当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」という経営理念のもと、世界中のあらゆる場所でケミカルポンプを中心とした流体制御機器をご利用いただくことで、社会に価値を提供し、暮らしの流れを支えてまいりました。
変化の激しいこれからの時代においても、さらに多様化するニーズに応え、世界中のあらゆる場所で、人々の暮らしの流れを支え続けていく企業グループでありたいと考えております。そのため、当社グループは、「これからの暮らしの流れを支える Aid daily life globally, evolving for future needs.」をありたい姿として掲げております。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
①新長期ビジョン 「イワキグループビジョンNEXT10」
当社グループは、経営理念である「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」の実現に向け、10年後のありたい姿として新たな長期ビジョン「イワキグループビジョンNEXT10(以下、NEXT10)」を策定いたしました。
激しい変化が予想されるこれからの10年においても、人々の暮らしの流れを支え続けていく企業グループでありたいとの想いを込め、NEXT10では基本方針と併せて以下の内容を定性目標として設定しております。
・定性目標
|
ありたい姿 |
これからの暮らしの流れを支える Aid daily life globally, evolving for future needs. |
|
基本方針 |
事業活動を通じて世界中の IWAKI ファンを増やし、 持続可能な世の中づくりに貢献する。 |
また、定量目標として以下を設定しており、その達成に向けバックキャストにより設定した、6つの新たな取り組みを重要テーマとして設定しております。
・定量目標(2035年3月期)
|
連結売上高 |
1,000億円 |
|
連結営業利益率 |
15%以上を維持継続 |
・重要テーマ
|
1.海外市場における水処理ニーズへの貢献拡大 |
|
2.水素をはじめとした次世代エネルギー社会づくりへのチャレンジ |
|
3.グローバル製品の企画 |
|
4.グローバル調達の拡大 |
|
5.DXによる生産性・働きやすさ向上 |
|
6.ESG経営の推進 |
②中期経営計画2027
NEXT10では、2035年3月期までの10年間を、ホップ・ステップ・ジャンプの3つの期間に分けて取り組みを行ってまいります。ホップ期である2026年3月期から2028年3月期までの計画「中期経営計画2027」については、以下の目標を設定しております。
・財務目標(2028年3月期)
|
連結売上高 |
530億円 |
|
国内売上高 |
235億円 |
|
海外売上高 |
295億円 |
|
連結営業利益 |
69億円 |
|
連結営業利益率 |
13% |
|
ROE |
12%以上の維持 |
|
在庫回転日数 |
150日 |
・キャッシュアロケーション
|
キャッシュイン |
営業キャッシュフロー 外部調達 |
約190億円 約30億円 |
|
キャッシュアウト |
成長・基盤投資 株主還元 手元資金 |
約80億円 約60億円 約80億円 |
日本経済は、雇用・所得環境の改善が進む中で緩やかな回復基調にありますが、物価上昇は依然として収束の兆しが見られず、米国の関税政策の動向をはじめ、景気の先行きはなお不透明な状況が続いております。
こうした経営環境の中、中期経営計画2027の初年度である2026年3月期は、「持続可能な成長への基盤づくり」と「マテリアリティの実現」を経営方針とし、着実な成長と将来の飛躍に向けた基盤固めを進めてまいります。
マテリアリティの詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)サステナビリティ全般 ②戦略」に記載しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」という経営理念のもと、以下の「イワキグループ サステナビリティ基本方針」を制定し、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上の両立に向けた取り組みを推進しております。
「イワキグループ サステナビリティ基本方針」
・私たちは、環境課題・社会課題の解決につながる製品・サービスを積極的に開発・提供します。
・私たちは、事業活動で生じる環境負荷を低減します。
・私たちは、すべての人の人権を尊重します。
・私たちは、多様な人材が安心・安全・健康に、それぞれ活躍できる基盤を整備します。
・私たちは、法令・社会規範を遵守し、公正・透明な経営を推進します。
・私たちは、外部の客観的かつ多様な視点を取り入れ、ステークホルダーの声に誠実に応えます。
(2)サステナビリティ全般
①ガバナンス
当社は、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進するため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。
本委員会では、サステナビリティに関する方針策定や重要課題への全社的または主管部門における取り組み状況の確認、施策などについて審議を行ってまいります。
また、サステナビリティ委員会で審議された内容は取締役会に対して適宜、提言や報告を行い、取締役会ではその対応について必要に応じて審議・決議を行うとともに、取締役の職務の執行を監督いたします。
②戦略
NEXT10におけるありたい姿の実現のため、「ESG経営の推進」を重要テーマの一つに掲げております。このテーマの推進にあたり、当社グループではマテリアリティ(重要課題)を特定し、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。また、その取り組み状況はサステナビリティ委員会へ定期的に報告し、進捗を確認してまいります。
a.マテリアリティ
|
マテリアリティ |
内容 |
|
地球環境との共生 |
・廃棄物の削減 ・脱炭素への対応 ・水質保全への貢献 ・環境配慮製品の提供 |
|
製品の安全性と品質の追求 |
・安全性・品質の追求 ・顧客対応能力の向上 |
|
環境や人権に配慮した調達の推進 |
・持続可能なサプライチェーン管理 |
|
持続的成長を支える人材基盤の整備 |
・人材の育成 ・多様な人材の確保 ・職場環境の整備 |
|
ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底 |
・ガバナンスの強化 ・コンプライアンス経営の推進 |
b.マテリアリティの特定プロセス
|
STEP1 課題の抽出 |
社内プロジェクトチームを発足。ISO26000、GRIスタンダード、SDGsなどの国際フレームワークや他社事例などを参考に、基本となる課題を抽出。 |
|
STEP2 抽出課題の評価 |
抽出した課題に対し、社外視点による評価を行うため、ステークホルダーへのヒアリングを実施。 |
|
STEP3 課題の再整理と選定 |
STEP2のヒアリング結果を受け、社内プロジェクトで課題の優先順位付け、整理・統合を実施。経営陣との協議も含め、社内協議を重ね、マテリアリティを選定。 |
|
STEP4 マテリアリティ特定 |
サステナビリティ委員会での審議の後、取締役会決議によりマテリアリティを特定。 |
③リスク管理
当社では、リスク・コンプライアンス委員会において全体のリスク集約及び管理を行っております。全社から収集されたサステナビリティに関するリスク及び機会は、サステナビリティ委員会において識別・評価・検討され、その後リスクに関してはリスク・コンプライアンス委員会に報告されます。同委員会では、相対的なリスク評価を実施するとともに、対応方針および施策の検討を行ってまいります。検討された内容については、リスク・コンプライアンス委員会の下部にあるリスク・コンプライアンス協議会などを通じて関連部署へ指示がなされ、その進捗状況はリスク・コンプライアンス委員会が定期的にモニタリングを実施してまいります。
なお、重大なリスクであると判断されたものに関しては、取締役会にてその対応を審議・決議いたします。
④指標及び目標
2026年3月期よりスタートした「中期経営計画2027」において、マテリアリティに対する指標及び目標を以下のとおり設定し、管理してまいります。
|
マテリアリティ |
対象範囲 |
指標及び目標 |
|
|
地球環境との共生 |
単体 |
設計品質・製造品質の改善による主要工場における生産1台あたりの廃棄物量 |
継続的な削減 |
|
連結 |
連結GHG排出量(Scope1+2) |
2028年3月期 39%削減(2021年3月期比) |
|
|
単体 |
設計品質・製造品質の改善による主要工場における生産1台あたりのエネルギー使用量 |
継続的な削減 |
|
|
単体 |
単体Scope3対応 |
排出量算定、削減目標設定 |
|
|
単体 |
CDP気候変動スコア |
B維持 |
|
|
連結 |
水処理市場向け製品開発実行件数 |
検証後設定 |
|
|
単体 |
主要製品におけるカーボンフットプリントの把握 |
5製品 |
|
|
製品の安全性と品質の追求 |
連結 |
重大な品質クレームの未然防止 |
重大クレーム発生件数 0件 |
|
連結 |
ソリューション営業による売上拡大 |
「中期経営計画2027」売上目標の達成 |
|
|
環境や人権に配慮した調達の推進 |
単体 |
自己評価質問表(SAQ:Self Assessment Questionnaire)による調査実施 |
国内主要取引先へのSAQ調査実施 |
|
単体 |
SAQに関する目標設定 |
定量目標の設定 |
|
|
持続的成長を支える人材基盤の整備 |
単体 |
社員の育成、教育、キャリアアップに係る投資額の年間成長率 |
10% |
|
単体 |
女性のキャリア開発に係る研修等の実施回数 |
年間12回 |
|
|
単体 |
男性育児休業取得率 |
50% |
|
|
単体 |
男性育児休業取得者における7日以上(土日祝祭日含む)休業の取得率 |
90% |
|
|
単体 |
平均勤続年数差異(女性平均勤続年数/男性平均勤続年数) |
100% |
|
|
単体 |
休業災害発生件数 |
0件 |
|
|
単体 |
育児・介護休業後の復帰率 |
100% |
|
|
単体 |
エンゲージメントスコアの向上 |
全体スコアの継続的な改善 |
|
|
ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底 |
連結 |
取締役会実効性評価に基づく取締役会の実効性向上 |
評価結果の継続的な改善 |
|
連結 |
積極的で適切な情報開示 |
情報開示の継続的な改善 |
|
|
連結 |
重大な情報セキュリティインシデントの発生件数 |
0件 |
|
|
連結 |
重大なコンプライアンス違反件数 |
0件 |
|
(注)上記指標及び目標は、外部環境の変化や当社グループの取り組み状況を踏まえて、適宜見直しを行ってまいります。
(3)気候変動対応(TCFD提言への対応)
①ガバナンス
気候変動対応に関するガバナンスは、「
②戦略
気候変動に起因する当社事業への影響を考察するために、1.5/2℃、4℃シナリオを参考に、定性・定量の両面からシナリオ分析を実施しています。
考察の結果、いずれのシナリオにおいても、気候変動起因による主なリスクとして、洪水や高潮による自社拠点への被災やサプライチェーンの寸断によって売上機会が減少する可能性を認識しております。
一方、1.5/2℃シナリオにおいては、機会として、脱炭素社会への移行に伴う二次電池をはじめとした新エネルギー分野のニーズに当社製品が適応することで、売上機会が増加する可能性が高いことを認識しております。
|
対象 |
1.5/2℃シナリオ |
4℃シナリオ |
|
政府 |
■炭素税の導入や、再エネ・省エネに関する政策など、 環境関連対応を推進。 |
■気候変動対策は現状維持。 ■異常気象への対応支援。 |
|
投資 |
■ESG投資がスタンダードに。 ■環境経営情報を投資先選定で重視。 |
■環境配慮よりも収益性重視。 ■投資先選定ではBCP対策有無を注視。 |
|
気象 |
■異常気象の激甚化は4℃に比べ緩やか。 |
■異常気象の激甚化による物理的なリスクの顕在化。 |
|
エネルギー |
■再生可能エネルギーが普及。化石燃料由来のエネルギーは減少。 |
■化石燃料由来のエネルギーが主流。高効率な発電技術が進展。 |
|
企業 |
■政策・規制に伴うエネルギー価格の上昇により、操業コストが増加。 ■政策・規制に伴う原材料の変化により、原材料コストが増加。 |
■異常気象による自社設備への被害が発生。 ■平均気温の上昇による従業員への健康被害が発生。 |
|
顧客 |
■使用製品に関し、価格・性能に加え環境配慮の有無を重視。 ■再エネ・省エネに寄与する製品やサービスの進展。 |
■使用製品に関し、価格や性能を重視。 ■サプライチェーンに対して、BCP対策を要求。 |
|
区分 |
項目 |
事象 |
時期 ※1 |
リスク |
影響度※2 |
||
|
内容 |
対策 |
1.5/2℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
||||
|
移行リスク |
政策・規制 |
GHG排出に対する炭素税などの法規制の公布 |
中期 ~ 長期 |
■当社事業活動に伴うGHG排出(Scope1,2)に対してのカーボンプライシングが発生。 |
■主要拠点にて、再生可能エネルギー由来の電力メニューを積極使用。 ■省エネ設備の導入による電力削減。 |
★★ |
- |
|
再エネ政策やエネルギーミックスの変化による電力価格の増加 |
中期 ~ 長期 |
■電力価格の増加に伴う操業コストが増加。 |
■省エネ設備の導入による電力削減。 |
★ |
- |
||
|
資源循環に関わる法規制の強化 |
中期 ~ 長期 |
■プラスチック規制やリサイクル規制により、原材料コストの変化や代替材料への変更コストが発生。 |
■複数社購買の強化。 ■廃プラ・鉄・非鉄を含む廃棄物のリサイクル活動。 ■製品・部品のリサイクル検討。 |
★★★★ |
★ |
||
|
技術 |
脱炭素に資するための製造プロセスの変化 |
中期 ~ 長期 |
■脱炭素に資するため半導体製造などで部品の最適化が進み、製造過程が短縮され、ポンプの需要が減少。 |
■脱炭素(省エネ、省資源など)製品・技術の開発推進。 |
★★★★ |
★ |
|
|
市場 |
サプライチェーン全体での脱炭素化に伴う行動変化 |
短期 ~ 中期 |
■顧客企業より脱炭素化を求められ、製品生産における脱炭素技術・設備導入などの対応コストが発生。 |
■自社製造プロセスの脱炭素化および効率化に伴うリスク軽減。 |
★★ |
★ |
|
|
評判 |
ステークホルダーのESG/サステナビリティに起因する行動変化 |
短期 ~ 長期 |
■気候変動を含むESGへの取り組みが不十分である場合、顧客や投資家からのレピュテーションが低下する。 ■採用や雇用環境にも悪影響が発生。 |
■Scope3の算定およびSBT認証取得の検討。 ■サステナビリティ調達の検討。 ■脱炭素に資する製品の開発・提供。 |
★★★★ |
★★ |
|
|
物理的リスク |
急性 |
異常気象の激甚化による物理的被害の増加 |
短期 ~ 長期 |
■台風や洪水の激甚化による自社設備やサプライチェーンへの被害発生。 ■製造拠点の操業停止や売上の減少や対応費用の増加。 |
■事業継続計画(BCP)の見直しと対策強化。 |
★★ |
★★ |
|
区分 |
項目 |
事象 |
時期 ※1 |
機会 |
影響度※2 |
||
|
内容 |
対策 |
1.5/2℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
||||
|
機会 |
政策・規制 |
脱炭素社会に伴う環境測定需要の高まり |
中期 ~ 長期 |
■法規制の強化に伴って環境測定の必要性が高まり、ポンプを部品とする測定機器の販売数が増加。 |
■環境測定に関連した製品の提供およびアピール。 |
★★ |
★ |
|
技術 |
燃料電池や二次電池の普及 |
中期 ~ 長期 |
■燃料電池・二次電池の普及により、製造工程や関連機器内部に使用されるポンプの需要が増加。 |
■新エネルギー分野における自社製品の有効性のアピール。 ■脱炭素に寄与する製品・新技術の開発。 |
★★★★ |
★★★ |
|
|
再エネ・省エネ技術の普及 |
中期 ~ 長期 |
■脱炭素社会への移行に伴い、再エネの普及や省エネ技術が発展することにより、その製造過程や機器内部で使用されるポンプの需要が増加。 |
■自社製品の省エネ性能の適切な開示。 ■省エネ性能に関わる製品・新技術の開発。 |
★★★ |
★★ |
||
※1 想定される発生時期について、短期:0~3年、中期:4~10年、長期:11~30年と定義しております。
※2 事業継続または業績に与える影響度について、影響度の大きい順に★★★★~★の4段階で評価しております。
③リスク管理
気候変動対応に関するリスク管理は、「
④指標及び目標
当社グループは、気候変動対応への進捗を管理するための指標として、温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を採用しております。
持続可能な社会の実現のために、パリ協定で掲げられた1.5℃目標に沿って、2050年カーボンニュートラルを目指し、中長期的な戦略および施策の検討を行ってまいります。
<事業活動におけるGHG排出量(Scope1、2)の削減目標>
|
区分 |
年度 |
イワキグループ削減目標 |
|
Scope1 + Scope2 |
2030年度 |
2020年度(2021年3月期)比50%削減 |
|
2050年度 |
カーボンニュートラル |
(注)GHG排出量実績含めその他詳細は、以下、当社ウェブサイトに開示しております。
https://www.iwakipumps.co.jp/sustainability/environment/tcfd/
(4)人的資本・多様性
①ガバナンス
人的資本・多様性に関するガバナンスは、「
②戦略
人的資本経営に係る基本方針:ダイバーシティ経営においては「多様な能力と個性をもつ社員が柔軟な発想と行動力を発揮できるよう待遇・採用・環境面を整備し、人材を確保・育成し、企業価値の向上に取組みます。」を定め、2024年度より運用開始いたします。
当該経営の戦略として専門技術に精通した人材、マネジメント能力に優れた人材の確保、多様な能力と個性を生かした人材の育成、これらの取組みの一環として以下のように進めてまいります。
ⅰ)社員が性別に関わらず家事や育児に参画することを支援し、男性も育児休業を取得しやすい環境を整え、「誰もが活躍できる社会」を創ることを目指します。
ⅱ)社員それぞれが、成長し続けられるよう、キャリアと能力を開発し続ける機会を提供してまいります。特に女性のキャリア・アップを図るための教育・育成への投資も積極的に行い「多様な人材の確保」に努めてまいります。
又、人的資本経営に係る基本方針:健康経営においては、「従業員の健康を第一とし、安全な職場、働きやすい環境を提供する。」とし、2023年度より運用しております。
③リスク管理
人的資本・多様性に関するリスク管理は、「
④指標及び目標
ダイバーシティ経営及び健康経営の指標と目標は以下の通りであります。
なお、連結グループの主要な事業を行う海外子会社において、当該指標及び目標において関連する法令も異なり、又、各海外子会社、別個の人事・雇用制度になっている等の理由で連結での集計・記載が困難なため、当該指標及び目標は提出会社のものを提出しております。
a.ダイバーシティ経営の指標と目標について
|
指標及び目標 |
2024年3月期 実績 |
2025年3月期 実績 |
|
|
|
|
43.8% |
|
|
|
|
100.0% |
|
|
(2030年3月期まで) |
(投資額) |
- (15百万円) |
△ (12百万円) |
|
|
年間 |
- |
|
(注)社員の育成、教育、キャリアアップに係る投資額の年間成長率及び女性のキャリア開発に係る研修等の実施回数については、2025年3月期より運用開始。
b.健康経営の指標と目標について
|
指標及び目標 |
2024年3月期 実績 |
2025年3月期 実績 |
|
|
|
|
100.0% |
|
|
平均勤続年数差異 (女性平均勤続年数/男性平均勤続年数) |
|
105.5% |
|
以下において、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しており、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。
なお、以下の記載事項は、特に断りがない限り、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)変動の大きい市場環境に対するリスク
当社が製造・販売するケミカルポンプは、純度の高い薬液を取り扱う半導体や液晶パネル製造プロセスをはじめ、化学、電子部品、水処理、食品、製紙など幅広い産業分野で使用されております。半導体、液晶パネルを使用する液晶テレビ・パソコン等は市況変動が大きいため、当社グループの業績はこれらの製品の需要動向や生産設備投資動向などに左右される傾向にあります。また、化学製品についても素材の市況変動により生産量、生産設備投資動向が左右される傾向にあるため、これらの市場環境が悪化した場合、受注の悪化、在庫の滞留などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの強化市場については、市場環境・経済環境の変化や当社グループの状況なども踏まえ総合的に判断したうえで、適宜見直しを図ってまいります。
(2)国内企業の海外移転等により国内需要が減退した場合のリスク
当社グループが展開するケミカルポンプ事業は、幅広い産業分野に支えられておりますが、収益基盤である国内産業分野の経済状況、統廃合、製造拠点の海外移転等により、需要が長期的に停滞、減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「イワキグループビジョンNEXT10及び中期経営計画2027」の定量目標として掲げております「2028年3月期連結売上高530億円(国内235億円、海外295億円)」にもありますように、海外事業の拡大を進めております。海外売上比率の向上により、国内需要減によるリスクを最小化すべく取り組んでまいります。
(3)海外での事業展開によるリスク
当社グループは、北米、欧州、アジア等において、当社グループ又はその他の販売代理店を通じ当該地域における事業拡大を進めております。今後、日本国内での大幅な市場拡大が見込まれない中、当社グループがさらなる成長をするためには、業績の基礎となる日本国内市場を確保しつつ海外市場での事業を拡大することが必要と認識しております。具体的には、先進国における技術者駐在による先進需要の開拓や、需要拡大の著しい新興国における営業技術支援強化による販売の増加を進め、製品開発戦略においては日本に限らず世界各国の市場で通用する製品の開発を推進する方針であります。しかしながら、こうした取組みにもかかわらず、海外市場の変化、海外における競合の状況及び新製品開発の時期等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、米国の関税政策の動向に依り、同国市場において当社製品の価格競争力の低下のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外の代理店政策においては、原則として一か国に一社の販売代理店を置くこととしており、当該国における当社製品の販売において代理店同士の競争を避け、各国の顧客ニーズを的確に吸い上げ、当社との情報共有を図りやすくしております。加えて地域戦略としては、欧州・米国・東南アジア諸国連合の各重点強化地域で現地関係会社と連携して、市場動向、顧客ニーズを的確に把握し、近接地域での在庫重複の回避等有効な販売展開をしております。しかしながら、この地域戦略が上手く稼働しない場合や当該販売代理店の当該国市場における競争力の低下等が生じた場合、直ちに他の販売代理店への変更ができず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、現地動向の早期把握、営業・技術ノウハウの継承等を行うため日本国内よりスタッフ派遣を実施しており、各種課題対応に取組んでおります。
(4)合弁契約にかかるリスク
当社は、欧州、アジア等の地域において、合弁会社による販売を行っております。当社は、合弁契約その他の事業関連契約等により当社グループの利益の確保に努めていますが、合弁相手を支配下においているわけではないため、合弁相手が当社グループや合弁事業にとって最良の意思決定をするという保証は無く、それらの契約が解消されるなどの事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)当社商号の使用許可によるリスク
当社は、優位な販売戦略確立のため、当社の関係会社の他、当社が出資を行う一部の海外の販売代理店に対し、当社の商号「イワキ」を使用する権利を契約で付与しており、商号の使用においては当社の同意を前提としております。今後、当該販売代理店の悪評又は信用不安等が生じた場合や、商号が同一であることから当社グループ会社であると誤認された場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)製品の品質にかかるリスク
当社の製品につきましては、品質管理部門において厳格に管理されておりますが、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性を排除することはできないため、製造物責任賠償保険に加入するなど当該問題発生に際しての備えを強化しております。しかしながら、製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループに対する評価を著しく低下させ、売上高の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、不具合の撲滅を重点テーマに掲げており、当該対応のためプロジェクト体制を敷き製品品質向上に取組んでおります。
(7)原材料の価格変動リスク
当社製品には金属及び樹脂を原材料とした部品が多く使用されており、その仕入価格は市場価格の変動の影響を受けることがあります。原材料素材の需給関係等により原材料価格が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)競合のリスク
当社グループは、ケミカルポンプにおいて60年以上に亘り開発・製造の実績を積上げ確固たる地位を築いており高品質で耐久性に優れた製品を供給することで競合する新興国製の安価な製品との差別化を図っておりますが、今後競合製品の品質向上等により当社製品の優位性が維持できない場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、基礎研究及びコア技術開発の環境が整備された技術センターの活用により、高度な研究開発を推進してまいります。今後「オンリーワン」製品の開発を進め、競合他社との差別化を図っていくべく取組んでおります。
(9)研究開発におけるリスク
当社グループは、市場要求と顧客ニーズを捉えた製品開発を行うことで、幅広い産業分野における販売拡大に努めておりますが、必ずしも想定した成果を得られる保証はなく、タイムリーに新製品を供給できない場合や顧客が要求する水準を満たすことができない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)為替変動のリスク
当社グループには、外貨建の売上、仕入、資産、負債があり、連結財務諸表作成のために円換算しています。主な通貨は米ドルとユーロであり、これらの通貨の為替変動が当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ全体では、外貨建売上が外貨建仕入を上回り、また外貨建資産が外貨建負債を上回るため、これらの通貨に対する円高が当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)金利変動のリスク
当社は、運転資金及び設備資金について主に金融機関からの借入れにより資金調達を行っております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)自然災害発生によるリスク
当社グループの主たる生産工場は、埼玉県狭山市及び福島県田村郡三春町にあります。当該地域での自然災害等によりサプライチェーンの寸断や生産設備に被害を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが事業を展開する地域や販売先企業が拠点を置く地域において自然災害等が発生し、当該地域において直接的な被害が出た場合や、市況が悪化し設備投資意欲が減退した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内においては東西に物流の補完として外部倉庫を利用しており、これは流通の短縮化だけでなく、災害発生時のリスク分散のためでもあります。また、海外ではノックダウン生産拠点の分散化、仕入先との連携強化を図り、生産管理体制の強化等を行うことにより、リスクの最小化に努めております。
(13)システム関連のリスク
当社は、業務を円滑に行うため、ハードウェア・ソフトウェアの障害防止、コンピュータウイルス等による障害防止のために万全を期しておりますが、システム・サーバダウン、コンピュータハッカーの侵入、ウイルス等による破壊的な影響を受ける場合があり得ます。システムに重大なトラブルが発生した場合には、受注・生産活動に支障が起こり当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、データセンターの活用、稼働状況の監視、適切な運用管理を行う事により、不具合の迅速な発見、対応に努めております。また、社内規程の整備や情報セキュリティ教育を行う事により、社員のITリテラシー向上を図り、情報漏洩やウイルス感染等のリスクを最小限に抑えられるよう取り組んでおります。
(14)法的規制にかかるリスク
①安全保障輸出管理にかかるリスク
当社グループは海外15ヶ国に20社の関係会社を設置し積極的に海外展開を推進しておりますが、海外への製品や部品の輸出あるいは技術の提供を行う際には、外国為替及び外国貿易法とその関連法令に定められた安全保障輸出管理に係る規定を遵守して実施することが求められております。これらに違反した場合、懲役、罰金などの刑罰や輸出禁止の行政制裁などが科せられることが定められており、その対象範囲によっては売上・利益に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは正確で効率的な安全保障輸出管理体制を維持するとともに、コンプライアンス経営の推進により発生防止に努めております。
②その他の法的規制にかかるリスク
当社グループは、ケミカルポンプ及びその周辺機器の開発、製造、販売(輸出入を含む)を主な事業としており、また、それに附帯する製品の修理及びアフターサービス並びに設置工事を行っております。このような事業を行うに際して、製造物責任法、独占禁止法、環境・リサイクル関連等の法的規制を受けております。また、事業を展開する海外の各国においては、事業・投資の許可などをはじめ、さまざまな規制の適用を受けております。今後、新たな法令等の制定等規制の動向によっては、当社グループの事業展開が制約され業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)知的財産権にかかるリスク
当社グループは、競合他社と差別化できる技術を蓄積するべく研究開発を推進しており、当社グループが保有する技術等については特許権の取得により保護を図っております。しかしながら、当社グループが保有する知的財産権が第三者に不正に侵害された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは製造、販売する製品について他社の知的財産権を侵害することのないようリスク管理に取り組んでおりますが、当社グループが販売している製品や、今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性は完全には否定することはできません。当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、第三者より損害賠償等の訴訟が起こされる可能性もあります。これらの要因により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、競合メーカーをピックアップし、特許取得状況の調査及び監視を行っております。知的財産権に関する懸念が発生した場合には、都度、弁理士に相談を行っており、侵害の可能性がある場合には、弁理士と協働して、早期解決を目指して行動しております。
(16)買収(M&A)等にかかるリスク
当社グループは、事業拡大のための業務提携や必要に応じて国内外におけるケミカルポンプ及びその周辺事業を買収し、シナジー効果を得て更なる事業拡大を図ることが重要戦略の一つであると長期ビジョン及び中期経営計画等で位置付けております。
また、販売拡大、企業ブランド維持のために合弁会社の子会社化または合弁会社との合弁解消等の戦略も検討してまいります。なお、買収を行う際には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデュー・デリジェンスを行うことによって、極力諸リスクを回避するように努めておりますが、案件の性質上時間的な制約等から十分なデュー・デリジェンスが実施できない場合もあり、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性も否定できません。また、事業展開においてはその性質上、シナジー効果による当社グループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、事業環境の変化等により計画通りに事業が進展せず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に一定の期間を要する又は出来ない可能性があります。
当社グループでは、買収のデュー・デリジェンスの際、必要に応じて外部機関を利用し、対象の企業価値判断の精度を上げ、上記リスクの回避に努めております。また、当社関連部署との連携を密にし、シミュレーションを実施し、事業シナジー最大化に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善が進む中で緩やかな回復基調にありますが、物価上昇は依然として収束の兆しが見られず、米国の関税政策の動向をはじめ、景気の先行きはなお不透明な状況が続いております。
こうした状況の下、企業価値向上に向け「オールイワキで世界No.1を提供する」べく、国内では「ソリューションで勝つ」を基本方針にした活動を展開、海外においては世界15ヵ国20社の関係会社と連携し販売拡大を図ってまいりました。その結果、「イワキグループ10年ビジョン」の定量目標である「2025年3月期連結売上高400億円、営業利益率10%」は、前連結会計年度に引き続き達成することができました。
市場別における強化市場の売上は、半導体・液晶市場6,875百万円(前年比12.3%減)、医療機器市場8,300百万円(前年比1.6%増)、水処理市場10,994百万円(前年比8.9%増)、新エネルギー市場779百万円(前年比30.5%減)となりました。
地域別では、国内は、医療機器市場、水処理市場、化学市場が牽引し、売上高は21,704百万円(前年比5.1%増)となりました。海外について、米国は、医療機器市場及び主要市場である水処理市場の伸長と為替影響により、売上高は7,241百万円(前年比2.8%増)となりました。欧州は、医療機器市場の伸長と為替影響により、売上高は6,022百万円(前年比5.6%増)となりました。アジア地域は、韓国・台湾向け半導体・液晶市場が低調に推移しましたが、化学市場の伸長により、売上高は2,778百万円(前年比7.9%増)となりました。中国は、半導体・液晶市場、医療機器市場の不調が続いており、売上高は5,619百万円(前年比15.2%減)となりました。
製品別では、主力製品であるマグネットポンプ、定量ポンプが全体を牽引しております。半導体・液晶市場の落ち込みの影響を受け、同市場をメインとする空気駆動ポンプは売上高4,845百万円(前年比15.3%減)となりました。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度の連結売上高は45,763百万円(前年比2.7%増)となりました。
低迷が続いている半導体・液晶市場向け製品を中心に計上した棚卸資産の評価減などによって売上原価率が上昇しましたが、イワキ香港グループ、イワキ上海の子会社化に伴い発生していた無形資産に係る償却費の減少などにより、営業利益は5,845百万円(前年比7.0%増)、経常利益は6,517百万円(前年比4.7%増)となりました。前述の評価減計上については税務上費用とされないことから、税金等調整前当期純利益に占める法人税の比率が上昇しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は4,468百万円(前年比0.2%増)となりました。
なお、当社グループはケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
財政状態の分析について以下のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は37,405百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,940百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が740百万円、売掛金が877百万円増加したことによるものであります。固定資産は16,745百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,112百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が1,826百万円、投資有価証券が765百万円、退職給付に係る資産が475百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は54,150百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,052百万円増加いたしました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は12,105百万円となり、前連結会計年度末に比べ708百万円減少いたしました。これは主にリース契約更新等によりその他流動負債が1,101百万円増加した一方、電子記録債務が1,897百万円減少したことによるものであります。固定負債は3,935百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,172百万円増加いたしました。これは主にリース契約更新等によりその他固定負債が1,207百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は16,040百万円となり、前連結会計年度末に比べ464百万円増加いたしました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は38,109百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,588百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が3,010百万円、為替換算調整勘定が1,304百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は70.0%(前連結会計年度末は67.8%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は7,941百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,168百万円増加(前連結会計年度は1,918百万円の減少)いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果、資金は3,463百万円増加(前連結会計年度は2,564百万円の増加)いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益(6,523百万円)などによる資金増加要因が、法人税等の支払額(1,785百万円)などによる資金減少要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果、資金は784百万円減少(前連結会計年度は2,487百万円の減少)いたしました。これは主に、有形及び無形固定資産取得による支出(767百万円)などによる資金減少要因があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果、資金は1,876百万円減少(前連結会計年度は1,854百万円の減少)いたしました。これは主に、配当金の支払額(1,458百万円)などによる資金減少要因があったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、ケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績、受注実績、販売実績の記載はしておりません。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
当連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) |
|
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
マグネットポンプ |
11,662,925 |
105.1 |
|
定量ポンプ |
5,811,422 |
133.4 |
|
空気駆動ポンプ |
4,888,248 |
85.1 |
|
回転容積ポンプ |
1,980,682 |
84.8 |
|
エアーポンプ |
2,149,214 |
103.8 |
|
システム製品 |
1,698,903 |
135.0 |
|
その他 |
6,960,414 |
140.4 |
|
合計 |
35,151,811 |
110.5 |
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
マグネットポンプ |
13,846,548 |
104.0 |
3,613,263 |
74.9 |
|
定量ポンプ |
7,791,724 |
117.5 |
1,436,233 |
83.3 |
|
空気駆動ポンプ |
4,043,895 |
72.8 |
1,871,087 |
70.0 |
|
回転容積ポンプ |
3,258,479 |
121.8 |
763,498 |
82.2 |
|
エアーポンプ |
2,484,376 |
106.8 |
719,058 |
84.7 |
|
システム製品 |
2,489,289 |
97.0 |
400,404 |
66.5 |
|
仕入商品 |
3,048,914 |
101.9 |
467,800 |
80.5 |
|
その他 |
5,797,401 |
98.4 |
1,119,737 |
92.3 |
|
合計 |
42,760,627 |
101.9 |
10,391,084 |
77.6 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
当連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) |
|
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
マグネットポンプ |
15,055,736 |
105.0 |
|
定量ポンプ |
8,080,117 |
112.7 |
|
空気駆動ポンプ |
4,845,132 |
84.7 |
|
回転容積ポンプ |
3,423,905 |
114.1 |
|
エアーポンプ |
2,613,874 |
106.3 |
|
システム製品 |
2,691,418 |
105.6 |
|
仕入商品 |
3,161,879 |
107.1 |
|
その他 |
5,891,226 |
92.7 |
|
合計 |
45,763,291 |
102.7 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度は45,763百万円(前年比1,224百万円増加)となりました。
国内は、医療機器市場を中心に伸長し、売上高は21,704百万円(前年比5.1%増)となりました。海外について、米国は、医療機器市場及び主要市場である水処理市場の伸長と為替影響により、売上高は7,241百万円(前年比2.8%増)となりました。欧州は、医療機器市場の伸長と為替影響により、売上高は6,022百万円(前年比5.6%増)となりました。アジア地域は、韓国・台湾向け半導体・液晶市場が低調に推移しましたが、化学市場の伸長により、売上高は2,778百万円(前年比7.9%増)となりました。中国は、半導体・液晶市場、医療機器市場の不調が続いており、売上高は5,619百万円(前年比15.2%減)となりました。
(売上原価)
当連結会計年度は27,264百万円(前年比1,053百万円増加)となりました。低迷が続いている半導体・液晶市場向け製品を中心に計上した棚卸資産の評価減などにより、売上原価率は59.6%(前年比0.7ポイント悪化)となりました。
(売上総利益)
上記の結果、売上総利益は18,498百万円(前年比170百万円増加)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度は12,653百万円(前年比209百万円減少)となりました。無形資産に係る償却費の減少が主な要因となっております。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は5,845百万円(前年比379百万円増加)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は796百万円(前年比87百万円減少)となりました。持分法による投資利益が減少したことや、前連結会計年度は為替差益の発生があったためであります。
当連結会計年度の営業外費用は124百万円(前年比2百万円減少)となりました。
(経常利益)
上記の結果、経常利益は6,517百万円(前年比294百万円増加)となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は24百万円(前年比17百万円増加)、特別損失は17百万円(前年比35百万円減少)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4,468百万円(前年比8百万円増加)となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の財政状態の分析については、「第2事業の状況4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.経営戦略の現状と見通し
当社グループは、経営理念である「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」の実現に向けたありたい姿として、新長期ビジョン「イワキグループビジョンNEXT10(以下、NEXT10)」を策定し、その実現に向けた取り組みを推進してまいります。
さて、当社グループが製造するケミカルポンプは、革新的技術に依拠する画期的な製品を開発することが難しい「成熟した製品」ではありますが、このような状況下においても当社グループでは、ケミカルポンプの世界的メーカーとして、常に他社に先駆ける新製品開発に注力しております。国内外の顧客から当社グループの製品が選ばれるのは、多岐に亘る様々な要望に対して、過去の経験等に基づき迅速且つ的確に対応できることが最大の理由であると考えております。
具体的には、システム提案やユニット製品化、各種ポンプの特注対応といったハードウェア面から、納期・コスト・サービス体制等のソフトウェア面に至るまで、きめ細かく対応しております。そのため、顧客対応スキルのさらなる向上が重要課題となっております。
また、高い独自性や他社との差別化が図られたプロダクトアウト型の製品開発にも注力しております。高品質かつ市場ニーズや顧客の要望に応じたマーケットイン型の製品開発と合わせ、これら両輪の取り組みが今後の当社グループの持続的成長につながると考えております。
ソリューションカンパニーとして、「事業活動を通じて世界中のIWAKIファンを増やし、持続可能な世の中づくりに貢献する。」を基本方針に掲げ、これらの取り組みを推進してまいります。
e.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く経営環境は、競合他社が国内外を問わず生産コストが安価な地域に進出したことで、販売活動が激化しております。当社グループも早期から海外関係会社におけるノックダウン生産等、海外展開に取り組みコスト低減を進めておりますが、近年においては販売価格の競争が一層激しくなっております。
急激な為替変動影響や物価上昇等の影響により、主要部品の原材料となる樹脂材料、鉄鋼及び非鉄金属等の調達コストが変動する可能性があります。こうしたコスト変動に適切に対応し、販売価格へ反映させることができない場合には、当社グループの今後の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、環境・人権への配慮といったサステナビリティへの意識の高まりを背景に、省電力・高効率等の機能面に加え、環境・人権に配慮した調達・製品開発等への要請が強まっております。これらへの対応の優劣によっては、今後の受注動向に影響を及ぼす可能性があります。
また、安全保障輸出管理上の不備により、一定期間輸出禁止等の行政処分を受けた場合、当社グループの海外事業における業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
f.経営者の問題認識と今後の方針について
「第2事業の状況1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
g.経営上の目標の達成状況
当社グループは、2015年に策定いたしました長期ビジョン(10年後のあるべき姿)「イワキグループ10年ビジョン(以下、10年ビジョン)」における定量目標、「2025年3月期連結売上高400億円、営業利益率10%」を重要な経営指標としております。当連結会計年度(10年ビジョン最終年度)の達成状況は以下のとおりです。
「連結売上高」は45,763百万円(前年比2.7%増)、「営業利益率」は12.8%(前年比0.5ポイント良化)となり、前連結会計年度引き続き、当連結会計年度におきましても達成いたしました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(財務の基本方針)
当社グループは、財務構造の健全化及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、取引銀行とシンジケートコミットメントライン契約を締結しております。
(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは3,463百万円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは784百万円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは2,679百万円となりました。
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
営業キャッシュ・フロー |
2,564百万円 |
3,463百万円 |
|
投資キャッシュ・フロー |
△2,487百万円 |
△784百万円 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
77百万円 |
2,679百万円 |
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1,458百万円などにより1,876百万円のキャッシュ・アウトとなり、期末における現金及び現金同等物は7,941百万円となりました。
資金の使途については、当連結会計年度は設備投資に1,800百万円、研究開発には870百万円の合計2,671百万円を支出しております。
|
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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設備投資 |
1,228百万円 |
1,800百万円 |
|
研究開発費 |
909百万円 |
870百万円 |
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計 |
2,138百万円 |
2,671百万円 |
(資本政策)
2026年3月期は、米国関税政策の動向をはじめ事業環境の先行きが極めて見通しづらい状況が継続するものと想定しております。こうした状況を踏まえ、引き続きキャッシュ・フローを重視しながら財務規律を堅持してまいります。また、事業拡大の投資判断においては、資本コストを意識し、原則としてこれを上回るリターンの実現を目指し、経営資源配分などにおいてROIC(投下資本利益率)をより意識するなど、資本効率の向上を図りながら持続的成長と企業価値向上を目指します。
株主還元方針について、当社では、2026年3月期より2028年3月期までの3か年については、連結配当性向35%以上、1株あたり70円の下限配当を設定しております。なお、非経常的な特殊要因により親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する場合は、その影響を除いて配当金額を決定することがあります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(1)合弁契約
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締結年月日 |
契約の名称 |
相手先の名称 |
契約の概要 |
契約期間 |
|
1989年9月12日 |
合弁契約 (覚書) |
Flying Dragons Co., Ltd. |
・当社とFlying Dragons Co., Ltd.との間で締結された合弁会社(億昇幫浦股份有限公司)設立に関する合弁契約。 ・目的 当社製品の販売活動 ・販売製品 当社製品 ・販売地域 中華民国台湾省 |
期間の定め無し |
|
2000年11月1日 |
合弁契約 |
LK CHEMA. CO., LTD. |
・当社とLK CHEMA. CO., LTD.との間で締結された合弁会社(IWAKI KOREA CO., LTD.)設立に関する合弁契約。 ・目的 当社製品の販売活動 ・販売製品 当社製品、当社製品に付随する製品及び他社製品。但し、他社製品の販売については両当事者の合意を必要とする。 ・販売地域 韓国 |
締結日から 合弁会社の 存続する 期間 |
(2)代理店契約
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締結年月日 |
契約の名称 |
相手先の名称 |
契約の概要 |
契約期間 |
|
2018年4月12日 |
総代理店 契約書 |
IWAKI NORDIC A/S |
・当社の欧州子会社であるIwaki Europe GmbHとIWAKI NORDIC A/Sとの間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品 ・販売地域 デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、エストニア、ラトビア及びリトアニア |
締結日~ 2020年12月31日 自動継続 |
|
2021年1月1日 |
総代理店 契約書 |
IWAKI KOREA CO., LTD. |
・当社とIWAKI KOREA CO., LTD.との間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 韓国 |
締結日~ 2023年12月31日 自動継続 |
|
2021年1月1日 |
総代理店 契約書 |
億昇幫浦股份 有限公司 |
・当社と億昇幫浦股份有限公司との間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 澎湖島、金門島、媽祖島を含む台湾 |
締結日~ 2023年12月31日 自動継続 |
|
2021年1月13日 |
総代理店 契約書 |
Iwaki Europe GmbH |
・当社と欧州子会社であるIwaki Europe GmbHとの間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 全欧州、イスラエル及び南アフリカ |
2021年1月1日 ~ 2023年12月31日 自動継続 |
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2021年1月21日 |
総代理店 契約書 |
Iwaki America Incorporated |
・当社と米国子会社であるIwaki America Incorporatedとの間で締結された総代理店契約。 ・販売製品 当社製品及びその部品 ・販売地域 アメリカ大陸 |
2021年1月1日 ~ 2023年12月31日 自動継続 |
当社グループは、経営理念である「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」の実現に向け、ケミカルポンプを中心とした流体制御機器に関する研究開発を推進しております。
研究開発は、製品の中核となる要素技術開発(流体、電磁気、機械、電気、制御、素材、化学)、これらを組み合わせた製品開発、流体制御および液質制御(計測、水処理等)に関する開発に分類されます。
研究開発活動は主に、開発本部および技術本部において実施しております。開発本部では、将来の成長を支える新技術をはじめ、高い独自性や他社との差別化が図られたプロダクトアウト型の製品開発に取り組んでおります。技術本部では、高品質かつ市場ニーズや顧客の要望に応じたマーケットイン型の製品開発を推進しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は