文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、ビッグデータ処理、人工知能、金融工学の3つのコアテクノロジーを軸に「情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにして、愉快なる未来を創る」というミッションのもと、発想力と技術力を磨き、新しい事業を次々生み出すべく、尽力してまいります。
当社グループは、「最先端のデータサイエンスとビッグデータを駆使してクライアントのデジタルマーケティング領域の課題を解決する総合デジタルマーケティングテクノロジー企業」となることを目指す姿として掲げております。
この目指す姿を実現するために、ソニーグループの経営資源を活用しながら、長年にわたって培ってきたコア・ケイパビリティを軸として、「デジタル広告配信領域」「デジタルマーケティング支援領域」「企業のデータ活用支援領域」「成長エンジン創造領域」へと事業領域を拡張し、成長を遂げていくという事業構造を目指します。
これらの事業領域を有機的に組み合わせ、高度なターゲティングやデータ分析を駆使したデジタルマーケティング支援により、広告主企業の売上拡大やブランド価値向上に貢献するとともに、蓄積されたビッグデータとAI技術を組み合わせて、広告主の経営課題をデジタル領域から包括的に支援してまいります。広告主の課題解決に貢献するための高度かつ多角的な提供価値を確立し、その成果として当社自身も持続的な企業価値向上の実現を目指しております。
(2) 経営戦略等
目指す姿の実現への道筋を具体化するにあたり、次に掲げる三つの柱を中長期戦略の方向性の中心に据えております。
・事業毎の収益性・成長性の向上と総合シナジーの追求
・ソニーグループ連携の更なる深化
・成長を支える強靭な経営基盤の確立
目指す姿を実現するための中長期戦略は、成長戦略と基盤戦略の2層で形成しております。成長戦略と基盤戦略を横断する形でソニーグループとの連携深化を位置付けております。
持続的に企業価値を高め続けるため、成長戦略として、(1)経営方針で挙げた各事業領域について、事業毎の収益性・成長性の向上と総合シナジーの追求を掲げております。
基盤戦略として、サステナビリティ、人的資本、先端技術、財務という4つの観点から、成長を支える強靱な経営基盤の確立を目指しております。
(3) 経営環境
当社グループが事業を展開しているインターネット広告市場は、引き続き拡大を続けております。「2024年日本の広告費」(株式会社電通調べ)によると、2024年のインターネット広告費は、SNS上の縦型動画広告をはじめ、コネクテッドTVなどの動画広告需要の高まりなどが成長に寄与し、前年から9.6%増加して3兆6,517億円となりました。成長が見込まれるインターネット広告市場では、当社グループを取り巻く競争環境や市場環境が日々変化しております。当社グループは技術革新や市場の変化への対応、システムの強化、組織人事体制の構築等の経営課題に取り組むことで、経営環境の変化に対処していく方針であります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① アドテクノロジーの再成長
当社グループの中核事業であるアドテクノロジー事業は、市場環境の変化や技術革新の進展が著しい分野であり、継続的な競争優位性の維持・強化が不可欠であると認識しております。このような認識のもと、当社グループが持続的な成長を遂げるためには、「技術開発力の向上」、「商品ラインナップの拡充」、「営業体制の強化」を推進することで、獲得広告領域における既存の強みを一層伸長させるとともに、成長が期待されるブランド広告領域においても案件獲得を拡大させ、アドテクノロジー事業の成長加速を進めてまいります。
② 新規事業創造による事業領域の多角化(アドテクノロジー、デジタルハウスエージェンシーに次ぐ柱の育成)
当社グループが将来にわたり持続的な成長を達成するためには、既存のアドテクノロジー事業、デジタルハウスエージェンシー事業に次ぐ、新たな収益の柱を確立し、事業ポートフォリオの多角化を推進することが重要な課題であると認識しております。このため、当社グループの培ってきたコア・ケイパビリティと、ソニーグループが有する豊富な経営資源や技術力を効果的に融合させることにより、新たな顧客価値創造に繋がる新規事業の開発に積極的に取り組んでいく方針であります。現在、複数のプロジェクトについて検討を進めており、これらの事業化を通じて、事業領域の多角化を図り、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
③ 高収益体質への転換
当社グループの現在の利益水準は、依然として改善の途上にあり、持続的な成長と企業価値向上を実現するためには、高収益体質への転換が重要な経営課題であると認識しております。このため、全社的なコスト構造を徹底的に見直し最適化を図るとともに、各事業の収益力を抜本的に強化するための収益構造改革を推進していく方針であります。これらの取り組みを通じて、外部環境の変化に左右されにくい安定した収益基盤を構築し、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。
④ 人財資本の充実
当社グループが持続的な企業価値の向上を実現するためには、優秀かつ多様なバックグラウンドを持つ人財の確保と、その能力を最大限に発揮できる環境の整備が不可欠であると認識しております。採用においては、ダイレクトリクルーティングの利用や採用広報の強化を通じて採用チャネルの多様化と獲得能力の強化に取り組んでおります。これまでの取り組みにより、経営幹部層の人財の厚みが増しつつありますが、今後は特に、事業展開に不可欠な専門スキルを有するエンジニア人財や、将来の当社グループを牽引する中堅層の獲得・育成が喫緊の課題であると考えております。
このため、引き続き戦略的な採用活動を推進し、当社の成長に必要な専門性や資質を兼ね備えた人財の登用を進めるとともに、研修制度の拡充やキャリア開発支援といった教育体制の整備を一層強化し、人財の定着促進と組織全体の能力向上に取り組んでいく方針であります。
(5) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは継続的な成長を目指しており、重要視している経営指標は、売上高及び営業利益であります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
■サステナビリティ情報全般に関する開示
(1)ガバナンス
「当社グループは、サステナビリティ経営を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。
・取締役会の指導・監督の下、サステナビリティ委員会を組織し、コーポレート担当執行役員を委員長としてサステナビリティに関する取組状況や目標の達成状況の報告を受け、モニタリングします。また、取締役会は、新たに設定した対応策や目標を監督します。
・当社グループのコーポレート部門は、サステナビリティ委員会の事務局を担当するとともに、サステナビリティ経営に係る企画・立案及び管理を行い、全社的なサステナビリティ経営の推進を担い、サステナビリティ経営上の戦略を検討・立案し、サステナビリティ委員会に提言します。
・活動結果はサステナビリティ委員会の審議を経て、原則として年一回取締役会へ報告・付議します。
・監査等委員会はサステナビリティ委員会に対し、適宜助言を行います。
なお、一般にサステナビリティに関するものとして認識されるコーポレートガバナンスや腐敗防止、贈収賄防止、人権の尊重などの事項に関して当社グループでは、サステナビリティ委員会と並列する位置づけのコンプライアンス委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、改善活動の進捗を含め、取締役会による監督を行っております。
また、コンプライアンス委員会で検討された事項のうちサステナビリティに関する事項は、サステナビリティ委員会に連携がなされます。
(2)戦略
①サステナビリティ基本方針の策定とマテリアリティの特定
当社グループは、サステナビリティ経営の推進にあたり、サステナビリティ基本方針を策定しております。また、サステナビリティが関連する当社グループの重大なマテリアリティに関して、サステナビリティ委員会による審議のもと以下のとおり設定いたしました。
a.環境(E)
環境負荷に配慮した事業活動
b.社会(S)
健全なインターネット広告市場の発展
技術力を有する人材の獲得/能力開発/キャリア形成支援の強化
発想力を有する人材の獲得/能力開発/キャリア形成支援の強化
ライフステージに応じた働き方を実現できる環境
ダイバーシティの尊重
c.ガバナンス(G)
コーポレートガバナンスの強化
倫理・コンプライアンスの徹底
②事業機会の創出と拡大
インターネット広告上のプライバシー保護にあたる、「ポスト3rd Party Cookie」への対応領域における広告主・消費者の関心は高く、広告主から、ポストCookie技術を担う施策に取り組むインターネット広告会社への需要はさらに増していく可能性があると考えています。
また、当社グループのコンプライアンス委員会が担当する腐敗防止、贈収賄防止、人権の尊重などの領域に関し、当社グループでは以前より、事業活動におけるコンプライアンス経営を進めていますが、広告主から、コンプライアンス施策に取り組むインターネット広告会社への需要はさらに増していく可能性があると考えています。
③人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、性別、国籍、新卒・中途など特定の属性に依存せず能力重視での採用活動を行うものであります。
当社グループが持続的な企業価値の向上を実現するためには、優秀かつ多様なバックグラウンドを持つ人財の確保と、その能力を最大限に発揮できる環境の整備が不可欠であると認識しております。採用においては、ダイレクトリクルーティングの利用や採用広報の強化を通じて採用チャネルの多様化と獲得能力の強化に取り組んでおります。これまでの取り組みにより、経営幹部層の人財の厚みが増しつつありますが、今後は特に、事業展開に不可欠な専門スキルを有するエンジニア人財や、将来の当社グループを牽引する中堅層の獲得・育成が喫緊の課題であると考えております。
このため、引き続き戦略的な採用活動を推進し、当社の成長に必要な専門性や資質を兼ね備えた人財の登用を進めるとともに、研修制度の拡充やキャリア開発支援といった教育体制の整備を一層強化し、人財の定着促進と組織全体の能力向上に取り組んでいく方針であります。
多様性の確保に向けた人材育成については、グレード・役割別の研修と職種別の研修を組み合わせることで、その実施を進めております。
(3)リスク管理
当社グループは、定期的に事業活動におけるリスクを検討・評価し、損失のリスク管理のための必要な体制 (リスクの発見・情報伝達・評価・対応の仕組みなど)の整備・運用に取り組んでいます。また、サステナビリティ委員長・コンプライアンス委員長は、自己の担当領域において、当社グループに損失を与えうるリスクを管理するために必要な体制の構築・維持を行う権限と責任を持ち、かかるリスク管理体制の整備・運用を推進しています。
さらに、かかる体制及びその運用状況については、定期的に取締役会がサステナビリティ委員会から報告を受け、その妥当性について確認しています。
一例として、当社グループは、インターネット広告業界に属することから、経済環境の悪化等による広告主の広告予算減少を重要リスクと認識しています。なお、サステナビリティ経営を構成する気候変動リスクその他のリスク(物理リスク・移行リスク)についても、今後、必要に応じて評価・分析を行っていきます。
(4)指標及び目標
当社では、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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(※)なお、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異に関する指標は記載を省略しております。
■気候変動問題に関する開示
当社グループは、インターネット広告サービスを主たる事業としており、現在において気候変動問題が当社事業に重大な影響を及ぼすことの評価が困難なため、TCFDに基づく定量的な開示等は行っておりません。
なお、環境に関する全般的な取り組みに関しては、当社ウェブサイトに開示しております。
https://www.so-netmedia.jp/ir/businesspolicy/?tabarea=tabArea&tab=2
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1) 事業環境に関するリスクについて
① インターネット広告市場について
当社グループのマーケティングテクノロジー事業は、インターネット広告市場を主たる事業対象としておりますが、広告業界においては、景気動向によって広告への支出を増減させる広告主が多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向にあります。また、インターネット広告業界においては、技術、顧客ニーズ及び競争が急速に変化することから、頻繁に新しい商品及びサービスの導入、新たな競争相手等が出現しており、当社グループにおいてもこれらの変化等に迅速に対応していく必要があります。
インターネット広告市場は、テレビ広告市場を上回るまでに成長しておりますが、今後これらの状況に変化が生じ、企業がインターネット広告への支出を削減する場合、また当社が急速な環境変化への対応が遅れる場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② プログラマティック広告取引について
当社グループのコアプロダクトであるDSP「Logicad(ロジカド)」は、プログラマティック(RTBによるインターネット)広告取引に特徴があります。プログラマティック広告は、広告の費用対効果を高め、効率的な広告出稿を実現するテクノロジーとして、国内の広告業界でも相応のシェアを占めるにいたりました。しかしながら、一部メディアでは従来の非プログラマティックな広告取引への回帰がみられるなど、その将来性はいまだ不透明な部分があることから、今後においてプログラマティック広告の普及及び利用が想定どおり推移しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について
当社グループは、ビッグデータ処理、人工知能、金融工学の専門家を採用し、開発チームとして組織することで、新技術の開発に積極的に取り組んでおります。しかしながら、何らかの理由により、当社グループにおいて急激な環境変化への対応が遅れた場合には、サービスの陳腐化、競争力低下等が生じる可能性があり、また、対応が可能であったとしても、追加の多大な費用や投資の負担が発生する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 競合について
当社グループのマーケティングテクノロジー事業における主な競争相手は、国内外において複数社存在しており、今後も競合他社による新規参入、市場環境の変化等により、競争が激化する可能性があります。また、競合他社の中には、当社グループに比べ強い財務基盤、広い顧客層及び高い知名度などを有している企業、当社グループにはないサービス及び商品を提供する企業があります。当社グループはプロダクトの競争力の源泉であるビッグデータ処理、人工知能、金融工学の3つをコアテクノロジーとして強化していくことで、競合他社と比較して競争力の高いプロダクトを継続して開発していく方針であります。しかしながら、競合先の営業方針、価格設定及び提供するサービス及び商品は、当社グループの属する市場に影響を与える可能性があり、これらの競合先に対し効果的な差異化を図れず、当社グループが想定している事業進展が図れない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 法的規制について
インターネット関連分野においては、インターネット上のプライバシー保護の観点からcookie(ウェブサイト閲覧者のコンピューターにインストールされ、ユーザーのウェブ閲覧履歴を監視するテキストファイル)に対する規制など、インターネット利用の普及に伴って法的規制の在り方等については検討が引き続き行われている状況にあります。このため、関係諸法令の改正の動向によっては新たな法令遵守体制の構築が必要とされる可能性があり、今後、当社の事業運営において何らかの法規制に関連する紛争が発生した場合には、その管轄地、準拠法を含め、当該紛争に関する法的判断を的確に予想することができず、当社が法的リスクを負担せざるを得ない状況となる恐れがあります。また、今後のインターネットに対する日本を含む各国の法規制のあり方次第では、当社グループの将来の事業展開が制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、知的財産権について、過去もしくは現時点において、当社グループが第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない特許等が成立した場合又は競合他社が特許等を取得した場合、その内容によっては競争の激化又は当社グループへの損害賠償やロイヤルティの支払請求、使用差止請求等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスクについて
① DSPにおける仕入先について
当社グループのコアプロダクトであるDSP「Logicad」は、取引形態の性質上、広告枠を提供するSSP事業者又はアドエクスチェンジ事業者からの広告枠の仕入が必要となります。当社においては、新規仕入先の開拓等の施策により、広告枠の確保に努めております。しかしながら、SSP事業者又はアドエクスチェンジ事業者の方針、事業戦略の転換等によって、取引が継続されず広告枠の仕入ができなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② DSPにおける販売先について
当社グループのコアプロダクトであるDSP「Logicad」の大部分は、広告代理店を経由し広告主へ販売されております。当社グループにおいては、勉強会の開催による当社プロダクトの紹介、新規広告代理店の開拓等の施策により、広告代理店との関係性強化に努めております。しかしながら、主要広告代理店の販売状況や経営環境に変化が生じた場合、もしくは主要広告代理店が他の競合サービスの取り扱いを増やした場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 季節変動について
当社グループのアドテクノロジーの売上は、広告主の広告予算により構成されるため、広告主による月ごとの予算配分に影響を受け、1~3月に集中する傾向にあります。このため、安定的に月次業績が推移する業種に比べ、売上及び利益の変動が起こりやすく、大きく下振れ幅が顕著な場合には当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
④ 新規サービスについて
当社グループは、アドテクノロジー及びマーケティングソリューション以外の新規サービスへ取り組んでおりますが、これによる人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、当初の予測とは異なる状況が発生し、新サービスの展開が計画どおり進まない場合、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 海外企業との取引及び海外展開について
当社グループでは、DSP「Logicad」において海外の企業と取引を行っております。これらの取引は、国際政治にかかわるリスク、地域特性によるリスクや為替変動によるリスクがあり、こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
海外子会社の財務諸表は原則として現地通貨で作成後、連結財務諸表作成のため円換算されております。したがって、決算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) システム等に関するリスクについて
当社グループのコアプロダクトであるDSP「Logicad」は、利用しているサーバーの全てについて、24時間、365日の管理体制を敷いています。これらサーバーについては、重要性に鑑み、原則として二重化する等の不慮の事故への対策を講じています。しかしながら、不可抗力による緊急事態又は偶発事故の発生、行政もしくは司法当局による規制、地震、火災、洪水その他の自然災害や、十分な電気もしくは他のエネルギーの不足又は取得不能による停電、ソフトウエア又はハードウエアの故障や致命的欠陥、コンピュータウイルスやネットワークへの不正侵入、サービス提供妨害その他の破壊的行為、その他当社に通信回線を提供している電気通信事業者の行為等(以上の事象を含むがこれらに限定されるものではない)により、通信回線が提供されない、通信回線及びサーバーが使用不能となる、復旧まで多大の時間と労力を要する、又は復旧の目処が立たず、サービスの再開が不可能になる等の可能性があり、これらの場合には当社グループの経営、事業の継続性等に重大な影響を及ぼす可能性があります。この場合、当社グループの信用が毀損し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 事業運営体制に関するリスクについて
① 小規模組織について
当社グループは小規模組織であることから、代表取締役を含む役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している役職員が、経営方針や事業戦略の決定、技術的な判断・遂行において重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会や事業執行会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図っており、特定人物に過度に集中しない体制整備を進めておりますが、これらの役職員が何らかの理由により退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 人材の確保及び育成について
当社グループの事業展開においては、技術力を持つ人員のみならず、サービスの販売、運用調整を行う人員も重要な役割を果たしています。技術開発人員において創造性、技術力、サービス販売・運用人員において営業力、運用力、実行力、管理部門強化のために管理能力等様々な能力を有する人材を確保する必要がありますが、インターネット関連ビジネスにおいては人材の流動性が高いため、今後必要な人材を十分に確保できない恐れがあります。当社グループは人材の採用、育成に努め、また一部業務の外注化やシステム化等の業務内容の効率化に取り組みますが、必要な人材を十分に採用、育成できなかった場合には、当社グループの将来の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について
当社グループは、当社グループの企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を図る多様な施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
(5) その他
① 配当政策について
当社グループは、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。現在当社グループは成長過程にあると認識しており、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大をめざすことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がるものと考えております。将来的には各期の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案したうえで株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
② M&A及び資本業務提携について
当社グループは、同業他社等に対するM&Aや資本業務提携を実施することにより当社グループの事業を補完・強化することが可能であると考えており、出資及びM&Aを積極的に検討してまいります。その際、対象企業や事業の財務、税務、法務、ビジネス等について詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定のために必要かつ十分と考えられる情報収集、精査、検討をすることにより、可能な限りリスク回避に努めておりますが、出資及びM&A後において、当社グループが認識していない問題が明らかとなった場合や、市場環境や競合状況の変化及び何らかの事由により事業展開が計画どおりに進まない場合、対象企業の株式価値や譲り受けた事業資産の減損処理を行う必要が生じるなど、当社グループの業績や財務状態に影響を与える可能性があります。
③ 繰越欠損金について
当社は、税務上の繰越欠損金を有しております。これは法人税負担の軽減効果があり、今後とも当該繰越欠損金の繰越期間の使用制限範囲内においては納税額の減少により、キャッシュ・フロー改善に貢献することとなります。しかしながら、当社の業績が順調に推移することで繰越欠損金の控除限度額を上回る課税所得が発生した場合には、所定の税率にもとづく法人税等の納税負担が発生するため、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) ソニーグループとの関係について
① ソニーグループ内における当社の位置づけについて
当社グループはソニーグループ株式会社を中心とした企業集団に属しております。ソニーグループ株式会社の完全子会社であるソニー株式会社の完全子会社(ソニーグループ株式会社の完全孫会社)として当社株式を直接保有する親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は「エンタテインメント・テクノロジー&サービス」セグメント(提出日現在)に区分され、当社グループはその中においてインターネット関連サービスを展開する企業集団として位置付けられております。
ソニーグループ内においては、インターネット関連サービスを展開する企業は他にも存在しますが、当社グループは主にRTBを活用したDSPを広告主及び広告代理店向けに提供する事業を国内において展開しており、これらの企業との事業及び展開地域における競合は生じておりません。
これらのことから、当社グループ事業に係るソニーグループ内における競合は生じておらず、また現時点では今後発生する予定はないものと認識しておりますが、将来的にソニーグループの経営方針に変更が生じた場合等には、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
② ソニーグループとの取引及び取引条件について
ソニーグループ内において、ソニーグループ株式会社の完全孫会社であり当社株式を直接保有する親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社とは、当社グループのアドテクノロジーにおいて通信サービスとの広告宣伝取引を行っております。当該取引にあたっては、当社の利益を害することのないよう、他の広告主と同等の取引条件としております。
③ ソニーグループとの人的関係について
本書提出日現在、当社取締役6名のうち、当社グループの親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の業務執行者1名を選任しています。兼任している役員は以下のとおりであります。
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当社における役職 |
氏名 |
兼務先における役職 |
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取締役(非常勤) |
中川 典宜 |
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 代表取締役 執行役員社長 |
※当社は、2025年6月23日開催予定の定時株主総会の第1号議案(決議事項)として「取締役3名選任の件」を提案しており、当該議案が承認可決されると、当社の兼任役員は以下のとおりとなります。
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当社における役職 |
氏名 |
兼務先における役職 |
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取締役(非常勤) |
小笠原 康貴 |
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社法人サービス事業部長 ソニービズネットワークス株式会社取締役 |
また、当社グループの事業展開においては、創造性、技術力、実行力、管理能力等様々な能力を有する人材を確保する必要があります。しかしながら、インターネット関連ビジネスにおいては人材の流動性が高いため、優秀な人材を適時に採用することは容易ではありません。そのため、当社グループではソニーグループの人的資源を活用し、経営体質の強化と事業の拡大に資するため、これまで出向者を受け入れてきました。なお、現在、当社グループの各部門を統括し、承認権限を持つ者は、原則としてソニーグループ各社から当社に転籍しています。
なお、当社グループに対するソニーグループの出資比率が変更された場合には、これらの人的関係が変動する可能性があります。
④ ソニーグループとの資本的関係について
当連結会計年度末現在において、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は当社株式7,861,200株(当社議決権比率の53.89%)を保有しており、当社グループはソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の子会社となっております。ソニーグループにおいて、その出資比率は、直接保有、間接保有分を含め、当面過半数が維持される見込みです。しかしながら、何らかの理由によりソニーグループの出資比率が過半数を下回った場合、後記「5 重要な契約等」に記載のとおり、特許権においてソニーグループ株式会社の保有する広範な特許資産を利用することができなくなる可能性があり、他社の特許侵害回避や訴訟等への対応で費用が発生し、当社グループの業績や財務状態に影響を与える可能性があります。一方で、ソニーグループの評判が何らかの理由で著しく損なわれた場合、それが当社グループに起因するものでない場合にも、当社グループの業績や財務状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループが事業を展開しているインターネット広告市場は、引き続き拡大を続けています。「2024年日本の広告費」(株式会社電通調べ)によると、2024年のインターネット広告費は、SNS上の縦型動画広告をはじめ、コネクテッドTVなどの動画広告需要の高まりなどが成長に寄与し、前年から9.6%増加して3兆6,517億円となりました。
このような経営環境のもと、当社グループは、「情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにして、愉快なる未来を創る」というミッションのもと、2025年3月期は「最先端のデータサイエンスとビッグデータを駆使してクライアントのデジタルマーケティング領域の課題を解決する総合デジタルマーケティングテクノロジー企業」となることを目指す姿として掲げ、目指す姿の実現に向けて、ソニーグループとの連携を強化させつつ3つの取り組みを進めています。1つ目は3つの構造改革である「中核事業改革」「事業ポートフォリオの再定義」「収益構造改革」の推進による成長性と収益性の向上、2つ目はソニーグループ連携の更なる深化と新規事業創造による成長、3つ目は成長を支える強靭な経営基盤の確立です。
当連結会計年度は、売上高においては、アドテクノロジーの増収により、当連結会計年度では増収となりました。営業利益、経常利益は、アドテクノロジー、マーケティングソリューション、デジタルソリューションに属する既存事業の回復により増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益、経常利益の黒字幅の増加及び連結子会社であったルビー・グループ株式会社の株式譲渡による影響で増益となり、2020年3月期以来5期ぶりに当期純利益黒字化を達成しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ711,950千円減少し、5,963,039千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ992,003千円減少し、1,982,929千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ280,052千円増加し、3,980,110千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は11,640,954千円(前期比24.7%増)、営業利益は239,156千円(前期比134.0%増)、経常利益は165,299千円(前期比72.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は291,745千円となりました。
当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントでありますが、取扱いサービス別の売上高の概況は次のとおりであります。
1.アドテクノロジー
広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォームであるDSP「Logicad」の提供を行っております。また、今期より広告主のデジタル広告・デジタルマーケティングを総合的に支援するデジタルハウスエージェンシーの提供を開始しています。当連結会計年度は、取り組んできた営業力強化や商品力強化の各施策が奏功したことによる業績回復に加え、デジタルハウスエージェンシーの想定を上回る立ち上がり等の影響により、アドテクノロジーの売上は前期比46.9%増の9,767,770千円となりました。
2.マーケティングソリューション
広告主と媒体を限定したクローズド型アフィリエイト「SCAN(スキャン)」の提供を行っています。当連結会計年度は、広告主及び媒体運営業者の開拓に努めましたが、ASP領域の競争環境激化による一部カテゴリでの販売不調の影響等により、マーケティングソリューションの売上は前期比40.0%減の493,260千円となりました。
3.デジタルソリューション
連結子会社の株式会社ASAではWebサイト、モバイル(Webアプリケーションなど)をはじめとするデジタルコンテンツの制作及び開発を行っています。SMN株式会社では全国各地のテレビCMメタデータの販売などのプロモーション関連領域のサービスを提供しています。連結子会社であったルビー・グループ株式会社では、ラグジュアリーブランド向けEコマースの構築・運営・コンサルティングを提供しておりましたが、2024年9月30日に株式譲渡を実施し、連結の範囲から除外しております。当連結会計年度ではルビー・グループ株式会社の株式譲渡に伴う減収により、デジタルソリューションの売上は前期比28.1%減の1,288,870千円となりました。
4.その他
テレビ番組表ポータル「テレビ王国」やインターネット利用支援ポータル「PreBell」の広告枠の企画及び販
売事業を行っています。当連結会計年度は、「テレビ王国」と「Prebell」の広告売上の増加により、その他の売上は前期比25.8%増の91,052千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による収入が投資活動及び財務活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べ42,531千円増加し2,476,134千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、税金等調整前当期純利益322,798千円、減価償却費544,048千円、顧客関連資産償却額7,030千円を計上し、また、売上債権が158,092千円減少、仕入債務が314,694千円増加、法人税等の支払額46,210千円がありました。その結果、営業活動により得られた資金は1,322,194千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出が407,149千円、造作・サーバー等の有形固定資産の取得による支出が26,303千円となりましたが、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が310,509千円となりました。その結果、投資活動により使用した資金は103,230千円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、長期借入金の返済による支出が1,174,497千円となりました。その結果、財務活動により減少した資金は1,176,410千円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、マーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載は省略しております。
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
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サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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販売高(千円) |
前年同期比(%) |
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アドテクノロジー |
9,767,770 |
146.9% |
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マーケティングソリューション |
493,260 |
60.0% |
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デジタルソリューション |
1,288,870 |
71.9% |
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その他 |
91,052 |
125.8% |
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合計 |
11,640,954 |
124.7% |
(注)1.サービス間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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|
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 |
708,580 |
7.6 |
3,307,107 |
28.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における流動資産は、4,377,902千円となり、前連結会計年度末に比べ410,271千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が32,531千円増加した一方で、売掛金及び契約資産が369,652千円減少したことによるものであります。固定資産は1,585,136千円となり、前連結会計年度末に比べ301,678千円減少いたしました。これは主に、ルビー・グループ株式会社の株式譲渡に伴う顧客関連資産等の無形固定資産が215,501千円、敷金が51,577千円減少したことによるものであります。
その結果、総資産は5,963,039千円となり、前連結会計年度末に比べ711,950千円減少いたしました。
(負債合計)
当連結会計年度末における流動負債は1,860,009千円となり、前連結会計年度末に比べ14,941千円増加いたしました。これは主に、買掛金が138,369千円、未払消費税等が54,405千円増加した一方で、一年内返済長期借入金が214,452千円減少したことによるものであります。固定負債は122,919千円となり、前連結会計年度末に比べ1,006,944千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が960,045千円減少したことによるものであります。
その結果、負債合計は1,982,929千円となり、前連結会計年度末に比べ992,003千円減少いたしました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は3,980,110千円となり、前連結会計年度末に比べ280,052千円増加いたしました。これは主に、資本金及び資本剰余金が10,819千円、利益剰余金が291,745千円増加したことによるものであります。
その結果、自己資本比率は66.7%(前連結会計年度末は54.9%)となりました。
2) 経営成績
(売上高)
アドテクノロジーの増収により、当連結会計年度は増収となりました。この結果、売上高は11,640,954千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は9,264,363千円となりました。これは主に売上の増加にともなう仕入費用の増加によるものです。この結果、売上総利益は2,376,591千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
販売費及び一般管理費は2,137,434千円となりました。これは主に2024年9月30日に連結子会社であったルビー・グループ株式会社の株式を譲渡したことによる影響になります。この結果、営業利益は239,156千円となりました。
営業外収益は10,425千円、営業外費用は84,282千円発生しており、経常利益は165,299千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業利益、経常利益の黒字幅の増加及び連結子会社であったルビー・グループ株式会社の株式譲渡による影響で、親会社株主に帰属する当期純利益は291,745千円となりました。
当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の区分による分析は省略しております。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、広告枠の仕入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としては、主にソフトウエア開発にかかる無形固定資産投資、サーバー等の有形固定資産の取得によるものであります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金については主に、内部資金により調達しております。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結することで、手許流動性を確保しております。
c.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
当連結会計年度は、売上高はアドテクノロジーの増収により、期初計画を上回って着地いたしました。営業利益は、アドテクノロジー、マーケティングソリューション、デジタルソリューションに属する既存事業の回復により、期初計画を上回って着地いたしました。期初計画に比べ、売上は1,640百万円(+16.4%)増加し11,640百万円、営業利益は89百万円(+59.4%)増加し239百万円となりました。
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指標 |
2025年3月期 (実績) |
2025年3月期 (期初計画) |
2025年3月期 (期初計画比) |
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売上高 |
11,640百万円 |
10,000百万円 |
1,640百万円 (116%) |
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営業利益 |
239百万円 |
150百万円 |
89百万円 (159%) |
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、システム等、事業運営体制、その他、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向を留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「発想力と技術力で社会にダイナミズムをもたらすユニークな事業開発会社になる」という経営理念のもと、更なる企業価値の向上に努めてまいります。
2024年4月に策定いたしました中長期戦略におきまして、戦略の柱として「3つの構造改革(『中核事業改革』・『事業ポートフォリオの再定義』・『収益構造改革』)の推進による成長性と収益性の向上」、「ソニーグループ連携の更なる深化と新規事業創造による成長」「成長を支える強靭な経営基盤の確立」を掲げています。
事業環境の見通しにつきましては、景気の先行きに対する不透明感は依然として残るものの、広告主の出稿意欲、とりわけインターネット広告の出稿意欲は緩やかに回復していくものと見込んでいます。一方で、インターネット広告におけるプライバシー保護や透明性への要求水準は向上し、生成AIの活用普及は急速に拡大し、性能も加速度的に向上すると見込んでおり、当社のマーケティングテクノロジー事業にも一定の影響を及ぼすものと想定しています。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報にもとづき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めております。経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
商号・商標及び特許に関する契約
従来、当社グループの商号に用いていた「So-net」及び「ソネット」の商標の商標権はソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に帰属しており、当社はソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社との間で「So-net」及び「ソネット」商標権の通常使用実施権に関し、それぞれ以下のとおり使用許諾契約を締結しています。また、ソニーグループの保有する広範な特許資産を利用しつつ、他社から特許侵害で訴えられる可能性を最小限に抑えるため、特許等については包括的な権利不行使契約を以下のとおり締結しています。
①商号及び商標使用の許諾に関する契約(契約締結日:2008年8月31日)
当社グループがソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の運営するサービスの広告営業を行う場合は、広告営業による売上高にもとづき使用許諾料をソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に支払います。なお、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の当社に対する出資比率が過半数を下回ることとなった場合、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は使用許諾契約を解除することができます。
契約期間は、2008年9月1日より2009年8月31日(1年単位で自動更新)になります。
②特許権等に関する権利不行使契約(契約締結日:2011年12月22日)
特許権等に関する権利不行使契約にもとづき、当社及びソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は、それぞれ相手方及びソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の親会社等が保有する特許権及び実用新案権を利用した場合でも、かかる権利の行使を受けません。なお、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の当社に対する出資比率が過半数を下回ることとなった場合、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社はかかる権利不行使契約を解除することができます。
契約期間は、2012年1月1日より2012年9月30日(1年単位で自動更新)になります。
該当事項はありません。