第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、創業の精神「飛脚の精神(こころ)」のもと、

一.お客様と社会の信頼に応え 共に成長します

一.新しい価値を創造し 社会の発展に貢献します

一.常に挑戦を続け あらゆる可能性を追求します

を企業理念とし、お客様から「安心」「満足」「信頼」をいただけるサービス・品質向上を図っております。今後も社会の変化・顧客のニーズに迅速に対応し、トータルなソリューションの提供を実現させ、一層社会に必要とされる企業体を目指してまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

 現在の我が国における物流事業環境は、コロナ禍に端を発した新たな生活様式の浸透により、eコマース(以下「EC」という)市場は急速に拡大し、宅配便に対する社会のニーズがますます高まっております。マクロ環境におきましては、気候変動による激甚災害が世界的に増加する中、企業における脱炭素の取組みがより一層求められております。また、少子高齢化を背景に労働需給が一段とひっ迫する中、長時間労働の是正や同一労働同一賃金を目的とした働き方改革関連法が順次施行されております。

 このような環境の中、当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までの中期経営計画「SGH Story 2024」を新たに策定し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(中期経営計画の経営戦略)

① 総合物流ソリューションの高度化

② 競争優位創出につながる経営資源の拡充

③ ガバナンスの更なる高度化

 

(2025年3月期計数目標)

営業収益

1兆6,500億円

 

営業利益

1,600億円

 

親会社株主に帰属する当期純利益

1,050億円

 

 

 中期経営計画「SGH Story 2024」では、「持続可能な成長を実現する次世代の競争優位性創出」を基本方針に掲

げ、次の経営戦略に取り組んでまいります。

 

① 総合物流ソリューションの高度化

・脱炭素をはじめとした社会・環境課題解決に向けたサービスの推進

 世界的な気候変動問題への意識は一層高まりを見せており、日本国内においても政府による削減目標の引き上げ、コーポレートガバナンス・コード改訂による気候変動対応の開示等への対応が必要となってまいります。

 このような環境下において、当社グループが提供する物流ソリューションを通じて、お客様にとってより効率的なサプライチェーンの構築、社会・環境課題の解決に貢献していくことを目指してまいります。加えて、車両のEV化や再生可能エネルギー創出への施設投資など、自社の取組みを進めることによりお客様の温室効果ガス削減にも寄与してまいります。

 

・TMS・3PLネットワークの拡充と周辺ソリューションの高度化

 EC貨物の増加を背景に国内の宅配便市場は成長が続き、お客様のサービス差別化において物流は大きな役割を担っており、運送事業者に求めるロジスティクス高度化への要求は高まりを見せております。

 佐川急便株式会社を中心とした当社グループの顧客基盤と、グループ横断の営業チーム「GOAL」を強みとして、TMS・3PLソリューションによりお客様のサプライチェーン全体へと提案領域を広げてまいります。より最適な物流提案を実現し、お客様の抱える物流課題の解決を図ってまいります。

 

 

・国際・海外向けサービスの強化

 国際サービスでは、日本国内の営業リソース及び集配ネットワークを強みに、国際通販・国際TMS・国際エクスプレス等、日本発着貨物の獲得を強化してまいります。また、海外サービスでは、アジア発のフォワーディング事業を中心に新規レーンの拡大と既存顧客のウォレットシェア拡大により、取扱貨物量の増加に取り組んでまいります。

 

・宅配便のサービス向上と効率化による収益性向上

 宅配便サービスは、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という)に端を発したEC化の加速により、取扱個数は今後も増加すると想定しております。一方で、低価格帯のポストインサービスの急伸、大手ECプラットフォーマーの自社配送網拡大及び異業種からの新たな参入など、競争の激化が見込まれます。

 このような環境下において、市場成長を見据えたキャパシティ向上への投資、業務効率化を実現するDX投資を加速させ、サービス向上と収益性向上による宅配便の安定的事業成長を目指してまいります。

 

② 競争優位創出につながる経営資源の拡充

・アライアンスを含めた国内外輸配送ネットワークの強化

 宅配便以外の収益拡大に向けたネットワークの強化においては、自社の力だけではなくパートナーとのアライアンスを積極的に進めることで、多様で高品質なサービスの提供とネットワークの強化による拡販を目指してまいります。

 宅配便におきましては、市場成長による取扱個数増加への対応として、中継センターの拡充、営業所への最適投資及びアライアンス企業の増加による戦力増強に取り組んでまいります。

 

・人的資本への投資及びエンゲージメントの向上

 次世代の競争優位を創出するための「人材」への投資として、グローバルやDX等の専門人材の獲得及び育成に注力してまいります。また、各種制度や教育の充実を図り、新しいことに挑戦できる企業風土を醸成してまいります。

 

・DXへの投資による競争優位の創出

 社会・顧客の課題解決を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的に、「デジタル基盤の進化」、「業務の効率化」、「サービスの強化」の3つの施策に取り組んでまいります。また、R&Dによる新たな事業モデルの研究等、将来の競争優位を高めるための取組みも同時に進めてまいります。

 

・オープンイノベーションなどによる新たな価値の創造

 スタートアップや異業種企業が持つ革新的アイデア、テクノロジー及びITソリューションなどのノウハウと、当社グループが持つリソースを融合し、新たな価値の創造を目指してまいります。

 

③ ガバナンスの更なる高度化

・グローバル化に対応したガバナンスの構築

 事業規模が急拡大した当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCにおきましては、J-SOX対応等、管理体制を高度化してまいります。また、海外現地法人のガバナンスの一層の強化に取り組み、内部統制の定着化を推進してまいります。

 

・コンプライアンスの継続的な高度化

 不正不祥事(ハラスメント含む)の発見から対応、再発防止までのサイクルを高度化するとともに、コンプライアンス意識向上への教育等、コンプライアンス体制の更なる強化に取り組んでまいります。

 

 

(3)経営環境と対応方針

① 全般

 現在の我が国経済は、感染症拡大に伴う経済活動の制限等による停滞からの回復は続いているものの、依然として感染症の収束は見えておらず、原材料価格上昇の影響等から一部には持ち直しの動きに弱さもみられます。非製造業の経済活動は前連結会計年度の経済活動制限下での弱含み傾向から持ち直しているものの、複数回に及ぶ感染症再拡大に伴う緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置適用の影響もあり、たびたび停滞を強いられております。製造業では、中国向けを中心とした輸出により持ち直しの動きが続いておりましたが、中国経済の停滞や半導体不足の影響を受け、回復が鈍化傾向にあります。物流業界におきましては、巣ごもり消費を契機に急拡大したEC市場は新たな生活様式の定着とともに成長を続けており、個人向けを中心とした宅配便の取扱個数は堅調に増加しております。

 今後の我が国経済の見通しにつきましては、感染症の拡大防止と社会経済活動の両立を図る政府の総合経済対策を円滑かつ着実に実施すること等により、経済が感染症拡大前の水準に回帰することが見込まれる一方で、感染症の収束が未だ見えないことや、国際情勢の不安定化がみられる中、原材料価格の上昇や供給面の制約等の下振れリスクもあることから、先行きは不透明な状態が続いております。

 当社グループの主力事業である国内におけるデリバリー事業や、ロジスティクス事業におきましては、EC市場の拡大を背景に成長トレンドが続いておりますが、足元では日本経済の持ち直しの動きに一部で弱さもみられることから、先行きの不透明感は継続しております。国際物流におきましては、感染症の影響による世界的な海上コンテナ不足に伴うサプライチェーンの混乱は徐々に解消し、需給の緩和により、高騰した海上・航空運賃の正常化が見込まれる一方で、米国西海岸港湾での労使交渉や地政学リスクの拡大等もあり、先行きの見通しが難しい状況が続いております。また、当社グループとして中長期的に対応すべき外部環境として、国内の労働人口減少、物流業界としての長時間労働問題への対応、AI・IoT技術や物流ロボティクスといったテクノロジーの進化、さらに、2050年カーボンニュートラルに向けたGHG削減目標のコミットなどを想定しており、今後もこのような社会・経済環境の変化はスピードを増していくものと考えております。

 このような状況のもと、当社グループにおきましては、社会インフラの一部を担う物流企業グループとして、持続可能な社会の実現に貢献するため、2030年に向けた長期ビジョン「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む」を掲げ、社会に必要とされ続ける物流を創ることに挑んでまいります。

 

② デリバリー事業

 緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返されたことで経済活動が制限されたものの、新たな生活様式が定着し、物販系EC化率が更に上昇したことにより、2022年3月期の宅配便の取扱個数は、前期比1.4%増の1,423百万個となりました。

 当社グループでは、労働力不足や燃料費の高騰等リソースの制約の厳しさが増す中で、次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」を代表とする中継センター等、物流施設の最適化やデジタライゼーションによる業務効率化、多様な働き方への対応等、生産性の向上や労働環境の改善に積極的に取り組み、経営基盤の強化を進めてまいりました。また、「GOAL」による総合物流ソリューションの取組みにより、「TMS」や越境EC等、かねてより開拓に注力してきた分野の成果が出始めております。今後も「TMS」や3PLといった物流ソリューションの拡充や、越境EC等、国際・海外向けサービスの強化、脱炭素を始めとした社会・環境課題解決に向けたサービスの推進、また、増加が見込まれる宅配便の需要に対するサービス向上と効率化等に取り組み、総合物流ソリューションの高度化を進めてまいります。

 特に、宅配便に次ぐ第二の主力商品と位置付けている「TMS」につきましては、中期経営計画「SGH Story 2024」(2023年3月期から2025年3月期)の3年間において、営業収益を7割増とするなど高い目標を掲げ、お客様の輸送ニーズに幅広く対応していくとともに、新しい収益の柱として成長させていきたいと考えております。

 

③ ロジスティクス事業

 世界的な感染症拡大を契機とした海上コンテナ不足や、旅客機の減便等によるグローバルサプライチェーンの混乱が継続しております。地政学リスクの拡大もあり先行きが不透明な中、当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCでは、安定的にコンテナスペースを確保し、顧客の旺盛な需要に対応いたしました。

 国内におきましては、「GOAL」による包括的なソリューション提案により、3PL等の案件受託も増加しております。また、デリバリー事業と連携した越境ECや日本発着の国際物流に関しても、本格展開に向けた体制強化を進めております。

 今後、アライアンスを含めた更なるグローバルネットワークの拡充や、EXPOLANKA HOLDINGS PLCと国内で展開する事業とのシナジーの創出などにも注力してまいります。

 

 

④ 不動産事業

 日本のEC化率は、中国や欧米に対し未だ低い水準にあることから上昇が継続すると考えられ、宅配便の取扱個数は今後も緩やかに増加することが見込まれます。また、サプライチェーンの複雑化やテクノロジーの進化に伴い、企業物流も高度化していくことが予想されます。このような宅配便の需要増や、高度化する物流ニーズに対応するため、当社グループの輸送ネットワークにおける適切なキャパシティの確保や安定的な稼働・効率化を実現する物流施設の開発・改修に努めるとともに、不動産を含めた総合物流ソリューションの提供を進めてまいります。

 

⑤ その他

 その他の事業は、効率的な物流ソリューションを提供するための基盤となる様々な機能で構成されております。高度化する物流ニーズや生産年齢人口の減少が続く中、効率的で安定的な物流を実現するために、デジタル化による生産性の向上や顧客の利便性の向上に取り組んでおります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、次のとおりです。

 

(連結業績見通し)

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

業績予想

前期比(%)

営業収益

1,650,000

103.9

営業利益

142,000

91.2

経常利益

143,000

89.2

親会社株主に帰属する当期純利益

96,000

89.9

 

 

(セグメント別業績見通し)

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

業績予想

前期比(%)

営業収益 合計

1,650,000

103.9

 

デリバリー事業

1,067,000

102.3

ロジスティクス事業

510,000

106.9

不動産事業

23,000

203.7

その他

50,000

87.9

営業利益 合計

142,000

91.2

 

デリバリー事業

99,000

106.2

ロジスティクス事業

27,000

55.7

不動産事業

9,000

136.1

その他

4,000

85.9

調整額

3,000

108.3

(注)営業収益は外部顧客に対する売上高を示しております。

 

2023年3月期の連結業績予想

 当社グループの2023年3月期連結業績予想は、主力のデリバリー事業の取扱個数については当期と同程度の数量とセールスミックスを前提とし作成しております。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のようなものがあります。なお、当社グループとしましては、これらの各リスクの発生可能性を認識した上でその発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 また、次の事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断した内容であり、当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。

 

(1)事業に関するリスク

① デリバリー事業への依存

 デリバリー事業は、当社グループの連結営業収益の7割程度を占める主要な事業であります。

 当社グループでは、当事業において顧客に対し「GOAL」の推進等により総合物流サービスを提案・提供することで、デリバリー事業のみならず、ロジスティクス事業等の収益拡大も図ってまいります。付加価値の高いサービス提供を行うほか、人件費、外注費及び安全確保のための諸費用等、増加するコストを適正に運賃に反映させるべく、過年度から各顧客との個別価格交渉を行うことにより、収益性の安定化に努めてまいりました。

 当社グループとしましては、今後においてもこれらの取組みを継続的に実施していく方針でありますが、景気低迷等による個人の消費や企業物流の減少等により、これらの取組みが想定どおりに進展しない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 燃料価格等の上昇

 当社グループは、事業を行うに当たり多数のトラック等輸送機材を使用しており、その燃料費は原油価格や為替相場の動向により変動いたします。

 当社グループとしましては、天然ガストラック等の環境対応車を導入し、原油価格の変動による費用増加リスクの抑制に努めており、また、今後も新技術の導入による省エネルギーや代替エネルギーに対応した車両が開発されれば、積極的に導入していく方針であります。しかしながら、急激な燃料価格等の上昇が生じた場合や、当該費用増加を運賃等の販売価格に転嫁できない場合、販売価格への転嫁により当社グループのサービスへの需要が減少した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競争環境の激化

 デリバリー事業の主要サービスである宅配便については、当社グループを含めた大手3社での競争が激化しております。また、ロジスティクス事業においても3PLやフォワーディングの各業務サービスにおける同業他社との競争が高まっているものと認識しております。

 当社グループとしましては、「GOAL」に基づく複合的なサービスを提供することで、顧客にとってより効率的かつ付加価値の高い物流ソリューション提案を行い、当該競争環境下でのシェア向上を図っていく所存です。しかしながら、今後、当社グループの優位性が相対的に低下した場合や、更なる競争激化による価格下落が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 輸送トラブル

 デリバリー事業では、法人・個人を含めた顧客所有の物品を顧客の指定どおりに輸送することが中心となります。このため、当社グループによるサービス提供の過程において、輸送品の破損、配達先の誤り及び輸送量の変動に伴い予定時間内の輸送ができない場合は、当社グループによるサービスの信用を損なう可能性があります。

 当社グループとしましては、こうしたトラブルの発生を抑制すべく、発生要因等をデータベース化し、ミスの低減やセールスドライバーの教育等の改善策を継続的に実施しておりますが、今後これらに起因するトラブルが頻発するような場合や、当該トラブルを理由とした損害賠償が増加するような場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 不動産事業における継続的な資産流動化

 不動産事業では、SGリアルティ株式会社が中心となって当社グループ拠点における資産管理・運営、大型施設の開発及び既存施設の転用等の資産活用を行っております。また、当社グループが所有、利用している物流施設及び開発したマルチテナント型の物流施設を信託受益権化し、売却することにより、資産の有効活用、財政状態の改善等を図っており、これにより営業収益及び営業利益が計上されます。

 当社グループとしましては、今後も継続的に収益性が見込まれる物件の取得、施設の開発及びこれらの売却を行っていく方針ではありますが、不動産市況の変動、建設資材や人件費の高騰、物件の開発遅延等を要因として、物件の仕入価格、簿価及び販売価格等が変動することにより、適時かつ適切な価格による不動産及び信託受益権の売買が困難となる可能性があり、また、会計処理の複雑性を起因として、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 不正等の発生

 当社グループは、日本全国を網羅する拠点網を有し、また、アジアを中心とした海外各国でも事業を展開しており、実際の業務運営について当社グループ内の各社・各拠点の業務従事者に委任しております。また、グループ内で対応できない場合は、外部業者を利用してサービス提供を行うケースもあります。このため、代金引換サービスによる収受金の着服や売上の不正計上等が生じる可能性は否定できません。

 当社グループとしましては、業務運営上必要な規程・手順書を整備するとともに、内部監査や委託先選定時のチェック等を通じた牽制体制を敷くことでこれらの不正等が生じることがないよう努めておりますが、今後、不正等が発生又は発覚し、また、その金額が多大なものとなる場合は、当社グループへの社会的信用が低下するとともに、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 重大事故

 当社グループは、デリバリー事業を中心に公道を利用した陸上輸送業を営んでおります。昨今、「運輸の安全性向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律」(いわゆる「運輸安全一括法」)等により安全運転に係る規制が強化される中、運送事業運営者への安全配慮に対する社会的責任は一層強く求められております。

 当社グループとしましては、安全を最優先とした対策を実施しておりますが、重大事故が生じた場合は車両の使用停止等の行政処分が行われ、当社グループの一部又は全部の事業の停止を余儀なくされるとともに、当社グループの社会的信用が低下する可能性があります。また、国土交通省報告事故の違反点数が累積した場合には、事業停止命令を受けたり、事業許可の取消しがなされたりすることによって、当社グループの事業の継続が困難となる可能性があります。このような事象が発生した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 委託先の活用

 当社グループのデリバリー事業では、当社グループが保有する経営資源を企業からの物流業務受託(from B)の獲得に最大限活用しております。そのため、個人宅(to C)への輸送業務のうち7割程度を、また、路線運行(東京・大阪間等物流拠点間の長距離輸送)のうち大部分を外部業者に委託しております。当社グループは、想定輸送量に応じ複数の委託先の確保に努めておりますが、十分な委託先が確保できない場合は、当社グループドライバーの業務時間が長時間化することで労務費の想定以上の増加や、配達の遅延が発生する可能性があります。また、今後ドライバー不足により外注費が高騰する場合は、当社グループの費用が増加する可能性があります。加えて、当社グループの委託先にて不祥事が発生した場合や委託先の輸送品質が顧客の要求に応えることができない場合には、当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。これらのリスクが顕在化する場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 海外展開

 当社グループは、アジアを中心に海外各国へ事業展開しております。また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載のとおり、国際・海外向けサービスのグローバル強化を図る所存です。

 このため、今後、為替及び海上・航空運賃の急激な変動や、当社グループの拠点がある地域での経済情勢・事業環境の悪化、予期せぬ法律・規則等の変更、政情の悪化やテロ活動の活発化、商慣習の相違、自然災害や感染症の発生等の地政学リスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 人材の育成・確保

 当社グループの各事業は、ドライバー等の現業従事者の確保が不可欠であり、当社グループの求めるクオリティを有する人材の採用及び育成が必要であります。特に足元ではEC市場の拡大による物流サービスへの需要増加や顧客が要求するサービスの高度化もあり、業界内ではドライバー確保に向けた競争が高まっております。

 当社グループとしましては、多様な働き方の提供や業務に見合った報酬体系を構築することに加え、採用後も定期的な研修を重ねることで質・量ともに十分な人材確保に努める方針ですが、これらの取組みが効果を発揮できなかった場合、営業収益の減少や費用増加等により当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ M&A、事業提携

 当社グループでは、事業拡大及び企業価値向上のためにM&A及び事業提携を積極的に活用しております。特にこれらの経営戦略を実施する場合は、対象会社への十分なデューディリジェンスを実施するとともに、社外取締役・監査役も参加する投資検討委員会にて出資・取得価額の妥当性について十分に検討した上で実行することとしております。しかしながら、当該M&Aや資本提携等実施時に見込んだ成果が計画どおりに進捗しないこと等によるのれんや株式取得価額の減損等、当初予期していなかった事業上の問題の発生、取引関連費用の負担等によって当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、特に資本業務提携や共同出資によるジョイントベンチャー設立等については、提携等実施当初に企図する成果が得られないと判断される場合は、契約の解消による出資の解消や提携会社の解散等が生じる可能性があります。この場合も、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 役員との取引関係

 当社代表取締役会長兼社長である栗和田榮一が理事長を務める当社グループの外郭団体として、公益財団法人SGH文化スポーツ振興財団及び公益財団法人SGH財団があります。当社グループとしましては、CSR活動の一環として両財団の活動方針に賛同し、美術品の無償寄託及び人材支援等の活動を今後も継続して実施する方針としております。

 なお、両財団については、当連結会計年度末現在、合計で当社普通株式の58,636,362株(発行済株式総数対比9.16%)を保有しております。両財団が当社株式に係る議決権を行使する際は、定款により理事会の3分の2以上の賛成を得る必要がある旨定められております。当社グループとしましては、両財団の議決権行使に係る独立性確保のため、当該議決権行使に係る理事会決議に当社グループ役職員を兼務する理事は参加しないこととしております。また、両財団の理事選任に当たり、当社グループ役職員を兼務する評議員は、当社グループ役職員を兼務する理事の選任に当たっては評議会の決議に参加しないこととしております。

 

⑬ 中期経営計画

 当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、新中期経営計画「SGH Story 2024」を策定しており、経営戦略に基づいた2023年3月期の連結業績予想については、当社ホームページ上にて公表しております。しかしながら、当該中期経営計画は、デリバリー事業における平均単価・取扱個数、人件費・外注費、ロジスティクス事業における為替及び海上・航空運賃など、様々な前提に基づくものであり、前提が想定どおりとならない場合等には、当該計画における目標を達成できず、その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 今後の設備投資について

 当社グループでは、継続的に物流施設の開発を行っており、2021年3月期には、路線輸送の効率的な運用やキャパシティの向上を目的として、東京都江東区に建設した「Xフロンティア」を本稼働させました。今後も継続的にインフラの強化を図っていく方針でありますが、施設の建設に関連して想定以上のコストが発生する場合や、完成後において想定どおりの効果を発揮しない場合等においては、費用負担の増加や減損の発生等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2)規制、コンプライアンスに関するリスク

 当社グループの事業運営に当たっては、次のような法規制を含む様々な法令の遵守が必要となります。今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合には、かかる法規制への対応に追加費用を要したり、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされたりすること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

① 事業上の重要な許認可等

 当社グループの事業運営に当たっては、主に次のような許認可等が必要となっております。当社グループでは、これら許認可等の規制に係る関係法令等の遵守に努めており、事業運営上の支障を来すような状況は生じておりません。しかしながら、今後、法令違反等が発生することでこれらの許認可等が停止又は取消しとなった場合や法規制の厳格化が生じる場合は、当社グループの事業の継続が困難となり、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

[主要な事業上の許認可等]

 

許認可事業

法律

監督官庁

許認可等

の内容

有効

期限

許認可等の

取消事由

セグメント

一般貨物自動車運送事業

貨物自動車運送事業法

国土交通省

許可

なし

同法第33条

デリバリー事業

ロジスティクス事業

第一種貨物利用運送事業

貨物利用運送事業法

国土交通省

登録

なし

同法第16条

デリバリー事業

ロジスティクス事業

第二種貨物利用運送事業

貨物利用運送事業法

国土交通省

許可

なし

同法第33条

デリバリー事業

ロジスティクス事業

倉庫業

倉庫業法

国土交通省

登録

なし

同法第21条

デリバリー事業

ロジスティクス事業

通関業

通関業法

財務省

許可

なし

同法第11条

ロジスティクス事業

宅地建物取引業

宅地建物取引業法

国土交通省

免許

2026年

8月23日

同法第66条

不動産事業

第二種金融商品取引業

金融商品取引法

金融庁

登録

なし

同法第52条

不動産事業

指定自動車整備事業

道路運送車両法

国土交通省

指定

なし

同法第93条

その他

自動車分解整備事業

道路運送車両法

国土交通省

認証

なし

同法第93条

その他

労働者派遣事業

労働者派遣法

厚生労働省

許可

2024年

6月30日

同法第14条

その他

 

② 労務関連法令

 当社グループは、2022年3月期末現在において従業員52,325人、パートナー社員等44,211人(期中平均人員数)が在籍しており、そのうち大半を占める国内従業者については、「労働基準法」に従って36協定の遵守や休憩時間の確保等が義務付けられております。当社グループでは、これらの法令遵守のみならず中期経営計画において多様な働き方推進を掲げるなど、従業員の働きやすさの改善に向けて積極的に制度設計を行っております。

 このように当社グループでは継続的に労働環境の改善を進めておりますが、労務管理に関する不祥事が発生した場合、当社グループのレピュテーションが低下することに加え、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2021年6月、当社の連結子会社である佐川急便株式会社の従業員がお亡くなりになり、調査の結果、上司によるパワーハラスメントに該当する行為があったことを確認いたしました。再発防止の取り組みとして、継続的な教育の実施とともに、内部通報に対する調査体制の強化と就業規則の見直しを行いました。今後におきましても、全社を挙げて更なる労務環境改善に向けた活動を継続してまいります。

 

③ 環境規制

 当社グループが使用する貨物トラック(ディーゼル車両)は、国及び自治体による、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(通称、自動車NOx・PM法)及び環境条例等の対象となります。当社グループでは、当該規制に適合した車両を利用しており、現時点では特段問題は生じておりませんが、今後、規制対象が強化・拡大されるなどの法改正がなされ、現車両に追加で集塵装置の設置等の対応が必要となる場合は、追加費用が発生するため、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)情報セキュリティ、システムに関するリスク

① 情報漏えい

 当社グループは、役職員情報のみならず、事業運営の過程において集荷先・配達先情報や顧客企業担当者情報等の多数の個人情報を取得しております。また、企業顧客向けサービスにおいては、顧客企業の営業秘密を保有する場合があります。こうした機密情報を保護するため、データに関するパスワード管理・アクセス制限及びハードコピーに関する施錠管理の徹底に加え、従業員に対して情報セキュリティ教育による啓発を継続的に行う等、情報の厳重な管理に努めております。さらに、近年世界的に被害が急増しているランサムウェアを始めとした外部からのサイバー攻撃に備え、インターネット出入口対策を講じるなど、情報セキュリティ対策を強化するとともに、当社グループ内にサイバー攻撃専門の対応組織SGH-CSIRT(SG Holdings Computer Security Incident Response Team)を設置し、日本コンピュータセキュリティインシデント対応チーム協議会に加盟するなど、情報セキュリティ対策の高度化に取り組んでおります。しかしながら、今後システムトラブル若しくは当社グループ従業員の故意・過失、又はサイバー攻撃等による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等により、情報の漏えい又は喪失等が生じた場合は、当社グループの社会的信用の低下につながるとともに、損害賠償請求や情報セキュリティ対策に要する追加費用の発生等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システムトラブル

 当社グループの事業の中で、特にデリバリー事業やロジスティクス事業においては、リアルタイムでの輸送状況管理や、倉庫運営における在庫管理等の観点から、ITの活用は不可欠となっております。また、大量の取引をシステムにより集約管理していることから、会計処理においてもシステムへの依存度が高い状況です。当社グループでは、子会社にシステム開発・保守・運用を行うSGシステム株式会社を有しており、グループ内外における物流システムの開発・提供を行っております。

 現時点で問題は生じておらず、また、リスク回避に向け適宜開発等を行っているものの、重大なバグの露見及びサイバー攻撃等による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等を起因としたシステムトラブルの発生並びにシステム提供先におけるトラブルがあった場合は、当社グループの各事業の業務が停止する可能性や、システム上の問題への対応や当社顧客からの損害賠償請求等により多額の費用が生じる可能性があり、その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)訴訟その他の法的手続・災害等に関するリスク

① 訴訟その他の法的手続

 当社グループの事業運営において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの瑕疵にかかわらず、これらに起因する損害賠償の請求や、訴訟の提起を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合は、訴訟提起内容や損害賠償請求額の状況及びその結果によっては当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 自然災害等の発生

 当社グループは、車両や大規模な物流拠点を利用するデリバリー事業が中核事業であり、また、当該事業のみならず、各事業について情報管理を行うコンピュータシステム、荷物の自動仕分け機、冷凍・冷蔵倉庫等電気供給が必要な設備による業務運営が前提となっているものがあります。また、車両以外にも、鉄道・航空機・船舶など様々なインフラを活用して事業を営んでおります。

 このため、自然災害が発生することで輸送経路の遮断や一部設備の破損が生じたり、停電等の電力供給の停止により設備稼働が停止したりする場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、感染症が拡大した場合、輸送の遮断や量的制限、経済の停滞などにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、感染症の拡大において、当社グループでは、経済の停滞、世界的なサプライチェーンの混乱及び受託貨物の内容の変化等の影響を受けておりますが、状況変化に対応した輸送能力の強化、輸送手段の代替及びコストコントロールに努めております。今後、当該影響が長期化又は変化する場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。当該会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、感染症への感染対策やワクチン接種が進み、経済社会活動が持ち直しの動きを見せたものの、変異株による感染が拡大し、経済活動が再び制限されるなど厳しい状況が続きました。

 物流業界におきましては、2022年1月以降、まん延防止等重点措置が全国各地で順次適用されたことで、企業活動の持ち直しの動きにやや足踏みがみられる一方で、EC等の通信販売による商品の出荷は引き続き堅調に推移いたしました。

 当社グループにおきましては、2020年3月期から2022年3月期までの中期経営計画「Second Stage 2021」の最終年度として、進化する物流ソリューションの提供を目的としたグループ横断の先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL」による提案領域の拡大を図ってまいりました。また、「社会を支える物流企業としてSDGsへの貢献」を重点施策の一つに掲げ、環境負荷の低減に向けてTCFD提言に沿ったシナリオ分析を実施し、財務に与えるインパクト等を明確化するなど、ESGの取組みを積極的に行いました。その結果、第4四半期連結会計期間において、世界的なESG評価機関であるMSCI社から最高評価である「AAA」を獲得いたしました。

 このような状況のもと、当社グループの中核事業であるデリバリー事業におきましては、EC市場規模の拡大を背景に、宅配便の個数は堅調に推移いたしました。また、当社の連結子会社である佐川急便株式会社は、日本郵便株式会社との間で、持続可能な輸配送の実現に向け、幹線輸送の共同化等の取組みを開始いたしました。ロジスティクス事業におきましては、海上コンテナ不足や旅客機の減便等によるサプライチェーンの混乱が継続し、海上・航空運賃が高止まりする中、コンテナスペースの確保に注力し、顧客の旺盛な需要に対応いたしました。不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。その他の事業におきましては、BPO(Business Process Outsourcing)取引が増加いたしましたが、自動車販売及び「e-コレクト(代金引換サービス)」が減少いたしました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は3,896億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ860億63百万円増加いたしました。主な要因は、営業収益の増加により受取手形、営業未収金及び契約資産が600億92百万円(前連結会計年度末の受取手形及び営業未収金との比較)、現金及び預金が182億32百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は5,321億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ454億69百万円増加いたしました。主な要因は、大阪市淀川区の土地取得等に伴い土地が208億53百万円、時価評価等により投資有価証券が104億62百万円、「SGリアルティ東大阪」の竣工等に伴い建物及び構築物が98億5百万円、車両運搬具が79億73百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は9,217億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,315億33百万円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,778億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ256億85百万円増加いたしました。主な要因は、営業費用の増加により支払手形及び営業未払金が139億91百万円、短期借入金が167億26百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は1,320億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億7百万円減少いたしました。主な要因は、有利子負債が95億70百万円減少した一方で、繰延税金負債が79億55百万円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は4,098億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ244億77百万円増加いたしました。

 

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は5,119億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,070億56百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益が1,067億33百万円、その他有価証券評価差額金が157億33百万円、非支配株主持分が90億57百万円それぞれ増加した一方で、剰余金の配当235億3百万円を実施したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は53.8%となり、前連結会計年度末に比べ3.4ポイント上昇いたしました。

 

ロ.経営成績

(営業収益)

 デリバリー事業におきましては、物販系EC化率が更に上昇したことを主要因に、BtoCの取扱個数が増加いたしました。また、「GOAL」による提案営業の成果として「TMS」が好調に推移いたしました。ロジスティクス事業におきましては、海上コンテナ不足や旅客機の減便等によるサプライチェーンの混乱が継続し、海上・航空運賃が高止まりする中、コンテナスペースの確保に注力し、顧客の旺盛な需要に対応いたしました。不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。その他の事業におきましては、BPO取引が増加いたしましたが、自動車販売及び「e-コレクト」が減少いたしました。

 この結果、営業収益は1兆5,883億75百万円となり、前連結会計年度に比べ21.1%の増加となりました。

 

(営業原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

 デリバリー事業における「Xフロンティア」の安定的な運営に加え、各種デジタライゼーションの推進及び宅配便における集配体制の強化など、継続的な生産性向上に取り組むことで収益力を強化いたしました。

 この結果、営業原価は1兆3,762億84百万円(前期比18.3%増)、販売費及び一般管理費は563億76百万円(同19.5%増)となりました。営業収益が増加したことにより、営業利益は1,557億13百万円(同53.1%増)となり、営業利益率は9.8%と前連結会計年度に比べ2.0ポイント上昇いたしました。

 

(営業外損益、経常利益)

 営業外収益は、為替差益や受取保険配当金の計上等により66億73百万円(前期比75.5%増)となりました。営業外費用は、支払利息の計上等により20億97百万円(同12.6%増)となりました。

 この結果、経常利益は1,602億89百万円となり、前連結会計年度に比べ54.6%の増加となりました。

 

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

 特別利益は、投資有価証券売却益の計上等により30億40百万円(前期比73.5%減)となりました。特別損失は、のれん償却額の計上等により27億7百万円(同19.6%減)となりました。

 この結果、税金等調整前当期純利益は1,606億22百万円となり、前連結会計年度に比べ43.7%の増加となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税等441億22百万円(前期比41.8%増)、非支配株主に帰属する当期純利益97億66百万円(同54.5%増)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,067億33百万円となり、前連結会計年度に比べ43.6%の増加となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

・デリバリー事業

 デリバリー事業におきましては、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返されたことで経済活動が制限され、BtoBの取扱個数は前年並みとなりました。一方で、BtoCの取扱個数は、新たな生活様式が定着したことにより、物販系EC化率が更に上昇したことを主要因に増加いたしました。加えて、「GOAL」による提案営業の成果として「TMS」が好調に推移いたしました。また、「Xフロンティア」の安定的な運営や、各種デジタライゼーションの推進及び宅配便における集配体制の強化など、継続的な生産性向上に取り組むことで、収益力を強化いたしました。

 この結果、当セグメントの営業収益は1兆431億86百万円(前期比2.8%増)、営業利益は932億11百万円(同30.4%増)となりました。

 

 

・ロジスティクス事業

 ロジスティクス事業におきましては、世界的な海上コンテナ不足に対する解決の目処が立たないことで、航空貨物のスペースもひっ迫し、グローバルサプライチェーンの混乱は継続いたしました。これにより、海上・航空運賃が高止まりを続ける中、当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCでは、安定的にコンテナスペースを確保し、顧客の旺盛な需要に対応いたしました。国内におきましても、「GOAL」による包括的なソリューション提案により、3PL等の新規案件を受託いたしました。

 この結果、当セグメントの営業収益は4,770億31百万円(前期比129.6%増)、営業利益は484億59百万円(同280.2%増)となりました。

 

・不動産事業

 不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。

 この結果、当セグメントの営業収益は112億92百万円(前期比50.6%減)、営業利益は66億12百万円(同41.6%減)となりました。

 

・その他

 その他の事業におきましては、BPO取引が増加いたしましたが、自動車販売及び「e-コレクト」が減少いたしました。

 この結果、当セグメントの営業収益は568億64百万円(前期比14.5%減)、営業利益は46億58百万円(同10.7%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ182億32百万円増加し873億98百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得た資金は818億22百万円(前期比32.5%減)となりました。

 主な要因は、収入要因として税金等調整前当期純利益1,606億22百万円を計上した一方で、支出要因として売上債権の増加額879億40百万円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は452億70百万円(前期は5億4百万円の収入)となりました。

 主な要因は、支出要因として有形固定資産の取得による支出532億67百万円、無形固定資産の取得による支出61億93百万円をそれぞれ計上した一方で、収入要因として投資有価証券の売却による収入151億29百万円を計上したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は253億72百万円(前期は1,219億31百万円の支出)となりました。

 主な要因は、支出要因として長期借入金の返済による支出241億30百万円を計上したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 セグメント別の営業収益及び当社グループの中核事業であるデリバリー事業の商品別取扱個数は次のとおりであります。

 なお、当社グループは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業を中心とするサービス提供を主たる業務としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。

 

 

イ.セグメント別の営業収益

 当連結会計年度のセグメント別の営業収益は、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

金額(百万円)

前期比(%)

デリバリー事業

1,014,952

106.2

1,043,186

102.8

ロジスティクス事業

207,808

153.0

477,031

229.6

不動産事業

22,851

140.7

11,292

49.4

その他

66,472

100.7

56,864

85.5

合計

1,312,085

111.8

1,588,375

121.1

(注)営業収益は外部顧客に対する売上高を示しております。

 

ロ.デリバリー事業の商品別取扱個数

 当連結会計年度のデリバリー事業の商品別取扱個数は、次のとおりであります。

商品の名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

取扱個数

(百万個)

1,403

1,423

 

飛脚宅配便

(百万個)

1,347

1,369

その他

(百万個)

55

54

(注)1.取扱個数は、当社グループの主要商品の取扱個数であります。

2.飛脚宅配便は、佐川急便株式会社が国土交通省に届け出ている宅配便の個数であります。

3.その他は、佐川急便株式会社の提供する飛脚ラージサイズ宅配便及びその他の会社の取扱個数であります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの事業セグメントは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業とその他で構成され、主要セグメントであるデリバリー事業が、当連結会計年度において営業収益の7割程度を占めております。

 

・デリバリー事業

 デリバリー事業におきましては、主力の宅配便に加え、あらゆる「運ぶ」で付加価値を提供する「TMS」をはじめとした、「GOAL」による付加価値の高い物流ソリューションの開発・提供を行っております。また、これらの物流ソリューションの提供は、自社のセールスドライバーや外部輸送業者を通じて行うことから、営業費用の80%以上を人件費と外注費が占めております。そのため、働き方改革の推進、輸送品質の維持・向上や輸送インフラの強化、デジタライゼーションによる生産性向上等に継続的に取り組み、人件費・外注費の適切なコストコントロールに注力しております。

 当連結会計年度の宅配便の取扱個数は、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返されたことで経済活動が制限されたものの、新たな生活様式が定着し、物販系EC化率が更に上昇したことにより、通期で1,423百万個(前期比1.4%増)となりました。一方、平均単価は、高付加価値サービスの提供及び適正運賃収受の取組みは継続したものの、相対的に小型な個人宅向けの荷物が増加したことにより、646円(同0.3%増)と微増にとどまりました。また、「TMS」は、「GOAL」による提案営業により大きく伸長し、通期で営業収益1,076億11百万円(同15.4%増)となりました。この結果、当セグメントの営業収益は1兆431億86百万円(同2.8%増)となりました。

 人件費及び外注費につきましては、それぞれ3,747億95百万円(同3.0%減)、4,824億22百万円(同3.5%増)となりました。人件費減少の主な要因は、生産性の向上や前連結会計年度と比較して一時金の支給額が減少したことに伴うものであります。一方、外注費増加の主な要因は、「TMS」の増加や宅配便のBtoCの取扱個数が増加したことに伴うものであります。この結果、営業利益は932億11百万円(同30.4%増)となり、営業利益率は8.9%と前連結会計年度から1.9ポイント上昇いたしました。

・ロジスティクス事業

 ロジスティクス事業におきましては、主に当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCを中心に海外で展開するフレイトフォワーディングに加え、デリバリー事業と連携した3PLや日本発着の国際輸送を展開しております。当セグメントは、フレイトフォワーディングを中心とする国際物流事業と3PLを中心とする国内物流事業とに区分しており、営業収益の構成比は、それぞれおおよそ8割程度、2割程度となっております。

 当連結会計年度におきましては、国際物流事業において、世界的な海上コンテナ不足に対する解決の目処が立たず、航空貨物のスペースもひっ迫する中、安定的にコンテナスペースを確保し、顧客の旺盛な需要に対応いたしました。また、国内物流事業においても3PL受託案件が増加いたしました。これらにより、営業収益は4,770億31百万円(前期比129.6%増)となりました。グローバルサプライチェーンの混乱を背景に、高水準の営業利益率を記録した国際物流事業の大幅な増収により、営業利益は484億59百万円(同280.2%増)となりました。この結果、営業利益率は10.2%と前連結会計年度から4.1ポイント上昇いたしました。

 

・不動産事業

 不動産事業におきましては、当社グループの物流施設を中心に不動産の開発、賃貸、管理を行っております。

 当連結会計年度におきましては、物流施設にかかる保有不動産の売却額が前連結会計年度に比べ約110億円減少したことを主因に、営業収益は112億92百万円(前期比50.6%減)となりました。また、保有不動産の売却額減少を主因に、営業利益は66億12百万円(同41.6%減)となりましたが、営業利益率は58.6%と前連結会計年度から9.1ポイント上昇いたしました。

 

・その他

 その他の事業におきましては、人材派遣・請負、宅配便の代金引換サービスや物流システムの開発・運用等の物流附帯サービスを提供しております。

 当連結会計年度におきましては、BPO取引が増加いたしましたが、自動車販売及び「e-コレクト」が減少し、営業収益は568億64百万円(前期比14.5%減)、営業利益は46億58百万円(同10.7%増)となりましたが、営業利益率は8.2%と前連結会計年度から1.9ポイント上昇いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、高い財務健全性と資本効率を両立しつつ、中長期的な企業価値向上のための成長投資の実施と株主還元の充実を図ることを財務戦略の基本方針としております。

 

・財務健全性の状況

 当社グループは、中長期的な企業価値向上のための成長投資を支える強固な財務基盤が必要と考えております。当連結会計年度末の自己資本比率は53.8%となり、前連結会計年度末に比べ3.4ポイント上昇いたしました。今後も財務健全性の維持に努めてまいります。

 

・資本効率の向上

 当社グループは資本コストを重視し、投資において投下資本利益率が資本コストを上回るよう管理し、ROEの維持・向上を意識した経営を実施しております。当連結会計年度のROEは23.9%と、前連結会計年度から4.9ポイント上昇いたしました。今後も成長が期待される分野へ規律ある投資を行うことで、企業価値の最大化に努めてまいります。

 

・フリーキャッシュ・フローの状況

 当社グループは、フリーキャッシュ・フローを営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義し、成長投資、内部留保や株主還元などを検討する際の指標の一つとして重視しております。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

121,294

81,822

△39,472

投資活動によるキャッシュ・フロー

504

△45,270

△45,774

フリーキャッシュ・フロー

121,798

36,552

△85,246

 

 

・株主還元

 当社グループは、株主へ配当金による利益還元を実施しております。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。

 

・流動性の状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、873億98百万円となりました。当連結会計年度末の短期借入金304億5百万円と、1年内返済予定の長期借入金263億1百万円の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。

 

・資金調達手段

 当社グループの事業活動における運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。設備資金等については、手持資金とのバランスを勘案し、必要に応じて長期借入金で調達しております。

 当社グループは、当社及び国内子会社を対象に、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を利用し、グループ内資金の包括的管理を実施しており、国内子会社において、設備投資等に伴う大規模な資金が必要となる場合は、当社が国内各子会社に長期貸付を行っております。

 海外子会社においては、当社が、投資計画・資金計画に基づいて貸付又は増資引受けを行い、地域に所在する海外各子会社の資金を管理する体制としております。また、第2四半期連結会計期間から、海外子会社の新たな資金需要に対応するため、金融機関からの外貨建貸越極度枠を設定しております。なお、当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLC及び上海虹迪物流科技有限公司においては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。

 翌連結会計年度につきましても、上記の方針に基づき資金調達を行う予定であります。なお、重要な設備の新設計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するに当たり、退職給付に係る負債、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど合理的な見積りを行い、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるためこれらの見積りとは異なる場合があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 株式会社日立物流との資本業務提携契約

 当社及び当社の連結子会社である佐川急便株式会社は、2016年3月30日に株式会社日立物流(佐川急便株式会社及び株式会社日立物流を以下「両社」という)との資本業務提携契約を締結いたしました。

 当連結会計年度において、本契約における資本提携関係を見直し、当社が保有する株式会社日立物流株式12,810,600株(発行済株式総数(自己株式を除く)の15.27%)のうち4,600,000株を売却いたしました。

 なお、業務提携については継続的に推進し、両社の強みを活かしたデリバリーと3PLがシームレスにつながる総合物流の提供を通じて、企業価値の最大化を図るとともに、物流業界が担う社会的な使命も果たしてまいります。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。