第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に緩やかな回復基調が続いていますが、中国をはじめとするアジア新興国の景気減速や、英国のEU離脱問題、米国の政権交代などの変化による海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社が属する情報サービス業界においては、第3のプラットフォームであるクラウド分野やスマートデバイス関連分野が引き続き高い成長で推移していく等、市場の拡大が続くと見込まれております。

 

このような環境のもと当社では、第3のプラットフォームであるクラウドコンピューティングやスマートデバイスを中心とする成長力の高い事業ドメインの開拓に積極的に取り組み、引き続き既存顧客とのパートナーシップの強化や顧客満足度の向上に努め、継続的な受注確保・拡大を図るとともに、新規顧客の開拓に注力してまいりました。

その結果、売上高につきましては、クラウドコンピューティングを中心としたパッケージベースSI・サービスとインフラソリューション・サービスは売上が増加しましたが、当社事業の中核であるシステムインテグレーション・サービスの金融分野においてマイナス金利政策等による金融機関のシステム投資の延伸の影響、第2四半期以降に発生した不採算プロジェクトへの大幅な人員補強のため、その他案件において要員を確保することが難しくなり、新たな受注獲得の対応が遅れたこと等により、当事業年度の売上高は7,208,961千円(前年同期比97.2%)となりました。利益面につきましては、売上高の低下及び第2四半期以降に発生した不採算プロジェクトの収束を目指し、大幅な人員補強を行い対応した結果、多額の人件費及び外注費が発生し、現時点における当事業年度以降に発生が見込まれる追加コストを原価として全額損失引当金として計上したことにより、また販売費及び一般管理費については本社事務所の増床に伴う家賃及び減価償却費が増加、税率変更による外形標準課税が増加したこと等により、営業利益は367,598千円(前年同期比65.8%)、経常利益は371,898千円(前年同期比70.9%)、当期純利益は242,426千円(前年同期比75.0%)となりました。

なお、当社はシステムソリューションサービス及びこれらの付随業務の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

当社事業のサービスライン別の業績を示すと次のとおりであります。

事業のサービスライン

売上高(千円)

前年同期比(%)

システムインテグレーション・サービス

5,185,322

90.0

インフラソリューション・サービス

988,199

100.4

パッケージベースSI・サービス

1,035,439

155.4

合計

7,208,961

97.2

 

(システムインテグレーション・サービス)

産業・流通分野における百貨店向けシステム開発案件の受注拡大しましたが、金融分野においてはマイナス金利政策等によるシステム投資の延伸及びシステム統合大型案件の収束により受注が前年を大きく下回ったこと、並びに公共分野においては年金関連案件の受注が前年を下回った結果、売上高は5,185,322千円(前年同期比90.0%)となりました。

内訳を業種別に示すと、次のとおりであります。

業種別

前事業年度

(自 平成27年4月1日

 至 平成28年3月31日)

当事業年度

(自 平成28年4月1日

  至 平成29年3月31日)

売上高(千円)

売上高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

金融

2,525,456

2,071,769

40.0

82.0

(うち銀行)

1,536,330

1,229,143

23.7

80.0

(うち保険)

248,765

216,778

4.2

87.1

(うち証券)

148,565

74,184

1.4

49.9

(うちクレジットカード)

591,795

551,662

10.6

93.2

産業・流通

2,429,797

2,388,245

46.1

98.3

公共

296,370

215,324

4.2

72.7

医療

511,327

509,983

9.8

99.7

5,762,952

5,185,322

100.0

90.0

 

(インフラソリューション・サービス)

システムインテグレーション・サービスとの連携した受注活動による金融機関向けのネットワーク構築及びサーバ案件の受注が堅調に推移したことにより、売上高は988,199千円(前年同期比100.4%)となりました。

 

(パッケージベースSI・サービス)

当社のクラウドコンピューティングサービスの中心であるSalesforce関連の受注が順調に推移したことにより、売上高は1,035,439千円(前年同期比155.4%)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ310,751千円減少し、1,387,030千円となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は31,234千円(前年同期は233,142千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上額371,898千円、減価償却費の計上額49,643千円、たな卸資産の減少額29,165千円、退職給付引当金の増加額20,938千円、前受金の増加額38,999千円等の資金増加と、売上債権の増加額109,812千円、仕入債務の減少額179,695千円、賞与引当金及び役員賞与引当金の減少額58,110千円、法人税等の支払額180,975千円、未払消費税等の減少額18,543千円等の資金減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は125,888千円(前年同期比63.2%増)となりました。これは主に、本社事務所及び関西事業所増床に伴う有形固定資産の取得による支出92,198千円、無形固定資産の取得による支出22,390千円、関西事業所増床による保証金の差入による支出3,416千円、定期預金の預入による支出5,424千円等の資金減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は153,628千円(前年同期は467,368千円の収入)となりました。これは主に配当金の支払額153,433千円の資金減少によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

当社は、システムソリューションサービス及びこれらの付随業務の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の状況については、サービスライン別に示しております。

 

(1)生産実績

当事業年度の生産実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。

事業のサービスライン

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

システムインテグレーション・サービス

(千円)

4,300,095

88.5

インフラソリューション・サービス

(千円)

821,404

97.6

パッケージベースSI・サービス

(千円)

930,761

172.4

合計

(千円)

6,052,261

97.0

 (注)1.金額は製造費用によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

当事業年度の受注状況を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。

事業のサービスライン

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

受注高

前年同期比

(%)

受注残高

前年同期比

(%)

システムインテグレーション・サービス

(千円)

5,219,802

88.4

838,810

104.3

インフラソリューション・サービス

(千円)

970,209

95.3

115,909

86.6

パッケージベースSI・サービス

(千円)

1,111,805

157.2

187,109

169.0

合計

(千円)

7,301,816

95.7

1,141,828

108.9

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

当事業年度の販売実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。

事業のサービスライン

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

システムインテグレーション・サービス

(千円)

5,185,322

90.0

インフラソリューション・サービス

(千円)

988,199

100.4

パッケージベースSI・サービス

(千円)

1,035,439

155.4

合計

(千円)

7,208,961

97.2

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

富士通株式会社

1,262,774

17.0

1,293,008

17.9

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社は以下の経営理念を制定し、お客様とともに成長・発展し続けることで社会に貢献することを目指しております。

 

経営理念

①顧客価値の創造と顧客満足度の追求を図り、企業価値を高める。

②次代を拓くプロフェッショナル集団として、情報技術のリーディングカンパニーとなる。

③常に革新的企業文化風土を維持、継続する。

 

この経営理念を具現化するために、次の5点を基本方針として事業を推進しております。

①法令の遵守及び社会規範に則った経営を実践し、ステークホルダーの信頼を得るとともに、事業の持続的発展を図る。

②高い品質のサービスを提供し、お客様にとって掛け替えのないパートナーとなる。

③社員一人ひとりのスキル向上を促進し、その技術力を結集して市場競争力を高める。

④ビジネスパートナー各社と相互理解に基づく協業体制を確立し、ともに健全な成長を継続する。

⑤社員一人ひとりが自ら考え、提案し、挑戦することにより、フィールドに変革をもたらす。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

「顧客価値の創造」を経営理念の柱として、お客様に真の価値あるサービスを提供できるようコアコンピテンシーの醸成と品質向上に取り組むとともに、ITサービスの構造的変化を先取りしたビジネス展開により新たな市場を開拓し、経営体質の強化と事業の継続的発展を図ってまいります。

①企業競争力の源泉である人材の育成を促進し、技術力向上とサービス体制の充実を図ることで、お客様満足度の更なる向上を目指します。

②的確な戦略ドメイン選択のもと新たなサービス事業分野に参入し、長期的成長のビジネス基盤を構築してまいります。また、既存ビジネス分野においては選択と集中により経営基盤の強化を図ってまいります。

③お客様からの要請に対して迅速な対応を実現するため経営資源の一部を外部に求める必要があります。当社では優良なビジネスパートナー会社の確保に注力しておりますが、今後は各社との協業の仕組みを抜本的に改善し、市場競争力の強化につなげてまいります。

 

このような戦略方針のもと、当社は「Attack100」を掲げ、まずは売上高100億円、営業利益率10%を中長期のターゲットとして成長戦略を推進してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

当社の主な成長性・収益性の財務的な指標として、売上高増加率、売上総利益率、営業利益率、営業利益増加率に加え、従業員一人当たり売上高、従業員一人当たり売上総利益率などを掲げております。

 

(4)対処すべき課題

当社は、「顧客価値の創造」に基づくさらなる事業収益の拡大を図ることにより、持続的かつ飛躍的な成長と、より強固な経営基盤を確立すべく、以下の事項を重要課題と捉え、その対応に引き続き取り組んでまいります。

 ①得意分野の更なる強化

ITサービス業界は、オフショア活用の拡大や景気低迷等により進んだサービスの低価格化やクラウドコンピューティングに代表される安価なサービス等への構造的変化により、ビジネスの維持・拡大は一段と厳しい状況となっております。

このような状況の中で継続的に安定した収益を確保していくためには、高い専門性を武器に顧客にとって高い付加価値を創造することで競合他社との差別化を図っていく必要があります。

当社では、これまでも得意とする金融分野等のコアコンピテンシーの確立に向けた取り組みを継続してきており、さらなる得意分野の強化を目指して、価格競争に左右されない経営基盤の強化に努めてまいります。

 

 ②新たな成長分野への展開

技術革新が著しいITサービス業界において、常に顧客に満足していただけるサービスを提供していくために、既存技術の強化と並行して、新技術にも積極的にチャレンジしていくことが求められます。

当社では、既存技術の強化とともに第3のプラットフォームであるクラウドコンピューティングやスマートデバイスを中心とする成長力の高い事業ドメインの開拓に積極的にチャレンジしております。また、新たな成長分野への参入に向けた研究開発体制を整備して、的確な戦略ドメイン選択のもと長期的な成長につながるビジネス基盤の構築に注力してまいります。

 

 ③優秀な人材の確保

当社の属するITサービス業界は技術が急速に進歩しているため、常に最新技術への対応が求められます。この要求に応えられる優秀な人材こそが最も大切な財産であると考えております。

当社では、優秀な人材を確保するために採用選考基準を明確化して、新卒採用、キャリア採用を問わず積極的な採用活動を行っております。

今後も優秀でポテンシャルの高い人材の確保に積極的に取り組んでまいります。

 

 ④スペシャリストの育成

当社の継続的事業展開と発展のためには、変化が著しいITサービス業界に対応できる市場価値の高い人材を継続的に育成していく必要があり、高度な専門技術を持った人材の育成が重要課題と認識しております。

コアコンピテンシーに沿った人材育成を計画的に推進するとともに、経済産業省が定めたITスキル標準であるITスキルスタンダード(ITSS)を適用した組織的な技術者育成制度を構築しており、これらの施策によりスペシャリストの育成と拡充を進めてまいります。

 

 ⑤プロジェクトマネジメント力の強化

顧客との取引を拡大し適正な利益を確保するためには、プロジェクトマネジャー(※)一人ひとりのマネジメント能力をさらに強化するとともに、プロジェクトマネジメントができる技術者を拡充していくことが重要な課題であります。

当社では、技術者に対してテクニカルスキルとマネジメントスキルの両面から体系的な教育システムを構築してバランスに配慮したスキル強化を図っております。

特に、プロジェクトマネジャー指向の技術者に対しては、プロジェクトマネジメントに関する国際資格であるプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)資格(認定機関:米国 Project Management Institute,Inc.)を取得させることとして、プロジェクトマネジメント力の強化に努めております。

    (※)プロジェクトマネジャーは、プロジェクトの計画、遂行に責任を負うプロジェクトの管理者

 

 ⑥品質の向上

ICTが普及し、ITの戦略的価値が増大する中、顧客のシステム開発に対する要求水準は年々高まっており、当社の差別化戦略はより一層重要なものとなってきております。顧客と安定した取引を継続し更に発展させていくためには、顧客に満足していただけるシステムの品質が重要であると認識しております。

当社では、技術者の技術力向上、プロジェクトマネジメント力の強化はもとより、全社横断的に品質を確保し、向上させるためのPMOを中心としたプロジェクト支援体制の強化に取り組むことで、更なる品質の向上に努めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

当社の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なものとしては、以下の内容が挙げられます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)景気変動によるリスク

当社が提供するシステムソリューションサービスは、景気の影響を受けやすい傾向にあります。顧客企業における、景気悪化にともなう設備投資の縮小や製品開発の遅れ、事業縮小、システム開発の内製化等により、当社が提供するサービス領域が縮小される可能性があります。

したがって、国内設備投資動向が悪化した場合及び当社の顧客が属する事業分野の市況が悪化した場合等には、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)プロジェクト管理に関するリスク

システム開発においては、開発規模の大型化と顧客の要求の高度化、オープン化の進展によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます増大しております。さらには、顧客に提供するサービスや構築システムは、社会的にも重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されることにより、テスト段階以降のシステムエンジニアの負担が増加するケースが多く、時間の超過や健康問題につながる可能性があります。

これらに対し、当社では品質改善推進部(※)が、顧客との契約のあり方を見直すとともに、商談発生時からプロジェクトの進行監視を通じてリスク管理を行っておりますが、不採算プロジェクトが発生した場合には、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(※)品質改善推進部は、プロジェクトの品質管理とプロセスの標準化を推進しております。

 

(3)顧客情報等漏洩のリスク

当社は、顧客の情報システムの構築、保守並びに運用にあたり、個人や顧客情報を含んだ情報資産を取り扱っております。当社では、このような情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクを回避するために、様々な対策を講じております。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得やプライバシーマークの認定取得はもとより、各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ推進委員会を設置し、従業員教育、各種ソフトウェアの監視、情報資産へのアクセス証跡の記録など各種の情報セキュリティ対策を講じ、情報セキュリティ運営委員会にて、個人情報を含む重要な情報資産の管理を実施し、情報漏洩のリスクの回避を図っております。

しかし、万が一にも、当社又はその協力会社(外注先)より情報の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社の信用失墜等により、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)クラウドコンピューティングへの新たな取り組みに関するリスク

クラウドコンピューティング市場は今後も成長が見込まれますが、クラウドコンピューティングは、ITの効率化を促進し、顧客のIT支出削減を推し進めることから、既存ITサービス市場の縮小を引き起こす可能性があります。

当社では、既存ITサービス市場をマーケットとしたシステムインテグレーション・サービスの競争力強化に向けて技術者の育成と当社の得意分野における専門性の強化に取り組むと同時に、平成23年3月期よりサービスを開始したクラウドコンピューティングサービスにおいても取引拡大を図り確実な競争力を持つべく注力しておりますが、これらへの対応が計画どおりに進まない場合は、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)特定顧客依存に関するリスク

当社の売上高は、大口顧客である富士通株式会社からの売上高が平成29年3月期において17.9%(富士通株式会社グループ全体では46.3%)を占めております。当該顧客は、外部環境等を考慮して営業政策を決定しており、これらの環境が大きく変動した場合、その営業政策を変更する場合があります。当社としましては、富士通株式会社グループのコアパートナーとしての連携強化に加えて、取引顧客基盤の一層の拡大等に努めておりますが、営業政策の変更により、当社の受注が大幅に減少した場合や受注条件が大幅に悪化した場合には、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)人材確保に関するリスク

当社の成長と利益は、人材に大きく依存します。従いまして、優秀な技術者やシステムエンジニア、管理者等、必要とする人材を採用、育成することは当社にとって重要であり、これに対して積極的な新卒採用やキャリア採用の促進及び研修制度の充実、さらにはコアコンピテンシーの強化等各施策を実施しておりますが、このような人材を採用又は育成することができない場合、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7)ビジネスパートナー依存に関するリスク

生産性向上及び外部企業の持つ専門性の高いノウハウ活用等のため、システム開発を外部委託することがあります。当社におきましても、システム開発における一部のプログラム作成業務を協力会社(外注先)に委託し、協力会社に所属するビジネスパートナーと協業しております。

協力会社への委託は、顧客要請への迅速な対応を実現し、受注の機会損失を防ぐことを目的としており、当社の受注拡大にはビジネスパートナーの確保及び良好な取引関係の維持が必要不可欠であります。

協力会社との関係をより強固なものにするためにコアパートナー制度等の各施策を実施しておりますが、平成29年3月期における当社の製造費用に占める外注費の割合は52.4%となっており、協力会社との取引関係は当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8)低付加価値分野でのオフショア開発の浸透によるリスク

顧客のシステム投資においては、顧客が付加価値の低い従来型の開発分野及び開発工程においては、一層の価格の引き下げを求める動きが強まっており、今後、差別化のされない付加価値の低い従来型の開発分野及び開発工程においては、オフショア開発への移行が増大すると予想されます。

当社では、価格競争に左右されにくい安定した経営基盤を確立するため、当社が得意とする分野における専門性の強化と、最新技術への対応を継続して実施しており、顧客にとって付加価値の高いサービスを提供できる体制の強化に注力しておりますが、このような体制強化が計画どおりに進まない場合は、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)業績の季節変動について

当社が提供するシステムソリューションサービスは、顧客のシステム投資予算並びに新製品開発予算の対象となる他、顧客企業の予算執行のタイミングや開発システムの工期との兼ね合いから、第2四半期会計期間及び第4四半期会計期間に売上計上が集中し営業利益が偏重する傾向があります。

なお、当社は納期管理を徹底しておりますが、顧客の都合等により検収時期が遅延し、計画通りに売上計上ができない場合があります。特に期末月の3月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当該期間での業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

第46期事業年度(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)

通期

 

 

上半期

 

 

下半期

 

第1四半期

第2四半期

 

第3四半期

第4四半期

 

 

売上高

(千円)

1,554,756

1,984,815

3,539,572

1,664,931

2,208,871

3,873,802

7,413,374

構成比(%)

21.0

26.8

47.7

22.5

29.8

52.3

100.0

営業利益

53,792

164,903

218,695

131,778

207,929

339,707

558,403

構成比(%)

9.6

29.5

39.2

23.6

37.2

60.8

100.0

 

 

第47期事業年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

通期

 

 

上半期

 

 

下半期

 

第1四半期

第2四半期

 

第3四半期

第4四半期

 

 

売上高

(千円)

1,497,132

1,936,765

3,433,898

1,526,619

2,248,443

3,775,062

7,208,961

構成比(%)

20.8

26.9

47.6

21.2

31.2

52.4

100.0

営業利益

27,363

130,124

157,488

29,742

180,367

210,109

367,598

構成比(%)

7.4

35.4

42.8

8.1

49.1

57.2

100.0

 

(10)法的規制について

当社では顧客先に社員を派遣してシステム開発等を行う場合があります。

当社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」を遵守し、労働者派遣事業者として監督官庁への必要な届出を行っております。

当社は上記の他法令等を遵守しておりますが、法的規制の変更があった場合、法令に違反した場合等、当社が的確に対応できなかった場合には、当社の事業活動が制限されるとともに、社会的な信用の失墜により当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11)知的財産権について

当社が行うシステム開発等において、他社の所有する著作権及び特許権を侵害しないように充分に啓蒙活動を行い、常に注意を払って事業展開しておりますが、当社の認識の範囲外で他社の所有する著作権及び特許権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、多額の費用負担が生じたり、損害賠償請求を受けるなど、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社は、システムソリューションサービスの一環として、新技術の研究・開発に取り組んでおります。

研究開発体制については、ソリューション開発センターにおいて合計4名が新技術の研究や自社製品のソリューションの開発を行っております。

当事業年度における研究開発費は、23,040千円を計上いたしました。

なお、当社は、システムソリューションサービス及びこれらの付随業務の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

研究開発活動内容及び成果は、次のとおりであります。

(自社オリジナル製品の開発)

当社では、パッケージ・サービスに関する自社のオリジナル製品の研究・開発を進めており、平成29年6月に自社オリジナル製品ブランド「R&Driver」(ランドライバー)を発表いたしました。

その「R&Driver」の第一弾として販売管理アプリケーションサービス「necote」(ネコテ)をリリースいたしました。

この製品は当社のパッケージベースSI・サービスで展開しているSalesforce上で動作するアプリケーションで、主に中小企業向けに提供した販売管理テンプレートの簡易バージョンとして簡単な導入と少人数からの利用を可能にするサービスです。製品の内容は、顧客管理~商談管理~請求・入金・売掛管理までの処理を、複数のシステムでの二重管理・二重入力を行うことなく、一括で管理・運用するシステムを提供するアプリケーションであります。

当社は、今後も「R&Driver」シリーズとして、積極的に自社オリジナル製品の開発、サービス提供を進めてまいります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表の作成に当たっては、経営者より一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。

これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性がともなう為に、実際の結果は、これらとは異なることがあります。

 

(2)経営成績の分析

① 売上高、売上原価及び売上総利益

当事業年度の売上高は7,208,961千円であり、前事業年度より204,413千円、2.8%減少いたしました。主な要因としては、クラウドコンピューティングを中心としたパッケージベースSI・サービスとインフラソリューション・サービスは売上が増加しましたが、当社事業の中核であるシステムインテグレーション・サービスの金融分野においてマイナス金利政策等による金融機関のシステム投資の延伸の影響、第2四半期以降に発生した不採算プロジェクトへの大幅な人員補強のため、その他案件において要員を確保することが難しくなり、新たな受注獲得の対応が遅れたことによるものであります。

当事業年度の売上原価は6,094,838千円であり、前事業年度より98,779千円減少しました。これは、受注獲得の対応の遅れによる外注費の減少が主な要因であります。原価率は84.5%であり、前事業年度より1.0ポイント増加しました。その結果、当事業年度の売上総利益は1,114,122千円となり、前事業年度より105,633千円、8.7%減少いたしました。

 

② 販売費及び一般管理費並びに営業利益

当事業年度の販売費及び一般管理費は746,524千円であり、前事業年度より85,170千円、12.9%増加いたしました。その主な要因は、本社事務所及び関西事業所増床による地代家賃、備品購入費、減価償却費の増加、税制改正に伴う外形標準課税の増加等によるものであります。

その結果、営業利益は367,598千円となり、前事業年度より190,804千円、34.2%減少いたしました。

 

③ 営業外損益及び経常利益

当事業年度の営業外収益は5,785千円であり、前事業年度より1,929千円減少しました。これは本年度の助成金申告分が来期にずれ込んだ影響によるものであります。

当事業年度の営業外費用は1,486千円であり、前事業年度より40,215千円減少しました。これは前事業年度に株式公開費用39,965千円を計上したものが、今期発生がなかったことによるものであります。

その結果、経常利益は371,898千円となり、前事業年度より152,518千円、29.1%減少しました。

 

④ 当期純利益

以上の結果より、当期純利益は242,426千円となり、前事業年度より80,873千円、25.0%減少しました。

 

(3)財政状態の分析

当事業年度末における総資産は4,206,419千円となり、前事業年度末と比較して194,010千円の減少となりました。これは主に、売上債権が109,812千円増加、有価証券が100,000千円増加、投資有価証券が30,334千円増加し、一方で、現金及び預金が405,326千円減少、システム開発の進捗により仕掛品が29,165千円減少したことによるものであります。また、負債合計は1,423,672千円となり、前事業年度末と比較して301,877千円の減少となりました。これは主に、前受金が38,999千円増加、受注損失引当金が13,411千円増加、退職給付引当金が20,938千円増加し、一方で、買掛金が179,695千円減少、未払金が94,253千円減少、納税により未払法人税等及び未払消費税等が46,683千円減少、賞与、役員賞与の支給等により賞与引当金及び役員賞与引当金が58,110千円減少したことによるものであります。純資産合計は2,782,746千円となり、前事業年度末と比較して107,867千円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が88,813千円増加、その他有価証券評価差額金が19,249千円増加したことによるものであります。

以上により、自己資本比率は、前事業年度末の60.79%に対して当事業年度末の66.15%と5.36ポイント増加しております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資金の需要及びその財源

営業活動に伴い売掛金回収までの運転資金を主たる資金の需要としておりますが、金融機関からの借入金により、必要とする十分な資金を調達しております。なお当事業年度においても厳しい経済環境が継続しており、慎重かつ保守的な財務活動にあたる方針としたことから当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は1,387,030千円でしたが、前事業年度に引き続き比較的厚めの資金ポジションをとっております。

翌事業年度においては景気回復動向、受注動向を引き続き慎重に見極めた上で株主価値の最大化、株主資本の効率的な運用に努めてまいります。

 

② キャッシュ・フロー及び流動性

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、当事業年度末における資金は資産合計の33.0%を占めており、また流動比率は394.64%であることから十分な流動性を確保しております。

 

(5)経営戦略の現状と見通し

今後の経済状況の見通しにつきましては、雇用・所得環境や企業収益の改善が続き、五輪関連需要や政府の経済政策等による設備投資の増加や個人消費の持ち直しにより、緩やかな回復基調が続くものと期待される一方で、アジア新興国や資源国等の景気減速、英国のEU離脱問題、米国の政権交代などの変化による海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動等、先行きの不透明な経済状況が続くと予想されます。

情報サービス業界におきましては、第3のプラットフォームであるクラウド分野やスマートデバイス関連分野が引き続き高い成長で推移していくものと見込まれております。また、「働き方改革」の実現に向けたIT活用意識の高まり等を背景に、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末によるクラウドサービスの利用とともに、IoT(Internet of Things)、フィンテック(金融サービスのITイノベーション)、ビッグデータ、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などへの関心が高まり、業種間の連携なども活発化し、新たな事業が創出されるものと期待されています。

その一方で、業者間の受注競争の激化に加え、パートナー企業を含む開発要員獲得の面で厳しい経営環境が続いており、引き続き人材確保と育成が経営課題のひとつとなっております。

 

このような状況の中で当社は、技術革新が急速に進む情報サービス業界において常にお客様に満足していただけるサービスを提供していくため、既存技術の強化とともに第3のプラットフォームであるクラウドコンピューティングやスマートデバイスを中心とする成長力の高い事業ドメインの開拓に積極的に取り組み、的確な戦略ドメイン選択のもと長期的な成長につながるビジネス基盤の構築に注力してまいります。

一方、当期の不採算プロジェクト発生を鑑み、全社員の階層別研修にて基本動作の徹底等について再教育による強化を引き続き行い、開発プロジェクトのマネジメント意識を高め、さらにPMO要員の増員によるプロジェクト監視強化を行うとともに、経営効率化による基盤強化に向けた取り組みを一層加速し、強固な土台を構築してまいります。

 

(6)経営者の問題意識と今後の方針について

当社が今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。