文中における将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであります。
当社は、「世界を変える仲間をつくる。」をミッションとし、選択と集中のため事業や子会社を売却したい方、経営環境の変化に合わせるために事業や子会社を買収したい方、後継者不在で引き継ぎ先を探す必要に迫られている方、企業の更なる成長のために資金調達又は経営権の譲渡を望まれる方など、それぞれ企業の変化に合わせた経営体制の構築をM&Aを通じて支援することにより、広く社会に貢献することを企業理念としております。
具体的な取組については、下記のとおりとしております。
①当社は会社設立時から、公認会計士・税理士を中心とした会計分野の専門性を有するプロフェッショナル集団であり、中堅・中小企業のM&A仲介事業を主たる事業として展開してまいりました。2023年9月に「中小M&Aガイドライン」が改訂され、これまで以上にM&A支援サービスの質の確保が求められます。当社はガイドラインを遵守し、引き続き、専門性の高い業務提供を行うことで、顧客が安心して満足できるM&Aを創出していく方針であります。
②当社でのM&A仲介は、より多くの買収候補先を探索し、譲渡希望者に提案できることを目指しております。このため、日々の業務活動を通じて得られる買収ニーズをデータベース化し、これを活用することで相手先を探索するほか、提携金融機関からの紹介による探索、インターネット経由でのマッチングを強化するためWEBサイト「M&A市場SMART」を活用するなど、マッチング手法の強化を図っていく方針でもあります。
また、M&Aの利便性やM&Aによる問題解決策を広く社会に認知していただけるよう「M&A Online」等のWEBサイトを通じた情報発信を拡充していく方針であります。また、譲渡希望企業より買収希望企業の数がはるかに多く、買収ニーズがあるものの、現実的に買収できない企業が多く存在します。この状況を踏まえ、当社は買収を検討する企業のために「プレマーケティングサービス」を提供しております。このサービスは当社が買収希望企業の代わりに、譲渡希望企業の探索活動を一括して請け負い、M&A成約までのフルサポートを行います。当サービスを活用し、買収希望企業に買収を検討する機会をより多く提供していく方針であります。
③現在の環境としては、オーナー社長の高齢化や後継者不在の企業数の増加を背景に、日本国内の中堅・中小企業のM&Aは拡大傾向にあります。一方で、M&Aは後継者不在の解決策に限定されるものではなく、中期的な事業の拡大を図るために、事業承継のM&A市場だけにとらわれず、選択と集中のためのM&A、グループ企業のM&A、大企業とスタートアップ企業のM&A、事業再生のためのM&A等、事業承継以外のM&A市場でも積極的に活動してまいります。スタートアップ企業と大企業の提携を進める会員制のサービス「S venture Lab.」を展開しており、資金を必要とするスタートアップ企業とイノベーションを求める大企業を結びつけ、新しいビジネスや市場を生み出すことを目指していく方針であります。
また、当社のミッション「世界を変える仲間をつくる。」を実現するため、仲間づくりの一環として、M&A仲介事業の周辺事業や新規事業への進出を図る方針であります。
④当社はM&Aコンサルタントを中心に積極的な人材採用を行っており、今後も当社の業績拡大のために、継続的な増員を計画しております。近年は新卒採用にも力を入れており、サービス品質向上に向けて研修メニューの充実や、OJTの推進等で、人材育成を強化する方針であります。また、従業員が安心して働くための職場環境づくりに努め、当社内での仲間づくりも強化する方針であります。
⑤当社は東京証券取引所のプライム市場に上場しており、プライム市場ではより高い水準のガバナンス体制が求められております。当社はガバナンスの一層の充実を図るため、取締役会の任意の諮問機関として指名・報酬諮問委員会を設置しております。また、SDGsの様々なゴール達成に貢献するため、サステナビリティ推進委員会を中心に、M&A支援を通じた事業活動における優先課題への取組及び当社の組織活動における優先課題への取組を推進していくとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示等を推進していく方針であります。
これらの経営方針及び取組のもと、今後3年間において、下記のとおり成約組数及び売上高を増加させていくことを当面の目標としております。また、案件の成約に先立ち、案件の新規受託が必須となることから、成約組数達成のための先行指標となる新規受託件数も下記のとおりの目標としております。これらの数値目標は、毎期、その期の活動状況を踏まえ、見直す方針としております。
上記の目標達成には、M&Aコンサルタントの増員も必要不可欠となり、今後については、下記のとおりの増員を計画しております。
なお、採用したコンサルタントについては、入社後1年間は収益貢献がほぼなく、2年目で1~2組の案件成約、3年目で2~3組の案件成約というように経験とともに成約数が増加することが一般的であります。
中堅・中小企業の譲渡希望企業にとって、会社を譲渡することは非常に重い決断であるとともに、今まで企業を育ててきた努力を将来の新たな活力につなげる生涯における一大事であります。譲渡希望企業は様々な不安を抱えながら、決断を行い、理想の買収先を求め、交渉を進めていきます。一方、買収希望企業にとっては、貴重な経営資源を新たな会社に投下することは新たなリスクを抱えるものであり、慎重に会社を選定し、交渉を進め、決断を行います。
このような状況下、譲渡希望企業と買収希望企業がM&Aを進める上では、仲介会社である当社の信用力が必要不可欠であり、顧客からの安心感を得られる体制を構築することが重要な課題であると認識しております。
この課題を解決すべく、社会的信用力の向上を目指すとともに、更に信頼される企業となるべく、社内管理体制及びコンプライアンス体制の整備・充実を図ってまいります。また、業務・サービスの品質を高めるべく、従業員の専門性を高めるため社内教育を推進するとともに、徹底的に顧客と向き合い案件を進めていく企業文化を構築するため、案件の検討に関する会議を定期的に開催し、社内コミュニケーションの促進、情報の共有を推進してまいります。
一方、M&A仲介会社の社数は、昨今急増しており、競争環境も激化している状況にあります。多くのM&A仲介会社の中から当社を選んでもらうためには、信用力に加え、知名度の向上も課題になると認識しております。このため、知名度向上のための施策も積極的に取り組んでまいります。
M&A仲介事業の拡大のために、譲渡案件の探索及び受託を重要な課題と考えております。当社では、セミナー開催、広報誌の発行、WEB・新聞・雑誌での記事掲載により、M&Aに関する情報発信による潜在的な譲渡希望ニーズの発掘に取り組んでおりますが、発信する情報の拡充を図るとともに、効果的・効率的に譲渡案件が受託できるよう努めてまいります。この一環として、M&A専門の情報サイト「M&A Online」上のコンテンツを充実させることで情報発信をさらに強化してまいります。また、経営者の悩みやニーズに適切に応えるべく、潜在的な顧客へのダイレクトマーケティングも持続的に強化してまいります。
一方、金融機関や会計事務所を中心とした業務提携により間接的な案件受託を推進しておりますが、当該受託の増加を図るため、新たな提携先の探索や提携領域の拡大に取り組んでまいります。
事業承継問題を背景に、中堅・中小企業のM&A市場は活性化している状況でありますが、事業承継だけに限定することなく、選択と集中、スタートアップ企業のエグジット、事業整理、事業再生目的等多様なM&Aニーズにも対応を図るとともに、M&Aを利用した新たな問題解決手法を創出することも視野に入れ、M&A市場全体が発展していく中で安定的な経営が行えるよう努めてまいります。「イノベーション支援室」を中心に、スタートアップ企業と大企業のイノベーション型M&Aを促進する活動を強化してまいります。また、M&A仲介事業の周辺事業や新規事業への進出により事業領域の拡大に取り組んでおります。
当社では、M&A仲介事業を持続的に成長させるために最重要となる経営資源は人的資源であると考えており、優秀なM&Aコンサルタントを継続的に獲得し、育成し、維持していくことが課題であると認識しております。
獲得に関しては、専門的な知識を有する人材、多様な分野に精通している人材、営業力・交渉力に長けた人材等の有能な人材を獲得することに注力していく方針としております。
従業員の育成のため、専門的知識や専門的スキルの向上のための社内研修の充実、M&A情報の共有等の施策に取り組んでまいります。また、チーム制を導入しており、チームとして多様な案件に対応することを通じて、個人の経験を高める施策を推進しております。当事業年度に入社したM&Aコンサルタントが早期に収益貢献できるよう育成に努めてまいります。さらに、優秀なM&Aコンサルタントの定着率を向上させるため、成果主義に基づく給与制度や人事考課制度を採用しておりますが、社会環境や組織構造の変化に対応して随時見直しを行うとともに、従業員が積極的に仕事に取り組める環境を整備してまいります。
業績目標を達成する上では、個々案件の成約に向けた進捗管理が重要な課題になると認識しておりますが、案件の成約時期については、譲渡希望先と買収候補先のそれぞれの意向や意思決定手続等により左右され、当社で完全にコントロールできない面もあります。また最近では、譲渡希望先と買収候補先のいずれかが大企業となるケースも増えており、以前に比べると成約までの期間が長期化する傾向にあります。
当社では、コンサルタントが譲渡希望先と買収候補先の希望を踏まえ、当事者の意思決定プロセスも考慮し、スケジュール化するよう努めております。また全案件の進捗管理のため、毎週、案件の進捗状況を把握し、必要に応じた対策を図るようにしております。さらに、会計・法律などの専門家で構成された業務支援部を設置し、コンサルタントをサポートするとともに、専門知識が必要となる高度ないし複雑な案件も成約できる支援体制を整備しております。
これらの施策により、顧客満足度に配慮しながら、適切な時期に成約できるよう努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は「M&Aは、人の想いでできている。」をコーポレートスローガンに、 創業以来、ご相談者様の真の希望を叶えるため、ご依頼にまっすぐに取り組んできました。また、新たに「世界を変える仲間をつくる。」をミッションと掲げ、人や人との関係を一層意識したM&Aの発展に取り組んでいます。
このような中、当社はプライム上場企業に相応しく、更に成長・発展していくために、ESG視点で経営について見直しを行うとともに、サステナビリティ課題へも積極的に取り組む必要があると考えています。また、社会の一員として、社会の共通目標であるSDGsへの貢献、環境や社会への配慮といったこともこれまで以上に期待されているものと感じています。
新たなミッションのもと、当社の成長と社会の発展、この両方を見据えた経営活動を推進してまいります。また、現状の取り組みに満足せず、更なる改善も、目指してまいります。
当社では、サステナビリティに関する当社の課題を抽出し、組織としての対応を促進するための組織として「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。取締役会は優先的に取り組むべき重要課題を踏まえて、サステナビリティ推進委員会に対して取組方針を指示しています。
サステナビリティに関連するリスクを含む全社的なリスクの管理は、管理部門担当取締役が統括しており、重要な方針については経営会議、取締役会への報告を行っています。
(2) 気候変動に関する取組
当社では、気候変動問題を重要な課題の一つとして認識しており、前事業年度よりTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った気候変動への対応に着手しました。気候変動に係る当社の取組については、コーポレイトサイトにおいて詳細に開示しています。(https://www.strike.co.jp/sustainability/environment.html)
①ガバナンス
サステナビリティ推進委員会は、SDGsを意識したサステナビリティ全般の対応に加え、TCFD提言で要請されているリスクと機会の特定、シナリオ分析、温室効果ガス排出量の算定等を実施し、取締役会への報告を行う等、気候関連課題に対するモニタリングを実施しています。
取締役会は、気候変動問題への取組状況についての報告を受け、サステナビリティ推進委員会に対して取組方針を指示しています。
②戦略
a.気候変動に伴う重要なリスクと機会
気候変動に伴って将来生じる可能性のある当社のリスク・機会について、TCFD提言に沿ったリスク・機会を特定し、重要度の評価を行いました。リスク・機会の特定に当たっては、2030年(短期)、2050年(中期)、2100年(長期)を想定し、以下のシナリオを使用しました。
・IEA(国際エネルギー機関)1.5℃上昇(NZE2050)、2℃上昇(APS)
・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)4℃上昇(SSP5、RCP8.5)
特定されたリスク・機会のうち、特に重要なものは次に示す表のとおりです。
重要なリスク
重要な機会
b.事業インパクト評価
特定されたリスクのうち、重要度が高く、試算可能なリスクについて、移行リスクとして炭素税導入による追加コスト、物理的リスクとして洪水・高潮発生時の拠点の浸水による追加コスト(オフィス代替費用)を試算しました。試算に当たっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)の情報に基づき、1.5℃/2℃上昇、4℃上昇を想定したシナリオを使用しました。
ア.税制度(炭素税等)導入による追加コスト [移行リスク]
国際エネルギー機関(IEA)の情報に基づき、当社の拠点において、エネルギー消費に伴い排出される温室効果ガス排出量に応じて課税される追加コストを算定しました。
1.5℃上昇シナリオで追加コストが大きくなり、2050年の影響は約6.3百万円となりましたが、2023年9月期の経常利益に対して1%未満であり、気候変動の影響は小さいことがわかりました。
イ.高潮発生時の拠点の浸水による追加コスト(オフィス代替費用) [物理的リスク]
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が提供する将来予測データを用いて、当社の拠点が、洪水又は高潮で浸水被害を受けた場合、事業継続に必要な代替オフィスの借り上げ費(追加コスト)を算定しました。
当社の全拠点について、現況の洪水・高潮のハザードマップを重ねた結果、洪水のみの影響による浸水被害の試算対象となる拠点はなかったため、高潮を対象に試算しました。
4℃上昇シナリオで追加コストが大きくなり、2100年の影響は約24百万円となりましたが、2023年9月期の経常利益に対して1%未満であり、気候変動の影響は小さいことがわかりました。
③リスク管理
気候変動関連のリスクについては、「サステナビリティ推進委員会」において、TCFD提言に沿って気候関連リスクとリスクに対応する機会の洗い出しを行い、取締役会への報告を行う等、気候関連課題に対するモニタリングを実施しています。また、特定したリスクと機会は、確からしさと影響の大きさから重要度を評価し、重要と評価されたリスクと機会については、取締役会に報告し、全社的なリスク管理の対象に組み込み、対応しています。
④指標及び目標
当社では、2022年9月期における当社事業(単体)に伴う温室効果ガス排出量を、国際基準であるGHGプロトコルに準拠して算定しました。2022年9月期におけるScope1、Scope2、Scope3の排出量は以下のとおりです。
2022年9月期温室効果ガス排出量
(注)1.ガソリンの年間使用量×ガソリンの単位発熱量×ガソリンのCO2排出係数×44/12
ガソリンの単位発熱量、各燃料のCO2排出係数は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」の「温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度」に基づく値を採用しております。
2.本社については、2022年7~9月の期間、トラッキング付き非化石証書で購入した電力割当量を電気使用量から相殺しております。
3.平均的な排出係数(令和2年度全国平均係数)に基づき算定しております。
4.「地球温暖化対策の推進に関する法律で定められた」電気事業者別の調整後排出係数(令和4年度報告用)に基づき算定しております。
(注)1.「―」は算定対象外
2.ガソリン使用由来の排出量を含んでいない(全体の0.2%相当)。
3.レンタルオフィス使用による排出量を算定しております。
当社では、気候関連のリスクと機会をマネジメントするため、2050年カーボンニュートラルに向けて、当社事業に伴う温室効果ガス排出量の削減に努めています。
2022年9月期の温室効果ガス排出量の算定結果を踏まえ、中期的な目標を以下のとおり設定しました。
(3) 人的資本に関する取組
①戦略
当社では、M&A仲介事業を持続的に成長させるために最重要となる経営資源は人的資源であると考えており、優秀なM&Aコンサルタントを継続的に獲得し、育成し、維持していくことが課題であると認識しております。
獲得に関しては、専門的な知識を有する人材、多様な分野に精通している人材、営業力・交渉力に長けた人材等の有能な人材を獲得することに注力していく方針としております。また、新卒採用も積極的に行っており、インターンシップの機会の増加や、会社説明会の開催回数の増加、大学での講演の実施等により業界理解を深めることに取り組んでおります。
従業員の育成に関しては、研修メニューの見直しや開発に取り組み、新卒社員向け研修期間の伸長や、コンプライアンス、リーダー・管理職向け、個人資質向上等の階層別、テーマ別研修の開催回数を増やすとともに、eラーニングによる研修機会の提供や専門書籍の配布等を行っており、今後も専門的知識や専門的スキルの向上のための社内研修の充実、M&A情報の共有等の施策に取り組んでまいります。
また、チーム制を導入しており、チームとして多様な案件に対応することを通じて、個人の経験を高める施策を推進しております。当事業年度に入社したM&Aコンサルタントが早期に収益貢献できるよう育成に努めてまいります。当社は、優秀なM&Aコンサルタントの定着率を向上させるため、成果主義に基づく給与制度や人事考課制度を採用しておりますが、社会環境や組織構造の変化に対応して随時見直しを行ってまいります。
さらに、出産・育児・介護などに対する制度整備を進めるほか、年齢や性別、国籍に関わらず、従業員が積極的に仕事に取り組める環境を整備してまいります。
②指標及び目標
当社の人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。併せて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
本項記載の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
中堅・中小企業のM&A市場は、1990年代以降、オーナー経営者の高齢化に伴う後継者問題等を背景に拡大傾向にあります。また、今後も、スタートアップ企業の出口戦略としてのM&Aの活用やスタートアップ企業と大企業との間でのオープンイノベーションのためのM&Aの活用、ノンコア事業からの撤退手段としてのM&Aの活用等により、市場は更に拡大する可能性があるものと予測しており、当社でも様々なM&Aニーズに対応できるよう体制を整備しております。しかしながら、将来的に後継者問題解決策としてのM&A譲渡ニーズが減少に転ずること、金融市場の動向等によりM&A買収ニーズが減少に転ずること等を要因として、市場が縮小した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、過去にも、リーマンショックや東日本大震災を契機として、M&A買収ニーズの減少によりM&A市場が一時的に縮小した経緯もあり、類似した経済情勢の変化や自然災害の影響を受けて市場が低迷する可能性もあります。
当面のところ当該リスクが顕在化する可能性は低いものと判断しておりますが、経済情勢の変化や自然災害はいつ発生してもおかしくないものとなります。また、日本国内における経済情勢悪化の度合いが大きいほど、発生した自然災害のエリアや災害規模が大きいほど、当社の経営成績及び財政状態に与える影響は大きくなります。
現状、M&A仲介業務を直接的に規制する法令等はなく、許認可制度や資格制限もありません。しかしながら、今後、法令等の制定・改定により、M&A仲介業務に対する何らかの規制を受けることに至った場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、M&A取引又はM&A制度に係る金融商品取引法、会社法、税法等の法改正が行われることで、社会におけるM&Aニーズも変化する可能性があり、その結果として、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
現在のところ、リスクが顕在化するような具体的な法改正は行われておりませんが、2023年9月に中小M&Aガイドラインが改訂され、今後、業界団体での自主規制が設けられる方針となっております。これらのガイドラインや規制を遵守するとともに、法規制リスクが顕在化する可能性が生じた場合には、早期に、検討及び分析を行い、必要な対応を図る予定としております。
M&A仲介事業は許認可制度や資格制限もないことに加え、事業の開始にあたり大規模な設備投資も不要であることから、相対的に参入障壁が低い事業であると判断しております。このため、大手事業者から個人事業者まで多数の事業者がM&A仲介事業を展開しており、今後も同業者間での競争が激しくなることが推測されます。
当社では、M&A仲介業務の差別化や顧客からの信頼を向上させるため、会議、研修、社内システムにより、これまでの経験により蓄積されたノウハウの社内共有、外部専門家による講習、従業員に対する専門的知識の教育を行うとともに、公認会計士・税理士等の有資格者やM&A実務経験者の積極的な採用をするなどの施策を講じてサービス品質の向上に向けた対応を図っておりますが、競合他社との競争が激化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
M&A仲介事業は、譲渡先と買収先の意向に従い、受託から成約までの一連の業務が進められております。当社は両者のマッチングが円滑に進み、早期に成約に至るよう取り組んでおり、案件の進捗管理を適時に実施しておりますが、両者での条件交渉が難航することや、買収先が手配して実施するデューディリジェンス作業が遅延すること等を要因として、予定どおりに案件が進まない場合も想定されます。この結果、当社の事業年度別の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
近年は、当社の顧客である譲渡企業と買収企業のどちらかが大企業となる案件も増えてきていること等に伴い、当初予定に比べ成約までの期間がやや長期化する傾向となりましたが、今後については、成約までの期間が更に長期化する可能性は低いものの、同様の傾向が続くものと判断しております。
M&A仲介事業は、受託する案件の規模により、成約報酬も異なっております。当社では、受託案件数を増やすことにより、業績が大きく変動しないよう取り組んでおりますが、案件成約数の一時的な変動や成約案件規模の大小により、四半期又は事業年度ごとの一定期間で区切ってみた場合に、期間ごとの業績が大きく変動する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が事業を拡大していくには、優秀なM&Aコンサルタントの獲得、育成、維持が重要な課題であると認識し、これに取り組んでおります。しかしながら、人材を適時に確保できない場合、人材が大量に社外流出してしまった場合、あるいは人材育成が計画どおりに進展しない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、顧客から情報を入手するに際して、秘密保持契約等を締結し、顧客に対して守秘義務を負っております。当社では、顧客から入手した情報が漏洩しないよう、社内規程を整備し、情報の保管管理を徹底するとともに、役職員に対しても守秘義務に関する教育を行う等の施策を講じております。しかしながら、不測の事態等により、守秘義務の対象となる情報が漏洩した場合、損害賠償請求等の金銭補償や信用力の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現在のところ、当該リスクが発生する可能性のある要因は認識しておりません。
当社は、メールマガジンの登録及びセミナーの受講等において、個人情報を取得する場合があります。当社では「個人情報の保護に関する法律」に従い、社内規程を整備し、個人情報の厳正な管理を行っております。このような対策にも関わらず、個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、損害賠償請求等の金銭補償や信用力の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現在のところ、当該リスクが発生する可能性のある要因は認識しておりません。
当社代表取締役 荒井邦彦は、当社の創業者及び経営の最高責任者であり、荒井邦彦の資産管理会社である株式会社K&Companyとあわせて、当事業年度末現在、当社株式の44.1%を所有する大株主であるとともに、経営においても重要な役割を担っております。当社では、過度な依存を回避すべく、会議体での重要な意思決定の徹底、組織としての管理体制の強化、マネジメント層の採用・育成を図っておりますが、現時点において当該役員に対する依存度は高い状況にあるといえます。そのため、何らかの理由により同氏が当社の経営を行うことが困難な状態となり、また、後任となる経営層の採用・育成が進展していなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
継続的にマネジメント層の充実を図り、中長期的な観点で当該リスクへの対応を図っております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べ4,367百万円増加し、15,224百万円となりました。これは主として未収還付法人税等が942百万円、未収消費税等が863百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が5,560百万円、売掛金が560百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べ1,108百万円増加し、3,060百万円となりました。これは主として、本社増床等に伴い建物が471百万円、工具器具備品が227百万円それぞれ増加したほか、投資有価証券が127百万円、関係会社株式が100百万円増加したことによるものであります。
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ2,030百万円増加し、3,591百万円となりました。これは主として未払金が800百万円、未払法人税等が970百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べ190百万円増加し、190百万円となりました。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ3,254百万円増加し、14,503百万円となりました。これは、主として、利益剰余金が配当により765百万円減少したものの、当期純利益により3,866百万円増加したことによるものであります。
当事業年度においては、207組の案件が成約(前事業年度195組)し、売上高は13,826百万円(前期比28.9%増)となりました。売上原価は、売上増加に伴うインセンティブ給与の増加やM&Aコンサルタントの増員に伴う人件費の増加等により、4,578百万円(前期比28.2%増)、販売費及び一般管理費は、テレビCM放映等、営業活動強化のための広告宣伝費の増加や、本社増床による地代家賃の増加等により、4,045百万円(前期比37.9%増)となった結果、営業利益は5,202百万円(前期比23.1%増)となりました。これらの結果を受け経常利益は、5,211百万円(前期比23.3%増)となり、特別損失として投資有価証券評価損を15百万円計上した結果、当期純利益は3,866百万円(前期比30.5%増)となりました。
なお、当社はM&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、14,102百万円と前事業年度末と比べ5,560百万円の増加となりました。主な増減要因は、下記のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は6,809百万円(前事業年度は1,702百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益を5,196百万円計上し、未払又は未収消費税等の増減額が1,094百万円あったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は636百万円(前事業年度は936百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が376百万円、投資有価証券の取得による支出が150百万円、関係会社株式の取得による支出が100百万円あったことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は612百万円(前事業年度は791百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の処分による収入が152百万円あったものの、配当金の支払額が765百万円あったことによるものであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.当社は、M&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメントに関わる記載は省略しております。
2.前事業年度及び当事業年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
3.前事業年度及び当事業年度におけるM&A成約組数の実績は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来生じる実際の結果とは異なる可能性がありますので、ご留意ください。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(資産の部)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べ4,367百万円増加し、15,224百万円となりました。主な変動科目は下記のとおりであります。
・前事業年度末の未収還付法人税等942百万円、未収消費税等863百万円が入金により、それぞれ減少しました。
・配当金の支払いがあったものの、期中に発生した売掛金の回収等により現金及び預金が5,560百万円増加しました。
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べ1,108百万円増加し、3,060百万円となりました。主な変動科目は下記のとおりであります。
・本社オフィスの増床等による設備投資により、有形固定資産が708百万円増加しました。
・純投資目的とする新規投資等により、投資有価証券が127百万円増加しました。
(負債の部)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ2,030百万円増加し、3,591百万円となりました。主な変動科目は下記のとおりであります。
・売上及び利益の増加等に伴う賞与の増加等で未払金が800百万円増加しました。
・課税所得の増加に伴い、未払法人税等が970百万円増加しました。
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べ190百万円増加しました。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ3,254百万円増加し、14,503百万円となりました。主な変動科目は下記のとおりであります。
・利益剰余金が配当により765百万円減少したものの、当期純利益により3,866百万円増加しました。
(活動状況・取り組み)
当事業年度において、営業面におきましては、WEBセミナーの開催やWEB会議システムによる面談を活用し、新規顧客獲得や成約活動に努めました。また、業種別にWEB広告や提案型営業を展開し、幅広くM&Aニーズの発掘に取組みました。さらに、スタートアップ企業と事業会社の提携促進を目的とした会員制サービス「S venture Lab.」では毎月交流イベントを開催し、スタートアップ企業のM&A市場の開拓等にも注力しました。
提携先との連携におきましては、九州北部、兵庫県西、沖縄の各税理士協同組合との業務提携を開始したことで、税理士協同組合等との提携は全国16団体、6万人以上の会員とのネットワークに拡大いたしました。また、提携先金融機関より人材を受け入れることで、提携先金融機関内におけるM&A人材の育成を担い、協業によるM&A支援体制の強化を行いました。
人員面におきましては、今後の業績拡大を図るため積極的な採用を進めたことで、当事業年度においてM&Aコンサルタントを49名増員しました。
このような取り組みの結果、新規受託実績は目標件数(756件)には未達となったものの、712件となりました。
(売上高)
当事業年度の売上高は13,826百万円と、前事業年度に比べ3,099百万円の増収(前期比28.9%増)となり、過去最高となりました。この主な要因は、成約組数が目標(277組)に届かなかったものの、207組成約(前期比+12組)するとともに、大型案件の成約が34組(前期比+15組)となり、全体的に成約単価が上昇したことによるものであります。
成約組数について、当初目標が達成できなかったのは、当社の顧客である買収企業が上場企業となる案件が増加しており、成約期間がやや長期化したことと、中・小型案件で業績影響等を受けて譲渡を取りやめるケースが増加したことが要因と判断しております。
成約単価については、売上高を成約組数で除した金額ベースで、前事業年度は55百万円のところ当事業年度は67百万円と上昇しております。
大型案件の成約数の増加については、当社への信用力及び知名度が向上したこと及び営業力が強化したことが要因と分析しております。
(売上総利益)
当事業年度の売上原価は4,578百万円となり、前事業年度に比べ1,008百万円の増加(前期比28.2%増)となりました。この主な要因は、人員増加及び売上に伴うインセンティブ賞与の増加による給与手当及び賞与の増加702百万円と、提携先からの紹介案件の成約が増えたことにより案件紹介料が125百万円増加したことによるものであります。
この結果、当事業年度の売上総利益は9,247百万円と、前事業年度に比べて2,090百万円の増益(前期比29.2%増)となりました。
(営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は4,045百万円となり、前事業年度に比べ1,112百万円の増加(前期比37.9%増)となりました。この主な要因は、テレビCM放映等、営業活動強化のための広告宣伝費の増加370百万円や、本社増床等による地代家賃の増加368百万円等によるものであります。
この結果、当事業年度の営業利益は5,202百万円と、前事業年度に比べて977百万円の増益(前期比23.1%増)となりました。
(経常利益)
当事業年度の営業外収益は17百万円となり、前事業年度に比べ14百万円の増加(前期比458.6%増)となりました。この主な要因は、還付加算金の増加8百万円等によるものであります。
当事業年度の営業外費用は8百万円となり、前事業年度に比べ7百万円の増加(前期比735.8%増)となりました。この主な要因は、投資事業組合運用損の増加8百万円によるものであります。
この結果、当事業年度の経常利益は5,211百万円と、前事業年度に比べて984百万円の増益(前期比23.3%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の特別損失は15百万円となり、前事業年度に比べ15百万円の増加となりました。
また、当事業年度の法人税等は1,329百万円となり、前事業年度に比べ65百万円の増加(前期比5.1%増)となりました。
この結果、当事業年度の当期純利益は3,866百万円と、前事業年度に比べて904百万円の増益(前期比30.5%増)となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要の主なものは、人材の獲得、維持に係る人件費、営業継続のための物件維持費及びシステム維持費、将来の顧客獲得のため又は顧客の利便性や当社サービス向上のための広告宣伝費及びシステム改良費等の営業費用であります。
現時点で予定されている重要な資本的支出はありませんが、当社がM&Aにより企業買収することは常に視野に入れており、買収資金として活用する可能性はあります。
当社としては、不測の事態や競合会社とのサービス競争も想定し、十分な資金を自己資金(内部留保により)として確保しながら、必要に応じて銀行借入で調達する方針としております。なお、当事業年度末での銀行借入はありません。
該当事項はありません。