第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、「人として社会に感謝し、地域社会の発展に挑む」という企業理念を掲げ、賃貸借契約における家賃債務の人的保証すなわち連帯保証人制度を法人として引き受ける機関保証会社として、家賃債務の保証事業を展開しております。

 

(2)目標とする経営指標

当社は家賃保証事業を継続し拡大していくことが「機関保証の普及の実現」ならびに企業価値の向上につながると捉えており、目標とする経営指標を保証債務残高及び保証債務件数として、経営指標の向上に努めております。

 

(3)経営環境

令和6年度の新設住宅着工戸数は、前年度比2.0%の増加となり、3年ぶりに増加へと転じました。特に貸家着工件数は前年度比4.8%増と、前年度の減少傾向から回復を示し、再び増加基調に入っております(※1)。

住宅市場は、その性質上、急激な拡大や縮小が生じにくく、主に人口動態や社会構造の変化といった需要側の要因に影響を受けやすい特徴を有しています。近年では、核家族化の進行、未婚率の上昇、少子高齢化などを背景に、家賃債務保証に対する社会的認知と理解が着実に進展しており、新規賃貸借契約における機関保証(家賃債務保証会社のサービス)への加入は、現在ではおおむね9割を超える水準に達しています(※2)。

さらに、2020年4月に施行された改正民法(債権法改正)により、個人保証契約における極度額の明示義務化や、原状回復義務の明文化などが導入され、賃貸契約におけるリスク管理のあり方が大きく見直されました。これにより、個人保証制度に依存しない機関保証のニーズは一段と高まりを見せております。

また、近年では、公営住宅においても、連帯保証人の確保が困難な入居希望者への対応策として、機関保証制度の導入を検討あるいは実施する自治体が増加しています。これにより、家賃債務保証サービスの対象範囲は、従来の民間賃貸住宅市場にとどまらず、公的住宅分野にも広がりを見せている状況です。

 
 
※1 国土交通省総合政策局建設経済統計調査室発表:建築着工統計調査報告 令和6年度計より
※2 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 市場データ(日管協短観)より 
 

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

当社はこれまで家主が物件の管理を企業へ委託する、所謂管理物件を主たる市場としておりましたが、家主自身で物件を管理する一般物件市場の開拓を推進しております。当社は、より付加価値の高い保証スキームとしてクレジットカードポイントを付与できる信販会社との提携商品、家主への滞納が発生しない事前立替による保証、指定信用情報機関CICを用いた一定の承認率を保持しつつもデフォルトリスクを抑える与信精度などを競争上の強みとし、市場開拓を進めております。また、新たなクレジットカード会社との提携商品の販売や指定信用情報機関JICCを用いた滞納報告型商品の販売強化に加え、家賃債務の保証事業を基幹ビジネスとしながら、これらのノウハウや優位性を活かし未だ機関保証が進出していない分野へ進出することで、事業の多様性と収益の分散化を図ることを中長期的な戦略としております。

 

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は連帯保証人制度に代わる機関保証の普及を実現するというミッションを推進していくために、以下の施策を対処すべき課題として取り組んでまいります。

① 営業について

既存のクレジットカード会社提携商品の販売強化に注力するとともに、利益率水準の維持、加盟店の新規開拓、既存取引先の利用促進を行い、収益拡大を図ってまいります。また、新たなクレジットカード提携商品の販売強化に向けて営業人員を増強し、営業展開を図ってまいります。

 

② 債権管理について

求償債権比率の抑制を図るため、現状の回収方法・手法の見直し、弁護士をはじめとする外部委託業者の活用や回収業務支援システムの有効活用等により、回収体制の強化に努めてまいります。

 

③ DX推進について

家賃債務保証サービスの申込・契約の電子化対応機能の拡充、利用促進に努め、不動産管理業界や社内の業務オペレーション効率化、コスト削減を図ってまいります。

 

④ 人材の確保と育成について

人材の確保に向けて既存の採用手法の見直しを実施し、従業員の定着率向上を実現するべく、中長期の視点で人材育成を図り、就業環境・公正な人事評価の整備、体制強化に努めてまいります。

 

⑤ 内部統制について

社会から信用・信頼され持続可能な企業活動を実現するべく、社内規程の再整備、更なるガバナンス強化に向けた内部監査手法の再構築やリスクマネジメントの強化を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)気候変動への取り組み

①ガバナンス

当社は気候変動を含む環境・社会課題を経営上の重要事項として捉え、重要な取組事項については、関連する部門にて議論し、経営陣への報告を実施し、重要な取組事項としては、エネルギー(電力)使用量の削減取組を開始しました。

 

 

② リスク管理

当社は、環境や社会課題を考慮した地域経済の好循環サイクルを追求し、地域社会と全てのステークホルダーの持続的な発展に貢献するとともに、気候変動に関するリスクへの対応を経営の重要課題であると捉えており、当社の気候変動に伴うリスク(物理リスク・移行リスク)と機会を以下のとおり定性的に分析しております。

今後も気候変動が経済に及ぼす様々なリスクおよび機会の特定、評価を実施し、経営陣へ報告するとともに、対応策の検討をしてまいります。

 

リスク・機会の種類

事業へのリスク

評価

物理リスク

自然災害により加盟店・提携店等において業務が中断することによる売上の減少、ならびに自社の業務の対策・復旧費用が増加するリスク

営業店・受付センター等や従業員が被災することにより事業継続に影響が出るリスク

移行リスク

気候変動への取り組み不足により当社の評判が悪化し、取引機会の喪失や人材採用難、資金調達費用が増加するリスク

当社が環境軽視の経営をした場合の企業価値の低下するリスク

機会

環境重視の経営による当社の企業価値の向上

環境を配慮したアパートの着工や中古住宅の改修に伴う家賃引き上げによる保証料の増加

省エネ法の規制強化による各種規制等により建築資材が高騰することで住宅価格の上昇に影響を及ぼし、住宅購入意欲が減少し、賃貸住宅への需要が高くなることで安定的な収益の確保が可能

 

 

 

 

 

(2)人的資本に関する開示

  当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、下記のとおりであります。

①人材育成方針

・多様・多彩な人材育成を図るため社内人材の育成・能力開発に向けた研修制度をより充実させる取組みを行ってまいります。

・マネジメントを含むキャリア意識の形成をサポートし、経営に関する意識改革・研修等、若手社員を含めた管理職候補への教育も強化してまいります。

・女性管理職の人数を増加するとともに、産休・育休後に復職しやすい就業環境を設け、女性活躍推進を一層支援してまいります。

 

②社内環境整備方針

・持続的に成長できる強い企業になるための経営戦略の一つとしてダイバーシティ推進を行います。 

・自律的にキャリアを構築できる人材づくりと、多様な視点を活かし機能させる組織風土の醸成を進めます。

・従業員それぞれの多様な考え方や経験を活かすことで、新しい価値創出を目指します。

・多様な価値観を持つ人材がお互いを尊敬できる人材基盤の強化を図ってまいります。

・障がい者・外国人の採用をより積極的に取り組んでまいります。

 

③人権への配慮

職場におけるハラスメントは、防止のための仕組みがあっても、防止する意識が下がれば減らない根深い問題であり、当社は誰もがハラスメントを行う可能性があることを自覚して相手を思いやって行動し、相談しやすく見て見ぬふりをしない風土を作るために、ハラスメントに対して毅然とした対応を行います。

 

  ④指標及び目標

当社では、上記「(2) 人的資本に関する開示」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

時間外労働

月間8時間以内

月間12.9時間

男性育休取得率 (注)1

2030年3月まで50.0

―%

管理職に占める女性比率

2030年3月まで30.0

 6.7

 

(注)1.当事業年度においては配偶者が出産した男性労働者の対象がないため、実績の記載を省略しております。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要リスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 不動産市況の動向について

不動産賃貸市場における賃貸不動産の件数は堅調に増加傾向を示しておりますが、今後さらに高齢化が進み、主に転居を伴う経済活動を行う10代から40代の人口の絶対数が減少するなどの情勢の変化によっては、不動産賃貸市場が低迷することも考えられ、その場合には当社の事業継続に大きな影響を与える可能性があります。

 

(2) 資金調達及び金利の動向について

当社取扱商品の中で「ライフあんしんプラス」は営業収益の約4割を占める主力商品であります。「ライフあんしんプラス」では、ライフカード株式会社の資金を用いて家賃等の立替を行っていることから、現状は当社が独自に資金調達を行っておりません。よって、ライフカード株式会社との業務提携が何らかの事情により破棄された場合、ライフカード株式会社が負担していた自己資金部分の資金調達を当社が独自で行うあるいは別の提携先を確保する必要があります。また、「あんしんプラス」においては、当社の自己資金及び借入を用いたビジネスモデルとなっているため、今後事業規模がさらに拡大して資金を調達して事業を継続する場合、金利負担の増加により現行の価格設定を見直すことで競争力が低下する可能性があります。また、価格を据え置いた場合、コストの値上がりによる収益の減少が懸念されます。これらの場合、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競合について

当社は、家賃等を賃借人の支払期日より前に立替払いするビジネスモデルを提供しております。また、家賃債務の保証事業としてCIC・JICCに加盟し、両社が保有する信用情報(クレジット情報)を活用したスコアリングと顧客属性を基にした定量・定性的な与信機能を設けていることから、競合他社と比べ優位性があります。今後、資本力のある銀行やクレジットカード事業者が当社と同様のビジネスモデルを構築する場合、当社と競合する可能性があります。当社としては、不動産賃貸業界の大手団体や大手フランチャイズ・チェーンなどの囲い込みを行い、先行者利得を最大限確保するように努めますが、環境の変化により、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 多額の偶発債務の発生可能性について

家賃債務の保証事業は、入居者(賃借人)の家賃債務に関する連帯保証を入居者(賃借人)の委託をもとに引き受ける事業であり、入居者(賃借人)による家賃等の滞納があれば当社がクレジットカード事業者(ライフカード株式会社)や不動産管理会社(賃貸人を含む)に対して代位弁済を行う必要があります。このような偶発債務が、経済環境の予想し難い激変等何らかの理由により上昇するような場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 求償債権の回収不能リスクについて

当社の家賃債務の保証事業における保証商品においては、当社が入居者(賃借人)の家賃等債務に対する連帯保証人となっております。当社又はクレジットカード事業者が不動産管理会社(賃貸人を含む)に行った家賃等の立替について入居者(賃借人)の家賃等の支払に遅延・滞納が起きた場合に、当社がクレジットカード事業者や不動産管理会社(賃貸人を含む)に代位弁済を行います。これにより、当社は保証契約に基づく求償債権又は保証委託契約に基づく求償債権を取得することになりますが、これら債権を全額回収できるとは限らず、入居者(賃借人)の滞納家賃等の一部について未回収金が発生する場合があります。
 当社は、このリスクに対して適切な与信を実施することと、過去実績の分析から適切と想定される保証料金体系を設定することで、未回収リスクを最大限ヘッジしております。しかしながら、実際の貸倒損失が当社の予測する範囲を上回った場合、現時点の貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、当社が貸倒引当金を設定する基準を改訂した場合、又はその他の要因により予想以上に悪影響を受けた場合、当社は追加の貸倒引当金の計上を必要とする可能性があるほか、未回収金が当社の想定を大きく上回った場合、キャッシュ・フローが悪化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(6) 個人情報保護について

当社における家賃債務保証事業は、多数の個人情報を扱っております。当社としては、個人情報へのアクセス権限の設定や、外部記憶媒体の利用制限等の徹底管理など、内部の情報管理体制の徹底により個人情報の保護に注力しておりますが、不測の事態により個人情報が流出した場合、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 重要な提携先について

 「ライフあんしんプラス」商品において、業務スキームの重要部分である賃料等の立替機能及び未回収金の初期回収をライフカード株式会社へ委託しております。ライフカード株式会社との契約は、2008年12月19日より家賃保証商品の取扱にかかわる業務提携契約及び包括債務保証契約を締結しており、契約期間は満1ヵ年とし、別段の意思表示をしない場合は同一条件にて自動更新されるものとしております。双方次のいずれかに該当した場合、契約解除事由と定めております。①債務不履行で相手方が相当の期間を定めて催告したにもかかわらず、なお債務不履行その他の違反が是正されない場合、②差押、仮差押、仮処分、強制執行または競売の申し立て、もしくは滞納処分を受け、本契約の義務履行に重大な悪影響を及ぼす場合、③手形・小切手が不渡りになった場合、④支払停止、破産、民事再生手続開始、会社更生手続開始、清算もしくは特別清算開始の申し立てがあった場合、⑤いずれかの会社が消滅会社となる合併、解散もしくは営業の全部を第三者に譲渡した場合としております。また、「あんしんプラス」商品において、賃借人に対する与信機能をCICへ加盟することで強化しております。クレジットカード事業者や信用情報機関との提携は当社の事業を継続する上で必要不可欠な提携であり、通常想定し難い事情等により提携が解消となった場合、当社の事業継続に影響を与える可能性があります。

 

 なお、ライフカード株式会社と当社との取引は以下のとおりです。

当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

種類

会社等の名称
又は氏名

所在地

資本金又
は出資金
(千円)

事業の内容
又は職業

議決権等
の所有
(被所有)
割合(%)

関連当事者
との関係

取引の内容

取引金額
(千円)

科目

期末残高
(千円)

その他の関係会社の子会社

ライフカード㈱

横浜市
青葉区

100,000

信販事業
信用保証事業

業務提携契約

業務の提携
(注)1

746,901

債務の保証

包括債務保証契約
(注)2

665,191

代位弁済

包括債務保証契約
(注)2

441,533

立替家賃の回収委託

立替家賃の回収

305,226

収納代行立替金

24,226

役員の兼任

 

 取引条件及び取引条件の決定方針

(注)1.ライフカード株式会社との業務提携契約にかかる受取保証料は、市場価格を勘案して価格交渉の上、決定しております。

   2.ライフカード株式会社による債務保証(賃借人の一定期間の未収家賃等に対するもの)について再保証及び代位弁済を行っております。

 

(8) 賃借人等との間で起こりうる訴訟について

家賃債務の保証事業においては、滞納家賃等の返済ができないにもかかわらず、対象物件の明渡意思がない若しくは金銭的な面から明渡不可能な賃借人等の対応として、月額賃料等に係る保証債務の発生に関する解決(退去)が困難な場合、これらの解決を図るため、明渡訴訟を提起することもあり、当該訴訟費用も保証範囲となります。この訴訟の件数の増加、必要となる費用の内容若しくは訴訟結果によっては、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 不動産管理会社(賃貸人を含む)との間で起こりうる訴訟について

家賃債務の保証事業においては、当社が保証を受託した原契約である賃貸借契約の対象不動産の使用などを巡って、賃貸人が賃借人に対して訴訟を提起する場合があります。この場合、連帯保証人である当社も、保証範囲の債務履行請求訴訟においては、賃借人と同列の立場として被告となる可能性があることから、当該訴訟の件数、内容若しくは結果によっては、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 法的規制について

現段階では家賃債務の保証を営む事業者に対する直接的な法規制はありませんが、今後不動産賃貸業界全般に大きな影響を及ぼすような法的規制が新たに設けられた場合には、当社の事業に影響を与える可能性があります。

 

(11) システムリスクについて

当社は業務をシステム化しており、システムの安定運用に依拠して審査、保証契約等の管理、債権管理、その他各種運用及びお客様の個人情報の記録・保存・管理等を行っております。コンピューター及びネットワーク機器・回線障害または誤作動、システムプログラムの障害等により、正常な業務運営が妨げられることがないように、バックアッププランを含めた緊急時の体制を整えております。また、システム全般に適切なセキュリティー対策を講じております。

しかしながら、事故、火災、自然災害、停電、人為的ミス、ソフトウエアの不具合及び外部からのサイバー攻撃等により、システムの安定的な運用が困難となった場合、当社の事業活動に支障が生じることによって、当社の経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、雇用環境の改善の下で緩やかに回復を続けています。ただし、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響や、通商政策をはじめとするアメリカの政策変動による影響が景気を下押しするリスクとなりました。

賃貸住宅市場におきましては、令和6年度の新設住宅着工戸数が前年度比2.0%の増加となり3年ぶりの増加となる中、貸家着工件数は前年度比4.8%の増加となり、前年度の減少から再び増加に転じました。(国土交通省総合政策局建設経済統計調査室発表:建築着工統計調査報告 令和6年度計)
  このような事業環境のもと、当社は、連帯保証人制度に代わる機関保証の普及を実現するというミッションを推進していくために、新たな企業価値創造に向けてより一層の挑戦を続け、以下の取り組みを実施してまいりました。

営業活動につきましては、加盟店の新規開拓、未稼働加盟店のメイン利用の促進、当期に販売開始した東急カード株式会社との提携商品「あんしんQ-Rent」の広告展開、新たに家賃債務保証と家財保険をセットにしたパッケージプランの提供を行ったことにより、前年に引き続き加盟店契約数、保証件数及び保証残高は堅調に増加いたしました。一方で加盟店へ支払う集金代行手数料の増加や貸倒関連費用が増加したため、営業費用が増加しており、初期未収対応人員の確保によって回収体制の見直しを図ってまいりました。

この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。

 

(a)財政状態

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,744,900千円増加し、12,857,421千円となりました。

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ1,707,893千円増加し、10,495,995千円となりました。

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ37,006千円増加し、2,361,426千円となりました。

 

(b)経営成績

当事業年度の経営成績は、営業収益5,376,184千円(前年同期比11.0%増)と、増収となりました。また、利益につきましては、営業利益58,215千円(前年同期比86.7%減)、経常利益173,858千円(前年同期比68.5%減)、税引前当期純利益135,550千円(前年同期比75.4%減)、当期純利益89,580千円(前年同期比76.0%減)となりました。

 

当社の事業セグメントは、家賃債務保証事業の単一セグメントでありますので、セグメント別の記載を省略しております。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、929,314千円と前年同期と比べ282,234千円(23.3%)の減少となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当事業年度における営業活動の結果、減少した資金は243,150千円(前年同期は30,228千円の支出)であります。この主な増加要因は、税引前当期純利益135,550千円、貸倒引当金の増加額213,752千円、契約負債の増加額381,501千円及び収納代行預り金の増加額1,231,224千円等であり、主な減少要因は、収納代行立替金の増加額1,664,987千円、求償債権の増加額336,971千円及び法人税等の支払額278,752千円等であります。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当事業年度における投資活動の結果、減少した資金は86,853千円(前年同期は52,166千円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出9,340千円及び無形固定資産の取得による支出75,734千円等であります。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当事業年度における財務活動の結果、増加した資金は47,769千円(前年同期は68,406千円の支出)となりました。この増減要因は、短期借入金の増加による収入100,000千円の他、配当金の支払額52,230千円であります。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

 (a) 生産実績及び受注実績

当社の事業内容は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。

 

 (b) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

家賃債務保証事業

5,376,184

11.0

 

(注) 1.当社は、家賃債務保証事業の単一セグメントであります。

   2.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ライフカード株式会社

762,276

15.7

746,901

13.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

 ① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

(資産)
  当事業年度末における資産につきましては、前事業年度末に比べ1,744,900千円増加の12,857,421千円(前事業年度末比15.7%増)となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が282,234千円減少し、貸倒引当金が213,752千円増加したものの、営業未収入金が48,013千円増加したこと、求償債権が336,971千円増加したこと及び収納代行立替金が1,664,987千円増加したこと等によるものであります。

 
(負債)
 負債につきましては、前事業年度末に比べ1,707,893千円増加の10,495,995千円(前事業年度末比19.4%増)となりました。増加の主な要因は、短期借入金が100,000千円増加したこと、収納代行預り金が1,231,224千円増加したこと及び契約負債が381,501千円増加したこと等によるものであります。

 
(純資産)
 純資産につきましては、前事業年度末に比べ37,006千円増加の2,361,426千円(前事業年度末比1.6%増)となりました。増減の主な要因は、剰余金の配当52,114千円によるもののほか、当期純利益89,580千円を計上したこと等によるものであります。

 

 

(b)経営成績の分析

(営業収益)
 当期における営業収益は、保証債務残高及び新規保証件数が伸びたことにより、5,376,184千円(前期比11.0%増)となりました。
 

 (営業利益)
 当期における営業費用は、5,317,968千円(前期比20.8%増)となりました。支払手数料が279,540千円増加(前期比17.1%増)、貸倒引当金繰入額が285,653千円増加(前期比46.7%増)したこと等によります。その結果、営業利益は58,215千円(前期比86.7%減)となりました。

 

(経常利益)
 当期における営業外収益は、償却債権取立益が12,119千円増加(前期比41.6%増)したこと等により、合計で147,924千円(前期比9.4%増)となりました。営業外費用は、支払利息が11,382千円増加(前期比56.6%増)したこと等により、合計で32,281千円(前期比37.6%増)となりました。その結果、経常利益は173,858千円(前期比68.5%減)となりました。

 

(税引前当期純利益)
 当期における特別損失は、固定資産除却損が37,937千円増加(前期比―%増)したことにより、合計で38,307千円(前期比―%増)となりました。その結果、税引前当期純利益は135,550千円(前期比75.4%減)となりました。

 

(当期純利益)
 当期においては、法人税、住民税及び事業税221,622千円(前期比15.4%減)を計上し、法人税等調整額△175,652千円(前年同期は△84,734千円)を計上した結果、当期純利益は89,580千円(前期比76.0%減)となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。

当社の短期運転資金は、クレジットカード事業者への代位弁済金、不動産管理会社(賃貸人を含む)への立替金が主な使途であり、保証債務残高の増加に伴い資金需要額も増加いたします。資金の調達方法は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。また、無形固定資産の取得は主にWEBの開発に伴うものであり、財源としては内部留保による資金をあてております。

 

 

② 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、保証債務残高及び保証債務件数を経営指標としており、対前期末と比して堅調に推移しました。

 

 

指標

2024年3月
(実績)

2025年3月
(実績)

2025年3月
(前期実績比)

保証債務残高(月額)

17,979百万円

20,269百万円

112.7%

保証債務件数

325千件

356千件

109.5%

 

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

その他の重要な契約

相手先の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

ライフカード株式会社(注)1

日本

家賃保証商品

2008年
12月19日

1年ごとの自動更新

家賃保証商品の取扱いに関わる業務提携契約及び包括債務保証契約。

株式会社シー・アイ・シー(注)2

日本

2014年
4月21日

1年ごとの自動更新

CIC加盟に関する契約。

株式会社賃貸管理ビジネスネットワーク
(注)3

日本

2011年
10月1日

1年ごとの自動更新

営業協力活動の提供。

株式会社日本信用情報機構(注)2

日本

2021年

7月21日

1年ごとの自動更新

信用情報の提供等に関する契約

 

(注) 1.ライフカード株式会社とは主に家賃保証商品を提供するための業務提携契約と賃借人の一定期間の未収入期間の家賃等に対する再保証を行う包括債務保証契約を締結しております。

2.加盟金及び利用料金を支払っております。

3. 利用料金を支払っております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。