第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融政策により企業収益や雇用環境は改善しており、景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、中国をはじめとする新興国経済の減速、円高の進行、原油安による景気の下振れリスクが依然として存在していることから、先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループの顧客が属する医薬品業界では、後発品との競争激化、製品開発の停滞、保険料の財政圧迫に起因する価格値下げ圧力等により製薬企業の収益性は低下する一方、膨大な開発費負担が生じる新薬開発への投資効率を高める目的でM&Aによる業界再編が依然活発な状況にあります。このような状況を背景に、製薬企業では新薬開発を迅速かつ効率的に実施するために、臨床試験等の開発業務を外部のCRO(開発業務受託機関)へ委託するケースが増えており、当社グループがターゲットとしている前臨床試験におきましても製薬企業の外部委託は拡大傾向にあります。

 この結果、当連結会計年度の売上高1,217,010千円(前年同期比38.1%増)、営業利益190,289千円(前年同期比275.6%増)、経常利益149,192千円(前年同期比138.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益125,250千円(前年同期比120.7%増)となりました。

 なお、当社グループは「PXBマウス事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ823,109千円増加し、1,491,060千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は259,409千円(前連結会計年度は7,876千円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益147,121千円、前受金の増加26,035千円、仕入債務の増加21,104千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は136,861千円(前連結会計年度は6,273千円の収入)となりました。これ主に定期預金の預入による支出113,620千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、得られた資金は734,708千円(前連結会計年度は46,235千円の収入)となりました。これは主に株式の発行による収入789,237千円によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

PXBマウス事業

383,325

132.0

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

PXBマウス事業

1,662,031

211.8

449,376

521.0

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.外貨建て取引の受注高につきましては、受注時の為替レートにより、また、受注残高につきましては、当事業年度末の為替レートによりそれぞれ換算しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

PXBマウス事業

1,217,010

138.1

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Roche TCRC Inc.

83,554

9.5

196,176

16.1

Arbutus Biopharma Inc.

132,876

10.9

国立大学法人広島大学

135,733

15.4

119,862

9.8

Arbutus Biopharma Corporation

215,640

24.5

91,394

7.5

(注)Tekmira Pharmaceuticals Corporationは、Arbutus Biopharma Corporationに商号変更しております。

前連結会計年度、当連結会計年度のArbutus Biopharma Corporationの売上高は、Tekmira Pharmaceuticals Corporationの売上高を記載しております。

 

3【対処すべき課題】

a.DMPK/Tox分野の拡大

 当社グループがこれまで実績をあげてまいりました肝炎治療薬の薬効評価試験は、限定された市場規模であることに加え、新薬の開発状況によっては収束していく可能性があります。これに対し、当社が狙うDMPK/Tox分野は大きな市場であり、かつ当社のPXBマウスに対するニーズがあると考えております。

 今後、PXBマウスがDMPK/Tox関連領域のニーズを掴んで事業を拡大成長させるためには、PXBマウスの利用が既存の創薬手法と比較して費用対効果に優れていることを周知させる必要があります。しかし、巨大な市場の中で熾烈な研究開発競争を繰り広げている製薬企業群を相手に、従来の一般的な受託試験サービスの提供だけでPXBマウスの有用性を広く認識させることは困難です。そこで我々は、新薬候補を多数所有する製薬企業自身が、PXBマウスの有用性について共に研究し、その成果を共有できる場として北米にコンソーシアムを設立しており、当該領域でのプロモーション活動を実施し、販路拡大を目指してまいります。

 

b.米国での供給体制の確立

 当社グループは、これまで国内製薬企業をはじめ、海外の製薬企業とPXBマウスの有用性に関する共同研究を実施してまいりました。この共同研究の中で、製薬企業から提供され使用した化合物は、概ね既知の物質であることで秘密保持が要求されることもなく、また、日本国内という研究開発のロケーションにより制約されることもありませんでした。一般に製薬企業は開発段階にある化合物の取扱いでは、厳重な管理下で秘密保持がなされています。特に前臨床の段階まで開発の進んだ化合物が社外に持ち出されることは容易なことではありません。今後もPXBマウスが恒常的に製薬企業に使用されるには、製薬企業が秘密保持を遵守できると認め、開発の一部をアウトソーシングしている特定のCROや製薬企業へ直接PXBマウスを持ち込まなければならない事例が多くなると想定しています。

 世界の製薬業界では総売上高の多くはメガファーマによって占められており、これらメガファーマは、全て主要な研究開発拠点を米国に有しています。このため、将来的に当社グループが事業拡大を図る上では、米国での供給体制確立が不可避であるため、PXBマウス生産ノウハウを米国Charles River Laboratories,Inc.に移管して、米国での生産拠点を確保し、平成27年3月から本格的な供給を開始しました。今後も、製薬企業の要求に応えれるようPXBマウスの供給体制を整備し、北米でのPXBマウスの増産に向けて、PXBマウス生産に熟知し各種トラブルに対応できる人材を育成し北米での配置の準備を進める方針であります。

 

c.AAALAC認証の取得

 現在、医薬品の創薬工程では、薬効及び安全性等の確認に多くの実験動物が用いられており、今後も研究開発に実験動物が用いられる環境は変わらないと考えております。

 当社におきましては、PXBマウスをはじめとする実験動物の生産・飼育及びこれを用いた試験を実施していますが、近年の動物実験に対して動物愛護が求められる環境を鑑みて、実験動物倫理委員会を設置し、飼育及び試験時の苦痛の軽減の取り組みや飼育環境の整備を行い、各動物実験の審査・承認・査察を行ってまいりました。

 今後、当社がグローバルな事業展開を行う上で、製薬企業から動物福祉についての整備も、より一層求められることが予想できることから、客観的な外部機関による評価が必要だと認識しております。従いまして、国際的に動物管理及び使用に関する評価を行っているAAALAC International (国際実験動物ケア評価認証協会)の認証の取得を目指し、平成27年から準備を開始しており、順次、設備投資を行う計画です。

 

4【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)PXBマウス事業への依存について

 当社グループの売上高は単一事業であるPXBマウス事業のみとなっており、同事業に依存した収益構造となっております。経営資源を集中させることにより収益規模を拡大させることを目指しておりますが、今後、他社との競争によりPXBマウス事業の売上高が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)抗肝炎ウイルス薬の新薬開発動向とDMPK/Tox領域の市場開拓について

 平成28年3月期において当社グループの売上高の約7割を占める抗B型肝炎ウイルス薬の薬効評価試験等につきましては、限定された市場であり開発を行っている製薬企業数も限られていることから、当社グループの業績も当該製薬企業の開発状況に依存しております。従いまして、当該製薬企業の開発状況によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、今後これらの製薬企業において研究開発が進み、有力なB型肝炎ウイルス薬が上市されますと、同領域の市場は収束していくと予測しております。このため、当社グループでは、本来ターゲットとしているDMPK/Tox領域での市場開拓を進めており、戦略的にプロモーション活動等の施策を実施する計画であります。しかしながら、これらの施策に対して期待される効果を得られなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)大学等の公的研究機関との関係

 当社グループの主要な販売先である大学及び公的研究機関は、その研究資金の大部分を科学研究費補助金など公的な補助金及び助成金に依存しております。現在、海外製薬企業を中心に民間企業への販路が拡大しているものの、今後の計画も大学及び公的研究機関に対する売上を見込んでおり、科学研究費補助金等の削減又は制度の変更により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)国立大学法人広島大学との共同研究について

 当社グループは、自社での研究活動の他、国立大学法人広島大学と共同研究を実施しております。

 また、同大学は主要な顧客でもあり、平成28年3月期において当社グループの売上高の9.8%を同大学が占めております。当社グループは、今後も同大学との間で良好な関係を維持し、共同研究を継続していく方針でありますが、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により取引が困難となった場合、当社グループの事業に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)大規模試験の実施について

 当社グループで行う受託試験サービスのうち、肝炎関連試験は長期間の試験となるため、総売上高の5%を超えるような大規模試験となる場合があります。受託試験サービスは、クライアントと試験計画を協議した上で、試験計画書に基づき実施しておりますが、予期せぬトラブル又は不可抗力により試験期間が遅延することがあり、これらが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)生産設備の事故、故障、感染症の発生について

 当社グループの事業は、マウス、ラットなど動物を扱う事業であり、これらは当社グループの研究施設及び生産施設内のクリーンルームで外部の病原菌からの感染を防止するなど、厳重な管理体制のもと飼育し、また不測の事態を考慮して複数の施設に分散する等リスク軽減のための処置を施しております。しかしながら、予期せぬ天災、環境設備の故障及び事故等で施設が損傷を受けた場合、又は動物に感染症等が発生した場合、当社グループの事業に重大な影響を与える可能性があります。

 

(7)ヒト肝細胞の入手について

 当社グループの主要な製品であるPXBマウスはヒトの肝細胞を移植しております。移植に使われるヒト肝細胞は、国内での入手は行えず、代理店を通じて国外業者から輸入しております。今後、仕入価格の高騰、法規制等でヒト肝細胞の入手が困難になった場合PXBマウスの生産に制約を受け、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)経営上の重要な契約について

 当社は、米国でのPXBマウスの生産について、Charles River Laboratories,Inc.と生産委託契約を締結しております。同社で生産されたPXBマウスは、事業計画上、重要な市場である米国での事業拡大を図るために現地での生産拠点として契約締結したものでありますが、当該契約が解消された場合、当社の事業計画の変更を余儀なくされ、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)小規模組織であることについて

 当社グループの組織は平成28年3月31日現在で取締役5名、監査役3名、従業員48名と小規模であり、内部管理体制も当該規模に応じたものであります。今後の事業拡大に伴い、計画的な人員の増強と内部管理体制の充実を図る方針でありますが、必要な人員を確保できない場合、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)技術者の確保、育成について

 当社グループの事業は特殊性が高く、かつ専門性が高いため、技術育成に期間を要します。また、技術の個人依存度が高いため急な増員が難しく、技術者が大幅に流出した場合には当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(11)税務上の繰越欠損金について

 当社は平成28年3月31日現在、1,071,769千円の税務上の繰越欠損金を有しております。従いまして、当社の業績が順調に推移し当期純利益が計上された場合でも、当該繰越欠損金が解消されるまで課税される税金負担が繰越控除の限度内にて軽減されると考えております。しかしながら、当該繰越欠損金が解消された以降は税負担が増加し、当期純利益に影響を与えることが予想されます。

 

(12)調達資金の使途

 上場時に調達した資金は、主に米国でのPXBマウス事業のプロモーション活動(製薬会社と共同でヒト肝細胞キメラマウスの有用性の検証を行うコンソーシアム)及び米国子会社の人員増強等、米国での事業拡大を目的に投資を計画しております。しかしながら、これらの投資に対して収益が直ちに結びつく保証はなく、結果、期待される利益に結びつかない可能性があります。

 

(13)研究開発について

 当社グループは、開発競争の激しいバイオ産業のなかで収益力を維持するためには、技術の独自性及び先進性を保ち、顧客のニーズにあったサービスを提供できるよう技術開発を行う事が重要だと認識しております。

 当社グループにおいて研究開発費は大きなウエイトを占めており、将来を見据えながら先行して研究開発及び設備投資を実施しております。しかしながら、研究開発が期待通りの結果を得られない場合は、先行して投資した研究開発費及び設備投資費を回収できない可能性があります。

 

(14)公立大学法人大阪市立大学寄附講座への寄附金について

 当社グループは、細胞や組織・器官を人工的に合成する新しい研究領域での研究者育成を目的に、公立大学法人大阪市立大学の合成生物学寄附講座に平成28年3月期から3年間に亘って年額20,000千円の寄附金の申込みを行っておりますが、寄附金でありますので、寄附講座の成果を、直接、当社グループが利益を享受できるものではありません。また、当社グループの事業が計画通り推移しない場合、当該寄附金の負担により業績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

(15)知的財産権について

 当社グループの属するバイオ産業は、技術進歩は著しく速く、日々新しい技術開発が進んでおります。当社グループの技術に関して第三者の知的財産権の侵害は存在しないと認識しておりますが、今後、知的財産権の侵害を理由とする当社グループへの訴訟が発生しないとは限らず、このような事態が発生した場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(16)配当政策について

 当社は創業以来、累積損失を計上しており利益配当を実施しておりません。

 当社は、事業の確立に向けて研究開発及び設備投資を実施している段階であり、投資した研究開発及び設備投資費用を回収するまでには至っておりません。さらに今後、生産体制を強化するため設備投資を実施する計画であります。しかしながら、当社は株主への利益還元も重要な経営課題であると認識しており、事業の確立、経営基盤の安定及び累積損失の一掃後に、内部留保を勘案しながら還元していく方針であります。

 

(17)為替相場の変動について

 当社グループは販路拡大を目的に、米国を中心に海外製薬会社に対し積極的にPXBマウスを用いた受託試験サービスを展開しております。海外製薬企業と受託試験サービスの契約を締結する場合は、外貨建取引によっております。通常、これらの受託試験サービスは、契約の締結から試験終了後の決済までに数ヶ月を要するため、為替リスクを有しております。このため、為替相場が円高傾向になりますと、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。当社グループは、為替リスクの低減に努める所存でありますが、為替相場の変動リスクを完全に排除することは困難であり、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(18)技術革新について

 当社グループの属するバイオ産業は、開発競争が激しく、技術革新が急速に進んでおります。当社グループの主要な製品であるPXBマウスは、ヒト肝細胞の置換率が70%以上という高置換率を誇っており、医薬品開発において有効な技術であると認識しております。しかしながら、今後これに代わる優れた技術、又は価格競争力に優れている技術が開発され、当社グループ技術の優位性を失った場合、技術の陳腐化、又は価格競争にさらされる恐れがあります。

 

(19)競合について

 PXBマウス事業の基幹技術である「ヒト肝細胞を持つキメラマウス」を安定生産するには、高い技術力と生産に係る経験を基礎とするノウハウを要するため、参入障壁が高いと考えておりますが、市場拡大が期待されることから、今後、他社が参入する可能性があります。競合他社が参入し当社の優位性が低下した場合、価格競争にさらされて、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(20)法的規制について

 当社グループでは、PXBマウスの生産で遺伝子組換え生物等を取り扱っており、国内においては遺伝子組換え生物等を用いる際の規制措置を定めた「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に則り、事業を行っております。製品(PXB-cells)の販売につきましては、経済産業省から第二種使用等拡散防止措置確認を取得して産業利用を行っております。また、米国での生産につきましても、現地法令等に則り事業を行っております。

 当社グループでは、施設の保全、リスク管理並びに従業員への教育訓練等を実施し、法令等を遵守していく所存でありますが、事故による拡散及び法規制の強化等により、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(21)支配株主等について

 当社の親会社である三和商事株式会社は、平成28年3月31日現在、当社発行済株式総数の34.90%(1,008,000株)を所有し、当該親会社の緊密な者である森本俊一氏は、当社発行済株式総数の17.17%(496,000株)を所有しております。また、同氏は、当社のその他の関係会社である三和澱粉工業株式会社と株式会社特殊免疫研究所の緊密な者でもあります。

 当社とその他関係会社である株式会社特殊免疫研究所は、平成28年3月期において試薬等の購入が4,460千円ありますが、両社で行われている事業と当社事業との間に競合関係はなく、当社グループの事業活動に影響を与えるものはありません。また、これらの支配株主等との間に前述以外の取引関係及び人的関係もなく、当社の経営判断については当社が独自に検討のうえ決定しております。

 現在、これら支配株主等との関係については大きな変更を想定しておりませんが、将来において、支配株主等との関係に大きな変化が生じた場合は、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22)新株予約権による株式価値の希薄化について

 当社は、役員、従業員及び社外協力者に対しインセンティブ付与のため、新株予約権の発行及びストック・オプション制度を採用しております。平成28年3月31日現在における新株予約権の目的となる株式の数は222,500株であり、発行済株式総数の7.7%に相当します。

 また、今後も優秀な人材を確保するために、ストック・オプション制度を活用していく可能性があり、現在付与している新株予約権に加えて、今後付与する新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 

共同出願に係る発明の不実施補償

相手先の名称

対象発明の内容

契約内容

契約日

契約期間

公益財団法人

東京都医学総合研究所

ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータートランスジェニックマウス

当社、公益財団法人東京都医学総合研究所及び中外製薬株式会社の三社共同出願した本発明に係る知的財産権を当社が独占的に商業実施することによる不実施補償

平成28年2月22日

平成28年4月1日から

平成31年3月31日まで

中外製薬株式会社

(注)1.本マウスを商業実施に用いた匹数により不実施補償料を支払っております。

2.本マウスは、PXBマウスの生産において使用しているホスト動物であるurokinase-type plasminogen activator cDNAトランスジェニックマウス(cDNA-uPA)であります。

 

PXBマウスの米国での生産委託に関する契約

相手先の名称

契約内容

契約日

契約期間

Charles River Laboratories,Inc.

米国におけるPXBマウスの生産委託契約

平成25年10月1日

平成25年10月1日から

平成30年9月30日まで

 

6【研究開発活動】

 PXBマウスの潜在的な市場を具現化するには、創薬工程における実験動物としての用途開発をすることが必要であります。特に、非臨床試験のうち薬物代謝試験及び安全性試験の新たな評価ツールとしてPXBマウスを用いた試験手法は将来有望であり、PXBマウス単体の付加価値は実験動物としての限界がありますが、用途開発によって高収益体質を持続可能なものにできます。PXBマウス事業の研究開発活動はこの用途開発に注力し知的財産権の確立を目指しております。

 当連結会計年度の研究開発費は、PXBマウス事業に係るものであり、総額は146,966千円となっております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在(平成28年6月29日)において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたりましては、過去の実績や現在の状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

(2)財政状態の分析

① 流動資産

 当連結会計年度における流動資産は、前連結会計年度末と比較して962,359千円増加して1,887,876千円となりました。これは主に新規上場に伴う新株発行により現金及び預金が935,789千円増加したことによるものです。

 

② 固定資産

 当連結会計年度における固定資産は、前連結会計年度末と比較して4,928千円増加して449,573千円となりました。これは主に実験機器等の購入により工具、器具及び備品が7,777千円、リース資産が5,697千円、それぞれ増加したことによるものです。

 

③ 流動負債

 当連結会計年度における流動負債は、前連結会計年度末と比較して84,289千円増加して218,848千円となりました。これは主に買掛金が21,080千円、未払法人税等が19,986千円、それぞれ増加したことによるものです。

 

④ 固定負債

 当連結会計年度における固定負債は、前連結会計年度末と比較して35,553千円減少して143,174千円となりました。これは主に退職給付に係る負債が8,931千円増加したものの、長期借入金が返済により53,376千円減少したことによるものです。

 

⑤ 純資産

 当連結会計年度における純資産は、前連結会計年度末と比較して918,552千円増加して1,975,426千円となりました。これは主に新規上場の伴う新株発行により資本金が399,096千円、資本剰余金が399,096千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が125,250千円、それぞれ増加したことによるものです。

 

(3)経営成績の分析

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して335,968千円増加して1,217,010千円となりました。これは主に海外製薬企業におけるB型肝炎試験の受注が伸長していることによるものです。

 

② 販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して75,573千円増加して638,321千円となりました。これは主に業容拡大により給料及び手当が28,600千円、支払手数料が26,711千円、それぞれ増加したことによるものです。この結果、営業利益は190,289千円となりました。

 

③ 営業外損益、経常利益

 当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比較して15,748千円減少して150千円となりました。営業外費用は、前連結会計年度と比較して37,352千円増加して41,247千円となりました。これは主に前連結会計年度で計上した為替差益15,789千円が、当連結会計年度では為替差損29,606千円に転じたことによるものです。この結果、経常利益は149,192千円となりました。

 

 

④ 特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の特別利益は、計上しておりません。特別損失は、2,071千円となりました。これは主に訴訟和解金2,000千円の計上によるものです。法人税等合計は、前連結会計年度と比較して16,014千円増加して21,870千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は125,250千円となりました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)経営戦略の現状と今後方針について

 「第2 事業の状況 3.対処すべき課題」に記載のとおり、当社グループが、これまで実績をあげてまいりました肝炎治療薬の薬効評価試験は、限定された市場規模であることに加え、新薬の開発状況によっては収束していく可能性があります。これに対し、当社が狙うDMPK/Tox分野は、相対的に大きな市場であり、新薬開発において高い安全性が求められる環境下、当社のPXBマウスに対する潜在的なニーズがあると考えております。当社グループが今後の業容拡大を遂げるためには、同領域でのPXBマウスの有用性について、顧客から認知される必要があると認識しております。つきまして、当社グループは、同領域におけるプロモーション活動を戦略的に実施する計画であります。