文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「もっと人のために」を経営理念としております。体外診断用医薬品分野において、この理念を実現すべく、医療検査の要請に応じて技術革新にあくなき探求を続け、お客様に満足いただける品質の高い製品を供給するという運営基本方針を定めております。
この方針に従い、ISO13485品質マネジメントに基づいた、企画開発から製造、販売までを自社一貫体制で行う強みを生かし、独自の研究開発を基本とした品質の高い製品を提供し続けることで、企業価値の向上に努め、ステークホルダーの期待に応えてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社は、中長期的な事業拡大と収益性を重視しており、売上高増加率及び売上高経常利益率を重要な経営指標として経営を行っております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、企画開発、製造、販売の自社一貫体制のもと、体外診断用医薬品における革新的技術を構築することにより、病院・開業医分野及びOTC・その他分野において、以下の事項を成長戦略として位置づけ、実践してまいります。
① 病院・開業医分野
・遺伝子POCT機器・試薬の製品開発を推進するとともに売上拡大を図り、簡易迅速な確定診断製品として新たな市場創出に取り組みます。
・感染症POCT免疫検査薬の製品群を拡大することにより、ウイルス・細菌分野における市場開拓に取り組みます。
② OTC・その他分野
・スイッチOTC製品の先発品の上市準備に取り組むとともに、OTC医薬品の大手企業であるアリナミン製薬株式会社(旧社名 武田コンシューマーヘルスケア株式会社)との販売提携のもとOTC市場でのシェアの拡大を図ります。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
体外診断用医薬品業界におきましては、近年の様々な感染症の集団発生を背景に、感染症の早期診断に対する国民の意識が高まり、医療への期待は「治療」から「予防」へとシフトしてきております。診療の現場におきましても、適切な医療をより効果的かつ効率的に提供するための体制構築が迫られ、また、小児・老人医療における感染拡大防止や院内感染の予防対策として、感染症の早期診断及び早期治療の重要性の認識はさらに高まっており、遺伝子検査などの早期診断に有用な診断技術への期待も大きくなっております。
このようななか、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、その後2年以上に渡り、幾度となく収束と再拡大を繰り返し、わが国においても国民の社会経済活動に深刻な影響を及ぼしております。当業界におきましても、遺伝子検査をはじめとした新型コロナウイルス感染症の検査需要が急激に高まる一方で、感染防御の効果や受診控えによる外来患者の減少により、既存の感染症全般の検査需要が減少するという影響を及ぼしています。
当社は新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡充に寄与し、感染拡大防止に貢献することが診断薬メーカーの使命と捉え、「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いた新型コロナウイルスの検出試薬の早期開発に取り組み、2020年8月より同試薬の発売を開始いたしました。また、急速に高まる需要に応えるため、設備投資によって増産体制を構築し、安定供給の維持に尽力いたしました。さらに、検査体制のさらなる拡充に貢献するべく、各種抗原キット等の新製品の開発・発売にも注力いたしました。
新型コロナウイルス感染症は、近い将来にはワクチンや治療薬の開発・普及あるいはウイルスの弱毒化などにより終息に向かうことが期待され、既存の感染症全般の検査需要も徐々に回復することが見込まれますが、その過程において、引き続き競合他社との技術及び価格競争など厳しい状況が続くことが予想されます。
当社は、「もっと人のために」という経営理念のもと、企画開発から製造、販売までを自社一貫体制で行う強みを生かし、医療機関や患者のニーズに応える数多くの優れた製品を提供するため、新型コロナウイルス感染症の拡大期のみならず共生期や終息後の経営環境も見据えながら、以下の課題に取り組み、事業の継続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
① 遺伝子POCT検査機器試薬システムの普及及び検査項目の拡充
検査薬市場においては、世界的にもPOCT市場向けの機器試薬システムの技術開発が加速しており、感染症、循環器、糖尿病など各々の疾患を早期に診断、治療を行うための新たなPOCT機器試薬システムが開発されております。当社は、主力とする感染症分野におきまして、これまでのイムノクロマト法に代わる革新的診断技術として、各種シーズ技術のスクリーニングを経たのち、遺伝子診断技術の開発に注力しておりました。この成果として、2018年に業界では先発となる遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」及びマイコプラズマ核酸キット「スマートジーン Myco」を発売し、また、2020年には新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡充・感染拡大の防止に貢献するべく、同ウイルス検出試薬の早期開発に取り組み、「スマートジーン新型コロナウイルス検出試薬(現 スマートジーン SARS-CoV-2)」を発売いたしました。
遺伝子POCT検査薬機器試薬システムは、診療の現場において短時間で確定診断が可能なことから、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、感染拡大防止や早期診断に有用であることが広く認知されることとなり、その期待の高まりを背景に将来の遺伝子POCT検査市場の拡大が見込まれています。また、当社の遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」の普及が急速に進み、将来における各専用試薬の需要の基盤が確立しつつあることから、新たな検査項目の拡充や性能の改善が喫緊の課題となっております。
この課題に対応すべく、同装置を用いる新たな遺伝子POCT検査項目の開発・製品化においては、これまでの呼吸器感染症項目に加え、消化器感染症、泌尿器感染症及び婦人科感染症項目並びに薬剤耐性菌項目などのラインナップの拡充を図るとともに、性能の改善に向けた開発にも注力し、簡便操作、迅速判定、コンパクトかつ低コストという特長を持つ遺伝子POCT機器試薬システムとして、病院や診療所へのさらなる普及に向け尽力してまいります。
② 高感度POCT機器試薬システムの検査項目の拡充
POCT検査は治療に直結する検査であることから、各種検査項目について、より高感度、短時間判定かつ客観性の高い検査を実施できる機器試薬システムの開発が課題となっております。
この課題に対応すべく、当社は、富士フイルム株式会社との共同開発に取り組み、他社に先駆け、発症初期の診断精度や客観性を向上させた高感度感染症迅速診断システムとして、デンシトメトリー分析装置「クイックチェイサー Immuno Reader」及び高感度インフルエンザ抗原検出用キット「クイックチェイサー Auto Flu A,B」の開発に成功し、販売を開始いたしました。その後も、検査キットにつきましては、A群β溶血連鎖球菌、アデノウイルス、RSウイルス及びマイコプラズマ抗原を新たな検査項目として追加し、さらに、2021年3月に新型コロナウイルス抗原を高感度に検出する「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」の販売を開始するなど、クイックチェイサーAutoシリーズとして品揃えを充実させております。
また、機器につきましても、タッチパネルの採用やオンライン化対応等により実用性をさらに向上させた後継機を発売するなど、機器試薬システムとして、競合他社の製品との差別化を実現しております。今後も、さらなる検査項目の追加、性能の改善のための開発を継続することにより、市場及びシェアの拡大に努めてまいります。
③ POCT迅速診断検査薬の項目開発及び性能向上
小児科など医療現場においては、特に迅速な治療が必要とされる感染症のPOCT検査薬の項目開発及び性能向上が求められており、加えて院内感染防御※1における迅速な検査体制の強化が課題となっております。
この課題に対応すべく、当社は、簡易・迅速に検査が実施できるイムノクロマト製品のさらなる性能向上のため、モノクローナル抗体※2の新規開発や機器の使用による機能強化といった研究開発を継続的に進めており、また、新たなPOCT検査薬項目の開発や薬剤耐性因子※3を検出する検査薬の創出において、専門機関との共同開発に取り組んでおります。
機器の使用による機能強化として、2021年4月、検査結果を自動判定し、その結果をモニター表示及びプリントアウトできるデンシトメトリー分析装置「スマート QC リーダー」を発売いたしました。迅速診断キットと組み合わせて使用することにより、測定環境や判定者に依存しない客観的かつ安定した精度の高い判定結果を得られます。今後につきましては、同装置の普及に尽力するとともに、適応する検査項目の拡充にも努め、簡易・迅速性が特に求められる検査ニーズにも応えてまいります。
④ 遺伝子POCT検査技術を応用した新たな事業展開
企業価値を高めていくためには、事業の拡大や多角化は重要な経営施策の一つであると認識しております。イムノクロマト法及び当社の遺伝子POCT検査技術は、医療だけではなく、環境・食品検査分野にも応用できるものであります。今後の事業拡大の施策の一つとして、環境・食品検査分野への進出が課題となっております。
この課題に対応すべく、当社は、独自の遺伝子POCT検査技術を基盤として、環境・食品検査分野への応用開発に取り組んでおります。
⑤ 開発人員の強化・育成
当社の研究開発は、体外診断用医薬品業界における豊富な経験を有する研究開発人員により行われているものの、新技術や新分野での診断項目の開発においては、各開発グループの責任者及び一部の研究開発人員に強く依存しているところがあります。
当社は、継続的な成長を果たすためには、開発部門の人的強化が欠かせないと認識しており、既存開発人員に対する教育や各種学会への参加による育成を行うとともに、優秀な人材の採用に努めております。
⑥ 製造能力の増強及び生産工程の合理化
売上高の増加に伴う生産量の増大やPOCT検査薬の項目数の拡充に伴い、製造能力の増強とともに生産工程の合理化が課題となっております。
この課題に対応すべく、遺伝子POCT検査キット及びクイックチェイサーAutoシリーズの量産及び安定供給を行うため、2019年に福岡県久留米市に新規製造工場を建設し、2020年8月に発売開始した「スマートジーン新型コロナウイルス検出試薬(現 スマートジーン SARS-CoV-2)」の需要増加を見込んだ設備投資を行い、月あたり約20万テストの増産体制を整備いたしました。
今後もさらなる増産や安定した多項目生産に向け、生産設備の導入及び自動化により生産工程の合理化を図り、高品質の製品供給を維持する生産体制の構築に取り組んでまいります。
[用語集]
※1 院内感染防御とは、病院や医療機関内で新たに細菌やウイルスなどの病原体に感染する院内感染に対し、免疫力の低い患者が多い院内では多くの患者が同時に感染するリスクがあることから、院内の環境改善や集団感染時の対策マニュアルなどを講じ、薬剤耐性菌の蔓延を防止するための抗生剤や消毒薬の使用について組織的な防御を整えることをいいます。
※2 ウイルスなど抗原が生体に侵入した場合、そのウイルスの一部(抗原)に対する抗体が産生されます。抗体は、そのウイルスの抗原部位に結合しウイルスを失活させる機能を持っています。これらの抗体には抗原のいろいろな箇所に結合する複数種類の抗体が混在しており、ポリクローナル抗体と呼ばれています。モノクローナル抗体とは、単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体であり、反応性が多様なポリクローナル抗体に比べて的確にウイルスと結合することができます。また、クローンに由来するため、安定した品質の抗体を生産することができます。
※3 細菌などの微生物が、抗生物質などの薬剤に接触することで抵抗力を獲得し、薬剤の効果が低下することを薬剤耐性といいます。これは、細菌が耐性遺伝子を作り出したり、既に耐性化した他の細菌からそのような遺伝子を獲得したりして発生するものであります。薬剤耐性因子とは、そのような耐性遺伝子のことをいいます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、下記におけるリスクの項目は、すべてのリスクを網羅したものではありません。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響と特定製品への依存
インフルエンザ検査薬は、過去7年ほどにわたり、当社の売上高(通期)の約50%を維持しながら、その他の感染症検査項目とともに売上を伸ばしてきた主力製品であります。インフルエンザの流行時期は冬季であることから、第1四半期会計期間(1~3月)及び第4四半期会計期間(10~12月)に売上高及び営業利益が集中するといった季節変動やその年の業績が流行の開始時期や大きさに影響を受けやすいという傾向があります。当社は、インフルエンザ検査薬への依存度を軽減し、季節変動の平準化や業績の安定化を図るため、非季節性及び夏季流行性の感染症などその他感染症項目の検査薬の拡充に努め、さらに遺伝子POCT事業の拡大を推し進めてまいりました。
当事業年度においては、繰り返す新型コロナウイルス感染症の再拡大により、前事業年度と同様、感染防御の効果や受診控えの影響は継続し、インフルエンザをはじめとした既存の感染症全般の検査需要の水準は低いままとなりました。これにより、インフルエンザ検査薬の売上高全体に占める割合も大幅に低下した状況で推移しました。
一方で、新型コロナウイルス検査薬については、遺伝子検査や抗原検査といった新型コロナウイルス感染症の検査需要が高まるなか、当該検査薬の開発に成功し、遺伝子検査としては、2020年8月、「スマートジーン新型コロナウイルス検出試薬(現 スマートジーン SARS-CoV-2))」、抗原検査としては、2021年3月、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法)「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、2021年11月、新型コロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原同時検出キット「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」をそれぞれ販売開始・量産化することができたため、売上高が急激に増加しております。
これにより、インフルエンザ検査薬及びその他の感染症項目の検査薬の売上高の減少を充分に補うことができ、売上高全体も大幅に増加しておりますが、当該製品への依存度が高まる結果となりました。
今後の新型コロナウイルス感染症拡大の動向、政府・自治体等による感染拡大防止対策、あるいは医療・検査体制の変化などの外的要因によって、本試薬の需要が大きく左右される可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症が新たに発生し、それに伴う政府・自治体による感染拡大防止策(緊急事態宣言等)が同じように施された場合、同様に医療機関への受診控えが促され、外来患者数が減少することが予想されます。このような事態が発生した場合、既存の感染症項目の検査薬の売上高が大幅に減少するものと見込まれ、また、新たな感染症とそれに対する当社の対応状況(当該感染症の検査需要と当該検査薬の開発・量産状況等)によって、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)1.インフルエンザ検査薬には、「クイックチェイサー Flu A,B」、「クイックチェイサー Auto Flu A,B」及び富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬が含まれております。
2.新型コロナウイルス検査薬には、「スマートジーン新型コロナウイルス検出試薬(現 スマートジーン SARS-CoV-2)」、「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬及び「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」が含まれております。
3.当期返品分を除いた金額を記載しております。
(2) 品質問題
当社は、医薬品医療機器等法及び関連法令並びに品質マネジメントシステムに基づき、万全の品質管理体制を敷いて製品の品質確保に取り組んでおります。しかしながら、万が一製品に重大な品質問題が発生した場合には、速やかに調査、回収、情報提供等の措置を取る必要があり、売上高の減少やコストの増加などにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料の調達
当社は、様々な原材料を国内外より調達し製造活動を行っておりますが、調達にあたっては、仕入先との協力関係の維持強化、重要性及び調達リスクに応じた安全在庫の確保、一部の重要な原材料の自製化などにより調達リスクの低減に努めております。しかしながら、原材料に関する国内外の規制または原材料メーカーによる品質問題の発生、あるいは国際情勢の変化や政情不安等によって、原材料の入手が長期的に困難になることにより、製品を製造・販売することができなくなった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 製品供給の遅延または休止
当社は、製品の安定供給を目指し、複数の製造拠点(佐賀県鳥栖市及び福岡県久留米市)を有しており、風水害、地震、火災等の災害発生時のリスク分散・軽減を図っております。しかしながら、当社の製造拠点や当社の原材料等の調達先の製造施設・倉庫等において、甚大な風水害や地震等の自然災害や火災の発生あるいは技術上や規制上の問題により、操業が停止または混乱が生じた場合、製品の供給が遅延または休止し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 開発人員の強化・育成について
当社は、今後の事業拡大や市場に対し付加価値の高い製品を提供するため、新たな診断技術の創出や新分野での診断項目に対する研究開発といった活動に日々邁進しており、これに不可欠である研究開発人員を継続的に確保し、強化・育成するよう努めております。しかしながら、今後様々な市場ニーズへの対応や他社の開発技術と競合するなか、これに対応できる独創性や高度な開発技術を有する人材の確保及び強化・育成が計画通りに進まない場合、これら新たな診断技術の創出等の研究開発活動に支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産権
当社の製品は、特許及び実用新案等により一定期間保護されています。当社は、知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害あるいは第三者の知的財産権を侵害するおそれについても、常に監視を行っております。しかしながら、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社の製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償を請求される可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 研究開発
体外診断用医薬品は、所轄官庁の定めた企業としての責任体制、製品の有効性、安全性、生産方法・管理体制に関する厳格な審査により許認可を得てはじめて上市可能となります。このため、研究開発が計画通りに進行しない、許認可取得に時間を要する、あるいは治験段階において新製品が期待通りの性能を示さない等の事由により、開発期間の延長や開発の中止を余儀なくされることがあります。これらにより、多額の追加投資が必要となった場合や、それまでに投下した研究開発投資の回収見込みがなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 競合他社との競争
当社は、市場ニーズを先取りした新製品開発及び性能改善を行っておりますが、体外診断用医薬品業界は技術開発及び性能の向上において常に競合他社と競争状態にあります。技術競争の結果、競合他社が当社より先に新製品や性能改善品を上市した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 市場環境の変化
病院・開業医分野では、医療制度改革や診療報酬の改定が行われるなか、治療に即した検査への淘汰が進んでおり、価格競争は激化しております。また、OTC・その他分野でも薬局・薬店業界の再編や新規参入など市場環境は日々変化しております。そのため、市場環境の変化への対応が遅れた場合、病院・開業医分野では、主要製品の需要減少、販売価格の低下、OTC・その他分野では、既存シェアの変化などにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制等
当社は、体外診断用医薬品の製造販売を行うために「体外診断用医薬品製造販売業許可」及び「体外診断用医薬品製造業登録」、また、医療機器の製造販売を行うために「医療機器製造販売業許可」及び「医療機器製造業登録」が必要であり、そのために医薬品医療機器等法及び関連法令をはじめ、様々な法規制の適用を受けております。
当社は、以下の主要な許認可を含めこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状においては当該許認可が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これらの関係法規が改廃または新たな法的規制が設けられた際に、仮にこれらの法規制を遵守できなかった場合、事業活動を制限されることはもとより、社会的信用の低下を招き、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法規制を遵守するためのコストが発生し、利益率の低下につながる可能性があります。
(11)訴訟の提起
当社は、事業活動を継続していく過程において、製造物責任(PL)関連、労務関連、知的財産関連、商取引関連、その他に関する訴訟が提起される可能性があります。これらの訴訟の結果によっては、損害賠償を請求される等、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)ITセキュリティ及び情報管理
当社は、各種の情報システム・IT機器を利用して業務を遂行しており、また、業務の遂行を通じて、開発・営業その他経営に関する機密情報や従業員の個人情報等を保有しております。これらの情報システム及び情報の保護等に関しては、情報システム運用管理規程や情報セキュリティポリシー等の制定及びその遵守・周知徹底により、業務の円滑化、適切な運用、セキュリティの強化等に努めております。しかしながら、サイバー攻撃等によるシステム障害、コンピューターウイルスの感染及びその他災害等が発生した場合、業務が阻害され、機会損失の発生等追加的なコストが発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、それら外部要因を含めた不測の事態により情報の流出や漏えいが発生した場合には、社会的信用を大きく失うこととなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)創業者への依存について
当社の創業者は、代表取締役会長兼社長である唐川文成であります。同氏は、当社設立以来の最高経営責任者であり、経営方針や経営戦略の決定、営業や研究開発などの事業運営において重要な役割を果たしております。当社では、全ての部署に担当取締役を配置し、さらに各部門長には執行役員もしくは部長を配置しております。各々が参加する定期的な会議体にて、意見等の吸い上げや情報共有などを積極的に進めており、また、適宜権限の委譲も行うことで、同氏に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が業務執行を継続することが困難になった場合には、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、繰り返す新型コロナウイルス感染症の再拡大により国民生活や企業活動も大きな影響を受け続けました。デルタ変異株による夏場の第5波は、それまでの過去最大の波となりましたが、ワクチン接種が幅広い年代へ普及するなか急速に収束に向かい、社会経済活動の正常化が段階的に進むことが期待されました。しかしながら、11月末に発生が確認されたオミクロン変異株は極めて感染力が高いとされ、世界的に急激に感染拡大するなか水際対策などが施されたものの、わが国においても過去最大の感染拡大となるなど、先行きは未だ不透明な状況が続いております。
体外診断用医薬品業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、新型コロナウイルスの遺伝子検査や抗原検査等の検査需要は急激に高まる一方で、インフルエンザウイルスをはじめとした既存の感染症は、新型コロナウイルス感染症に対する感染防御の効果や受診控え等により、検査需要が減少するという影響を受けました。当事業年度におきましては、それらの影響から徐々に脱しつつあるものの、新型コロナウイルス感染症は変異株による再拡大を繰り返し、その影響は継続しております。今後の既存の感染症全般の検査需要の見通しにつきましては、オミクロン変異株による第6波が収束したのち、ワクチン接種や治療薬が普及していくなかで、新型コロナウイルス感染症は終息への兆しが見えるのかどうか、注視を要する状況にあります。
このようななか、当社は、「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」の累計販売台数の増加を背景に、感染急拡大により需要が急増した「スマートジーン SARS-CoV-2」の安定供給に尽力いたしました。また、新型コロナウイルス感染症の検査体制のさらなる拡充に貢献するべく、新製品の開発にも積極的に経営資源を投下いたしました。
2021年3月に、高感度感染症迅速診断システム「クイックチェイサー Immuno Reader シリーズ」の専用試薬として、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法)「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、同年4月に、クイックチェイサーシリーズの専用機器として検査結果を自動で判定できるデンシトメトリー分析装置「スマートQCリーダー」、同年11月に、新型コロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原同時検出キット「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」を発売いたしました。
このような環境下におきまして、当事業年度の売上高は、131億37百万円(前期比212.4%増)となりました。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントでありますが、市場分野別の売上高は、以下のとおりであります。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス検査薬(遺伝子検査及び抗原検査)につきましては、「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」は世界的な半導体不足の影響により累計販売台数の増加のペースは落ちているものの、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」は、感染拡大の波の影響も受けながら、約125万テスト(第1四半期 18万テスト、第2四半期 40万テスト、第3四半期 41万テスト、第4四半期 26万テスト)を出荷しました。また、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法)及び新型コロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットも堅調に推移し、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、97億94百万円(前期は12億70百万円)となりました。
一方、インフルエンザ検査薬につきましては、2020/2021及び2021/2022シーズンのインフルエンザの流行は、新型コロナウイルスへの感染予防対策や渡航制限による海外との人的交流の減少が、インフルエンザの感染拡大防止にも奏功したといわれており、海外の状況と同様に異例の低水準となりました。この影響により、インフルエンザ検査薬全体の売上高は、2億39百万円(前期は7億50百万円)とさらなる減収となりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、第1四半期までは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が残りましたが、第2四半期以降の売上高は全般的に前年同期を上回る結果となりました。特に、RSウイルスの季節外れの大流行により、RSウイルス検査薬及びRSウイルス/ヒトメタニューモウイルス検査薬の売上高は大幅に増加しました。また、「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」につきましては、世界的な半導体不足の影響を受け、出荷は断続的となったものの、当期は約3,200台を出荷し、累計販売台数は約4,200台となっております。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、26億89百万円(前期比51.7%増)となりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、127億23百万円(前期比235.3%増)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響を脱しつつありますが、OTC・その他分野全体の売上高は、4億14百万円(前期比0.7%増)となりました。
利益面につきましては、遺伝子POCTをはじめとした新製品に係る研究開発費の増加、人件費の増加、インフルエンザ検査薬に係るたな卸資産廃棄損及び評価損並びに返品調整引当金繰入額の計上があったものの、主に「スマートジーン SARS-CoV-2」の大幅な増収に伴う売上総利益の増加により、営業利益は66億98百万円(前期は4億16百万円)、経常利益は67億円(前期は4億15百万円)となりました。また、新型コロナウイルス感染症対策の一環として公募され、感染症検査キット等生産設備の導入支援として交付された補助金等1億24百万円を特別利益に計上しております。この結果、当期純利益は48億16百万円(前期は3億6百万円)となりました。
当事業年度末の財政状態につきましては、以下のとおりであります。
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ61億41百万円増加し、121億92百万円となりました。これは主に、たな卸資産の減少1億89百万円があったものの、現金及び預金の増加42億72百万円、売掛金の増加15億27百万円、電子記録債権の増加4億37百万円及び繰延税金資産の増加1億55百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ18億96百万円増加し、41億64百万円となりました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の減少5億13百万円、短期借入金の減少80百万円があったものの、未払法人税等の増加21億5百万円、買掛金の増加1億38百万円、未払消費税等の増加75百万円及び電子記録債務の増加65百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ42億45百万円増加し、80億28百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加42億45百万円によるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ42億72百万円増加し、43億26百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動により増加した資金は、55億96百万円(前期は2億95百万円の増加)となりました。これは主に、売上債権の増加19億64百万円及び法人税等の支払1億35百万円によるキャッシュ・フローの減少があったものの、税引前当期純利益68億24百万円、仕入債務の増加2億3百万円、たな卸資産の減少1億89百万円及び減価償却費1億72百万円によるキャッシュ・フローの増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動により減少した資金は、1億59百万円(前期は97百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得1億54百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動により減少した資金は、11億64百万円(前期は3億61百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払5億70百万円、長期借入金の返済5億13百万円及び短期借入金の純減80百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況については市場分野別に記載しております。
当事業年度の生産実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当事業年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、病院・開業医分野におきまして、主に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、遺伝子検査や抗原検査の検査需要が急激に高まるなか、設備投資などで生産体制を強化しつつ、新型コロナウイルス検査薬の安定供給に注力したため、生産実績が大幅に増加しております。
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当事業年度の販売実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注)前事業年度の株式会社スズケンについては、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
3.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、病院・開業医分野におきまして、主に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、遺伝子検査や抗原検査の検査需要が急激に高まるなか、設備投資などで生産体制を強化しつつ、新型コロナウイルス検査薬の安定供給に注力したため、販売実績が大幅に増加しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前事業年度に比べ89億31百万円増加して131億37百万円(前期比212.4%増)となりました。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス検査薬(遺伝子検査及び抗原検査)につきましては、「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」は世界的な半導体不足の影響により累計販売台数の増加のペースは落ちているものの、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」は、感染拡大の波の影響も受けながら、約125万テスト(第1四半期 18万テスト、第2四半期 40万テスト、第3四半期 41万テスト、第4四半期 26万テスト)を出荷しました。また、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法)及び新型コロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットも堅調に推移し、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、97億94百万円(前期は12億70百万円)となりました。
一方、インフルエンザ検査薬につきましては、2020/2021及び2021/2022シーズンのインフルエンザの流行は、新型コロナウイルスへの感染予防対策や渡航制限による海外との人的交流の減少が、インフルエンザの感染拡大防止にも奏功したといわれており、海外の状況と同様に異例の低水準となりました。この影響により、インフルエンザ検査薬全体の売上高は、2億39百万円(前期は7億50百万円)とさらなる減収となりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、第1四半期までは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が残りましたが、第2四半期以降の売上高は全般的に前年同期を上回る結果となりました。特に、RSウイルスの季節外れの大流行により、RSウイルス検査薬及びRSウイルス/ヒトメタニューモウイルス検査薬の売上高は大幅に増加しました。また、「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」につきましては、世界的な半導体不足の影響を受け、出荷は断続的となったものの、当期は約3,200台を出荷し、累計販売台数は約4,200台となっております。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、26億89百万円(前期比51.7%増)となりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、127億23百万円(前期比235.3%増)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響を脱しつつありますが、OTC・その他分野全体の売上高は、4億14百万円(前期比0.7%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前事業年度に比べ17億89百万円増加して32億34百万円(前期比123.9%増)となりました。売上原価率は24.6%となり、前事業年度に比べ9.7ポイント改善いたしました。これは主に、インフルエンザ検査薬に係るたな卸資産廃棄損及び評価損の計上があったものの、売上構成比が大幅に変化したことによるものであります。このほか、インフルエンザ検査薬に係る返品調整引当金繰入額2億51百万円を計上しております。
販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ6億11百万円増加して29億53百万円となりました。これは主に、遺伝子POCTをはじめとした新製品に係る研究開発費の増加及び人件費の増加によるものであります。
(営業利益)
営業利益は、前事業年度に比べ62億82百万円増加して66億98百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前事業年度に比べ3百万円増加して4百万円となりました。これは主に、受取補償金1百万円の計上によるものであります。また、営業外費用は、前事業年度と同水準の2百万円となりました。
(経常利益)
経常利益は、前事業年度に比べ62億85百万円増加して67億円となりました。また、売上高経常利益率は51.0%となり、前事業年度に比べ41.1ポイント改善し、収益性が大幅に上昇しております。
(特別利益、特別損失)
特別利益は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として公募され、感染症検査キット等生産設備の導入支援として交付された補助金等1億24百万円を計上しております。
特別損失の計上はありませんでした。
(当期純利益)
当期純利益は、前事業年度に比べ45億10百万円増加して48億16百万円となりました。
インフルエンザ検査薬は、過去7年ほどにわたり、当社の売上高の約50%を占める主力製品でありました。しかし、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、インフルエンザの流行は世界的に著しく低い水準に抑えられ、2020年第1四半期よりインフルエンザ検査薬の売上高は大幅に減少しております。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、遺伝子検査の需要が急激に高まるなか、2020年第3四半期より発売を開始した「スマートジーン新型コロナウイルス検出試薬(現 スマートジーン SARS-CoV-2)」の売上高が急激に増加しております。結果として、インフルエンザ検査薬への依存度が低下し、新型コロナウイルス検査薬への依存度が高まる状況となっております。新型コロナウイルス検査薬は、今後の感染拡大の動向やそれに伴う医療・検査体制の変化などの外的要因によって、本検査薬の需要が大きく左右される可能性があります。
当事業年度(第45期)の四半期会計期間ごとの売上高及び営業利益は、以下のとおりであります。
(ご参考) 直近2事業年度の四半期会計期間ごとの売上高及び営業利益又は営業損失
(注)1.インフルエンザ検査薬には、「クイックチェイサー Flu A,B」、「クイックチェイサー Auto Flu A,B」及び富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬が含まれております。
2.新型コロナウイルス検査薬には、「スマートジーン新型コロナウイルス検出試薬(現 スマートジーン SARS-CoV-2)」、「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬及び「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」が含まれております。
3.当期返品分を除いた金額を記載しております。
ロ.財政状態の分析
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ61億41百万円増加し、121億92百万円となりました。これは主に、たな卸資産の減少1億89百万円があったものの、現金及び預金の増加42億72百万円、売掛金の増加15億27百万円、電子記録債権の増加4億37百万円及び繰延税金資産の増加1億55百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ18億96百万円増加し、41億64百万円となりました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の減少5億13百万円、短期借入金の減少80百万円があったものの、未払法人税等の増加21億5百万円、買掛金の増加1億38百万円、未払消費税等の増加75百万円及び電子記録債務の増加65百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ42億45百万円増加し、80億28百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加42億45百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資金需要につきまして、運転資金として主なものは、原材料購入等の製造費用、商品の仕入のほか、研究開発費や人件費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金として主なものは、製造または研究開発のための設備の新設または更新であります。
運転資金及び設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、手元資金、回収期間及びリスク等を勘案したうえで、必要に応じて金融機関からの短期借入または長期借入による調達を行う方針であります。また、機動的かつ安定的に資金の調達が行えるよう、取引銀行と当座貸越契約(総額16億円)を締結しており、緊急の資金需要や不測の事態にも備えております。
株主の皆様への利益還元につきましては、当社は、業績に対応した配当を行うことを基本としつつ、配当性向、企業体質の一層の強化及び今後の事業展開に備えるための内部留保の充実などを総合的に勘案して決定する方針を採っております。この方針に基づき、配当性向30%を目標として配当を実施するよう努めております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や会社の状況・経営環境等に応じ、合理的だと想定される様々な仮定に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、将来の不確実性により、最善の見積りを行った結果としての見積られた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1) 研究開発への取り組み
当社は、体外診断用医薬品において化学発光法や核酸増幅法などの技術が普及し、検査薬市場が飽和傾向にあるなか、診断と治療の一体化による迅速かつ的確な患者診療が行われる医療体制の確立並びに患者サービスの効率化を実現するため、商品価値の向上につながるPOCT検査薬の技術革新、新製品開発及び性能改善などの研究開発を行っております。また、次世代の新規技術の創出を目的とし、免疫精密測定分野及び微生物遺伝子検出分野における新規検査薬の技術開発活動も行っております。
(2) 研究開発体制
研究開発については、開発企画部が開発計画を統括し、開発部にて研究開発活動及び生産移管を実施しております。
開発企画部では、テーマ探索、新製品開発及び改良改善におけるテーマ企画、開発品の製品像となる顧客ニーズと差別化を重点とした設計開発仕様の設定並びに完成した開発品の外部評価を基本とした妥当性確認の実施など、インプット及びアウトプットの両面を司っており、本社と関東に分割して2021年度は6名体制で対応しております。
開発部は、29名体制で、呼吸器と消化器を主とした感染症診断薬及び測定装置の開発を行っており、本社の免疫試薬開発グループ16名とPCRを中心とした久留米の遺伝子研究所の遺伝子試薬開発グループ13名から構成され、新製品の早期開発及び改善改良を行っております。また、POCTシステムに求められる機器の開発並びに操作性を向上させるためのデバイスや付属品の開発・製造につきましても、積極的に外部へアウトソーシングすることで、スピーディーかつ低コストの開発を実現しております。なお、全ての検査薬、医療機器の開発において、ISO13485に基づく設計開発組織による製品開発並びに製品の量産化活動を行っております。
(3) 主な研究開発活動とその成果
当事業年度における主な研究開発活動とその成果は、以下のとおりであります。
免疫試薬開発チームは、2020年より富士フイルム株式会社と共同開発を着手しておりました新型コロナウイルス抗原の高感度POCT検査試薬「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」を開発し、販売を開始いたしました。イムノクロマト法POCT検査薬については、機器を用いることで、自動判定による客観性の向上やプリントアウトによる効率的かつ正確な検査結果の記録が可能となる、クイックチェイサーシリーズ専用のデンシトメトリー分析装置「スマート QC リーダー」を開発のうえ販売を開始いたしました。これに合わせ、業界トップの項目群となるクイックチェイサーシリーズ製品を「スマート QC リーダー」適応試薬としてリニューアル化いたしました。このほか、新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原を同時に検出するキットについて、「スマート QC リーダー」に適応する「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu」、目視判定用の「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu A,B」をそれぞれ開発し、販売を開始いたしました。冬期に新型コロナウイルスの流行と同時感染が危惧されるインフルエンザウイルスを、同時かつより迅速に鑑別可能なキットとして期待されております。
遺伝子試薬開発チームは、POCT遺伝子検出技術の研究開発に取り組み、1つのカートリッジと小型の専用装置により、遺伝子の抽出・増幅・検出を1ステップで行うことができる独自の技術で特許を出願し、遺伝子POCT検査システムの開発を推進しております。2018年10月に、業界では先発となるPOCT遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」及びマイコプラズマ核酸キット「スマートジーン Myco」を発売いたしました。2020年新たに発生し、全世界で急激に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症については、遺伝子POCT検査キットの開発にチーム全員体制にて集中して取り組み、わずか1時間で検査結果が分かる画期的な製品として同年8月に公的保険適用を受け、研究用試薬として販売を開始いたしました。当事業年度においては、2021年4月に体外診断用医薬品としての製造販売の承認を取得、品質も向上した新型コロナウイルス遺伝子検出試薬「スマートジーン SARS-CoV-2」を研究用試薬からの切り替え品として発売しました。本装置及びこれらのキットの評価・改善を継続するとともに、新たな検査項目として、呼吸器感染症項目、消化器感染症項目、泌尿器感染症・婦人科感染症項目及び薬剤耐性菌項目を選定し、検査キットの実現化に向け、研究開発に取り組んでおります。
(4) 研究開発活動の総額
当社の研究開発体制は開発企画部及び開発部が担当し、全従業員の19.1%に相当する33名のスタッフが各グループに分かれて行っており、当事業年度における研究開発費の総額は