当連結会計年度末日現在において、伊藤忠商事㈱は当社発行済株式総数の40.79%を保有しております。当社は伊藤忠商事㈱の持分法適用関連会社となっており、出向者を9名受け入れております。当社の社外取締役である堀内真人及び社外監査役である堀内文隆の両氏は、伊藤忠商事㈱に属しております。2014年10月の伊藤忠商事㈱の当社への出資後に新たに開拓された伊藤忠商事グループと当社グループの取引は、徐々に増加しております。当社グループとしては今後も伊藤忠商事グループとの取引拡大に向けて伊藤忠商事㈱と協業を継続していく方針であります(なお、伊藤忠商事グループとの取引は、他のクライアント企業と同様の取引条件で行っており、今後も同様の方針であります。)。

なお、伊藤忠商事㈱は、今後も当社株式を安定保有する意向を有しており、当社と伊藤忠商事㈱の関係について重大な変化は生じないものと認識しております。しかしながら、将来において、何らかの要因により伊藤忠商事㈱が経営方針や営業戦略(当社株式の保有方針も含む)を変更した場合、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、伊藤忠商事㈱が相当数の当社株式を保有することにより、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

このように、伊藤忠商事㈱は、当社について他の一般株主と異なる利害関係を有しており、一般株主が期待する議決権の行使その他の行為を行わない可能性があります。

 

(16)減損会計の適用

当社グループは、2020年2月末現在、連結財政状態計算書にのれんを962億50百万円計上しており、総資産の57.1%を占めています。内訳は、株式会社ベルシステム24(927億54百万円)、株式会社ポッケ(28億1百万円)及びCTCファーストコンタクト株式会社(6億95百万円)であり、事業収益性が低下した場合等にはのれんの減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、これらののれんは非償却性資産であります。

 

 

(17)係争・訴訟に関するリスク

当社グループは、企業価値向上のためにはコンプライアンスの徹底が必要不可欠であるとの認識の下、「ベルシステム24グループ行動規範」を制定し、これに従い全役職員が法令等を遵守した行動、高い倫理観をもった行動をとることを周知しております。また、コンプライアンス規程を制定の上、原則2か月に1回、チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO(コンプライアンス担当役員))を委員長とするコンプライアンス委員会を開催し、当社グループの法令遵守状況の把握にはじまり、法令遵守の体制、方針、施策の決定や、コンプライアンス課題の共有と対策の検討を行っております。なお、本書提出日現在、当社グループの財政状態、事業運営に大きな影響が及ぶ当社グループに対する訴訟はございません。一方で、当社グループの事業活動に際し、当社グループ各社の従業員の法令等に対する違反の有無に関わらず、何らかの理由により労務問題・知的財産権・税務等の問題で訴訟を提起される、又は罰金等を科される可能性がある他、労働問題等を理由として従業員もしくは元従業員による訴訟の提起や損害賠償金の支払い等が生じる可能性があります。また、CRMをはじめとする各事業の受託において、業務に必要な社内外の経営資源を確保できないこと等により、これらの受託契約に基づく当社グループとしての責務を果せず、クライアントに生じる損害の一部又は全部につき請求を受ける可能性があります。これらの訴訟の結果、当社グループの責に帰すものと認められた場合、あるいは訴訟を起こされることにより当社グループの事業に対する信頼感が損なわれた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(18)風評等について

当社グループは全社員との間で締結する雇用契約において、業務に関する事項のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等への書き込みを全面的に禁止する内容を定めております。また、社内規程上もソーシャルメディア利用基準を定め、業務としてのSNS利用における手順を明らかにしております。さらに規定化するだけではなく、SNSやインターネット上の掲示板への悪質な書き込みに対しては当社監査部が定期的に監視を行っており、監視活動を通じてSNSや掲示板の運営者に対し削除依頼等の対応を行っております。中でも特に悪質と認められるものについては、書き込み者のIPアドレスを運営者に対して開示請求し、書き込み者への法的措置も辞さない方針であります。このような書き込み事例やそれに対する当社グループの対応については、全社員に定期的に通知することで、業務に関する事項をSNS等に書き込んではならないことの周知を改めて図っております。しかしながら、こうした措置をとったとしても、悪質な書き込みを完全に予防することは困難であり、そのような悪質な書き込みにより、当社グループの採用活動や、取引先との関係に影響が生じる等、ひいては損害賠償問題等、当社グループの事業活動に影響を与える経済的被害が生じる可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当連結会計年度における日本経済は、全体としては雇用・所得環境の改善等を背景に、個人消費及び設備投資は緩やかな回復傾向にありました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大によるイベント・外出自粛等の動きやサプライチェーンの停滞が、足元における個人消費の冷え込みや生産・投資の縮小等、国内外の経済活動に急速に影響を及ぼしつつあり、今後の景気動向が下振れしていく懸念があります。

当社グループが属する情報サービス業界は、アウトソーシング需要の高まりを受け、市場規模は堅調に推移しております。また、コミュニケーション手段の急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI等の活用が進む等、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められております。一方で、有効求人倍率は高い水準にあり、当社グループの主力事業であるCRM事業においては人材採用難を背景に、直接雇用社員、派遣社員ともに賃金の上昇傾向が続いております。

当連結会計年度においては、従来ビジネスの拡大のための施策として、東京都池袋のサンシャイン60ビルに新たな400席規模のコールセンター拠点「池袋サンシャインソリューションセンター」を開設いたしました。

新領域での拡大施策の一つとして、当社と当社のクライアント企業であるデロンギ・ジャパン株式会社は、日本マイクロソフト株式会社(以下、「日本マイクロソフト㈱」と言う。)及びDataMesh株式会社(以下、「DataMesh㈱」と言う。)と連携し、最先端のデジタル新技術を活用し、コールセンター業務において時間や場所の制約を超えた新しい働き方の実現を目指す「コールセンター・ワークスタイル・イノベーション・プロジェクト」を開始いたしました。本プロジェクトでは、日本マイクロソフト㈱及びDataMesh㈱のMR技術を活用し、デロンギ製品の顧客サポート業務をコールセンター以外の場所で提供できるようにするソリューションを共同開発し、実証実験を行っております。

また、当社の筆頭株主である伊藤忠商事㈱の企業ネットワークを活用した事業機会創出に注力し、海外事業展開を進めてまいりました。

具体的には、タイ王国の通信サービス会社大手であるTrue Corporation Public Co., Ltd.の中間管理持株会社であるTelecom Holdings Co., Ltd.と株式譲渡契約及び株主間契約を締結し、コンタクトセンター業界大手のTrue Touch Co., Ltd.の発行済株式の49.99%を取得し、同国におけるコンタクトセンター事業を開始いたしました。さらに、台湾における㈱ベルシステム24の支店設立を目指し、台湾最大手の総合通信会社である中華電信股份有限公司の100%子会社で、コンタクトセンター事業を行う宏華國際股份有限公司と業務提携契約を締結いたしました。

当社グループは、「人材マネジメント高度化」のための様々な施策を着実に行っております。従来は採用を見送っていた人材を雇用し、コンタクトセンター業務に必要なスキルを業務配属前に手厚く教育する就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を新たに7か所開設し、現在は札幌、東京、大阪、福岡等の主要拠点を始めとする全国11か所の自社拠点で運営しております。

さらに、産休・育休明けの従業員の復職や育児と仕事との両立支援を目的として、当社グループにおける3か所目の企業内保育所「ベルキッズさっぽろ保育園」を北海道札幌の当社ソリューションセンター内に開設いたしました。

 

各セグメントの業績は以下の通りであります。

なお、2019年11月1日に、㈱ビーアイメディカルの医薬・ヘルスケア分野のコンタクトセンター事業及び医薬品・医療機器の開発支援事業と、㈱ベルシステム24の進めるAI等の新技術を活用したCRM事業とを連携させることによる人材や事業拠点といった経営資源の最適配置と効率的なグループ運用体制の構築を図ることを目的として、連結子会社間の吸収合併を行いました。

これに伴い、当連結会計年度より、これまで「その他」に含めていた㈱ビーアイメディカルの医薬・ヘルスケア分野のコンタクトセンター事業及び医薬品・医療機器の開発支援事業を、「CRM事業」に含めて開示しております。また、前年同期におけるセグメント情報を修正再表示しております。

 

 

(CRM事業)

前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱とのシナジー案件が堅調に推移したことに加え、凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー効果及びスポット業務の伸長等により、売上収益は前年同期比で増収となりました。利益面では、増収による利益の伸長及び前連結会計年度に低採算案件が終了したことによる収益改善効果等もあり、税引前利益は前年同期比で増益となりました。

この結果、CRM事業の売上収益は1,251億42百万円(前年同期比6.5%増)、税引前利益は104億53百万円(同11.1%増)となりました。

 

(その他)

㈱ビーアイメディカルのCSO事業(Contract Sales Organization)を事業譲渡したこと及び株式会社BELL24・Cell Product(以下、「㈱BELL24・Cell Product」と言う。)を連結除外したことに加え、その他事業におけるコンテンツ販売収入の減少により、その他のセグメントの売上収益は15億21百万円(前年同期比58.3%減)となりました。利益面では、前連結会計年度における事業再編に係る一過性損失の反動等により、税引前利益は1億27百万円(前連結会計年度は14億31百万円の損失)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益は1,266億63百万円(前年同期比4.6%増)、税引前利益は105億34百万円(同32.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は70億6百万円(同29.8%増)となりました

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末現在における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ17億96百万円増加し、77億67百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、167億17百万円となりました(前年同期は119億81百万円の収入)。これは主に、税引前利益が105億34百万円、有形固定資産の減価償却費が59億25百万円、未払消費税の増加額が12億53百万円、無形資産の償却費が10億89百万円、法人所得税の還付額が10億70百万円、その他による増加が11億53百万円及び法人所得税の支払額が47億37百万円がそれぞれ生じたこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、32億13百万円となりました(前年同期は24億83百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出が10億47百万円、持分法投資の取得による支出が9億83百万円、無形資産の取得による支出が7億64百万円及び敷金及び保証金の差入による支出が6億26百万円がそれぞれ生じたこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、117億99百万円となりました(前年同期は87億59百万円の支出)。これは主に、リース負債の返済による支出48億29百万円、配当金の支払による支出28億67百万円及び連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出11億69百万円がそれぞれ生じたこと等によるものであります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産の実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2) 受注の実績

当社グループが顧客企業と締結している契約は、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数、時間等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動いたします。従って、受注金額の特定が極めて困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。

 

(3) 販売の実績

当連結会計年度における販売の実績をセグメント毎に示すと以下の通りであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

CRM事業

125,142

6.5

その他

1,521

△58.3

合計

126,663

4.6

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記金額には消費税等は含まれておりません。

3.2019年11月1日付で、連結子会社である㈱ベルシステム24を存続会社、㈱ビーアイメディカルを消滅会社とする吸収合併を行いました。これに伴い、これまで「その他」に含めていた㈱ビーアイメディカルの医薬・ヘルスケア分野のコンタクトセンター事業及び医薬品・医療機器の開発支援事業を、「CRM事業」に含めております。また、前年同期におけるセグメント毎の販売実績を修正再表示しております。

 

主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高
(百万円)

割合
(%)

販売高
(百万円)

割合
(%)

ソフトバンク㈱

14,454

11.9

14,131

11.2

 

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

 

(2)経営成績の分析

① 売上収益

当連結会計年度の売上収益は、主力事業であるCRM事業において、伊藤忠商事㈱とのシナジー案件が堅調に推移したことに加え、凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー効果及びスポット業務の伸長等により、前連結会計年度に比べて55億50百万円増加(前年同期比4.6%増)し、1,266億63百万円となりました。

② 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、増収による利益の伸長及び前連結会計年度に低採算案件が終了したことによる収益改善効果等もあり、前連結会計年度に比べて、13億61百万円増加(前連結会計年度比5.8%増)し、249億96百万円となりました。

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費の増加に加え、拠点における賃料の増加等により、前連結会計年度に比べて、3億85百万円増加(前連結会計年度比2.9%増)し、137億54百万円となりました。

④ その他の収益及び費用

当連結会計年度のその他の収益及び費用は、前連結会計年度の事業再編に係る減損損失がなくなったことにより、前連結会計年度に比べてその他の費用が15億29百万円減少し、その他の収益及び費用の合計は1億37百万円(費用)となりました。

⑤ 営業利益

当連結会計年度の営業利益は、売上総利益の増加に加え、前連結会計年度の事業再編に係る減損損失がなくなったことにより、前連結会計年度に比べて、25億25百万円増加(前連結会計年度比29.4%増)し、111億5百万円となりました。

⑥ 金融収益及び費用、持分法による投資損益

当連結会計年度の金融収益及び費用、持分法による投資損益は、前連結会計年度に比べて、65百万円費用減少(前連結会計年度比10.3%減)し、5億71百万円(費用)となりました。

⑦ 税引前利益

当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加等により、前連結会計年度に比べて、25億90百万円増加(前連結会計年度比32.6%増)し、105億34百万円となりました。

⑧ 親会社の所有者に帰属する当期利益

当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の増加により、法人所得税費用の増加や非支配持分(損失)の減少があったものの、前連結会計年度に比べて、16億9百万円増加(前連結会計年度比29.8%増)し、70億6百万円となりました。

 

 

(3)財政状態の分析

① 資産の分析

流動資産は、主に売却目的で保有する資産が5億62百万円及び未収還付法人所得税が4億20百万円それぞれ減少しましたが、現金及び現金同等物が17億96百万円及び営業債権が5億65百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より13億68百万円増加し、269億57百万円となりました。

非流動資産は、主に無形資産が7億71百万円減少しましたが、有形固定資産が262億28百万円、持分法で会計処理されている投資が10億3百万円及びその他の長期金融資産が6億73百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より274億1百万円増加し、1,415億51百万円となりました。

これらにより、資産合計は前連結会計年度末より287億69百万円増加し、1,685億8百万円となりました。

② 負債の分析

流動負債は、主に売却目的で保有する資産に直接関連する負債が2億57百万円減少しましたが、その他の短期金融負債が48億80百万円、借入金が30億円、未払従業員給付が11億63百万円、営業債務が7億48百万円及びその他の流動負債が14億31百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より107億95百万円増加し、379億58百万円となりました。

非流動負債は、主に長期借入金が58億8百万円減少しましたが、その他の長期金融負債が206億85百万円増加したため、前連結会計年度末より149億29百万円増加し、810億13百万円となりました。

これらにより、負債合計は前連結会計年度末より257億24百万円増加し、1,189億71百万円となりました。

③ 資本の分析

資本は、前連結会計年度末より30億45百万円増加し、495億37百万円となりました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により配当支払い後の利益剰余金が41億39百万円増加し、連結子会社株式の追加取得等に伴い、資本剰余金が7億1百万円及び非支配持分が3億86百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

資金需要及び資金調達につきましては、当社グループは事業運営に伴う新規拠点の構築及び設備の更新を継続的に実施しております。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの主力事業であるCRM事業においては、サービス提供価格の変動と、オペレーター人材の確保及び人件費の変動が、経営成績に重要な影響を与える主要因と認識しております。当社グループを取り巻く事業環境は非常に競争が激しく、昨今の経済状況により、企業の費用削減傾向が強まる場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当事業における原価の大部分は、主にオペレーターの人件費であるため、人材不足による採用難や賃金上昇によるオペレーションコストの増加は、当社グループの経営成績に影響を与えます。

対応策といたしましては、当社グループが30余年にわたって築き上げてきた実績と経験を活かして他社との差別化を図り、品質向上及び新しいソリューション提供に努める事で業務の効率化及び売上規模の拡大を実現し、合わせて、当社グループのブランド価値向上によりオペレーターの確保及び人件費増に対応する適切な価格設定に努めてまいります。また、今後も戦略型のCRM事業の開発や新しいソリューションを提供し続け、顧客企業とともに成長できるパートナーへ進化を目指してまいります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大に関する当社グループへの影響は、依然として不確実性が高く、行政機関からの指示・要請や、感染拡大防止、従業員の安全確保を最優先とし、お客様企業のご理解を得ながら、各拠点の環境や業務に応じた感染防止・予防に向けた取り組みを行い、適切な事業継続を図っております。

これにより、コンタクトセンターにおける一部既存業務の縮小及び一時的な稼働率低下といった影響が発生しつつあります。

今後においては、社内外への感染拡大の防止と従業員ひとりひとりの安全確保を最優先とした上で、行政機関をはじめとした新型コロナウイルス対策関連業務の支援に繋がるサービスの実施など、当社が担っている社会的責任をできる限り果たしてまいります。

 

 

(6)経営戦略の現状と見通し

当社グループが属する派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は8,900億円を超え、2018年度以降2023年度までの間に年平均成長率5%程度で拡大すると予測されており、また、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が続いております(出典:株式会社ミック経済研究所「BPO総市場の現状と展望2019年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第14版)」)。そうした中にあり、上位の競合企業は、当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に一定のシェアを確保しつつも、その周辺市場に軸足を移し成長の活路を見出しているものと考えられますが、当社グループにおいては、引き続き当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に軸足を置き、成長路線を描いていく方針であります。

当該市場は上述の通り上位数社で過半のシェアを占める一方、数多くの中小規模以下の事業者が存在しております。また、アウトソーシングされていないインハウスの市場が、同等ないしそれ以上の規模で存在すると言われております。将来的には、大手へのさらなる収斂、専門領域特化、インハウスセンターのアウトソーシング化等を包含した市場再編成が起きる可能性があります。

当社グループの強みは、国内随一の広範な自社コンタクトセンター拠点をベースにした「規模」、様々な業界のコンタクトセンター運営受託の実績の「経験」と「ノウハウ」、最新のテクノロジーを積極的に活用する「融合」にあります。これまでに培ってきたこうした強みに加え、伊藤忠商事グループ及び凸版印刷㈱との営業、事業開発、及びテクノロジー分野におけるシナジーを創出していくことにより、顧客企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践するパートナーとして、今後さらなる成長を果たしてまいりたいと考えております。

 

(7)経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループは、主要ビジネスであるCRM事業を中心に、既存クライアントとの取引拡大及び伊藤忠商事グループや凸版印刷㈱の多様な企業ネットワークを活用した新規クライアント獲得強化による売上規模拡大、及び人件費増に対応する適切な価格設定の実施、業務の効率化及びコストコントロールの徹底による収益性向上との相乗効果により、収益基盤の拡充策を強力に展開してまいります。

また、従業員に対しては、新たな人事制度の導入を段階的に進める他、女性活躍推進を目的とした育成プログラムの実施、企業内保育所の設置、及び教育研修施設の開設等、より多様な働き方を実現する環境整備の取り組みを続けてまいります。これらに加え、新型コロナウイルスを始めとする感染症拡大防止への対応も踏まえ、リモートワークの推進等、働き方の一層の変革を行ってまいります。

さらに、AI等の新技術を活用し自動対応への取り組みを実現するソリューションの提供等、クライアントへの最適なコミュニケーションを提供すると同時に、クライアント企業の新しいビジネス価値を創造してまいります。これまでのコスト削減中心の単なる「アウトソーサー」にとどまらず、クライアント企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践・実行する「パートナー」として、前連結会計年度以来、重点的に取り組んでいる施策の収益貢献化に向け、事業基盤を強化してまいります。

 

 

(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

(のれん)

日本基準の下で、のれんの償却については、実質的に償却年数を見積り、その年数で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日(2012年3月1日)以降の償却を停止しております。
 これにより、IFRSで作成した連結財務諸表では、日本基準と比較し、販売費及び一般管理費が前連結会計年度において56億17百万円減少し、当連結会計年度において55億40百万円減少しております。

(収益の繰延)

日本基準の下では、顧客から受け取る研修費及び募集費等の売上である導入準備売上を発生時点で認識しておりますが、当該売上は主たるサービス提供に付随して発生し、その効果は当該サービス提供期間に対応することから、IFRSでは導入準備売上を当該期間にわたって認識しております。これにより、IFRSで作成した連結財務諸表では、日本基準と比較し、売上収益が前連結会計年度において40百万円増加し、当連結会計年度において1億65百万円減少しております。

(借入金のアップフロントフィー)

日本基準では、発生時に一括費用処理している借入金のアップフロントフィーについて、IFRSでは一部のアップフロントフィーを、対応する負債の帳簿価額の修正として処理しております。また、一部の借換取引について、IFRSでは金利削減効果等により借換時に利得が認識されます。これにより、IFRSで作成した連結財務諸表では、日本基準と比較し、前連結会計年度において金融費用が2億10百万円増加し、当連結会計年度において金融費用が1億28百万円増加しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 完全子会社間の合併契約

当社の完全子会社である㈱ベルシステム24と㈱ビーアイメディカルは、2019年9月25日付で吸収合併契約を締結し、吸収合併をいたしました。

 

① 本合併の目的

㈱ビーアイメディカルの医薬・ヘルスケア分野のコンタクトセンター事業及び医薬品・医療機器の開発支援事業と、㈱ベルシステム24の進めるAI等の新技術を活用したCRM事業とを連携させることによる人材や事業拠点といった経営資源の最適配置と効率的なグループ運用体制の構築を図ることを目的として、完全子会社間の吸収合併を行うことといたしました。

② 本合併の方法

㈱ベルシステム24を吸収合併存続会社とし、㈱ビーアイメディカルを吸収合併消滅会社とする吸収合併です。

③  本合併の効力発生日

2019年11月1日

④ 本合併による資産・負債の状況

㈱ベルシステム24は、㈱ビーアイメディカルの資産負債の全て及びこれらに付随する一切の権利義務を承継いたしました。

⑤ 本合併に際して交付する金銭等

本合併はいずれも当社の完全子会社間の合併であるため、合併による新株の発行その他の金銭等の交付は行いません。

⑥ 本合併後の吸収合併存続会社となる会社の資本金・事業の内容等

商号

株式会社ベルシステム24

本店の所在地

東京都中央区晴海一丁目8番11号

代表者の役職・氏名

代表取締役 柘植 一郎

資本金

100,000千円

主な事業内容

CRMソリューションに関する、アウトソーシングサービス/テクノロジーサービス/コンサルティングサービス/人材派遣事業/有料職業紹介及びCRO(Contract Research Organization)事業

 

 

 

(2) 借入契約等

当社は、複数の金融機関と金銭消費貸借契約、コミットメントライン契約及び当座貸越契約等の借入契約を締結しており、その概要は、以下の通りであります。

契約区分

借入先

契約日等

契約金額
(総額)
(百万円)

2020年2月29日現在の
借入残高
(百万円)

金銭消費貸借契約

(注)1

三井住友信託銀行㈱

三菱UFJ信託銀行㈱
(注)2
㈱横浜銀行
㈱北海道銀行
㈱西日本シティ銀行
㈱福岡銀行
㈱りそな銀行

借入日   2017年3月31日
返済期日  2021年3月31日

21,000

12,000

金銭消費貸借契約

㈱みずほ銀行
㈱三菱東京UFJ銀行
(現㈱三菱UFJ銀行)
㈱三井住友銀行
みずほ信託銀行㈱

借入日   2017年11月30日

返済期日

借入A   2022年9月30日

借入B   2022年11月30日

 

 

13,750

20,875

 

 

 7,563

12,875

金銭消費貸借契約

(注)1

信金中央金庫
農林中央金庫
㈱横浜銀行
㈱千葉銀行
㈱第四銀行
㈱京都銀行
㈱南都銀行

借入日   2017年11月30日
返済期日  2022年11月30日

14,000

14,000

金銭消費貸借契約

(注)1

信金中央金庫
農林中央金庫

借入日   2018年2月28日
返済期日  2023年2月28日

4,000

4,000

金銭消費貸借契約

㈱日本政策投資銀行

借入日  2018年6月29日

返済期日 2023年6月30日

4,000

4,000

金銭消費貸借契約

(注)1

三井住友信託銀行㈱

㈱西日本シティ銀行

㈱第四銀行

㈱南都銀行

借入日   2019年6月28日
返済期日  2024年6月28日

6,000

6,000

コミットメントライン契約

三菱UFJ信託銀行㈱
(注)2

コミットメント期間
(注)3
    自 2016年6月14日
    至 2020年6月30日

3,500

1,800

コミットメントライン契約

㈱みずほ銀行
㈱三菱東京UFJ銀行
(現㈱三菱UFJ銀行)
㈱三井住友銀行

コミットメント期間
(注)3
    自 2017年11月30日
    至 2020年11月29日

6,500

3,800

当座貸越契約
(注)1

 

契約期間(いずれも1年ごとの自動更新)
(注)3

3,500

1,900

三井住友信託銀行㈱

     自 2016年6月10日

    至 2020年6月30日

㈱北海道銀行

      自 2016年6月1日

    至 2020年7月31日

㈱横浜銀行

     自 2016年6月7日
    至 2020年6月6日

 

(注) 1.各金融機関それぞれとの契約であります。

2.2018年4月16日付で㈱三菱UFJ銀行に契約が移管されております。

3.コミットメント期間、契約期間は、当初の開始日と更新後の契約満了日を記載しております。

4.主な契約内容は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.借入金」をご参照ください。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。