当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
当中間会計期間(2024年1月1日~2024年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限や入国制限等の解除を背景に社会経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境の改善など、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行きなど、海外景気の下振れが懸念される状況となっております。わが国経済におきましても、円安基調による資源・原材料価格の高騰に伴う物価上昇など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
体外診断用医薬品業界におきましては、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、その後3年以上にわたり新たな変異株による感染拡大を繰り返すなか、感染拡大防止を目的とした遺伝子検査や抗原検査等の検査需要が急激に高まりました。一方、インフルエンザをはじめとした既存の感染症は、新型コロナウイルス感染症対策の効果の波及や受診控え等により、検査需要が減少するという影響を受けました。
重症化リスクが低減しているといわれるオミクロン変異株が主流となるに従い、行動制限が緩和され、社会経済活動は正常化に向かい、2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へ移行されました。この大きな社会環境の変化に伴い、過去3年程の間に免疫獲得の機会を十分に持てなかった様々な既存の感染症は、反動的な急拡大を伴いながらコロナ禍前の状況に戻りつつあります。また、新型コロナウイルス感染症につきましても、足元では第11波といわれる夏場の感染拡大が継続しており、感染症については、多岐にわたり今後の動向を注視する必要があります。
このようななか、当社は、新型コロナウイルス検査薬をはじめ、流行が拡大したインフルエンザやその他感染症項目の検査薬の増産に取り組み、安定供給の維持に尽力いたしました。他方では、2024年4月に新型コロナウイルス抗原及びRSウイルス抗原を同時に検出する「クイック チェイサー SARS-CoV-2/RSV」を発売するなど、クイックチェイサーシリーズの検査項目の拡充を図りました。また、遺伝子POCT検査機器試薬システムにつきましては、スマートジーンシリーズの新たな検査項目の開発に注力するとともに、次世代の遺伝子POCT検査装置として、測定時間のさらなる迅速化や遺伝子マルチ検査システムの開発にも取り組んでおります。
このような環境下におきまして、当中間会計期間の売上高は、46億68百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントでありますが、市場分野別の売上高は、以下のとおりであります。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症は、前年5月に感染症法上の位置づけが5類に移行された影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の出荷数は、約17万テスト(前年同期は35万テスト)と減少しました。一方、新型コロナウイルス抗原キットにつきましては、インフルエンザとの同時流行下においては新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットの需要が増加しましたが、両感染症が一旦収束し、新型コロナウイルス感染症が増加傾向に転じた後は、新型コロナウイルス単独検査キットの需要が増加するなど、出荷数は約220万テスト(前年同期は143万テスト)となりました。これらの結果、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、遺伝子検査キットの減収の影響により、26億57百万円(前年同期比16.5%減)となりました。
インフルエンザ検査薬につきましては、B型による流行が長引いた影響も加わり、インフルエンザ単独検査薬全体の売上高は、4億58百万円(同73.2%増)と大幅な増加となりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行という社会環境の変化に伴い、多くの感染症が増加傾向を示しており、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、A群β溶血連鎖球菌(Strep A)、アデノ眼(流行性角結膜炎)、マイコプラズマなど、ほぼ全ての項目において前年同期比で増収となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、その他感染症項目の需要回復に伴い、13億74百万円(同43.4%増)と大幅な増収となりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、44億90百万円(同1.9%増)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響がほぼ一掃され、OTC・その他分野全体の売上高は、1億78百万円(同5.9%増)となりました。
利益面につきましては、売上高は微増収(同2.0%増)となったものの、売上構成比の変化や人件費及び研究開発費の増加等の影響により、営業利益は18億43百万円(同3.2%減)となりました。なお、外国為替相場の急激な変動に伴い、為替差益1億95百万円を営業外収益に計上しております。これは主に当社が保有する外貨建資産を期末為替レートで換算したことにより発生したものであります。これらの結果、経常利益は20億81百万円(同1.4%増)、中間純利益は14億89百万円(同1.9%増)となりました。
インフルエンザ検査薬は、過去7年(2013年~2019年)ほどにわたり、当社の売上高の約50%を占める主力製品でありましたが、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、インフルエンザの流行は著しく低い水準に抑えられ、2020年よりインフルエンザ検査薬の売上高は大幅に減少しました。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、遺伝子検査や抗原検査の需要が急激に高まるなか、2020年より遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の発売を開始し、これに続き発売を開始した各種抗原キットの売上高が大幅に増加したことから、新型コロナウイルス検査薬への依存度が急激に高まる結果となりました。
2023年5月に新型コロナウイルス感染症は感染症法上の分類が5類へ移行され、社会経済活動の正常化はさらに加速し、それまで抑えられていた様々な既存の感染症が同時多発的に流行しました。同年、インフルエンザは異例の夏場の流行後も流行拡大が継続し、2024年にはB型による流行も長引き、新型コロナウイルスとの同時流行を背景に、新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検査キットの需要が急増する結果となりました。
今後につきましては、新型コロナウイルス検査薬は、感染拡大の動向や医療・検査体制の変化などによって、本検査薬の需要や売上高は大きく左右される可能性があります。また、新型コロナウイルスやインフルエンザの流行の時期や規模によって、新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルスの同時検査キットあるいは各単独検査薬キットの需要が大きく変動する可能性があり、これらの状況の変化に伴い特定製品への依存度が変化する可能性があります。
当事業年度(2024年12月期)の各四半期会計期間の売上高の内訳及び直近5事業年度の売上高の内訳は、以下のとおりであります。
当中間会計期間末における資産の残高は、前事業年度末に比べ2億84百万円減少し、186億63百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加10億16百万円及び棚卸資産の増加4億19百万円があったものの、売掛金の減少15億8百万円及び電子記録債権の減少2億36百万円があったことによるものであります。
当中間会計期間末における負債の残高は、前事業年度末に比べ4億40百万円減少し、28億31百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少3億35百万円、流動負債のその他に含まれている未払消費税等の減少90百万円があったことによるものであります。
当中間会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ1億56百万円増加し、158億32百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加1億56百万円によるものであります。
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ8億23百万円増加し、95億40百万円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における営業活動により増加した資金は、23億39百万円(前中間会計期間は30億69百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払9億24百万円、棚卸資産の増加4億19百万円及び為替差損益1億97百万円によるキャッシュ・フローの減少があったものの、税引前中間純利益20億81百万円及び売上債権の減少17億45百万円によるキャッシュ・フローの増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における投資活動により減少した資金は、1億87百万円(前中間会計期間は1億47百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得1億83百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における財務活動により減少した資金は、13億33百万円(前中間会計期間は18億7百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払13億33百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
当中間会計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当中間会計期間における研究開発活動の総額は3億54百万円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。