当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は以下の経営理念を制定し、お客様とともに成長・発展し続けることで社会に貢献することを目指しております。
経営理念
①顧客価値の創造と顧客満足度の追求を図り、企業価値を高める。
②次代を拓くプロフェッショナル集団として、情報技術のリーディングカンパニーとなる。
③常に革新的企業文化風土を維持、継続する。
この経営理念を具現化するために、次の5点を基本方針として事業を推進しております。
①法令の遵守及び社会規範に則った経営を実践し、ステークホルダーの信頼を得るとともに、事業の持続的発展を図る。
②高い品質のサービスを提供し、お客様にとって掛け替えのないパートナーとなる。
③社員一人ひとりのスキル向上を促進し、その技術力を結集して市場競争力を高める。
④ビジネスパートナー各社と相互理解に基づく協業体制を確立し、ともに健全な成長を継続する。
⑤社員一人ひとりが自ら考え、提案し、挑戦することにより、フィールドに変革をもたらす。
(2)中長期的な会社の経営戦略
「顧客価値の創造」を経営理念の柱として、お客様に真の価値あるサービスを提供できるようコアコンピテンシーの醸成と品質向上に取り組むとともに、ITサービスの構造的変化を先取りしたビジネス展開により新たな市場を開拓し、経営体質の強化と事業の継続的発展を図ってまいります。
①企業競争力の源泉である人材の育成を促進し、技術力向上とサービス体制の充実を図ることで、お客様満足度の更なる向上を目指します。
②的確な戦略ドメイン選択のもと新たなサービス事業分野に参入し、長期的成長のビジネス基盤を構築してまいります。また、既存ビジネス分野においては選択と集中により経営基盤の強化を図ってまいります。
③お客様からの要請に対して迅速な対応を実現するため経営資源の一部を外部に求める必要があります。当社では優良なビジネスパートナー会社の確保に注力しておりますが、今後は各社との協業の仕組みを抜本的に改善し、市場競争力の強化につなげてまいります。
このような戦略方針のもと、当社グループは「中期経営計画(VISION2023)」を策定し、パッケージベースSI・サービスを中心とする成長力の高い事業ドメインの開拓、事業構造の集中と選択、DXを中心とした新デジタル技術への取り組みを成長戦略として推進してまいります。
(3)目標とする経営指標
当社の主な成長性・収益性の財務的な指標として、売上高増加率、売上総利益率、営業利益率、営業利益増加率に加え、従業員一人当たり売上高、従業員一人当たり売上総利益率などを掲げております。
(4)対処すべき課題
当社グループは、2021年度を初年度とし2023年度を最終年度とした「中期経営計画(VISION2023)」を策定し推進しております。
〔重点戦略項目〕
・積極的なM&Aの推進
・業務提携先との更なる連携強化
・DX(デジタルトランスフォーメーション)ビジネスの推進
・直ユーザ取引拡大と得意分野の更なる強化
・既存SI分野の更なる売上拡大
この重点戦略項目に注力し、中期経営計画(VISION2023)の達成に向け対処すべき課題に取り組んでまいります。
①新たな成長分野への展開
技術革新が著しいITサービス業界において、常に顧客に満足していただけるサービスを提供していくために、既存技術の強化と並行して、新技術にも積極的にチャレンジしていくことが求められます。
ITサービス業界におきましては、クラウド化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進展しており、従来開発型ビジネスからサービス提供型ビジネスへの転換を迫られております。当社グループでは、DX推進本部を中心に新技術・高度技術への対応力強化のため、ローコード開発やアジャイル開発等の新デジタル技術人材の技術習得の推進を行い、新たに求められるスキルを身に着けるリスキリングを強化しております。またクラウド化の進展については、クラウドビジネス室を中心に技術者の資格取得によりクラウド技術習得の推進を行っております。これらを積極的に取り組むことで、新分野での受注拡大を図ってまいります。
②優秀な人材の確保
当社グループの属するITサービス業界は技術が急速に進歩しているため、常に最新技術への対応が求められます。この要求に応えられる優秀な人材こそが最も大切な財産であると考えております。
当社グループでは、優秀な人材を確保するために採用選考基準を明確化して、新卒採用、キャリア採用を問わず積極的な採用活動を行っております。
今後も優秀でポテンシャルの高い人材の確保に積極的に取り組んでまいります。
③人材育成の強化
当社グループの継続的事業展開と発展のためには、変化が著しいITサービス業界に対応できる市場価値の高い人材を継続的に育成していく必要があり、高度な専門技術を持った人材の育成が最重要課題と認識しております。
人材育成の強化については、人財開発センターを中心に、新入社員、第2新卒に対しては入社後3カ月間かけて基礎技術研修、資格取得を行っております。技術者に対しては、テクニカルスキルとマネジメントスキルの両面から体系的な教育システムを構築してバランスに配慮したスキル強化を図り、IT系資格のみならず顧客の理解を深めるため業務系資格の取得も推進しております。
④プロジェクトマネジメント力の強化
顧客との取引を拡大し適正な利益を確保するためには、プロジェクトマネジャー(※)一人ひとりのマネジメント能力を更に強化するとともに、プロジェクトマネジメントができる技術者を拡充していくことが重要な課題であります。
特に、プロジェクトマネジャー指向の技術者に対しては、プロジェクトマネジメントに関する国際資格であるプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)資格(認定機関:米国 Project Management Institute,Inc.)を取得させることとして、プロジェクトマネジメント力の強化に努めております。
(※)プロジェクトマネジャーは、プロジェクトの計画、遂行に責任を負うプロジェクトの管理者のことを言います。
⑤品質の向上と安定的な収益確保
ICT(※)が普及し、ITの戦略的価値が増大する中、顧客のシステム開発に対する要求水準は年々高まっており、当社グループの差別化戦略はより一層重要なものとなってきております。顧客と安定した取引を継続し更に発展させていくためには、顧客に満足していただけるシステムの品質が重要であると認識しております。
当社グループでは、技術者の技術力向上、プロジェクトマネジメント力の強化はもとより、全社横断的に品質を確保し、向上させるためのPMOを中心としたプロジェクト支援体制の強化に取り組むことで、更なる品質の向上に努めてまいります。
また、安定的な収益を確保することが課題となっております。安定的な収益を確保するためには、不採算プロジェクトを発生させないことが特に重要であり、プロジェクトマネジメント力と品質の向上が不可欠であります。プロジェクト支援推進部による組織的なリスク管理の強化、開発標準プロセスの継続的な整備、プロジェクト管理支援、社員教育の強化を行い、安定的な収益確保に取り組んでまいります。
(※)ICT(Information and Communication Technology)とは「情報通信技術」の略であり、IT(Information Technology)とほぼ同義の意味を持ちますが、従来のITの意味するコンピュータ技術に加えて、それを使ったコミュニケーションを強調した表現であります。
⑥グループシナジーの追求
2022年3月期に株式取得による企業結合を行い連結会社となり、さらに2022年4月1日付で株式取得により、新たに1社グループに加えました。グループ各社がもつ技術・ノウハウを活用した共同開発、営業力強化の推進を行い、より付加価値の高い次世代サービスの提供等、グループ全体としてのシナジー効果の追求を行うことで競争力の強化を図ってまいります。
⑦サステナビリティへの取り組み
国連が提唱する「持続可能な2030年までの開発目標(SDGs)」に対し、当社グループは優秀な技術者集団による高品質で安心・安全な社会インフラを支えるシステムソリューションの提供を通じてSDGsの目標達成に貢献し、社員一人ひとりが健康で生き生きと働くことができる職場づくりを目指します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社の経営理念を実現するためのコーポレート・ガバナンスの強化として、社外取締役及び社外監査役の招聘による取締役会の監督機能の強化及び内部統制システムによる業務執行の有効性、違法性のチェック・管理を通して、経営の効率化、組織の健全化に取り組むとともに、経営の透明性を高めるために、株主や投資家に対して決算や経営政策の迅速かつ正確な公表や開示に取り組んでおります。当社のコーポレート・ガバナンスの中にはサステナビリティに関する取り組みも含まれております。コーポレート・ガバナンスの状況については、「
(2)戦略
①人材育成
当社は、創業母体が学校法人である強みを活かした充実した教育体制の構築と人材育成への積極投資を基盤とし、IT系のみならず、金融や医療などの業務系資格を取得した優秀な社員を育成することで、様々な業種のお客様と同じ目線でのサービス提供が可能となります。当社は、社会インフラを支えるお客様へ最適なソリューションを提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
新入社員教育では、入社前研修として基本情報処理試験対策のe-ラーニングを受講するほか、入社後3ヶ月で社会人導入研修と基礎技術教育を実施し、この新入社員研修期間中には、オープンソースデータベースやJavaプログラミングに関するベンダ資格にチャレンジさせております。また新入社員研修後は、配属先でのOJT 教育に移行し、先輩社員がトレーナーとなりサポートしております。
社員研修につきましては体系化されており、IT 系の技術研修、ヒューマンスキル研修、階層別研修、管理職研修、プロジェクトマネジメント研修、品質管理研修、資格取得対策研修、新技術勉強会など多岐にわたっております。更に、新デジタル技術を活用したローコード開発、アジャイル開発、クラウド系の技術習得を強化しております。
②人権・ダイバーシティ
当社は、社員に限らず、関係者の皆様の人権と個性を大切にするという企業方針に基づき、LGBTQ+や障がいのある方々等への合理的配慮、男女共同参画の推進等、すべての社員にとって働きやすい環境づくりを確立し、ダイバーシティ社会の実現に向け取り組んでまいります。
③健康経営
当社は、経営理念実現のために、社員の健康を重要な経営方針の一つであると捉え、ワークライフ・バランス推進等により、社員の健康の保持・増進と生産性向上を推進します。地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している法人として「健康経営優良法人」の認定を取得しております。
④ビジネスパートナーとの連携
当社は、長年の実績と技術力が評価され、特定技術に強いパートナーとの強固な協力関係を築いてきました。また当社の協力会社(外注先)との間でコアパートナー制度を導入しており、事業計画の共有や教育研修の共同開催等、約30社のコアパートナーと連携して協力関係を強化しております。
⑤品質・セキュリティ
当社は、個人情報をはじめとする情報漏洩の企業リスクの増加、ビジネス展開のスピードの加速、顧客ニーズの高度化等を背景に、品質・セキュリティ面で信頼される企業としての評価を受けることが不可欠であるとの認識に立ち、個人情報のセキュリティ対策、マネジメントシステムの品質管理、情報セキュリティマネジメントシステムの適正な運用により、社会から持続的に信頼される企業を目指します。取得済みの認証は次の通りであります。
・プライバシーマーク
・ISO9001(品質マネジメントシステム)
・ISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム)
⑥気候変動対策
日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、2030年度の温室効果ガスの削減目標を表明しました。当社におきましても政府の方針に基づき、社会の一員として気候変動対策に取り組んでまいります。当年度は2020年度~2022年度における当社事業所の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を算定・把握いたしました。今後も継続してモニタリングするとともに、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを検討してまいります。
(3)リスク管理
リスク管理を体系的に規定する「リスク管理規程」を定め、全社のリスクに関する統括責任者としてリスク管理担当役員を設置し、リスク管理担当役員を補佐するためにリスク管理担当部長を任命しております。リスク管理担当役員は、「リスク管理規程」に基づいてあらかじめ具体的なリスクを識別・分析・評価し、その対応方針を定め、また有事の際の迅速かつ適切な情報伝達と緊急体制を整備します。また全社及び各部署のリスク管理の状況をモニタリングし、リスク管理に関する事項を定期的に取締役会に報告しております。リスク管理の状況については、「
(4)指標及び目標
①人的資本
2023年3月31日現在
|
項目 |
IT系資格保有者数 (人) |
業務系資格保有者数 (人) |
平均保有資格数 (資格/人) |
|
資格関連数(延べ) |
1,886 |
262 |
3.82 |
(注)資格関連指標については、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、当社単体の指標を記載しております。
その他の人的資本に関する実績は、「
②温室効果ガス排出量
|
スコープ区分 |
2020年度 (t-CO2) |
2021年度 (t-CO2) |
2022年度 (t-CO2) |
|
スコープ1+2 |
95 |
96 |
105 |
(注)1.対象事業所は本社と関西事業所であります。
2.当社グループの経営効率向上と環境負荷低減を目的とし、株式取得後に子会社と当社の事業所集約を実施しました。子会社の温室効果ガス排出量は事業所集約後の排出量のみ含まれております。子会社の事業所集約時期は次の通りであります。
・株式会社インフリー:2021年7月
・株式会社テクニゲート:2022年12月
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なものとしては、以下の内容が挙げられます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)景気変動によるリスク
当社グループが提供するシステムソリューションサービスは、景気の影響を受けやすい傾向にあります。顧客企業における、景気悪化にともなう設備投資の縮小や製品開発の遅れ、事業縮小、システム開発の内製化等により、当社が提供するサービス領域が縮小される可能性があります。
したがって、国内設備投資動向が悪化した場合及び当社の顧客が属する事業分野の市況が悪化した場合等には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)プロジェクト管理に関するリスク
システム開発においては、開発規模の大型化と顧客の要求の高度化、オープン化の進展によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます増大しております。さらには、顧客に提供するサービスや構築システムは、社会的にも重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されることにより、テスト段階以降のシステムエンジニアの負担が増加するケースが多く、時間の超過や健康問題につながる可能性があります。
これらに対し、当社グループでは品質改善推進部(※)が、顧客との契約のあり方を見直すとともに、商談発生時からプロジェクトの進行監視を通じてリスク管理を行っておりますが、不採算プロジェクトが発生した場合には、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(※)品質改善推進部は、プロジェクトの品質管理とプロセスの標準化を推進しております。
(3)顧客情報等漏洩のリスク
当社グループは、顧客の情報システムの構築、保守並びに運用にあたり、個人や顧客情報を含んだ情報資産を取り扱っております。また、コンピュータウイルスや不正アクセス等のサイバー攻撃により、セキュリティ事故やシステム障害が発生する可能性が高まっています。当社グループでは、このような情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクを回避するために、様々な対策を講じております。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得やプライバシーマークの認定取得はもとより、各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ推進委員会を設置し、従業員教育、各種ソフトウェアの監視、情報資産へのアクセス証跡の記録など各種の情報セキュリティ対策を講じ、情報セキュリティ運営委員会にて、個人情報を含む重要な情報資産の管理を実施し、情報漏洩のリスクの回避を図っております。
しかし、万が一にも、当社グループ又はその協力会社(外注先)より情報の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜等により、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)クラウドコンピューティングへの新たな取り組みに関するリスク
クラウドコンピューティング市場は今後も成長が見込まれますが、クラウドコンピューティングは、ITの効率化を促進し、顧客のIT支出削減を推し進めることから、既存ITサービス市場の縮小を引き起こす可能性があります。
当社グループでは、既存ITサービス市場をマーケットとしたシステムインテグレーション・サービスの競争力強化に向けて技術者の育成と当社の得意分野における専門性の強化に取り組むと同時に、2011年3月期よりサービスを開始したクラウドコンピューティングサービスにおいても取引拡大を図り確実な競争力を持つべく注力しておりますが、これらへの対応が計画どおりに進まない場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)特定顧客依存に関するリスク
当社グループの売上高は、大口顧客である富士通株式会社からの売上高が2023年3月期において27.0%(富士通株式会社グループ全体では34.4%)を占めております。当該顧客は、外部環境等を考慮して営業政策を決定しており、これらの環境が大きく変動した場合、その営業政策を変更する場合があります。当社としましては、富士通株式会社グループのコアパートナーとしての連携強化に加えて、取引顧客基盤の一層の拡大等に努めておりますが、営業政策の変更により、当社グループの受注が大幅に減少した場合や受注条件が大幅に悪化した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)人材確保に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従いまして、優秀な技術者やシステムエンジニア、管理者等、必要とする人材を採用、育成することは当社グループにとって重要であり、これに対して積極的な新卒採用やキャリア採用の促進及び研修制度の充実、さらにはコアコンピテンシーの強化等各施策を実施しておりますが、このような人材を採用又は育成することができない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)ビジネスパートナー依存に関するリスク
生産性向上及び外部企業の持つ専門性の高いノウハウ活用等のため、システム開発を外部委託することがあります。当社グループにおきましても、システム開発における一部のプログラム作成業務を協力会社(外注先)に委託し、協力会社に所属するビジネスパートナーと協業しております。
協力会社への委託は、顧客要請への迅速な対応を実現し、受注の機会損失を防ぐことを目的としており、当社グループの受注拡大にはビジネスパートナーの確保及び良好な取引関係の維持が必要不可欠であります。
協力会社との関係をより強固なものにするためにコアパートナー制度等の各施策を実施しておりますが、2023年3月期における当社グループの製造費用に占める外注費の割合は55.9%となっており、協力会社との取引関係は当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)低付加価値分野でのオフショア開発の浸透によるリスク
顧客のシステム投資においては、顧客が付加価値の低い従来型の開発分野及び開発工程においては、一層の価格の引き下げを求める動きが強まっており、今後、差別化のされない付加価値の低い従来型の開発分野及び開発工程においては、オフショア開発への移行が増大すると予想されます。
当社グループでは、価格競争に左右されにくい安定した経営基盤を確立するため、当社グループが得意とする分野における専門性の強化と、最新技術への対応を継続して実施しており、顧客にとって付加価値の高いサービスを提供できる体制の強化に注力しておりますが、このような体制強化が計画どおりに進まない場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)業績の季節変動について
当社グループが提供するシステムソリューションサービスは、顧客のシステム投資予算並びに新製品開発予算の対象となる他、顧客企業の予算執行のタイミングや開発システムの工期との兼ね合いから、第2四半期連結会計期間及び第4四半期連結会計期間に売上計上が集中し営業利益が偏重する傾向があります。
なお、当社グループは納期管理を徹底しておりますが、顧客の都合等により検収時期が遅延し、計画通りに売上計上ができない場合があります。特に期末月の3月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当該期間での業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
|
|
第52期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
通期 |
|||||
|
|
|
上半期 |
|
|
下半期 |
|
|
|
第1四半期 |
第2四半期 |
|
第3四半期 |
第4四半期 |
|
|
|
|
売上高 (千円) |
2,031,924 |
2,431,591 |
4,463,516 |
2,187,163 |
2,945,760 |
5,132,924 |
9,596,440 |
|
構成比(%) |
21.2 |
25.3 |
46.5 |
22.8 |
30.7 |
53.5 |
100.0 |
|
営業利益 |
60,511 |
235,570 |
296,082 |
197,743 |
378,320 |
576,064 |
872,146 |
|
構成比(%) |
6.9 |
27.0 |
33.9 |
22.7 |
43.4 |
66.1 |
100.0 |
|
|
第53期連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
通期 |
|||||
|
|
|
上半期 |
|
|
下半期 |
|
|
|
第1四半期 |
第2四半期 |
|
第3四半期 |
第4四半期 |
|
|
|
|
売上高 (千円) |
2,440,829 |
2,963,259 |
5,404,088 |
2,745,317 |
3,429,534 |
6,174,851 |
11,578,940 |
|
構成比(%) |
21.0 |
25.6 |
46.7 |
23.7 |
29.6 |
53.3 |
100.0 |
|
営業利益 |
104,783 |
345,190 |
449,973 |
309,584 |
462,850 |
772,435 |
1,222,409 |
|
構成比(%) |
8.6 |
28.2 |
36.8 |
25.3 |
37.9 |
63.2 |
100.0 |
(10)法的規制について
当社グループでは顧客先に社員を派遣してシステム開発等を行う場合があります。
当社グループは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」を遵守し、労働者派遣事業者として監督官庁への必要な届出を行っております。
当社グループは上記の他法令等を遵守しておりますが、法的規制の変更があった場合、法令に違反した場合等、当社が的確に対応できなかった場合には、当社グループの事業活動が制限されるとともに、社会的な信用の失墜により当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)知的財産権について
当社グループが行うシステム開発等において、他社の所有する著作権及び特許権を侵害しないように充分に啓蒙活動を行い、常に注意を払って事業展開しておりますが、当社グループの認識の範囲外で他社の所有する著作権及び特許権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、多額の費用負担が生じたり、損害賠償請求を受けるなど、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(12)自然災害等に関するリスク
地震や風水害等の自然災害、火災等の事故、大規模なシステム障害、紛争・暴動・テロなどの人為的災害、感染症の流行など、外的な脅威が顕在化した際には、事務所・オフィスの確保、要員の確保、安全の確保等の観点から事業の継続に支障をきたす可能性があります。当社グループは、災害備蓄、安否確認システムの導入など事業継続のための体制整備を行っていますが、想定外の事態が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染対策と社会経済活動の両立を図るウィズコロナへの移行が進められ、各種政策効果もあり、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。一方で原材料・エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、欧米各国の金融引き締めによる世界的な景気後退懸念、物価上昇等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが属する情報サービス業界においては、引き続きデジタル技術を活用したビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)やクラウドサービスの利活用等の投資需要が依然として強く、堅調な状況が続いております。また、「標的型攻撃」に代表されるサイバー攻撃への防衛策等、情報セキュリティ対策の重要性も一層高まっております。
このような環境のもと当社グループでは、2022年4月より新たに子会社1社が加わり、2021年4月から2024年3月における中期経営計画「VISION2023」実現に向け、M&Aの推進、業務提携先との連携強化、DXビジネス推進、直ユーザ取引の拡大、得意分野の更なる強化に取り組み、企業価値の向上を目指してまいりました。特に事業構造の選択と集中により、高収益プロジェクトへのシフトについて、昨年度末より取り組みを強化してまいりました。さらに既存顧客とのパートナーシップの強化による領域の拡大及び顧客満足度の向上に努め、引き続きDX推進本部を中心とする、ローコード開発やアジャイル開発等の新デジタル分野に対応した人材育成の強化、クラウドシフトへの取り組みに注力し、開発要員の採用強化及びパートナー企業との更なる連携強化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は11,578,940千円(前年同期比20.7%増)となりました。利益面につきましては、関西事業所の移転、新たな子会社の取得による取得費用、のれん及び顧客関連資産の償却額等、経費が増額したものの、事業構造の選択と集中による高収益プロジェクトへのシフトが順調に進められた結果、営業利益は1,222,409千円(前年同期比40.2%増)、経常利益1,238,200千円(前年同期比40.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は772,096千円(前年同期比23.1%増)となりました。当連結会計年度においては、売上高・利益ともに二桁増加率を達成しております。
当社事業のサービスライン別の業績を示すと次のとおりであります。
|
事業のサービスライン |
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
|
システムインテグレーション・サービス |
6,345,058 |
113.0 |
|
インフラソリューション・サービス |
1,354,193 |
103.2 |
|
パッケージベースSI・サービス |
3,879,687 |
145.3 |
|
合計 |
11,578,940 |
120.7 |
(システムインテグレーション・サービス)
金融分野については、ネットバンク向け受託開発案件が順調に推移し、またクレジットカード分野における統合案件等による売上が大幅に増加したことにより前年を上回りました。また、産業・流通分野については引き続き、エネルギー関連分野向け受託開発案件、流通分野向け基幹システム構築案件等の売上が増加、公共分野については昨年度から続いている大型プロジェクト案件及び行政機関向けシステム開発案件の受注による売上が増加したこと等により大きく伸長しております。この結果、システムインテグレーション・サービス全体の売上高は6,345,058千円(前年同期比13.0%増)となりました。
内訳を業種別に示すと、次のとおりであります。
|
業種別 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
売上高(千円) |
売上高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
|
金融 |
2,619,968 |
2,725,234 |
43.0 |
104.0 |
|
(うち銀行) |
1,460,600 |
1,501,072 |
23.7 |
102.8 |
|
(うち保険・証券) |
275,307 |
221,084 |
3.5 |
80.3 |
|
(うちクレジットカード) |
884,059 |
1,003,077 |
15.8 |
113.5 |
|
産業・流通 |
2,154,070 |
2,668,145 |
42.1 |
123.9 |
|
公共 |
262,698 |
402,023 |
6.3 |
153.0 |
|
医療 |
576,614 |
549,655 |
8.7 |
95.3 |
|
計 |
5,613,352 |
6,345,058 |
100.0 |
113.0 |
(インフラソリューション・サービス)
当社におけるDX推進の中心であるクラウド開発案件の受注が大きく増加し、また半導体不足の影響も緩和されてきており、産業・流通向け基盤構築・導入案件の受注が増加したことにより、売上高は1,354,193千円(前年同期比3.2%増)となりました。
(パッケージベースSI・サービス)
当社におけるDX推進の中心であるクラウド分野のSalesforce関連の導入支援及びアドオン開発の全社展開における大型案件獲得、金融業向け開発案件の受注拡大等により売上が大きく伸長致しました。また、子会社インフリー社での中心ビジネスであるSAP関連の導入支援及びアドオン開発の売上も大規模プロジェクトの受注により大きく増加しております。さらに子会社テクニゲート社(旧社名:株式会社NESCO SUPER SOLUTION)が展開する会計パッケージの導入支援、保守及びアドオン開発等の売上が今年度より新たに加わった結果、パッケージベースSI・サービス全体の売上高は3,879,687千円(前年同期比45.3%増)と売上が大きく増加いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,934,265千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は981,624千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額1,238,200千円、減価償却費の計上額112,146千円、のれん償却費の計上額71,814千円、仕入債務の増加額58,355千円、棚卸資産の減少額27,089千円、退職給付に係る負債の増加額13,639千円、賞与引当金及び役員賞与引当金の増加額109,195千円、その他流動負債の増加額29,194千円等の資金の増加と、売上債権の増加額141,794千円、契約負債の減少額21,729千円、受注損失引当金の減少額59,000千円、その他流動資産の増加額10,251千円、法人税等の支払額443,891千円等の資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は644,367千円となりました。これは主に、短期貸付金の回収による増加額330,016千円の資金の増加と、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出790,825千円、有形及び無形固定資産の取得による支出149,956千円、保証金の差入による支出24,971千円等の資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は286,553千円となりました。これは株式の発行による収入3,128千円の資金の増加と、配当金の支払額287,263千円、自己株式の取得による支出2,418千円の資金の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、システムソリューションサービス及びこれらの付随業務の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の状況については、サービスライン別に示しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。
|
事業のサービスライン |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
システムインテグレーション・サービス |
(千円) |
5,146,487 |
112.8 |
|
インフラソリューション・サービス |
(千円) |
1,078,384 |
94.5 |
|
パッケージベースSI・サービス |
(千円) |
2,959,420 |
147.1 |
|
合計 |
(千円) |
9,184,290 |
119.1 |
(注)1.金額は製造費用によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。
|
事業のサービスライン |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||||
|
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
||
|
システムインテグレーション・サービス |
(千円) |
6,487,946 |
110.6 |
1,377,095 |
112.1 |
|
インフラソリューション・サービス |
(千円) |
1,339,864 |
101.0 |
280,471 |
95.1 |
|
パッケージベースSI・サービス |
(千円) |
4,211,598 |
155.8 |
778,139 |
214.6 |
|
合計 |
(千円) |
12,039,408 |
121.7 |
2,435,705 |
129.1 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。
|
事業のサービスライン |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
システムインテグレーション・サービス |
(千円) |
6,345,058 |
113.0 |
|
インフラソリューション・サービス |
(千円) |
1,354,193 |
103.2 |
|
パッケージベースSI・サービス |
(千円) |
3,879,687 |
145.3 |
|
合計 |
(千円) |
11,578,940 |
120.7 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
富士通株式会社 |
2,582,658 |
26.9 |
3,130,928 |
27.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は7,502,777千円となり、前連結会計年度末と比較して1,002,696千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が156,106千円増加、売掛金及び契約資産が221,365千円増加、前払費用が37,864千円増加、その他の流動資産が17,801千円増加、有形固定資産が48,494千円増加、無形固定資産におけるソフトウェア及びソフトウェア仮勘定が66,843千円、のれんが230,875千円、顧客関連資産が305,100千円増加、差入保証金が15,178千円増加、繰延税金資産が18,360千円増加した一方、システム開発の進捗により仕掛品が16,406千円減少、有価証券が100,000千円減少したことによるものであります。また、負債合計は2,637,048千円となり、前連結会計年度末と比較して503,618千円の増加となりました。これは主に、買掛金が101,453千円増加、未払金が15,442千円増加、未払費用が24,643千円増加、未払法人税等及び未払消費税等が55,129千円増加、契約負債が135,997千円増加、賞与引当金及び役員賞与引当金が109,195千円増加、退職給付に係る負債が28,836千円増加、繰延税金負債が86,637千円増加した一方、受注損失引当金が59,000千円減少したことによるものであります。
純資産合計は4,865,729千円となり、前連結会計年度末と比較して499,077千円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が484,833千円増加、非支配株主持分が15,031千円増加したことによるものであります。
以上により、自己資本比率は64.65%となりました。
b.経営成績
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上高は11,578,940千円(前年比120.7%)と大きく伸長しました。主な要因としては、1点目は2022年4月より新たな子会社1社が加わったことによる売上増加であります。2点目は前年度後半から事業構造の選択と集中による高収益プロジェクトへのシフトが順調に推移したことです。このことによって全てのサービスラインが前年を超えることができました。
サービスライン別の状況は、まず当社事業の中核であるシステムインテグレーション・サービスは、ネットバンクを中心とした金融分野の売上について、大型プロジェクトの収束等により減収となりましたが、産業・流通分野においては通信業向けシステム開発案件の売上が増加、流通分野のシステム開発案件の売上が増加、エネルギー関連のシステム開発案件の増加、公共分野の新規大型案件の受注獲得による売上が増加した結果、売上高は6,345,058千円(前期比113.0%)となりました。
次に、インフラソリューション・サービスにおいては、クラウドビジネス人材の育成を中心に事業を展開しましたが、半導体不足によりプロジェクトの延伸や中断が発生し、文教分野の基盤構築案件の縮小の結果、売上高は1,354,193千円(前期比103.2%)となりました。
最後に当社のDX推進の中心であるパッケージベースSI・サービスにおいて、当社におけるクラウドビジネスの中心であるSalesforceビジネス関連においては、昨年度からの複数事業部での展開による開発案件の受注が大きく増加しました。また子会社インフリーが展開するSAP案件について、当社の相乗効果による開発案件の受注が増加しました。これらの結果により売上高は3,879,687千円(前期比145.3%)と、大きく成長することができました。
当連結会計年度の売上原価につきましては9,073,132千円(前年比116.8%)となりました。これは不採算プロジェクトの収束対応に伴う人件費が増加、DX推進本部における将来の新デジタル分野の人材育成に伴う教育研修費及び人件費が増加いたしましたが、コロナ禍の活動自粛に伴う会議費・交際費の減少、リモートワークによる旅費交通費の減少等による経費減少、低利益率プロジェクトの構造改革に伴う事業構造の集中と選択を行った結果、原価率は78.4%(前年比2.6ポイント減)となり、当連結会計年度の売上総利益は2,505,808千円(前年比137.1%)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,283,398千円(前年比134.4%)となりました。その主な要因は、企業結合により取得費用61,349千円、のれん償却額及び顧客関連資産償却額121,714千円計上したことによるものであります。
その結果、営業利益は1,222,409千円(前年比140.2%)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は21,097千円(前年比193.7%)となりました。これは業務受託料8,637千円、助成金収入9,526千円、受取配当金1,886千円等によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は5,305千円(前期比156.2%)となりました。これは関西事業所移転に伴う固定資産除却損4,392千円、支払利息824千円によるものであります。
その結果、経常利益は1,238,200千円(前期比140.8%)となりました。
(当期純利益)
以上の結果より、親会社株主に帰属する当期純利益は772,096千円(前期比123.1%)となりました。
c.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
新型コロナウイルス感染症の感染対策と社会経済活動の両立を図るウィズコロナへの移行が進められ、各種政策効果もあり、景気に持ち直しの動きが見受けられます。しかしながら原材料・エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、欧米各国の金融引き締めによる世界的な景気後退懸念、物価上昇等、景気の先行きは不透明な状況が続くものと思われます。
情報サービス業界におきましては、先端技術の普及や業務効率化ニーズの高まり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展、サイバーセキュリティ対策の需要増加、クラウド化の進展、IoT(Internet of Things)、フィンテック(金融サービスのITイノベーション)、AI(人工知能)、RPA(ロボットによる業務自動化)等のITを利用した生産性向上や省人化・自動化による労働力不足への対応等、中長期的にはIT投資は引き続き拡大すると想定しております。
その一方で、当業界では業者間の受注競争の激化に加え、パートナー企業を含む開発要員獲得の面で非常に厳しい経営環境が続いており、依然として人材確保と育成が経営課題の最重要課題となっております。
このような状況の中で当社は、2021年4月から2024年3月における中期経営計画「VISION2023」実現に向け、M&Aの推進、業務提携先との連携強化、DXビジネス推進、直ユーザ取引の拡大、得意分野の更なる強化に取り組み、企業価値の向上を目指しております。2023年3月期においては、事業構造の集中と選択、Salesforceビジネス推進室を中心したパッケージ導入支援、アドオン開発の全社展開の推進に注力し、事業拡大いたしました。今後も、技術革新が急速に進む情報サービス業界において常にお客様に満足していただけるサービスを提供していくため、既存技術の強化とともにクラウドビジネスやパッケージベースSIサービスを中心とする成長力の高い事業ドメインの開拓、事業構造の集中と選択、直ユーザ取引の拡大に積極的に取り組み、長期的な成長につながるビジネス基盤の構築に引き続き注力してまいります。
また、これらの成長を実現するため、DX推進本部を中心としたローコード開発やアジャイル開発等の新デジタル技術人材の育成強化、クラウドシフトの取り組み強化等、引き続き戦略投資を進めていく方針であります。
一方、継続的に発生している不採算プロジェクトに鑑み、不採算プロジェクト発生を防ぐべく、開発プロジェクトのマネジメント意識を高めるとともに、PMO要員によるプロジェクト監視をさらに強化し、生産性の向上、経営効率化による基盤強化に向けた取り組みを一層加速し、利益率の向上を目指してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況・分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動に伴い売掛金回収までの運転資金を主たる資金の需要としておりますが、金融機関からの借入金により、必要とする十分な資金を調達しております。なお当連結会計年度においては、引き続き慎重かつ保守的な財務活動にあたる方針としたことから当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は2,934,265千円となり、比較的厚めの資金ポジションをとっております。当連結会計年度末における資金は資産合計の39.1%を占めており、また流動比率は304.9%であることから十分な流動性を確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりであります。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。