第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

伊藤ハム米久グループは、下記に掲げるグループ理念のもと、ビジョンの実現を目指し、各行動指針に基づいた活動を推進することで、事業を通じて企業の社会的責任を果たし、真に信頼されるグループとなるべく企業価値の更なる向上を図ってまいります。

<グループ理念>

私たちは事業を通じて、健やかで豊かな社会の実現に貢献します

<ビジョン>

フェアスピリットと変革への挑戦を大切にし、従業員とともに持続的に成長する食品リーディングカンパニー

<行動指針>

・安全安心と品質の追求による、価値ある商品とサービスの提供

・有言実行の徹底による信頼関係の構築、強化

・全員参加の闊達な意思疎通と相互理解による能力開発と育成

・コンプライアンスを最優先とした、公明正大で透明性のある行動

・地球環境に配慮した事業活動の推進

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは「中期経営計画2023」において、経常利益300億円、ROIC6.8%以上をグループ目標としています。2021年度業績は、経常利益250億円、ROIC6.0%を目指します。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは、2021年度より3カ年を対象期間とする「中期経営計画2023」をスタートさせました。本計画では、『「既成概念の打破」と「強みの再認識」による更なる成長・飛躍』を基本指針とし、「経営基盤の強化」「収益基盤の強化」「新規事業・市場への取り組み」「サステナビリティへの取り組み」を主要テーマに設定しました。これらの着実な実行によって、競争力と成長力を高めながら企業価値の向上を図り、持続的に成長する食品リーディングカンパニーを目指します。

具体的にはテーマごとに以下の課題を設定し、経営を進めてまいります。

「経営基盤の強化」

効率的で競争力のある事業執行体制と組織体系を構築することで、統合効果を最大化する

・組織再編によるグループ戦略の一体化

・各事業会社の制度統合

・デジタル戦略の推進

「収益基盤の強化」

コスト競争力の強化と商品・サービスの価値向上を図ることで、グループの市場競争力を高める

・コスト低減に向けた取り組み

・商品付加価値の向上

・事業規模拡大

「新規事業・市場への取り組み」

今後成長が見込める領域へ人材・資金等の経営資源を再配分することで、グループの成長力を高める

・事業領域の拡大

・生産地域・販売市場の拡大

「サステナビリティへの取り組み」

社会や環境価値に対応した取り組みを進め、社会の一員として責務を果たすことで、グループ価値の向上と持続的な成長につなげる

・サステナビリティ推進体制の強化

・社会貢献活動、労働環境整備

・環境に配慮した取り組み

当社グループを取り巻く事業リスクとしては、穀物価格の上昇や新興国の堅調な食肉需要による市況の高止まり、家畜伝染病の蔓延などがあげられますが、「当たり前のことを当たり前にやり切る」をスローガンに、これらのリスクに対して適切に対応し、設定した課題に対する各種施策を着実に実行することによって、業績の向上に努めてまいります。

また、新型コロナウイルス感染症の流行等による事業環境の変化にも柔軟に対応し、引き続き当社グループが取り扱う食肉加工品や食肉等を中心とした安全・安心な食品を安定的に供給する責務を果たし、グループ理念を実現してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループは、業績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクを、発生可能性と影響度を勘案の上、以下の通り認識し、影響を最小化する仕組みの構築を図っております。

しかしながら、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、若しくは重要とみなしていないリスクの影響を将来的に受ける可能性や、対策の不足による損害が発生する可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが認識したものであります。

 

(1)市況変動に関するリスク

当社グループは、魅力的で競争力のある製品や商品、サービスを安定して提供できるよう、製造コスト低減のための継続的業務改革、商品や原材料の調達先多様化、製品や商品の適正在庫水準の維持、効率を意識した物流の集約等の施策を推進しております。

しかしながら、販売用食肉、ハム・ソーセージ、調理加工食品等の原材料となる国内外の畜産物相場の想定を超える変動や輸入豚肉、輸入牛肉を対象としたセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動、世界的な人口増加による食糧需給の逼迫、その他調達コストの大幅な上昇や仕入数量の制限等が発生した際に、適正な販売価格の変更が成されなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、労働力不足に起因する労働力単価の上昇や、製品に使用する副原料、包装資材及び電力や物流費等のコスト上昇、さらに、食肉を供給する生産飼育事業において飼料価格の大幅な上昇が生じた場合も同様に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)食品の安全性に関するリスク

当社グループは、製品や商品の「安全・安心」の確保がお客様との信頼関係の礎と捉え、フードディフェンスやトレーサビリティの強化及び国際的な管理基準をもとにした厳格な品質管理体制を構築しております。

しかしながら、社会全般における食の安全を大きく脅かす事象の発生や、当社管理体制を超えた不測の事態により、消費者への健康被害及び製品や商品の回収・廃棄が発生した場合、社会的信用の失墜やブランド価値の毀損により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)感染症、疫病等に関するリスク

当社グループは、過去の感染症や疫病発生の経験を活かし、感染症等に対する対応マニュアルを整備し、対策に取り組んでおります。

しかしながら、ヒトに対する未知の感染症や、その他影響が深刻な感染症が地球規模で拡大した場合、従業員の業務就労自粛による生産性の低下や世界的な経済活動の縮小に伴う消費低迷等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、今般の新型コロナウイルス感染症拡大につきましては、2020年2月より危機管理委員会を中心に、従業員の安全確保や事業継続に向けた対策等を講じております。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の終息までの期間が長期化する場合や、更なる感染拡大が発生する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)家畜の疾病に関するリスク

当社グループは、過去の家畜伝染病や疫病発生の経験を活かし、家畜の疾病に対応するマニュアルを整備し、対策に取り組んでおります。

しかしながら、ASF(アフリカ豚熱)や鳥インフルエンザ、BSE(牛海綿状脳症)などの家畜の疾病が拡大した場合、国内外の食肉相場が大幅に変動して食肉の調達や販売に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)災害・紛争等による事業継続に関するリスク

当社グループは、安全で安定した事業活動を維持するため、災害等に対する事業継続計画を策定し、代替製造や配送、また、定期的な防災訓練を実施しております。 

しかしながら、国内外の事業拠点において、想定を大きく超える大規模な地震や風水害、干ばつ、戦争、紛争、テロの発生、または大規模な火災等が発生した場合、若しくは事業拠点に大きな被害が及ばずとも従業員の人命確保を最優先として活動を停止させた場合、製品の製造や商品の供給に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)国内外の公的・法的規制の変化、権利侵害に関するリスク

当社グループは、事業を展開する各国において、事業投資の許認可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税や家畜の疾病等による輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。

また、通商、独占禁止、食品衛生、食品表示、下請、特許、知的財産、消費者、租税、証券取引、為替管制、環境・リサイクル関連等の法規制の適用も受けており、当社グループとしては、関連法規の迅速な改正把握及び遵守に万全の体制で臨んでおります。

しかしながら、将来において想定を大きく超える新たな法的規制等が設けられる可能性や権利侵害または被侵害の防止の遅れや不能が発生した場合、その対応のための人員や費用負担の増加および知的財産の喪失等により、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)金融市場の変化に関するリスク

当社グループは、原材料及び商品の一部を海外から調達しており、為替相場の変動リスクを軽減するために為替予約等でリスクヘッジをしております。

また、必要資金の一部を有利子負債で調達しており、金利の変動リスクや調達の流動性低下リスクを軽減するため、コミットメントライン設定を行うなどの対策を講じております。

しかしながら、流動性低下による資金調達環境の悪化や、想定を超える通貨変動や金利上昇の発生による差損や金利負担の増加などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)事業投資・設備投資に関するリスク

当社グループは、持続的な事業成長のため、重要且つ企業価値向上に資するM&A及び設備投資について投融資委員会での慎重な審議を踏まえ、最終的に取締役会での決議を行っております。

また、このような重要な投資について、定期的に当初計画からの進捗や乖離状況の検証を行っております。

しかしながら、投資判断時に想定しなかった、市場環境や経営環境の悪化により、保有する固定資産やのれんの投資額の回収が不能になった場合、減損処理が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)物流・流通に関するリスク

当社グループは、製品や商品を安全な状態で、迅速かつ安定的に店舗及び消費者に届けるという使命に基づき、受発注の精度向上や在庫管理の適正化、納品リードタイムの改善、積載効率の向上、定温輸送の厳格化等、サプライチェーンに必要な物流体制の構築に取り組んでおります。

しかしながら、小売業の店舗拡大や、通信販売業態の普及による宅配物流の増加、高齢化や労働環境の悪化によるドライバー不足、冷蔵や冷凍を要する食品・食材の輸入量増加による都市部での低温倉庫などのインフラの不足等により、適正なサプライチェーンが構築できなくなった場合、製品や商品を適時適切に供給できず、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材確保に関するリスク

当社グループは、人材は最も重要な資産であると捉え、従業員一人ひとりが持つ素質や能力を引き出し、最大限活かすことが組織の活力に繋がると認識し、多様な人材の採用、モチベーション向上に繋がる評価制度・教育研修を推進しております。

しかしながら、更なる少子高齢化による若年労働者の確保不足や雇用環境の変化による想定外の人材流出、また、優秀な人材育成の遅れ等が生じた場合、企業としての競争力低下や製品や商品の供給力不足に起因した信用失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、コンプライアンス委員会委員長に担当役員を指名し、その推進体制を整備・強化しており、定期的なトップメッセージの発信、コンプライアンス推進委員に対する定期講習や役職員に対する継続的な職場研修の実施等、コンプライアンス最優先の意識向上・浸透に積極的に取り組んでおります。

しかしながら、役職員による法令違反を含む重大なコンプライアンス上の問題が発生した場合、社会的信用の失墜や風評により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)内部統制システムの整備・運用に関するリスク

当社グループは、内部統制システムに関する基本方針を定め、この基本方針に基づく内部統制システムの体制整備・運用状況を常に評価し、法令遵守及び業務の適正の確保に努めております。

しかしながら、そのシステムが有効に機能しなかった場合、予期せぬ費用の増加や社会的信用失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)環境への対応に関するリスク

当社グループは、環境理念及び環境行動指針に則り、その関連法令を遵守するとともに、資源・エネルギーを有効に活用し、環境に配慮した事業活動を行っております。

しかしながら、事業活動に関し、過失の有無に拘わらず環境に関する法的、社会的責任を過去に遡及して負う可能性があります。また、将来環境に関する規制や社会的要求が想定以上に厳しくなった場合、その対応のための人員や費用負担の増加により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、調達、製造、物流、販売、財務等あらゆる業務において、情報システムを活用しており、その運用については、コンピュータウイルスの感染防止等やセキュリティ対策の実施、また、基幹システム及びデータ保管サーバーの二重化と分散設置による管理体制の強化等、予期せぬ障害や損壊に備えた厳重な対策を講じております。

また、情報の取り扱いについては、「情報セキュリティポリシー」のもと、個人情報や機密情報の安全管理と漏洩防止、情報セキュリティ遵守意識の維持・向上のための抜き打ち訓練等、様々なセキュリティ対策を実施しております。

しかしながら、地震その他の自然災害、テロリストによる攻撃、ハードウェア・ソフトウェア・遠隔通信の欠陥・障害、新種のコンピュータウイルス感染、不正アクセス等により、情報の漏洩、消失、情報システムの不具合等が生じる可能性があります。

これらの事由が生じた場合、多額の費用発生及び企業イメージの低下や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)SNS上の風評被害に関するリスク

当社グループは、SNSによる情報発信において、不適切な表現を防止するため、その利用制限や表現についての社内教育を実施しております。

しかしながら、SNSを通じた情報は急速に拡散される可能性があり、極めてコントロールが難しく、当社グループの事業活動やブランドの批判的な評価や、従業員の行動や言動に関する誤った情報が拡散した場合、ブランド価値や信用の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて4,660百万円増加し、394,086百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加、たな卸資産の減少によるものであります。
 負債は、前連結会計年度末に比べて13,808百万円減少し、146,438百万円となりました。これは主に、借入金の減少によるものであります。
 純資産は、前連結会計年度末に比べて18,469百万円増加し、247,648百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度の当社グループの経営成績につきましては、売上高は、前期に比べて9,774百万円減少し、842,675百万円(前期比1.1%減)となりましたが、営業利益は、前期に比べて6,751百万円増加し、24,018百万円(前期比39.1%増)となりました。また、経常利益は、前期に比べて7,465百万円増加し、27,000百万円(前期比38.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて8,764百万円増加し、20,204百万円(前期比76.6%増)となりました。

 

報告セグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。

 

<加工食品事業>

当連結会計年度の加工食品事業の売上高は、前期に比べて6,832百万円増加し、307,041百万円(前期比2.3%増)となりました。営業利益は、前期に比べて5,667百万円増加し、12,397百万円(前期比84.2%増)となりました。

<食肉事業>

当連結会計年度の食肉事業の売上高は、前期に比べて16,603百万円減少し、531,581百万円(前期比3.0%減)となりましたが、営業利益は、前期に比べて2,158百万円増加し、13,443百万円(前期比19.1%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて8,879百万円増加(前期は7,128百万円の増加)し、50,651百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により資金は40,862百万円増加(前期は31,847百万円の増加)しました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上、たな卸資産の減少によるものであります。  

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により資金は10,837百万円減少(前期は7,855百万円の減少)しました。主な減少要因は、設備更新等の有形固定資産の取得による支出であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により資金は21,097百万円減少(前期は16,390百万円の減少)しました。主な減少要因は、借入金の減少、配当金の支払及び自己株式の取得による支出であります。 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前年同期比(%)

加工食品事業(百万円)

170,215

99.4

食肉事業(百万円)

159,157

103.9

    報告セグメント計(百万円)

329,373

101.5

その他(百万円)

合計(百万円)

329,373

101.5

 

(注) 1.当社グループ製品の製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 b.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前年同期比(%)

加工食品事業(百万円)

307,041

102.3

食肉事業(百万円)

531,581

97.0

    報告セグメント計(百万円)

838,623

98.8

その他(百万円)

4,052

99.9

合計(百万円)

842,675

98.9

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

      2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。

a.たな卸資産の評価

当社グループのたな卸資産には一定期間保存する販売用食肉在庫があり、保存期間中における需給バランスの変化等の外部環境の影響により、その売価は畜産物相場の変動リスクにさらされております。

販売用食肉の貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、連結会計年度末における正味売却価額が取得原価を下回る場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。この正味売却価額は、見積売価から見積販売直接経費を控除して算定しております。
 過去の販売実績及び将来の販売見込み等に基づき見積売価を予測しておりますが、その予測には不確実性を伴うため、実際の販売価格との乖離が発生した場合は翌期の損益に重要な影響を及ぼす可能性があります。

b.退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当社グループは現時点では、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しており、業績及び会計上の見積りに与える影響は軽微であると判断しておりますが、その収束時期及び経済環境への影響等の予想については不確実性が高いことから、感染症の収束時期及び経済環境への影響が変化した場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、社会経済活動が制限される厳しい状況が続きました。先行きについても、感染が再拡大して収束時期が見通せない中、不透明な状況が続くと見込まれます。

当業界におきましては、新しい生活様式に基づく消費行動の変化が生じており、新たな事業環境への適応が求められています。当社グループでは、食品メーカーとしての供給責任を果たすべく、従業員の安全確保や事業継続に向けた感染症対策を徹底するとともに、市場の変化の兆しを的確に捉えて迅速に対応できる体制を整え、事業活動を行っております。

このような状況において、当社グループは、2021年度より3年間を対象期間とする「中期経営計画2023」を策定いたしました。「私たちは事業を通じて、健やかで豊かな社会の実現に貢献します」をグループ理念に、また「フェアスピリットと変革への挑戦を大切にし、従業員とともに持続的に成長する食品リーディングカンパニー」をビジョンとして掲げ、「既成概念の打破」と「強みの再認識」による更なる成長と飛躍を意識し、「経営基盤の強化」「収益基盤の強化」「新規事業・市場への取り組み」「サステナビリティへの取り組み」を実行し、競争力と成長力を高めてまいります。また、定量指標としては、投下資本利益率(ROIC)を重視し、対象期間中に6.8%まで向上させていくことを目指します。

 

a.経営成績

(売上高)

加工食品事業は、ハム・ソーセージについては、テレビコマーシャルの投入や消費者キャンペーンの実施により、「The GRAND アルトバイエルン」「朝のフレッシュシリーズ」「ポークビッツ」「御殿場高原あらびきポーク」「原形ベーコンシリーズ」等、主力商品の拡販に努め、家庭用商品の販売は増加しましたが、外食向けの業務用商品の販売減少の影響もあり、売上高は微減となりました。

調理加工食品については、「ラ・ピッツァ」「ピザガーデン」などのピザ類が堅調に推移したことに加え、「サラダチキン」「レンジでごちそうシリーズ」「旨包ボリュームリッチハンバーグ」等の消費者の簡便志向・健康志向に対応した商品が伸長したことから、販売数量、売上高ともに増加しました。

ギフトについては、「伝承」シリーズを中心に拡販に努めましたが、市場全体が縮小する中、調理品ギフトは伸長したものの、ギフト全体では販売数量、売上高ともに前年を下回りました。

食肉事業は、国内事業については、家庭内での食事機会の増加による内食需要の高まりを受けて量販店向けの販売が好調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による海外調達先の稼働率低下と外食向けの需要減退の影響により、売上高は減少しました。

海外事業については、アンズコフーズ社は、ニュージーランド政府の新型コロナウイルス対策による工場の一時稼働停止等の影響を受けて売上高は減少しました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、842,675百万円と前期に比べて9,774百万円(1.1%)の減収となりました。

(営業利益)

加工食品事業においては、家庭用商品の販売伸長に加え経費削減等に取り組み、増益となりました。食肉事業においても、在庫の適正化による採算管理を徹底し利益率の改善を進め、採算重視の販売と経費削減に努めたことから、増益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、24,018百万円と前期に比べて6,751百万円(39.1%)の増益となりました。

(経常利益)

営業利益の増益に加え、助成金収入が増加したこと等により、当連結会計年度の経常利益は、27,000百万円と前期に比べて7,465百万円(38.2%)の増益となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増益に加え、前期に夢工場において発生した火災事故による損害に対する保険金の受取があったこと等により、20,204百万円と前期に比べて8,764百万円(76.6%)の増益となりました。

(今後の見通し)

わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による購買行動の変化や社会のデジタル化の加速に加え、ESGやSDGsへの関心の高まりなどにより、消費者ニーズや価値観が急速に変化し多様化することが予想されます。

このような状況において、当社グループは、事業環境の変化に適応して強みを発揮していくために「中期経営計画2023」に基づき、統合後の経営基盤・収益基盤を確固たるものとし、新たな市場ニーズへの対応に加え、社会や環境に配慮した取り組みを行い、競争力と成長力を高めてまいります。

次期の連結業績につきましては、原材料価格の上昇に加え、内食需要の高まりが一段落することも予想されることから、売上高8,200億円、営業利益230億円、経常利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益160億円を見込んでおります。

なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響につきましては、巣ごもり消費により家庭用商品の需要が拡大する一方で、国内の外出自粛や海外からの入国制限、大規模イベントの中止により、主に外食向けの業務用商品の需要の減退が継続することが見込まれます。また、店舗事業における出店先の営業自粛による休業や営業時間短縮等の影響、海外調達先の生産停滞による輸入量減少や価格変動の影響も見込まれます。ただし、当社グループの業績に与える影響は軽微であると判断しております。

 

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

海外子会社及び一部の国内子会社を除く当社グループではキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ資金の有効活用を実現しております。

2021年度における運転資金及び設備投資資金の調達は自己資金及び借入金による調達を予定しております。

また、キャッシュ・フローの指標は、以下のとおりであります。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

自己資本比率(%)
(注)1

58.5

62.7

時価ベースの自己資本比率(%)
(注)2

48.2

54.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
(注)3

1.7

1.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
(注)4

44.7

113.3

 

(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

  *各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

  *株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

  *キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

  *有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 *利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は2016年4月1日付で、共に連結子会社である伊藤ハム株式会社及び米久株式会社との間で同社に対する経営管理業務に関し、それぞれ「経営管理業務委託契約」を締結しております。

 

5【研究開発活動】

当社グループでは、保有する技術、商品開発ノウハウをグループ全体で活用していくため、当社にR&D領域を統括するグループR&D責任者を配置して、スピード感をもって課題解決に取り組む体制を構築しております。

当社グループの研究開発につきましては、基礎研究を当社の中央研究所が中心に行い、全社的な商品開発は伊藤ハム株式会社及び米久株式会社の商品開発部門が中心となり、マーケティング部門と連携をとりながら新商品の企画立案、商品化を推進しております。

研究活動の分野では、中央研究所において、「品質保持技術の高度化」「おいしさ・品質向上の追求」「新ニーズをとらえた基礎技術の開発」の視点からこれらに寄与するテーマへの取り組みを進めております。

「品質保持技術の高度化」では、微生物制御に軸足を置き、工程中の菌の動態を明らかにすべく現場の基礎データの拡充を進めるとともに、分析手法についても検出感度を高めるための改良や、培養によらない菌数測定手法の開発等にも取り組みました。また、これらの研究の製造現場での活用も念頭においた評価・改良に取り組みました。

「おいしさ・品質向上の追求」では、おいしさを向上させる技術開発につながる基礎的研究、工程の諸条件の違いを製品の違いに関連付ける研究、製品のおいしさを客観的に説明するための新たな評価指標づくり等に取り組んだ結果、製品の品位改良につながるいくつかの知見を提供することができ、物性評価方法の改良のみならず、対象物質が多く複雑な「におい」についても、特有の成分の挙動を捉えた独自の評価モデルの構築を進めました。

「新ニーズをとらえた基礎技術の開発」では、健康軸視点からの製品開発アプローチ、味・食感・色調等の改良につながる技術の確立についての研究に取り組み、大豆ミート製品については商品開発部門をサポートし、品質向上につながる基礎的研究を進めました。また「熟成」のメカニズムの研究から得られた知見を製造に生かすことにも継続的に取り組んでおります。

次に商品開発の分野では、グループR&D責任者のもと各社の商品開発部門において、「メーカーブランド強化」「調理加工食品ラインアップ拡大」「中外食、業務用事業の再構築」「市場競争力の強化」をテーマに、お客様・お得意先様への価値ある商品提供を目指して新商品の開発やリニューアルに積極的に取り組んでおります。

また新型コロナウイルス感染症の影響による内食機会の増加や買い置き需要への対応として、「食卓を豊かにするおかず系アイテム」「完結型アイテム」「間食、おつまみ用アイテム」のラインアップ充実に取り組んでおります。

多様化するライフスタイルの中で第3のたんぱく質として注目される大豆ミート関連商品については、2020年に発売した「まるでお肉!」シリーズにバラエティに富んだラインアップを用意し、選ぶ楽しみも提供しております。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,522百万円であります。