第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

伊藤ハム米久ホールディングスグループは「中期経営計画2020」において、グループ理念、ビジョンを次の通り定義しました。経営者及び従業員の全員がこれらの理念や行動指針に基づいた活動を推進することによって、企業の社会的責任を果たし、真に信頼されるグループとなるべく経営に取り組んでまいります。

<グループ理念>

私たちは事業を通じて、健やかで豊かな社会の実現に貢献します

<ビジョン>

フェアスピリットと変革への挑戦を大切にし、従業員とともに持続的に成長する食品リーディングカンパニー

<行動指針>

・安全安心と品質の追求による、価値ある商品とサービスの提供

・有言実行の徹底による信頼関係の構築、強化

・全員参加の闊達な意思疎通と相互理解による能力開発と育成

・コンプライアンスを最優先とした、公明正大で透明性のある行動

・地球環境に配慮した事業活動の推進

 

(2)目標とする経営指標

当社グループの2020年度業績は、売上高8,300億円、経常利益160億円を目指します。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

2021年3月期を最終年度とする「中期経営計画2020」は「事業規模拡大」と「効率化・競争力強化」の2つの基本戦略から構成されています。これらの2つの基本戦略を両立し、持続的に成長する食品リーディングカンパニーを目指します。

具体的には以下の課題を設定し、経営を進めてまいります。

・調理加工食品を増強し、調理加工食品売上をハム・ソーセージと同水準まで伸長させる

・海外生産と海外市場での販売拡大によって、経常利益に占める海外事業の割合を拡大させる

・伊藤ハム、米久の両ブランドの価値を高め、ハム・ソーセージのシェアをアップする

・国内の生産事業を拡大し、ブランドミートの供給体制を拡充するとともに外部環境変化への対応力を強化する

・営業人材の強化や営業所の立地見直しなど直販力を強化し、食肉の実需への到達力を高める

・コスト競争力のある生産体制の構築など生産の最適化を図る

・すべての外部調達品の効率的かつ、低コストでの調達による原価低減と収益性の向上を図り、仕入業務の効率化・競争力強化を図る

・物流取扱量を活かして効率性を徹底し、物流業務の効率化・競争力強化を図る

・間接部門の効率的運営、統合など重複する機能の再編を進める

当社グループを取り巻く事業環境は、予断を許さない状況が続いておりますが、「真因を見極め、真摯に向き合う」をスローガンに、目標達成に向けて各種施策を着実に実行し、業績の向上に努めてまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症影響については、2021年3月期上半期まで続くと仮定し、下半期からは回復に向かうという一過性の課題として認識しております。当社グループとしましては、今後も引き続き当社グループが取り扱う食肉加工品及び食肉等を安定的に供給する責務を果たし、グループ理念を実現してまいります。しかしながら今後さらに感染が拡大し、当社グループの業績に大きな影響を及ぼし、開示すべき事項が発生した場合には、速やかにお知らせいたします。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループは、業績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクを、発生可能性と影響度を勘案の上、以下の通り認識し、影響を最小化する仕組みの構築を図っております。

しかしながら、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、若しくは重要とみなしていないリスクの影響を将来的に受ける可能性や、対策の不足による損害が発生する可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが認識したものであります。

 

(1)市況変動に関するリスク

当社グループは、魅力的で競争力のある製品や商品、サービスを安定して提供できるよう、製造コスト低減のための継続的業務改革、商品や原材料の調達先多様化、製品や商品の適正在庫水準の維持、効率を意識した物流の集約等の施策を推進しております。

しかしながら、販売用食肉、ハム・ソーセージ、調理加工食品等の原材料となる国内外の畜産物相場の想定を超える変動や輸入豚肉、輸入牛肉を対象としたセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動、世界的な人口増加による食糧需給の逼迫、その他調達コストの大幅な上昇や仕入数量の制限等が発生した際に、適正な販売価格の変更が成されなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、労働力不足に起因する労働力単価の上昇や、製品に使用する副原料、包装資材及び電力や物流費等のコスト上昇、さらに、食肉を供給する生産飼育事業において飼料価格の大幅な上昇が生じた場合も同様に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)食品の安全性に関するリスク

当社グループは、製品や商品の「安全・安心」の確保がお客様との信頼関係の礎と捉え、フードディフェンスやトレーサビリティの強化及び国際的な管理基準をもとにした厳格な品質管理体制を構築しております。

しかしながら、社会全般における食の安全を大きく脅かす事象の発生や、当社管理体制を超えた不測の事態により、消費者への健康被害及び製品や商品の回収・廃棄が発生した場合、社会的信用の失墜やブランド価値の毀損により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)感染症、疫病等に関するリスク

当社グループは、過去の感染症や疫病発生の経験を活かし、感染症等に対する対応マニュアルを整備し、対策に取り組んでおります。

しかしながら、ヒトに対する未知の感染症や、その他影響が深刻な感染症が地球規模で拡大した場合、従業員の業務就労自粛による生産性の低下や世界的な経済活動の縮小に伴う消費低迷等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、今般の新型コロナウイルス感染症拡大につきましては、2020年2月より危機管理委員会を中心に、従業員の安全確保や事業継続に向けた対策等を講じております。また、当社グループの業績への影響につきましては、巣ごもり消費による家庭用商品の需要が拡大する一方で、主に外食向けの業務用商品の需要の減退、店舗事業における出店先の営業自粛による休業や営業時間短縮等の影響、海外調達先の生産停滞による輸入量減少や価格変動の影響等が2021年3月期上半期まで続くと仮定し、業績予想を開示しておりますが、これらの影響が更に長期化する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)家畜の疾病に関するリスク

当社グループは、過去の家畜伝染病や疫病発生の経験を活かし、家畜の疾病に対応するマニュアルを整備し、対策に取り組んでおります。

しかしながら、ASF(アフリカ豚熱)や鳥インフルエンザ、BSE(牛海綿状脳症)などの家畜の疾病が拡大した場合、国内外の食肉相場が大幅に変動して食肉の調達や販売に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)災害・紛争等による事業継続に関するリスク

当社グループは、安全で安定した事業活動を維持するため、災害等に対する事業継続計画を策定し、代替製造や配送、また、定期的な防災訓練を実施しております。 

しかしながら、国内外の事業拠点において、想定を大きく超える大規模な地震や風水害、干ばつ、戦争、紛争、テロの発生、または大規模な火災等が発生した場合、若しくは事業拠点に大きな被害が及ばずとも従業員の人命確保を最優先として活動を停止させた場合、製品の製造や商品の供給に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)国内外の公的・法的規制の変化、権利侵害に関するリスク

当社グループは、事業を展開する各国において、事業投資の許認可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税や家畜の疾病等による輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。

また、通商、独占禁止、食品衛生、食品表示、下請、特許、知的財産、消費者、租税、証券取引、為替管制、環境・リサイクル関連等の法規制の適用も受けており、当社グループとしては、関連法規の迅速な改正把握及び遵守に万全の体制で臨んでおります。

しかしながら、将来において想定を大きく超える新たな法的規制等が設けられる可能性や権利侵害または被侵害の防止の遅れや不能が発生した場合、その対応のための人員や費用負担の増加および知的財産の喪失等により、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)金融市場の変化に関するリスク

当社グループは、原材料及び商品の一部を海外から調達しており、為替相場の変動リスクを軽減するために為替予約等でリスクヘッジをしております。

また、必要資金の一部を有利子負債で調達しており、金利の変動リスクや調達の流動性低下リスクを軽減するため、スワップ取引やコミットメントライン設定を行うなどの対策を講じております。

しかしながら、流動性低下による資金調達環境の悪化や、想定を超える通貨変動や金利上昇の発生による差損や金利負担の増加などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)事業投資・設備投資に関するリスク

当社グループは、持続的な事業成長のため、重要且つ企業価値向上に資するM&A及び設備投資について投融資委員会での慎重な審議を踏まえ、最終的に取締役会での決議を行っております。

また、このような重要な投資について、定期的に当初計画からの進捗や乖離状況の検証を行っております。

しかしながら、投資判断時に想定しなかった、市場環境や経営環境の悪化により、保有する固定資産やのれんの投資額の回収が不能になった場合、減損処理が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)物流・流通に関するリスク

当社グループは、製品や商品を安全な状態で、迅速かつ安定的に店舗及び消費者に届けるという使命に基づき、受発注の精度向上や在庫管理の適正化、納品リードタイムの改善、積載効率の向上、定温輸送の厳格化等、サプライチェーンに必要な物流体制の構築に取り組んでおります。

しかしながら、小売業の店舗拡大や、通信販売業態の普及による宅配物流の増加、高齢化や労働環境の悪化によるドライバー不足、冷蔵や冷凍を要する食品・食材の輸入量増加による都市部での低温倉庫などのインフラの不足等により、適正なサプライチェーンが構築できなくなった場合、製品や商品を適時適切に供給できず、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材確保に関するリスク

当社グループは、人材は最も重要な資産であると捉え、従業員一人ひとりが持つ素質や能力を引き出し、最大限活かすことが組織の活力に繋がると認識し、多様な人材の採用、モチベーション向上に繋がる評価制度・教育研修を推進しております。

しかしながら、更なる少子高齢化による若年労働者の確保不足や雇用環境の変化による想定外の人材流出、また、優秀な人材育成の遅れ等が生じた場合、企業としての競争力低下や製品や商品の供給力不足に起因した信用失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、コンプライアンス委員会委員長に担当役員を指名し、その推進体制を整備・強化しており、定期的なトップメッセージの発信、コンプライアンス推進委員に対する定期講習や役職員に対する継続的な職場研修の実施等、コンプライアンス最優先の意識向上・浸透に積極的に取り組んでおります。

しかしながら、役職員による法令違反を含む重大なコンプライアンス上の問題が発生した場合、社会的信用の失墜や風評により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)内部統制システムの整備・運用に関するリスク

当社グループは、内部統制システムに関する基本方針を定め、この基本方針に基づく内部統制システムの体制整備・運用状況を常に評価し、法令遵守及び業務の適正の確保に努めております。

しかしながら、そのシステムが有効に機能しなかった場合、予期せぬ費用の増加や社会的信用失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)環境への対応に関するリスク

当社グループは、環境理念及び環境行動指針に則り、その関連法令を遵守するとともに、資源・エネルギーを有効に活用し、環境に配慮した事業活動を行っております。

しかしながら、事業活動に関し、過失の有無に拘わらず環境に関する法的、社会的責任を過去に遡及して負う可能性があります。また、将来環境に関する規制や社会的要求が想定以上に厳しくなった場合、その対応のための人員や費用負担の増加により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、調達、製造、物流、販売、財務等あらゆる業務において、情報システムを活用しており、その運用については、コンピュータウイルスの感染防止等やセキュリティ対策の実施、また、基幹システム及びデータ保管サーバーの二重化と分散設置による管理体制の強化等、予期せぬ障害や損壊に備えた厳重な対策を講じております。

また、情報の取り扱いについては、「情報セキュリティポリシー」のもと、個人情報や機密情報の安全管理と漏洩防止、情報セキュリティ遵守意識の維持・向上のための抜き打ち訓練等、様々なセキュリティ対策を実施しております。

しかしながら、地震その他の自然災害、テロリストによる攻撃、ハードウェア・ソフトウェア・遠隔通信の欠陥・障害、新種のコンピュータウイルス感染、不正アクセス等により、情報の漏洩、消失、情報システムの不具合等が生じる可能性があります。

これらの事由が生じた場合、多額の費用発生及び企業イメージの低下や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)SNS上の風評被害に関するリスク

当社グループは、SNSによる情報発信において、不適切な表現を防止するため、その利用制限や表現についての社内教育を実施しております。

しかしながら、SNSを通じた情報は急速に拡散される可能性があり、極めてコントロールが難しく、当社グループの事業活動やブランドの批判的な評価や、従業員の行動や言動に関する誤った情報が拡散した場合、ブランド価値や信用の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて3,966百万円減少し、389,426百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金の減少によるものであります。
  負債は、前連結会計年度末に比べて9,070百万円減少し、160,247百万円となりました。これは主に、借入金の減少によるものであります。
  純資産は、前連結会計年度末に比べて5,104百万円増加し、229,178百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。 

 

b.経営成績

当連結会計年度の当社グループの経営成績につきましては、売上高は、前期に比べて1,728百万円増加して852,450百万円(前期比0.2%増)となりました。営業利益は、前期に比べて2,772百万円増加し、17,266百万円(前期比19.1%増)となりました。また、経常利益は、前期に比べて3,855百万円増加し、19,534百万円(前期比24.6%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて851百万円増加し、11,439百万円(前期比8.0%増)となりました。なお、昨年12月に発生した米久株式会社の夢工場の火災による損失については、1,407百万円を特別損失に計上しております。

 

報告セグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。

 

<加工食品事業>

当連結会計年度の加工食品事業の売上高は、前期に比べて8,270百万円増加し、300,209百万円(前期比2.8%増)となりましたが、営業利益は、物流費の上昇や火災の影響等により、前期に比べて1,184百万円減少し、6,730百万円(前期比15.0%減)となりました。

<食肉事業>

当連結会計年度の食肉事業の売上高は、海外事業の売上高の円貨換算の影響により、前期に比べて6,391百万円減少し、548,184百万円(前期比1.2%減)となりましたが、営業利益は、海外事業の改善等により、前期に比べて3,920百万円増加し、11,284百万円(前期比53.2%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて7,128百万円増加(前期は5,358百万円の増加)し、41,771百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により資金は31,847百万円増加(前期は15,114百万円の増加)しました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少によるものであり、主な減少要因は、仕入債務の減少、法人税等の支払によるものであります。  

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により資金は7,855百万円減少(前期は19,879百万円の減少)しました。主な減少要因は、設備更新等の有形固定資産の取得による支出であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により資金は16,390百万円減少(前期は10,084百万円の増加)しました。主な減少要因は、借入金の減少、配当金の支払による支出であります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

前年同期比(%)

加工食品事業(百万円)

171,305

102.3

食肉事業(百万円)

153,228

98.9

    報告セグメント計(百万円)

324,534

100.7

その他(百万円)

合計(百万円)

324,534

100.7

 

(注) 1.当社グループ製品の製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 b.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

前年同期比(%)

加工食品事業(百万円)

300,209

102.8

食肉事業(百万円)

548,184

98.8

    報告セグメント計(百万円)

848,394

100.2

その他(百万円)

4,055

96.4

合計(百万円)

852,450

100.2

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

      2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

a.固定資産の減損

当社グループは、事業区分(加工食品事業、食肉事業及びその他事業)を基本単位としてグルーピングし、賃貸資産及び遊休資産については個々の資産毎にグルーピングしております。固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が低下した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

b.繰延税金資産

当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能性が低下した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

c.退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当社グループは現時点では、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しており、業績及び会計上の見積りに与える影響は軽微であると判断しておりますが、その収束時期及び経済環境への影響等の予想については不確実性が高いことから、感染症の収束時期及び経済環境への影響が変化した場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな景気回復基調で推移してきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、先行きについては極めて厳しい状況が続くと見込まれます。

当業界におきましては、人手不足による人件費・物流費の上昇が続く中、新型コロナウイルス感染症とそれに伴う外出自粛による消費行動の変化への対応を迫られており、厳しい事業環境となっております。

このような状況の中、当社グループは「私たちは事業を通じて、健やかで豊かな社会の実現に貢献します」をグループ理念に、また「フェアスピリットと変革への挑戦を大切にし、従業員とともに持続的に成長する食品リーディングカンパニー」をビジョンとし、チャレンジ精神を持って「中期経営計画2020」に掲げた施策等を遂行しております。そして伊藤ハム、米久がそれぞれ独自のブランド力を堅持し、安全・安心で高品質な商品とお客様にご満足いただけるサービスを提供し続け、コンプライアンスを最優先した上で、グループ一丸となってさらなる企業価値の向上を目指して取り組んでまいります。

 

 

a.経営成績

(売上高)

ハム・ソーセージについては、テレビコマーシャルの投入や消費者キャンペーンの実施により、「The GRAND アルトバイエルン」「朝のフレッシュシリーズ」「ポークビッツ」「御殿場高原あらびきポーク」「原形ベーコンシリーズ」等の主力商品の拡販に努めた結果、販売数量、売上高ともに増加しました。

調理加工食品については、「ラ・ピッツァ」「ピザガーデン」などのピザ類が堅調に推移したことに加え、「サラダチキン」「レンジでごちそうシリーズ」「旨包ボリュームリッチハンバーグ」等の消費者の簡便志向・健康志向に対応した商品が伸長したことから、販売数量、売上高ともに増加しました。

ギフトについては、「伝承」シリーズに加えて調理品ギフト等の拡販に努めましたが、市場全体が縮小傾向にあることから、販売数量、売上高ともに前年を下回りました。

食肉については、国内事業については、新規取引先の獲得や国内生産者との連携強化とともに、オリジナルブランド等の付加価値の高い商品の拡販に努め、販売数量、売上高ともに増加しました。牛肉は、輸入牛肉の販売が堅調に推移する一方で、国産牛肉の販売数量が減少したことにより、売上高は減少しました。豚肉は、サンキョーミートの新工場稼働等により生産量が増加したことに加え、輸入豚肉のオリジナルブランド「アルティシモ・リバサム」「菜の花そだち三元豚」が伸長したことから、販売数量、売上高ともに増加しました。鶏肉は、国産鶏肉の「大地のハーブ鶏」の積極展開等に努め、国産・輸入ともに販売数量を伸ばして売上高は増加しました。海外事業については、アンズコフーズ社は、調達及び販売環境の回復により、外貨建の売上高は増加しましたが円貨換算の影響で減少しました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、852,450百万円と前期に比べて1,728百万円(0.2%)の増収となりました。

(営業利益)

加工食品事業においては物流費の上昇や火災の影響により減益となりましたが、食肉事業においては国産豚肉の販売価格の下落や、輸入鶏肉の調達コストの上昇の影響を受けて利益面では苦戦したものの、アンズコフーズ社の収益管理体制の強化によって大幅に増益となり、当連結会計年度の営業利益は、17,266百万円と前期に比べて2,772百万円(19.1%)の増益となりました。

(経常利益)

持分法による投資損益が増加したこと等により、当連結会計年度の経常利益は、19,534百万円と前期に比べて3,855百万円(24.6%)の増益となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、夢工場の火災による損失の計上等があったものの経常利益の増益により、11,439百万円と前期に比べて851百万円(8.0%)の増益となりました。

(今後の見通し)

わが国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって経済活動が制約され、景気が大きく後退することが懸念されております。

当業界におきましても、消費マインドの低下が想定される中で、人手不足による人件費・物流費の上昇や原材料費の不透明な先行き等、さらに厳しい経営環境が続くと予想されます。

このような環境を踏まえ当社グループは、「中期経営計画2020」の最終年度として従来施策に基づいて、伊藤ハム、米久両ブランドの主力商品の拡販に努めるとともに、高品質・高付加価値商品の開発と値頃感のある商品の投入により企業価値の向上に努めてまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響につきましては、巣ごもり消費により家庭用商品の需要が拡大する一方で、国内の外出自粛や海外からの入国制限、大規模イベントの中止により、主に外食向けの業務用商品の需要の減退が見込まれます。また、店舗事業における出店先の営業自粛による休業や営業時間短縮等の影響、海外調達先の生産停滞による輸入量減少や価格変動の影響も見込まれます。ただし、当社グループでは新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営環境は2021年3月期上半期まで続くと仮定し、下半期からは回復に向かうという一過性の課題として認識しております。

 

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

海外子会社及び一部の国内子会社を除く当社グループではキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ資金の有効活用を実現しております。

2020年度における運転資金及び設備投資資金の調達は自己資金及び借入金による調達を予定しております。

また、キャッシュ・フローの指標は、以下のとおりであります。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

自己資本比率(%)
(注)1

56.6

58.5

時価ベースの自己資本比率(%)
(注)2

51.7

48.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
(注)3

4.1

1.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
(注)4

19.2

44.7

 

(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

  *各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

  *株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

  *キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

  *有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 *利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は2016年4月1日付で、共に連結子会社である伊藤ハム株式会社及び米久株式会社との間で同社に対する経営管理業務に関し、それぞれ「経営管理業務委託契約」を締結しております。

 

5【研究開発活動】

当社グループでは、保有する技術、商品開発ノウハウをグループ全体で活用していくため、当社にR&D領域を管掌する担当役員を設置し、その傘下にグループR&D責任者を配置して、スピード感をもって課題解決に取り組む体制を構築しております。

当社グループの研究開発につきましては、基礎研究を当社の中央研究所が中心に行い、全社的な商品開発は伊藤ハム株式会社の商品開発部門及び米久株式会社の商品開発部が中心となり、マーケティング部門と連携をとりながら新商品の企画立案、商品化を推進しております。

研究活動の分野では、中央研究所において、「品質保持技術の高度化」「おいしさ・品質向上の追求」「新ニーズをとらえた基礎技術の開発」 の視点からこれらに寄与するテーマへの取り組みを進めております。これらの研究成果や蓄積された分析技術、品質評価技術は、グループ全体の商品開発、品質管理活動に活かされております。また、新商品の開発や既存商品の改良に繋がる試験や分析・解析への対応を通して、グループ各事業部門の課題解決をサポートしております。

商品開発の分野では、グループR&D責任者のもと各社の商品開発部門において、「私たちは事業を通じて、健やかで豊かな社会の実現に貢献します」のグループ理念を実践すべく、お客様・お得意先様への価値ある商品提供を目指して新商品の開発やリニューアルに積極的に取り組んでおります。また昨年10月にメディア発表しました大豆ミート関連商品の開発にも積極的に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,630百万円であります。