第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社は、事業を通じて21世紀の医療に貢献する企業となることを目指しております。

 当社は、生物が元来持っている機能を利用することで、これまでにない医療技術及び医薬品開発技術の実用化が期待される中、ヒト細胞の機能に着目し、この機能を維持したまま対外で大量に増殖させる細胞技術を開発してきました。この技術を応用し、さらに、増殖したヒト細胞を実験動物に移植する技術により、ヒト細胞の機能を様々な用途に提供していく所存であります。

 

(2)経営戦略等

 当社は、海外でのPXBマウス事業のさらなる拡大を図るため、2010年8月に完全子会社PhoenixBio USA Corporationを設立し、2017年11月にKMT Hepatech,Inc.の株式を取得しました。また、北米製薬企業やCROとのパイプを持つコンサル会社との提携等によって北米を中心とした海外展開に注力してまいりました。今後、当該子会社を海外における事業拠点として、PXBマウスの現地生産・受託サービス提供に関して協力企業との折衝を進めてまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは経営指標として、事業規模を示す売上高を採用しております。サービス分野別に「肝炎分野」と「DMPK/Tox・その他」に区分しており、特に市場規模が大きい「DMPK/Tox・その他」の売上高を重要な経営指標として、事業拡大を目指してまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

a.市場開拓

 当社グループがこれまで実績をあげてまいりました肝炎治療薬の薬効評価試験は、限定された市場規模であることに加え、新薬の開発状況によっては収束していく可能性があります。一方、急激に拡大しているバイオ医薬領域では、抗体医薬や細胞治療医薬、核酸医薬など新しいモダリティ(治療薬の形態)が新薬開発の主流となるなかで、評価ツールとしてのヒト化動物の重要性はますます高まっています。

 今後、PXBマウスが新薬開発におけるニーズを掴んで事業を拡大成長させるためには、PXBマウスの利用が既存の創薬手法と比較して費用対効果に優れていることに加え、ヒト化動物としての有用性、完成度の高さを周知させる必要があります。これまでの営業活動で一定の成果を挙げてまいりましたが、巨大な市場の中で熾烈な研究開発競争を繰り広げている製薬企業群を相手にPXBマウスの有用性を広く認識させるには、従来の受託試験サービスの提供だけでは十分とは言えません。そこで我々は、新薬候補を多数所有する製薬企業自身が、PXBマウスの有用性について共に研究し、その成果を共有できる場として北米にコンソーシアムを設立し、海外製薬企業と、DMPK/Toxやバイオ医薬開発におけるPXBマウスの有用性に関する研究を続けております。その成果については学会や学術雑誌に順次発表し、当該領域でのプロモーション活動として、販路拡大に活用してまいります。

 

 

b.米国での供給体制の確立

 当社グループはこれまで、国内のアカデミア、製薬企業のみならず、海外の製薬企業とPXBマウスの有用性に関する共同研究を実施してまいりました。この活動の中で製薬企業から提供され使用した化合物は、概ね既知の物質であることで秘密保持が要求されることもなく、また、日本国内という研究開発のロケーションにより制約されることもありませんでした。他方、開発段階にある化合物の取扱いについては、製薬企業において厳重な管理下で秘密保持がなされています。前臨床の段階まで開発の進んだ化合物が社外、特に海外に持ち出されることは容易なことではありません。今後もPXBマウスが恒常的に製薬企業に使用されるには、製薬企業が秘密保持を遵守できると認め開発の一部をアウトソーシングしている特定のCROや顧客である製薬企業へ直接PXBマウスを供給することが、拡大する需要に応える最良の手段と考えられます。

 世界の製薬業界では総売上高の多くはメガファーマによって占められており、これらメガファーマは、全て主要な研究開発拠点を米国に有しています。また米国の西海岸、東海岸では、バイオ医薬領域で研究開発を進めるスタートアップ企業も多数活動しています。このため、当社グループが事業拡大を図る上では、北米での供給体制確立が不可避であると考え、2015年3月より米国Charles River Laboratories,Inc.にPXBマウスの生産委託を開始、さらに2017年11月に当社と同様にヒト肝細胞キメラマウスを生産し、受託試験サービスを行ってきたカナダのKMT Hepatech,Inc.の株式を取得し、完全子会社化しました。今後、KMT Heapech,Inc.でのPXBマウス、PXB-Cells生産に向けて、設備投資及び技術移転等を行い、製薬企業の要求に応えられるようPXBマウスの供給体制を整備するとともに、PXBマウス、PXB-Cells生産に熟知し各種トラブルに対応できる人材を育成し北米での配置を進めてまいります。

 

c.AAALAC認証の取得

 現在、医薬品の創薬工程では、薬効及び安全性等の確認に多くの実験動物が用いられており、今後も研究開発に実験動物が用いられる環境は変わらないと考えております。

 当社におきましては、PXBマウスをはじめとする実験動物の生産・飼育及びこれを用いた試験を実施していますが、近年の動物実験に対して動物愛護が求められる環境を鑑みて、実験動物倫理委員会を設置し、飼育及び試験時の苦痛の軽減の取り組みや飼育環境の整備を行い、各動物実験の審査・承認・査察を行ってまいりました。

 今後、当社がグローバルな事業展開を行う上で、製薬企業から動物福祉についての整備も、より一層求められることが予想できることから、客観的な外部機関による評価が必要だと認識しております。従いまして、国際的に動物管理及び使用に関する評価を行っているAAALAC International (国際実験動物ケア評価認証協会)の認証の取得を目指し、順次、設備投資を行ってまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)PXBマウス事業への依存について

 当社グループの売上高は単一事業であるPXBマウス事業のみとなっており、同事業に依存した収益構造となっております。経営資源を集中させることにより収益規模を拡大させることを目指しておりますが、今後、他社との競争によりPXBマウス事業の売上高が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)抗肝炎ウイルス薬の新薬開発動向とDMPK/Tox領域の市場開拓について

 2019年3月期において当社グループの売上高の約6割を占める抗B型肝炎ウイルス薬の薬効評価試験等につきましては、限定された市場であり開発を行っている製薬企業数も限られていることから、当社グループの業績も当該製薬企業の開発状況に依存しております。従いまして、当該製薬企業の開発状況によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、今後これらの製薬企業において研究開発が進み、有力なB型肝炎ウイルス薬が上市されますと、同領域の市場は収束していくと予測しております。このため、当社グループでは、本来ターゲットとしているDMPK/Tox領域での市場開拓を進めており、戦略的にプロモーション活動等の施策を実施する計画であります。しかしながら、これらの施策に対して期待される効果を得られなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)大学等の公的研究機関との関係

 当社グループの主要な販売先である大学及び公的研究機関は、その研究資金の大部分を科学研究費補助金など公的な補助金及び助成金に依存しております。現在、海外製薬企業を中心に民間企業への販路が拡大しているものの、今後の計画も大学及び公的研究機関に対する売上を見込んでおり、科学研究費補助金等の削減又は制度の変更により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)国立大学法人広島大学との共同研究について

 当社グループは、自社での研究活動の他、国立大学法人広島大学と共同研究を実施しております。

 また、同大学は主要な顧客でもあり、2019年3月期において当社グループの売上高の6.7%を同大学が占めております。当社グループは、今後も同大学との間で良好な関係を維持し、共同研究を継続していく方針でありますが、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により取引が困難となった場合、当社グループの事業に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)大規模試験の実施について

 当社グループで行う受託試験サービスのうち、肝炎関連試験は長期間の試験となるため、総売上高の5%を超えるような大規模試験となる場合があります。受託試験サービスは、クライアントと試験計画を協議した上で、試験計画書に基づき実施しておりますが、予期せぬトラブル又は不可抗力により試験期間が遅延することがあり、これらが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)生産設備の事故、故障、感染症の発生について

 当社グループの事業は、マウス、ラットなど動物を扱う事業であり、これらは当社グループの研究施設及び生産施設内のクリーンルームで外部の病原菌からの感染を防止するなど、厳重な管理体制のもと飼育し、また不測の事態を考慮して複数の施設に分散する等リスク軽減のための処置を施しております。しかしながら、予期せぬ天災、環境設備の故障及び事故等で施設が損傷を受けた場合、又は動物に感染症等が発生した場合、当社グループの事業に重大な影響を与える可能性があります。

 

(7)ヒト肝細胞の入手について

 当社グループの主要な製品であるPXBマウスはヒトの肝細胞を移植しております。移植に使われるヒト肝細胞は、国内での入手は行えず、代理店を通じて国外業者から輸入しております。今後、仕入価格の高騰、法規制等でヒト肝細胞の入手が困難になった場合PXBマウスの生産に制約を受け、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)小規模組織であることについて

 当社グループの組織は2019年3月31日現在で取締役7名、監査役3名、従業員72名と小規模であり、内部管理体制も当該規模に応じたものであります。今後の事業拡大に伴い、計画的な人員の増強と内部管理体制の充実を図る方針でありますが、必要な人員を確保できない場合、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)技術者の確保、育成について

 当社グループの事業は特殊性が高く、かつ専門性が高いため、技術育成に期間を要します。また、技術の個人依存度が高いため急な増員が難しく、技術者が大幅に流出した場合には当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(10)税務上の繰越欠損金について

 当社グループは2019年3月31日現在、1,096,890千円の税務上の繰越欠損金を有しております。従いまして、当社グループの業績が順調に推移し当期純利益が計上された場合でも、当該繰越欠損金が解消されるまで課税される税金負担が繰越控除の限度内にて軽減されると考えております。しかしながら、当該繰越欠損金が解消された以降は税負担が増加し、当期純利益に影響を与えることが予想されます。

 

(11)調達資金の使途

 上場時に調達した資金は、主に米国でのPXBマウス事業のプロモーション活動(製薬会社と共同でヒト肝細胞キメラマウスの有用性の検証を行うコンソーシアム)及び米国子会社の人員増強等、米国での事業拡大を目的とした投資を充当しております。しかしながら、これらの投資に対して収益が直ちに結びつく保証はなく、結果、期待される利益に結びつかない可能性があります。

 

(12)研究開発について

 当社グループは、開発競争の激しいバイオ産業のなかで収益力を維持するためには、技術の独自性及び先進性を保ち、顧客のニーズにあったサービスを提供できるよう技術開発を行う事が重要だと認識しております。

 当社グループにおいて研究開発費は大きなウエイトを占めており、将来を見据えながら先行して研究開発及び設備投資を実施しております。しかしながら、研究開発が期待通りの結果を得られない場合は、先行して投資した研究開発費及び設備投資費を回収できない可能性があります。

 

(13)知的財産権について

 当社グループの属するバイオ産業は、技術進歩は著しく速く、日々新しい技術開発が進んでおります。当社グループの技術に関して第三者の知的財産権の侵害は存在しないと認識しておりますが、今後、知的財産権の侵害を理由とする当社グループへの訴訟が発生しないとは限らず、このような事態が発生した場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(14)配当政策について

 当社は創業以来、累積損失を計上しており利益配当を実施しておりません。

 当社は、事業の確立に向けて研究開発及び設備投資を実施している段階であり、投資した研究開発及び設備投資費用を回収するまでには至っておりません。さらに今後、生産体制を強化するため設備投資を実施する計画であります。しかしながら、当社は株主への利益還元も重要な経営課題であると認識しており、事業の確立、経営基盤の安定及び累積損失の一掃後に、内部留保を勘案しながら還元していく方針であります。

 

 

(15)為替相場の変動について

 当社グループは販路拡大を目的に、米国を中心に海外製薬会社に対し積極的にPXBマウスを用いた受託試験サービスを展開しております。海外製薬企業と受託試験サービスの契約を締結する場合は、外貨建取引によっております。通常、これらの受託試験サービスは、契約の締結から試験終了後の決済までに数ヶ月を要するため、為替リスクを有しております。このため、為替相場が円高傾向になりますと、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。当社グループは、為替リスクの低減に努める所存でありますが、為替相場の変動リスクを完全に排除することは困難であり、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(16)技術革新について

 当社グループの属するバイオ産業は、開発競争が激しく、技術革新が急速に進んでおります。当社グループの主要な製品であるPXBマウスは、ヒト肝細胞の置換率が70%以上という高置換率を誇っており、医薬品開発において有効な技術であると認識しております。しかしながら、今後これに代わる優れた技術、又は価格競争力に優れている技術が開発され、当社グループ技術の優位性を失った場合、技術の陳腐化、又は価格競争にさらされる恐れがあります。

 

(17)競合について

 PXBマウス事業の基幹技術である「ヒト肝細胞を持つキメラマウス」を安定生産するには、高い技術力と生産に係る経験を基礎とするノウハウを要するため、参入障壁が高いと考えておりますが、市場拡大が期待されることから、今後、他社が参入する可能性があります。競合他社が参入し当社の優位性が低下した場合、価格競争にさらされて、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(18)法的規制について

 当社グループでは、PXBマウスの生産で遺伝子組換え生物等を取り扱っており、国内においては遺伝子組換え生物等を用いる際の規制措置を定めた「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に則り、事業を行っております。製品(PXB-cells)の販売につきましては、経済産業省から第二種使用等拡散防止措置確認を取得して産業利用を行っております。また、米国での生産につきましても、現地法令等に則り事業を行っております。

 当社グループでは、施設の保全、リスク管理並びに従業員への教育訓練等を実施し、法令等を遵守していく所存でありますが、事故による拡散及び法規制の強化等により、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(19)支配株主等について

 当社の親会社である三和商事株式会社は、2019年3月31日現在、当社発行済株式総数の34.49%(1,008,000株)を所有し、当該親会社の緊密な者である森本俊一氏は、当社発行済株式総数の17.31%(506,000株)を所有しております。また、同氏は、当社のその他の関係会社である三和澱粉工業株式会社の緊密な者でもあります。

 現在、これら支配株主等との関係については大きな変更を想定しておりませんが、将来において、支配株主等との関係に大きな変化が生じた場合は、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)新株予約権による株式価値の希薄化について

 当社は、役員、従業員及び社外協力者に対しインセンティブ付与のため、新株予約権の発行及びストック・オプション制度を採用しております。2019年3月31日現在における新株予約権の目的となる株式の数は222,000株であり、発行済株式総数の7.6%に相当します。

 また、今後も優秀な人材を確保するために、ストック・オプション制度を活用していく可能性があり、現在付与している新株予約権に加えて、今後付与する新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(21)のれんの減損について

 当社グループは、KMT Hepatech,Inc.の株式取得に伴い発生したのれんを連結貸借対照表に計上しております。当該のれんにつきましては、将来の収益力を適切に反映したものと判断しておりますが、事業環境の変化等により期待する成果が得られない場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善する中で、景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、米中貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱問題、中国経済の減速など世界経済の不確実性が高まっており、先行きは不透明な状況にあります。

 当社グループの顧客が属する医薬品業界では、世界人口の増加と新興国の所得水準の向上を背景として市場は成長しておりますが、特許切れによる後発薬の台頭、新薬開発の長期化等により製薬企業の収益性は厳しさを増しております。一方で、潤沢な資金を持つ大手製薬企業は、新たな収益源を求めて有望なパイプラインには積極的に投資する等、M&Aによる業界再編が活発な状況にあります。このような状況を背景に、製薬企業では新薬開発を迅速かつ効率的に実施するために、臨床試験等の開発業務を外部のCRO(開発業務受託機関)へ委託するケースが増えており、当社グループがターゲットとしている前臨床試験におきましても製薬企業の外部委託は拡大傾向にあります。

 このような状況のもと、当社グループはマウスの肝臓の70%以上がヒトの肝細胞に置き換えられたヒト肝細胞キメラマウス(当社製品名:PXBマウス)を用いた受託試験サービスを提供しており、世界の大手製薬企業が研究開発拠点を置く米国を中心とした海外市場の拡大に注力してまいりました。

 現在の主力である肝炎試験(薬効評価)においては、製薬企業での抗B型肝炎薬の開発状況に進展が窺え、特に海外市場で引き合いが活発となってきており、受注高は前年下期からの好調を維持し、売上高は前年同期を大きく上回りました。また、多くの新薬が対象となることから当社グループの成長分野として位置付けるDMPK/Tox試験(薬物動態関連試験、安全性試験)においては、新世代の医薬品として注目されているバイオ医薬分野でPXBマウスを利用した試験が増加しており、売上高及び受注高は前年同期を上回りました。一方、損益面ではPXBマウスの海外生産拠点として設備投資を行っている子会社のKMT Hepatech,Inc.で多額の先行費用が発生したことや新たな疾患モデルマウスの作製を目的とした南カリフォルニア大学との共同研究を開始したことにより研究開発費が大幅に増加し、営業赤字となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高1,228,363千円(前年同期比36.1%増)、営業損失311,934千円(前年同期は営業損失268,618千円)、経常損失279,684千円(前年同期は経常損失267,227千円)、親会社株主に帰属する当期純損失297,499千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失270,791千円)となりました。

 なお、当社グループは「PXBマウス事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ276,248千円減少し、656,689千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、使用した資金は159,534千円(前連結会計年度は187,197千円の支出)となりました。これは主に前受金の増加49,196千円、未払金の増加39,580千円があった一方で、税金等調整前当期純損失295,150千円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は64,625千円(前連結会計年度は451,611千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出63,819千円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は64,743千円(前連結会計年度は62,995千円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出56,004千円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

PXBマウス事業

352,092

88.6

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

PXBマウス事業

1,254,403

107.9

405,944

110.7

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.外貨建て取引の受注高につきましては、受注時の為替レートにより、また、受注残高につきましては、当事業年度末の為替レートによりそれぞれ換算しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

PXBマウス事業

1,228,363

136.1

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Gilead Sciences,Inc.

126,010

14.0

134,250

10.9

国立大学法人広島大学

102,513

11.4

82,010

6.7

Hoffmann-La Roche Ltd.

95,612

10.6

60,235

4.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたりましては、過去の実績や現在の状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、海外市場において主力である抗肝炎ウイルス薬の開発が進展していることに伴い、売上高は前連結会計年度と比較して325,997千円増加の1,228,363千円となりました。また、販売費及び一般管理費については、子会社であるKMT Hepatech,Inc.の生産準備に伴う費用の取り込み並びにのれんの償却の発生、人件費の増加等により、前連結会計年度と比較して388,927千円増加し1,163,279千円となりました。この結果、営業損失は311,934千円経常損失は279,684千円、親会社株主に帰属する当期純損失は297,499千円となりました。

 

・当社グループの資本の財源及び資本の流動性

 当社グループの主な資金需要は、事業に係る運転資金の他、PXBマウスの生産設備、受託試験及び研究開発のための実験機器等の設備投資資金であります。運転資金につきましては内部資金を活用し、設備投資資金につきましては、投資規模により資金調達コストを勘案の上、内部資金の活用の他、金融機関からの借入金、リースによる調達によっております。

 当社グループは、今後も北米でのPXBマウス生産のための設備投資をはじめ、継続して設備投資を実施していく方針でありますが、資金につきましては内部資金の活用に加えて、必要に応じて財務基盤の健全性を担保しながら金融機関からの借入等による資金調達を行っていく方針であります。

 

・経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの事業は、PXBマウスを用いた受託試験サービスを中心に展開してまいりました。「PXBマウス」は抗肝炎ウイルス薬の薬効評価ツールとして市場から高い評価を得ており、肝炎分野の受託試験サービスは、現在の売上構成の過半を占めております。しかしながら、今後、優れた抗肝炎薬が上市された場合、市場が収束すると予想されることから、当社グループでは、ほぼ全ての医薬候補が対象となり、より大きな市場であるDMPK/Tox分野でのPXBマウスの普及に努めております。同分野での普及のためには、学術データとして実績が求められることから、当社グループでは、国内外の製薬企業、大学並びに研究機関と、同分野でのPXBマウスの有用性についての共同研究を進めており、今後も、PXBマウスの有用性検証、用途開発及び新たな疾患モデルの開発等を進め、DMPK/Tox分野での認知度向上に努めております。また、当社製品の普及のため、従来の受託試験サービスに加えて、PXBマウス及びPXB-cells等の製品販売を国内外で拡大していく計画であります。

 当社グループでは、分野別の売上高を重要な経営指標として位置づけております。

 

分野別

当連結会計年度

(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)

売上高(千円)

前年同期比(%)

肝炎分野

730,300

145.3

DMPK/Tox・その他

498,062

124.5

 

4【経営上の重要な契約等】

 

共同出願に係る発明の不実施補償

相手先の名称

対象発明の内容

契約内容

契約日

契約期間

公益財団法人

東京都医学総合研究所

ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータートランスジェニックマウス

当社、公益財団法人東京都医学総合研究所及び中外製薬株式会社の三社共同出願した本発明に係る知的財産権を当社が独占的に商業実施することによる不実施補償

2016年2月22日

2016年4月1日から

2032年4月27日まで

中外製薬株式会社

(注)1.本マウスを商業実施に用いた匹数により不実施補償料を支払っております。

2.本マウスは、PXBマウスの生産において使用しているホスト動物であるurokinase-type plasminogen activator cDNAトランスジェニックマウス(cDNA-uPA)であります。

 

5【研究開発活動】

 PXBマウスの潜在的な市場を具現化するには、創薬工程における実験動物としての用途開発をすることが必要であります。特に、非臨床試験のうち薬物代謝試験及び安全性試験の新たな評価ツールとしてPXBマウスを用いた試験手法は将来有望であり、PXBマウス単体の付加価値は実験動物としての限界がありますが、用途開発によって高収益体質を持続可能なものにできます。PXBマウス事業の研究開発活動はこの用途開発に注力し知的財産権の確立を目指しております。

 当連結会計年度の研究開発費は、PXBマウス事業に係るものであり、総額は345,585千円となっております。