第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、理念体系として以下を掲げております。

 

企業理念:         『子ども達の未来のために』

ビジョン:         『2030 トリプルトラスト』

-2030年 職員と保護者と地域に最も信頼される存在になり、

 子ども達の育ちと学びの社会インフラになる

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

わが国では、女性の社会進出に対する意識の変化や政府による女性の活躍推進などにより、共働き世帯数の割合が年々上昇しているほか、25~44歳の女性の就業率は7割近い高い水準を保っています。このような社会的背景により待機児童数解消の要請に応えるべく、政府は2021年度から2024年度末までの4年間に新たな保育の受け皿約14万人分の確保を目標とした「新子育て安心プラン」を2020年12月に打ち出し、引き続き保育所の増設を進めております。その結果、待機児童数は下表のとおり減少傾向を示しており、保育サービスは量的な踊り場を迎えている可能性があります。

保育サービスへの量的な需要が減少しても、『選ばれる園』の需要は継続すると想定しております。当社グループでは『選ばれる園』とすべく『グローバルキッズ保育』を基礎に保育の質を高めるほか、利用者の利便性の向上、教育コンテンツの提供等に努めてまいります。

このような保育需要の転換点を踏まえ、当社グループでは、持続的な成長に向けた『中期経営計画(2024)』において、以下のとおり方針を掲げたうえで3つの重点テーマに取り組んでまいります。

 

(中期経営計画(2024)の基本方針)

創業以来の「事業拡大」フェーズから「事業拡大と事業複線化」フェーズへ移行し、以下3つを基本方針としたうえで新たな事業戦略を支えるICT機能、財務・資本戦略を一段と強化いたします。

・規模拡大     オーガニック成長に加え、M&Aも活用した保育事業の拡大

-新規開設とM&Aによる規模拡大

-新規事業拡大による保育事業との売上シナジー発現

・機能拡充     新事業における基盤固め

          収益源の多様化に加え、保育事業の競争力向上に貢献

-既存事業への付加価値として教育、子育て支援サービス、物販の3つの領域への取り組み

 ・基盤強化     ICTの戦略的活用による生産性の向上、付加価値の創造

-デジタル活用による業務改革の推進

-働きやすい職場環境、選ばれる施設に向けた革新的なサービスの提供

           財務健全性、成長投資、株主還元のバランス

-財務健全性を堅持し、成長投資と株主還元を両立

 

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、2022年9月期から2024年9月期を最終年度とする『中期経営計画(2024)』のなかで、最終年度にあたる2024年9月期における目標計画として①売上高310億円、②EBITDA21億円を掲げております。

『中期経営計画(2024)』の初年度である2022年9月期の進捗は次のとおりです。売上高は、新規開設見込みが想定を下回り、一部不採算事業の譲渡、閉鎖により伸び悩んでいます。一方、当社が最も重視しているEBITDAは、収支改善の取り組みにより営業利益が前期比22.9%増と拡大したことで同8.6%増の1,548百万円と着実に増加しております。

 

 

2022年9月期(実績)

2024年9月期(目標)

売上高(百万円)

 うち、保育周辺領域+新規事業

24,352

31,000

3,000

EBITDA(百万円)

1,548

2,100

 

※EBITDA=営業利益+減価償却費

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

我が国は、成長戦略の一つとして女性が輝く日本を念頭に「待機児童の解消」、「職場復帰・再就職の支援」、「女性役員・管理職の増加」に向けた対策が進められています。このように保育事業に対する関心が集まるなかで、当社グループとしてさらなる事業拡大に向けた重要課題として以下の点に取り組んでまいります。

 

① 保育の質の維持・向上

保育士の質の維持・向上のため、優秀な人材の採用や育成の強化、及び、諸施策を通じた長期雇用の促進を図ります。具体的な施策として、各職位における職務内容や人事評価制度の精緻化、処遇改善等を検討するほか、第三者評価を通じた利用者からの指摘事項の改善等を定期的に行います。また、当社グループの保育方針をより一層浸透させるため、施設長や本部スタッフに対する研修の実施を進めてまいります。

さらに、休暇制度の拡充や社員寮等の福利厚生などの人事制度の整備に加えて、処遇改善等を通じた魅力ある就労環境の提供を通じて人材の長期雇用に努め、安定した保育を提供できる体制を整えてまいります。

こうした施策の推進に加えて、当社グループとして目指す保育である『グローバルキッズ保育』を確固たるものとし、これを各施設に浸透させることで保育の質の底上げを図ります。

 

② 人材育成力の強化

子ども・子育て支援制度などの国や自治体の保育方針に関する勉強会や保育士試験の講座、アレルギー研修等、各職位に応じた研修カリキュラムの充実や研修参加の推奨により、施設長等、管理職水準の人材の早期育成体制の強化を目指します。また、近年は新型コロナウイルスの影響で実施しておりませんが、ヨーロッパの保育所における現地の多様な保育を学ぶ海外研修を通じて、当社グループにおける保育の幅を広げる取り組みを行う方針です。

 

③ 採用力の強化等を通じた人材の確保

運営施設数の増加により、保育士資格を有する優秀な人材の確保が急務であります。しかしながら、保育士資格を有する求職者が不足していることから、特に首都圏においては、採用が困難な状況です。これまでは、当社が強みを持つ経験者の採用を中心に人材を確保してまいりましたが、新卒者の採用にも一段と注力することで採用力の強化に努めます。また、当社グループの職員からの保育士等の紹介・推薦によるリファラル採用に力を入れるなど、採用の多様化や採用コストの抑制にも注力しております。なお、人事制度の整備等により長期雇用に努めることで採用コストを抑えてまいります。

 

 

④ 戦略的な地域展開

当社グループは、これまで待機児童が集中する東京23区などの首都圏都心部を中心に認可保育所の拡大に努めてまいりました。今後、少子化や待機児童の解消により児童等の獲得が難しくなる懸念がありますが、首都圏都心部においては、他の地域に比べ園児の確保に優位性があると見込んでおります。また、国基準で運営している認可保育所は、認可外保育所に比べ児童が集まりやすい傾向があります。今後も、経営資源を首都圏都心市部の認可保育所に集中することで生産性の向上に努めていく方針です。

[全国及び東京都における待機児童数]

 

 

2020年4月1日時点

2021年4月1日現在

2022年4月1日現在

待機児童数

割合(%)

待機児童数

割合(%)

待機児童数

割合(%)

東京都

2,343人

18.8

969人

17.2

300人

10.2

全国

12,439人

100.0

5,634人

100.0

2,944人

100.0

 

出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」

東京都「都内の保育サービスの状況について」

⑤ 効率的な事業運営の推進

運営施設数の増加に伴い、備品購入等における規模のメリットの享受や、運営業務の一元化、システム導入等を積極的に推進することで、運営コストを抑制しながら効果的・安定的な事業運営が行えるよう努めます。

 

⑥ 安定的な資金調達の確保と財務基盤の強化

当社グループは、現在、各施設の開発資金や運転資金の確保を、主に金融機関からの借入に依拠しております。今後も、規模拡大を進め、安定した事業運営を行うためにも、諸施策を通じた安定的な資金調達の確保を図るとともに、収益力の向上による財務基盤の強化に努めます。

 

⑦ 事業の拡大と安定化

当社グループの収益は、現在、子育て支援事業に依拠しており、国や自治体の政策等に大きく影響を受けている状況です。当該状況を踏まえ、当社グループでは子育て支援事業以外に保育に関連する周辺事業を中心に収益基盤の拡充に取り組んでおります。具体的には、従来から手掛けている保育所に係るコンサルティング事業、給食受託事業に加えて、習いごと教室等の教育事業、保育所の送迎サービス等の子育て支援サービス事業、おむつのサブスク等子育て世帯の負担軽減につながる物販事業への参入・拡大を検討してまいります。

また、新規の保育施設については、安定的な運営が見込みやすい認可保育所を中心とすること及び、認可以外の既存施設についても認可保育所へと転換を進めることで、収益基盤の一層の安定化に努めます。

 

(5) 経営戦略の現状と見通し

現状の待機児童数の推移及び保育の受皿の拡大ペースに鑑みると、保育の量的な需要拡大が踊り場を迎える可能性がありますが、質の高い保育、保護者の利便性、教育機能を備えた「選ばれる園」の需要は継続すると想定されます。

このような想定において、2021年11月に『中期経営計画(2024)』を公表いたしました。具体的には、保育の質を高め、おむつのサブスク導入等により利用者の利便性向上を図り、習いごと教室の展開を進めてまいります。

さらに、マーケティング強化による入所率向上に加えて、新規開設、M&Aによる規模拡大を進めるほか、管理強化を進め収支改善を図る方針です。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、子育て支援事業に対する社会的要請に応えるために、「子ども達の未来のために」保育の質向上に積極的に取り組むことが重要との認識でおります。このため、保育士が成長できる職場作りや処遇改善、保育士の社会的な地位向上等に向け取り組んでまいります。

また、先に掲げた3つの重点テーマの推進により、これまで進めてきた事業基盤拡大を生かし、規模経済の最大化を実現する方針です。

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下の記載事項は特に断りがない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 少子化や待機児童減少等に伴う園児数の減少

待機児童解消に向けた取組みを目的とした「待機児童解消加速化プラン」が2013年4月に公表されて以降、新規参入を含む多数の事業者が保育所を開設しております。また、2017年6月公表の「子育て安心プラン」に続き、2020年12月には「新子育て安心プラン」が公表され、女性の就業率の向上に対応すべく、2021年度から2024年度末までの4年間で約14万人の保育の受け皿整備を掲げるなど、引き続き政府による保育や子育て支援に関する対策が行われております。

一方、こうした政府の施策により、2022年4月1日時点での全国の待機児童数は2,944人となりました。加えて、依然として子どもの人口は年々減少しており、将来的には想定した園児数の獲得が困難となる可能性があります。

当社グループの収益は主に園児や児童の人数に応じて増減するため、想定した園児数等の獲得ができない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 国や自治体による方針や関連法規制等の改正等

2000年に認可保育所の運営に株式会社を含む多様な運営主体が認められて以降、子ども・子育て支援制度において、国及び自治体は待機児童解消に向け、様々な支援策を実施しておりますが、今後、国や自治体の方針につき改正等が実施され、補助金の削減や株式会社による保育所の開設が認められなくなる等となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループが現在運営する事業に関連する法規制は、児童福祉法、子ども・子育て支援法及び食品衛生法が主なものですが、今後、当社グループが運営する事業に関連する法規制の制定・改廃等が行われた場合、当社グループの事業活動が制約を受け、業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 認可事業等

当社グループが運営する保育所は、認可保育所や東京都認証保育所などの施設形態に関わらず各施設を所管する自治体宛てに保育所設置の申請を行い、審査を経て、認可等を得た上で運営されております。当社グループが運営する保育所において、過去に認可等の取り消しが発生した事例はなく、本書提出日現在で認可等の取り消しが想定される事象は生じておりませんが、今後、何らかの事由により認可等が取り消された場合や新規施設の認可等が得られないような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 施設運営に際しての事故等

当社グループは、施設の運営において園児や児童の安全に配慮し、万全の体制で臨んでおり、これまでに業績に大きな影響を与えるような事故等は発生しておりません。しかしながら、万が一施設運営に際して重大な事故等が発生した場合、所管する自治体等から事業の停止命令を受けたり、訴訟の提起や風評被害等により多数の園児の退園や児童の退会が生じたりすることで当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 人材確保

当社グループは適正な保育の質維持向上のため、保育士や指導員、スタッフの確保が急務となるため、新卒採用の強化や社内研修体制の整備など、職員の採用強化と長期雇用に向けた諸施策に取り組んでおります。しかしながら、予定した人材の確保に遅れ等が生じた場合、既存施設の運営計画や新規施設の開園計画に遅延等を及ぼす可能性があるため、当社グループの業績にも影響を与える可能性があります。

 

 

(6) 食の安全

当社グループは、給与栄養量(※)の目標を設定し、必要な栄養量が確保できるように献立を作成し各施設にて調理・提供しております。そのため、食品の購入及び検収に留意し、新鮮で栄養価の高い、安全なものを仕入れる方針であります。また、食品衛生法に沿った、厳正な食材管理及び衛生管理を施し、食中毒等の事故の防止に努めております。しかしながら、何らかの原因により食の安全性に重大な問題が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(※)給与栄養量とは、厚生労働省が発表する食事摂取基準に基づく栄養素別の必要量に従い、当社で提供する昼食やおやつにおける必要栄養量を定めたものをいいます。

 

(7) 感染症の流行

当社グループでは、安全な保育及び育成を提供するため、定期的な消毒の実施等により感染症についても厳重に対応しておりますが、新型インフルエンザやノロウイルス、新型コロナウイルス感染症などの感染症が流行した場合、従事する保育士や指導員、スタッフが多数欠勤することで施設の運営が困難となる可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 大規模な災害

当社グループは首都圏を中心に子育て支援施設の運営を行っておりますが、地震や火災等の発生により施設の利用者や従業員、施設の建物等が被害を受けた場合には施設の運営が困難となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 個人情報保護

当社グループでは、園児や児童及びその保護者の氏名や住所など多くの個人情報を保持しているため、厳重に管理のうえ、慎重に取り扱う体制を整えておりますが、万が一漏洩するようなことがあった場合には、利用者を含め広く社会的な信用を失うこととなります。その結果、多くの園児の退園や児童の退会、施設の新規開設等に影響が出ることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 資金調達及び金利負担

当連結会計年度末の借入金残高は3,711百万円、総資産額に占める比率は22.4%となっております。

当社グループは、保育所の新規開設に関する設備資金等は金融機関からの借入により調達しておりますが、外部借入への依存度が高く、急激な金利の変動や計画どおりの資金調達ができなかった場合、規模拡大等の成長投資が制約されるなど当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

なお、当社グループにおいては、運転資金の効率的な調達を行うため複数の取引銀行と当座貸越契約を締結しており、これらの契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は3,680百万円であります。

 

(11) 固定資産の減損

当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す最小単位に基づき、施設を基本単位として資産のグルーピングを行っております。運営する施設の業績が著しく悪化し改善の見込みがない場合、あるいは新規開設から一定期間を経過しても業績改善の見込みがない場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額する減損損失を計上します。減損の兆候の認識及び測定に当たっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

 

(12) 新たに保育所等の施設を開設した場合の経営成績に対する影響

① 新たに保育所等の施設を開設した場合、当社グループの経営成績に対する影響を個々の施設ごとに見ると、一般的な例として以下のような特徴があります。

営業損益・・・開設時には3歳~5歳児等が必ずしも定員を満たさない場合があるため、開設初年度から数年間は営業赤字となることがありますが、児童年齢の持ち上がりとともに年々、改善される傾向にあります。このため、新規開設施設の件数増加や施設規模の大型化は、一時的に営業損益の悪化要因となる傾向があります。

営業外収益・・新規園開設資金のうち一部(内装工事費等)に対して自治体から補助金が交付された場合、営業外収益の「補助金収入」に計上されます。このため新規開設施設の件数増加や施設規模の大型化は、補助金収入(営業外収益)の増加要因となる傾向があります。

営業外費用・・新規園開設資金のうち費用処理されたものが営業外費用の「開設準備費用」に計上されます。このため新規開設施設の件数増加や施設規模の大型化は、開設準備費用(営業外費用)を増加させる可能性があります。新規施設の開設準備については計画的に行っておりますが、想定外の費用が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこれまで積極的な新規開設を行ってきたため、経営成績における新規開設の影響が大きくなっていましたが、運営施設数に対する新規施設数の割合が減少するに伴い、今後は影響が徐々に緩和されるものと考えています。

② 自治体からの補助金により固定資産を取得した場合には、税務上、固定資産の取得価額から補助金の額を控除することが認められています(「圧縮記帳」と呼ばれます)。財務会計において圧縮記帳の方法は2つあり、1つは補助金の額を控除した残額を固定資産に計上し、毎期の減価償却費も控除後の額をもとに計上する方法です(「直接減額方式」と呼ばれます)。もう1つは補助金を収益計上し、固定資産は補助金控除前の金額で計上する方法です(「剰余金処分方式」と呼ばれます)。

当社グループは剰余金処分方式を採用しております。剰余金処分方式の場合においても、利益剰余金と税額の計算により、税務上の効果は直接減額方式と同様になります。しかし直接減額方式を採用する場合と比較すると、新たに保育所等を開設した事業年度においては補助金収入が計上されるものの、その後の減価償却費は多額に計上されることになります。当社グループでは保育所等の減価償却費を売上原価に計上し、補助金収入を営業外収益に計上しているため、新規開設の影響が大きかった2014年9月期までは、減価償却費の負担等により営業損失を計上し、営業外収益の補助金収入等により経常利益を計上しておりました。

2015年9月期からは、既存保育所等の増加を含め収益基盤が安定したことにより、営業利益を計上しております。

株式移転前の実質的な統括会社であった株式会社グローバルキッズ連結及び当社連結の営業利益、補助金収入(営業外収益)、経常利益は以下のように推移しています。

 

決算年月

2017年9月

2018年9月

2019年9月

2020年9月

2021年9月

2022年9月

営業利益

(百万円)

407

337

173

477

576

707

補助金収入

(百万円)

1,586

2,006

2,065

606

761

642

経常利益

(百万円)

1,477

1,917

1,786

916

1,148

1,179

 

 

 

(13)投資に関するリスク

中長期的な観点から、事業戦略、取引関係の維持・強化、円滑化を通じて、当社の企業価値の増大に資すると認められる株式について保有する場合があります。その実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容やリスクを検討したうえで決定しておりますが、実施後の事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断された場合には、のれん等の無形固定資産や投資有価証券等の減損損失を認識することにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク

当社グループは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、当社グループの業績向上に対する役職員の意欲を高めることを目的として、ストック・オプション(新株予約権)を発行しております。2022年9月末現在、新株予約権による潜在株式総数44,000株であり、発行済株式総数9,405,341株の0.5%に相当します。今後これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

はじめに、当社連結子会社である株式会社グローバルキッズは、同社が運営する認可保育所及び認証保育所において、同社本部関与の下、施設での勤務実態の無い職員について在籍しているかのように、名簿、出勤簿等を偽造し、各行政区に対して虚偽の報告を行っていたことが判明しました。これにより当社グループは、再発防止に向けた取組みを行うとともに、責任の所在を明確化するために経営体制を刷新、取締役2名は辞任、代表取締役社長は報酬減額を行いました。当該不正行為につきまして、株主の皆様、お取引先様、利用者様、行政及び関係者の皆様をはじめとした当社グループの全てのステークホルダーの皆様に、多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことに対しまして、深くお詫び申しあげます。なお、同社は返還金等の納付と再発防止策を順次実行しております。

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績

わが国では、少子高齢化が進行し労働人口の減少への対処が喫緊の課題となっており、経済の活力の担い手と期待される女性の社会進出や活躍推進を支えるインフラとして、子育て事業者は引き続き重要な役割を担っております。

待機児童の解消に向け、政府・自治体は保育の受け皿拡大を目的に保育士確保や保育所整備の施策を講じております。具体的には、2019年10月には幼児教育・保育無償化が開始され、2020年12月には政府が「新子育て安心プラン」を公表し、2021年度から2024年度末までの4年間に保育の受け皿を新たに約14万人分確保する目標を打ち出しました。

こうした政府の取り組みにより、待機児童数は減少傾向にありますが、今後保育サービスの量的な需要が踊り場を迎えても、質の高い保育、保護者の利便性、教育機能を備えた「選ばれる園」の需要は継続すると想定されます。

また、政府は子どもに関する政策を一元化し、子どもに関する取り組み・政策を社会の中心に据える「こどもまんなか社会」を掲げる「こども家庭庁」を、2023年4月に発足させる見通しです。「こども家庭庁」設置を契機とし、子育て関連支出の対GDP比の引き上げや保育士の処遇改善・社会的地位向上を図るなど、子ども重視の政策姿勢はより強まっております。

こうした状況のもと、当社グループは東京都及び神奈川県において、新規施設の開発を進め、当連結会計年度に以下のとおり認可保育所6施設(うち1施設は認証保育所からの認可移行)を開設しております。

この結果、当社グループは当連結会計年度末時点で認可保育所141施設(東京都103施設、神奈川県28施設、千葉県4施設、埼玉県1施設、大阪府5施設)、認証保育所・認定こども園等保育施設20施設、学童クラブ・児童館10施設、児童発達支援事業所3施設の計174施設を営んでおります。

 

(認可保育所)

東京都

グローバルキッズ松陰神社駅前保育園

グローバルキッズ浜町園

グローバルキッズ豊洲園

グローバルキッズ松島園

グローバルキッズ東伏見園

神奈川県

グローバルキッズ新子安第二保育園

 

上記の結果、当連結会計年度は、売上高24,352百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益707百万円(同22.9%増)、経常利益1,179百万円(同2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純損失314百万円となりました。

なお、当連結会計年度は当社グループの目標とする経営指標である『中期経営計画(2024)』の1期目に当たり、2022年9月期の計画値である売上高24,900百万円、営業利益940百万円と比較した達成率は売上高97.8%、営業利益75.3%となりました。

 

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動による資金の増加1,503百万円、投資活動による資金の減少705百万円、財務活動による資金の減少821百万円により23百万円減少し、1,303百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純損失の計上により484百万円、未収入金及び契約資産(前連結会計年度までは「未収入金」として表示)の増加により428百万円、法人税等の支払いにより350百万円がそれぞれ減少した一方で、減損損失及び減価償却により2,517百万円増加したことで、1,503百万円の資金の増加となりました。

また、前連結会計年度と比較して獲得した資金が268百万円増加しております。これは、税金等調整前当期純損益が1,300百万円減少した一方で、減損損失が1,418百万円増加、法人税等の支払額が219百万円減少したことが主因です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

建設協力金の回収による収入により21百万円、有形固定資産の取得による支出728百万円を主因として705百万円の減少となりました。

また、前連結会計年度と比較して資金の支出が201百万円減少しております。これは、有形固定資産の取得による支出が57百万円減少、敷金及び保証金の差入による支出が91百万円減少した一方で、敷金及び保証金の返還による収入が47百万円増加したことが主因です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入金の返済による支出820百万円を主因として、821百万円の資金の減少となりました。

また、前連結会計年度と比較して資金の支出が5百万円増加しております。これは、長期借入金の返済による支出が83百万円、長期借入れによる収入が90百万円それぞれ減少したことが主因です。

 

(2) 生産、受注及び売上の実績

① 生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

② 受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

 

③ 売上実績

当連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)の売上実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは子育て支援事業の単一セグメントであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

子育て支援事業(百万円)

24,352

3.5

 

(注) 1.上記の金額には消費税は、含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度
(自 2020年10月1日
 至 2021年9月30日)

当連結会計年度
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

横浜市

3,320

14.1

3,469

14.2

 

3.上記は、子育て支援事業における同市からの運営に関する補助金収入で、売上計上しております。

 

(3) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、損益又は、資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲の中において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報等に基づき慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(投資有価証券の減損)

当社グループは、投資有価証券のうち、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式並びにその他有価証券のうち、市場価格のない株式等については、実質価額が取得価額に対して50%程度以上下回った場合には「著しく下落した」ものとし、回復可能性が十分な根拠により裏付けられる場合を除き減損処理を行っております。

将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、現状の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収不能が生じ、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し回収可能見込額を計上しております。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。

 

② 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して1,509百万円減少し16,601百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比較して416百万円増加し4,546百万円となりました。これは、未収入金及び契約資産(前連結会計年度までは「未収入金」として表示)が428百万円増加したことが主因です。

固定資産は、前連結会計年度末と比較して1,925百万円減少し12,054百万円となりました。これは、保育所の新規開設により建物及び構築物や機械装置等を新規取得した一方で、減損損失及び減価償却により有形固定資産が1,772百万円減少したことが主因です。

 

(負債)

当連結会計年度末の総負債は、前連結会計年度末と比較して1,218百万円減少し8,233百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比較して5百万円増加し3,217百万円となりました。これは、未払金が55百万円、前受金が34百万円それぞれ増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が66百万円減少したことが主因です。

固定負債は、前連結会計年度末と比較して1,223百万円減少し5,015百万円となりました。主な要因は、長期借入金が754百万円減少したためです。

なお、総有利子負債は前連結会計年度と比べて823百万円減少し自己資本比率は2.7ポイント上昇しております。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して290百万円減少し8,367百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が314百万円減少したことが要因です。

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

売上高は、前連結会計年度に比べ3.5%増収の24,352百万円となりました。

これは前期に実施した一部運営補助金の計上時期変更の反動や企業主導型保育事業の譲渡があったものの、保育所の新規開設や開園2年目を中心に比較的新しい園の園児数充足率向上が寄与したためです。

 

(売上原価)

売上原価は前連結会計年度に比べ3.1%増の21,304百万円となりました。前連結会計年度と比較して、一部の運営補助金の計上時期変更や食材費・水道光熱費上昇等の影響があった一方、園児数増加に伴う増収効果や企業主導型保育事業譲渡・不採算施設閉園等により売上原価率は前連結会計年度の87.8%から当連結会計年度の87.5%と0.3ポイント上昇しました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1.8%増の2,339百万円となりました。M&A等一時的な費用を計上したものの、業務効率化の取り組みにより本部人件費が減少し、販管費率は前連結会計年度の9.8%から当連結会計年度は9.6%へ低下しました。営業利益については、売上高増加に加え売上原価率、販管費率の改善が寄与し、前連結会計年度に比べ22.9%増益の707百万円となり、営業利益率は、前連結会計年度の2.4%から当連結会計年度は2.9%へ上昇いたしました。

 

 

(営業外損益と経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は前連結会計年度に比べ18.7%減の654百万円、営業外費用は前連結会計年度に比べ21.3%減の183百万円となりました。営業外収益が減少した要因は、保育所の新規開設数が縮小したことに伴い、開設に伴う補助金収入が減少したためです。営業外費用が減少した要因は、新規開設数縮小により開設準備費用が減少したためです。この結果、当連結会計年度の営業外収支は471百万円と前連結会計年度に比べ100百万円減少したものの、営業利益の増加により経常利益は前連結会計年度比2.7%増の1,179百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純損失は、484百万円(前連結会計年度は815百万円の利益)となりました。これは特別利益に新株予約権戻入益及びシステム障害に係る受取保険金を計上したものの、特別損失として施設の固定資産に係る減損損失やシステム障害対応費用を計上したためです。親会社株主に帰属する当期純損失は、314百万円(前連結会計年度は481百万円の利益)となりました。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
イ.キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」をご参照下さい。

なお、今後の資金需要のうち主なものは、子育て支援施設等の設備投資、施設の運営費の支払いによるものであります。

 

ロ.財政政策

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。M&A等の成長投資が重要であり、これらの資金需要は内部資金又は長期借入により調達しております。

2022年9月30日現在、長期借入金の残高は3,711百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計3,680百万円の当座貸越契約を締結しております(借入実行残高0百万円、借入未実行残高3,680百万円)。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(事業譲渡)

事業譲渡の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 企業結合等関係」をご参照ください。

 

(重要な契約等の締結又は解除)

当社は2022年10月20日開催の取締役会の決議に基づき、株式会社さくらさくプラスとの経営統合(以下「本経営統合」といいます。)に関する基本合意書(以下「本基本合意書」といいます。)を同日付で解約いたしました。

(1) 解約の理由

2022年7月19日に公表しました「株式会社グローバルキッズCOMPANYと株式会社さくらさくプラスの経営統合に関する基本合意書締結のお知らせ」によりお知らせしたとおり、両社は本経営統合に関する基本合意書を締結しました。その後、本経営統合に向け統合準備委員会を設置し、諸条件につきまして協議を重ねてまいりましたが、両社間においてガバナンス及び経営戦略全般の方向性について見解の相違があり2022年10月に予定していた最終契約の締結が困難であるとの認識に至りました。

(2) 今後の見通し

本経営統合に関する本基本合意書は解約となりますが、将来の協業の可能性も踏まえ、両社間の良好な関係は維持してまいります。

なお、当社においては、留保していた2021年12月21日に公表しました「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」のとおり、「流通株式時価総額」基準の充足に向けて企業価値向上に努めてまいります。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。