当社グループの対処すべき課題は、以下のとおりであると認識しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは「私たちチエルは、子供たちの未来のために世界中の先生の授業をICTで支えます」という経営理念の下、学校現場で子供たちを教える先生方の立場に寄り添い、ICTを活用した教材やシステムを開発・提供することによってICTだからこそできる学びの促進を実現することを使命と認識しております。
(2)経営環境及び戦略
当社グループは、近年整備が進む学校教育のICT環境において、政策動向や現場のニーズをいち早くとらえ、そのニーズにマッチした製品・サービスを提供することで更なる成長と、企業価値の向上を目指しております。
部門別の経営戦略は次のとおりです。
① 学習部門
小中学校では文部科学省の「GIGAスクール構想」の下、児童生徒1人1台端末の整備が進みました。今後は学校現場において、その利活用が進むものと見込まれております。当社としては、インストラクター等の支援体制の構築や、データ利活用製品などクラウド環境にフィットした製品の提供などにより、多様な学びの需要に対応します。また高校・大学では新型コロナウイルス感染拡大の影響からオンライン授業が急速に浸透しつつあります。当社は元来、BYOD環境(Bring Your Own Device:個人所有の端末を使用すること)対応製品の販売促進に努めており、オンライン授業へのニーズを背景に、さらなる拡販に向けて取り組んでまいります。
② 進路部門
高校生が大学や専門学校について理解を深める機会として、これまでは進路相談会など対面イベントが中心でしたが、当社グループのリソースを生かしてICT化を促進します。広告モデルのウェブサイトや、生徒個々人の興味関心にマッチした情報を提供できるサービス等、新媒体をリリースすることで成長を目指します。
③ 情報基盤部門
小中学校・高校では「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」改定を契機に、ネットワーク分離や無害化などの製品需要が増加しております。また大学ではIT機器・サービスの増大に伴う管理の煩雑化を背景に、当社のID一元管理ツールのニーズが高まっております。安全で快適な情報通信環境の構築のため、エンドユーザーの課題を的確に把握し、それを解決する当社製品の提案に努めてまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による各部門への影響及び対応は次のとおりです。
学習部門及び情報基盤部門においては、政府の緊急事態宣言を契機に、オンライン授業・研修の需要及びクラウドサービスの活用頻度が高まっており、これらの需要に対応するeラーニングシステムやID一元管理ツールなどの製品・サービスの販売促進の機会と捉え、提案に努めてまいります。
一方、進路部門においては、臨時休校や外出自粛要請等により、高校またはイベント会場における進路相談会の開催が中止となる影響が生じております。今後は、WEB進路ガイダンスの開催などオンライン企画の充実に努めてまいります。
(3)対処すべき課題等
当社が対処すべき主な課題は以下のとおりです。
① 教育ICT分野における新しい技術・製品への対応
日本の情報通信環境において、今やスマートフォンやタブレット端末は携帯情報端末として広く定着し、無線LANなどの通信インフラの充実を背景にクラウドサービスが急速に普及しました。次世代通信規格「5G」のサービス開始や個人所有の端末を企業や学校に持ち込んで使用する「BYOD」環境の普及など、通信インフラ・デバイス・サービスの3つの要素は、相互に影響を及ぼしながら今も急速な進化を続けています。
当社グループでは、こういった新しい技術や製品が教育市場にどのように影響を与えるのか慎重に見極めながら、多様化するデバイスの特性を生かしたサービスや、クラウドサービスに対応した教材など、新しい製品や教材の開発・提供に積極的に取り組んでまいります。
② 販売代理店との関係構築と販売力の強化
当社グループは全国に営業拠点を設置し、地域に密着した営業に努めております。エンドユーザーである各地の教育委員会や大学への情報提供や提案はもちろんですが、商品・製品の販売を広げていくためにはエンドユーザーの入札に参加する販売代理店との関係構築が極めて重要と考えております。
展示会への出展や情報冊子(チエルマガジン)の配布のほか、パートナー制度の充実や自社セミナーの開催などにより、密にコミュニケーションを取り、協業を進め関係を強化するための施策を実行してまいります。
③ 製品及び販売チャネルのグローバル展開の拡大
国内の文教市場は少子化の影響により長期的には縮小が見込まれております。一方、文教ICT市場で日本を先行する北米や、経済成長が著しい東南アジア諸国など、海外での販売を拡大するため、海外市場に対応した製品ラインナップの強化と販売チャネルの開拓に取り組んでまいります。
④ 優秀な人材の獲得・育成と、組織体制の充実
当社グループが事業を拡大し成長を続けるためには、グループ各社間の協業によるシナジーの創出や、本社機能の統合及び共有による効率化が重要であると考えております。これを達成するために、各業務部門に相応の専門性やスキルを有する優秀な人材を確保することが重要な課題であり、採用活動や人事評価制度の充実等による人材マネジメントを強化してまいります。
また事業規模に応じた内部管理体制やコーポレート・ガバナンスのより一層の充実にも取り組んでまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境に関するリスク
① ICT分野における新技術への対応による影響について
当社グループは、ICT関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、ICT分野における新技術や新サービスは激しく変化しております。これらの変化に対応するため、当社では、積極的に研究開発を行い、新技術への対応を行っております。
しかしながら、研究開発が遅延した場合や、優秀な開発人材の確保が順当に行えなかった場合には、技術革新に適切に対応できない可能性があります。その結果、当社グループの製品開発能力の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 国や地方自治体の施策による影響について
我が国の施策としてICTを活用した教育の情報化が推進されていることから、当社グループの商品・製品が属する市場規模は今後拡大していくことが予想されます。
しかしながら、国の施策が変更された場合には市場の成長が鈍化し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、学校に対する売上高は、導入先の性質上、獲得された予算規模や予算執行状況に大きく影響を受ける可能性があります。
③ CALL/PC教室システムの市場動向による影響について
当社グループは学校教育ICT市場向けに多様な製品を提供しておりますが、2020年3月期において、「CaLaboEX」「CaLaboLX」「S600-OP」等、CALL/PC教室システム市場向けの関連製品群が売上高の約3割を占めております。当社グループでは、同市場が安定的に推移することを見込んでおりますが、急激な環境変化に対応すべく、CALL/PC教室システム市場以外への取組みの強化にも努めております。
しかしながら、CALL/PC教室システム市場が急激に縮小していった場合や、当社グループ製品の市場競争力が低下し、他の製品への切り替えが行えない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 業績の季節的変動による影響について
当社グループの四半期における業績は、第2四半期及び第4四半期において、売上高及び営業利益が偏重する傾向にあります。これは、第2四半期については主力商品・製品の導入先である学校が長期休みに入る時期に導入案件が増加すること、第4四半期については導入先の年度予算の執行等の関係により販売代理店を通じた受注が増加することによるものであります。
当社グループは、当該季節的要因を踏まえた販売計画を策定し、受注の増加が見込まれる時期の売上の確保に努めておりますが、何らかの事情により当該期間の受注が計画通りに獲得できなかった場合や、当社グループが導入機器の設置まで行う受注形態で決算月である3月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 入札制度による影響について
当社グループは、販売代理店制度を採用しており、当社グループの商品・製品の大部分は販売代理店を経由して利用者に販売されておりますが、当社グループの商品・製品は、大学、地方自治体や教育委員会等の機関が作成した「機器仕様書・仕様書」に基づく設備・ICT機器・教材の入札公告(一般競争入札、指名競争入札等)に、販売代理店が入札・応募し、落札することで、利用者である教育機関に導入される流れとなっており、事業の特性上、入札結果が当社以外の要因に左右される性格を有しております。そのため、何らかの要因によって入札の不調、遅延等が起こった場合や、当社グループが想定するような入札結果が得られなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 少子化による影響について
当社グループの主たる市場は、学校教育をICTでサポートする「学校教育ICT市場」であります。そのため、少子化によって長期的には当社製品の利用者が減少する可能性があります。ただし、今後、我が国のICTを活用した教育の情報化推進施策や、少子化に直面した教育機関が質の高い教育を提供するため積極的な情報化投資を推進することが見込まれるため、当面は「学校教育ICT市場」の市場規模は拡大していくものと考えております。
しかしながら、少子化の影響が想定以上に大きく、当社グループ製品の利用者が予想以上に減少し、教育機関の情報化投資が減少した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業体制に関するリスク
① 小規模組織であることについて
本書提出日現在における当社組織は、取締役(監査等委員であるものを除く。)4名、監査等委員である取締役3名、従業員数62名(臨時従業員除く)であり、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制となっております。このため、業容の拡大に応じた人員を確保できず業務遂行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退職した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営陣への依存について
当社代表取締役川居睦をはじめとする経営陣は、各担当業務分野において、重要な役割を果たしております。これら役員が業務執行できなくなった場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは過度に経営陣に依存しない経営体制を構築すべく、組織規模の拡大に応じた権限委譲を進めるとともに、役員及び幹部社員による情報の共有化等を通じて経営組織の強化を図っております。
しかしながら、現時点で何らかの理由により、主要経営陣の業務遂行が困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 優秀な人材の確保や育成について
教育の情報化推進ニーズに応えるため、高度な専門知識を有する優秀な技術者を安定的に確保する必要があります。当社グループでは、必要な技術の習得や開発ノウハウを蓄積するなど、計画的な技術者の育成に努めております。
しかしながら、IT業界における慢性的な人材不足等により、当社グループが必要とする時期に必要な技術者を十分に確保できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 販売代理店施策による影響について
当社グループは、販売代理店制度を採用しております。当社グループの営業部門は、主にエンドユーザーである先生、学生や児童生徒のニーズの収集や、教育システム導入の提案を行っている一方で、当社グループの商品・製品の大部分は販売代理店を経由してエンドユーザーに販売されております。そのため、主要販売代理店の販売状況や経営環境の変化によって、当社グループの売上高が大きく変動する可能性があります。
当社グループは、主要販売代理店と良好な業務関係を構築・維持することで商品・製品の販売拡大に努めておりますが、これらの代理店は他社の競合商品・製品も取り扱っており、主要販売代理店の方針により当社グループの商品・製品の取り扱いが縮小された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ ソフトウエアの調達先に関する影響について
当社グループでは、自社開発製品のほか、ソフトウエアについては他社からOEM供給製品の販売も行っており、主として文教市場でニーズの高いセキュリティ関連製品を、国内外のソフトウエアメーカーから調達し、販売代理店を通じてエンドユーザーである学校等に販売しております。
OEM製品については、OEMメーカーと長期安定的な関係を築きながら、安定的な調達を行っておりますが、何らかの事情により、取引が継続できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ ハードウエアの製造委託先に関する影響について
当社グループは、画像転送システム、無線LAN最適化ソリューション等のハードウエアについては、国内外の他のハードウエアメーカーからのOEM供給を受けて販売することを主流としておりますが、当社グループが提供するハードウエアは、特殊な製造技術を必要とするものではなく、一般的な製造技術で生産可能であり、基本的な設計等については自社で管理していることから、万一供給元であるメーカーの倒産等によって製品供給が困難となった場合であっても、他のメーカーへの切り替えは可能であると考えております。
しかしながら、代替先との契約に長期間を要した場合や、相手国における政治経済情勢の悪化、輸出入及び外資の規制、予期しない法令の変更、テロ・戦争、その他の要因による社会的混乱等があった場合には、当社グループが提供するハードウエアの供給に影響を及ぼすことも考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ M&Aによる影響について
当社グループは、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、当社グループに関連する事業のM&Aを検討していく方針です。M&A実施に際しては、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデューデリジェンスを行い、十分にリスクを吟味した上で決定いたしますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、また事業の展開等が計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 災害・訴訟等に関するリスク
① 自然災害等による影響について
地震、台風、津波等の自然災害、火災、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループの主要な事業拠点である首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自然災害等が発生した場合に備え、体制を整備しておりますが、自然災害等による人的、物的損害が甚大である場合は、事業の継続そのものが不可能になる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大及びそれに伴う全国の高等学校の休校措置により、当社グループの進路部門において実施を予定していた進路相談会・説明会が中止・延期になることで、売上が予定より減少する可能性があります。また、夏季休業時期に予定されていた製品やシステムの導入が延期になる場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 製品の不良による影響について
当社グループは、主要な製品・デジタル教材については社内で開発を行っており、新製品のリリースに当たっては、開発部門と異なる部門が検証を十分に行い、開発・品質管理体制の強化を図っております。また、リリース後 に発見されたバグ等については、迅速に対応しており、大きな問題が生じたことはありません。
しかしながら、ソフトウエア開発はその性質上、プログラム等に生じたバグを完全に排除することは難しく、万が一にも重大なバグが生じた場合、製品を利用することができない可能性があります。
こうした事態が生じた場合、教育現場での混乱や当社製品の信用力の低下を招き、結果的に、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、取引先やエンドユーザーからの損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性もあります。
③ 知的財産権にまつわる影響について
当社グループが提供する製品及びサービスに対して、これまで知的財産権にまつわる侵害訴訟等を提起されたことはありません。当社グループは、第三者の知的財産を侵害しないよう日頃より注意を払っておりますが、当社が認識していない範囲で第三者の知的財産権を侵害し、損害賠償や対価の支払い等を請求された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性もあります。
また、第三者が当社の製品を模倣する等により当社の知的財産を侵害するような場合においては、売上の減少等により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報流出による影響について
当社は、「個人情報の保護に関する法律」における「個人情報取扱事業者」に該当することから、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制の構築・維持の一環として、2010年11月12日からプライバシーマーク(第10823718(05)号)を取得し、個人情報の適切な取り扱いに努めております。
しかしながら、何らかの原因により個人情報が漏えいした場合には、当社グループへの信頼が損なわれ企業イメージの低下を招くなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性もあります。
⑤ システムダウン及び情報セキュリティに係るリスクについて
当社グループのクラウド型教材配信システムである「CHIeru.net」は、インターネット環境が十分に整備されていることを前提に運営しております。また、外部のデータセンター運営会社と協力し、運営に必要なコンピュータネットワーク等について情報セキュリティの強化を推進しております。しかし、インターネット環境が何らかの理由で阻害されたり、従業員・パートナー事業者の過誤、コンピュータシステムの不備、自然災害、コンピュータウイルス、ネットワークへの不正侵入、アクセス増加等の一時的な過負荷等に基づき、重要データの漏えい、コンピュータープログラムの不正改ざん、システムダウン等が発生する可能性があります。
こうした事態が生じた場合、当社グループの教材をWEB上で利用しているユーザーはサービスを利用することができなくなり、当社グループの信用力の低下を招き、結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 法的規制による影響について
現時点で、今後の当社グループの事業そのものを規制対象とする法的規制はないものと認識しておりますが、IT業界の変革は激しく、状況に応じては、今後新たな法令等の整備が行われる可能性があり、その内容によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 財務会計に関するリスク
① 市場販売目的のソフトウエアの評価について
当社グループは「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会平成10年3月13日)に従い、研究開発費の一部について、適切に資産計上及び減価償却を行っておりますが、製品販売戦略の見直し等により当初予定していた収益が見込めなくなった製品が発生した場合には、翌連結会計年度の業績に重要な影響を与える可能性があります。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社グループの株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
当連結会計年度末現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は106,200株であり、発行済株式総数7,869,000株の1.3%に相当しております。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況が継続しました。
学校教育を取り巻く環境としては、2020年度より実施が始まった新たな「学習指導要領」に基づき、ICT環境の整備が進行しております。特に小学校・中学校では政府の「GIGAスクール構想」によって、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備が多くの自治体で達成されました。今後は実際の授業における利活用に焦点が移るものと見込まれています。また高校・大学においても同様の整備が進む一方で、オンライン授業の浸透やBYOD活用の傾向がみられるなど、ICT環境に変化も見られつつあります。
大型イベント等を企画する進路市場においては、コロナ禍前の水準には達しないものの、感染予防対策を徹底しつつ、進路相談会が開催できる状況へと戻りつつあります。しかしながら、新変異株であるオミクロン株が国内においても広がりを見せ、警戒が必要な状況が続きました。
このような市場動向のもと、当連結会計年度の売上高は4,095,498千円(前年同期比0.3%増)、営業利益は592,936千円(前年同期比15.5%増)、経常利益は647,585千円(前年同期比32.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は472,717千円(前年同期比31.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りです。なお、当連結会計年度において、従来「学習部門」に含まれていた製品「InterCLASS Filtering Service」の区分を「情報基盤部門」に変更しております。同製品は、Chromebook対応製品であることから授業支援ツール「InterCLASS Cloud」等とともに「学習部門」の製品と分類しておりましたが、収益に占める金額的な重要性が増したことに加え、製品の機能が「情報基盤部門」の特性に適合することから、区分を変更することといたしました。なお、このセグメント変更に伴い、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分により組み替えて表示しております。
(学習部門)
学習部門においては、GIGAスクール構想の「児童生徒1人1台端末の整備」事業を受けて前期に受注が増加した小中市場向けサービスの契約負債が利用期間に応じて振り替わったことから、前年同期比で売上が大きく増加しました。内訳としては授業支援ツール「InterCLASS Cloud」や運用管理ツール「InterCLASS Console Support」などが占めます。また、高大市場ではeラーニングシステム「GLEXA」が前期に引き続き受注を伸ばすなどした結果、売上高は1,617,846千円(前年同期比37.1%増)、セグメント利益は604,409千円(前年同期比107.3%増)となりました。
(進路部門)
進路部門においては、緊急事態宣言下も、感染予防対策を行いつつ、前年同期を上回る進路相談会が開催され、当連結会計年度における進路相談会の売上は前年同期比で増収となりました。加えて、株式会社昭栄広報の業績は、前連結会計年度には2020年1月1日から2020年12月31日までの12カ月間を計上しておりましたが、連結財務諸表のより適切な開示を図るため、当連結会計年度は2021年1月1日から2022年3月31日までの15カ月間を計上しております。2022年1月1日より2022年3月31日までの業績は営業損失であったため、前年同期比増収の要因となる一方、前年同期比減益の要因となっております。
これらの結果、売上高は1,277,723千円(前年同期比20.7%増)、セグメント利益は35,825千円(前年同期比43.9%減)となりました。
(情報基盤部門)
情報基盤部門においては、小中市場向けフィルタリングツール「InterCLASS Filtering Service」の売上が前年同期比で大きく増加した他、大学の大型案件に伴う統合ID管理システムの売上計上があったものの、GIGAスクール構想「校内通信ネットワークの整備」事業の影響を受けた無線LAN最適化ソリューション「Tbridge」の前期特需の反動により、売上高は1,199,928千円(前年同期比34.9%減)、セグメント利益は436,279千円(前年同期比30.7%減)となりました。
当連結会計年度末における資産の額は、6,384,002千円(前連結会計年度末は5,585,679千円)となり、798,323千円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加855,030千円、投資有価証券の増加162,711千円の他、売掛金の減少417,572千円によるものです。
負債の額は、4,241,908千円(前連結会計年度末は3,582,674千円)となり、659,234千円増加しました。これは主に契約負債(前年度においては前受金)の増加1,021,806千円の他、買掛金の減少158,570千円及び未払法人税等の減少114,781千円によるものです。なお、契約負債の増加は、主に学習部門における運用管理ツール「InterCLASS Console Support」やフィルタリングツール「InterCLASS Filtering Service」などのChromebook対応授業・学習支援システムによるものです。
純資産の額は、2,142,093千円(前連結会計年度末は2,003,005千円)となり、139,088千円増加しました。これは主に利益剰余金が453,211千円増加した一方、自己株式が330,363千円増加したことによるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より735,030千円増加し、4,105,170千円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,548,863千円の収入(前年同期は2,567,530千円の収入)となりました。これは主に、契約負債(前期においては前受金)の増加1,021,805千円及び売上債権の減少417,572千円が計上されたことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、461,026千円の支出(前年同期は352,657千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出211,940千円、定期預金の預入による支出260,000千円が計上されたことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、352,806千円の支出(前年同期は25,800千円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出330,363千円及び配当金の支払額19,412千円が生じたことによるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載は省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は4,095,498千円(前年同期比0.3%増)となりました。内訳は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度は、売上原価が1,335,629千円(前年同期比23.2%減)、売上総利益が2,759,869千円(前年同期比17.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,166,932千円(前年同期比18.4%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は592,936千円(前年同期比15.5%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は57,750千円となりました。当連結会計年度の営業外費用は3,101千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は647,585千円(前年同期比32.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は177,237千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は472,717千円(前年同期比31.1%増)となりました。
b.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
c.経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
d. 経営戦略の現状と見通し
新型コロナウイルス感染拡大によってもたらされた環境変化に対応するとともに、企業の社会的責任を果たすことを重要な経営課題の一つと捉え継続的な成長を目指します。
学習部門においては、GIGAスクール構想の事業等を受けて獲得した契約負債を安定的な収益の基盤とするとともに、顧客基盤を活かした活動等を行うことで利活用を促進し、収益拡大を目指します。
進路部門においては、従来の進学相談会のデジタル化を促進するとともに、進路情報サイトを本事業のプラットフォームと捉え収益化を促進いたします。
情報基盤部門においては、情報基盤の構築から保守・運用までを支援し、安定的な収益増を目指します。
e. 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは、主に学習部門及び情報基盤部門の根幹となる販売用ソフトウエアの優位性を保つため、積極的な研究開発活動を重視しております。具体的には、当事業年度において当社が支出した研究開発費の総額は、
なお、当社グループの研究開発は複数のセグメントに応用が可能な基礎技術に関するものが大半であるため、セグメントごとに区分して記載しておりません。
(1)研究開発の目的
当社の経営理念である「私たちチエルは、子供たちの未来のために、世界中の先生の授業をICTで支えます」に基づいて、研究開発を進めております。具体的には、以下の目的を達成するような研究開発を行っております。
(創造) 授業を進めやすくするために、先生に寄り添った製品を研究開発すること。
(変化) 常に変化する教育業界のニーズを先取りした製品を研究開発すること。
(挑戦) 新しい技術に挑戦しシーズを産み出すような製品を研究開発すること。
(協働) パートナーの製品と連携するような製品を研究開発すること。
(2)研究開発活動の基本方針
上記(1)の目的を達成するために、当社グループの通信技術、画像・音声転送技術を更に研磨するとともに、今後市場動向に沿った新技術に積極的に挑戦し、内外の顧客のニーズに合致した製品を開発できるような技術を効率的に習得することを基本方針としております。また、開発した技術のうち、特異なものについては、特許を出願するようにしております。
(3)研究開発・製品開発体制
製品の研究開発については、当社の学習支援システム企画開発部と情報基盤システム企画開発部が中心になって行っております。学習支援システム企画開発部は正社員7名体制、情報基盤システム企画開発部は正社員10名体制(2022年3月末現在)で、新製品研究、製品化、既存製品バージョンアップ、及び動作検証を行っております。
また、グループ各社においても取り扱う製品・ソフトウエアの領域についてそれぞれ研究開発を行っております。
(4)主要な研究開発課題
(アクティブ・ラーニング対応)
「アクティブ・ラーニング」に適した、タブレット・スマートフォンに対応する語学学修支援・授業支援の製品開発に取り組んでおります。既存製品との連携機能により総合提案を可能とします。
(クラウド対応)
クラウドを利用したeラーニングの市場は拡大しており、これに対応して、当社では既にクラウド上で教材を提供する「CHIeru.net」を提供中であります。「CHIeru.net」上で提供する教材数の増加・機能強化を進め、先生方の学生への教材指定を獲得することにより、教室外での利用促進、新規顧客の取り込み促進に取り組んでおります。
(教材開発)
タブレット対応、アクティブ・ラーニング対応、クラウド対応といった、教材を利用するためのプラットフォーム開発に合わせて、デジタル教材について、各プラットフォームや異なる利用環境での利用を可能とするための開発を行い、既存製品の横展開、新教材の開発、教材量産体制の確立に取り組んでおります。