第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の分析

当中間会計期間におけるわが国の経済は、設備投資の増加、個人消費の持ち直しやインバウンド需要の拡大、雇用・所得環境の改善等により、景気の緩やかな回復基調を維持しています。一方で、ウクライナ情勢や中東情勢の緊迫化等の世界情勢不安、中国経済の先行きの懸念、米国の関税政策やインフレ圧力等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社の事業領域である中堅・中小企業のM&A市場は、経営者の高齢化が引き続き進む中で、後継者不在の中小企業が社外の第三者へM&Aによって事業承継を行う割合が増加しており、中長期的に拡大傾向にあります。「2024年版中小企業白書」によると、2023年に休廃業・解散した約5万社のうち、およそ半数の企業は直前期の決算が黒字であり、貴重な経営資源を散逸させることなく、次世代の意欲ある経営者への事業承継を促進し、日本経済の持続的な成長につなげる取組が重要となっています。また、近年では事業承継目的だけではなく、企業の新事業創造や変革を目的としたイノベーション型のM&A等、事業の多角化や成長戦略を実現するための手段としてのM&Aが、中小企業においても広まりつつあります。加えて、政府はスタートアップ育成のための1つの柱として、オープンイノベーションの推進を掲げており、大企業とスタートアップとのM&Aの増加等でオープンイノベーションを推進する取組を行っています。

2024年8月には「中小M&Aガイドライン」が第3版に改訂され、仲介者が提供する業務の内容や質と手数料に関する事項や、M&A支援機関による支援の質を確保・向上させるための取組が追記されるなど、質の高い仲介者が選ばれる環境を促すための取組が進んでいます。

 

このような環境下、営業面におきましては、顧客への提案力向上のための研修開催や、「中小M&Aガイドライン」の理解を深めるための社内研修を行い、M&Aコンサルタントの育成を通じてサービス品質の向上に努めてまいりました。また、業種別にWEB広告や提案型営業を展開し、幅広くM&Aニーズの発掘に取り組みました。さらに、スタートアップ企業と事業会社の提携促進を目的としたサービス「S venture Lab.」では毎月交流イベントを開催し、スタートアップ企業のM&A市場の開拓等にも注力しました。

提携先との連携におきましては、提携先金融機関より人材を受け入れることで、提携先金融機関内におけるM&A人材の育成を担い、協業によるM&A支援体制の強化を行いました。また、東京大学等との共同研究を行った成果として企業の知的財産解析に強みを持つ正林国際特許商標事務所との協業による特許データを活用したM&A候補企業探索(マッチング)システムの開発を行い、効率的なM&Aマッチングを推進する体制の強化を行いました。

人員面におきましては、今後の業績拡大を図るため積極的な採用を進めたことで、当中間会計期間においてM&Aコンサルタントを30名増員しました。

 

当中間会計期間における成約組数(※1)は、130組(前年同中間期130組)、成約件数(※2)は249件(前年同中間期256件)となりました。大型案件(1組あたりの売上が1億円以上の案件)の成約は、23組(前年同中間期23組)となりました。新規受託(※3)は、535件(前年同中間期446件)となりました。

 

(※1)成約組数:当社が仲介業務またはアドバイザリー業務として携わったM&A取引数(ディールベース)。

(※2)成約件数:当社が仲介業務またはアドバイザリー業務としてM&A成約に至った契約件数(社数)。仲介業務の場合は1取引で売手1件、買手1件の計2件とカウントし、アドバイザリー業務の場合は1取引で1件とカウント。

(※3)新規受託:売手と仲介業務契約を新規に締結すること(アドバイザリー業務の場合、契約を締結し、実質的に業務が開始されたこと)。

 

当社の経営成績は、M&Aの実行が第3四半期となり売上計上に至らなかった大型案件が複数あったことから売上高は8,951百万円(前年同中間期比3.0%減)となりました。売上原価は、M&Aコンサルタントの増員に伴う人件費の増加、提携先からの紹介で受託した案件の成約に伴う案件紹介料の増加等により3,709百万円(前年同中間期比14.2%増)、販売費及び一般管理費は、営業関連による広告宣伝費等の増加、積極的な採用活動による採用に係る手数料の増加等により2,801百万円(前年同中間期比23.1%増)となった結果、営業利益は2,439百万円(前年同中間期比34.2%減)となりました。これらの結果を受け経常利益は、2,440百万円(前年同中間期比34.2%減)となり、中間純利益は1,739百万円(前年同中間期比28.7%減)となりました。

 

当社の成約組数、成約件数、新規受託及び売上高の中間期実績と当初計画は次のとおりとなります。

 

2025年9月
中間期
(実績)

2025年9月
(計画)

2025年9月
(達成率%)

成約組数(組)

130

310

41.9

成約件数(件)

249

604

41.2

受託案件(件)

535

1,045

51.2

売上高(百万円)

8,951

22,300

40.1

 

なお、当社はM&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

②財政状態の分析

(資産の部)

当中間会計期間末の流動資産は、前事業年度末に比べ1,314百万円減少し、17,913百万円となりました。これは主として、現金及び預金が1,180百万円、売掛金が136百万円減少したことによるものであります。

当中間会計期間末の固定資産は、前事業年度末に比べ325百万円増加し、3,787百万円となりました。これは主として、繰延税金資産及び敷金の増加等により投資その他の資産が290百万円増加したほか、オフィスの移転及び増床による設備投資等に伴い有形固定資産が36百万円増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

当中間会計期間末の流動負債は、前事業年度末に比べ975百万円減少し、2,948百万円となりました。これは主として、賞与引当金が1,071百万円増加したものの、前事業年度末の未払賞与の支給等による未払金の減少により、流動負債のその他が1,852百万円減少したことによるものであります。

当中間会計期間末の固定負債は、前事業年度末に比べ5百万円減少し、291百万円となりました。これは長期未払金が5百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産の部)

当中間会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ8百万円減少し、18,461百万円となりました。これは主として、利益剰余金が中間純利益により1,739百万円増加したものの、配当により1,747百万円減少したことによるものであります。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、17,178百万円と前事業年度末と比べ1,180百万円の減少となりました。当中間会計期間での主な増減要因は、下記のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は673百万円(前年中間期は3,943百万円の収入)となりました。これは主に、未払金が1,501百万円減少したほか、法人税等の支払額が1,078百万円あった一方で、税引前中間純利益を2,529百万円計上したこと及び賞与引当金が1,071百万円増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は110百万円(前年中間期は647百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が110百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が103百万円、敷金等の差入による支出が100百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1,742百万円(前年中間期は978百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が1,742百万円あったことによるものであります。

 

(2)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間会計期間において、当社が事業上及び財務上対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。