第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」ことを企業理念に掲げ、自治体の自主財源確保を支援する3つの事業を展開しております。具体的には、広告事業においては、自治体が有するホームページや広報紙等の広告枠を仕入れ、民間企業に販売するSRサービス、及び自治体が住民向けに発行する子育て情報冊子や空き家対策冊子等のデザイン・制作業務を当社が行い、自治体に寄贈するマチレットを主としたSCサービス、メディア事業においては、自治体との取引実績・ノウハウを背景とし、自治体と民間企業を繋ぐBtoGマーケティング、及び自治体の業務改善と民間企業のマーケティングをサポートするジチタイワークスを展開してまいりました。また、新たにエネルギー事業に本格参入し、自治体の経費削減を推進しております。今後も、既存サービスの逐次改善と新規サービス・事業の開発により、自治体を通じた世の中への新たな価値提供を実現し、企業価値並びに株主価値の向上を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、売上高成長率を重要な経営指標として定めるとともに、売上高の成長に伴い、売上高営業利益率の中長期的な向上を目標に経営を行っております。また、生産性を図る指標として、従業員一人当たりの売上総利益についても経営指標としております。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

 わが国が人口減少社会という大きなパラダイムシフトに突入する中、自治体においては、税収や行政需要に極めて大きな影響があるものと言われております。自治体が、長期継続的に持続可能な形で住民サービスを提供し続けるためには、より一層の自主財源確保のための種々の活動や積極的な民間ノウハウの活用が不可欠であり、それらは今後も拡大していくものと考えております。

 このような状況下、当社が将来的に継続的な企業価値の向上を実現していくために、現在経営資源配分の適正化を進めており、広告事業におきましては、組織体制の見直しによる規模適正化・業務効率化に取り組んでおり、加えて収益性の向上を踏まえた案件獲得計画の実行を、メディア事業におきましては、行政マガジン「ジチタイワークス」の紙媒体の発行増及びweb版の展開、web・アプリを利用したサブスクリプション方式(※)のメニュー開発等、多面的展開の促進による高付加価値なサービスの拡大を、エネルギー事業におきましてはさらなる規模拡大を推進する計画であります。また、これらに加えて将来的に収益の柱となる新たな事業の開発が必要であると考えております。

※ 製品やサービス等を提供するに当たって、その数や量、回数ではなく、一定期間の利用に対して、対価を定める契約のこと。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 当社の中長期的な経営戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」に記載したとおりであり、これらを実現させるためには、以下の課題への対処が必要であると考えております。

 

①広告事業の収益性改善・向上

 当社は広告事業を「利益創出事業」と位置付け、より安定した収益事業への転換に向けて、事業規模の適正化に加えて、その収益性を改善・向上することが重要であると考えております。

 これを実現するための施策として、販売戦略とその進捗状況をより可視化できる社内ツールの作成・運用によるPDCAの高速化、営業力強化を目的とした新教育制度の推進等を行っております。また、SRサービスにおいては、中長期的な収益性の改善を実現するために、戦略的な観点を踏まえ、適切な価格で仕入れを行うことを目的とした応札価格の妥当性の検証とより一層のノウハウの蓄積と業務実態への反映といったPDCAサイクルの運用を行っております。

 また、上記に加えて、当社のSCサービスにおけるマチレットにおいては、一件当たりの収益性を向上させるための原価改善を引き続き行っていくとともに、一件ごとの利益確保をより強化した案件の獲得計画を策定、実行していくことが課題であると認識しております。これらに加え、自治体からのニーズに対応可能な制作体制の確保が課題であると同時に、自治体の予算執行の観点から同時期に作業が集中する傾向が強いため、これに柔軟に対応できる体制へ制作体制を強化することが課題であると考えており、前事業年度に引き続き課題解消に努めてまいります。

②メディア事業におけるサービスの付加価値の向上

 当社は、メディア事業を「情報の最上流」と位置付け、自治体と民間との間に存在する「情報の非対称性」の解消を牽引するメディアの制作及びサービスの提供を目指しております。そのためには、ジチタイワークスのメディア価値及びネームバリューを向上させることで、自治体と民間を繋ぐメディアとしての地位を確立させることが課題であると認識しております。

 これを実現するための施策として、時流の動きに合わせたコンテンツの制作とサービス内容の変更・改善、及びそれらに柔軟に対応できる安定した体制基盤の構築に加え、web・アプリを活用したメニュー開発等多面的な展開を進めてまいります。

 

③エネルギー事業における収益規模の拡大及び利益確保

 当社は、エネルギー事業を当面の「成長エンジン」と位置付け、取引規模の拡大と同時に収益性の安定化を目指しております。そのためには、電力仕入価格の予測の精緻化と、電力市場価格の変動にも対応できるようなリスクヘッジプランの実行が重要課題と考えております。

 

新規事業・サービスへの挑戦

 当社の行う事業は行政政策や社会的な課題の変化に直接的に影響を受け、誕生・発展してきたと言えます。その中で当社が継続して独自の成長を果たすためには、自治体に特化したサービスを提供するリーディングカンパニーとして、行政政策等自治体を取り巻く環境の変化への機敏な対応を軸に、自治体との取引実績、ノウハウ、営業力の有効活用、ITによる効率的な事業化への取り組み等を行い、自治体の自主財源確保に繋がる新たなサービスを開発していくことが重要であると考えております。

 

⑤優秀な人材の確保及び育成

 今後、当社が持続的に成長していくためには、組織において中核的な役割を担う人材の確保と育成が課題であると認識しております。この課題に対処するために、一般的なビジネスリテラシー水準の向上と、経営者候補人材の育成に繋がる教育制度や仕組みの構築に積極的に取り組んでまいります。

 

⑥経営管理体制の強化

 事業の成長や業容の拡大に伴い、経営管理体制のさらなる充実・強化が課題であると認識しております。現状、経営の意思決定や社内手続等が適正に行われるようガバナンスの強化に努め、コンプライアンスや適時開示体制を重視した経営管理体制の構築を行っておりますが、安定したサービスを世の中に提供し、企業価値を継続的に向上させるとともに、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように、事業規模に応じた内部統制の整備、強化、見直しや法令遵守の徹底に努めてまいります。

 

⑦資金繰りの改善及び財務体質の強化

 当社は、エネルギー事業の拡大により当事業年度より増加している運転資金の確保や、当座の資金需要として生じている営業保証金の差し入れによる支出に対応すべく、さらなる資金調達手段の拡大による資金手当てが重要課題であると考えております。

 資金調達手段については、現在も取引金融機関からの当座貸越契約を含む借入金で対応しているものの、その取引規模の拡大及び新規取引によりさらなる充実を図り、資金繰りの安定化に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

(1)事業内容に由来するリスク

① 広告事業

イ.競合について

 現在、契約する自治体数、取り扱う媒体数の観点から、当社と同規模以上にSRサービスについての事業展開をしている企業は存在しないものと認識しております。SCサービスにおけるマチレットについては、複数の競合企業を認識しておりますが、コンテンツの拡充による媒体価値の向上に努めることで、優位性を強固なものにしてまいります。

 一方で、大手企業の新規参入や地域ごとの同業者における事業規模拡大等により、マーケット・シェアの獲得競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.入札(商品仕入)に係るリスクについて

 当社の行うSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、自治体における入札により仕入れております。当社は適正な媒体価値の把握とノウハウ・営業力により、適切な応札価格(入札に応じる金額)で商品仕入を行うよう最善の努力を行っております。

 しかしながら、媒体価値の見誤り、他社の応札金額の保守的な見積り等による高い金額での落札により、売上原価が上昇するリスクがあります。また、他社による高い金額の応札、自治体による最低落札価格の引上げ等外部環境の変化により、十分に商品仕入を行えなくなるリスクがあります。これにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.商品特性に固有のリスク(在庫リスク)について

 当社の行うSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、暦年度(4月から翌年3月)を一括の期間とし、12か月分を自治体から在庫リスクを負担する形で仕入れており、これを一定の単位に区切って広告主に販売しております。そのため、販売実績が計画から大幅に乖離した場合に、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② メディア事業

イ.競合について

 現在、国内でBtoGマーケティング、ジチタイワークスと類似する事業を展開する競合企業が複数存在しております。当社は、これらサービスの内容拡充、web・アプリを活用した多面的な展開によって付加価値の向上に努めてまいりますが、競合企業の動向によっては当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ エネルギー事業

イ.競合について

 エネルギー事業においては、大手電力会社及び、電力小売全面自由化に伴い新たに事業参入した小売電気事業者といった競合企業が多数存在しております。当社は、広告事業において培った自治体入札ノウハウを活用するとともに、電力仕入価格の予測を元にした適正な販売価格の設定を行うことで、さらなる取引規模拡大に努めてまいりますが、大手企業の新規参入や地域ごとの同業者における事業規模拡大等により、マーケット・シェアの獲得競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.入札(電力販売)に係るリスクについて

 当社の行うGENEWATにおいて、自治体庁舎への電力販売については、主に自治体における競争入札制度により電力供給の契約権利を獲得しております。当社は精緻な電力仕入価格の予測と、その予測に応じた適正な販売価格の設定により、契約権利の落札に努めております。

 しかしながら、他社の応札金額の見誤り、競争激化による販売価格の著しい低下、及び入札制度に予期せぬ変更が生じた場合には、十分な電力販売が行えず、売上高の減少に繋がり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.経済動向及び気象の影響について

 電力販売市場は、取引電力量が景気動向及び猛暑や極寒などの気象によって左右される可能性があります。また、電力仕入価格、燃料価格の高騰や、需給バランスの観点から電力の卸市場における価格変動リスクにさらされております。これらにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)共通的なリスク

① 優秀な人材の育成について

 当社は、優秀な人材の育成によって持続的な成長を実現するために、引き続き従業員の育成制度の拡充と強化を図っていく方針であり、一般的なビジネスリテラシー水準の向上と、経営者候補人材の育成に繋がる教育制度や仕組みの構築に積極的に取り組んでまいりますが、計画と大幅に乖離した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② わが国の人口動態に係るリスクについて

 自治体における持続性のある自治体運営と行政サービス提供の担保には、各自治体における人口が密接に関連しております。しかしながら、わが国の合計特殊出生率は、1960年代後半以降減少傾向にあり、極めて低い水準にあります。

 今後、人口の減少に伴い、税収や行政需要が減少することになれば、当社が取扱うサービスの需要が低下し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 事業の成長性について

 当社の行う広告事業は、SRサービスについてはスタートして15年が経過し、現在はSCサービスも加えて安定した収益事業化を目指す段階に到達しております。メディア事業におけるジチタイワークスは、2017年12月に創刊したメディアであり、国策や時流に応じて取り扱うテーマが多岐に渡り変化することから、今後もコンテンツの拡充や、ニーズに応えたメディアの制作によって、配布先自治体、顧客企業からの継続的な需要が見込めます。エネルギー事業については、開始間もない事業であり、まだまだ獲得可能な案件が多数市場に存在しているものと見込んでいるため、当面の成長性は確保できるものと考えております。

 しかしながら、事業計画の立案や実施に何らかの支障が生じ、これらが実現できない場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 業績の季節変動による影響について

 当社の四半期における業績は、第4四半期において、売上高及び営業利益が偏重する傾向にあります。

 これは、広告事業のマチレットにおける子育て情報冊子等の発行が4月から6月に集中する傾向にあるためであります。また、当事業年度におきましては、エネルギー事業において、自治体への電力供給開始が4月に集中した影響で、例年を上回る偏重傾向となりました。

 当社は、マチレットにおける当該季節的要因を踏まえた受注計画及び制作計画を策定し、発行の増加が見込まれる時期の売上の確保に努めるほか、財務基盤を踏まえたエネルギー事業の受注計画を実行・推進しておりますが、何らかの事情によりこれらを計画どおりに行えなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

第26期事業年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(千円)

420,215

560,968

672,900

2,208,375

3,862,460

構成比(%)

10.9

14.5

17.4

57.2

100.0

営業利益又は営業損失(△)(千円)

△124,552

△100,795

△19,802

332,175

87,026

構成比(%)

 (注)営業利益の構成比については、各四半期の営業利益金額に正負の数値が混在するため記載しておりません。

 

⑤ 風評の影響について

 当社が取扱うサービスにおいて、全国の自治体との取引が多く存在しております。そのため、何らかのリスクが顕在化し、風評の影響等により自治体との取引を制限された場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 特定経営者への依存について

 当社代表取締役社長である時津孝康は当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として重要な役割を果たしております。

 当社では、同氏に過度に依存しないための組織体制として、経営組織の強化を図っておりますが、当面の間は同氏への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状況において、同氏の事業への関与が困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 小規模組織であることについて

 当社は、本書提出日現在、取締役6名(うち社外取締役3名)、監査役3名(うち非常勤監査役2名)、従業員数157名(臨時雇用者を除く)の人員数で事業を展開しており、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制を整備しております。万一、業容拡大等に応じた人員の確保・育成が順調に進まず、役職員による業務執行に影響が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 新株予約権行使の影響について

 当社は、当社役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。

 これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在これらの新株予約権による潜在株式数は242,850株であり、潜在株式数を含む発行済株式総数1,637,050株の14.8%に相当しております。

 

⑨ 利益還元について

 当社は将来に向けた事業の拡大に向け、必要な人材の確保を行うため、また迅速な経営に備えるため、内部留保の充実が重要であると認識しており、設立以来、無配としております。しかし、株主に対する利益還元として配当を行うことも重要な経営課題であると認識しており、今後も、毎期確実に利益を計上することを目指して財務体質の強化を図り、財政状態及び経営成績を勘案しながら、配当を実施する方針であります。

 ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

 

⑩ 継続企業の前提に関する事象等

 当社は、前事業年度において採用や新規事業開発等、中長期的な企業としての成長を見据えた投資等により営業損失を計上したことに加え、営業キャッシュ・フローがマイナスになりました。当事業年度においては、75,576千円の当期純利益を計上したものの、エネルギー事業における営業保証金の支払いが生じたことに伴い、営業キャッシュ・フローのマイナスが継続しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しております。しかしながら、当事業年度は当期純利益を計上しており、金融機関の支援が得られる見通しであることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

(3)法的規制に関するリスク

① 事業に関する法的規制について

 当社が行う事業では、主に以下に掲げる法律等の規制を受けております。

a.不当景品類及び不当表示防止法

・商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止が求められております。

b.電気事業法

・電気の利用者の利益の保護、かつ電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全確保及び環境の保全が求められております。

 当社は、上記法的規制の遵守を徹底しておりますが、法律に抵触する事項があった場合には、行政処分の対象となることがあり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 個人情報の漏洩リスクについて

 当社は、顧客の個人情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当いたします。個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護基本規程の整備・運用等厳重な対策を講じています。また、個人情報の適切な保護措置を講ずる体制の構築・維持の一環として、プライバシーマーク(第18860140(03)号)、及びISMS(ISO 27001:2013)の認定を受け、個人情報の適切な取扱いに努めております。

 しかしながら、万一個人情報が外部に流出した場合には、当社の社会的信用が毀損され企業イメージの低下を招くなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償請求等、不測の損害が生じる可能性もあります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益を背景に、働き方改革の進展による後押しもあり、雇用・所得環境の改善が持続したことで、引き続き緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外経済においては、米中の貿易摩擦問題や欧州における不安定な政治情勢の影響もあり、依然として先行き不透明な状況が続きました。

 また、地方財政は、総務省発表の「地方財政の状況」(2019年3月発表)によれば、2017年度の歳入は101兆3,233億円(前年比0.1%減)、歳出は97兆9,984億円(同0.1%減)となっており、歳入・歳出ともに減少する結果となりました。これは、東日本大震災分の決算規模の減少が、通常収支分の決算規模の増加を上回ったことによって、全体の決算規模が縮小したためです。歳入においては、地方税、地方債、繰入金の増加等により、通常収支分は8,730億円増となったものの、国庫支出金、繰入金の減少等により、東日本大震災分は1兆96億円減となりました。歳出においては、性質別に見ると、総務費、教育費の増加等により、通常収支分は7,400億円増となったものの、民生費、土木費の減少等により、東日本大震災分は8,830億円減となりました。また、歳入のうち、当社の行う広告事業による財源確保効果が含まれる財産収入は、6,105億円(同0.4%増)となりました。一方で、歳出のうち、自治体の広報印刷物等にかかる費用を含む需用費は1兆6,338億円(同0.8%増)、自治体業務の外部委託(BPO)に関する委託料は5兆4,993億円(同1.6%減)となりました。

 当社を取り巻く広告業界におきましては、度重なる全国各地での自然災害や、4媒体広告、SP・PR・催事企画における広告費の減少等を要因として、前年実績を下回る結果となりました。経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(2019年5月確報)によれば、2018年のわが国における広告業の売上高は5兆9,520億円(同0.8%減)となっております。

 また、電力市場におきましては、2016年4月の電力小売全面自由化以降、電気事業者全体の販売電力量に占める新電力の割合は上昇傾向で堅調に推移しており、資源エネルギー庁発表の「電力調査統計」(2019年6月発表)によれば、2018年度における割合は約14.4%(全販売電力量8,525億kWhのうち、1,226億kWh)となっております。

 このような環境の中で、当社は「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」という企業理念のもと、2017年6月期以降を「第二創業期」と捉え、さらなる成長のための施策を実施してまいりました。具体的には、広告事業における収益性回復・営業効率改善を目標として、業務の省力化や人材育成の強化を軸とした生産性の向上を実現すべく、業務改善に係る機能を新たに設置するとともに、営業進捗状況のさらなる可視化を目的としたツールの運用を開始し、より効率的な販売計画の実行と合わせて、営業人員の教育プログラムを実践し、組織として営業力の強化に努めてまいりました。また、前事業年度から参入した電力販売の推進及び新規メディアの開発も積極的に取り組んでおります。

 以上の結果、当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(財政状態)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ789,745千円増加し、2,743,990千円となりました。

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べて708,032千円増加し、2,216,310千円となりました。

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて81,712千円増加し、527,679千円となりました。

 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ロ.財政状態の分析」をご参照ください。

 

(経営成績)

 売上高は3,862,460千円(前期比70.2%増)、営業利益は87,026千円(前期は営業損失121,817千円)、経常利益は95,336千円(前期は経常損失114,043千円)、当期純利益は75,576千円(前期は当期純損失128,457千円)となりました。

 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 イ.経営成績の分析・評価」をご参照ください。

 

  セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、当社はPPS事業の単一セグメントでありましたが、経営管理体制の見直しに伴う経営資源配分の決定方法及び業績評価方法の類似性・関連性を踏まえ、事業区分及び事業活動の実態を適切に表すとともに、事業内容を明瞭に表現する目的で、当事業年度より、報告セグメントを「広告事業」、「メディア事業(※)」及び「エネルギー事業」の3区分に変更しております。

※ 当第1四半期会計期間から第3四半期会計期間までは、「マーケティング&メディア事業」と称しておりましたが、報告セグメントと事業セグメントの一本化を図る目的で「メディア事業」へ名称を変更しております。なお、サービス内容に変更はありません。

 

 a.広告事業

 広告事業におきましては、自治体から様々な媒体の広告枠を入札により仕入れ民間企業に販売するSR(SMART RESOURCE)サービス(旧DSサービス)、また、主に自治体が住民向けに発行する冊子について、当社が広告枠を募集し、自治体には冊子を無償で寄贈するマチレット(旧MCサービス)の販売網を引き続き拡大してまいりました。

 以上の結果、当事業年度における売上高は2,347,331千円(前期比6.0%増)、セグメント利益は284,006千円(前期比14.9%増)となりました。

 

 bメディア事業

 メディア事業におきましては、当社が今まで培った自治体とのリレーションを活用し、自治体と民間企業のニーズを繋ぐBtoGマーケティングの積極的な展開や、当社オリジナルのメディアとして、自治体職員の仕事につながるヒントやアイデア、事例などを紹介する冊子「ジチタイワークス」の発行を継続的に行ってまいりました。

 以上の結果、当事業年度における売上高は103,220千円(前期比116.3%増)、セグメント利益は6,216千円(前期はセグメント損失61,607千円)となりました。

 

 cエネルギー事業

 エネルギー事業におきましては、「電気もジェネリック」という新たな価値の提案により、自治体の経費削減を支援していきたいという思いのもと、電力販売事業である新サービス「GENEWAT(ジェネワット)」を本格的に始動し、新規事業のひとつの柱として、順調に販売額を拡大しております。

 以上の結果、当事業年度における売上高は1,411,907千円、セグメント利益は94,007千円となりました。

(エネルギー事業は前事業年度第4四半期会計期間より開始したため前期比較は行っておりません。)

 

② キャッシュ・フローの状況

  当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、財務活動により343,293千円増加した一方で、営業活動及び投資活動によりそれぞれ257,706千円、33,904千円減少したため、前事業年度末に比べ51,681千円増加し、当事業年度末には、483,759千円となりました。

  当事業年度中に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果使用した資金は、257,706千円(前期は使用した資金72,144千円)となりました。これは主に、税引前当期純利益93,127千円の計上、たな卸資産の減少267,334千円、仕入債務の増加355,021千円があったものの、売上債権の増加686,512千円、営業保証金の増加302,112千円があったことによるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は、33,904千円(前期は使用した資金24,620千円)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出27,910千円、投資有価証券の取得による支出4,587千円があったことによるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果得られた資金は、343,293千円(前期は得られた資金171,322千円)となりました。これは主に短期借入金の純増加200,000千円、長期借入れによる収入200,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出56,661千円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。

 

b.仕入実績

 当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2018年7月1日

至 2019年6月30日)

前期比(%)

広告

(千円)

820,094

△29.4

メディア

(千円)

エネルギー

(千円)

1,250,704

小計

(千円)

2,070,798

78.2

その他

(千円)

合計

(千円)

2,070,798

78.2

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.広告事業及びメディア事業に係る外注費については、記載を省略しております。

    3.エネルギー事業は前事業年度第4四半期会計期間より開始したため、セグメントごとの前期比較は行っておりません。

    4.「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、当事業年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。

 

 

c.受注実績

 当社は受注生産が僅少であるため、記載を省略しております。

 

d.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2018年7月1日

至 2019年6月30日)

前期比(%)

広告

(千円)

2,347,331

6.0

メディア

(千円)

103,220

116.3

エネルギー

(千円)

1,411,907

小計

(千円)

3,862,460

70.2

その他

(千円)

合計

(千円)

3,862,460

70.2

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.エネルギー事業は前事業年度第4四半期会計期間より開始したため、セグメントごとの前期比較は行っておりません。

3.主要な販売先については、相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

4.「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、当事業年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。当該見積りに際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績の分析・評価

 広告事業におけるSRサービスの収益性改善、メディア事業におけるジチタイワークスの発行回数増加、エネルギー事業における供給件数の順調な増加により、売上高は3,862,460千円(前期比70.2%増)となり、売上総利益は1,039,742千円(同36.9%増)となりました。販売費及び一般管理費は952,715千円(同8.1%増)となりました。これは、主に事業拡大に伴う人件費等の増加によるものであります。結果として、営業利益は87,026千円(前事業年度は営業損失121,817千円)となりました。

 営業外損益(純額)は8,310千円の利益(前事業年度は7,774千円の利益)となりました。これは、主に助成金収入が8,010千円増加した一方で、支払手数料が5,916千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、経常利益は95,336千円(前事業年度は経常損失114,043千円)となりました。

 法人税等は、主に税引前当期純利益の計上等により、17,551千円(前期比148.9%増)となりました。

 以上の結果、当期純利益は75,576千円(前事業年度は当期純損失128,457千円)となりました。これにより、1株当たり当期純利益は54.21円(前事業年度は1株当たり当期純損失92.14円)となりました。

 

ロ.財政状態の分析

a.資産

  当事業年度末における総資産合計は2,743,990千円となり、前事業年度末に比べて789,745千円増加しました。流動資産は2,283,709千円となり、前事業年度末に比べて468,038千円増加しました。これは主として現金及び預金が51,682千円増加、売掛金が686,512千円増加した一方で、商品及び製品が267,320千円減少したことによるものであります。固定資産は460,280千円となり、前事業年度末に比べて321,706千円増加しました。これは主として投資その他の資産が306,143千円増加したことによるものであります。

b.負債

  当事業年度末における負債合計は2,216,310千円となり、前事業年度末に比べて708,032千円増加しました。流動負債は1,979,627千円となり、前事業年度末に比べて611,355千円増加しました。これは主として買掛金が355,021千円増加、短期借入金が200,000千円増加したことによるものであります。固定負債は236,683千円となり、前事業年度末に比べて96,677千円増加しました。これは長期借入金が96,677千円増加したことによるものであります。

c.純資産

  当事業年度末における純資産合計は527,679千円となり、前事業年度末に比べて81,712千円増加しました。これは主として当期純利益計上により利益剰余金が75,576千円増加したことによるものであります。

  以上の結果、自己資本比率は、前事業年度の22.6%から18.9%となりました。

 

ハ.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した経営課題への対応、及び内部管理体制の強化を通して、リスクの低減に努めてまいります。

 

 

ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高成長率、売上高営業利益率及び従業員一人当たりの売上総利益を経営指標としております。

当事業年度の売上高成長率は70.2%(前事業年度は27.9%)、売上高営業利益率は2.3%(前事業年度は△5.4%)、従業員一人当たりの売上総利益は5,780千円(前期比21.8%増)となりました。主に広告事業における収益性の改善と、エネルギー事業の規模拡大により、各数値において前事業年度を上回る結果となりましたが、引き続きこれらの指標について、改善・向上されるよう取り組んでまいります。

 

ホ.資本の財源及び資金の流動性

a.資金需要

 当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、仕入費用及び外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 

b.財務政策

 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期借入金又は長期借入金、当座貸越契約で調達しております。なお、当事業年度末における有利子負債の残高は、短期借入金及び長期借入金の523,341千円となっております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2019年5月10日開催の取締役会決議に基づき、2019年5月15日付で株式会社みずほ銀行との間で、特別当座貸越契約を締結いたしました。

 

(1)特別当座貸越契約締結の目的

 当社は、2018年6月期(前事業年度)から、「電気もジェネリック」という新しい価値の提案を通じて自

体の経費削減を支援することを方針として、エネルギー事業(電力販売事業、サービス名称:GENEWAT

ジェネワット))に参入しており、取引規模が足元において大幅な拡大基調にあります。

 当該事業における財務面の特徴として、電力の販売による収入に対して仕入れの支出が平均的に若干程度(1か月未満)先行し、取引規模の拡大に合わせ必要運転資金の増大が見込まれます。本件当座貸越契約の締結により機動的な資金調達を可能とすることで、運転資金を確保し、財務的基盤のより一層の安定を図ることができるものと考えております。

 

(2)特別当座貸越契約の概要

①契約締結先       株式会社みずほ銀行

②極度額         5億円

③借入金利        TIBOR+スプレッド

④契約期間        2019年5月20日~2020年5月20日(1年ごとの自動更新)

⑤担保の有無       無担保・無保証

⑥資金使途        エネルギー事業に係る経常運転資金

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。