当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
当中間会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復などを背景に、各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、物価上昇による個人消費の低下、米国の関税政策による影響、ウクライナ情勢の混迷長期化や中東情勢の緊迫化など、世界経済の不確実性は増しており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
体外診断用医薬品業界におきましては、新型コロナウイルス感染症は、夏と冬に一定の流行が継続していたものの、冬場(2024/2025年)の流行の規模は例年より抑えられたものとなりました。夏場の流行についても、直近では拡大傾向を示していますが、例年ほど急激な感染拡大とはなっておりません。当該感染症の検査においては、2023年5月に感染症法上の位置づけが5類へ移行され、「発症患者の陽性を確認するための迅速簡易検査」として、遺伝子検査から抗原検査へのシフトが進んでおります。
一方、インフルエンザ等の既存の感染症については、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、社会経済活動が正常化するなか、過去数年の間に免疫獲得の機会を十分に持てなかったこと等を背景に、一時的・反動的に急拡大する状況がみられております。マイコプラズマ肺炎については、2025年春以降、徐々に感染者数が増加し、2024年の大流行と近似した傾向を示しており、2024/2025シーズンのインフルエンザの流行についても、2024年12月に警報レベルを大幅に超える異例の速さで感染拡大しました。このほか、2025年1月から4月にかけ、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行し、患者数が過去10年で最多となるなど感染の急拡大が頻発しております。
今後の感染症の動向については、例年に比べ新型コロナウイルス感染症の流行が抑えられている状況や既存の感染症の一時的・反動的な急拡大の状況を鑑み、感染症全般にわたり注視する必要があります。
このような環境のなか、当社は、新型コロナウイルス検査薬をはじめ、流行が拡大したインフルエンザやその他感染症項目の検査薬の増産に取り組み、安定供給の維持に尽力しました。
他方では、2025年2月に新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザA型、B型の判別が可能な「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2/Flu A,B」を発売するなど、クイックチェイサーシリーズの検査項目の拡充を図りました。
また、遺伝子POCT検査機器試薬システムにつきましては、2025年6月、ヘリコバクターピロリ核酸キット「スマートジーン H.pylori S」の国内製造販売承認を取得し、発売に向けて準備を進めております。既存の製品からさらに侵襲性のない糞便を検体とし、クラリスロマイシン耐性に関与する遺伝子変異も同時に検出可能な検査キットで、検査時間の短縮や患者の負担低減、さらには抗菌薬の適正使用にも貢献できるものと考えております。今後も継続して、スマートジーンシリーズの新たな検査項目の開発に注力するとともに、次世代の遺伝子POCT検査装置として、測定時間のさらなる迅速化や遺伝子マルチ検査システムの開発も進めてまいります。
これらの結果、当中間会計期間における売上高は、39億76百万円(前年同期比14.8%減)となりました。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントでありますが、市場分野別の売上高は、以下のとおりであります。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症は、冬場の流行について、規模は例年ほどではなかったものの、インフルエンザの大流行の時期と重なりました。これにより、主に新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットの需要が増加し、出荷数は約242万テスト(前年同期は220万テスト)となりました。一方で、新型コロナウイルス遺伝子検査キットについては、陰性を確認するための高度な検査として一定の需要はあるものの、感染症法上の位置づけの5類移行に伴い、遺伝子検査から抗原検査へのシフトは進んでおり、「スマートジーン SARS-CoV-2」の出荷数は、約8万テスト(前年同期は17万テスト)と減少しました。これらの結果、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、21億90百万円(前年同期比17.6%減)となりました。
インフルエンザの2024/2025シーズンの流行については、2024年12月に警報レベルを大幅に超える異例の速さで感染が急拡大したものの、2025年2月中旬以降急速に収束しました。これにより、インフルエンザ単独検査薬全体の売上高は、2億96百万円(同35.2%減)となりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、マイコプラズマ検査薬(抗原検査・遺伝子検査)やRSV・ヒトメタニューモウイルス抗原同時検出キットの売上高は前年同期比で増収となったものの、StrepA(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、アデノ眼(流行性角結膜炎)等において、前年程の大きな流行とはならなかったこと等を主因として、売上高は前年同期比で減収となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、13億9百万円(同4.8%減)となりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、37億96百万円(同15.5%減)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、業界再編など市場環境の変化のなか、一定の安定的な需要が継続していることから、OTC・その他分野全体の売上高は、1億79百万円(同0.8%増)となりました。
利益面につきましては、主に新型コロナウイルス遺伝子検査キット及びインフルエンザウイルス単独抗原キットの減収により、営業利益は14億76百万円(同19.9%減)となりました。なお、外国為替相場の急激な変動に伴い、為替差損1億27百万円を営業外費用に計上しております。これは主に当社が保有する外貨建て資産を期末日レートで換算したことにより発生したものであります。これらの結果、経常利益は13億97百万円(同32.9%減)、中間純利益は10億20百万円(同31.5%減)となりました。
インフルエンザ検査薬は、過去7年(2013年~2019年)ほどにわたり、当社の売上高の約50%を占める主力製品でありましたが、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、インフルエンザの流行は著しく低い水準に抑えられ、2020年よりインフルエンザ検査薬の売上高は大幅に減少しました。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、遺伝子検査や抗原検査の需要が急激に高まるなか、2020年より遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の発売を開始し、これに続き発売を開始した各種抗原キットの売上高が大幅に増加したことから、新型コロナウイルス検査薬への依存度が急激に高まる結果となりました。
2023年5月に新型コロナウイルス感染症は感染症法上の分類が5類へ移行され、社会経済活動の正常化はさらに加速し、それまで抑えられていた様々な既存の感染症が同時多発的に流行しました。同年、インフルエンザは異例の夏場の流行後も流行拡大が継続し、2024年にはB型による流行も長引き、新型コロナウイルスとの同時流行を背景に、新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検査キットの需要が急増する結果となりました。
今後につきましては、新型コロナウイルス検査薬は、感染拡大の動向や医療・検査体制の変化などによって、本検査薬の需要や売上高は大きく左右される可能性があります。また、新型コロナウイルスやインフルエンザの流行の時期や規模によって、新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルスの同時検査キットあるいは各単独検査キットの需要が大きく変動する可能性があり、これらの状況の変化に伴い特定製品への依存度が変化する可能性があります。
当事業年度(2025年12月期)の各四半期会計期間の売上高の内訳及び直近5事業年度の売上高の内訳は、以下のとおりであります。
当中間会計期間末における資産の残高は、前事業年度末に比べ9億98百万円減少し、197億30百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加11億18百万円及び棚卸資産の増加8億56百万円があったものの、売掛金の減少24億36百万円及び電子記録債権の減少4億46百万円があったことによるものであります。
当中間会計期間末における負債の残高は、前事業年度末に比べ8億76百万円減少し、24億98百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少5億35百万円、流動負債のその他に含まれている未払消費税等の減少1億79百万円及び未払金の減少1億18百万円があったことによるものであります。
当中間会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ1億22百万円減少し、172億32百万円となりました。これは主に、利益剰余金の減少1億21百万円によるものであります。
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ57億47百万円減少し、39億16百万円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における営業活動により増加した資金は、25億28百万円(前中間会計期間は23億39百万円の増加)となりました。これは主に、棚卸資産の増加8億56百万円、法人税等の支払8億35百万円、未払消費税等の減少1億79百万円及び未払金の減少1億11百万円によるキャッシュ・フローの減少があったものの、売上債権の減少28億83百万円、税引前中間純利益13億97百万円、為替差損益1億33百万円及び減価償却費1億31百万円によるキャッシュ・フローの増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における投資活動により減少した資金は、71億34百万円(前中間会計期間は1億87百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻15億63百万円によるキャッシュ・フローの増加があったものの、定期預金の預入85億63百万円及び有形固定資産の取得1億33百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における財務活動により減少した資金は、11億41百万円(前中間会計期間は13億33百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払11億41百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
当中間会計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当中間会計期間における研究開発活動の総額は3億54百万円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。