第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当事業年度における我が国の経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和により緩やかな回復基調で推移しております。しかしながら、国内では平成28年4月の熊本地震に加え、同年6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定や、中国をはじめとした新興国の景気減速懸念等の影響から、国内経済の先行きについては依然として不安定な状況が続いております。

 このような経済環境の中、当社が事業展開を行っているHR領域におきましては、労働需給が改善されており、有効求人倍率は着実に上昇し、失業率は緩やかな低下傾向を示しております。また求人企業の多くが属するインターネット業界は、人工知能やIoTに関連した様々なサービスが生まれており、ITエンジニアやWebデザイナーといった人材の需要は増加傾向にあります。

 上記事業環境の中で、当社成功報酬型求人メディアGreenにおきましては、従来より引き続き求人企業と求職者のマッチング効率向上のためのコンテンツの拡充、ビッグデータ解析によるレコメンド精度の向上をはじめ、登録者数の増加施策としてWebマーケティングの強化、新規登録求人企業獲得強化のための施策など、様々な取り組みを実施してまいりました。

 これらの施策の結果、当事業年度の新規登録求人企業は558社(前年同期比47.2%増)、入社人数は1,416人(前年同期比42.0%増)となりました。

 

 一方、Greenに次ぐ新規事業として、タレントマイニングサービス「TalentBase」、ビジネスパーソンのマッチングアプリ「yenta」及び組織改善プラットフォーム「wevox」を立ち上げております。これらの新規事業に係る当事業年度における業績への影響は僅少ですが、今後はユーザー獲得、サービスの品質向上のための様々な施策の導入により、さらなる収益拡大を図る方針です。

 

 以上の結果、当事業年度の売上高は1,312,624千円(前年同期比56.7%増)、営業利益は390,029千円(前年同期比313.9%増)、経常利益は376,128千円(前年同期比300.0%増)、当期純利益は252,887千円(前年同期比293.6%増)となりました。なお、当事業年度において、本社設備の増床及び建替工事により、将来使用見込みのない固定資産が明らかになったため、減損損失8,375千円を計上しております。

 売上高の内訳は、Greenによる売上高が1,309,474千円(前年同期比57.0%増)、新規事業による売上高が3,100千円(前年同期比37.8%増)、その他の売上高が50千円(前年同期比96.7%減)であります。

 なお、当社は、HR事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて、948,501千円増加し、1,263,783千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動により得られた資金は、348,081千円(前事業年度は91,530千円の収入)となりました。この主な増加要因は、税引前当期純利益367,753千円、減損損失8,375千円、未払消費税等の増加18,294千円であり、主な減少要因は、売上債権の増加26,035千円、法人税等の支払額35,767千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動により使用した資金は、24,527千円(前事業年度は3,481千円の支出)となりました。この要因は、敷金の差入による支出24,527千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動により調達した資金は、624,947千円(前事業年度は33,026千円の支出)となりました。これは、株式発行による収入によるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当社が提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

(2)受注状況

 生産実績と同様の理由により、受注状況に関する記載はしておりません。

 

(3)販売実績

 当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社はHR事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当事業年度

(自 平成27年10月1日

  至 平成28年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

Green

1,309,474

157.0

新規事業

3,100

137.8

その他

50

3.3

合計

1,312,624

156.7

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

(1)サービスの知名度向上

 当社は、テレビや新聞、雑誌、ラジオ等のマスメディア向けの広告は実施しておらず、これまで培ってきたWebマーケティングのノウハウを活用することにより、Green及び新規事業に係る登録者を獲得してまいりました。その結果としてIT・Web業界においては相応の知名度を獲得できたと考えております。

 一方でGreenやTalentBaseのターゲット市場の一つとして考えている国内人材紹介業界の市場規模は1,850億円(出典:株式会社矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査結果 2015」)と言われております。今後も上向きの景気動向に後押しされ、市場はますます拡大していくものと推測されることから、IT・Web業界を越えた幅広い業界における知名度の向上、競合企業との差別化を明確にしたブランドの確立が重要であると認識しております。

 そのためにも、これまで構築してきたWebマーケティングと並行し、費用対効果を慎重に考慮した上で、マスメディアを活用した広告宣伝及びプロモーション活動も検討してまいります。

 なお、平成28年9月に事業開始を決定した組織改善プラットフォーム「wevox」については、立上げ間もないことを考慮し、当面はGreen既存ユーザーへの宣伝を中心にサービスの知名度向上を検討してまいります。

 

(2)新規事業における収益拡大

 当社は、主力サービスであるGreenを中心に堅調に成長している一方で、Greenの収益力への依存度が高い状態にあります。長期的に成長し続ける組織であるためにも、今後複数の事業を収益化させ、発展・拡大させていくことが極めて重要だと考えております。

 Greenに次ぐ新規事業として、タレントマイニングサービス「TalentBase」、ビジネスパーソンのマッチングアプリ「yenta」及び組織改善プラットフォーム「wevox」を立上げ、収益拡大を図ってまいります。

 また、その他構想・検討している新規事業に関しましても、未来の収益の柱へと育てるべく尽力してまいりま
す。

 

(3)ビッグデータの有効活用

 当社は、創業当初から転職・採用等のHR領域に特化したノウハウや経験を有しており、かつ、それらを属人的なものではなく競争優位性の高い独自のデータとして蓄積してまいりました。このいわゆるビッグデータをさらに有効活用し、優位にかつスピーディに事業を展開していくことが重要であると考えております。

 また、継続的・安定的にデータを蓄積しつつも、今まで以上にデータの解析精度を向上させ、データを活用した新規事業の創造へと取り組んでまいります。

 

(4)組織体制の強化

 当社は、知的産業社会で価値を生み出す最大のリソースは「人」であり、その集合体としての「組織」であると考えています。そのためにも能力と意欲を兼ね揃え、かつ当社の持つ価値観や目指す方向性に強く共感する人材のみを採用することを徹底しております。またそのような優秀な人材が長期に渡ってやりがいを感じて働くことができるよう、旧態依然とした出世や役職といった考え方を撤廃し、全社員に権利と責任を付与したフラットなプロジェクト制での組織運営を行っております。
 この取り組みの徹底のため、全社員にプロとしての意識・自発的な行動・成果を求める一方、情報共有の徹底やビジネスで成果を出す上で不必要な管理やルールの排除を行っております。その結果、当社は極めて高い定着率を誇り、新卒や若い社員を育成するノウハウを保持することに成功しております。

 しかしながら、今後複数の事業のスピーディな拡大・成長を実現する上で、これまでと同様の水準を保ちながら、人材を確保していくことが当社の発展における課題であると認識しております。

 そのため、ソーシャルメディアを活用したダイレクトリクルーティングの活用や従業員からの紹介制度の強化等、多様な採用手法を用いて人材の獲得に努めるとともに、優秀な社員が定着し続けるような創意工夫をし続けてまいります。

 

(5)情報管理体制の強化

 当社の運営する事業は、膨大な個人情報を保持しております。そのため、個人情報保護に関しては重要課題と認識しており、個人情報に関する社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施やセキュリティシステムの整備を行っております。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマーク制度の認証を取得しており、引き続き、情報管理体制の強化、徹底を図ってまいります。

 

(6)グローバル市場への進出

 当社の継続的な事業拡大のためには、これまで培ってきたノウハウ、ナレッジを活用し、より大きな市場である欧米、アジアをはじめとする今後成長が期待される地域を中心とした海外に向けたサービス提供を推進することが重要だと認識しております。それに伴い平成28年より段階的ながらも、社内公用語を英語に切り替え、優秀な外国人を採用し、海外進出を意識した経営を行ってまいります。またこれらと同時に、市場調査も継続的に行っていく中で、現地法人設立や現地有力企業とのパートナーシップの構築等の検討も進めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社の経営成績及び財政状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。

 また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスクに対し発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。

 なお、本項記載の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)外部要因、競合について

①求人企業の人材採用ニーズについて

 当社は、企業の人材採用支援を主たる事業としているため、求人企業の採用ニーズに影響を受ける可能性があります。

 主要顧客であるIT・Web業界は現在も成長途上の領域であるため、当面の採用ニーズは堅調に推移するものと想定しております。また、当社はリーマンショックを契機とし、コストの変動費化を徹底することで多少の景気悪化にも左右されない経営を行っております。

 しかしながら、想定を上回る世界規模の景気悪化が起こり、求人企業の雇用水準が低迷する事態が発生した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②インターネット利用の普及について

 当社はインターネットを介してサービスを提供しております。そのため、スマートフォンやタブレット型端末等の新しいデバイスの普及により、インターネットの利用環境が引き続き整備されていくと共に、同関連市場が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えております。

 平成27年末のインターネット利用者数は、平成24年末に初めて1億人を突破して以降、1億46万人(前年比0.3%増)、人口普及率は83%(同0.2%増)となっております。(出典:総務省「平成27年通信利用動向調査」)。

 しかし、インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の順調な発展が阻害された場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③技術革新について

 当社はインターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、当該市場は技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が極めて速く、それらに基づく新機能や新サービスの導入が相次いで行われる変化の激しい市場です。

 このような急速に変化を遂げる環境の中で、当社はHR領域において前例のないビッグデータ解析や人工知能の導入、スマートフォンやタブレット型端末等の多様なデバイスへの対応など、最新技術の開発を率先して行うと共に、優秀な人材の確保に取り組んでおります。

 しかしながら、技術革新のスピード、顧客ニーズの変化、デバイスの進化等は予期せぬスピードで発展していく可能性があります。今後何らかの革新的な技術が台頭し、当社の対応が遅れた場合には、当社が現状有している技術的優位性の低下を招く可能性があります。また、そのような革新的な技術に対応するために多額のシステム開発費用が追加的に発生する可能性があります。そのような場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④競合企業について

 当社の競合企業は、既存の人材紹介会社、求人メディア等が該当します。既に競合企業が多いうえ、参入障壁も低く、新規参入企業も多い状況にあります。

 当社サービスの特徴として、急拡大を遂げるIT・Web業界において採用ニーズの高いエンジニア、Webデザイナー等の登録者が多い点が挙げられます。また、当社は、長年に渡り蓄積してきた転職活動、採用活動に関する膨大なデータを活用したビッグデータ解析等のテクノロジーを駆使することで、書類選考通過率(注)の向上を実現することにより、市場における優位性の構築を推進してまいりました。

 しかしながら、これらが競合企業との十分な差別化要因になるとは限らず、若くテクノロジーに長けた企業がHR領域に挑戦してきた場合や、当社と類似した海外の企業が日本へ本格的に進出し、当社の優位性を凌駕した場合、また膨大な転職・採用に関するデータを保有する大手人材紹介会社等が自社の社員を大幅に削減することによって、労働集約型のビジネスモデルから当社のようなテクノロジーを駆使したビジネスモデルに切り替えた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)「書類選考に通過する件数÷書類選考に応募する件数」を意味します。

 

(2)当社事業について

①Greenへの依存について

 当社の主たる収益は、Greenによる収益であります。平成28年9月期の売上高(1,312,624千円)に占めるGreenの比率は99.7%(1,309,474千円)であり、依存度は高い状況にあります。当社は、Greenへの依存度を低くするため、並行してTalentBase、yenta及びwevox等その他新規事業の拡充を進めております。

 しかしながら、新規事業の拡充が当初の計画どおりに進まず、Greenへの依存度が変わらない場合、当サービスの売上高の変動が当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②Greenの書類選考通過率について

 当社は、これまでGreenの書類選考通過率の向上に努めてきましたが、これは、当社が長年にわたり構築してきたビッグデータ解析等のテクノロジー、GreenのUI(User Interface)、UX(User Experience)の継続的な改善、その他求人企業から求職者、求職者から求人企業へのアクションを促す各種施策によるものと考えております。

 しかしながら、これらの施策が奏功せず、書類選考通過率が当社の想定を下回った場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③TalentBaseの情報の取得について

 TalentBaseは、FacebookやGitHub等のソーシャルメディア上に拡散されているデータの収集、解析、スコアリングを行い、TalentBaseの提供を通じて企業のダイレクトリクルーティングを支援しております。求人企業の要求水準に適う優秀な人材(タレント)を当社独自の人工知能が自動的に発掘し、その企業独自のタレントプール(タレントデータの集合体)を創りあげていきます。このタレントプール内の人材に対して継続的にコンタクトを取ることによって、潜在層・顕在層問わず有能な人材の獲得が可能となります。
 また、このTalentBaseのデータベースは、HR領域以外にも活用することが可能であり、今後の当社の事業展開において核となるデータベースとなる可能性があります。

 しかしながら、当該データベースを構築する上での情報源となるFacebookやGitHub等のプラットフォーム事業者の事業戦略の転換や仕様変更、利用規約の変更、並びにその動向によっては、TalentBaseの情報の取得に影響を及ぼす可能性があります。

 

④新規事業について

 当社の主な事業領域であるインターネット、テクノロジーの領域は、サービスライフサイクルの短期化が著しい状況にあります。当社は、時代の変化に適応した新規サービスを次々と生み出し続けることが継続的な成長を実現するために必須であると考え、積極的に新規事業への投資を行っております。また、新規事業の領域として、海外における事業展開も検討しております。そのため、広告宣伝やシステム投資、人件費等の追加的な支出が発生し、一時的に利益率が低下する可能性があります。また新規事業が当初の計画どおりに進捗しない場合、投資を回収できず、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤広告宣伝活動により想定通りの効果が得られない可能性について

 当社が提供するGreenやTalentBaseの基礎となるのは、求人企業及び求職者の採用実績、書類選考の通過実績等のデータです。それらのデータが蓄積されることでGreenやTalentBaseのレコメンド機能が強化され、求人企業及び求職者の書類選考通過率が高まります。求人企業及び求職者を獲得するためには、常に広告効果の検証及び予想を行ったうえで出稿先を選択し、継続的に広告宣伝活動を実施することが必要不可欠であると考えております。

 しかし、広告の効果を正確に予測することは困難であるため、当社の想定する求人企業及び求職者を獲得できない場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥入社報告に係る不正行為について

 Greenの成功報酬は、求職者が求人企業に入社した時点で売上として計上されます。当社は求人企業から報告を受けることにより入社確認を行っておりますが、入社の事実を適切に報告せず、成功報酬の支払いを免れようとする不正行為が発生する可能性があります。当社は、求人企業と求職者のデータの突き合せ、採用フローの進捗確認の徹底、不正が発覚した場合の罰則規定の強化、不正行為を防止するシステム対応、転職祝い金制度(注)を活用した求職者による入社報告の促進策等を実施することで、不正行為の防止に努めております。

 しかしながら、不正行為の方法が当社の想定を超えて悪質である場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)当社は、Greenを通じて転職に成功した求職者に対しAmazonギフト券を進呈しています。Amazonギフト券を進呈する要件の1つに入社報告があるため、転職祝い金制度には求職者の入社報告を促す効果があると考えております。

 

(3)運営体制について

①小規模組織であることについて

 当社は、期末日現在、取締役4名、監査役3名、従業員(正社員)33名で事業を運営しておりますが、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制及び業務執行体制を構築しております。

 当社は、今後の事業の成長に応じて、人材の採用・育成を行うと共に、内部管理体制及び業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適切なタイミングで実施できなかった場合、又は人材が社外に流出した場合は、内部管理体制及び業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②新卒比率の高さ及び若い社員で構成されていることについて

 当社は新卒採用を中心とした組織作りを行っております。期末日現在、従業員(正社員)33名に占める新卒採用者の割合は65%以上であり、また平均年齢は20歳代と若い年齢の社員で構成されております。

 若い社員の成長スピードの鈍化、事業運営に必要なスキルや経験を積むことが困難な状況に陥った場合は、当社役職員の経験不足が、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③人材の確保及び育成について

 当社は、継続的な事業拡大や新規事業の推進のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。

 しかしながら、当社が求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システムのリスクについて

 当社の全てのサービスはインターネットを介して提供されております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する万全の備えをしております。しかし、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、新規事業立ち上げ時の想定以上のアクセス増による一時的な負荷増大、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、当社のサービスを利用する求人企業や求職者との信頼関係に悪影響を及ぼし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制について

①一般的な法的規制について

 当社サービスを規制する主な法規制として、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等があります。

 当社はこれらの法規制に遵守したサイト運営を実施しており、今後も法令順守体制の強化や社内教育の実施等を行って参りますが、新たな法規制の制定や改正が行われ、当社が運営するサービスが新たな法規制の対象となる場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②個人情報の保護について

 当社は、ユーザーの職務経歴や応募情報等の個人情報を取得し、利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。個人情報の外部漏洩、改ざん等を防止するために個人情報の管理をサービス運営上の重要事項として捉え、個人情報を扱う際の業務フローや権限体制を明確化し、厳格な管理を徹底しております。また当社は、個人情報の保護の徹底を図るべく、平成27年8月にプライバシーマークを取得し、プライバシーマークの運用規程に従って、社内での個人情報の取扱い、管理についてルール化し、役職員の教育を行い、その徹底を図っております。

 しかしながら、外部からの不正なアクセスや当社関係者の故意又は過失によりユーザーの個人情報が流出する等の問題が発生した場合には、当社への損害賠償請求や信用の低下等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③知的財産権について

 当社が運営するサービスにおいて使用する商標、ソフトウェア、システム等については、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものではないと認識しております。今後においても、侵害を回避するため著作権等を含めた監視、管理等を当社顧問弁護士と協力して行っていく方針でありますが、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性、または新たに当社の事業分野で第三者により著作権等が成立する可能性も考えられます。そのような場合には、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定されます。そのような事態が発生する場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)その他のリスクについて

①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストックオプション(新株予約権)を発行しております。ストックオプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は132,000株であり、発行済株式総数1,292,600株の10.2%に相当しております。

 

②配当政策について

 当社は、将来の事業展開に即応できる財務体質の強化を重要課題として位置付けております。現在は成長過程にあると考えていることから、経営基盤の安定化を図るために内部留保を充実させ、新規事業の早期展開、事業拡大、事業効率化のために投資を行い、企業価値の向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。

 将来的には、各事業年度における経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果が資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における総資産は1,409,060千円となり、前事業年度末に比べ1,010,910千円増加しました。これは主に新株式の発行及び売上の増加に伴い、現金及び預金が948,501千円増加、売掛金が26,035千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債は255,699千円となり、前事業年度末に比べ119,137千円増加しました。これは主に未払法人税等が100,348千円増加、未払消費税等が18,294千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は1,153,361千円となり、前事業年度末に比べ891,772千円増加しました。これは新株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ319,442千円増加、並びに当期純利益の計上により利益剰余金が252,887千円増加したことによるものであります。

 

(3)経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は1,312,624千円となり、前事業年度に比べ475,047千円増加しました。これは主にGreenへの新規登録企業の増加に伴う初期設定売上の増加、求人企業への入社人数の増加に伴う成功報酬の増加によるものであります。

 

(売上総利益)

 当事業年度の売上原価は22,845千円となり、前事業年度に比べ6,597千円増加しました。これは主に売上高の増加に伴う、ライター原価(Greenに求人を掲載する際の企業プロフィール作成費用)及び転職インセンティブ費用(Greenを通じて転職に成功した求職者に進呈するAmazonギフト券)の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,289,779千円となりました。

 

(営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は899,749千円となり、前事業年度に比べ172,644千円増加しました。これは主にGreenに係る広告宣伝費の増加によるものであります。この結果、営業利益は390,029千円となりました。

 

(経常利益)

 当事業年度の営業外収益は36千円、営業外費用は13,937千円となり、この結果、経常利益は376,128千円となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度の法人税等合計は114,865千円となり、この結果、当期純利益は252,887千円となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

 当社の経営戦略の現状と見通しは以下の通りです。主力サービスであるGreenを成長軌道に乗せる一方、複数の新規事業を創造し、収益化させていく方針です。

 

(ⅰ)人材紹介サービスのリプレイス(注1)

 当社は、Greenを通じて、従来の人材紹介サービスのリプレイスを実現したいと考えています。日本のHR領域におけるサービスの多くは、高コスト構造に陥りやすい旧態依然とした労働集約型のビジネスモデルや、情報を囲い込むことによって価値を生み出そうとするクローズドなビジネスモデルを中心に構成されてきたと考えています。しかし、パソコン、タブレット端末、スマートフォン等の普及、ビッグデータ解析等のテクノロジーの進化、さらにはFacebookやTwitter等のソーシャルメディアやブログを中心に個人が積極的に情報を発信する情報のオープン化が進む現代においては、書店や小売、不動産業界等と同様に、HR領域においても、従来のサービスでは提供し得なかった本質的な価値を提供すること(「第一部 企業情報 第1企業の概況 3 事業の内容 (1)成功報酬型求人メディアGreen」に記載の「①成功報酬型のビジネスモデル」及び「②ビッグデータの活用」等による価値の提供)が可能になると考えています。

 

(注)1.「リプレイス(replace)」とは「置き換える・取って代わる」等を意味する言葉であり、経営戦略においては「既存の業界のサービスを新しい技術で置き換える」という意味で使用されます。

 

 当社がターゲットとするIT・Web業界は、以下の点から成長トレンドにあると考えています。

・日本のインターネット広告市場は、7,747億円(平成22年)から1兆1,594億円(平成27年)に拡大しています(注2)。また、日本及び米国の広告費(平成27年)を媒体別に見ると、日本のインターネット広告の割合は18.8%(注2)、米国のインターネット広告の割合は28.3%(注3)であり、十分な成長余地があると考えています。

・日本の一般消費者向け電子商取引(EC)の市場規模は、7兆7,880億円(平成22年)から13兆7,746億円(平成27年)に拡大しています(注4)。また日本のEC化率は4.75%であり(注4)、中国や米国と比較すると十分な成長余地があると考えています。

・平成18年から平成28年にかけて、インターネット端末への1日当たりの接触時間が109分増加しています。携帯電話及びスマートフォンへの接触時間がその伸びを牽引しています(注5)。

 

 IT・Web業界の求人動向については、平成28年9月時点で「IT/通信業」は転職求人倍率が7.00倍を超えており、近年は高水準で推移している状況にあります。また、職種別に見ても「技術系(IT/通信)」は倍率が8.00倍に迫るなど、需要が高まっています(注6)。

 

 当社は、IT・Web業界に特化した求人メディアというポジションの確立、ビッグデータ解析等のテクノロジーの更なる進化による書類選考通過率の向上等により、IT・Web業界における更なるシェアの拡大を目指します。IT業界に特化することにより、業界内の認知度・ブランド力の向上、求職者・求人企業の獲得効率の向上に繋がり、マーケットシェアが向上すれば、さらに認知度・ブランド力が向上するという好循環を実現できると考えています。

 

(注)2.電通総研メディアイノベーション研究部「2015年(平成27年)日本の広告費」

3.Strategy Analytics「US Ad Spend to Grow 3.2% in 2015 to $186.6 Billion」(平成27年1月)

4.経済産業省「平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」

5.メディア環境研究所「メディア定点調査2016」

6.株式会社インテリジェンス 転職サービス「DODA」転職求人レポート(2016年9月)

 

(ⅱ)HR新市場の創造

 当社は、これまで培ったノウハウ、経験、Greenの顧客基盤等を活用し、HR領域における新市場の創造を目指します。ビッグデータ、テクノロジーを駆使した先行者優位性を持つビジネスモデルの創造を目指します。本書提出日現在、以下の新規事業を立ち上げております。

 

「TalentBase×yenta」

 TalentBase及びyentaは、人工知能とビッグデータ解析等のテクノロジーによって、人間関係や能力、志向を理解し、ビジネス領域における「人と企業」「人と人」の新たな出会いを生み出すサービスです。TalentBaseでは「人と企業」との新たな出会いを、yentaでは「人と人」との新たな出会いを提供すべく新規事業として開始致しました。

 yentaは、TalentBaseの解析アルゴリズムを活用し、ビジネスパーソン同士の様々な目的(採用、転職、情報交換、情報収集、人脈形成、営業活動等)での出会いを実現するスマートフォンアプリです。

 yentaの利用ユーザーの情報(プロフィール、興味、関心、アクション履歴)をTalentBaseに取り込むことで、利用ユーザー同士の相性や親和性等の情報をyentaにフィードバックすることが可能です。

 

「wevox」

 wevoxは、会社への「愛着心」や「思い入れ」などのエンゲージメントや組織の現状を、本サービス上で用意している独自のサーベイを用いて定量的かつ多角的に把握し、それを元に組織を改善していくためのサービスになります。労働安全衛生法の改正により、平成27年12月より労働者数が50名以上の全事業者に義務化されたストレスチェックも、本サービスにて実施・対応することができます。

 当社は創業以来、Greenにより企業の採用支援を通じて、多くの人と企業のマッチングを実現してきました。

 しかしながら、IT業界を始めとした昨今の知識労働社会においては、採用という雇用の入り口だけでなく、人材の流動性の高まりや多様な働き方の浸透に伴い「人材の定着及び活用」こそが、将来の企業経営における極めて重要な課題になるでろうと判断し、新規事業として開始致しました。

 

(ⅲ)グローバル市場への進出

 当社は、継続的な事業拡大のためには、これまで培ったノウハウ、ナレッジを活用し、より大きな市場である欧米、アジアをはじめ今後成長が期待される地域を中心とした海外に向けたサービスを提供することが重要であると考えています。平成28年より、段階的ながらも社内公用語を英語に切り替え、優秀な外国人を採用し、海外進出を意識した経営を行います。

 

(ⅳ)組織運営

①当社の目指す組織の在り方

 当社は、優秀で意欲ある人材の採用、育成、定着が極めて重要との考えのもと、出世を前提としたピラミッド型の組織を廃止し、フラットなプロジェクト型の組織運営にすることで、意思決定のスピードを速め、変化に迅速に対応し、さらには社員一人ひとりの経営視点や参画意識を高めるよう努めています。

 かかる組織を実現すべく、当社は平成28年11月において、当社全従業員(アルバイトを除く。)に対する特定譲渡制限付株式の発行を行いました。これにより、さらに経営への参画意識を高め、従業員自ら高い意識を持ち、日々の業務にあたることを期待しています。

 詳細は「第5 経理の状況 1.財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載されているとおりであります。

 

②組織運営の方針

 当社は、成長市場における長期的な競争力として組織力を重視しています。優秀な人材を惹き付け、その人材が高いロイヤリティと共に長期に渡り活躍するのが当社の持つ魅力であると考えています。

 当社は、採用活動を会社経営の最重要事項と捉えており、個人の価値観や能力はもちろんのこと、人間性や既存メンバーとの相性なども十分に吟味した採用活動を行っております。そのため、過剰な人材採用を行うことはせず、労働生産性にこだわりを持った経営を行っております。

 また、当社は新卒採用を中心とした組織作りを行っております。学生時代の経験やスキルはもちろんのこと、価値観や人間性など全ての要素において一切の妥協を許さず、少しでも採用基準に満たない部分があれば採用を見送るという厳選した採用活動を行っております。若い社員だからこそ、高い柔軟性を持ち、最新の技術へキャッチアップするスピードが速く、大きな事業環境の変化にも即座に対応できる能力を持っており、急激な成長を遂げる可能性を秘めていると考えております。