第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」という使命の下、お客様に最適なソリューションを提供し、新たなビジネス価値を創造するとともに、多様化への取り組みも推進してまいりました。これからも持続的で健全な成長の実現を目指すために、以下の施策を重点的に取り組んでいく所存であります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  ① 従来ビジネスの拡大

a 既存受託案件の継続的品質向上

CRM事業において当社グループが考える品質とは、コンタクトセンターにおける応対品質を指すだけではなく、カスタマーの満足度向上等、クライアント企業にとっての品質管理指標(顧客満足度等のサービス提供指標)の達成、及び当社グループにとっての生産性指標(時間あたりの受注金額とコストのバランス等)の達成を高いレベルで両立することができた状態であると認識しております。それらを実現するため当社グループは、当社標準のOP品質マネジメント基準(OPM)を設け、センター単位ではなく受託業務単位での品質をきめ細かく徹底的に向上させる体制を構築し、継続的な品質改善体制の強化を進めてまいります。クライアント企業に対し、高品質なサービスを継続的に提供することを通じ、そこから派生する新たな案件を獲得することができ、それが安定成長のための基盤になるものと考えております。

b 新規クライアント企業の積極的獲得

新規のクライアント企業を獲得し、当社グループの営業基盤を増強していくことは、当社グループの成長のために必要不可欠な、最重要課題の一つであります。当社グループは、これまでの新規クライアント企業獲得営業体制に加え、伊藤忠商事グループの国内外の広範な企業ネットワークを活用することにより、従来、アプローチをすることができなかった企業層へのアプローチが可能となることで、新たな売上機会を創出してまいります。また、カスタマーに最高の顧客体験を提供することを意図した高付加価値型CRMオペレーション手法の導入や、カスタマー接点を起点に、クライアント企業のバリューチェーンを活性化するBPOサービスの展開等、CRM事業を革新、発展させて提供することを通じ、新規クライアント企業の開拓に拍車をかける戦略も推進してまいります。

c 伊藤忠商事グループ及び凸版印刷株式会社との連携

伊藤忠商事グループ及びその取引先企業等に対し、同社のネットワークを活用してアプローチを行い、事業の拡張を図ってまいります。加えて、単に面的に事業領域の拡張を図るだけでなく、当社グループと伊藤忠商事グループとの協業によって、クライアント企業とカスタマーの接点であるコンタクトセンター事業の新たな価値を創出してまいります。

また、媒体製作やバックオフィス業務に強みを持つ凸版印刷株式会社(以下、「凸版印刷㈱」)とコンタクトセンター業務に強みを持つ当社グループの各々のソリューションや顧客基盤を活用することにより、幅広い業種の企業向けに新たなサービスを提供するとともに、AI等を用いた高度なBPOビジネスを推進してまいります。

d CRMインフラの提供

当社グループは、従来より積極的なIT投資を行ってまいりました。国内のソリューションセンターをクラウドで連携した音声系プラットフォームであるBellCloud+®や、同プラットフォームを応用し在宅コンタクトセンターサービスを可能にするBell@Home、また、お客様との対話音声をテキスト化して蓄積しリアルタイムに資産化する音声認識システムを提供しております。このような実績豊富なCRMインフラを、今後は、当社グループが受託した案件に活用する以外に、クライアント企業にCRMインフラとして提供する取り組みを強化してまいります。CRMインフラとオペレーションのノウハウを、当社グループから一括で提供することにより、クライアント企業は、初期コストを抑えた上で高品質なコンタクトセンターを開設することが可能となります。

 

 

  ② 新領域での拡大

a 新技術・新ビジネスモデルの取り組み

将来の高効率なオペレーションを実現するため、AIを活用した顧客対話支援のモデルやデータサイエンスを活用した顧客セグメントの効率化等、先進テクノロジー領域での取り組みに注力してまいります。

b 高品質なグローバル基準のオペレーションの提供

グローバルに事業を展開する企業においては、世界各国において高いレベルでの均質的なサービスを展開するため、コンタクトセンター運営においても世界共通の多岐にわたる厳格な指標が設定されており、高水準のオペレーションが要求されております。

当社グループでは、こうしたグローバル企業の要求する高水準のオペレーションを実行するため、欧米の最先端コンタクトセンター事業会社が提供する世界基準のカスタマーサポート業務を、日本でも同様に提供できる体制を構築し、既に国内のグローバル企業において多数の実績を上げております。今後も、日本で事業展開をする外資系企業のみならず、日本企業に対してもこの高品質なコンタクトセンターサービスの提供を加速してまいります。

c ASEAN諸国をはじめとする海外での事業展開

新たな事業機会の創出を目的として、伊藤忠商事グループや凸版印刷㈱の海外ネットワークを活用し、ASEAN諸国をターゲットに見据えたコンタクトセンターの海外事業展開を目指します。当社グループが30余年で培ったコンタクトセンターの運営ノウハウを、各国の事情に合わせてカスタマイズし、高品質の現地サービスを提供してまいります。

 

  ③ 社員3万人の戦力最大化

a ワークスタイル・イノベーション

新型コロナウイルス感染症の影響により、昨今、働き方の多様化が社会における喫緊の課題となっております。当社グループでは、これまでも総務省から「テレワーク先駆者百選」に認定される等、在宅勤務やオンライン会議を積極的に活用してまいりました。ニューノーマルの時代において、クライアント企業の信頼や事業基盤を維持・拡大し成長し続けるために、多様な働き方の更なる拡大が不可欠と考え、『在宅コンタクトセンター』の大幅増設を進めております。時間や場所の制約を超え、従業員が安心して働ける職場環境とコミュニケーションの実現により、新たな雇用を創出、多様な人材の活躍を支援し、現場力をさらに高めてまいります。

b 品質と対応スキルの高度化

顧客ニーズの多様化、先端テクノロジーの導入により、コンタクトセンター業務は複雑化しております。このような環境下においてもクライアント企業に対し高品質なサービスを継続的に提供するために、当社グループでは専門人材の獲得・育成及び教育体系の整備により、社員3万人の人材高度化の取り組みを続けております。年間5億件超の応対実績と知見を活かしてコンサルティング機能を一層強化・拡大し、対応スキルの高度化を図ることで、高付加価値を提供してまいります。

c ダイバーシティ推進

当社グループは、企業理念に基づきダイバーシティ活動を推進しております。具体的には、各ポストにおける女性比率拡大や上級管理職への女性登用を目的とした育成プログラムの構築・実施、部下や同僚の育児や介護・ワークライフバランス向上に配慮、理解のある上司(イクボス)の発掘・育成、LGBTQ等の性的少数者のコミュニティ活動支援、障がい者の雇用促進等を実行しております。従業員の多様性を尊重し、あらゆる属性の人材が生き生きと働くことができる環境の整備、柔軟な人事制度の構築に引き続き注力してまいります。

 

 

④ 財務上の課題

 当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入れを行っており、2021年2月期の有利子負債依存度は54.2%となっております。市場金利が上昇した場合及び財務制限条項に抵触した場合には、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、2021年2月末現在、連結財政状態計算書にのれんを953億96百万円計上しており、総資産の55.2%を占めています。事業収益性が低下した場合等にはのれんの減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 財務上の課題につきましては、「従来ビジネスの拡大」、「新領域での拡大」及び「社員3万人の戦力最大化」の各重点施策を実現することが必要と考えております。

 「2.事業等のリスク」及び「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をあわせてご参照ください。

 

(3)経営上の目標とする経営指標

2020年度から2022年度の中期経営計画において、以下の通り目標を設定しております。

 


 

 

2 【事業等のリスク】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)リスクの管理体制について

① 当社グループは、「リスク管理規程」を定め、経営企画部を主管として、当社及び子会社の経営に重大な影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのあるリスクを網羅的かつ横断的に定義し、定義した重大な経営リスクごとの主管部門を定めることでリスク管理体制を明確化するとともに、それらの重大な経営リスクに直面したときに実行すべき対応について定めております。

② 当社及び子会社の重大な経営リスクである個人情報を含む機密情報の流出・漏洩については、これを未然に防止するために、CISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティー・オフィサー:最高情報セキュリティ責任者)及びCPO(チーフ・プライバシー・オフィサー:最高個人情報保護責任者)を任命し、その指示の下、法務・コンプライアンス部を主管として、情報保護体制を構築するとともに、その維持・運用を取締役、執行役員及び使用人に対して浸透させる活動を推進しております。また、これらの体制が適切に運用されていることを検証するために、内部監査を実施しております。

③ 経営企画部は、関連する部門と連携のうえ、経営戦略や事業計画の策定その他の経営上の重要な意思決定にあたって必要となる経営リスクのアセスメントを行い、取締役及び執行役員による経営判断に際してこれを重要な判断材料として提供しております。

④ 当社グループは、「コンプライアンス規程」に基づき、CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー:コンプライアンス担当役員)を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス体制面での運用状況管理、整備を行っております。また、情報セキュリティについてもCPO及びCISOを置き、プライバシーマークの認証基準に基づいた個人情報保護体制、並びに、ISMS認証基準に基づいた情報セキュリティ保護体制を構築しております。その他、全社員を対象としてコンプライアンス研修を実施し、また「ベルシステム24グループ行動規範」を制定し、これらに従い全役職員が法令等を遵守し、高い倫理観をもった行動をとるよう啓蒙に努めております。

 

(2)事業等のリスク

 当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

① 事業環境等について

当社グループが属する情報サービス業界のうち、派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は8,900億円を超え、2018年度以降2023年度までの間に年平均成長率5%程度で拡大すると予測されております(出典:株式会社ミック経済研究所「BPO総市場の現状と展望2019年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第14版)」)。この背景としては昨今の経済状況によるクライアント企業のコスト削減を目的としたアウトソーシング化の流れがあります。景気の後退期等においては、クライアント企業での費用削減の傾向が強まり、これまで以上にクライアント企業からのコスト圧縮の要求が高まった場合や、クライアント社内の余剰人材の活用による内製化への転換等が行われた場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

② 取引先の業況

当社グループのCRM事業においては、多様な業界・クライアントと取引することで、特定の業界や特定のクライアントの業況に大きく影響受けない、リスクを分散した安定的な運営を行っております。また、当社グループのクライアントは上場企業等の大企業が多く、かつ1年毎の更新となる長期契約が多いことから、短期的に売上高の大きな変動はないものと考えております。しかしながら、取引先企業の業績が悪化した場合には、アウトソーシング費用低減を目的として、急激な業務量の変更が行われる懸念があります。当社グループは、派遣受入社員及び有期雇用者の業務シフトの見直しや契約解除等で対応いたしますが、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 競合について

当社グループの中核をなすCRM事業が属する「コンタクトセンターアウトソース分野」の市場環境は、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が続いております(出典:株式会社ミック経済研究所「BPO総市場の現状と展望2019年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第14版)」)。当社グループは、寡占化が進む同事業領域において、以下のようなさらなる差別化戦略の遂行を通じ、価格競争とは一線を画す形で他社との競争優位性を確立の上、業界トップクラスのポジションを確固たるものとしてまいります。

a 業界での高い経験値と実績に裏付けられた、クライアント企業の要望に応じて迅速かつ的確な対処を可能とする「現場対応力」及びその能力を向上させ続けるための現場実務を担うオペレーター向け育成研修プログラム

b クライアント企業との間で取り決められた「成果」をコミットし、高い生産性によってクライアント企業の満足度向上を実現する先進的なグローバルオペレーションプロセスの実行力と、その実行を担保する人材・ITインフラ等の経営資源

c 伊藤忠商事グループや凸版印刷㈱のネットワークを活用した新規コンタクトセンター需要の獲得、及びこれらの企業の様々なソリューションを活用することによる、より高付加価値なサービスの提供

しかしながら、今後景気の悪化や、業界のコスト構造の変化、業界内の合従連衡等により、当社グループが属する市場の規模が想定したほど拡大しない場合、あるいは、当社グループの差別化戦略が奏功せず、競合優位性の確立につながらなかった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 顧客との契約について

多くのクライアント企業との契約は1年毎の更新となっておりますが、クライアント企業の事情による内製化あるいは他企業への委託等により途中解約となる、又は契約が更新されない可能性があり、その場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

加えて、業務受注量や、受注単価等の取引条件の変更等によって、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

⑤ 情報漏洩リスクについて

コンタクトセンターは、クライアント企業から預託を受けた各種情報が集積する場所であるため、当社グループにおいては、従来から個人情報保護及び機密保持に最大の関心を払った施策を行っており、「個人情報保護方針」、「情報セキュリティ方針」(いずれも2005年制定)をはじめ情報保護に関する規程類を整備し、従業員への周知徹底を図ってまいりました。これらの経緯をふまえ、当社グループが社会やクライアント企業からさらなる信頼を獲得するとともに、企業の社会的責任を果たすべく「ベルシステム24グループ企業行動憲章」を制定し、さらに2012年7月には当社グループが取り組むべきコンプライアンスに対する基本姿勢をより具体的に示すために「ベルシステム24グループ企業行動憲章」を発展的に改定した「ベルシステム24グループ行動規範」を制定いたしました。また、当社の連結子会社である株式会社ベルシステム24においては、2003年5月に情報セキュリティに関する英国規格「BS7799-2:2002」及び国内規格「ISMS認証基準(Ver.2.0)」に基づく認証を現在の松江ソリューションセンター(当社グループにおけるコンタクトセンターの呼称)で同時取得し、2006年7月以降、これらの規格の国際化に対応した「ISO/IEC27001:2005/JISQ27001:2006」認証の登録範囲を、当社のCRMソリューションサービスの提供全体に関連するシステム全般に広げております。本規格は、2014年に「ISO/IEC27001:2013/JISQ27001:2014」に改訂され、新たな規格での認証を付与されております。

さらに、2007年2月には、個人情報を適切に取り扱う体制を整えた事業者に付与される「プライバシーマーク(JISQ15001:2006)」の認定を取得し、2017年改訂の新たな規格「プライバシーマーク(JISQ15001:2017)」の認定を付与されております。しかしながら、情報漏洩リスクを完全に排除することは困難であることから、万が一、クライアント企業から預託を受けた情報について漏洩事故が発生した場合、当該クライアント企業からの業務委託の打ち切りや損害賠償請求、その他クライアント企業の離反や社会的信用の失墜等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 情報システムに障害が発生した場合の影響について

昨今の高度に発達した情報化社会においては、情報システムに障害等が生じた場合には、多大な損害が発生することとなります。当社グループの事業においても、営業/オペレーションの運用管理から人事労務管理及び経理全般に至る業務遂行において情報システムに大きく依存しております。万一の場合に備えて可能な限りの事前防止策に努めておりますが、自然災害や想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能なコンピュータウィルスの感染等により情報システムに障害等が生じた場合には、クライアントの事業に影響を与え、それにより損害の賠償を求められる可能性がある他、当社グループの事業への信頼喪失を招き、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 業務量に対するコスト適正化の遅行性及びスポット案件受注による収益の変動について

当社グループが属する情報サービス業界のうち、コンタクトセンターサービスにおける主なコストは人件費により占められており、有期契約の契約社員を積極的に活用することで、効率的なコンタクトセンター運営を実現しております。コンタクトセンター運営においては業務量の増減に合わせて人員の調整を行っておりますが、その調整において業務量の減少に対して人員の調整が追いつかず、コストの適正化が遅行するといった事象が発生した場合、収益低下につながる可能性があります。

また、当社グループがリコール対応や選挙対応のように、一定の期間に限定された大型の業務(スポット業務)を受託した場合、コンタクトセンターの稼働率上昇により収益性が一時的に向上することがありますが、その反動により、翌連結会計年度に売上収益の減少や収益性の低下が起こる可能性があります。

⑧ 人材の確保及び人件費の高騰について

当社グループは、高度な専門的知識及び経験を有する優秀な基幹人材の確保、並びにコンタクトセンターにおいてはサービスを直接提供するオペレーターの確保が大きな課題であります。今後の外部環境等の変化により人員計画等に基づいた採用が行えなかった場合や離職率が上昇した場合には、顧客の要望に対応できない可能性がある他、代替人員の確保のための採用・研修等に関するコストが増加することによって、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、コンタクトセンターのオペレーター1時間当たりの人件費は、上昇傾向を示しており、その傾向が緩和することは想定しづらい環境にあります。これに対応するべく、当社グループはサービス提供価格への適切な価格転嫁に取り組むとともに、業務の効率化やコストコントロールの徹底を進めてまいりますが、今後景気の拡大、労働力人口の減少による労働者獲得競争が一段と激しくなり、採用コストや人件費上昇の影響を完全に排除できない場合には、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 労務関連について

当社グループでは、多くのパートタイム・アルバイト等の有期契約社員が、コンタクトセンター業務に従事しております。2013年の改正労働契約法の施行により、施行日以降において有期雇用契約が反復更新され通算契約期間が5年を超えた場合に労働者が申込みをしたときは、期間の定めのない雇用契約に転換されることが法定された他、2016年10月からは短期労働者に対する厚生年金及び健康保険の適用が拡大されました。また、2015年の改正労働者派遣法の施行により、施行日以降において派遣先が同一の事業所において派遣可能期間の3年を超えて派遣社員を受け入れることが原則としてできなくなりました。2020年4月から施行された「パートタイム・有期雇用労働法」の施行並びに「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」)の改正(同一労働同一賃金)の導入では、同一企業内におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇格差を設けることが禁止されました。今後もこうした労働関連法規制への対応や労働環境の変化により、当社グループが優秀な人材を雇用できなくなる可能性や当社グループの人件費が高騰する可能性があります。

⑩ 法規制について

現在のところ当社グループの事業に直接的に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、コンタクトセンター業務においては、一部の業務について労働者を派遣することにより実施しております。当社グループでは、「労働者派遣法」及びその他の関係法令を遵守しつつ労働者派遣を行っておりますが、労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)に該当し、又は労働者派遣法その他の関係法令に違反した場合には、派遣事業の許可の取消(労働者派遣法第14条)もしくは事業の全部又は一部の停止等を命ぜられ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑪ 不動産の賃借について

当社グループの本社及びコンタクトセンターは、建物を第三者から賃借しており、敷金や保証金を賃貸人に対して差し入れている物件が大半を占めております。予期せぬ賃貸人の破産等が発生した場合は、当該敷金や保証金が回収不能となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社グループが新規コンタクトセンターを新設する場合の他、賃借する建物の老朽化等に伴いコンタクトセンターを移転せざるを得なくなった場合及び既存コンタクトセンターの賃貸借の更新を行う場合において、景気の変動等により賃料相場が上昇する可能性があります。この他、当社グループが当初策定した通りのコンタクトセンターの新設や増床そのものが困難となる可能性があるとともに、賃貸借契約の内容によっては費用が増加する可能性があります。これらの場合においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 自然災害等について

当社グループは、全国にコンタクトセンターを分散配置することで、大規模な地震・風水害・津波・大雪・新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症の大流行等が発生した場合においても、被災していないエリアのコンタクトセンターが被災したエリアのコンタクトセンターを補うことが可能となっております。しかしながら、当社グループの本社機能が被災した場合や、被災していないコンタクトセンターにおいて被災したコンタクトセンターを補うだけの人員を遅滞なく確保することができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑬ 多額の借入金、金利の変動及び財務制限条項への抵触について

当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入れを行っており、2021年2月期の有利子負債依存度は54.2%(注1)となっております。借入金にかかる金利のうち、変動金利部分については、市場金利が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの借入金には財務制限条項が付されている契約があり、これに抵触した場合、貸付人の請求があれば契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。

(注1)有利子負債依存度は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債の総資産に占める割合となります。

⑭ 減損会計の適用

当社グループは、2021年2月末現在、連結財政状態計算書にのれんを953億96百万円計上しており、総資産の55.2%を占めています。内訳は、株式会社ベルシステム24(927億54百万円)、株式会社ポッケ(19億47百万円)及びCTCファーストコンタクト株式会社(6億95百万円)であり、事業収益性が低下した場合等にはのれんの減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、これらののれんは非償却性資産であります。

⑮ 知的財産権の侵害について

当社グループは、新たなサービスの開発や事業の開始にあたっては、可能な範囲で調査を行い、第三者の知的財産権を侵害することのないよう努めております。しかしながら、予期せず第三者の知的財産権を侵害する等の事態が発生した場合には、当該第三者から損害賠償又は使用差止等の請求を受けることにより、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの受託業務の成果物に関する著作権は当社グループ単独又は当社グループとクライアントの共同保有となっているものがほとんどであり、知的財産権として保護されております。

当社グループのオペレーション上の運用手順・ノウハウ、あるいは当社グループのIT基盤上における当社が開発したソフトウエアは、その多くが特許等知的財産権としての性質を有するものではございません。オペレーション上の運用手順・ノウハウについては、当社グループ社員との間の雇用契約における守秘義務及び当社グループとクライアントとの間の業務委託契約等にて機密保持義務が課される対象となっており、当社グループ社員との雇用契約においては、退職後においても守秘義務及び機密保持義務は継続されることとなっていますが、何らかの理由により他社に漏えい又は模倣される等して、当社グループが損失を受ける可能性は否定できず、結果として当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑯ 係争・訴訟に関するリスク

当社グループは、企業価値向上のためにはコンプライアンスの徹底が必要不可欠であるとの認識の下、「ベルシステム24グループ行動規範」を制定し、これに従い全役職員が法令等を遵守した行動、高い倫理観をもった行動をとることを周知しております。また、コンプライアンス規程を制定の上、原則2か月に1回、チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO(コンプライアンス担当役員))を委員長とするコンプライアンス委員会を開催し、当社グループの法令遵守状況の把握にはじまり、法令遵守の体制、方針、施策の決定や、コンプライアンス課題の共有と対策の検討を行っております。なお、本書提出日現在、当社グループの財政状態、事業運営に大きな影響が及ぶ当社グループに対する訴訟はございません。一方で、当社グループの事業活動に際し、当社グループ各社の従業員の法令等に対する違反の有無に関わらず、何らかの理由により労務問題・知的財産権・税務等の問題で訴訟を提起される、又は罰金等を科される可能性がある他、労働問題等を理由として従業員もしくは元従業員による訴訟の提起や損害賠償金の支払い等が生じる可能性があります。また、CRMをはじめとする各事業の受託において、業務に必要な社内外の経営資源を確保できないこと等により、これらの受託契約に基づく当社グループとしての責務を果せず、クライアントに生じる損害の一部又は全部につき請求を受ける可能性があります。これらの訴訟の結果、当社グループの責に帰すものと認められた場合、あるいは訴訟を起こされることにより当社グループの事業に対する信頼感が損なわれた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

⑰ 伊藤忠商事株式会社との関係

当社は、伊藤忠商事株式会社(以下、「伊藤忠商事㈱」)から出資を受け入れており、当連結会計年度末日現在において、伊藤忠商事㈱は当社発行済株式総数の40.77%を保有しております。当社は伊藤忠商事㈱の持分法適用関連会社となっており、出向者を5名受け入れております。当社の社外取締役である堀内真人及び社外監査役である堀内文隆の両氏は、伊藤忠商事㈱に属しております。2014年10月の伊藤忠商事㈱の当社への出資後に新たに開拓された伊藤忠商事グループと当社グループの取引は、徐々に増加しております。当社グループとしては今後も伊藤忠商事グループとの取引拡大に向けて伊藤忠商事㈱と協業を継続していく方針であります(なお、伊藤忠商事グループとの取引は、他のクライアント企業と同様の取引条件で行っており、今後も同様の方針であります。)。

なお、伊藤忠商事㈱は、今後も当社株式を安定保有する意向を有しており、当社と伊藤忠商事㈱の関係について重大な変化は生じないものと認識しております。しかしながら、将来において、何らかの要因により伊藤忠商事㈱が経営方針や営業戦略(当社株式の保有方針も含む)を変更した場合、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、伊藤忠商事㈱が相当数の当社株式を保有することにより、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

このように、伊藤忠商事㈱は、当社について他の一般株主と異なる利害関係を有しており、一般株主が期待する議決権の行使その他の行為を行わない可能性があります。

⑱ 風評等について

当社グループは全社員との間で締結する雇用契約において、業務に関する事項のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等への書き込みを全面的に禁止する内容を定めております。また、社内規程上もソーシャルメディア利用基準を定め、業務としてのSNS利用における手順を明らかにしております。さらに規定化するだけではなく、SNSやインターネット上の掲示板への悪質な書き込みに対しては当社監査部が定期的に監視を行っており、監視活動を通じてSNSや掲示板の運営者に対し削除依頼等の対応を行っております。中でも特に悪質と認められるものについては、書き込み者のIPアドレスを運営者に対して開示請求し、書き込み者への法的措置も辞さない方針であります。このような書き込み事例やそれに対する当社グループの対応については、全社員に定期的に通知することで、業務に関する事項をSNS等に書き込んではならないことの周知を改めて図っております。しかしながら、こうした措置をとったとしても、悪質な書き込みを完全に予防することは困難であり、そのような悪質な書き込みにより、当社グループの採用活動や、取引先との関係に影響が生じる等、ひいては損害賠償問題等、当社グループの事業活動に影響を与える経済的被害が生じる可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いております。特に、観光業、飲食業への影響は甚大なものとなりました。一方で在宅勤務や巣ごもり需要により、今までとは異なる生活様式から新たなコンタクトセンター需要が出てきております。また、雇用・所得環境においては、事業環境の厳しさから完全失業率は緩やかに悪化が続いており、上昇を続けてきた賃金水準も横ばい圏内での推移となっております。

当社グループが属する情報サービス業界は、アウトソーシング需要の高まりを受け、堅調に推移しております。また、コミュニケーション手段の急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)等の導入による自動化が始まる等、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められております。一方で、当社グループの主力事業であるCRM事業においては、同一労働同一賃金への対応により賃金が上昇しております。

当連結会計年度においては、新中期経営計画として「社員3万人の戦力最大化」「音声データ活用によるDX推進」「信頼と共創のパートナー成長」の実現に取り組んでまいりました。

デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)の推進においては、長年蓄積したコンタクトセンター現場での運用ノウハウと、AI・自然言語処理・アナリティクス・ビッグデータ等新たな技術領域を組み合わせた「機械知能(Machine Intelligence)」の独自開発による、「ヒト」と「新技術」を融合させた「次世代コンタクトセンター」の創出を目的に「イノベーション&コミュニケーションサイエンス研究所」を当社内に設立いたしました。

それに伴い、コンタクトセンター業務での利用に特化した高精度なAI検索エンジン「Mopas™(モーパス)」と、AIナレッジメンテナンス機能「Knowledge Creator™(ナレッジクリエーター)」で構成され、顧客からのメールでの問い合わせ対応業務の効率化につなげる、独自開発のAI技術サービスの提供を開始しております。

また、従来はコミュニケーターによる電話対応が必要であったコンタクトセンターの一次受付や、資料請求・予約受付等定型的な受付業務を、人の手を介さず自動音声で応答できるボイスボットプロダクトのエントリーモデル「ekubot™」を提供開始しております。

パートナーとの共創においては、2017年11月に業務資本提携契約を締結した凸版印刷㈱とのシナジー効果をさらに加速させ、最大化するために合弁契約を締結し、様々な企業のDXの推進を支援するBPO(Business ProcessOutsourcing)領域に特化した新会社「株式会社TBネクストコミュニケーションズ」(以下、「㈱TBネクストコミュニケーションズ」)を2020年5月に設立いたしました。

また、クライアント企業が展開するダイレクトマーケティング事業(通販事業)において、当社が2019年2月より業務提携しているスプリームシステム株式会社が提供するマーケティングオートメーション(MA)ツール「Aimstar(エイムスター)」を導入し、データ抽出やレポート作成等の運用支援事業を開始しております。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、社会の要請に応えるべく、当社では在宅勤務やオンライン会議を積極的に活用する等して、様々な取り組みを行っております。今回、DXの推進と、従業員のエンゲージメント向上を目的に、次世代コンタクトセンターサービスのデモ体験が可能なショールームや、オンライン会議に適した個人向けブース、社内コミュニティスペース等を配置した「ニューノーマル」時代に対応したオフィスとするため、本社を移転することにいたしました。このショールームでは、当社が提供するクラウド型コンタクトセンターシステムBellCloud+®や、Mixed Reality(MR:複合現実)を活用した次世代ワークスタイルソリューションである「コールセンター・バーチャライゼーション」等のデモ体験を可能としており、次世代コンタクトセンターの在り方について、クライアント企業をはじめとした様々なステークホルダーへ示してまいります。

当社グループは、「社員3万人の戦力最大化」のための施策を着実に行っております。多様な人材の活躍や新たな雇用の創出を目的に働き方改革について積極的に取り組んでおり、在宅勤務は本社等オフィス勤務者においては約8割の社員が活用、在宅コンタクトセンターは千数百席への拡大を行ってまいりました。また、従業員向けの教育・研修及び新卒新入社員・中途社員の採用面接は、全てオンラインに切り替え、働く場所を選ばない、ニューノーマル時代に対応した仕組みと環境の整備を推進しております。

さらにダイバーシティ推進においては、ダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する特定非営利活動法人『J-Win』が主催し、内閣府や厚生労働省等が後援する「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」において、ベーシック部門の最高賞である「ベーシックアチーブメント大賞」を、コールセンター業界で初めて受賞いたしました。

 

また、LGBTQ等の性的少数者に関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体『work with Pride』による「PRIDE指標2020」では、昨年に続き最高位“ゴールド”を受賞し、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進企業として外部からも評価を得ております。

 

各セグメントの業績は以下の通りであります。

 

(CRM事業)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響があったものの、社会インフラとしてのスポット需要及び前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱及び凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、売上収益は前年同期比で増収となりました。利益面では、同一労働同一賃金により人件費が上昇するなか、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、税引前利益は前年同期比で増益となりました。

この結果、CRM事業の売上収益は1,345億59百万円(前年同期比7.5%増)、税引前利益は119億33百万円(同14.2%増)となりました。

 

(その他)

前連結会計年度にその他事業に含まれていたCSO事業を事業譲渡した影響、及びコンテンツ販売収入が減少となりました。また、連結子会社の株式会社ポッケに帰属するのれんについて、減損テストを実施した結果、8億54百万円の減損損失を計上しております。

この結果、その他のセグメントの売上収益は11億76百万円(前年同期比22.7%減)、税引前損失は5億68百万円(前連結会計年度は、1億27百万円の利益)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益は1,357億35百万円(前年同期比7.2%増)、税引前利益は113億5百万円(同7.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は72億52百万円(同3.5%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末現在における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ22億49百万円減少し、55億18百
万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、148億86百万円となりました(前年同期は167億17百万円の収入)。これは主に、
税引前利益が113億5百万円、減価償却費及び償却費が77億86百万円、減損損失が8億54百万円、法人所得税の支
払額が50億56百万円及び営業債権の増加が16億77百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、31億77百万円となりました(前年同期は32億13百万円の支出)。これは主に、
有形固定資産の取得による支出が16億95百万円、敷金及び保証金の差入による支出が7億89百万円、無形資産の取
得による支出が4億40百万円及び持分法投資の取得による支出が2億94百万円それぞれ生じたこと等によるもので
あります。 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、139億55百万円となりました(前年同期は117億99百万円の支出)。これは主
に、リース負債の返済による支出が55億83百万円、配当金の支払額が30億88百万円、長期借入金の返済による支出
が29億36百万円及び短期借入金の返済による支出が22億円それぞれ生じたこと等によるものであります。 

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産の実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2) 受注の実績

当社グループが顧客企業と締結している契約は、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数、時間等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動いたします。従って、受注金額の特定が極めて困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。

 

(3) 販売の実績

当連結会計年度における販売の実績をセグメント毎に示すと以下の通りであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

CRM事業

134,559

7.5

その他

1,176

△22.7

合計

135,735

7.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高
(百万円)

割合
(%)

販売高
(百万円)

割合
(%)

ソフトバンク㈱

14,131

11.2

15,671

11.5

 

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記  2.3 重要な会計方針の要約及び3 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

(2)経営成績の分析

① 売上収益

当連結会計年度の売上収益は、主力事業であるCRM事業において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響があったものの、社会インフラとしてのスポット需要及び前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱及び凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、前連結会計年度に比べて90億72百万円増加(前年同期比7.2%増)し、1,357億35百万円となりました。

② 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、同一労働同一賃金により人件費が上昇するなか、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、前連結会計年度に比べて、24億45百万円増加(前連結会計年度比9.8%増)し、274億41百万円となりました。

 

 

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費の増加に加え、拠点における賃料の増加等により、前連結会計年度に比べて、11億76百万円増加(前連結会計年度比8.6%増)し、149億30百万円となりました。

④ その他の収益及び費用

当連結会計年度のその他の収益及び費用は、株式会社ポッケに帰属するのれんの減損損失を計上した影響が大きく、前連結会計年度に比べてその他の費用が6億48百万円増加し、その他の収益及び費用の合計は7億12百万円(費用)となりました。

⑤ 営業利益

当連結会計年度の営業利益は、株式会社ポッケに帰属するのれんの減損損失を計上しましたが、売上総利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて、6億94百万円増加(前連結会計年度比6.3%増)し、117億99百万円となりました。

⑥ 金融収益及び費用、持分法による投資損益

当連結会計年度の金融収益及び費用、持分法による投資損益は、持分法による投資損益の増加に加え、借入金返済に伴う支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べて、77百万円費用減少(前連結会計年度比13.5%減)し、4億94百万円(費用)となりました。

⑦ 税引前利益

当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加等により、前連結会計年度に比べて、7億71百万円増加(前連結会計年度比7.3%増)し、113億5百万円となりました。

⑧ 親会社の所有者に帰属する当期利益

当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の増加があったものの、税引前利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて、2億46百万円増加(前連結会計年度比3.5%増)し、72億52百万円となりました。

 

(3)財政状態の分析

① 資産の分析

流動資産は、主に営業債権が16億77百万円及びその他の短期金融資産が1億94百万円それぞれ増加しましたが、現金及び現金同等物が22億49百万円及び未収還付法人所得税が2億74百万円それぞれ減少したため、前連結会計年度末より5億76百万円減少し、263億81百万円となりました。

非流動資産は、主にのれんが8億54百万円及び無形資産が6億13百万円それぞれ減少しましたが、有形固定資産が46億10百万円、その他の長期金融資産が8億42百万円、繰延税金資産が6億64百万円及び持分法で会計処理されている投資が2億55百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より49億56百万円増加し、1,465億7百万円となりました。

これらにより、資産合計は前連結会計年度末より43億80百万円増加し、1,728億88百万円となりました。

② 負債の分析

流動負債は、主にその他の流動負債が11億28百万円減少しましたが、借入金が97億99百万円、未払法人所得税が12億41百万円、未払従業員給付が4億83百万円、その他の短期金融負債が4億37百万円及び引当金が1億65百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より109億94百万円増加し、489億52百万円となりました。

非流動負債は、その他の長期金融負債が39億57百万円及び長期未払従業員給付が2億11百万円それぞれ増加しましたが、長期借入金が148億35百万円減少したため、前連結会計年度末より105億87百万円減少し、704億26百万円となりました。

これらにより、負債合計は前連結会計年度末より4億7百万円増加し、1,193億78百万円となりました。

③ 資本の分析

資本は、前連結会計年度末より39億73百万円増加し、535億10百万円となりました。これは主に利益剰余金が41億64百万円増加したことによるものであります。

 

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

資金需要及び資金調達については、当社グループは事業運営に伴う新規拠点の構築及び設備の更新を継続的に実施しております。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。

当連結会計年度については、新型コロナウイルス感染症の影響による不測の事態に備えることを目的として、2020年4月30日付で新たに国内金融機関3社各社と総額100億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの主力事業であるCRM事業においては、サービス提供価格の変動と、オペレーター人材の確保及び人件費の変動が、経営成績に重要な影響を与える主要因と認識しております。当社グループを取り巻く事業環境は非常に競争が激しく、昨今の経済状況により、企業の費用削減傾向が強まる場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当事業における原価の大部分は、主にオペレーターの人件費であるため、人材不足による採用難や賃金上昇によるオペレーションコストの増加は、当社グループの経営成績に影響を与えます。

対応策といたしましては、当社グループが30余年にわたって築き上げてきた実績と経験を活かして他社との差別化を図り、品質向上及び新しいソリューション提供に努める事で業務の効率化及び売上規模の拡大を実現し、併せて、当社グループのブランド価値向上によりオペレーターの確保及び人件費増に対応する適切な価格設定に努めてまいります。また、今後も戦略型のCRM事業の開発や新しいソリューションを提供し続け、顧客企業とともに成長できるパートナーへ進化を目指してまいります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大に関する当社グループへの影響は、依然として不確実性が高いものの、行政機関からの指示・要請や、感染拡大防止、従業員の安全確保を最優先とし、お客様企業のご理解を得ながら、各拠点の環境や業務に応じた感染防止・予防に向けた取り組みを行い、適切な事業継続を図っております。

これにより、コンタクトセンターにおける一部既存業務の縮小及び一時的な稼働率低下といった影響が発生しつつあります。

今後においては、社内外への感染拡大の防止と従業員ひとりひとりの安全確保を最優先とした上で、行政機関をはじめとした新型コロナウイルス対策関連業務の支援に繋がるサービスの実施など、当社が担っている社会的責任をできる限り果たしてまいります。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

当社グループが属する派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は8,900億円を超え、2018年度以降2023年度までの間に年平均成長率5%程度で拡大すると予測されており、また、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が続いております(出典:株式会社ミック経済研究所「BPO総市場の現状と展望2019年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第14版)」)。そうした中にあり、上位の競合企業は、当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に一定のシェアを確保しつつも、その周辺市場に軸足を移し成長の活路を見出しているものと考えられますが、当社グループにおいては、引き続き当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に軸足を置き、成長路線を描いていく方針であります。

当該市場は上述の通り上位数社で過半のシェアを占める一方、数多くの中小規模以下の事業者が存在しております。また、アウトソーシングされていないインハウスの市場が、同等ないしそれ以上の規模で存在すると言われております。将来的には、大手へのさらなる収斂、専門領域特化、インハウスセンターのアウトソーシング化等を包含した市場再編成が起きる可能性があります。

当社グループの強みは、国内随一の広範な自社コンタクトセンター拠点をベースにした「規模」、様々な業界のコンタクトセンター運営受託の実績の「経験」と「ノウハウ」、最新のテクノロジーを積極的に活用する「融合」にあります。これまでに培ってきたこうした強みに加え、伊藤忠商事グループ及び凸版印刷㈱との営業、事業開発、及びテクノロジー分野におけるシナジーを創出していくことにより、顧客企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践するパートナーとして、今後さらなる成長を果たしてまいりたいと考えております。

 

 

(7)経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループは、主要ビジネスであるCRM事業を中心に、既存クライアントとの取引拡大及び伊藤忠商事グループや凸版印刷㈱の多様な企業ネットワークを活用した新規クライアント獲得強化による売上規模拡大、及び人件費増に対応する適切な価格設定の実施、業務の効率化及びコストコントロールの徹底による収益性向上との相乗効果により、収益基盤の拡充策を強力に展開してまいります。

株主に対しては、利益還元を最重要課題の一つとして認識しており、剰余金の配当を安定かつ継続的に実施し、業績の進捗状況に応じて配当性向及び必要な内部留保の充実等を総合的に勘案した上で、中期的には親会社所有者に帰属する当期利益をベースに、連結配当性向50%を目標として、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。

また、従業員に対しては、新たな人事制度の導入を段階的に進める他、女性活躍推進を目的とした育成プログラムの実施、企業内保育所の設置、及び教育研修施設の開設等、より多様な働き方を実現する環境整備の取り組みを続けてまいります。これらに加え、新型コロナウイルスを始めとする感染症拡大防止への対応も踏まえ、リモートワークの推進等、働き方の一層の変革を行ってまいります。

さらに、AI等の新技術を活用し自動対応への取り組みを実現するソリューションの提供等、クライアントへの最適なコミュニケーションを提供すると同時に、クライアント企業の新しいビジネス価値を創造してまいります。これまでのコスト削減中心の単なる「アウトソーサー」にとどまらず、クライアント企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践・実行する「パートナー」として、前連結会計年度以来、重点的に取り組んでいる施策の収益貢献化に向け、事業基盤を強化してまいります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)凸版印刷㈱との合弁契約

当社は、2020年4月23日付で凸版印刷㈱との間で合弁契約を締結いたしました。

① 合弁契約の目的

凸版印刷㈱とは、バックオフィス業務やコンタクトセンター業務等の領域で協業を進めてきましたが、両社のシナジー効果をさらに加速させ、最大化するため、さまざまな企業のDX推進を支援するBPO領域に特化したサービスを展開するための合弁会社の設立を目的としております。

 

② 合弁契約の概要

商号

㈱TBネクストコミュニケーションズ

所在地

東京都文京区水道一丁目3番3号

代表者の役職・氏名

代表取締役社長   坂田 裕泰

代表取締役副社長  齋藤 宏之

資本金

3億円

事業内容

事務局業務、コールセンター業務を中心とするアウトソーシングサービス、コンサルティングサービス

設立年月日

2020年5月1日

持株比率

凸版印刷㈱  51%

当社     49%

 

 

 

(2)借入契約等

当社は、複数の金融機関と金銭消費貸借契約、コミットメントライン契約及び当座貸越契約等の借入契約を締結しており、その概要は、以下の通りであります。

契約区分

借入先

契約日等

契約金額
(総額)
(百万円)

2021年2月28日現在の
借入残高
(百万円)

金銭消費貸借契約

(注)1

三井住友信託銀行㈱
三菱UFJ信託銀行㈱  (注)2
㈱横浜銀行
㈱北海道銀行
㈱西日本シティ銀行
㈱福岡銀行
㈱りそな銀行

借入日   2017年3月31日
返済期日  2021年3月31日

21,000

12,000

金銭消費貸借契約

㈱みずほ銀行
㈱三菱東京UFJ銀行
(現㈱三菱UFJ銀行)
㈱三井住友銀行
みずほ信託銀行㈱

借入日   2017年11月30日

返済期日

借入A   2022年9月30日

借入B   2022年11月30日

 

 

13,750

20,875

 

 

 4,813

12,875

金銭消費貸借契約

(注)1

信金中央金庫
農林中央金庫
㈱横浜銀行
㈱千葉銀行
㈱第四銀行(現㈱第四北越銀行)
㈱京都銀行
㈱南都銀行

借入日   2017年11月30日
返済期日  2022年11月30日

14,000

14,000

金銭消費貸借契約

(注)1

信金中央金庫
農林中央金庫

借入日   2018年2月28日
返済期日  2023年2月28日

4,000

4,000

金銭消費貸借契約

㈱日本政策投資銀行

借入日  2018年6月29日
返済期日 2023年6月30日

4,000

4,000

金銭消費貸借契約

(注)1

三井住友信託銀行㈱
㈱西日本シティ銀行
㈱第四銀行(現㈱第四北越銀行)
㈱南都銀行

借入日   2019年6月28日
返済期日  2024年6月28日

6,000

6,000

コミットメント

ライン契約

㈱三菱UFJ銀行

コミットメント期間 (注)3
    自 2020年6月30日
    至 2021年6月30日

3,500

1,350

コミットメント

ライン契約

㈱みずほ銀行
㈱三菱東京UFJ銀行
(現㈱三菱UFJ銀行)
㈱三井住友銀行

コミットメント期間 (注)3
    自 2017年11月30日
    至 2021年11月30日

6,500

2,700

コミットメント

ライン契約

(注)1

 

コミットメント期間 (注)3

10,000

㈱三菱UFJ銀行
 

    自 2020年4月30日
    至 2021年3月31日

㈱みずほ銀行

    自 2020年4月30日
    至 2021年3月31日

㈱三井住友銀行

    自 2020年4月30日
    至 2021年4月30日

当座貸越契約
(注)1

 

契約期間(いずれも1年毎の自動更新) (注)3

3,500

1,250

三井住友信託銀行㈱

     自 2016年6月10日

    至 2021年6月30日

㈱北海道銀行

      自 2016年6月1日

    至 2021年7月31日

㈱横浜銀行

     自 2016年6月7日
    至 2021年6月6日

 

(注) 1.各金融機関それぞれとの契約であります。

2.2018年4月16日付で㈱三菱UFJ銀行に契約が移管されております。

3.コミットメント期間、契約期間は、当初の開始日と更新後の契約満了日を記載しております。

4.主な契約内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.借入金」をご参照ください。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。