文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年5月15日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「健康で明るい社会の実現に貢献する」をミッション(当社グループの社会的な存在意義)と位置付け、ビジョン(ミッションを達成するために、いま当社グループが為すべきこと)として「ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ」を、バリュー(これからも大切にしていきたい価値観)として「地域とつながる場所がある」「地域をつなげるコミュニティがある」「未来へつなぐ課題解決力がある」をそれぞれ設定し、地域のお客さまに寄り添ったサービスを展開しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、2026年5月期を初年度として策定した中期経営計画において財務目標を掲げており、最終年度となる2028年5月期の数値目標として「ROE11.7%、ROIC7.3%、連結売上高1,060億円、連結営業利益27億円、連結営業利益率2.5%」を目指しております。
(3)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、景気は緩やかに回復しております。一方で、継続する物価上昇や米国の政策動向、金融資本市場の変動等の影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが主に事業を行うドラッグストア業界におきましては、各社の積極出店や品揃え拡大により市場規模が拡大する一方で、業界の垣根を越えた競争の激化や既存企業間の出店競争、M&Aによる寡占化のほか、物価の上昇や実質賃金の減少による節約志向の高まりなど、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。
(4)中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上並びに財務上の課題
当社グループは、「地域の生活総合グループへの進化」をテーマに2026年5月期を最終年度とする中期経営計画に取り組んでまいりましたが、建築コストの上昇等により当初想定していた出店計画を下回ったことに加え、原材料価格の高騰に伴う物価上昇や、水道光熱費及び賃上げに伴う人件費の上昇などの事業環境の変化により、同計画の達成は困難な状況にあります。一方で、北海道共通ポイントカード「EZOCA」の会員基盤の更なる拡大や、自治体・企業との連携を通じた有形・無形の地域資産の構築などにより、北海道における持続可能な成長に向けた基盤づくりを進めることができました。また、グループ全体の安定した収益力の確保を目指したDXの推進や業務プロセス改革にも着手しており、体制整備を含めた取り組みは着実に進展しております。
こうした状況を踏まえ、当社グループは現行の中期経営計画を見直し、新たに2026年5月期から2028年5月期までを対象期間とする3か年の新中期経営計画を策定いたしました。これまで構築していた有形・無形の地域資産を、当社グループの土台の一つとしながら、<中期経営計画の推進>に取り組んでまいります。
<中期経営計画>
2026年5月期から2028年5月期までを対象期間とする中期経営計画を策定し、そのテーマに「地域で稼ぐ体制づくり」を掲げ、以下の4つの重点施策を積極的に推進し、安定的な収益性の向上を実現してまいります。
(重点施策)
①荒利率の改善
・プライシング戦略
・ゴンドラ効率の最適化
②販管費の抑制
・組織体制の強化とリソースの再配分
・IT活用によるDXの推進
③資本効率の改善
・店舗ネットワークの最適化
・事業ポートフォリオ改善
④株主還元の強化
・従来の安定配当方針から累進配当方針へと転換
・1株当たり年間配当金額10円を下限とし、将来的には連結配当性向30%を目指す
なお、上記中期経営計画の詳細は、2025年6月20日公表の「中期経営計画の見直し及び配当方針の変更に関するお知らせ」をご覧ください。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年5月15日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関する考え方
当社グループは地域と共創し、小売業の枠組みを超えて持続可能な形で地域社会のインフラの役割を担うことを目指しております。そのために働きやすく多様な人材が活躍できる環境整備と経済・社会・環境のすべてに配慮した公正かつ透明な事業活動の実現に努めてまいります。詳細につきましては、当社サイトの
当社は、サステナビリティへの取り組みを通じたESG経営の社内啓蒙と実行体制の確立のため、小西 憲明取締役CFOを委員長としたサステナビリティ委員会を設置しており、気候変動を含むサステナビリティ関連のリスクや機会の識別、評価、各マテリアリティの課題解決に向けた対応策の議論や、当社グループ各部署の取り組み状況をモニタリングした結果を、取締役会に定期的に報告する体制をとっております。取締役会は報告を通して上記対策の現状を定期的に把握し、これらによる事業運営や財務へ影響に対する監督を行います。

②リスク管理
当社グループは、気候変動を含むサステナビリティ関連の規制や事業への影響等のリスク要因を幅広く情報収集・分析を実施しております。特定したリスクや機会に対する対応策は、前述のサステナビリティ委員会で議論や検討を行い、定期的に取締役会に活動報告を行います。気候変動における重要なリスクと機会については、外部の専門家と各事業部責任者で評価・特定し、取締役会にて決定しており、地震等の天災や感染症に対するリスク管理については、対応マニュアルを作成し社内に周知徹底しております。今後は、事業影響の大きいリスクの洗い出し、評価のプロセスを改めて整理をし、リスク管理の充実化を図ってまいります。
なお、ガバナンス及びリスク管理については、「
③戦略
サステナビリティを巡る課題とその対応は、サツドラグループのお客さま、お取引先さま、従業員をはじめ、株主・投資家さま、公的機関など社内外のステークホルダーからの期待や要請を分析した上で、ESG評価機関などの評価手法を踏まえ、ESG課題を整理しております。整理した候補テーマについては、ステークホルダー及びサツドラグループにとってのそれぞれの重要性を経営陣と外部の専門家で審議し、マテリアリティを特定しております。なお、マテリアリティについては、上記のサステナビリティに関するガバナンス・リスク管理体制の中でその進捗を管理・監督を行うとともに、外部環境や当社グループの状況の変化、中期経営計画との整合性を踏まえ、課題が大きく変わったと判断されるときには、マテリアリティの見直しを行います。
(2)気候変動に関する取り組み
「地域をつなぎ、日本を未来へ。」をコンセプトに企業運営を行う当社グループは、気候変動の問題が深刻化していく中でもお客さまのくらしを支える商品やサービスを提供し続ける責務があると考えております。今後もTCFD提言に対応したリスク・機会の分析とガバナンス体制の整備、開示内容の拡充を通して、地域と経営の持続可能性向上に努めてまいります。
※移行リスクは1.5℃(IEA(国際エネルギー機関)のNZEシナリオ参照)、物理リスクは4℃(IPCC第5次報告書 RCP8.5シナリオ参照)、機会は両シナリオを想定しております。
②指標と目標
当社グループは、温室効果ガス排出量を指標としており、今後、排出量の計測や削減目標を検討してまいります。
(3)多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針
当社グループが「健康で明るい社会の実現に貢献する」というミッションを実現するために、最も重要と考えているのが「人材」であります。劇的に変化する社会環境、経営環境に対応するためには、多様性のある組織であること、従業員一人ひとりが能力を高め続けられること、活躍し続けることができる環境にあることが必要であると認識しており、人材戦略として「多様性のある組織づくり」「活躍し続ける人材育成」「健康経営」の3つを掲げております。
①多様性のある組織づくり
当社グループがビジョンとして掲げている「ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ」を実現するためには、多様な人材が知恵を合わせ、イノベーションを起こし、これまでにない新たな挑戦をし続けていくことが必要であります。多様性のある組織づくりとして、ダイバーシティ&インクルージョンを経営戦略の一つに位置づけ、従業員一人ひとりが多様な違いを受け入れ、尊重することで個人の力が発揮できる機会・環境づくりに取り組んでおります。詳細につきましては、当社サイトの
(https://satudora-hd.co.jp/esg/)をご参照ください。
(女性のキャリアアップについて)
当社グループは、ライフイベントの到来等の個々の事情を踏まえ、女性のキャリア形成を支える環境整備を進めております。2024年4月より育児短時間勤務制度の利用年数を延長し、小学6年生までの子と同居し養育する従業員(日々雇用される者を除く)は、会社に申し出て1日につき所定労働時間が6時間になるまで30分単位で勤務時間を短縮することができるようにいたしました。その他短時間勤務役職者として勤務できるポストの拡充など、より利用しやすい支援制度の実現に向けて取組むことで、女性役職者比率の向上を目指しております。
(男性の育児休業について)
男性が安心して配偶者の出産時立会いや退院後の配偶者フォロー、子育てへの取組みができるよう特別休暇(育児参加休暇制度)や、男性の育児休業中の会社からの奨励金制度を設けております。これらの結果、今期は男性労働者の育児休業取得率62.5%となっております。当社グループは、今後も男性が仕事と育児を両立しやすい環境づくりに努めてまいります。
②活躍し続ける人材育成
従業員一人ひとりが、変化の激しい社会環境の中で、あらゆる変化に柔軟に対応しながら成果をあげることが必要であると考えております。それぞれのフィールドやステージで活躍し続ける人材を育成するために、社会人として必要な基礎知識から、管理職として必要な専門知識までを階層に応じて全般的に身に付ける「階層別研修」をはじめ、これからの幹部候補を育成するための「選抜研修」、保有資格やキャリアに応じた「テーマ別研修」等を設け、従業員が挑戦し続けられる制度・環境づくりに取り組んでおります。また、2025年5月に改定した人事制度では、人事ポリシーと人材マネジメントの基本方針を今一度整理し、どのような人材に報い、どのような組織文化を創っていきたいのかを明文化いたしました。その中でもフィードバック文化を確立し、フィードバックを重視した成長支援の強化をしていくことは、従業員一人ひとりの成長を加速させる重要な取り組みと位置付けています。今後も更なる人材評価・育成制度の充実を目指しております。詳細につきましては、当社サイトの
③健康経営
当社グループでは地域の健康課題の解決を目指す企業として、従業員の一人ひとりが健康でいきいきと働くことができる環境が必要不可欠と考えており、従業員の健康に積極的に取り組む「健康経営」を宣言しております。健康で笑顔あふれる従業員がお客さまにサービスを提供することで、さらなる事業の発展につながるものと考えており、そのためにグループ全社における健康の維持・増進を重要な経営課題と位置づけ、取締役を健康経営管理最高責任者(CHO)に任命しております。健康経営推進体制の構築に加え、健康管理システムを利用した健康情報管理の提供や喫煙率低下に向けた取り組み等を行っており、サツドラグループ健康白書を発行し、情報を開示しております。
これらの結果、サツドラグループ3社が「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」に認定されており、ホワイト500につきましては2年連続の認定となっております。今後もグループ全体で積極的に健康経営を推進してまいります。
詳細につきましては、当社サイトの
(https://satudora-hd.co.jp/company/healthy-management)をご参照ください。
④指標と目標
(注)役職者の定義は、管理監督者及び店長・薬局長とする。
当社グループの経営成績、財政状態及び投資者等の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、これらは、当社グループの事業等に関するリスクをすべて網羅するものではないことにご留意ください。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年5月15日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法的規制等について
①「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「薬機法」という。)」等による規制について
当社グループは「薬機法」で定義する医薬品等を販売するにあたり、その内容により、都道府県等の許可・登録・指定・免許及び届出を必要としており、医薬品販売業許可、薬局開設許可及び保険薬局指定等の許可を受けて営業しております。
2009年6月の改正薬事法施行に伴い、一般用医薬品がリスクの程度に応じて3つのグループに分類され、このうちリスクの程度が低い2つのグループについては、登録販売者の資格を有する者でも販売が可能となりました。さらに、2014年6月施行の改正薬事法による一般用医薬品のインターネット販売の解禁や、2021年8月施行の改正薬機法による一般用医薬品の販売時間規制の撤廃など、医薬品における異業種からの参入障壁が低くなっております。今後、このような販売自由化が進展した場合、その動向によっては、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。
さらに、食品の一部、たばこ、酒類等の販売についても、食品衛生法等それぞれ関係法令に基づき、所轄官公庁の許可・免許・登録等を必要としており、法令等の改正により当社グループの収益に影響を与える可能性があります。
②出店に関する規制等について
当社グループは、ドラッグストア(及び調剤薬局)の多店舗展開を行っておりますが、売場面積が1,000㎡超となる新規出店及び既存店増床を行う場合、「大規模小売店舗立地法」の規定に基づき、当該店舗の周辺地域における生活環境保持のために、都道府県又は政令指定都市が主体となって一定の審査が行われます。
したがいまして、物件の確保や上記審査の進捗状況等によりましては、新規出店又は増床計画の変更・遅延により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)医療制度の改革について
近年、各種の医療制度の改革が実施されており、今後も各種の医療制度改革の実施が予想されます。その動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)消費税等の負担増による個人消費について
当社グループは、医薬品や食料品を中心とした生活必需品の小売販売を主要事業としており、消費税率の引上げなどが実施され、個人消費が落ち込んだ場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)調剤報酬及び薬価基準の改定について
当社グループの調剤売上は、薬剤に係る収入と調剤技術に係る収入から成り立っております。
薬剤に係る収入は、健康保険法に定められた「薬価基準」という公定価格によっております。また、調剤技術に係る収入も、健康保険法に定められた調剤報酬の点数によっております。
改定される薬価基準や調剤報酬の点数等の変更内容によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)調剤薬の欠陥・調剤過誤等について
当社グループの調剤薬局におきましては、薬剤師の調剤に対する技術の向上、医薬品に対する知識の充実に積極的に取り組んでおります。また、調剤過誤を防止すべく交差鑑査体制及び服薬指導時における薬品名・用量確認など細心の注意を払って調剤業務を行っております。なお、万一に備え、調剤薬局全店舗において「薬剤師賠償責任保険」に加入しております。
しかしながら、調剤薬の欠陥・調剤過誤などにより訴訟を受けることになった場合、当社グループの社会的信用を損なうなどの理由により業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)資格者の確保について
ドラッグストア及び調剤薬局等医薬品を取り扱う店舗の運営には「薬剤師」「登録販売者」等の資格者の配置が義務付けられております。
したがいまして、これらの資格者の確保が充分にできない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)大規模災害、感染症等による影響について
地震・津波・水害・雪害等の大規模な自然災害や感染症の発生、事故等による交通の遮断が発生した場合には、店舗の休業、感染症拡大による個人消費への影響、交通網の遮断に伴う商品供給の遅延等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)商品の安全性について
近年消費者の安全・安心に対する要求が一層高まっております。お客さまの信頼を高めるため品質管理、商品管理体制を引き続き強化してまいりますが、今後、品質問題等により商品の生産、流通に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)PB(プライベートブランド)商品について
当社グループでは、PB商品の開発・販売を行っております。商品開発にあたっては、品質の管理チェック、外装・パッケージ等の表示・表現の適正について、各種関連法規・安全性・責任問題等、多角的な視点から適正化を行っております。
しかしながら、当社グループのPB商品に起因する事件・事故等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)個人情報保護について
当社グループは、ポイントカードシステムの運用に伴う顧客情報、調剤業務に伴う患者情報を保有しており、これらの情報の中には顧客又は患者個人のプライバシーに関わるものが含まれております。また、社会保障・税番号制度(マイナンバー)について、従業員等に関する特定個人情報を入手しております。
これらの情報の取り扱いについては、社内管理体制を整備し万全を期しておりますが、コンピュータシステムのトラブルによる情報流出や犯罪行為などによる情報の漏洩があった場合、顧客個人への損害賠償の発生や、当社グループの社会的信用を損なうなどの理由により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)システム障害について
当社グループは、店舗の売上管理、商品の発注業務、従業員の勤怠管理及び給与計算、会計処理及び支払業務などを通信ネットワークやコンピュータシステムを使用しオペレーションを実施しております。運営上の安全性・効率性・拡張性等を考慮し、信頼性の高い通信業者や外部のデータ・センターに業務を委託するなどの対応を行っておりますが、想定外の自然災害や事故等により設備が甚大な損害を被った場合や、コンピューターウィルスの不正侵入又は担当者の過誤によるシステム障害が発生した場合には、店舗運営や管理業務に支障をきたす等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、連結子会社である株式会社リージョナルマーケティングでは、共通ポイントサービス・各種電子決済サービスを提供しており、システムの運営管理を信頼のおける外部の専門業者へ委託して万全の体制を整えておりますが、システム障害や不正アクセスが発生した場合には、サービス利用者の経済的損失、当社グループの信用低下等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)有利子負債及び金利動向の影響について
当社グループは、出店に際しては設備投資資金の大部分を借入金によって調達しており、主な借入金の調達先は地方銀行、都市銀行などの大手金融機関であり、取引関係は安定しております。
総資産に対する期末有利子負債の比率は37.3%(2025年5月期)となっており、今後の金利動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)天候による影響について
当社グループのドラッグストア店舗は、天候状況により消費者の購買行動の影響を受けやすい商品が多く、冷夏・暖冬等の天候不順は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)固定資産の減損処理について
店舗等で収益性が低下した場合、固定資産の減損会計の適用により対象となる資産又は資産グループに対して、固定資産の減損処理が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)インバウンド需要について
反日感情の高まり、国際経済の低迷、感染症の流行等の海外情勢の変化や日本国内での大規模な自然災害等の発生は、訪日観光外国人の減少などインバウンド需要の減退に繋がり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)商品調達、価格変動について
当社グループは、取扱い商品の大半を卸業者及び一部を製造メーカーより仕入れておりますが、原材料等の価格変動や燃料価格等の上昇により仕入価格が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、一部のPB商品等については、海外の取引先から調達しており、為替変動等により仕入価格が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)投資有価証券の評価について
当社グループは国内外の株式や債券等を保有しております。その運用については内部統制に基づく社内規程に従って行い、リスクの管理に努めておりますが、株式市況の低迷や投資先の経営状況の悪化・破綻などにより、保有する有価証券の評価額が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度(2024年5月16日~2025年5月15日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、景気は緩やかに回復しております。一方で、継続する物価上昇や米国の政策動向、金融資本市場の変動等の影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが主に事業を行うドラッグストア業界におきましては、各社の積極出店や品揃え拡大により市場規模が拡大する一方で、業界の垣根を越えた競争の激化や既存企業間の出店競争、M&Aによる寡占化のほか、物価の上昇や実質賃金の減少による節約志向の高まりなど、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは2026年5月期を最終年度とする中期経営計画において「地域の生活総合グループへの進化」をテーマに、「店舗の生活総合化戦略」「地域プラットフォーム戦略」「コラボレーション戦略」の3つの成長戦略と、組織戦略に取り組み、中核事業であるリテール事業の収益基盤を強化しつつ、事業領域を「モノを売る」だけの小売から「モノ×サービス」を提供する生活サービスの領域に拡大することにより、競合他社との違いをつくりながらグループ全体の成長を目指しております。
店舗の生活総合化戦略としては、調剤併設店舗の拡大に取り組むとともに、商品カテゴリーの拡大に向けたラインロビングの一環として生鮮食品の取り扱いを進めており、今期は46店舗に導入いたしました。また、「エブリデー・セイム・ロープライス(ESLP)」を中心とする価格戦略と「サツドラ公式アプリ」を活用したデジタルマーケティングの推進を通じて、収益基盤の強化に取り組んでおります。2022年1月にリリースした同アプリは、累計100万ダウンロードを突破しており、日常のお買い物をより便利で楽しくするツールとして、来店頻度の向上や顧客接点の拡大に繋がっております。
地域プラットフォーム戦略としては、2025年5月現在、北海道共通ポイントカード「EZOCA」会員数が230万人を突破し、提携店も300社(1,100店舗)を超え、EZOCA経済圏は成長を続けております。当別町との事例では、当社3例目となる自治体還元型ポイントカード「とうべつEZOCA」を札幌圏で初導入いたしました。買い物金額の一部を町に還元する仕組みを導入することで、「官×民×地元商店街」が連携して持続可能なまちづくり支援の形に取り組んでおります。また、店舗内に当別町西当別支所を併設しているサツドラ当別太美店もオープンしております。小清水町との事例では、住民がドライバーとして自家用車を使用し地域を支える新しい地域交通サービス実証事業「KOSHiMOタクシー(こしタク)」を、官民共同で開始しており、その運用においてEZOCAのプラットフォームを活用したEZOポイント付与等を行っております。さらに、当社5例目となる、スポーツチーム還元型EZOCAとして、2025年1月30日に一般社団法人ロコ・ソラーレと共同で「ロコ・ソラーレEZOCA」を発行いたしました。
コラボレーション戦略としては、新たに日高町と包括連携協定を締結し、地域住民の健康づくりや町民サービスの向上など地域の社会的課題解決を通して、持続可能な地域に愛されるサツドラ店舗づくりを目指しております。2025年5月現在、自治体や企業等と40件以上の各種協定を締結しております。
組織戦略としては、経営戦略の実現につながる人材戦略の策定や実行の強化と、健康経営の推進にも積極的に取り組み、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」に認定されております。また、ガバナンス体制を強化し、コーポレート・ガバナンスコード全原則の適用を実施しております。
以上の結果、売上高は1,001億74百万円(前年同期比 4.9%増、46億54百万円増)、営業利益は16億75百万円(同 21.0%増、2億91百万円増)、経常利益は16億48百万円(同 23.4%増、3億12百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億67百万円(同 63.1%増、2億97百万円増)となりました。
セグメント業績などの概要は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載しております。
<リテール事業>
主に北海道内でのドミナント化を目指したドラッグストアフォーマット店舗と調剤薬局店舗のチェーン展開に加え、訪日外国人が多く訪れる観光地などでのインバウンドフォーマット店舗の運営を中心に行っております。また、調剤薬局においては、調剤専門薬局の運営に加え、ドラッグストアフォーマット店舗での調剤併設薬局も行っております。
ドラッグストアフォーマット店舗の営業面では、ESLPを中心とする価格戦略を推進することで、お客さまから支持される店舗づくりや、作業平準化による業務効率の改善を目指すとともに、生鮮食品を含めたラインロビングの強化により、商品カテゴリーの拡大を図っております。また、サツドラ公式アプリを活用したデジタルマーケティングの推進にも取り組んでおります。
当連結会計年度は、物価上昇による生活防衛意識の高まりを受け、1人あたりの買上点数は減少したものの、商品単価の上昇やビューティケアが伸長したことに加えて、店舗数が純増した結果、ドラッグストアフォーマットの売上高は前年同期を上回りました。
インバウンドフォーマットにつきましては、訪日外国人観光客の需要を取り込むことができた結果、売上高は前年同期を上回りました。また、調剤薬局につきましては、新たに開設した調剤併設薬局の増収効果などにより、売上高は前年同期を上回りました。
以上の結果、リテール事業の売上高は984億39百万円(前年同期比 4.6%増、42億97百万円増)、セグメント利益は15億32百万円(同 16.0%増、2億11百万円増)となりました。
店舗の出退店の状況につきましては、下表のとおりとなりました。
(出店状況)
<マーケティング事業>
主に北海道共通ポイントカード「EZOCA」を活用した地域マーケティング事業や決済サービス事業を行っております。当社グループの強みである北海道共通ポイントカード「EZOCA」の会員数は、2025年5月現在、230万人を超えております。決済サービス事業においては、国内キャッシュレス決済が引き続き堅調に推移いたしました。
以上の結果、マーケティング事業の売上高は19億54百万円(前年同期比 24.8%増、3億88百万円増)、セグメント利益は45百万円(同 41.9%増、13百万円増)となりました。
<その他事業>
ユーザー目線での課題解決を目指したPOSアプリケーションなどの開発・販売や当社既存事業とのシナジーや新規事業創出を目指すCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)事業などを行っております。
その他事業の売上高は2億9百万円(前年同期比 11.0%減、25百万円減)、セグメント利益は27百万円(同 133.6%増、15百万円増)となりました。
(仕入及び販売の状況)
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.リテール事業における分類別売上高は次のとおりであります。
(注)顧客に付与するポイント相当額については、「収益認識に関する会計基準」等を適用し、純額で収益を認識しております。この純額により減少する売上高については、「その他」より控除しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に際し、経営者は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、過去の実績等を勘案し合理的に判断して見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があり、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は216億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億68百万円増加いたしました。これは主に商品が1億89百万円減少したものの、売掛金が5億26百万円、未収入金が5億22百万円増加したことによるものであります。固定資産は244億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ20百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が1億53百万円、敷金及び保証金が2億21百万円減少したものの、無形固定資産が4億75百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は461億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億89百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は191億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億54百万円減少いたしました。これは主に買掛金が5億95百万円、1年内返済予定の長期借入金が7億65百万円、未払金が4億44百万円増加したものの、短期借入金が48億円減少したことによるものであります。固定負債は171億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億62百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が35億30百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は362億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億7百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は99億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億81百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が剰余金の配当により1億38百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益により7億67百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は21.2%(前連結会計年度末は20.3%)となりました。
ロ.経営成績
経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
ハ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
ニ.資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、26億69百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の獲得額は25億98百万円(前年同期は35億42百万円の獲得)となりました。これは主に減価償却費13億87百万円、仕入債務の増加額5億95百万円などの増加要因と、売上債権の増加額5億37百万円などの減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出額は16億69百万円(前年同期は19億21百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出12億77百万円、無形固定資産の取得による支出5億50百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出額は9億35百万円(前年同期は12億61百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入54億円、短期借入金の減少額47億90百万円、長期借入金の返済による支出11億3百万円、配当金の支払額1億38百万円などによるものであります。
b.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、店舗で販売するための商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主に自社店舗の建設費用及び店舗賃貸借契約に基づく差入保証金、敷金などであります。
c.資金の流動性
運転資金につきましては、自己資金を基本としており、設備投資資金につきましては、銀行借入によっております。
2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
該当事項はありません。