第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

 

(1)経営方針

 当社は、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンを掲げております。全ての社員が誇りを持てる組織と事業の創造にこだわり、関わる人々がファンとして応援したくなるような魅力ある会社であり続けます。そして、日本を代表するグローバルカンパニーとして、世界中の人々から必要とされる存在を目指します。

 また、当社は「テクノロジーによって人の可能性を拡げる事業を創造していく」という想いを込めて、当社の事業領域を「People Tech Company」と再定義するとともに、「People Tech事業」に名称変更しております。

 

(2)経営戦略等

 当社の経営戦略の現状と見通しは以下の通りです。主力サービスである「Green」の成長を加速させると同時に、複数の新規事業を創造し、収益化させていく方針です。

 

 ①人材紹介サービスのリプレイス(注1)

 当社は、「Green」を通じて、従来の人材紹介サービスのリプレイスを実現したいと考えております。日本のHR領域におけるサービスの多くは、高コスト構造に陥りやすい旧態依然とした労働集約型のビジネスモデルや、情報を囲い込むことによって価値を生み出そうとするクローズドなビジネスモデルを中心に構成されてきたと考えております。しかし、パソコン、タブレット端末、スマートフォン等の普及、ビッグデータ解析等のテクノロジーの進化、さらにはFacebookやTwitter等のソーシャルメディアやブログを中心に個人が積極的に情報を発信し、情報のオープン化が進む現代においては、書店や小売、不動産業界等と同様に、HR領域においても、従来のサービスでは提供し得なかった本質的な価値を提供することが可能になると考えております。(「第一部 企業情報 第1企業の概況 3 事業の内容 (1)成功報酬型求人メディア『Green』」に記載の「①成功報酬型のビジネスモデル」及び「②ビッグデータの活用」等による価値の提供)

 

(注)1.「リプレイス(replace)」とは「置き換える・取って代わる」等を意味する言葉であり、経営戦略においては「既存の業界のサービスを新しい技術で置き換える」という意味で使用されます。

 

 ②HR新市場の創造

 当社は、これまで培ったノウハウ、経験、「Green」の顧客基盤等を活用し、HR領域における新市場の創造及びビッグデータ、テクノロジーを駆使した先行優位性を持つビジネスモデルの創造を目指します。

 

「wevox」

 「wevox」は、エンゲージメントを可視化することで組織を活性化し、人材の活用と定着化を促進するサービスです。エンゲージメントとは、組織に対する自発的な貢献意欲や、主体的に仕事に取り組んでいる心理状態を評価した指標です。あらゆる組織は、「wevox」独自のサーベイを用いる事で、重要な経営指標の一つとして注目を集めているエンゲージメントを定量的かつ多角的に把握する事が可能となります。

 また、2015年12月の労働安全衛生法の改正で労働者数が50名以上の全事業者に義務化されたストレスチェックも、本サービスで対応することができます。

 当社は創業以来、「Green」による企業の採用支援を通じて、多くの人と企業のマッチングを実現してきました。

 しかしながら、IT業界を始めとした昨今の知識産業社会においては、採用という雇用の入り口だけでなく、人材の流動性の高まりや多様な働き方の浸透に伴い「人材の定着及び活用」こそが、将来の企業経営における極めて重要な課題になるであろうと考え、「wevox」を新規事業として開始しております。今後は、唯一無二の組織改善ツールとなる事を目指し、多くの組織におけるエンゲージメントの向上に貢献してまいります。

 

「yenta」

 「yenta」は、「ビジネスを加速させる出会い」を生み出すビジネスマッチングアプリケーションです。ソーシャルメディア等の台頭で、個人が積極的に情報を発信する現代においては、ビジネスパーソンが会社組織に依存しない時代が到来していると当社は考えております。完全審査制ビジネスマッチングアプリケーションの「yenta」は、人工知能(機械学習)を駆使し、多くのビジネスマッチングを実現しております。具体的には、組織の枠を超えた横の繋がりを増やすことで、オープンイノベーション、働き方の多様化、生産性の向上などを促進しております。

 

 ③グローバル市場への進出

 当社は、継続的な事業拡大のためには、これまで培ったノウハウ、ナレッジを活用し、より大きな市場である欧米、アジアをはじめ、今後一層の成長が期待される地域を中心とした海外にサービスを提供することが重要であると考えております。今後、段階的ながらも社内公用語を日本語と英語の2言語化することで、優秀な外国人を採用し、海外進出を意識した経営を行ってまいります。

 

 ④組織運営

イ.当社の目指す組織の在り方

 当社は、優秀で意欲ある人材の採用、育成、定着が極めて重要であると考えております。従来のような出世を前提としたヒエラルキーの強いピラミッド型の組織形態では無く、フラットな組織形態でプロジェクト単位で柔軟に働ける組織運営を徹底しております。それにより、意思決定のスピードを速め、業界の変化に迅速に対応し、社員一人ひとりの経営視点や参画意識を高めるよう努めております。

 このような組織を実現するべく、当社全従業員(アルバイトを除く。)に対して特定譲渡制限付株式の発行を行っております。これにより、さらに経営への参画意識を高め、従業員自ら高い意識を持ち、日々の業務にあたることを期待しております。

 

ロ.組織運営の方針

 当社は、成長市場における長期的な競争力として、組織力を重視しております。優秀な人材を惹き付け、その人材が高いロイヤリティと共に長期に渡り活躍する事が当社の持つ魅力であり、競争力の源泉であると考えております。

 当社は、採用活動を会社経営の最重要事項と捉えており、個人の価値観や能力はもちろんのこと、人間性や既存メンバーとの相性なども十分に吟味した採用活動を行っております。そのため、過剰な人材採用を行うことはせず、労働生産性にこだわりを持った経営を行っております。

 また、当社は新卒採用を中心とした組織創りを行っております。学生時代の経験やスキルはもちろんのこと、価値観や人間性など全ての要素において一切の妥協を許しません。少しでも採用基準に満たない部分があれば、採用を見送るという厳選した採用活動を行っております。若い社員だからこそ、高い柔軟性を持ち、最新の技術をキャッチアップするスピードが速く、大きな事業環境の変化にも即座に対応できる能力を持っているため、急激な成長を遂げる可能性を秘めていると考えております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は継続的な事業拡大と企業価値向上のため、売上高及び生産性を重要指標としております。

 

(4)経営環境

 当社がターゲットとするIT・Web業界は、以下の点から成長トレンドにあると考えております。

・日本のインターネット広告市場は、7,747億円(2010年)から1兆7,589億円(2018年)に拡大しております(注2)。

・日本の一般消費者向け電子商取引(EC)の市場規模は、7兆7,880億円(2010年)から18兆円(2018年)に拡大しております(注3)。また日本のEC化率は6.22%であり(注3)、中国や米国と比較すると十分な成長余地があると考えております。

 

 IT・Web業界の求人動向については、2019年9月時点で「IT/通信業」における転職求人倍率は約8倍であり、近年は高水準で推移している状況にあります。また、職種別に見ても「技術系(IT/通信)」は倍率が約10倍であり、需要が非常に高まっております(注4)。

 

 当社は、IT・Web業界に特化した求人メディアという独自のポジションの確立、ビッグデータ解析等のテクノロジーの進化に基づく書類選考通過率の向上等により、更なるシェアの拡大を目指します。また、あらゆる業界におけるIT化の加速により、IT・Web業界と他の業界における垣根が低くなってきていると当社は考えております。今後は、IT・Web業界以外でも認知度を向上させ、求職者及び求人企業の獲得効率の向上を目指します。マーケットシェアが拡大する事で、更に認知度やブランド力が向上するという好循環が実現できると考えています。

 

(注)2.電通総研メディアイノベーション研究部「2018年(平成30年)日本の広告費」

3.経済産業省「平成30年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」

4.パーソルキャリア株式会社 転職サービス「DODA」転職求人レポート(2019年9月)

 

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

①サービスの知名度向上

 当社は、これまで培ってきたWebマーケティングのノウハウを中心として、当事業年度より段階的に動画広告を利用したマスメディア向けの広告を活用することにより、「Green」に係る登録者を獲得してまいりました。その結果としてIT・Web業界においては相応の知名度を獲得できたと考えております。

 一方で「Green」のターゲット市場の一つとして考えている国内人材紹介業界の市場規模は2,860億円(出典:株式会社矢野経済研究所「人材ビジネスの現状と展望 2018年版 」)と予測されています。今後も上向きの景気動向に後押しされ、市場はますます拡大していくものと推測されることから、IT・Web業界を超えた幅広い業界における知名度の向上、競合企業との差別化を明確にしたブランドの確立が重要であると認識しております。

 そのためにも、これまで構築してきたWebマーケティングと並行し、費用対効果を慎重に考慮したうえで、マスメディアを活用した広告宣伝及びプロモーション活動も検討してまいります。

 なお、新規事業である組織改善プラットフォーム「wevox」及び完全審査制AIビジネスマッチングアプリ「yenta」につきましても、知名度向上に向けた効果的な広告宣伝を実施する予定です。

 

②新規事業における収益拡大

 当社は、主力サービスである「Green」を中心に堅調に成長している一方で、「Green」の収益力への依存度が高い状態にあります。長期的に成長し続ける組織であるためにも、今後複数の事業を収益化させ、発展・拡大させていくことが極めて重要だと考えております。

 「Green」に次ぐ新規事業として、組織改善プラットフォーム「wevox」及び完全審査制AIビジネスマッチングアプリ「yenta」により、収益拡大を図ってまいります。

 また、その他検討している新規事業に関しましても、未来の収益の柱へと育てるべく尽力してまいります。

 

③ビッグデータの有効活用

 当社は、創業当初から転職及び採用等のHR領域に特化したノウハウや経験を有しており、かつ、それらを属人的なものではなく競争優位性の高い独自のデータとして蓄積してまいりました。このビッグデータをさらに有効活用し、優位にかつ迅速に事業を展開していくことが重要であると考えております。

 また、継続的かつ安定的にデータを蓄積しつつも、今まで以上にデータの解析精度を向上させ、新規事業の創造へと取り組んでまいります。

 

④組織体制の強化

 当社は、知識産業社会で価値を生み出す最大のリソースは「人」であり、その集合体としての「組織」であると考えております。そのためにも、能力と意欲を兼ね備え、かつ当社の持つ価値観や目指す方向性に強く共感する人材のみを採用することを徹底しております。そのような優秀な人材が長期にわたってやりがいを感じて働くことができるよう、旧態依然とした出世や役職といった概念を一切排除し、全社員に等しく権利と責任を付与したフラットなプロジェクト制での組織運営を行っております。

 この取り組みの徹底のため、全社員にプロフェッショナルとしての意識・自発的な行動・成果を求めております。そのため、情報共有を徹底し、ビジネスで成果を出すうえで不必要な管理やルールの排除を行っております。その結果、当社は極めて高い社員の定着率を誇り、新卒や若い社員を育成するノウハウを保持することに成功しております。

 しかしながら、今後複数事業の迅速な拡大・成長を実現するうえで、これまでと同様の水準を保ちながら、人材を確保していくことが当社の発展における課題であると認識しております。

 そのため、ソーシャルメディアを活用したダイレクトリクルーティングの活用や従業員からの紹介制度の強化等、多様な採用手法を用いて人材の獲得に努めるとともに、優秀な社員が定着し続けるような創意工夫をし続けてまいります。

 

⑤情報管理体制の強化

 当社の運営する事業は、膨大な個人情報を保持しております。そのため、個人情報保護に関しては重要課題と認識しており、個人情報に関する社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施やセキュリティシステムの構築を行っております。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマーク制度の認証を取得しており、引き続き、情報管理体制の強化、徹底を図ってまいります。

 

⑥グローバル市場への進出

 当社の継続的な事業拡大のためには、これまで培ってきたノウハウ、ナレッジを活用し、欧米、アジア等のより大きな市場で、今後の成長が期待される地域に向けたサービス提供を推進することが重要だと認識しております。それに伴い2016年に優秀な外国人を採用し、段階的ながらも社内コミュニケーションに英語を取り入れ、海外進出を意識した経営を行っております。また、これらと同時に、市場調査も継続的に行っていく中で、現地法人設立や現地有力企業とのパートナーシップ構築等の検討も進めてまいります。

2【事業等のリスク】

 当社の経営成績及び財政状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。

 また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスクに対し発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。

 なお、本項記載の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)外部要因、競合について

①求人企業の人材採用ニーズについて

 当社は、企業の人材採用支援を主たる事業としているため、求人企業の採用ニーズに影響を受ける可能性があります。

 主要顧客であるIT・Web業界は現在も成長途上の領域であり、IT人材の不足感は依然として高い状況にある(出展:独立行政法人情報処理推進機構「IT人材白書2017」)ため、当面の採用ニーズは堅調に推移するものと想定しております。また、当社はリーマンショックを契機とし、コストの変動費化を徹底することで多少の景気悪化にも左右されない経営を行っております。

 しかしながら、想定を上回る世界規模の景気悪化が起こり、求人企業の雇用水準が低迷する事態が発生した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②インターネット利用の普及について

 当社はインターネットを介してサービスを提供しております。そのため、スマートフォンやタブレット型端末等の新しいデバイスの普及により、インターネットの利用環境が引き続き整備されていくと共に、同関連市場が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えております。

 2012年にインターネットの利用者数は初めて1億人を突破して以降、2018年末のインターネットの人口普及率は79.8%となっております(出典:総務省「平成30年通信利用動向調査」)。

 しかし、インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の順調な発展が阻害された場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③技術革新について

 当社はインターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、当該市場は技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が極めて速く、それらに基づく新機能や新サービスの導入が相次いで行われる変化の激しい市場です。

 このような急速に変化を遂げる環境の中で、当社はHR領域において前例のないビッグデータ解析や人工知能の導入、スマートフォンやタブレット型端末等の多様なデバイスへの対応など、最新技術の開発を率先して行うと共に、優秀な人材の確保に取り組んでおります。

 しかしながら、技術革新のスピード、顧客ニーズの変化、デバイスの進化等は予期せぬスピードで発展していく可能性があります。今後何らかの革新的な技術が台頭し、当社の対応が遅れた場合には、当社が現状有している技術的優位性の低下を招く可能性があります。また、そのような革新的な技術に対応するために多額のシステム開発費用が追加的に発生する可能性があります。そのような場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④競合企業について

 当社の競合企業は、既存の人材紹介会社、求人メディア等が該当します。既に競合企業が多いうえ、参入障壁も低く、新規参入企業も多い状況にあります。

 当社サービスの特徴として、急拡大を遂げるIT・Web業界において採用ニーズの高いエンジニア、Webデザイナー等の登録者が多い点が挙げられます。また、当社は、長年に渡り蓄積してきた転職活動、採用活動に関する膨大なデータを活用したビッグデータ解析等のテクノロジーを駆使することで、書類選考通過率(注)の向上を実現することにより、市場における優位性の構築を推進してまいりました。

 しかしながら、これらが競合企業との十分な差別化要因になるとは限らず、若くテクノロジーに長けた企業がHR領域に挑戦してきた場合や、当社と類似した海外の企業が日本へ本格的に進出し、当社の優位性を凌駕した場合、また膨大な転職・採用に関するデータを保有する大手人材紹介会社等が自社の社員を大幅に削減することによって、労働集約型のビジネスモデルから当社のようなテクノロジーを駆使したビジネスモデルに切り替えた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)「書類選考に通過する件数÷書類選考に応募する件数」を意味します。

 

(2)当社事業について

①Greenへの依存について

 当社の主たる収益は、Greenによる収益であります。2019年9月期の売上高(3,229,433千円)に占めるGreenの比率は92.1%(2,973,739千円)であり、依存度は高い状況にあります。当社は、中長期的な成長を実現するため、並行してwevox及びyenta等その他新規事業の拡充を進めております。

 しかしながら、新規事業の拡充が当初の計画どおりに進まず、Greenへの依存度が変わらない場合、当サービスの売上高の変動が当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②Greenの書類選考通過率について

 当社は、これまでGreenの書類選考通過率の向上に努めてきましたが、これは、当社が長年にわたり構築してきたビッグデータ解析等のテクノロジー、GreenのUI(User Interface)、UX(User Experience)の継続的な改善、その他求人企業から求職者、求職者から求人企業へのアクションを促す各種施策によるものと考えております。

 しかしながら、これらの施策が奏功せず、書類選考通過率が当社の想定を下回った場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③新規事業について

 当社の主な事業領域であるインターネット、テクノロジーの領域は、サービスライフサイクルの短期化が著しい状況にあります。当社は、時代の変化に適応した新規サービスを次々と生み出し続けることが継続的な成長を実現するために必須であると考え、積極的に新規事業への投資を行っております。また、新規事業の領域として、海外における事業展開も検討しております。そのため、広告宣伝やシステム投資、人件費等の追加的な支出が発生し、一時的に利益率が低下する可能性があります。また新規事業が当初の計画どおりに進捗しない場合、投資を回収できず、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④広告宣伝活動により想定通りの効果が得られない可能性について

 当社が提供するGreenの基礎となるのは、求人企業及び求職者の採用実績、書類選考の通過実績等のデータです。それらのデータが蓄積されることでGreenのレコメンド機能が強化され、求人企業及び求職者の書類選考通過率が高まります。求人企業及び求職者を獲得するためには、常に広告効果の検証及び予想を行ったうえで出稿先を選択し、継続的に広告宣伝活動を実施することが必要不可欠であると考えております。

 しかし、広告の効果を正確に予測することは困難であるため、当社の想定する求人企業及び求職者を獲得できない場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤入社報告に係る不正行為について

 Greenの成功報酬は、求職者が求人企業に入社した時点で売上として計上されます。当社は求人企業から報告を受けることにより入社確認を行っておりますが、入社の事実を適切に報告せず、成功報酬の支払いを免れようとする不正行為が発生する可能性があります。当社は、求人企業と求職者のデータの突き合せ、採用フローの進捗確認の徹底、不正が発覚した場合の罰則規定の強化、不正行為を防止するシステム対応、転職祝い金制度(注)を活用した求職者による入社報告の促進策等を実施することで、不正行為の防止に努めております。

 しかしながら、不正行為の方法が当社の想定を超えて悪質である場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)当社は、Greenを通じて転職に成功した求職者に対しAmazonギフト券を進呈しています。Amazonギフト券を進呈する要件の1つに入社報告があるため、転職祝い金制度には求職者の入社報告を促す効果があると考えております。

 

(3)運営体制について

①小規模組織であることについて

 当社は、期末日現在、取締役4名、監査役3名、従業員(正社員)56名で事業を運営しておりますが、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制及び業務執行体制を構築しております。

 当社は、今後の事業の成長に応じて、人材の採用・育成を行うと共に、内部管理体制及び業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適切なタイミングで実施できなかった場合、又は人材が社外に流出した場合は、内部管理体制及び業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

②新卒比率の高さ及び若い社員で構成されていることについて

 当社は新卒採用を中心とした組織創りを行っております。期末日現在、従業員(正社員)56名に占める新卒採用者の割合は60%以上であり、また平均年齢は20歳代と若い年齢の社員で構成されております。

 若い社員の成長スピードの鈍化、事業運営に必要なスキルや経験を積むことが困難な状況に陥った場合は、当社役職員の経験不足が、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③人材の確保及び育成について

 当社は、継続的な事業拡大や新規事業の推進のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。

 しかしながら、当社が求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システムのリスクについて

 当社の全てのサービスはインターネットを介して提供されております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する万全の備えをしております。

 しかし、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、新規事業立ち上げ時の想定以上のアクセス増による一時的な負荷増大、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、当社のサービスを利用する求人企業や求職者との信頼関係に悪影響を及ぼし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制について

①一般的な法的規制について

 当社サービスを規制する主な法規制として、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等があります。

 当社はこれらの法規制に遵守したサイト運営を実施しており、今後も法令順守体制の強化や社内教育の実施等を行って参りますが、新たな法規制の制定や改正が行われ、当社が運営するサービスが新たな法規制の対象となる場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②個人情報の保護について

 当社は、ユーザーの職務経歴や応募情報等の個人情報を取得し、利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。個人情報の外部漏洩、改ざん等を防止するために個人情報の管理をサービス運営上の重要事項として捉え、個人情報を扱う際の業務フローや権限体制を明確化し、厳格な管理を徹底しております。また当社は、個人情報の保護の徹底を図るべく、2015年8月にプライバシーマークを取得し、プライバシーマークの運用規程に従って、社内での個人情報の取扱い、管理についてルール化し、役職員の教育を行い、その徹底を図っております。

 しかしながら、外部からの不正なアクセスや当社関係者の故意又は過失によりユーザーの個人情報が流出する等の問題が発生した場合には、当社への損害賠償請求や信用の低下等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③知的財産権について

 当社が運営するサービスにおいて使用する商標、ソフトウェア、システム等については、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものではないと認識しております。今後においても、侵害を回避するため著作権等を含めた監視、管理等を当社顧問弁護士と協力して行っていく方針でありますが、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性、または新たに当社の事業分野で第三者により著作権等が成立する可能性も考えられます。

 そのような場合には、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定されます。そのような事態が発生する場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6)その他のリスクについて

①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストックオプション(新株予約権)を発行しております。ストックオプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は135,000株であり、発行済株式総数13,277,600株の1.0%に相当しております。

 

②配当政策について

 当社は、将来の事業展開に即応できる財務体質の強化を重要課題として位置付けております。現在は成長過程にあると考えていることから、経営基盤の安定化を図るために内部留保を充実させ、新規事業の早期展開、事業拡大、事業効率化のために投資を行い、企業価値の向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。

 将来的には、各事業年度における経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 わが国経済は、企業業績の回復、雇用・所得環境の改善などにより、長らく景気は緩やかな回復傾向が続いておりましたが、米中貿易摩擦の深刻化、英国のEU離脱問題等の景気の先行きは不透明な状況で推移すると予想されております。
 このような経済環境の中、当社が事業展開を行っているHR領域におきましては、有効求人倍率は高水準で推移しており、人材採用の需要は活発な状況が続いております。また、求人企業の多くが属するインターネット業界は、人工知能やIoTに関する様々なサービスが生まれており、ITエンジニアやWebデザイナーといった人材の需要は増加傾向にあります。これに関連して、2018年度の人材紹介業の市場規模は、前年度比11.3%増の2,860億円と継続的に拡大が予測されています(株式会社矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査(2018年)」)。

 このような状況の中、当社は、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンの下、成功報酬型求人メディア「Green」、組織改善プラットフォーム「wevox」及び完全審査制AIビジネスマッチングアプリ「yenta」を運営してまいりました。

 当社成功報酬型求人メディア「Green」におきましては、前事業年度に引き続き、求人企業と求職者のマッチング効率向上のためのコンテンツの拡充、ビッグデータ解析によるレコメンド精度の向上をはじめ、登録者数の増加施策としてWebマーケティングの強化、求人企業管理画面の改善等、様々な取り組みを実施しております。

 これらの施策の結果、当事業年度の入社人数は3,043人(前年同期比28.2%増)と増加いたしました。

 また、Greenに次ぐ新たな事業として、「wevox」及び「yenta」の立ち上げに力を入れて取り組んでおります。

 「wevox」は、2017年5月の正式リリース以降着実に導入企業を増やし、本書発表日現在の導入企業は1,100社を超えており、幅広い業種・業界の企業にサービスの提供を行っております。組織の状態をスコアリングして可視化し、改善策を推奨することで、利用企業の組織改善を支援しております。利用企業数の拡大と共に、今後一層収益に貢献していくことが可能だと考えております。

 「yenta」については、当事業年度においては、引き続き法人向けのマネタイズプランの開発及びユーザー数向上のためのマーケティングに注力してまいります。それに伴い今後収益に貢献していくことが可能だと考えております。
 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当事業年度末における総資産は4,583,965千円となり、前事業年度末に比べ830,783千円増加しました。

 当事業年度末における負債は676,741千円となり、前事業年度末に比べ281,094千円増加しました。

 当事業年度末における純資産は3,907,223千円となり、前事業年度末に比べ549,689千円増加しました。

 

 

b.経営成績

 当事業年度の売上高は3,229,433千円(前年同期比40.0%増)、営業利益は710,663千円(前年同期比2.8%増)、経常利益は713,610千円(前年同期比8.2%増)、当期純利益は502,674千円(前年同期比8.3%増)となりました。

 売上高の内訳は、「Green」による売上高が2,973,739千円(前年同期比33.4%増)、新規事業による売上高が255,693千円(前年同期比233.5%増)であります。

 なお、当社は、People Tech事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて、640,665千円増加し、4,018,583千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動により得られた資金は、665,374千円(前事業年度は506,958千円の収入)となりました。この主な増加要因は、税引前当期純利益713,610千円、未払金の増加額249,845千円、減価償却費16,535千円であり、主な減少要因は、売上債権の増加額107,929千円、法人税等の支払額240,014千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動により支出した資金は、28,823千円(前事業年度は25,113千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産及び投資有価証券の取得による支出によるものであります

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動により得られた資金は、4,114千円(前事業年度は1,278,713千円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使に伴う株式の発行による収入があったことによるものであります

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当社が提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

②受注実績

 生産実績と同様の理由により、受注実績に関する記載はしておりません。

 

③販売実績

 当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社はPeople Tech事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当事業年度

(自 2018年10月1日

  至 2019年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

Green

2,973,739

133.4

新規事業

255,693

333.5

合計

3,229,433

140.0

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果が資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。

 

②財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における総資産は4,583,965千円となり、前事業年度末に比べ830,783千円増加しました。これは主に、現金及び預金が640,665千円増加、売掛金が107,929千円増加、特定譲渡制限付株式交付等により前払費用(長期前払費用含む)が34,330千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債は676,741千円となり、前事業年度末に比べ281,094千円増加しました。これは主に未払金が250,683千円増加、未払法人税等が8,629千円増加、未払消費税等が19,034千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は3,907,223千円となり、前事業年度末に比べ549,689千円増加しました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が502,674千円増加したことによるものであります。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は3,229,433千円となり、前事業年度に比べ923,018千円増加しました。これは主にGreenでの求人企業への入社人数の増加に伴う成功報酬の増加によるものであります。

 

(売上総利益)

 当事業年度の売上原価は57,175千円となり、前事業年度に比べ16,941千円増加しました。これは主に売上高の増加に伴う、ライター原価(Greenに求人を掲載する際の企業プロフィール作成費用)及び転職インセンティブ費用(Greenを通じて転職に成功した求職者に進呈するAmazonギフト券)の増加によるものであります。

 この結果、売上総利益は3,172,258千円となりました。

 

(営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は2,461,595千円となり、前事業年度に比べ886,697千円増加しました。これは主にGreenに係る広告宣伝費の増加によるものであります。

 この結果、営業利益は710,663千円となりました。

 

(経常利益)

 当事業年度の営業外収益は3,188千円、営業外費用は241千円となり、この結果、経常利益は713,610千円となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度の法人税等合計は210,935千円となり、この結果、当期純利益は502,674千円となりました。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

なお、2020年5月に本社移転による有形固定資産への支出を予定しております。また、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、新規事業に取り組んでまいります。これらの資金需要は、手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。

 

⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、売上高及び生産性を重要指標としております。

 この点につきまして、2019年9月期は、9期連続で増収決算を達成するとともに、一人当たり売上高も増加しております。今後も継続的な増収及び生産性向上を目指し、株主価値向上を目標とした経営施策を実施してまいります。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。