第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の基本方針

当社グループは、「輸入車のある生活を提案し、より多くの皆様と豊かさ・楽しさ・喜びを分かち合い、関わるすべての人々を温かい笑顔に変えていく挑戦を続ける。」という経営理念の下、社会の公器として地域社会、株主、そして従業員など、すべてのステークホルダーにとって価値ある企業となることを目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、事業規模の拡大、収益力の強化、投資効率の向上を重要な経営課題としており、これらを実現するため、自己資本比率、株主資本利益率(ROE)を重要な経営指標と位置付けております。

自己資本比率は20%以上40%未満、投資効率の向上のため株主資本利益率15%以上を維持することを目標値としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは「より多くの皆さまに輸入車のある楽しさ、豊かさ、喜び」を提供し続けるナンバーワン、オンリーワンの企業グループを目指すとともに、輸入車販売関連事業を通じ、より多くのお客様へ「輸入車と共にある未来(=WILL)」にプラス(=PLUS)して「関わるすべての皆さまに喜びを」分かち合うことができるよう、成長し続ける企業グループでありたいと考えております。また、これと同時に脱炭素化社会実現に貢献し、社会的責任を果たす輸入車ディーラーのリーディングカンパニーとなるべく企業価値向上と社会的価値向上の両立を実現するよう努めてまいります。当社グループが成長し続けるための中長期的な戦略はつぎのとおりであります。

 

① マルチブランド戦略

それぞれのブランドにおける車輌の新型モデルの投入時期は、インポーターの開発力や方針によって決定されます。ブランドによってその投入時期は様々でありますが、新型モデルが投入された直後は販売量が急速に拡大し、その後はゆるやかな曲線を描いて下降していくのが一般的な販売サイクルであります。

当社グループでは、このような新型モデル投入による販売サイクルに影響されない安定的な経営を実現するために、「マルチブランド戦略」を販売の基本戦略としております。これは、複数ブランドを取り扱うことにより、それぞれのブランドの新型モデル投入による販売サイクルの影響を他ブランドの販売量で補完し、販売量の平準化を図るものであります。今後も販売量の安定化を図るとともに、それぞれのブランドにおける販売シェアの拡大を目指し、取扱いブランドの更なる拡充を図ってまいります。

 


 

② エリア・ドミナント戦略

当社グループでは一定の地域に集中的に出店し、その地域でより支配的な地位を獲得する「エリア・ドミナント戦略」を新規出店時の基本戦略としております。同一エリア内に店舗を集中させることは、当社グループ内の人材の流動化が容易になり、好調なブランドの店舗に人材を集中させることも可能になります。また、グループ内で同一エリア内のお客様の情報を共有することで、お客様へのフォローを手厚くすることができます。出店にあたっては、人口100万人規模の都市とその周辺都市、40万人以上の地方の中核都市を特定地域とし、その特定地域に集中的な出店を進め、同一商圏にて集客を図ることによる市場シェアの向上を図ってまいります。

 

③ M&A戦略

当社グループでは、新たな販売エリアへの進出、新たなブランドの獲得、そして店舗数増加による既存ブランドのシェアを拡大すること、更には新規事業の機会獲得を目的とし、M&Aを成長戦略のひとつに掲げております。自動車販売市場は縮小化し、輸入車ブランドメーカーが正規ディーラーに求めるCO₂削減取り組みは加速していくことが予想されており、これに伴った販売会社の業界再編が進むと考えられます。当社グループではこれを機会と捉え、これまでに培ったM&Aのノウハウと当社グループで展開している脱炭素社会実現に向けた取り組みを活かし、積極的かつ慎重にM&A戦略を進めてまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき課題

輸入車販売業界においては、若年齢層の減少及び都市部での自動車離れ、車輌保有期間の長期化等の構造的な要因等により、マーケットの縮小は不可避と考えられます。また、その一方で、自動車業界におきましては脱炭素化社会に向けた電動化、自動運転、コネクティッド等の技術革新を軸とした大変革期を迎えております。更に、感染症の影響や深刻化する国際情勢等により、様々な面での価値観の変化が起き、先行きが見通せない状況の中で、当社グループがこうした環境変化に対応しながら持続的に成長していくための重要課題は以下のとおりです。

 

① 自動車産業の脱炭素化への貢献

当社グループはEV、PHVなどの低炭素自動車の販売比率を高めるとともに、店舗の再生エネルギー導入など、店舗のグリーン化を加速します。更に、各店舗に充電器・急速充電器の設置を進め、店舗エリアにおける充電スポットの役割も果たしてまいります。

 

② 既存店舗の収益力向上

当社グループはM&Aを成長戦略の柱のひとつとしておりますが、株式取得や事業譲受のための投資は、投資対象の店舗や事業の収益による回収が終わるまでは、先行投資の位置づけとなります。これらの投資対象が投資回収の過程にある間も、当社グループが継続して成長するためには、既存店舗における収益力を向上させる必要があります。そこで、当社グループでは、無駄の削減に努めるとともに商品等の資産回転率を高め、経営資源を最大限に活用してまいります。また、グループ内での人員の流動化を通じ、適正な人員配置を行うことにより、経営資源のひとつでもある「人材」を有効に活用してまいります。

更に、車輌販売後のサポートを充実させ、お客様に喜んでいただけるサービスの提供を続けることにより、お客様との接点を強化するよう努めてまいります。これにより、継続的にお取引頂くお客様を拡大し、車輌整備や保険代理店業等のストック型ビジネスの強化拡充に繋げていくことで、安定収入を確保し、経営基盤を更に強化してまいります。

なお、それぞれの店舗業績については引き続き定期的、継続的に評価・分析を行い、戦略的出店・撤退・統合等を判断し、更なる経営の合理化を図ってまいります。

 

③ 店舗設備等への投資の適正化

当社グループでは店舗不動産は賃貸を出店の基本方針としておりますが、当社グループ出店基準及びブランドのCI基準に見合う物件が確保できない場合、自社にて店舗建築あるいは店舗改装を行います。業容の拡大に伴い、投資対象となる店舗数の増加や、投資の頻度が高まってまいりますので、出店・店舗改築の際の当社投資採算基準に則り、より厳しい目で投資の可否を判断するとともに、投資回収期間の短縮に努めてまいります。

 

④ コーポレート・ガバナンスの強化

当社は、経営の透明性を一層向上させるとともに意思決定のさらなる迅速化を可能とすることを目的として、監査等委員会設置会社に移行いたしました。今後も、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制・業務執行体制と株主重視の公正な経営システムを構築するなど、コーポレート・ガバナンスの強化を進めてまいります。

 

 

⑤ 人材の確保と育成・定着率向上

当社グループの店舗数は着実に増加しており、継続して成長を続けるためには事業規模に応じた人員の確保が必要であります。また、自動車業界における大変革期の中、これまでの価値観に捉われず、変化に柔軟に対応できる人材が必要であると考えており、社内外の研修やOJT、従業員のキャリア形成支援を通じて一人ひとりの従業員が業務の見直しや改善提案ができるよう育成してまいります。更に、従業員の定着率を向上することで、採用コストの削減、合理的・効率的な経営にも繋げてまいります。

 

⑥ 従業員の働きやすい環境の提供

少子高齢化により、労働人口が減少していく中、優秀な人材の確保がより難しくなると考えられております。

当社グループにおきましては、従業員の一人ひとりがそれぞれの持つ能力を十分に発揮できるように、「働きやすい環境」の提供と、「働き甲斐のある職場づくり」を目指してまいります。

その取り組みのひとつとして、役職定年の廃止、従業員の定年の引き上げにより、これまで以上に経験豊富な社員の知見を活かしております。また、確定拠出年金制度、ESOP制度、社員持株会奨励金の引上げ、ストックオプションの付与等により従業員の資産形成をサポートするとともに、働き方の多様性を確保することによって、人材の定着化を図っております。なお、当社グループでは1年に2度人事評価を実施しており、パフォーマンス次第で半期ごとに昇給・昇格が可能な制度となっております。今後も、従業員がより活き活きと働ける職場環境づくりに取り組んでまいります。

 

⑦ 財務体質の強化

当社グループはM&Aを成長戦略の柱のひとつとして掲げており、創業以来12件のM&Aを実施し、取扱いブランドの拡充や販売エリアの拡大による業容の拡大を図ってまいりました。各投資対象は投資額を回収するまでは先行投資という位置づけになるため、M&A実施後は一時的に自己資本比率、自己資本利益率が低下する傾向にあります。また、M&Aの規模次第では、銀行借入等による資金調達が必要になることもあります。

これら投資対象の店舗の収益力向上を図ることにより早期投資回収を目指すとともに、グループ全体の商品回転率を高め、資本効率のよい経営を目指してまいります。また、投資は前連結会計年度の営業キャッシュ・フローの範囲内で行うという原則に則り、投資の可否を厳しく判断してまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「企業価値向上」「社会的価値向上」の両立を目指し、社会課題の解決と企業成長の同時実現に取組んでおります。当社グループの企業理念にもある「豊かさ・楽しさ・喜び」を分かち合い、笑顔溢れる社会づくりに貢献し続けることをサステナビリティ基本方針とし、輸入車ディーラー事業を通して社会にとって必要な企業になるべく「持続的成長」と「中長期的な企業価値向上」を実現しつつ、同時に「持続可能な社会への貢献」、「社会的価値の創造」を目指してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) ガバナンス

① 取締役会が気候変動課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象

当社では、気候変動課題に関する議題について、毎月開催する業務執行の最高意思決定機関である取締役会にて随時協議及び決議の機会を設けております。また、取締役がメンバーを務める「サステナビリティ委員会」と「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」においては四半期に一度以上のモニタリング・監督及び重要な気候関連及びリスク関連の事案について取組みの深化を図っております。

両委員会の役割、活動内容等については、第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要に記載しております。

 

当社は取締役候補者の選任にあたり、取締役に期待する専門性及び経験等についてスキルマトリクスで明確にしており、その項目の一つに「サステナビリティ」を設定しております。事業活動を通じた環境課題解決に向けて、具体的な行動計画や定期的なレビュー、継続的改善の取組み状況を適切に監督できる取締役を選任することで、環境課題に対する取組みの実効性を高めています。

 

② 経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス、モニタリング方法

当社では、代表取締役社長が取締役会の議長を担うとともに、サステナビリティ委員会およびリスクマネジメント・コンプライアンス委員会の委員長も担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っております。

サステナビリティ委員会並びにリスクマネジメント・コンプライアンス委員会において審議された事項については定期的に取締役会に報告されます。

 

(2) 戦略

① 気候変動に対する移行計画

当社は、中長期戦略の中で、1.5℃の世界に整合する移行計画として、当社グループ目標及び目標達成のためのKPIを開示しております。

グループ目標

当社のGHG排出量(Scope1+2)を2022年6月期比較で、2030年までに50%削減(年率6.25%)

 

 

達成に向けたKPI

内容

①店舗で営業活動に使用する社有車の低炭素自動車(EV/PHV)の比率

2030年度までに80%以上、2050年度までには限りなく100%まで高め、店舗で使用するガソリンを極限まで低減することでScope1を0(ゼロ)に近づける。

②使用電力における再生可能エネルギー導入率

2025年までに100%まで引き上げることで、Scope2を0(ゼロ)にする

 

 

当社グループのGHG排出量の大半(90%以上)は「店舗が使用する燃料(主にガソリン)」及び「本社及び店舗が使用する電力」から排出されるため、当社はKPI①及び②を100%まで引き上げることで、2050年までにネットゼロを達成することを目指しております。

 

② 人材の育成及び社内環境に関する方針・戦略

当社グループでは、ウイルプラスグループが持続的成長を果たすための「人材」は、夢や目標を分かちあいお互いを高めあえるかけがえのない最高の財産だと考えております。この「人財」のために、公平なチャレンジの機会の提供、さまざまな能力を最大限発揮できる環境の整備、そして家族が安心して暮らせる仕組みの構築に注力しております。

a. 人材育成研修

当社グループは、当社グループの事業活動を担う人材の育成を重要な課題の一つと考えており、従業員への教育制度に力を入れております。

 (外部研修)

当社グループでは、従業員の所属部門に沿った専門性を高めることを目的として、様々な外部研修への参加を推進しております。当社グループの当連結会計年度における外部研修への参加日数は、延べ2,960日となりました。(当連結会計年度末人員数は759名)

これらは主に、各メーカー主催の研修への参加となり、お客さまが安心・安全なカーライフを送れるよう、セールスとしての知識やメカニックの点検・整備技術の向上を図るものとなります。

 (保険研修)

当社グループの収益基盤のひとつであるストック型ビジネスの保険代理店事業において、ステークホルダーの皆様から信頼される自動車販売会社の保険代理店を目指し、2022年7月に「お客さま本位の業務運営方針(FD宣言)」を策定いたしました。この方針のもと、当社では従業員への社内研修を充実化しております。基礎となる導入研修に加え、習熟レベルに応じた申込書作成研修や、より実践的な知識や保険獲得に向けての話法等を学習する「保険アカデミー」を定期的に開催し、従業員の知識向上及び保険募集人の品質向上を図ることにより、よりよいサービスの提供に努めてまいります。

 (リスキリング研修)

DX化が加速する中、当社では生産性の向上及びデジタル人材の育成の一環として、外部の研修プログラムを導入し、当社グループ従業員に対するリスキリング研修を実施しております。

b. 女性活躍方針

当社グループでは、性別や国籍等、属性を問わず、個人の能力・適正・意欲等に基づいた人材活用を方針としております。育児休業制度や時短勤務制度等、社内制度の整備を通して、働く女性の活躍を支援しております。前連結会計年度の育休明けの復帰率は100%となりました。

また、当社の取締役のうち1名が女性であり、取締役における女性比率は12.5%となっております。

当社グループは、さらなる女性活躍の推進に向けて、女性取締役及び管理職の割合をKPIとし、働きやすい組織づくりを目指しております。

c. 外国人の管理職への登用

外国人については、応募及び採用人数自体が若干名であるため、管理職登用に関する具体的な数値目標は設定しておりません。更なる多様性の確保に向けて、設定の必要性については、継続して検討を進めてまいります。

d. 中途採用者の管理職への登用

当社グループは専門性や経験値の高い中途採用者の割合が高く、当社管理職における中途採用者の割合は、前連結会計年度末時点で96.06%となっております。このため、中途採用者の管理職登用に関する具体的数値目標を設定しておりません。当社グループでは、中途採用・新卒採用を問わず、個人の能力、適正・意欲等を評価した登用を行っております。

e. 障がい者雇用

当社は、障がい者雇用を企業の社会的責任であると認識しており、その採用と労働環境の整備に努めております。前連結会計年度末時点における当社グループの障がい者雇用の割合は1.6%でございます。当社は2023年4月より、共同農園「ソーシャルファーム わーくはぴねす農園 Plusさいたま三郷」と契約し、障がい者の直接雇用をしております。農作業を通し、障がいを持った従業員としての活躍の場を広げるだけでなく、収穫物をこども食堂等へ寄附することで、地域社会貢献の役割も担っております。

 

 

(3) リスク管理

① 短期・中期・長期のリスク、機会の詳細

当社グループは、気候関連リスク及び機会についての事業活動への影響が長期間にわたる可能性があることから、適切な期間設定を検討することが重要であると考えております。これを踏まえ、当社グループの時間軸定義は中長期経営計画の実行期間に基づき下表のとおりに設定いたしました。

気候関連リスク・機会の検討期間

当社グループの定義

短期

1年未満

中期

1~3年

長期

4年以上

 

 

② リスク、機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度

当社は、当社グループの事業及びステークホルダーにとって重要となる可能性のある気候変動リスク・機会を顕在化し、それらを可能な限り定量化することで、財務基盤への影響を把握することに努めております。2030年時点の世界を想定した当社グループの戦略及びソリューションを検討するため、シナリオ分析を実施いたしました。

シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する既存のシナリオを参照の上、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、及び新たな気候関連政策・規制が導入されない世界を想定した4℃シナリオの二つの世界を想定しております。

想定される世界

参照シナリオ群

1.5℃/2℃未満シナリオ

IEA:「Net-Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」

4℃シナリオ

IPCC:「Representative Concentration Pathways(RCP8.5)

 

 

当社グループの重要な気候変動関連のリスク、機会

 

項目

時間軸

対応策

移行リスク

(1.5℃

シナリオ)

日本での炭素税導入に伴うコスト増加

中期

保有車輌のEV化

再生可能エネルギーの導入推進

自然災害が取扱いブランドメーカーの生産に影響を与えることから発生する当社仕入リスク

中期

顧客提案車種のブランド変更(同一ブランド間、異なるブランド間、中古車)

再生可能エネルギー由来の電力使用に伴うコスト増加(使用量の増加、電気料金の高騰、グリーン電力証書購入コスト増加)

短期

省エネ設備導入推進

電力使用量自体の削減推進

物理リスク

(4℃

シナリオ)

気候変動(異常気象等)による自然災害(台風、豪雨、洪水)の発生に伴う営業店舗の損害および営業活動制限に伴う収益の減少

長期

車輌保管拠点の分散

気象情報により水害リスクが高まったと判断された場合の車輌移動

高リスクエリアの自治体が行う治水事業への寄付

中長期計画推進による脱炭素化への貢献

機会

低炭素製品のラインナップ拡張に伴う顧客ロイヤリティの向上、及び環境への関心が高い新規顧客の獲得による収益の増加

長期

社有車の低炭素自動車(EV/PHV)比率の向上

急速充電器の設備推進

再生可能エネルギーの使用による脱炭素化への貢献及びガソリンコストの削減

長期

再生可能エネルギーの導入推進

急速充電器の設備推進

環境課題への対応に伴うレピュテーションの向上及び株価の上昇

中期

低炭素自動車(EV/PHV)普及に向けた投資推進による店舗エリアの脱炭素化への貢献

環境課題対応についての適切な情報開示

 

 

自然災害等の気候変動に関連するリスクは、企業活動の継続、企業資産の保全、社会的責任の順守を目的としたリスクマネジメント・コンプライアンス委員会によって以下のとおり管理しております。

 

① 自然災害リスクの特定・評価プロセスの詳細

 リスクの洗い出しを行い、発生頻度、発生時の影響度を考慮して分類し、

回避(リスクを発生させる活動を中止するなどして、可能性を遮断する)

低減(リスクが発生する可能性を減らす)

移転(保険や契約などでリスクを第三者に移す)

保有(発生しても許容範囲として受け入れる)

 の考え方を基に、当社の定める短期・中期・長期の時間軸で評価を行っております。

 

② 全社リスク管理の仕組みへの統合状況

 リスクマネジメント・コンプライアンス委員会は、当社代表取締役社長を委員長とし、当社取締役を委員としております。複数の部門を横断した全社的なリスク管理プロセスに統合されており、当社グループの経営において中長期的にリスクの高いものは、グループ全体の経営課題として取締役会に報告し、審議しております。

 

(4) 指標及び目標

① 気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、上記のとおりScope1,2排出量及び事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率の2つの指標を定めています。

また、役員報酬のうちの業績連動型株式報酬は、その事業年度の業績連動型株式報酬額を決定する非財務指標の一つとして、気候変動情報開示の有無を設定しており、気候変動問題に関する取締役の責任を明確化しております。

 

温室効果ガス排出量(Scope1,2)

当社グループでは、2021年6月期から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取組んでおります。当社グループの2024年6月期におけるScope1,2排出量は、779tC02であり、これについて第三者保証を取得いたしました。

当社グループのGHG排出量(Scope1,2)の実績

(単位:t-CO2)

 

2023年6月期

2024年6月期

Scope1,2排出量合計

1,050

779

Scope1排出量

1,050

779

Scope2排出量(注)

再エネ比率(%)

100%

100%

 

(注)Scope2についてはマーケット基準であります。

 

② 人材に関する指標

当社では、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人的資本に関する目標及び方針において、取締役の女性の比率、管理職(注)における女性の比率、男性従業員の育休取得率について指標を定めております。

(注)マネジメントコースである「課長職務代行」以上、及び専門職コースの「プロフェッショナル職」以上

 

当社グループの実績及び目標

 

2024年6月期

2025年6月期

2030年6月期

 

実績

実績

目標

達成度

目標

取締役の女性比率

12.50

12.50

12.50

100.00%

30.00%

管理職の女性比率

7.27

7.09

7.00

101.29%

10.00%

男性従業員の育休取得率

54.54

41.67

40.00

104.18%

50.00%

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を、以下に記載しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響の内容については、予測することが困難であるため、記載しておりません。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 輸入車ディーラー事業における商品仕入れについて

当社の連結子会社は、それぞれの取扱いブランドのインポーターであるStellantisジャパン株式会社、ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社、ビー・エム・ダブリュー株式会社、ボルボ・カー・ジャパン株式会社、ポルシェ・ジャパン株式会社、BYD Auto JAPAN株式会社との間で正規ディーラー契約を締結しております。

インポーターより新車を長期安定的に仕入れ、当社グループの主力商品として販売しておりますが、ニューモデルの発売、モデルチェンジ等は、インポーターの政策により決定されます。インポーターの政策によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があり、メーカーによる重大な不正等の原因により生産停止が起こった場合や、ブランドイメージが著しく損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、商品仕入れは円建て取引のため、為替の変動が仕入価格に直接影響を与えるものではありませんが、円安が長期化した場合には仕入価格に影響を与える可能性があります。

当社グループは、複数ブランドを扱うことにより、1ブランドの動向に左右されにくい経営体制を構築しておりますが、今後も取扱いブランドの拡充に努めてまいります。

(2) 中古車輸出関連事業について

当社の連結子会社である株式会社ENGは日本国内で仕入れた中古車を主にマレーシアに輸出する事業を行っております。中古車輸出関連事業におきましては、為替レートの変動、輸出対象国の法的規制の変化、海上輸送に係る船舶確保の状況、輸送中の事故等予測困難な要因による損失が発生した場合には、当社グループ全体の業績に影響を与える可能性があります。

当社グループの輸入車ディーラー事業においては、為替レートの変動による直接的な影響はないものの、円安が長期化した場合には仕入価格に影響を与える可能性がある一方で、中古車輸出関連事業では円安が継続した場合には輸出先現地通貨ベースで価格競争力が増すことで販売台数が増加することが見込まれます。当社グループ全体としての為替レートの平準化を図るとともに、両事業の事業規模の最適なバランスを見極め、グループ全体としての利益率向上を図ってまいります。

(3) M&Aについて

当社グループは、成長戦略のひとつにM&Aを掲げており、企業買収や事業譲受等のM&Aを実施しております。M&A実施後に事業が計画どおりに進捗しない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

M&Aの実施にあたっては、対象案件について各種デューデリジェンスを綿密に行い、経営執行会や取締役会にて十分な検討をしており、M&A実施後のPMIにおいても、適切な体制の構築やモニタリングを行うなど、リスクの抑制に努めております。

また、M&Aにて取得した店舗や事業については、投資時の利益計画の達成状況を取締役会にて定期的に検証しております。

(4)減損会計の適用について

当社グループは、店舗設備等の固定資産を保有しておりますが、これらの時価が著しく下落した場合や、店舗業績の収益性が悪化し改善が見込めないと判断した場合には、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。

また、株式取得等によるM&Aを行った後に、計画どおりの利益を確保できず、買収額やのれんとして出資した投資額の回収が困難と判断した場合には、当該のれんや株式の減損損失を認識する場合があります。これら減損損失を計上した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、半期ごとに全店舗業績について取締役会にて検証しており、前年実績又は利益計画と著しく乖離がある店舗については戦略的撤退を含む対応策を検討しております。

 

(5) 有利子負債依存度について

当社グループは営業キャッシュ・フローの範囲内での投資を基本原則としておりますが、事業譲受等の戦略的投資はその対象の規模や件数によっては銀行借入による資金調達をしてまいりました。

業容の拡大に伴い、運転資金需要が大きくなっていることや、大規模なM&Aの実施等により、銀行借入等による資金調達が必要になる可能性があります。金利の上昇による金利負担の増加、あるいは当社グループの信用力の低下等により資金調達が困難になる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、銀行借入については可能な限りの好条件にて調達するよう努めており、またこれら戦略的投資対象の店舗については早期に投資回収するよう収益力向上を図っております。また、毎月、担当取締役が今後の予定を含む財政状況についての検証を行っており、より効率的な資金調達について検討をしております。

(6) 自動車販売市場に関するリスクについて

自動車販売市場は、景気動向や消費動向等の経済状況に大きく影響を受けます。また、人口減少や車輌保有期間の長期化、都市部における車輌の非保有化等により、市場の縮小化が進むことが予想されます。これに伴い、販売会社の業界再編が激化する可能性があり、市場環境の変化により当社グループの事業展開が計画どおり遂行できなくなった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、成長戦略の柱のひとつに掲げているM&A等により業界再編に対して柔軟に対応するとともに、子会社化した株式会社ENGを介し中古車輸出関連事業による市場の拡大を目指してまいります。

(7) 法的規制について

当社グループは事業展開していく上で、自動車リサイクル法、古物営業法、道路運送車両法、保険業法や自動車公正競争規約やその他販売、車輌整備に関する様々な各種法令の規制を受けております。これらの法規制が遵守されなかった場合、又は、事業に重大な影響を及ぼすような法的規制等の制定や改廃が行われた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、内部監査室が全部門に対する内部監査を実施しており、その際に法規制等の遵守状況を確認しており、法規制等を遵守するよう努めております。

(8) 個人情報の取り扱いと情報セキュリティについて

当社グループは、販売先の多くが一般消費者であることから、様々な個人情報を数多く取得します。また、社内では様々な情報システムを使用しており、システム障害や個人情報漏えい等の問題が発生する可能性があります。

これら不測の事態が発生した場合、社会的信用の低下や業務遂行に影響が出ることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、個人情報取扱規程並びに情報セキュリティポリシーに基づき、個人情報を厳重に保管、管理するとともに、システム管理体制の構築とセキュリティ対策を行っております。また、定期的に実施している内部監査で、これらの運用状況を確認することにより、情報管理体制の更なる強化に努めております。

(9) 気候変動、自然災害及び感染症等の流行について

地震、洪水、台風等の大規模な自然災害により当社グループの店舗が被災した場合、営業活動の継続が困難になる可能性があります。特に出店エリアが集中している関東地区において大規模な地震等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各メーカーの生産拠点において大規模な自然災害や紛争等が発生した場合は、インポーターからの新車の供給が遅れる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更に感染症等の流行により人や商品等の移動が制約された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうした災害等に対して「リスクマネジメント規程」に基づき、緊急時には危機対策本部を立ち上げ迅速に対応しており、「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置し、企業価値の損失を最小限に抑制する体制を整備しております。これまで以上にリスク管理を徹底し、事業継続力を強化してまいります。

(10) 風評について

自動車販売業界に対する風評がマスコミ報道やSNS、インターネット掲示板等を通じて流布した場合は、その内容が正確か否かを問わず、企業イメージが低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、風評被害の恐れのある情報を監視するとともに、リスクが認識された場合に迅速な対応を行う体制を構築することで、リスクの低減に努めております。

 

(11) 人材の確保について

当社グループは企業理念に基づき、人材の確保・育成に努めていますが、100年に1度の変革期において、人材獲得競争の一層の激化、人材の流出防止によるコスト上昇のリスクがあります。

当社グループでは人的資本経営を推進しており、従業員が働きやすい・働き甲斐のある職場環境の整備を進めております。このような施策により、人材の定着化を図ることにより生産性を向上させ、より効率的な経営へ繋げてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

2023年12月28日に行われた株式会社ネクステージからの事業譲受及び2024年5月13日(みなし取得日 2024年6月30日)に行われた株式会社ENGとの企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2024年7月1日~2025年6月30日)における我が国経済は、インバウンド需要や雇用環境の改善がみられるなど緩やかな回復基調で推移したものの、物価上昇による実質賃金の低下や、米国の関税政策の動向や中東情勢など依然として先行き不透明な状態で推移いたしました。

自動車業界におきましては、半導体不足や物流の混乱による新車供給が改善され、当連結会計年度における国内の新車(乗用車)登録台数は2,614,537台(前期比3.9%増加)(注1)となりました。

外国メーカーの新車(乗用車)の登録台数は233,684台(前期比1.8%減少)(注2)、日本国内における輸入車販売シェアも8.9%(前期9.4%)(注2)といずれも前期を下回り、輸入車販売の事業環境は未だ厳しい状況が続いております。

(注1)出典:日本自動車販売協会連合会HP 統計データ

(注2)出典:日本自動車輸入組合HP 統計情報輸入車登録台数

 

このような経営環境の下、前連結会計年度に中古車輸出関連事業を展開する株式会社ENGを連結子会社化したことに伴い、当期首より当社グループとしては初めての取組となる中古車輸出関連事業を開始いたしました。

また、2024年7月1日付にてStellantisジャパン販売株式会社の全株式を取得し(同日付にて「チェッカーモータース株式会社」に商号変更)、連結子会社化するとともに新たにプジョー・シトロエン・DSオートモビルの3ブランドの取扱いを開始いたしました。なお、当社連結子会社ウイルプラスチェッカーモータース株式会社が2024年9月30日付にて同社株式を吸収合併いたしました。

加えて、2024年12月3日付にてオリオン自動車販売株式会社の全株式を取得し(同日付にて「ウイルプラスオリオン株式会社」に商号変更)連結子会社化し、九州エリアにおけるボルボブランドのシェア拡大を図りました。また、2024年12月にはHyundai Mobility Japan株式会社との間で基本合意契約を締結し、当社グループの17つ目の取扱いブランドとなるHyundaiブランドの店舗「Hyundai Citystore 仙台」(宮城県仙台市泉区)を2025年6月に新規オープンし、事業を開始いたしました。

 

当連結会計年度の売上高は、中古車輸出関連事業、新規取扱いブランドのプジョー・シトロエン・DSオートモビル、ボルボブランドの店舗数増加等が売上高に寄与し、連結売上高は88,614百万円(前期比85.6%増加)となりました。

売上総利益は、売上高増加に伴う増加により12,432百万円(前期比32.8%増加)となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、第1四半期連結会計期間に発生した特別調査関連費用等の一過性の費用に加え、業容の拡大に伴う人件費、販売費、店舗運営費用や店舗設備関連費用の増加により前期比34.5%増加の10,582百万円となったものの、売上高増加に伴う売上総利益がこれらを吸収し、営業利益は前期比23.5%増加の1,849百万円となりました。

これらの結果、経常利益は1,897百万円(前期比21.5%増加)、株式取得による負ののれん発生益308百万円の計上があった一方で、輸入車ディーラー事業の一部店舗について店舗収益の低下等により固定資産の減損損失249百万円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は1,443百万円(前期比28.8%増加)となりました。

 

 

当社グループの報告セグメントは従来「輸入車販売関連事業」の単一セグメントとしておりましたが、2024年5月に株式会社ENGの株式を取得し連結の範囲に含め、第1四半期連結会計期間より、同社の損益計算書を連結したことに伴い「中古車輸出関連事業」を報告セグメントとするとともに、従来の「輸入車販売関連事業」の名称を「輸入車ディーラー事業」に変更いたしました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

(輸入車ディーラー事業)

輸入車ディーラー事業におきましては、マルチブランド戦略及びM&A戦略が売上高に寄与いたしました。

新車販売につきましては、店舗数の増加に加え、ニューモデルや人気車種の需要が強いブランドを中心に販売が堅調に推移し、前期に集中的に納車が進んだブランドやニューモデル効果が薄れたブランドにおける減少をカバーし、新車販売台数は前期比10.1%増加、新車売上高は前期比7.9%増加の25,196百万円となりました。

中古車販売は、新車販売が減少したブランドを中心に中古車販売に注力し、前期比10.3%増加の14,852百万円となりました。車輌売上高合計では前期比11.0%増加の45,270百万円となりました。

車輌整備や損害保険代理店事業については、M&A戦略の成果による店舗数の増加及び継続してお取引頂くお客様の増加等により堅調に推移し、車輌整備は8,201百万円(前期比29.0%増加)、保険手数料収入は439百万円(前期比22.4%増加)と、いずれも前期を2割以上上回り、セグメント利益は2,515百万円となりました。

 

(中古車輸出関連事業)

主な輸出先国であるマレーシアの国内経済は、米国の貿易政策による影響への懸念によりその成長率にわずかな鈍化が見られるものの、堅調な内需が下支えとなり拡大は続いており、輸入車への需要は引き続き継続しております。

当連結会計年度の上半期におきましては、現地の中古車に対する旺盛な需要と継続する円安傾向が追い風となり、当社の輸出台数も好調に推移いたしました。年間で最も輸出台数が伸びる1月に入り順調な滑り出しを見せたものの、2025年2月頃より当社が中心的に輸出している車種の中古車市場への供給量が急増したことに加え、これまで継続して円安基調であったマレーシア通貨が円高基調に推移し、現地輸入業者からの需要が弱いものとなったため、海外売上高は想定を下回り、13,074百万円となりました。

業販につきましては、商品回転率を重視しながら、販売を強化したことにより、業販売上高は21,072百万円となりました。

繁忙期に備え海外輸出用の車種を中心に商品仕入れを強化するとともに、日本国内における中古車市場も堅調に推移するという想定で商品仕入れを推進しておりましたが、上述のとおり国内供給量増加による市況の軟化を発端に、マレーシアにおける需要も鈍化していきました。海外、国内ともに市況が弱いなか、商品回転率を重視し、販売を進めたことにより、利益率は低下いたしました。

一方で、株式会社ENGが当社の連結子会社となったことに伴い、同社管理部門の機能の当社への移管や、拠点・事務所の整理や統合を実施し、効率化を図った結果、販管費率は低下し、セグメント利益は433百万円となりました。

 

当社グループの中長期戦略の重点取組みである「店舗の再生エネルギー導入」を継続して推進してまいりました。当連結会計年度末時点では当社グループの44店舗中、再生エネルギー導入店舗は22店舗となっております。

また、低炭素車販売の推進、社用車の低炭素車の比率を高める取組みも継続し、当連結会計年度の新車販売に占める低炭素車の割合は14.8%、当連結会計年度末時点におけるグループ全体の社用車のうち低炭素車の占める割合は25.0%となりました。

なお、当連結会計年度に新たに24台のEV充電器を設置し、当連結会計年度末時点のEV充電器設置台数は急速充電器31台を含む99台となりました。

 

 

当連結会計年度における資産合計は、主にStellantisジャパン販売株式会社(同日付にて「チェッカーモータース株式会社」に商号変更)を新規連結したことにより流動資産が増加及び株式譲受に伴う店舗設備等の有形固定資産が増加したことにより前期比5,079百万円増加の37,231百万円となりました。

買掛金及び短期借入金の増加により負債合計は前連結会計年度末に比べ3,948百万円増加し、25,026百万円となりました。

純資産は前連結会計年度末に比べ1,131百万円増加の12,204百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より730百万円(前期比9.7%)増加し、8,234百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は1,303百万円(前連結会計年度は2,505百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が1,945百万円、減価償却費が1,970百万円等の資金増加要因があった一方で、負ののれん発生益308百万円、売上債権の増加が460百万円、棚卸資産の増加が3,385百万円、法人税等の支払額が755百万円、主に未払消費税等の減少によりその他が497百万円等の資金減少要因があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は545百万円(前連結会計年度は3,857百万円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得が315百万円、敷金及び保証金の支払額が61百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が175百万円あったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は2,578百万円(前連結会計年度は4,566百万円の獲得)となりました。これは、長期借入金の増加が2,800百万円、短期借入金の増加が2,886百万円あった一方で、長期借入金の約定返済が2,652百万円、配当金の支払額が417百万円あったこと等によるものであります。

 

③ 仕入及び販売の実績

(A) 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

商品の名称

グループ全体

仕入高

(百万円)

前期比
(%)

セグメント別

輸入車ディーラー

事業仕入高
(百万円)

前期比

(%)

中古車輸出

関連事業仕入高

(百万円)

新車

31,131

122.7

31,131

122.7

中古車

42,163

528.7

9,526

119.4

32,637

その他

3,872

122.1

3,872

122.1

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当事業年度における仕入実績の著しい変動の要因については、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

 

(B) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

商品の名称

グループ全体

販売高

(百万円)

前期比
(%)

セグメント別

輸入車ディーラー

事業販売高
(百万円)

前期比

(%)

中古車輸出

関連事業販売高

(百万円)

新車

25,196

107.9

25,196

107.9

中古車(国内)

15,067

111.9

14,852

110.3

214

   (海外)

13,074

13,074

中古車合計

28,141

208.9

14,852

110.3

13,288

業販

26,294

664.3

5,221

131.9

21,072

車輌販売高合計

79,632

195.2

45,270

111.0

34,361

車輌整備

8,201

129.0

8,201

129.0

その他

780

130.4

758

126.7

22

合計

88,614

185.6

54,230

113.6

34,383

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別販売実績及び当該販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

3.当事業年度における販売実績の著しい変動の要因については、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

なお、本項における将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A)経営成績等の状況に関する分析
(売上高)

当連結会計年度の売上高は、中古車輸出関連事業の開始、新規取扱いブランド(プジョー・シトロエン・DSオートモビル)の拡大、ならびにボルボブランドの店舗数増加等が寄与し、88,614百万円(前期比85.6%増)となりました。これにより、当社グループの事業規模は大幅に拡大いたしました。一方、海外輸出につきましては、当連結会計年度の上半期には円安や旺盛な需要を背景に順調に推移したものの、2025年2月頃より中古車供給量の増加や為替の円高基調への転換等により需要が弱含み、想定を下回る結果となりました。

 

(営業利益)

売上総利益は12,432百万円(前期比32.8%増)となりました。販売費及び一般管理費につきましては、業容拡大に伴う人件費や店舗関連費用の増加に加え、一過性の調査関連費用が発生したことにより、10,582百万円(前期比34.5%増)となりましたが、売上高増加に伴う売上総利益の拡大がこれを吸収し、営業利益は1,849百万円(前期比23.5%増)となりました。規模拡大に伴うコスト増を収益力でカバーし、効率化の効果も現れております。

 

 

(経常利益)

経常利益は1,897百万円(前期比21.5%増)となりました。輸入車ディーラー事業を中心とする安定的な収益基盤に支えられ、着実に利益成長を確保いたしました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度は、株式取得に伴い負ののれん発生益308百万円を計上した一方で、一部店舗の収益性低下により固定資産の減損損失249百万円を計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,443百万円(前期比28.8%増)となりました。M&A戦略による事業基盤拡大の効果が最終利益の成長に寄与したものと考えております。

 

なお、セグメント別の売上高及びセグメント利益の概況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

B)財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析
a)財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況は、以下のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ、5,079百万円増加し、37,231百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ、3,755百万円増加し、26,675百万円となりました。これは現金及び預金が737百万円増加、売掛金が590百万円増加、商品が2,403百万円増加した一方、預け金が減少したこと等によりその他が111百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,324百万円増加し、10,555百万円となりました。これはM&Aに伴う車輌運搬具の増加等により有形固定資産が867百万円増加、繰延税金資産の増加等により投資その他の資産が503百万円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ4,082百万円増加し、18,051百万円となりました。これは買掛金が647百万円増加、短期借入金が2,949百万円増加、1年内返済予定長期借入金が652百万円増加及び前受金が303百万円増加した一方で、未払消費税等が624百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ133百万円減少し、6,975百万円となりました。これは長期借入金が243百万円減少した一方、株式給付引当金が41百万円増加、資産除去債務が54百万円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

純資産は、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ9百万円増加、また配当金支払が416百万円あったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が1,443百万円あったこと等により利益剰余金が1,026百万円増加いたしました。また、主に自己株式の取得により自己株式が51百万円増加、非支配株主持分が114百万円増加及び新株予約権が23百万円増加いたしました。これらの結果、純資産は前連結会計年度末に比べ、1,131百万円増加し、12,204百万円となりました。

 

b)キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 

C)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の資本政策はつぎのとおりであります。

当社グループの業容の拡大に向けた財務体質の強化及びM&A資金並びに店舗設備等への投資のために内部留保の拡充を図りながら、株主の皆様への還元も安定的に継続して実施していくこととしております。

当社グループの主な資金需要は、商品仕入れや人件費等の費用等に係る運転資金と店舗設備投資用資金であります。これらの資金需要については、営業キャッシュ・フローである自己資金により充当することを基本的な方針としておりますが、多額な店舗投資やM&A等の戦略的投資については、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。

また、複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、機動的な戦略的投資ができる体制となっております。

 

D)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

 取引基本契約

契約会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

ウイルプラスチェッカーモータース㈱

Stellantisジャパン㈱

東京都
港区

フィアット・アルファロメオ/アバルト・ジープ製品

2024年
1月1日

2025年1月1日から2025年12月31日まで

ジープ/フィアット・アルファロメオ/アバルト製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

同上

Stellantisジャパン㈱

東京都
港区

プジョー・シトロエン・DSオートモビル製品

2024年
7月1日

2024年7月1日から2025年6月30日まで

プジョー・シトロエン・DSオートモビル製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

ウイルプラスモトーレン㈱

ビー・エム・ダブリュー㈱

東京都
千代田区

BMW製品

2024年
1月1日

2024年1月1日から2026年12月31日まで

BMW製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

同上

ビー・エム・ダブリュー㈱

東京都
千代田区

MINI製品

2024年
1月1日

2024年1月1日から2026年12月31日まで

MINI製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

ウイルプラス帝欧オート㈱

ボルボ・カー・ジャパン㈱

東京都
港区

ボルボ製品

2025年
1月1日

2025年1月1日から2026年12月31日まで

ボルボ製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

ウイルプラスオリオン㈱

ボルボ・カー・ジャパン㈱

東京都
港区

ボルボ製品

2025年
1月1日

2025年1月1日から2026年12月31日まで

ボルボ製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

ウイルプラスアインス㈱

ポルシェ・ジャパン㈱

東京都
港区

ポルシェ製品

2024年
12月27日

2025年1月1日から2026年12月31日まで

ポルシェ製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

ウイルプラスエンハンス㈱

ジャガー・ランドローバー・ジャパン㈱

東京都
品川区

ジャガー・ランドローバー製品

2025年
6月1日

2025年6月1日~

ジャガー・ランドローバー製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

同上

BYD Auto
Japan㈱

神奈川県横浜市

BYD Auto製品

2023年

5月11日

2023年5月11日から2025年12月31日まで

BYD製品の販売及びそれに伴うアフターサービス業務に関する事項

㈱ウイルプラスホールディングス

Hyundai

Mobility Japan㈱

神奈川県横浜市

Hyundai Mobility製品

2024年

12月25日

2024年12月25日から2027年12月31日まで

Hyundai Mobility製品の販売業務に関する事項

 

(注) 1.2024年7月1日付でStellantisジャパン販売㈱(同日付でチェッカーモータース㈱へ商号変更)を子会社化したことに伴い、Stellantisジャパン㈱との間にプジョー・シトロエン・DSオートモビル製品を取り扱う正規ディーラー契約を契約いたしました。

2.2024年12月3日付でオリオン自動車販売㈱(同日付でウイルプラスオリオン㈱へ商号変更)を子会社化したことに伴い、ボルボ・カー・ジャパン㈱との間にボルボ製品を取り扱う正規ディーラー契約を契約いたしました。

 

 

6 【研究開発活動】

  該当事項はありません。