第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

  当事業年度におけるわが国経済は、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動による影響が懸念されていたものの、国内企業の収益改善、株高、消費者マインドの改善が見られるなど、景気の流れは上向き傾向となりました。一方、世界的には、米国の大統領選以降、米国経済拡大への期待感の高まりからドル高/円安が進行し、米国経済は堅調に推移しているものの、イギリスのEU離脱や中国経済の減速などによる金融不安のため、引続き景気の下振れリスクが残る先行き不透明な状況が続きました。

 また、地方財政は、総務省発表の「地方財政の状況」(平成29年3月発表)によれば、平成27年度の歳入は101兆9,175億円(前年比0.2%減)、歳出は98兆4,052億円(同0.1%減)となっており、歳入・歳出共に減少する結果となりました。これは、東日本大震災分の決算規模の減少が、通常収支分の決算規模の増加を上回ったことによって、全体の決算規模が縮小したためです。歳入においては、地方税の増加等により、通常収支分は206億円増となったものの、地方債、国庫支出金の減少等により、東日本大震災分は1,866億円減となりました。歳出においては、性質別に見ると、公債費、普通建設事業費の減少に対し、扶助費、補助費等の増加により、通常収支分は596億円増となったものの、積立金の減少等により、東日本大震災分は1,772億円減となりました。また、歳入のうち、当社の行う財源確保支援サービスに関連する財産収入は、6,475億円(同2.2%増)となりました。一方で、歳出のうち、自治体の広報印刷物の外注作成費を含む需用費は1兆6,877億円(同2.1%減)、自治体業務の外部委託(BPO)に関する委託料は5兆4,676億円(同4.2%増)となりました。

  当社を取り巻く広告業界におきましては、天災や先行き不安による国内消費の低迷、テロや世界的な保護主義の台頭などの懸念があったものの、引き続き前年実績を上回る結果となりました。経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(平成29年3月発表)によれば、平成28年のが国における広告業の売上高は6兆1,196億円(同2.3%増)となっており、7年連続の増加となっております。これは、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック、伊勢志摩サミット、インターネット広告のさらなる拡大などマーケティング活動の活発化によるものです。業務種類別では、「4媒体広告(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)」(同0.2%増)、「屋外広告」(同1.7%増)、「SP・PR・催事企画」(同0.5%増)、「インターネット広告」(同13.5%増)、「その他」(同5.4%増)が増加した一方、「交通広告」(同1.8%減)、「折込み・ダイレクトメール」(同2.4%減)、「海外広告」(同2.4%減)が減少しております。

  このような環境の中で、当社は、マーケット・シェアを高めるために、引き続き全国的に財源確保支援サービスの展開を図り、その網羅性を高めてまいりました。特に、自治体の配布する冊子を当社にて作成し、寄贈するMC(メディアクリエーション)サービスの展開に注力してまいりました。新たに契約獲得が増加した「空き家対策」に特化した媒体は、先んじて拡大させてきた子育て情報冊子に比べページ数が少なく、この影響により全体としては平均ページ数が減少しました。また、予定していた人員確保が進まず当初の計画からの人員不足が影響し、特にMCサービスの新規広告主獲得に必要な営業人員が不足したため、人件費等の減少を上回る値引き販売や機会損失が発生し、冊子数の増加はできたものの一冊子当たりの収益性の計画からの下方乖離が顕著に表れました。

  この結果、売上高は1,774,883千円(前期比11.5%増)、営業利益は23,923千円(同83.5%減)、経常利益は34,626千円(同76.4%減)、当期純利益は17,949千円(同80.6%減)となりました。

  なお、当社は、PPS事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

(2)キャッシュ・フロー

  当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動、投資活動及び財務活動によりそれぞれ76,995千円、94,064千円及び11,451千円減少したため、前事業年度末に比べ182,511千円減少し、当事業年度末には、357,519千円となりました。

  当事業年度中に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果使用した資金は、76,995千円(前期は得られた資金36,442千円)となりました。これは主に、仕入債務の増加122,255千円、税引前当期純利益38,090千円の計上があったものの、売上債権の増加86,760千円、たな卸資産の増加85,630千円、法人税等の支払66,478千円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は、94,064千円(前期は使用した資金14,048千円)となりました。これは主に、関係会社株式の取得による支出48,500千円、敷金及び保証金の差入による支出31,117千円、無形固定資産の取得による支出14,195千円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果使用した資金は、11,451千円(前期は得られた資金211,156千円)となりました。これは主に、新株予約権の発行による収入4,159千円、株式の発行による収入2,612千円があったものの、長期借入金の返済による支出17,782千円があったことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社の事業セグメントは、PPS事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。なお、BPO支援サービス、情報プラットフォームサービス及びマーケットプレイスサービスについては、「その他」にまとめて記載しております。

(1)生産実績

 当社は生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。

 

(2)仕入実績

 当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

前期比(%)

財源確保支援サービス

 

 

 

DSサービス

(千円)

1,046,872

7.1

MCサービス

(千円)

小計

(千円)

1,046,872

7.1

その他

(千円)

合計

(千円)

1,046,872

7.1

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注実績

 当社は受注生産が僅少であるため、記載を省略しております。

 

(4)販売実績

 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

前期比(%)

財源確保支援サービス

 

 

 

DSサービス

(千円)

1,369,158

△1.7

MCサービス

(千円)

357,935

89.2

小計

(千円)

1,727,093

9.2

その他

(千円)

47,789

342.2

合計

(千円)

1,774,883

11.5

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主要な販売先については、相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」ことを企業理念に掲げ、「財政難に苦しむ地方自治体向けに新たな自主財源確保を」を合言葉に、自治体の自主財源確保を支援するPPS事業を展開しております。具体的には、当社の主要サービスである財源確保支援サービスにおいて、自治体が有するホームページや広報紙等の広告枠を仕入れ、民間企業に販売するDSサービス、及び自治体が住民向けに発行する子育て情報冊子や空き家対策冊子等のデザイン・制作業務を当社が行い、自治体に寄贈するMCサービスを推進してまいりました。また、自治体との取引実績・ノウハウを背景とし、自治体と民間企業を繋ぐサービスの提供、及び自治体が抱える課題を解消し、地域の活性化を図るためのソリューション提供するBPO支援サービスも積極的に展開しております。今後も、既存サービスの逐次改善と新規サービス・事業の開発により、自治体を通じた世の中への新たな価値提供を実現し、企業価値並びに株主価値の向上を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、売上高成長率を重要な経営指標として定めるとともに、売上高の成長に伴い、中長期的に売上高営業利益率及び売上高経常利益率を向上させることを重視して経営を行っております。また、これらを支える指標として、従業員一人当たりの売上高、営業利益及び経常利益も重視しております。今後は、上場企業として企業価値及び株主価値を上げていくことも重要であるため、資本効率を測る指標として総資産経常利益率及び自己資本利益率も中長期的に向上させていきたいと考えております

 

(3)中期的な会社の経営戦略

 当社が展開するPPS事業の主要取引先である自治体においては、自主財源確保のため、広告事業の導入数が増加傾向にあり、また、広告枠を活用する媒体の種類も従前のホームページバナーや広報紙に留まらず、様々な媒体で導入されつつあります。こうした自治体の広告市場においてシェアを確保するため、当社はDSサービスにおいて、取引先自治体数の拡大と取扱う媒体種別の拡充に加えて、マッチングプラットフォーム(注)の開発によるIT化を通じた自治体媒体のマーケットプレイスにより、小規模な自治体に対しても取引の拡大を測っております。また、MCサービスにおいて、子育て情報冊子、空き家対策冊子以外の新規媒体開発加えて、アプリを初めとした多面的展開や新たな付加価値の創出を行い、競争力を高めることで、全国的に拡充を推進すること、及び収益性を向上させることが重要であると考えております。さらに、これらの財源確保支援サービスに次ぐ、新たな収益の柱となるビジネスモデルの確立も重要であると考えており、BPO支援サービスの拡大に加えて、新規メディアの開拓及び新規事業の開発に注力してまいります。また、社内ITインフラの拡充及び既存システムの改善などのIT化を推し進めるとともに、マーケティングの強化を図ることで、営業の生産性及び収益性の改善にも注力してまいります。

(注) 継続的に更新される商材データベースを元に受注を自動化するシステム。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 財源確保支援サービスにおいては、平成29年6月末現在458自治体との契約を獲得しています。しかしながら、自治体の総数が1,963(都道府県、市町村、東京都の特別区部、政令指定都市の行政区の合計数(平成29年6月末現在))に及ぶ中で、23.3%程度にとどまっており、引き続きシェアの拡大を加速化させることが課題であると考えております。また、地方創生実現のために、様々な自治体が移住定住の促進や観光に力を入れており、これまでの自治体取引のノウハウを活かすことで、これらの分野への挑戦を加速化することが重要であると考えております。既存事業にかかるシェア拡大の加速化、新事業の開発等を成し遂げるためには、以下の課題への対処が必要であると考えております。

 

①DSサービスの拡大と収益性の改善及び向上

 当社が継続的にDSサービスを収益事業として位置付けていくためには、DSサービスにおける対面市場の拡大を実現し、収益規模を押し上げつつ、その収益性を改善・向上することが重要であると考えております。

 これを実現するための施策の一つとして、小規模な自治体における広告事業の活性化を図るため、自治体と広告主を直接つなぐエリア限定の自治体広告のマッチングプラットフォーム(注)を開発・運営開始いたしました。これは、充分に広告媒体が登録され、利用者である広告主に多種多様な利用機会を提供することが重要となります。しかしながら、自治体との新規契約また自治体による媒体登録は未だ充分と言える水準にはなく、契約締結事務等の効率化や利便性をより高める等により魅力度を向上させるための対策が必要であると考えております。また、従前からのDSサービスについても中長期的な収益性の改善を実現するために、戦略的な観点を踏まえ、適切な価格で仕入れを行うことを目的とした応札価格の妥当性の検証とより一層のノウハウの蓄積と業務実態への反映といったPDCAサイクルの運用を行うことが重要であると考えております。

(注)継続的に更新される商材データベースを元に受注を自動化するシステム。

 

②MCサービスの媒体の拡大と制作体制の強化及び販売体制の改善

 現在当社のMCサービスにおける主力メディア・コンテンツは従前の「子育て情報冊子」に加え「空き家対策冊子」となっております。新しく主力となった「空き家対策冊子」は、人口の減少に起因した空き家住宅等の集積が居住環境や地域活性化を阻害している問題について、国土交通省が実施する「空き家再生等推進事業」を背景に、自治体への提案を経て当社が作成したメディア・コンテンツです。これ以外にも、国が進めている政策に関連して、防災に関するもの、介護に関するもの、婚姻に関するものなどがあり、今後MCサービスは一層広告媒体の拡大という多様性への対応が必要であると考えております。

 当社においては、このようなニーズに対応可能な制作体制の確保が課題であると同時に、自治体の予算執行の観点から同時期に作業が集中する傾向が強いため、これに柔軟に対応できる体制へ制作体制を強化することが課題であると考えております。また、同時にMCサービスの新規広告主獲得に必要な営業人員の確保も課題であると考えております。当事業年度において、当初の業績予想と大きく乖離することとなった大きな要因である人員不足を解消し、値引き販売や機会損失を可能な限り抑えることで収益性を改善していくことが重要であると考えております。

 

情報プラットフォームの双方向性・収益性の確保

 当社の情報プラットフォームサービスは地域住民向け自治体コンテンツのキュレーションサービスを基本とし、ユーザー目線で再編集することで、自治体コンテンツの横断的な検索・閲覧が可能となっています。しかしながら、情報発信と整理のみにとどまっている現状は地域住民と自治体とのコミュニケーションの確保という点では一方通行の状態でしかありません。今後、この情報プラットフォームを通じて、地域住民が具体的なアクションを同一画面上で可能とするソリューションプラットフォーム(双方向プラットフォーム)に進化させることが、同サービスの課題であると考えております。

 また、このような双方向性の確保に加えて収益性の確保も重要であると考えております。当社がこのサービスを始めて約4年経過したため、マネタイズフェーズへ転換する時期であると考えております。そのためには、コンテンツの拡充を行い、MAU(注)の増加を足がかりとしてより付加価値の高いサービスへ変化させることが課題であると考えております。

(注)会員制のWebサイトやネットサービス、スマートフォンアプリなどで、ある1か月の間に一回でも利用や活動のあった利用者の数。

 

新規事業への挑戦

 PPS事業は行政政策の変化に直接的に影響を受け、誕生・発展してきたと言えます。その中で当社が今後独自の成長を果たすためには、PPS事業のリーディングカンパニーとして、行政政策等自治体を取り巻く環境の変化への機敏な対応を軸に、自治体との取引実績、ノウハウ、営業力の有効活用、ITによる効率的な事業化への取り組み等を行い、自治体の自主財源確保に繋がる新たなサービスを開発していくことが重要であると考えております。

 

⑤優秀な人材の確保及び育成

 今後、当社が持続的に成長していくためには、組織において中核的な役割を担う人材の確保と育成が課題であると認識しております。この課題に対処するために、当社の企業理念に意志の合致した人材の採用を進めるとともに、モチベーションの向上に繋がる教育制度の構築に積極的に取り組んでまいります。

 

⑥経営管理体制の強化

 事業の成長や業容の拡大に伴い、経営管理体制のさらなる充実・強化が課題であると認識しております。現状、経営の意思決定や社内手続等が適正に行われるようガバナンスの強化に努め、コンプライアンスや適時開示体制を重視した経営管理体制の構築を行っておりますが、安定したサービスを世の中に提供し、企業価値を継続的に向上させるとともに、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように、事業規模に応じた内部統制の整備、強化、見直しや法令遵守の徹底に努めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

(1)事業内容に由来するリスク

① 業容拡大のための人員確保について

 当社は自治体との取引及び営業網の拡大に合わせ、営業員の積極的な採用を行い、組織体制の強化を図っていく方針であります。

 当社では、OJT制度による人材育成やモチベーション向上のためご近所手当(会社の近隣居住者に対する手当を支給する制度)、目標管理制度による人事考課、出産祝金、資格支援等ユニークな人事・福利厚生制度の充実を行っております。しかし、今後、安定した人材の確保が行えない場合や、当社人員計画と大幅に乖離した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② わが国の人口動態に係るリスクについて

 自治体が所有する媒体の価値は、各自治体における人口と密接に関連しております。しかしながら、わが国の合計特殊出生率は、1960年代後半以降減少傾向にあり、極めて低い水準にあります。

 今後、人口の減少に伴い、媒体の利用者が減少することになれば、当社が取扱う広告枠の価値が低下し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合について

 現在、契約する自治体数、取り扱う媒体数の観点から、当社と同規模以上にDSサービスについての事業展開をしている企業は存在しないものと認識しております。

 当社は、今後においてもPPS事業の規模拡大を背景に、サービスの拡充を図ることにより、マーケット・シェアの一層の向上を推進していく方針でありますが、大手企業の新規参入や地域ごとの同業者における事業規模拡大等により、マーケット・シェアの獲得競争が激化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 入札(商品仕入)に係るリスクについて

 当社の行うDSサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、自治体における入札により仕入れております。当社は適正な媒体価値の把握とノウハウ・営業力により、適切な応札価格(入札に応じる金額)で商品仕入を行うよう最善の努力を行っております。

 しかしながら、媒体価値の見誤り、他社の応札金額の保守的な見積等による高い金額での落札により、売上原価が上昇するリスクがあります。また、他社による高い金額の応札、自治体による最低落札価格の引上げ等外部環境の変化により、十分に商品仕入を行えなくなるリスクがあります。これにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 商品特性に固有のリスク(在庫リスク)について

 当社の行うDSサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、暦年度(4月から翌年3月)を一括の期間とし、12か月分を自治体から在庫リスクを負担する形で仕入れており、これを一定の単位に区切って広告主に販売しております。そのため、販売実績が計画から大幅に乖離した場合に、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 成長性と新規事業について

 当社の行うMCサービスは、スタートして4年が経過し、当事業年度においては前事業年度比で約89%の増収となったものの、DSサービスに比べてまだ規模は小さいものであります。また、日本の自治体数は平成29年6月現在1,963であり、未着手の自治体が多くあるものの、その数には限りがあります。現在は子育て分野がMCサービスの7割以上、空き家対策に関する分野が約2割を占めておりますが、介護関連分野、婚姻関連分野などの分野へのMCサービスの展開も行っており、今後も当面の成長性は確保できる見込みであるものの、継続的に成長を果たすためには、MCサービスの新規分野への積極的な推進や新規サービスの展開等を図っていく必要があります。

 しかしながら、事業計画の立案や実施に何らかの支障が生じ、これらが実現できない場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 業績の季節変動による影響について

 当社の四半期における業績は、第4四半期において、売上高及び営業利益が偏重する傾向にあります。

 これは、MCサービスの子育て情報冊子等の発行が4月から6月に集中する傾向にあるためであります。

 当社は、当該季節的要因を踏まえた受注計画及び制作計画を策定し、発行の増加が見込まれる時期の売上の確保に努めておりますが、何らかの事情により計画どおりの受注及び制作が行えなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

第24期事業年度(自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(千円)

336,389

369,141

421,719

647,633

1,774,883

構成比(%)

18.9

20.8

23.8

36.5

100.0

営業利益(千円)

△51,566

△30,215

△23,547

129,252

23,923

構成比(%)

△215.6

△126.3

△98.4

540.3

100.0

 

(2)法的規制に関するリスク

① PPS事業に関する法的規制について

 当社が行うPPS事業では、主に以下に掲げる法律等の規制を受けております。

a.特定商取引に関する法律

・電話勧誘販売における一定の事項に関する規制、禁止行為等の遵守が求められております。

b.不当景品類及び不当表示防止法

・商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止が求められております。

 当社は、上記法的規制の遵守を徹底しておりますが、法律に抵触する事項があった場合には、行政処分の対象となることがあり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 個人情報の漏洩リスクについて

 当社は、顧客の個人情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当いたします。個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護基本規程の整備・運用等厳重な対策を講じています。また、個人情報の適切な保護措置を講ずる体制の構築・維持の一環として、プライバシーマーク(第18860140(03)号)、及びISMS(ISO 27001:2013)の認定を受け、個人情報の適切な取扱いに努めております。

 しかしながら、万一個人情報が外部に流出した場合には、当社の社会的信用が毀損され企業イメージの低下を招くなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償請求等、不測の損害が生じる可能性もあります。

 

(3)その他のリスク

① 風評の影響について

 当社が取扱う広告枠は、全国の自治体から仕入れております。そのため、何らかのリスクが顕在化し、風評の影響等により自治体との取引を制限された場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定経営者への依存について

 当社代表取締役社長である時津孝康は当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として重要な役割を果たしております。

 当社では、同氏に過度に依存しないための組織体制として、経営組織の強化を図っておりますが、当面の間は同氏への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状況において、同氏の事業への関与が困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 小規模組織であることについて

 当社は、当事業年度末現在、取締役5名(うち社外取締役1名)、監査役3名(うち非常勤監査役2名)、従業員数116名(臨時雇用者を除く)の人員数で事業を展開しており、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制を整備しております。万一、業容拡大に応じた人員の確保が順調に進まず、役職員による業務執行に影響が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 新株予約権行使の影響について

 当社は、当社役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。

 これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在これらの新株予約権による潜在株式数は106,500株であり、潜在株式数を含む発行済株式総数1,500,700株の7.09%に相当しております。

 

⑤ 利益還元について

 当社は将来に向けた事業の拡大に向け、必要な人材の確保を行うため、また迅速な経営に備えるため、内部留保の充実が重要であると認識しており、設立以来、無配としております。しかし、株主に対する利益還元として配当を行うことも重要な経営課題であると認識しており、今後も、毎期確実に利益を計上することを目指して財務体質の強化を図り、財政状態及び経営成績を勘案しながら、配当を実施する方針であります。

 ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

 

 人材採用に関するリスクについて

 今後、当社が継続的に成長していくためには、人材の確保が重要であり、新卒採用及び中途採用のいずれも力を入れております。特に新卒採用については平成19年より継続して行っており、今後も積極的に行い、人材の確保を推進していく方針であります。また、中途採用におきましても、人材紹介の積極的な活用を行うなど注力し、質・量・時期を意識したうえで優秀な即戦力の確保も強化していく方針であります。

 しかしながら、人材に関する市況環境の変化等により人材採用が計画から大幅に乖離した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、平成29年3月21日開催の取締役会決議及び平成29年3月23日の代表取締役社長の決定に基づき、平成29年3月23日付でTrim株式会社(以下、同社)との間で、同社の第三者割当増資による株式引受契約及び同社との包括的業務提携契約を締結いたしました。この契約により、平成29年3月24日付で同社の普通株式1,000株を48,500千円(増資後の議決権の所有割合20.28%)で取得し、その結果、同社は当社の関連会社となりました。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。当該見積りに際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

① 資産

  当事業年度末における総資産合計は1,681,038千円となり、前事業年度末に比べて87,324千円増加しました。流動資産は1,550,205千円となり、前事業年度末に比べて897千円増加しました。これは主として現金及び預金が182,509千円減少した一方で、売掛金が86,760千円増加、商品及び製品が85,874千円増加、その他が12,147千円増加したことによるものであります。固定資産は130,833千円となり、前事業年度末に比べて86,427千円増加しました。これは主として投資その他の資産が76,434千円増加、無形固定資産が7,393千円増加したことによるものであります。

② 負債

  当事業年度末における負債合計は1,109,249千円となり、前事業年度末に比べて64,990千円増加しました。流動負債は1,109,249千円となり、前事業年度末に比べて73,746千円増加しました。これは主として未払法人税等が41,153千円減少した一方で、買掛金が122,255千円増加したことによるものであります。なお、長期借入金が8,756千円減少したことにより、固定負債はありません。

③ 純資産

  当事業年度末における純資産合計は571,789千円となり、前事業年度末に比べて22,333千円増加しました。これは主として当期純利益計上により利益剰余金が17,949千円増加したことによるものであります。

  以上の結果、自己資本比率は、前事業年度の34.5%から34.0%となりました。

 

(3)経営成績の分析

① 売上高及び営業利益

 DSサービスの拡大に加え、MCサービスが順調に展開した一方で、営業人員が不足したため、売上高は1,774,883千円(前期比11.5%増)となり、売上総利益は630,947千円(同10.9%増)となりました。販売費及び一般管理費は607,023千円(同43.4%増)となりました。これは、主に事業規模の拡大に伴う人件費及び教育関連費の増加によるものであります。結果として、営業利益は23,923千円(同83.5%減)となりました。

② 営業外損益及び経常利益

 営業外損益(純額)は10,702千円の利益(前事業年度は1,384千円の利益)となりました。これは、主に助成金収入が6,500千円増加、株式交付費が3,840千円減少した一方で、支払手数料が1,500千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、経常利益は34,626千円(前期比76.4%減)となりました。

③ 法人税等(法人税等調整額を含む)

 法人税等は、主に税引前当期純利益の減少等により、20,140千円(前期比63.0%減)となりました。

④ 当期純利益

 以上の結果、当期純利益は17,949千円(前期比80.6%減)となりました。これにより、1株当たり当期純利益金額は12.89円(同83.3%減)となりました。なお、当社は平成28年3月3日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行いましたが、前事業年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益金額を算定しております。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

(5)経営戦略の現状と見通し

 当社が展開するPPS事業の主要取引先である自治体においては、自主財源確保のため、広告事業の導入数及び媒体数が増加し、また、地方創生を背景とした積極的な民間ノウハウの活用が拡大するものと考えております。このような状況下、当社はDSサービスにおける取引自治体数の増加と取扱媒体の拡充によって、マーケット・シェアを高め、MCサービスにおける子育て情報冊子、空き家情報冊子に次ぐ媒体や、リリース予定のアプリも利用した多面的展開を拡大するとともに、IT化により生産性を向上し、採用のさらなる強化により人員不足を解消することで収益性の改善・向上に努めてまいります。また、BPO支援サービスにおいては、自治体による民間ノウハウの活用を背景として、移住定住促進や観光事業推進等の分野において、事業機会のさらなる開拓を狙ってまいります。

 一方で、当社が将来的に継続的な企業価値の向上を実現していくためには、短中期な視点においては、Trim社との提携を初めとした新たなメディアの開発やマーケティング投資による既存事業への付加価値創出が、中長期的な視点においては、新たな収益の柱となるビジネスモデルの開発が必須であると考えており、それらの活動に人的・経済的リソースを投下してまいります。当社は、次期を「改善と投資の年」として、さらなる成長のための転換期と位置づけております。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社の経営陣は、「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後のさらなる成長を実現するためには、厳しい環境の下で、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。

 そのために、さらなる収益基盤の強化、収益力のある新規媒体の開拓、新規事業の開発、経営管理体制の強化、及びこれらを担う優秀な人材の確保を行ってまいります。