(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.売上高には、消費税等は含まれておりません。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社は存在しますが、損益及び利益剰余金等からみて重要性が乏しいため記載しておりません。
4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
5.当社は、2017年7月1日付及び2018年6月1日付でそれぞれ普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第41期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
6.最高・最低株価は、2018年11月16日より東京証券取引所市場第二部におけるものであり、それ以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。
7.※1印は、株式分割(2017年7月1日、1株→2株)による権利落後の最高・最低株価であります。
8.※2印は、株式分割(2018年6月1日、1株→2株)による権利落後の最高・最低株価であります。
[用語集]
※1 臨床試薬とは、血液や尿など人に由来する試料を検体として、検体中のタンパクや酵素の含有濃度の測定及びウイルスなどの感染性病原体の有無の検出に用いる検査薬をいいます。
※2 Feテストとは、血清中の鉄成分を測定する検査薬であり、鉄欠乏性貧血の有無を検査します。
※3 臨床試薬は、1985年の薬事法改正で規制範囲が明確化され、体外診断用医薬品と呼ばれております。体外診断用医薬品は、製造販売業としての許可を受けた者が製造販売を行うことができ、また、販売する体外診断用医薬品についても品目ごとに承認、認証または届出を必要とします。
※4 免疫とは、外部から侵入してくる細菌やウイルスに対して体内が抵抗する働きのことで、この免疫反応が引き起こされると作られる抵抗物質が抗体です。免疫血清検査薬とは、この抗体、細菌及びウイルスの有無や量を調べる検査薬で、B型肝炎やC型肝炎の感染を診断したり、輸血の際、適合不適合の判定などに使用されます。また、インフルエンザなどのウイルスや細菌による感染を迅速診断するPOCT検査薬も免疫血清検査薬の分類になります。
※5 HBs抗原検出用キットとは、急性肝炎や肝硬変、肝臓がんへと進展する慢性肝炎を引き起こすB型肝炎ウイルス(HBV)への感染の有無を調べる検査薬です。
※6 免疫学的糞便中ヒトヘモグロビン・ヒトトランスフェリン検出用キットとは、便の中にある微量の血液を見つけるための検査薬です。免疫学的な検出法によっているため、食物の肉汁中の血液や鉄剤の影響を受けず、食事制限を要しません。また、ヒトヘモグロビンは腸内で失活しやすい成分ですが、失活の少ないヒトトランスフェリンを同時に検出することで消化管出血を見逃すことなく検出することが可能です。
※7 POCT(Point Of Care Testing)検査薬とは、「患者の身辺での検査」、病院での「ベットサイド検査」という定義がなされており、一般的には、開業医、専門医の診察室、病棟及び外来患者向け診療所などの患者に近い医療現場で使用されます。なお、POCT検査薬には専用の装置を用いるものもあります。
※8 一般消費者向けに一般用医薬品を販売している店舗を大別すると、薬剤師がいて、処方箋により調剤ができる調剤室を設置し、医療用医薬品の販売もできる「薬局」と、薬剤師または登録販売者がいて、一般用医薬品の販売のみ行っている「薬店」(店舗販売業ともいいます)に分けられます。
※9 妊娠検査薬とは、妊娠の有無を判定する目的で尿中内のhCG(ホルモン)を検出する検査薬です。
※10 イムノクロマト法とは、被検体が標識された抗体を溶解しながら「セルロース膜」上をゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法です。「検体中の抗原」は、検体滴下部にあらかじめ準備された金属コロイド等で「標識された抗体」(標識抗体)と「免疫複合体」を形成しながら「セルロース膜」上を移動し、「セルロース膜」上にあらかじめ用意された「固相抗体」に免疫複合体がトラップされ呈色し、それを目視により判定します。妊娠の診断やインフルエンザなどの感染症診断等で応用されています。
<原理>

※11 HCV抗体検出用キットとは、肝炎ウイルスの一つであるC型肝炎ウイルス(HCV)の検査薬です。HCVの感染初期は、自覚症状がなく肝機能も正常であることがほとんどですが、血液中にHCV抗体が作られます。このHCV抗体を測定することにより、C型肝炎への感染の有無を調べることができます。
※12 OTCとは、英語の「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略で、カウンター越しに医薬品を販売するかたちに由来しています。病院などで主に医師が処方する医薬品を医療用医薬品というのに対し、薬局・薬店、ドラッグストアなどで販売される医薬品をOTC医薬品といい、法律上では一般用医薬品と表現されています。
※13 インフルエンザ抗原検出用キットとは、鼻やのど等の分泌液中のインフルエンザウイルスを検出する検査薬です。患者の鼻やのどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10分程度で検査結果が分かるため、検査結果が陽性であった場合は、直ちに抗インフルエンザ薬が処方されます。
※14 ISO13485は、医療機器の品質保証のための国際標準規格です。
『Medical devices-Quality management systems-Requirements for regulatory purposes』(医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項)と題されています。ISO13485は、ISO9001:2000(品質マネジメントシステムの国際規格)の一部の要求事項を省略し、医療機器に関する固有の要求事項を付加したものです。
※15 ノロウイルス抗原検出用キットとは、主に冬季を中心に発生し、感染性胃腸炎などを引き起こすノロウイルス抗原を検出する検査薬です。患者の糞便や直腸から採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10分程度で結果が分かります。発症早期にノロウイルス抗原を検出して適切な治療や感染防止対策をとることにより、二次感染や集団感染を引き起こすリスクを軽減することができます。
※16 ロタウイルス及びアデノウイルス抗原検出用キットとは、3歳以下の乳幼児の感染性胃腸炎の原因となるロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出する検査薬です。診療の場で検査ができ、5分程度で結果が分かります。発症早期にロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出して適切な治療や感染防止対策をとることにより、二次感染や集団感染を引き起こすリスクを軽減することができます。
※17 RSウイルス及びアデノウイルス抗原検出用キットとは、主に小児の呼吸器感染症の原因となるRSウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出する検査薬です。患者の鼻やのどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて、RSウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を同時に検査することができます。診療の場で検査でき、15分程度で検査結果が分かるため、院内での水平感染の防止や適切な治療を行うことができます。
※18 排卵日(予測)検査薬とは、尿中の黄体化ホルモン(LH)を測定する検査薬です。排卵直前に尿中の黄体化ホルモンを測定することにより、排卵日がある程度予測できます。
※19 肺炎球菌尿中抗原検出用キットとは、肺炎を起こす病原体として最も多い肺炎球菌感染時に、尿中に排泄される肺炎球菌抗原を検出する検査薬です。肺炎の治療においては、有効な治療薬を選択するために、原因菌の鑑別が最も重要となります。市中肺炎診療ガイドラインでは、迅速な抗原検査が推奨されており、肺炎球菌の診断においては、尿中抗原を検出対象としたイムノクロマト法による迅速検査が有用とされています。診療の場で検査ができ、付属のスポイトで尿を滴下するだけの簡便な1ステップ操作により、反応時間10分で結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の治療方針の決定及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※20 ヒトメタニューモウイルス抗原検出用キットとは、小児を中心とした急性呼吸器感染症の原因となるヒトメタニューモウイルス抗原を検出する検査薬です。小児呼吸器感染症の5~10%はこのウイルスによるものとされており、一度の感染では十分な免疫が獲得できず、再感染を繰り返し、軽症化すると考えられています。免疫力の弱い乳幼児や高齢者、免疫不全状態の白血病や臓器移植患者などでは重症の下気道感染症をきたすことが報告されています。当検査キットは、診療の場で検査でき、10分で検査結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の検査及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※21 RSウイルス及びヒトメタニューモウイルス抗原同時検出用キットとは、主に小児の呼吸器感染症の原因となるRSウイルス抗原及びヒトメタニューモウイルス抗原を同時に検出する検査薬です。RSウイルスは2歳までの幼児期にほとんどが罹患し、生後数週間から数ヶ月の期間に最も重篤な症状を引き起こします。また、乳幼児だけでなく、高齢者や心臓や肺に疾患のある患者、免疫力が低下している人でも重症化し入院・死亡する例が報告されています。当検査キットは、診療の場で検査でき、10分で検査結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の検査及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※22 マイコプラズマ抗原検出用キットとは、マイコプラズマ肺炎の原因となるマイコプラズマ・ニューモニエ抗原を検出する検査薬です。患者ののどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10~15分程度で結果が分かります。発症早期にマイコプラズマ・ニューモニエ抗原を検出することで、感染患者への適切な投薬等ができ、感染患者の家族間など濃厚な接触による感染拡大や集団感染を防止することができます。
※23 滲出液(しんしゅつえき)とは、細菌やウイルスの感染によって炎症を起こした際に、毛細血管の拡張により血管外の病巣に出てくる血液成分や組織液のことをいいます。
※24 尿中の肺炎球菌抗原及びレジオネラ抗原同時検出用キットとは、肺炎を起こす病原体として最も多い肺炎球菌感染時に尿中に排泄される肺炎球菌抗原及び、温泉や循環式浴槽などから環境感染菌として感染し劇症型の肺炎をきたすレジオネラ感染時に尿中に排泄されるレジオネラ抗原を、同時に検出する検査薬です。診療の場で検査ができ、付属のスポイトで患者の尿を滴下するだけの簡便な1ステップ操作により、10分程度で肺炎球菌及びレジオネラ抗原を同時に検出することができます。これにより、感染患者に対する迅速な治療方針の決定や適切な投薬を行うことができます。
※25 マイコプラズマ核酸検出キットとは、マイコプラズマ肺炎の原因となるマイコプラズマ・ニューモニエを形成している遺伝子を検出する検査薬です。マイコプラズマ抗原検出キットと同様、患者ののどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査しますが、下部の呼吸器疾患であり感染部位は肺臓器であるため、のどなどにはわずかな量しか存在していません。当検査キットはマイコプラズマ・ニューモニエの遺伝子を数百万倍に増幅して検出しますので、マイコプラズマ・ニューモニエがわずかしか存在していない状態や初期の感染においても捕えることができます。診療の場で検査ができ、検体をカートリッジに滴下するだけの1ステップ操作で、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いて測定を行い、30~50分程度で結果が分かります。マイコプラズマ抗原検査と比べて、さらに早期また確実にマイコプラズマの感染を診断することにより、患者への適切な投薬による治療が可能となります。
※26 ヘリコバクター・ピロリ抗原検出キットとは、胃・十二指腸潰瘍のみならず胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌を検出する検査薬です。患者の糞便検体を用いて検査します。ピロリ菌の検査には、胃の内視鏡検査時に採取する胃の粘膜を検体として実施する培養法や染色法などの生検検査がありますが、被検者に負担がかかる検査です。また、非侵襲的な検査として尿中のピロリ菌に対する抗体の有無を調べる抗体検査もありますが、より確実な診断としては、検査薬の薬(尿素13c)を服用しその前後の呼気を集めて診断する尿素呼気検査と糞便中のピロリ菌抗原の有無を調べる抗原検査が実施されています。当検査キットは、便を懸濁した検体を滴下するだけの簡便な操作で、診療の場で検査ができ10分程度で結果が分かります。有症状者の検査および人間ドックや検診、さらに非侵襲的なピロリ菌の検査として近年普及している学童検診などにおいて用いることができます。
※27 クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル抗原検出キットとは、抗菌薬関連下痢症や偽膜性大腸炎発症の原因となるクロストリジウム・ディフィシル抗原及びクロストリジウム・ディフィシル菌が産生する毒素であるトキシンを同時に検出する検査薬です。下痢症を起こした患者の下痢便検体を用いて検査します。クロストリジウム・ディフィシル菌は、健常者の腸内にも常在する細菌ですが、抗菌薬治療により正常腸内細菌叢が乱されると異常な増殖を起こすと共にトキシン毒素を産生し、下痢症や大腸内の炎症を発生させます。また、クロストリジウム・ディフィシル菌は、病院内環境中に残存しやすく、入院患者へ感染することによる院内感染のアウトブレイクを発生させることから、早期検出が重要とされています。当検査キットは、診療の場でクロストリジウム・ディフィシルとトキシンが同時に検査でき、検体を滴下するだけの簡易な1ステップ操作により、15分程度で結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性の高い検査が可能となり、より適切なクロストリジウム・ディフィシル菌による院内感染対策に用いることができます。
※28 新型コロナウイルス感染症遺伝子POCT検査キットとは、新型コロナウイルスに感染した患者の鼻咽頭の分泌液中や唾液中に存在する新型コロナウイルスを形成している遺伝子を検出する検査薬です。患者の鼻の粘膜を綿棒で採取した検体や唾液を検体として検査します。当検査キットは、遺伝子の抽出・増幅・検出の全ての工程を1つのカートリッジ内で行い、検体をカートリッジに滴下するだけの1ステップ操作で、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いて測定を行い、1時間程度で新型コロナウイルスを高感度に検出することができます。基幹病院のみならず、開業医・診療所などより患者に近い診療現場において、より早期また確実に新型コロナウイルス感染症の遺伝子検査を、検査当日中に実施することができます。
※29 高感度新型コロナウイルス検出キットとは、高感度検出技術である銀増幅イムノクロマト法を測定原理とし、新型コロナウイルス抗原を高感度に検出することができる検査薬です。鼻咽頭ぬぐい検体又は鼻腔ぬぐい検体を抽出液にて調整し、テストカートリッジに滴下した後、専用機器にセットするだけで15分後に結果がプリントアウトされるため、簡便な操作性に加え、迅速かつ客観的な判定結果が得られます。
※30 新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原同時検出キットとは、1つのテストプレートにおいて新型コロナウイルス抗原とインフルエンザウイルス抗原を同時に検出するイムノクロマト法を原理とした迅速検査キットです。鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液を採取し、抽出液中に懸濁した試料をテストプレートに滴下するだけの簡便な測定操作を行ったのち、10分以内で検体中に含まれる両ウイルス抗原の有無を判定することができます。また、これらの測定操作を1回行うことで両感染症の検査が行えることから、医療従事者の飛沫感染のリスクや検査作業の負担を軽減することができます。医療現場の状況に応じて、専用の機器(「スマート QC リーダー」)を用いて客観的かつ精度の高い結果が得られるものや、目視判定のみで使用し、インフルエンザウイルスのA型、B型の判別ができるものがあります。
(1) 事業の特徴
当社は、主に体外診断用医薬品に関して、特許権利取得を視野に独自の研究開発及び産学官共同研究を実施するとともに、ISO13485品質マネジメントを骨格とした企画開発、製造、販売組織による自社一貫体制を構築し、各組織において有能で経験豊富なスタッフを配備のうえ事業活動を行っております。また、これらのプロセスを一連の業務執行会議のもと遂行することで、医療現場のニーズに対して優れた品質の製品を提供するとともに、万全のアフターフォローでお客様への安定供給を行っております。なお、当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、市場分野の区分は「病院・開業医分野」、「OTC・その他分野」としております。
病院・開業医分野では、国内外の医療機関向けに患者の健康状態、疾患の有無、治療の経過等を診断するための生化学検査薬※1、免疫血清検査薬※2を製造販売しており、2018年10月からは新たに微生物を対象とした遺伝子検査薬及び専用装置の製造販売を開始しております。
OTC・その他分野では、主に一般消費者の自己検査として厚生労働省の承認を得ている一般用医薬品※3を薬局・薬店へ販売しております。その他には、農作物の苗木などのウイルス病を見つけるため、免疫血清検査薬の技術を応用した果樹ウイルス検査薬を農業試験場等へ販売しております。
(2) 主な製品
① 病院・開業医分野
医療機関において使用されている体外診断用医薬品は、初診時、入院時のスクリーニング検査、疾患の確定診断、モニタリング、健康診断、院内感染防御などに用いられており、大学や大病院の検査室、検査センターにおいて大量の検体が検査されております。体外診断用医薬品は、診断分野の面から生化学検査薬、免疫血清検査薬、尿糞便検査薬、微生物検査薬、血液検査薬や病理検査薬などその他の検査薬に分類されます。
当社の主力製品は、設立時は生化学検査薬でしたが、現在は診断分野の中でも最も市場規模が大きい免疫血清検査薬となっております。免疫血清検査薬のなかでも、インフルエンザウイルスやアデノウイルス※4などの感染症の検査薬は、中小病院や開業医を中心として市場は拡大しており、迅速で簡易な検査技術であるイムノクロマト法を用いた多くの製品を販売しております。これに加え、微生物検査の分野において確定診断となる遺伝子検査を当社独自の検出技術により1ステップで測定可能とした遺伝子POCT検査システム機器・試薬を開発し、2018年10月よりマイコプラズマ・ニューモニエ遺伝子を簡易・迅速に検出するキットの販売を開始し、2020年8月には新たに流行し始めた新型コロナウイルス遺伝子を1時間程度で検出可能なキットの販売を開始いたしました。
イ.免疫血清検査薬POCT
当社は、それまで妊娠検査薬など尿中ホルモンの分野でしか用いられていなかったイムノクロマト法を、国内で初めて感染症の検査薬に応用し、血中ウイルス検査薬としてB型肝炎検出用キット「クイックチェイサー HBsAg」を製品化いたしました。本製品は、免疫検査機器を必要とせず簡易迅速に判定が行えることから、免疫検査機器を所有していない中小医療機関に普及いたしました。
その後も、感染症分野での開発に継続して取り組んでおり、血中ウイルス検査薬として、C型肝炎や梅毒の検査薬の製品化を実現するとともに、呼吸器感染症検査薬として、鼻咽頭分泌液を検査対象としたインフルエンザウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Flu A,B」、アデノウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Adeno」、RSウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー RSV」、A群β溶血連鎖球菌検出用キット「クイックチェイサー Strep A※5」、「クイックチェイサー Dip Strep A」、尿中の肺炎球菌莢膜抗原検出用キット「クイックチェイサー 肺炎球菌」、RSウイルス及びhMPV抗原同時検出用キット「クイックチェイサー RSV/hMPV」、マイコプラズマ抗原検出用キット「クイックチェイサー Myco」、肺炎疑い患者の排泄尿を検査対象とした肺炎球菌莢膜抗原及びレジオネラニューモフィラ血清型1LPS抗原検出用キット「クイックチェイサー 肺炎球菌/レジオネラ」、新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」、また、消化器感染症検査薬として、ヘリコバクター・ピロリ抗原検出用キット「クイックチェイサー H.ピロリ」、クロストリジウム(クロストリディオイデス)ディフィシル抗原検出用 キット「クイックチェイサー CD GDH/TOX」の検査薬の製品化を実現いたしました。
2021年4月、これら迅速診断キットについて、小型で持ち運びのできる機器の使用により機能の強化を図った、デンシトメトリー分析装置「スマート QC リーダー」を発売し、本装置の適応キットを順次リニューアルいたしました。検査結果を自動で判定し、その結果をモニター表示及びプリントアウトするため、測定環境や判定者に依存しない客観的かつ安定した精度の高い判定結果を得られ、また、効率的かつ正確な診断結果の提供が可能となります。
このほか、富士フイルム株式会社との共同開発により、競合するPOCT検査薬企業に先駆けて、銀増幅イムノクロマト法を用いた機器試薬システム※6の製品化を実現いたしました。当該機器試薬システムは、感染症診断では最も重要な性能である高感度を実現しているため、感染初期においても判定が可能であり、また、自動検出と判定結果のプリントアウト機能を備えているため、迅速かつ客観的な判定が可能なものとなっております。機器試薬システムのうち、機器は「クイックチェイサー Immuno Reader」及び「クイックチェイサーImmuno ReaderⅡ」を、試薬はインフルエンザウイルス、アデノウイルス、A群β溶血連鎖球菌、RSウイルス及びマイコプラズマ抗原を対象とするクイックチェイサーAutoシリーズを販売しております。2021年3月には、新型コロナウイルス抗原を検出する検査キット「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」の発売を開始し、さらに品揃えが充実いたしました。
なお、本システムに用いる機器は富士フイルム株式会社から当社へ供給され、試薬は当社から富士フイルム株式会社へ供給されており、機器試薬システムとしてそれぞれのブランドで販売されております。
ロ.生化学検査薬、尿糞便検査薬
生化学検査薬は、入院時のスクリーニングや内臓疾患を特定するために血液中の酵素や脂質を測定する際に用いられています。
当社は、オートLシリーズ製品として、CRE、BUN、UAなどの腎機能検査薬※1、T-CHO、TG、HDL、LDLなどの脂質代謝機能検査薬※1を販売しております。
尿糞便検査薬は、一般検査では尿中のタンパクや糖、大腸がん検診では便中のヘモグロビン(下部消化管出血マーカー)を検出する検査などに用いられています。
当社は、消化器内科向けに、便中のヘモグロビンとトランスフェリン(上部消化管出血マーカー)を同時に検出する当社独自の迅速検査薬「クイックチェイサー 便潜血」を販売しております。また、産婦人科向けに、尿中hCGを迅速に測定する妊娠検査薬「HCGクイックチェッカー・S」や、当社の特許技術により妊娠しやすい排卵時期を予測する排卵日検査薬「LHクイックチェッカー・S」を販売しております。
ハ.微生物遺伝子検査薬
微生物遺伝子検査薬は、感染症における適切な抗菌薬の選択を目的として原因微生物の検出や薬剤耐性の鑑別に用いられています。
これまでの微生物検査では、採取した検体を数日間分離培養し原因微生物を同定する検査、また、薬剤耐性の鑑別には培養後のコロニーを用いて各種薬剤が実際に抗菌作用を示すかを検査する感受性試験が主流でした。しかし、これら増菌培養を要する方法は、菌が増殖するまでに数日の期間を要することや、培養や菌の同定には技術や知識・経験を要することから、微生物検査専門の設備や技師による検査が必要でした。
感染症に対する治療は、早期に適切な抗菌薬を投与する必要があることからも、より迅速かつ確実に診療の場で原因微生物を捕えることができるPOCT遺伝子検査が注目されております。さらに、近年の技術革新により抗菌薬に対する耐性変異を検出することが可能となることから、抗菌薬の選定に貢献することも期待されています。
このようななか、当社は、かねてより研究開発に取り組んでおりました遺伝子POCT検査の国内製造販売承認を2018年2月に取得し、同年10月に遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」及びマイコプラズマ核酸キット「スマートジーン Myco」の発売を開始いたしました。2020年8月には、感染拡大が続いていた新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡充に寄与し感染拡大防止に貢献すべく、早期開発に取り組み、公的医療保険適用の研究用試薬として、新型コロナウイルス遺伝子POCT検査用キット「スマートジーン 新型コロナウイルス検出試薬」の発売を開始いたしました。2021年4月、体外診断用医薬品として許認可を取得した「スマートジーン SARS-CoV-2」の販売へ切り替えております。このほか、スマートジーンシリーズの新たな検査項目として、2022年1月、インフルエンザウイルス核酸キット「スマートジーン Flu A,B」、同年2月、クロストリジウム・ディフィシル核酸キット「スマートジーン CD トキシンB」の発売を開始いたしました。
本装置及びこれらのキットは、当社独自の遺伝子抽出技術とPCR増幅産物をリアルタイムに検出する技術を原理とし、小型の装置を用いて、遺伝子の抽出・増幅・検出の全ての工程を1つのカートリッジ内で1ステップかつ短時間(判定時間:30~60分)で行うことを可能とした、遺伝子POCT検査システムです。基幹病院のみならず開業医・診療所など患者に近い診療現場において、簡易迅速かつ高感度に実施することができるため、早期の確定診断が可能となり、投薬や治療方針の決定、院内感染の予防等に大いに貢献するものと期待しております。これらのキットに加え、本装置を用いる各種感染症検査キットの開発に取り組み、スマートジーンシリーズとして検査項目のさらなる充実を図ってまいります。
② OTC・その他分野
一般用医薬品として薬局・薬店で販売されているOTC検査薬は、ドラッグストアでの販売が始まった2003年頃から市場規模が拡大し、特に妊娠検査薬は妊娠の早期判定の補助として広く普及しております。当社は、OTC検査薬として最も市場が拡大した妊娠検査薬を、厚生労働省の製造販売に関する許認可制度が開始された1992年から販売しております。その後は、妊娠しやすい時期がわかる排卵日検査薬とともに、全国の薬局・薬店、ドラッグストア等に販売しており、昨今の少子化対策に貢献しております。
イ.一般用医薬品
当社は、1992年に一般用医薬品としての販売が解禁されると同時に妊娠検査薬の製造を開始し、製薬メーカーを通じて全国の薬局・薬店への販売を開始しました。その後、1997年に、当社から直接全国の薬局・薬店への販売を開始し、現在では、妊娠検査薬「P-チェック・S」を自社ブランド製品として販売するとともに、チェーン展開を行うドラッグストアのプライベートブランド製品としても「S-チェッカー※7」や「プレセルフ※8」などの製品名で販売しております。
排卵日検査薬については、政府による規制緩和方針に基づき、2016年に一般用検査薬としての承認申請及び審査体制が構築され、当社は、同年に製造販売承認を取得いたしました。現在では、OTC市場において販売提携を行ったアリナミン製薬株式会社(旧社名 武田コンシューマーヘルスケア株式会社)を通じて、排卵日予測検査薬「ハイテスター※9H」及び妊娠検査薬「ハイテスターN」を「ハイテスター」シリーズとして販売しております。また、チェーン展開を行うドラッグストアのプライベートブランド製品としては、排卵日予測検査薬「P-チェック・LH クリアリー※7」を販売しております。
ロ.薬局における排卵日検査薬
薬局でのみ取り扱うことができる排卵日検査薬「P-チェック・LH」につきましても、引き続き販売を継続しております。
当社の病院・開業医分野における主な製品は、以下のとおりであります。
当社のOTC・その他分野における主な製品は、以下のとおりであります。
(3) 当社の販売形態
当社は体外診断用医薬品の原材料を国内外から仕入れ、当社で製造を行い、国内外の医薬品卸、代理店を通じて販売しております。当社の事業を事業系統図として示すと下記のとおりであります。
[事業系統図]

[用語集]
※1 生化学検査薬とは、血液の中でも血清といわれる液体部分を生化学的に分析する検査薬のことです。この検査により、特に内臓の異常をチェックすることができます。
例として、下記に腎機能と脂質代謝機能の検査項目を説明します。
腎機能検査:
・ CRE(クレアチニン)とは、筋肉運動のエネルギー源となるアミノ酸の一種クレアチンが代謝されてできた物質で、老廃物のひとつです。通常、クレアチニンは、腎臓が正常に働いていれば濾過され尿中に排泄されますが、腎機能に障害があると血液中のクレアチニンが増加します。クレアチニンを測定することで腎機能低下の程度を把握できます。
・ BUN(尿素窒素)とは、血清成分からタンパク質を取り除いた残りである残余窒素の30~40%を占める成分です。尿素窒素は、通常、腎臓で濾過されて尿中に排出されますが、急性や慢性の腎不全などで腎臓の働きが低下すると濾過しきれない分が血液中に残ってしまい、尿素窒素の値が高くなります。
・ UA(尿酸)とは、代謝(体内の細胞が死んだり新しく生まれる活動)の結果、燃えかすとして尿に排泄される物質です。腎機能に障害が起こって尿酸が正しく排泄されなかったり、何らかの原因で尿酸が作られすぎたりすると、血液中で増加した尿酸が異常を引き起こします。その代表が痛風であり、主に痛風の診断をするため、血液中の尿酸値を測定します。
脂質代謝機能検査:
・ T-CHO(総コレステロール)とは、細胞膜の材料となり血管の強化や維持に重要な役割を果たしている脂質の一種です。この総コレステロールの血液中の濃度を測定することにより、動脈硬化や心臓病などの循環器障害の診断を行うことができます。コレステロールは体内では、脂肪酸と結合したエステル型と別々に分かれた遊離型があり、これら二つを合わせて総コレステロールといいます。
・ TG(中性脂肪)とは、糖質、炭水化物、動物性脂肪などを主な成分として肝臓で作られます。これらの成分を必要以上に摂取すると、中性脂肪は皮下脂肪に蓄積されます。人間が活動するとき、第一のエネルギー源となるのはブドウ糖ですが、ブドウ糖が不足してくると、貯蔵されていた脂肪が分解され、血液中に放出されることでエネルギーとして使われます。しかし、血液中の中性脂肪が増えすぎると動脈硬化の危険が高まります。
・ HDL(善玉コレステロール)とは、高比重リポタンパクともいい、コレステロールがタンパク質と結びついたもので、血管内壁に結合して動脈硬化を引き起こすコレステロールを引き抜いて肝臓まで運ぶ働きをしています。このことから「善玉コレステロール」と呼ばれています。総コレステロールの値に関係なく善玉コレステロールの値が低いと、動脈硬化が進んで狭心症や心筋梗塞を引き起こしやすいことがわかっています。
・ LDL(悪玉コレステロール)とは、肝臓で作られたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポタンパクをいいます。血液中の悪玉コレステロールの値が高いと、細胞内に取り込まれなかった余剰なコレステロールを血液中に放置し動脈硬化を引き起こす原因となります。
※2 免疫とは、外部から侵入してくる細菌やウイルスに対して体内が抵抗する働きのことで、この免疫反応が引き起こされると作られる抵抗物質が抗体です。免疫血清検査薬は、この抗体及び細菌、ウイルスの有無や量を調べる検査薬で、B型肝炎やC型肝炎の感染の診断や、輸血の際の適合不適合判断などに使用されます。
※3 一般用医薬品とは、「一般の人が、薬剤師などから提供された適切な情報に基づき、自らの判断で購入し、自らの責任で使用する医薬品であって、軽度な疾病に伴う症状の改善、生活習慣病などの疾病に伴う症状発現の予防、生活の質の改善・向上、健康状態の自己検査、健康の維持・増進、その他保健衛生を目的とするもの」と定義されています。十分な説明や情報を示した上で、消費者が自ら簡単な治療を行うというセルフメディケーションが推進されており、厚生労働省が認可を与えた医薬品のみ薬局やドラッグストアにおいて販売されています。
※4 アデノウイルスとは、扁桃腺やリンパ節で増殖するウイルスです。アデノウイルスに感染すると、軽い風邪程度から重症の扁桃腺炎や肺炎を発症します。
※5 Strep A(A群β溶血連鎖球菌)とは、のどや皮膚にみられる細菌です。一般に、咽頭炎や扁桃炎を発症し、気管支炎を起こすことも多い細菌です。
※6 装置を用いて検査を行う試薬は、複数の機器メーカーが販売する汎用の装置に適用する検査薬と、専用の機器でのみ使用可能な検査薬に分類されます。機器試薬システムは後者をいい、1つのメーカーが装置と検査薬をセットで販売し、かつ、同じ装置に適用できる各種測定項目の検査薬を供給する販売形態です。
※7 「S-チェッカー」及び「P-チェック・LH クリアリー」は、ドラッグストアや薬局など営む法人または個人を加盟社として構成したチェーン組織である日本ドラッグチェーン会(株式会社ニッド)のプライベートブランド商品の名称です。
※8 「プレセルフ」は、株式会社マツモトキヨシのプライベートブランド商品の名称です。
※9 「ハイテスター」は、武田薬品工業株式会社の登録商標です。
(注)有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2021年12月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員(契約社員を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。