第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、サステナビリティを経営における最重要課題と位置づけており、「サステナブルな社会の実現を新しい常識で」というPURPOSEのもと、「個人参加型、持続可能エネルギー社会の実現」をビジョンとして事業の推進を行っております。

日本の全電力供給のうち、化石燃料による電力供給を再生可能エネルギーに置き換えるという目標のもと、個人が積極的に参加できる商品開発及び提供を行い、その実現を目指しております。太陽光発電による再生可能エネルギーの創出を軸としたグリーンエネルギー事業を行い、誰でも参画しやすい規格をもって再生可能エネルギーを生み出すことで、個人・地方の力×再生可能エネルギー×DXのクリーンテック企業として更なる成長と、継続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループの目標とする経営指標としては、既存の事業エリアの深耕及び全国エリアへの展開等により売上高を拡大しつつ、2029年4月期に売上高300億円を目標としております。

 

(3) 当社グループを取り巻く経営環境

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へと移行し、社会経済活動の正常化が進む一方で、世界的なエネルギー価格の上昇、電力需給の逼迫、国内のエネルギー事情の混乱等が一段落したことに加え、世界的なインフレに伴い我が国でも賃金上昇を伴う緩やかなインフレの兆しが見受けられる等、景気は徐々に持ち直しの気配を示しつつあります。

そのような状況の中、日本国内の再生可能エネルギー市場では、日本国内における再生可能エネルギー導入に向けた動きも加速しています。経済産業省は2020年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を公表し、再生可能エネルギー電源の比率を50〜60%に高めることを参考値として示しました。その上で、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画においては、2030年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギー比率を36〜38%程度まで高める目標に設定しました。

また、内閣官房GX実行会議が2022年12月22日に策定し2023年2月10日閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」においては、再生可能エネルギーの主力電源化や、GX投資先行インセンティブに向けた炭素排出に値付けをするカーボンプライシングの本格導入に向けた検討を進める方針が示されています。

2023年11月に開催されたCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会合)では、再生可能エネルギーの更なる導入策を協議し、123カ国が2030年までに世界の再生可能エネルギーの容量を3倍に拡大することを誓約する等、再生可能エネルギーの更なる導入による脱炭素化に向けた動きが活発化しています。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、フロービジネスにおける太陽光発電施設及びネットゼロ・エネルギー・ハウスの開発数の最大化による事業規模の拡大により、ストックビジネスにおけるO&M事業等の管理件数の増加及び発電事業の拡大を進めることで、収益性と収益安定性を向上させ、更なる投資拡充を実施し、業容の拡大を図ってまいります。

 

① グリーンエネルギー施設の開発数最大化

a.独自の基準に基づく仕入開発力の強化

b.事業展開エリア内のシェア拡大


② 営業構造の改善

a.省人化運営の業務フロー確立

b.DXによる規格型ローコストモデルの磨き上げ


③ 商品力の強化

a.コスト競争力の更なる向上

b.営農型太陽光発電事業及び系統用蓄電池事業の事業化とNon-FIT発電所モデルの開発

c.ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)標準装備住宅の拡充

 

④ 人財開発・人財への投資

a.幹部候補の育成

b.従業員の成長及び多様なキャリアデザインの支援

 

(5) 会社の対処すべき課題

株式会社GreenEnergy&Companyグループは、2024年5月1日から持株会社化に伴う組織再編を実施いたしました。この再編を通じて、以下の具体的な課題に取り組み、持続可能な成長を目指してまいります。

 

① 再生可能エネルギー市場成長に伴う事業業態の拡大

日本国内の再生可能エネルギー市場は、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から急速に成長しております。政府のエネルギー政策により再生可能エネルギーの導入が促進され、技術革新とコスト削減が進む中、当社も市場の成長に対応するため、事業業態の拡大を図ってまいります。まず、フロービジネスの強化策として、NonFIT発電所の開発・販売体制の拡大・強化と系統用蓄電池事業へ本格的に参入いたします。これにより、再生可能エネルギーの供給安定性を高め、新しい収益源を確立いたします。また、ストックビジネスの拡大を図るために、PPA事業への取り組み強化とO&M事業の品質向上と拡販体制を強化し、安定した収益基盤を築いてまいります。

 

② 専門性の高い人材の確保及び育成

専門性の高い人材を確保し、育成するために、人材採用戦略の見直しを行ってまいります。多様な人材を積極的に採用し、専門知識や技能を持つ人材を引き付けるための施策を実施いたします。さらに、社員教育プログラムを拡充し、従業員のスキルアップを図り、継続的な教育と研修により、専門知識の深化と多様なスキルの習得を促進いたします。また、会社の認知向上を図るために、広報活動を強化し、当社の魅力を広く発信することで、優秀な人材を確保し、企業の競争力を高めてまいります。

 

③ 効率的な経営の実施

効率的な経営を実現するために、業務プロセスの改善を行ってまいります。徹底した業務フローの見直しと最適化により、生産性を向上させ、さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、事業への応用を図り、最新のデジタル技術を活用することで、業務効率化と新たなビジネスモデルの創出を目指してまいります。また、経営指標のモニタリングを強化し、重要な経営指標を定期的に監視いたします。これにより、迅速な経営判断と透明性の高い経営を実現いたします。

 

④ コーポレートガバナンスおよび内部管理体制の強化

コーポレートガバナンスの強化に向けて、現在の取締役会の独立性と多様性を維持しつつ、外部の有識者の知見をより一層活用していくことで、健全な意思決定を支え、企業価値の向上を図ってまいります。また、内部統制システムを強化し、企業の透明性と信頼性を高めるとともに、内部管理体制の強化にも注力し、リスクマネジメントの強化を図ってまいります。定期的なリスクアセスメントの実施により、潜在的なリスクを早期に把握し、対策を講じております。また、内部監査の充実を図り、企業全体の健全性を確保することで、持続可能な経営基盤を築いてまいります。

 

⑤ コンプライアンス体制の強化、意識の向上

コンプライアンス体制の強化と意識の向上を目的に、全社員を対象とした定期的なコンプライアンス研修を実施いたします。法令遵守の重要性を教育し、企業倫理の徹底を図ります。また、内部通報制度を強化し、不正行為の早期発見と是正を促進いたします。これにより、健全な企業文化を醸成いたします。

 

以上の施策を着実に実行することで、株式会社GreenEnergy&Companyグループは持続可能な成長を実現し、株主の皆様にさらなる価値を提供してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。

 

当社グループは、サステナビリティを経営における最重要課題と位置づけており、「サステナブルな社会の実現を新しい常識で」というPURPOSEのもと、「個人参加型、持続可能エネルギー社会の実現」をビジョンとして、事業の推進を行っております。また、個人や社会にとって正しい選択肢を届けていくため、最適解を考え、常識を疑い、新しい手段を取っていくことにチャレンジし続けており、事業を通じて社会の発展に貢献できる新たな価値を生み出し、各個人が幸せになれる選択肢を提案できる企業として世の中に必要とされる存在であり続けたいと考えております。

これらの考え方のもと、サステナビリティを含む環境や社会課題の解決にも積極的に取り組み、持続的成長と企業価値向上を目指してまいります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、持続的な成長と企業価値向上のため、効率性の優れた透明性の高い経営に努め、監査等委員会の監督のもと、法令遵守の徹底、適切な資源配分、意思決定の迅速化などを図っていくことで、中長期的な企業価値の向上を目指しております。また、当社グループは株主総会を最高意思決定機関と位置付け、株主が有する権利が十分に確保され、平等性が保たれるように定款や関連規程の整備、株主総会の運営や議決権行使方法の工夫、株主還元方針の開示などに努めてまいります。

 

(2) 戦略、指標及び目標

気候変動への対応については、当社グループが目指しているグリーンかつ持続可能なエネルギー社会を個人の方々の参加によって構築・実現を図り、社会的課題を解決していくために、再生可能エネルギー発電所の開発や運営規模の拡大を進めることを通じて、徹底したCO²削減への貢献を進めてまいります。

当社グループのサステナビリティへの取組みに係るリスクの評価と対応については、経営資源の有限性の観点から、影響の重要性に応じて取り組むべき優先順位を決定し、目標を設定しております。

また、少子高齢化に伴う労働人口の減少、働き方改革、人材の多様化などの環境の変化により従来にも増して人的資源への適切な対応が喫緊の課題となっております。当社グループではそれらの課題に対応するために下記のような施策を講じておりますが、今後さらに充実した社内環境整備を行ってまいります。

 

1)人材育成

①人材育成方針

 自己変革に挑戦する社員を尊重し、成長・活躍・自己実現の場を提供する。

・社員の成長を促進する教育機会を提供する

・将来の管理職、経営層の育成を行う

・多様な仕事を経験させ、活力を生み出す人材配置を行う

 

②具体的な取組

・研修制度

 当社グループでは、入社時研修等の基本的な研修、テーマに応じた研修の他、ビジネスパーソンとしての基礎力(ビジネス会計、ビジネス法務、ビジネスマネージャー等)育成に向けた階層別研修を行っております。また、資格取得の助成(テキスト補助等)、資格取得時の報奨金制度等により、社員が自ら主体的に学ぶ風土の醸成に努めております。

 

2)女性活躍支援

①女性活躍支援基本方針

 当社の女性比率は、38.9%となっており、業界水準からしても高い水準であり、戦略的な人事制度改革の実践にあたり、女性活躍推進法に基づく自主行動計画を実行しております。女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織及びそれを支援する制度づくりを目的とし、目標達成に向け各種施策を展開しております。

 

②具体的な取組

・働き方改革の継続実施

 テレワーク勤務、短時間勤務等、柔軟な働き方に関わる制度の再整備と拡充・業務効率化のためのDX推進

・育児支援制度:育児短時間勤務制度、時間有給休暇制度、在宅勤務制度、産前・産後休業

 

3)働き方の見直し(社内環境整備)

①働き方に関する方針

 当社グループでは、社員の多様性、人格、個性を尊重し、社員一人ひとりが能力を十分に発揮できる雇用環境の整備を行うとともに、次世代の育成に貢献するため、社員の育児・介護を支援しております。

 また、当社では、社員が生き生きと働ける「働きがい」のある職場を目指し、さまざまな労務管理の改善強化策を実施し、時間勤務やテレワークなどの柔軟な勤務制度など、社員のワークライフバランスを推進するための取り組みを多面的に行っております。

 

②具体的な取組

・男性育児休業取得率の推進

・働き方の柔軟性

 在宅勤務、時差勤務や時間単位の有給休暇制度等、職種や職場環境に応じて活用しやすい制度を整備

・過重労働の防止

 Google Workspaceを活用し、リモート会議やチャット機能による円滑なコミュニケーション、お互いの業務状況を共有することで、業務をシェアし過重労働を防止

・オフィス環境

 コミュニケーションエリア設置等、働きやすいオフィス環境の整備

・グリーン・ウォーキング制度

 公園等(緑のある場所)をウォーキングしながらWeb会議参加

 

③参考指標

・男性育児休業取得率:16.6%

 性別問わず、誰もが仕事と育児を両立できる環境づくりと、会社・部署ぐるみで子育てをサポートする体制の推進として、男性育児休業取得率の推進を行っており、さらなる取得率向上を目指してまいります。また、2024年4月期において、女性社員の育児休業取得率及び復帰率は100%となっております。

 ※男性育児休業取得率(育児休業には出生時育休を含む)

年度内に育児休業を取得した男性社員数÷年度内に配偶者が出産した男性社員数

・有給休暇平均取得日数:12.0日

 計画的付与制度:計画的付与制度を活用して、休暇取得の確実性を高めています。

 特別休暇制度:従業員の様々な事情に応じた特別な休暇制度を導入しております。

 時間単位の有給休暇制度:時間単位での有給休暇付与制度を導入し、柔軟な働き方を支援しています。

 

(3) リスク管理

当社グループは、リスクについて全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、「リスク管理規程」を制定し、リスク管理の最高責任者を代表取締役と定め、直下に経営リスクに関するガバナンス委員会を設置することにより、当社グループの経営や事業活動を取り巻く様々なリスクに対する管理体制の構築を図っております。

 

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

1.GXグリーンエネルギー発電施設工事の遅延について

当社グループが販売しているGXグリーンエネルギー発電施設は、工事が完了し、顧客への引渡し後、電力会社との系統連系時に売上計上しております。従って、自然災害等の要因により工事が遅延し、期中の引渡しに支障が生じた場合や電力会社との系統連系が遅れた場合には、当該期間の売上高が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(注) 系統連系とは、電力会社の電力系統に発電設備を接続することであります。

 

2.個人消費動向等の影響について

当社グループの主たる販売先は個人顧客であることから、個人消費者の需要動向の影響を受ける傾向があります。また、景気動向、金利水準、地価水準等のマクロ経済要因の変動や消費者所得の減少、住宅税制の改正やFIT制度の改正、消費税等の税率変更等により個人消費者の需要が減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

3.政府の施策について

当社グループにおける産業と社会の脱炭素事業は、「改正FIT法」における制度変更やルールの厳格化、系統連系の遅れ等により顧客の購入意欲が減退した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.材料価格の高騰について

当社グループの太陽光発電施設のソーラーパネル等の材料や住宅の建材は、為替相場の変動等により仕入価格が高騰することが考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.外注管理について

当社グループは太陽光発電施設及び住宅の建設について、施工管理業務(品質・安全・工程・コストの各管理)を除き、原則として大工や左官、電気業者、水道業者などの専門業者ごとに直接工事を発注する分離発注の上、外注をしております。これは適切に分離発注することにより適正な競争が行われることを期待し、また、専門工事業者と直接契約することで、工事の進捗等について直接交渉することができ、施工の信頼性と品質の確保が期待できるためであります。

このように施工業務の大部分を外注に依存しているため、販売件数の増加や営業エリアの拡大に伴い外注先を十分に確保できない場合、または外注先の経営不振や繁忙等により工期が遅延した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、国内外の市場の動向等により、資材価格が上昇し、外注先の材料調達状況に影響が及んだ場合、その状況を販売価格へ転嫁することが難しい場合には、外注費の上昇により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

6.契約不適合責任について

当社グループは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、新築住宅の構造上主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分について住宅の引渡日から10年間の瑕疵担保責任を負っております。その他の部分については、「宅地建物取引業法」により住宅の引渡日から最低2年間について契約不適合責任を負っております。加えて「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」により、住宅の瑕疵担保責任履行のための資力の確保が義務付けられております。万が一、当社グループの販売した物件に重大な瑕疵があるとされた場合には、その直接的な原因が当社グループ以外の責によるものであっても、当社グループは売主として契約不適合責任を負うことがあります。その結果、補償工事費の増加や当社グループの信用力低下により、当社グループの業績や事業の展開等に影響を与える可能性があります。

 

7.自然災害等について

地震や台風等の大規模な自然災害の発生時には、被災した自社保有設備や建築現場の修復に加え、建物の点検や応急措置などの初動活動や支援活動等により、多額の費用が発生する可能性があります。

また、社会インフラの大規模な損壊で建築現場の資材等の供給が一時的に途絶えた場合等には、完成引渡しの遅延等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

8.法的規制について

 当社グループの主要な事業内容は、太陽光発電施設及びソーラー発電搭載コンパクトハウスの販売、施工、メンテナンスであり、「電気事業法」「建築基準法」「建設業法」「建築士法」「宅地建物取引業法」「国土利用計画法」「農地法」「特定商品取引法」「電気工事業の業務の適正化に関する法律」「住宅品質確保促進法」「消費者契約法」「不当景品類及び不当表示防止法」「特定商取引法」「割賦販売法」「個人情報保護法」等の法的規制を受けております。当社グループは、この許認可を受けるための諸条件及び関係法令の遵守や社内管理体制の整備に努めており、現状において当該許認可が取消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、法令の改正や新たな法的規制が設けられ当社グループの事業に適用された場合、当社グループはその制約を受けることとなり、業績に影響を与える可能性があります。

 

9.個人情報などの漏洩リスクについて

 当社グループでは、多数の個人情報を取り扱っております。「個人情報保護管理規定」に基づき個人情報の適切な取り扱いに関し体制整備を図っておりますが、個人情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、またその対応のための費用負担が発生し、業績に影響を与える可能性があります。

 

10.代表者への依存について

当社グループは会社の規模が小さく、事業活動における主要な部分を代表取締役社長である鈴江崇文に依存しております。同氏は、当社設立以来の最高責任者であり、当社の大株主であります。同氏は、業界に特化した経験と実績から、当社グループの経営方針や経営戦略及び製品戦略においても重要な役割を果たしており、当社グループ事業の発展に大きく貢献しております。このため、当社グループでは同氏への過度の依存を改善すべく組織的な経営体制を構築中ですが、現時点においては同氏が離職するような事態となった場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

11.訴訟等について

当社グループでは、現時点において業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。

しかしながら、当社グループが事業を継続していくうえでは、知的財産権他多種多様な訴訟リスクが継続的に存在します。

当社グループでは、施工にあたっては近隣対策や周辺環境への配慮を含め品質管理に努め、またその他業務においては各種専門家を利用してリスク管理を行っておりますが、訴訟本来の性質を考慮すると係争中または将来の訴訟の結果は予測不可能であり、係争中または将来の訴訟のいずれかひとつでも不利な結果に終わった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へと移行し、社会経済活動の正常化が進む一方で、世界的なエネルギー価格の上昇、電力需給の逼迫、国内のエネルギー事情の混乱等が一段落したことに加え、世界的なインフレに伴い我が国でも賃金上昇を伴う緩やかなインフレの兆しが見受けられる等、景気は徐々に持ち直しの気配を示しつつあります。

 

そのような状況の中、日本国内の再生可能エネルギー市場では、日本国内における再生可能エネルギー導入に向けた動きも加速しています。経済産業省は2020年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を公表し、再生可能エネルギー電源の比率を50~60%に高めることを参考値として示しました。その上で、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画においては、2030年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギー比率を36~38%程度まで高める目標に設定しました。

また、内閣官房GX実行会議が2022年12月22日に策定し2023年2月10日閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」においては、再生可能エネルギーの主力電源化や、GX投資先行インセンティブに向けた炭素排出に値付けをするカーボンプライシングの本格導入に向けた検討を進める方針が示されています。

2023年11月に開催されたCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会合)では、再生可能エネルギーの更なる導入策を協議し、123カ国が2030年までに世界の再生可能エネルギーの容量を3倍に拡大することを誓約する等、再生可能エネルギーの更なる導入による脱炭素化に向けた動きが活発化しています。

 

当社グループは、2024年5月1日をもって、持株会社体制への移行を完了し、商号を「株式会社GreenEnergy & Company」に変更いたしました。

現在の国際的な潮流はグリーン・トランスフォーメーション(GX)であり、化石燃料をできるだけ使わず、グリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動が進行しています。政府や企業だけではなく、一人でも多くの個人、家庭での取り組みが必要です。

そのために重要なのは、エネルギーの問題に対するマインドチェンジです。エネルギーは、一方的に誰かから与えられるものではなく、「自分自身で選ぶこともできるもの」という意識の醸成です。私たちには「グリーンエネルギー」という選択肢もあり、それは、経済的に「メリット」があり、しかも、地球環境にも「貢献」できるということに気づいていただくことが大切です。

自然エネルギーを活用しながら「ゆたかに暮らす」と「社会に貢献する」をこれからのスタンダードにしていきたい。そして、個人や法人の垣根を超えて、エネルギー自給の輪が広がっていく。これが私たちが描く将来です。グリーンエナジー&カンパニーは、"ゆかいに&ゆたかに社会貢献できる未来"に、皆様とチャレンジしていきたいと考えております。

 

当社グループにおきましては、グリーンエネルギー施設※の開発を中心に、環境問題に取り組む企業や個人のお客様のニーズにお応えし、太陽光発電による再生可能エネルギーの創出に取り組んでまいりました。

また、販売した施設の維持管理を受託し、これまでの豊富な実績に基づき、O&M(オペレーションアンドメンテナンス)サービスの拡充を進めることで、今後の収益基盤の安定化に向け注力しております。

 

※太陽光発電所、系統用蓄電所、営農型太陽光発電所、ネットゼロ・エネルギー・ハウス等を示す

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は9,676,010千円(前年同期比9.3%増)、営業利益512,204千円(前年同期比3.5%減)、経常利益502,829千円(前年同期比2.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益330,434千円(前年同期比2.1%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,503,212千円となり、前連結会計年度末に比べ440,062千円の減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、570,493千円の増加(前年同期は382,947千円の増加)となりました。主な要因は、売上債権の増加額523,654千円等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益502,829千円の計上、仕入債務の増加額253,210千円、棚卸資産の減少額124,942千円、営業投資有価証券の減少額117,174千円等により資金が増加したことによるものであります。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、310,278千円の減少(前年同期は101,384千円の減少)となりました。主な要因は、子会社株式の条件付取得対価の支払額200,000千円、有形固定資産の取得による支出111,050千円等があったことにより資金が減少したことによるものであります。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、728,349千円の減少(前年同期は361,816千円の減少)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入1,174,000千円、社債の発行による収入300,000千円等により資金が増加した一方で、長期借入金の返済による支出1,210,727千円、短期借入金の純減少額942,810千円等により資金が減少したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは「脱炭素デキルくん事業」の単一セグメントであります。当事業では生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をサービスの種類別に示すと、次のとおりであります。なお、アセット管理事業では、事業の性質上、受注実績の表示がなじまないため記載しておりません。

 

サービスの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

脱炭素デキルくん事業

 

 

 

 

産業と社会の脱炭素事業

3,184,897

114.8

512,885

125.7

住まいの脱炭素事業

5,460,407

130.4

677,170

100.4

合計

8,645,304

124.2

1,190,055

109.9

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をサービスの種類別に示すと、次のとおりであります。

 

サービスの名称

連結会計年度
(自 2023年5月1日
 至 2024年4月30日)

前年同期比(%)

脱炭素デキルくん事業

 

 

産業と社会の脱炭素事業(千円)

3,079,949

102.2

住まいの脱炭素事業(千円)

5,457,910

118.2

アセット管理事業(千円)

1,138,150

93.1

合計

9,676,010

109.3

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

 

(売上高)

 サービスの種類別の売上高の状況は次のとおりであります。

① 産業と社会の脱炭素事業

産業と社会の脱炭素事業では、主に個人向け投資商品として太陽光発電施設の販売を行っており、販売区画数は、266.75区画となりました。

② 住まいの脱炭素事業

住まいの脱炭素事業では、一般消費者や投資家向けに、低価格ソーラー発電付き戸建住宅の販売を行っており、販売棟数は227棟となりました。

③ アセット管理事業

アセット管理事業では、太陽光発電施設及び賃貸不動産の管理受託件数が1,923件となりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は9,676,010千円となりました。

 

(営業利益)

複数棟同時建築や作業工数の削減、購買先及び外注先等の選定見直しを実施すること等によるコスト抑制に努めた結果、売上原価は7,186,702千円となりました。

販売費及び一般管理費は、事業規模拡大に向けた人財投資やブランディング及び商品開発の強化に対し先行投資を行った結果、1,977,103千円となりました。

以上の結果、営業利益は512,204千円となりました。

 

(経常利益)

営業外収益は57,506千円となり、営業外費用は66,880千円となりました。

以上の結果、経常利益は502,829千円となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

税金等調整前当期純利益は502,829千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益に法人税等合計172,395千円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は330,434千円となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

 

b.財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は10,249,120千円(前連結会計年度末8,433,099千円)となり、1,816,021千円増加しました。主な要因は、営業投資有価証券822,711千円減少した一方で、販売用不動産2,464,410千円、売掛金が525,066千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,873,841千円(前連結会計年度末1,869,685千円)となり、4,156千円増加しました。主な要因は、機械装置及び運搬具(純額)226,461千円減少した一方で、のれん209,079千円、土地43,640千円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は3,194,075千円(前連結会計年度末3,410,178千円)となり、216,102千円減少しました。主な要因は、買掛金265,416千円、1年内償還予定の社債160,000千円、前受金118,639千円、未払金88,817千円それぞれ増加した一方で、短期借入金942,810千円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は3,895,868千円(前連結会計年度末2,141,112千円)となり、1,754,756千円増加しました。主な要因は、長期借入金1,594,299千円、社債140,000千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は5,033,018千円(前連結会計年度末4,751,494千円)となり、281,524千円増加しました。主な要因は、利益剰余金が、配当金の支払いにより48,909千円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により330,434千円増加したことによるものであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

資本政策につきましては、当社グループは未だ成長途上であることから、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主様への利益還元との最適なバランスを考慮し、実施していくこととしております。

また、当社グループにおける資金需要の主なものは、既存事業の持続的成長や新規事業への投資資金のほか、設備の更新等に要する設備投資資金や事業に係る運転資金であります。

当社グループは、必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものを活用しておりますが、安定的な財源確保のため、複数の金融機関から借入による資金調達を行っており、今後も継続する方針であります。

 

d.経営上の目標の達成状況

当社グループは、2029年4月期の売上高30,000百万円達成を目標指標としております。

当連結会計年度の売上高は9,676百万円となりました。今後も事業の拡大等の推進により、目標の達成に努めてまいります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(会社分割による持株会社体制への移行)

当社は、2023年6月21日開催の取締役会決議に基づき、当社の完全子会社である株式会社Plus one percent及び分割準備会社2社(株式会社フィットスマートホーム分割準備会社及び株式会社フィットファシリティ分割準備会社)に対し、当社の産業と社会の脱炭素事業、住まいの脱炭素事業、アセット管理事業及び間接部門に係る事業を承継させる吸収分割を行うため、2023年7月11日付で分割準備会社2社を設立、各承継会社との間で吸収分割契約を締結し、2023年7月27日開催の第15回定時株主総会において承認可決され、2024年5月1日付で吸収分割を行いました。

なお、2024年5月1日付で株式会社フィットスマートホーム分割準備会社は株式会社グリーンエナジー・ライフへ、株式会社フィットファシリティ分割準備会社は、株式会社グリーンエナジー・ファシリティーズに商号変更しております。

 

1.持株会社体制への移行の背景

当社は、2009年4月に創業して以来、クリーンエネルギーとスマートホームの事業を通し、「持続可能エネルギー社会の実現」のために、日本の新しい「エネルギー供給」と「くらし」の仕組みづくりに挑戦してまいりました。主力事業である「産業と社会の脱炭素」事業、「住まいの脱炭素」事業においては、順調に成長を続けてきていますが、新型コロナ感染症終息後の経済回復や世界的な天候不順、また、ロシアによるウクライナ侵攻などもあり、エネルギー需要のひっ迫によってエネルギー価格は高騰しており、エネルギー需要は以前にも増して高まっております。このような状況下において、「エネルギー不足」という大きな課題を解決し、「持続可能エネルギー社会の実現」かつ当社の持続可能な企業価値の向上を図るためには持株会社体制への移行が最適であると考え、持株会社体制に移行することを決断いたしました。

 

2.持株会社への移行の目的及び見込まれる効果

再生可能エネルギーの分野においては、クリーンエネルギー中心の経済社会・産業構造の転換に向けた政府の支援姿勢は継続しており、今後も国内再生可能エネルギー市場はより一層拡大していく見通しです。このような事業環境のもと、当社グループはサステナブルな社会の実現を目指し、引き続き個人・投資家が再生可能エネルギー創出に貢献できる商品・サービスの販売提供と、太陽光発電所のO&M獲得に注力し、脱FITを見据えた次なるコア事業・新製品創出に一層のスピード感をもって取り組んでまいります。以下が、持株会社体制移行に伴い、弊社が行っていく取り組みとなります。

 

(1)グループ経営戦略機能の強化

持株会社体制に移行することにより、M&Aや新規事業創出に戦略的かつ機動的に対応できる組織体制を構築し、グループ経営戦略機能の強化を図ります。

(2)グループ間事業シナジーの創出

グループ全体の人的資本の積極活用により、グループ間の求心力、一体感を高め、グループ間事業シナジーを創出します。

(3)各事業会社の自立的経営と経営者人材の育成

各事業会社の権限と責任を明確にし、自律的な経営促進及び意思決定のスピードを早めることによる効率的かつ機動的な事業運営を行うため、各事業会社での経営経験の機会を積極的に創出し、世代における経営人材の育成を図ります。

(4)スピードを増す脱炭素化社会への対応力強化

世界的な環境問題への対応を各事業会社が製品、生産に関する技術やリソースを持ち寄り、展開を行い、サプライチェーン全体を視野に入れた二酸化炭素排出量の削減にも積極的に取り組み、サステナブルな社会の実現に積極的に貢献してまいります。

 

3.持株会社体制への移行方法

持株会社体制への移行のため、当社の完全子会社である株式会社Plus one percent及び分割準備会社2社(株式会社フィットスマートホーム分割準備会社及び株式会社フィットファシリティ分割準備会社)に対し、当社の産業と社会の脱炭素事業、住まいの脱炭素事業、アセット管理事業の吸収分割を行いました。

また、当社は純粋持株会社として引き続き上場を維持いたします。

 

4.持株会社体制への移行の日程

  吸収分割の日程

   2023年7月11日     分割準備会社の設立

   2023年7月11日     吸収分割契約締結日

   2023年7月27日     吸収分割契約承認定時株主総会

   2024年5月1日     吸収分割の効力発生日

 

5.本吸収分割の当事会社の概要

 

吸収分割会社

名称

株式会社フィット

所在地

徳島県板野郡松茂町中喜来字群恵39-1

代表者

代表取締役社長 鈴江 崇文

事業内容

産業と社会の脱炭素事業、住まいの脱炭素事業、アセット管理事業

資本金

20百万円

決算期

4月30日

 

(注)2024年5月1日に株式会社フィットから株式会社GreenEnergy & Companyへ商号変更しております。

 

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。