第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」ことを企業理念に掲げ、自治体の自主財源確保を支援する3つの事業を展開しております。具体的には、広告事業においては、自治体が有するホームページや広報紙等の広告枠を仕入れ、民間企業に販売するSRサービス、及び自治体が住民向けに発行する子育て情報冊子や空き家対策冊子等のデザイン・制作業務を当社が行い、自治体に寄贈するマチレットを主としたSCサービスの提供、前事業年度より本格参入したエネルギー事業においては、自治体の経費削減を推進しております。また、メディア事業においては、自治体との取引実績・ノウハウを背景とし、自治体と民間企業を繋ぐBtoGマーケティング、及び自治体の業務改善と民間企業のマーケティングをサポートするジチタイワークスを展開してまいりました。今後も、既存サービスの逐次改善と新規サービス・事業の開発により、自治体を通じた世の中への新たな価値提供を実現し、企業価値並びに株主価値の向上を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、売上高成長率を重要な経営指標として定めるとともに、売上高の成長に伴い、売上高営業利益率の中長期的な向上を目標に経営を行っております。また、生産性を図る指標として、従業員一人当たりの売上総利益についても経営指標としております。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

 今後のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴う社会経済活動の停滞による影響で、依然として先行き不透明な状態が続くことが懸念されます。当社においては、テレワークの導入や、社内における感染症対策を徹底し、従業員の安全確保及び事業への影響抑止に務めております。当事業年度の業績に与える影響は軽微であり、現時点において、今後の事業継続に支障は生じないものと見込んでおります。

 このような状況下において、当社が企業理念を体現し、さらなる企業価値の向上を実現するためには、当社の強である、創業以来、自治体を軸とした事業活動を通じて築き上げてきた「自治体リレーション」を中核に、法制度の制定・改正等を適確に捉えた「様々な分野における事業化再現性」と、自治体という事業ドメインに基づく「ビジネスの拡大展開における再現性」を発揮した既存事業の成長及び新規事業の創出が重要であると考えております。これらを推進することは、各自治体が「特徴を活かした自律的で持続的な社会」を築く支援につながり、ひいては企業理念の実現および企業価値の向上につながるものと考えております。

 そこで、当社は今回新たに、2023年6月期を最終年度とする中期経営計画「HOPE NEXT 3」を策定し、2020年8月11日に発表いたしました。同中期経営計画では、①広告事業における収益性改善・向上、②エネルギー事業のさらなる成長と利益確保、③メディア事業における自治体情報に関する最上流の立ち位置の確立を重点方針として、事業展開を推進し中長期的な成長を実現するほか、世の中へのさらなる価値提供を行っていくために、新たな事業の開発へ経営資源を投下していく予定です。具体的な定量目標は、同中期経営計画をご確認ください。なお、各事業における中期的な取り組みは次のとおりです。
 広告事業では、現在規模適正化による収益性改善施策として、受注する媒体数を減らし、同時に1媒体当たりの収益性の改善により利益を創出する施策を推し進めており、これを継続するとともに、毎年第4四半期(4~6月)に業績が偏重する傾向(年間を通じた事業活動の偏り)を中期的に緩和し、事業全体におけるコスト効率化と受注単価の向上による収益力強化を図ってまいります。

 エネルギー事業では、入札を軸とした既存の成長戦略の継続によるオーガニックな成長により、短中期的な高成長を実現するとともに、子会社の設立を行い親子間でのクリーンエネルギーへの役割分担を明確にすることでクリーンエネルギー対応コストの合理化を進めるとともに、再生可能エネルギー由来の電力の自治体への展開を強化し、ひいては日本全国の自治体へクリーンエネルギーの需要喚起を推進することで、中長期的な付加価値創出を図ってまいります。
 メディア事業では、自治体情報を最上流でキャッチできるポジションの確立を目指し、コンテンツ拡充と情報キャッチアップ力の向上により「ジチタイワークス」ブランドの価値を確固たるものにしてまいります。
 

 

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 当社の中長期的な経営戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」に記載したとおりであり、これらを実現させるためには、以下の課題への対処が必要であると考えております。

 

(優先的に対処すべき課題)

①メディア事業におけるサービスの付加価値の向上

 当社は、メディア事業を自治体に関する「情報の最上流」と位置付け、自治体と民間との間に存在する「情報の非対称性」の解消を牽引するメディアの制作及びサービスの提供を目指しております。そのためには、ジチタイワークスのブランド価値を高め、自治体と民間を繋ぐメディアとしての地位を確立させることが課題であると認識しております。

 これを実現するための施策として、さらなるコンテンツ制作体制、サービス運営体制を充実させるとともに、官民協働を支援するweb上のプラットフォームである「ジチタイワークスHA×SH」の運営推進等多面的な展開を進めてまいります。

 

②新規事業・サービスへの挑戦

 当社の行う事業は行政政策や社会的な課題の変化に直接的に影響を受け、誕生・発展してきたと言えます。その中で当社が継続して独自の成長を果たすためには、自治体に特化したサービスを提供するリーディングカンパニーとして、行政政策等自治体を取り巻く環境の変化への機敏な対応を軸に、自治体との取引実績、ノウハウ、営業力の有効活用、ITによる効率的な事業化への取り組み等を行い、自治体の自主財源確保に繋がる新たなサービスを開発していくことが重要であると考えております。

 

③優秀な人材の確保及び育成

 今後、当社が持続的に成長していくためには、組織において中核的な役割を担う人材の確保と育成が課題であると認識しております。この課題に対処するために、一般的なビジネスリテラシー水準の向上と、経営者候補人材の育成に繋がる教育制度や仕組みの構築に積極的に取り組んでまいります。

 

(その他対処すべき課題)

①広告事業の収益性改善・向上

 当社は広告事業を「利益創出事業」と位置付け、より安定した収益事業への転換に向けて、事業規模の適正化に加えて、その収益性を改善・向上することが重要であると考えております。

 これを実現するための施策として、SRサービスにおいては、中長期的な収益性の改善を実現するために、戦略的な観点を踏まえ、適切な価格で仕入れを行うことを目的とした応札価格の妥当性の検証とより一層のノウハウの蓄積と業務実態への反映といったPDCAサイクルの運用を行っております。また、SCサービスにおけるマチレットの一件当たりの収益性を向上させるため、冊子の発行が第4四半期に集中し、販売および制作活動が偏重する傾向を中期的に緩和することで、当該サービスだけでなく事業全体におけるコスト効率化と受注単価の向上に繋げることが課題であると考えております。

 

②エネルギー事業における収益規模の拡大及び利益確保

 当社は、エネルギー事業を当面の「成長エンジン」と位置付け、取引規模の拡大と同時に収益性の安定化を目指しております。そのためには、短中期的には、電力仕入価格の予測の精緻化と、電力市場価格の変動にも対応できるようなリスクヘッジプランの実行が重要課題であると考えております。中長期的には、SDGsの目標の一つであるクリーンエネルギーの普及促進という国策を背景に、子会社を設立し、親子間でクリーンエネルギーへの役割分担明確化を行いながら、再生可能エネルギー由来の電力を自治体へ展開することで、さらなる付加価値の創出を行っていくことが重要であると考えております。

 

③経営管理体制の強化

 事業の成長や業容の拡大に伴い、経営管理体制のさらなる充実・強化が課題であると認識しております。現状、経営の意思決定や社内手続等が適正に行われるようガバナンスの強化に努め、コンプライアンスや適時開示体制を重視した経営管理体制の構築を行っておりますが、安定したサービスを世の中に提供し、企業価値を継続的に向上させるとともに、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように、事業規模に応じた内部統制の整備、強化、見直しや法令遵守の徹底に努めてまいります。

 

④資金繰りの改善及び財務体質の強化

 当社は、エネルギー事業の拡大により当事業年度より増加している運転資金の確保や、当座の資金需要として生じている営業保証金の差し入れによる支出に対応すべく、エクイティ・ファイナンスとデット・ファイナンスをバランスよく組み合わせながら、これらの資金需要に対する手当てを実施していくことが重要であると考えております。

 資金調達手段については、現在も取引金融機関からの当座貸越契約を含む借入金で対応しているものの、エクイティ・ファイナンスを組み合わせることで、事業成長に伴い上昇している財務レバレッジを適切な水準で維持することにより、成長資金を確保するとともに、財務体質の強化に努めてまいります。

 

⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等

 当社は、当事業年度においては、665,005千円の当期純利益を計上したものの、エネルギー事業の拡大による運転資金の増加や、同事業の営業保証金の支払いが生じたことに伴い、営業キャッシュ・フローのマイナスが継続しており、依然として継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しております。しかしながら、前事業年度及び当事業年度は当期純利益を計上しており、金融機関の支援が得られていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

⑥ 新型コロナウイルスの事業への影響

 今後のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴う社会経済活動の停滞による影響で、依然として先行き不透明な状態が続くことが懸念されます。当社においては、テレワークの導入や、社内における感染症対策を徹底し、従業員の安全確保及び事業への影響抑止に務めており、今後の事業継続において、支障は生じないものと見込んでおります。業績に大きな影響を与えうるものとしては、電力市場価格の変動性が高いことによる売上原価の変動性がありますが、現在は新型コロナウイルスの影響を受けた社会経済活動の停滞による電力需要の減少により、市場調達価格の推移が例年より低下しているものの、その状況がいつまで続くか不透明な状況であることから、市場調達価格が上昇した場合におけるリスクヘッジを行う等、適宜対策を行ってまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

(1)事業内容に由来するリスク

① 広告事業

イ.競合について

 現在、契約する自治体数、取り扱う媒体数の観点から、当社と同規模以上にSRサービスについての事業展開をしている企業は存在しないものと認識しております。SCサービスにおけるマチレットについては、複数の競合企業を認識しておりますが、コンテンツの拡充による媒体価値の向上に努めることで、優位性を強固なものにしてまいります。

 一方で、大手企業の新規参入や地域ごとの同業者における事業規模拡大等により、マーケット・シェアの獲得競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.入札(商品仕入)に係るリスクについて

 当社の行うSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、自治体における入札により仕入れております。当社は適正な媒体価値の把握とノウハウ・営業力により、適切な応札価格(入札に応じる金額)で商品仕入を行うよう最善の努力を行っております。

 しかしながら、媒体価値の見誤り、他社の応札金額の保守的な見積り等による高い金額での落札により、売上原価が上昇するリスクがあります。また、他社による高い金額の応札、自治体による最低落札価格の引上げ等外部環境の変化により、十分に商品仕入を行えなくなるリスクがあります。これにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.商品特性に固有のリスク(在庫リスク)について

 当社の行うSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、暦年度(4月から翌年3月)を一括の期間とし、12か月分を自治体から在庫リスクを負担する形で仕入れており、これを一定の単位に区切って広告主に販売しております。そのため、販売実績が計画から大幅に乖離した場合に、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② エネルギー事業

イ.競合について

 エネルギー事業においては、大手電力会社及び、電力小売全面自由化に伴い新たに事業参入した小売電気事業者といった競合企業が多数存在しております。当社は、広告事業において培った自治体入札ノウハウを活用するとともに、電力仕入価格の予測を元にした適正な販売価格の設定を行うことで、さらなる取引規模拡大に努めてまいりますが、大手企業の新規参入や地域ごとの同業者における事業規模拡大等により、マーケット・シェアの獲得競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.入札(電力販売)に係るリスクについて

 当社の行うGENEWATにおいて、自治体庁舎への電力販売については、主に自治体における競争入札制度により電力供給の契約権利を獲得しております。当社は精緻な電力仕入価格の予測と、その予測に応じた適正な販売価格の設定により、契約権利の落札に努めております。

 しかしながら、他社の応札金額の見誤り、競争激化による販売価格の著しい低下、及び入札制度に予期せぬ変更が生じた場合には、十分な電力販売が行えず、売上高の減少に繋がり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.経済動向及び気象の影響について

 電力販売市場は、取引電力量が景気動向及び猛暑や極寒などの気象によって左右される可能性があります。また、電力仕入価格、燃料価格の高騰や、需給バランスの観点から電力の卸市場における価格変動リスクにさらされております。これらにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ メディア事業

イ.競合について

 現在、国内でBtoGマーケティング、ジチタイワークスと類似する事業を展開する競合企業が複数存在しております。当社は、これらサービスの内容拡充、web・アプリを活用した多面的な展開によって付加価値の向上に努めてまいりますが、競合企業の動向によっては当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)共通的なリスク

① 優秀な人材の育成について

 当社は、優秀な人材の育成によって持続的な成長を実現するために、引き続き従業員の育成制度の拡充と強化を図っていく方針であり、一般的なビジネスリテラシー水準の向上と、経営者候補人材の育成に繋がる教育制度や仕組みの構築に積極的に取り組んでまいりますが、計画と大幅に乖離した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② わが国の人口動態に係るリスクについて

 自治体における持続性のある自治体運営と行政サービス提供の担保には、各自治体における人口が密接に関連しております。しかしながら、わが国の合計特殊出生率は、1960年代後半以降減少傾向にあり、極めて低い水準にあります。

 今後、人口の減少に伴い、税収や行政需要が減少することになれば、当社が取扱うサービスの需要が低下し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 事業の成長性について

 当社の行う広告事業は、SRサービスについてはスタートして15年が経過し、現在はSCサービスも加えて安定した収益事業化を目指す段階に到達しております。エネルギー事業については、開始間もない事業であり、まだまだ獲得可能な案件が多数市場に存在しているものと見込んでいるため、当面の成長性は確保できるものと考えております。メディア事業におけるジチタイワークスは、2017年12月に創刊したメディアであり、国策や時流に応じて取り扱うテーマが多岐に渡り変化することから、今後もコンテンツの拡充や、ニーズに応えたメディアの制作によって、配布先自治体、顧客企業からの継続的な需要が見込めます。

 しかしながら、事業計画の立案や実施に何らかの支障が生じ、これらが実現できない場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 業績の季節変動による影響について

 当社の四半期における業績は、第4四半期において、売上高及び営業利益が偏重する傾向にあります。

 これは、広告事業のマチレットにおける子育て情報冊子等の発行が4月から6月に集中する傾向にあるためであります。また、エネルギー事業においては、新たに契約した自治体への電力供給開始が4月に集中する影響で、前事業年度同様に第4四半期に偏重しております。

 当社は、マチレットにおける当該季節的要因を踏まえた受注計画及び制作計画を策定し、発行の増加が見込まれる時期の売上の確保に努めるほか、財務基盤を踏まえたエネルギー事業の受注計画を実行・推進しておりますが、何らかの事情によりこれらを計画どおりに行えなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

第27期事業年度(自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(千円)

1,897,977

2,934,239

3,249,852

6,325,835

14,407,904

構成比(%)

13.2

20.4

22.5

43.9

100.0

営業利益又は営業損失(△)(千円)

△56,529

16,223

122,978

937,910

1,020,582

構成比(%)

 (注)営業利益の構成比については、各四半期の営業利益金額に正負の数値が混在するため記載しておりません。

⑤ 風評の影響について

 当社が取扱うサービスにおいて、全国の自治体との取引が多く存在しております。そのため、何らかのリスクが顕在化し、風評の影響等により自治体との取引を制限された場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 特定経営者への依存について

 当社代表取締役社長である時津孝康は当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として重要な役割を果たしております。

 当社では、同氏に過度に依存しないための組織体制として、経営組織の強化を図っておりますが、当面の間は同氏への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状況において、同氏の事業への関与が困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 小規模組織であることについて

 当社は、本書提出日現在、取締役5名(うち社外取締役2名)、監査役3名(うち非常勤監査役2名)、従業員数147名(臨時雇用者を除く)の人員数で事業を展開しており、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制を整備しております。万一、業容拡大等に応じた人員の確保・育成が順調に進まず、役職員による業務執行に影響が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 新株予約権行使の影響について

 当社は、当社役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。

 これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在これらの新株予約権による潜在株式数は536,800株であり、潜在株式数を含む発行済株式総数6,539,600株の8.2%に相当しております。

 

⑨ 利益還元について

 当社は将来に向けた事業の拡大に向け、必要な人材の確保を行うため、また迅速な経営に備えるため、内部留保の充実が重要であると認識しており、設立以来、無配としておりました。しかし、株主に対する利益還元として配当を行うことも重要な経営課題であると認識しており、当期の期末配当においては、2020年2月6日で創業15周年を迎えたことを記念した1株当たり15円の創業15周年記念配当を実施しております。今後も、毎期確実に利益を計上することを目指して財務体質の強化を図り、財政状態及び経営成績を勘案しながら、配当を実施する方針であります。

 ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

 

⑩ 継続企業の前提に関する事象等

 当社は、前事業年度においてエネルギー事業における営業保証金の支払いが生じたことに伴い、営業キャッシュ・フローのマイナスが継続しており、過年度より営業キャッシュ・フローのマイナスが連続したことから継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しておりました。当事業年度においても、営業キャッシュ・フローのマイナスは生じており、依然として継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しているものと認識しておりますが、当事業年度においては、当期純利益665,005千円を計上し、また、金融機関の支援も得られており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

⑪ 新型コロナウイルスの事業への影響

 今後のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴う社会経済活動の停滞による影響で、依然として先行き不透明な状態が続くことが懸念されます。当社においては、テレワークの導入や、社内における感染症対策を徹底し、従業員の安全確保及び事業への影響抑止に務めております。当事業年度の業績に与える影響は軽微であり、現時点において、今後の事業継続に支障は生じないものと見込んでおります。

 

(3)法的規制に関するリスク

① 事業に関する法的規制について

 当社が行う事業では、主に以下に掲げる法律等の規制を受けております。

a.不当景品類及び不当表示防止法

・商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止が求められております。

b.電気事業法

・電気の利用者の利益の保護、かつ電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全確保及び環境の保全が求められております。

 当社は、上記法的規制の遵守を徹底しておりますが、法律に抵触する事項があった場合には、行政処分の対象となることがあり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 個人情報の漏洩リスクについて

 当社は、顧客の個人情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当いたします。個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護基本規程の整備・運用等厳重な対策を講じています。また、個人情報の適切な保護措置を講ずる体制の構築・維持の一環として、ISMS(ISO 27001:2013)の認定を受け、個人情報の適切な取扱いに努めております。

 しかしながら、万一個人情報が外部に流出した場合には、当社の社会的信用が毀損され企業イメージの低下を招くなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償請求等、不測の損害が生じる可能性もあります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大による社会経済活動の停滞を起因として、急速な悪化が続きました。また、海外経済においても、同様の理由により、世界的な経済活動の停滞への懸念が広がり、依然として先行き不透明な状況にあります。

 このような環境の中で、当社は「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」という企業理念のもと、2017年6月期以降を「第二創業期」と捉え、継続的な企業価値の向上を実現すべく、様々な施策を行っております。具体的には、広告事業を「利益創出事業」と位置付け、収益性の向上を主眼に置き、それに伴う組織体制の見直しや規模適正化及び業務効率化への取り組みを実行しております。メディア事業におきましては、「情報の最上流」という立ち位置の確立を目指して、行政マガジン「ジチタイワークス」を主軸とした多面的展開の促進による高付加価値なサービスの拡大を、エネルギー事業におきましては、当社の「成長エンジン」としてさらなる規模拡大と収益性の安定化を推進しております。

 以上の結果、当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(財政状態)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ3,775,593千円増加し、6,519,583千円となりました。

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べて3,043,451千円増加し、5,259,762千円となりました。

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて732,141千円増加し、1,259,820千円となりました。

 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ロ.財政状態の分析」をご参照ください。

 

(経営成績)

 売上高は14,407,904千円(前期比273.0%増)、営業利益は1,020,582千円(同1,072.7%増)、経常利益は1,012,424千円(同961.9%増)、当期純利益は665,005千円(同779.9%増)となりました。

 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 イ.経営成績の分析・評価」をご参照ください。

 

  セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、当社は「広告事業」、「エネルギー事業」、「メディア事業」の3区分を報告セグメントとしておりましたが、経営管理区分を一部見直したことにより、第1四半期会計期間より「メディア事業」に含めていた一部サービスを、報告セグメントに含まれない「その他」に変更しております。

 以下の前事業年度比較については、前事業年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

 a.広告事業

 広告事業におきましては、自治体から様々な媒体の広告枠を入札により仕入れ民間企業に販売するSR(SMART RESOURCE)サービス、また、主に自治体が住民向けに発行する冊子について、当社が広告枠を募集し、自治体には冊子を無料で協働発行するマチレットを提供しており、事業規模の適正化を推進してまいりました。

 当事業年度においては、上記の事業規模の適正化に加えて、「(4)経営環境及び対処すべき課題」①に記載のとおり、広告事業の収益性改善・向上にも継続的に取り組んでまいりました。これにより、広告事業の売上高は前期比で減少しておりますが、セグメント利益については前期比で増加しており、一定の改善効果が出ているものと考えております。

 以上の結果、当事業年度における売上高は1,987,449千円(前期比15.3%減)、セグメント利益は314,176千円(同10.7%増)となりました。

 

 bエネルギー事業

 エネルギー事業におきましては、「電気もジェネリック」という新たな価値の提案により、自治体の経費削減を支援していきたいという思いのもと、電力販売事業である新サービス「GENEWAT(ジェネワット)」を推進し、順調に販売額を拡大しております。

 当事業年度におきましては、販売規模の拡大に加えて、新型コロナウイルスの影響等を受けて電力需給バランスの崩れによる電力市場卸売価格の下落が続いたことで、売上原価が減少し、セグメント利益は前事業年度を大きく上回りました。

 以上の結果、当事業年度における売上高は12,277,425千円(前期比769.6%増)、セグメント利益は1,068,656千円(同1,035.8%増)となりました。

 

 cメディア事業

 メディア事業におきましては、当社が今まで培った自治体とのリレーションを活用し、自治体と民間企業のニーズを繋ぐBtoGマーケティングの積極的な展開や、当社オリジナルのメディアとして、自治体職員の仕事に繋がるヒントやアイデア、事例などを紹介する冊子「ジチタイワークス」の発行を継続的に行っております。また、当事業年度より、自治体と民間企業をつなぐことに特化した情報流通プラットフォーム「ジチタイワークス HA×SH」をリリースいたしました。

 当事業年度におきましては、ジチタイワークスの媒体価値向上に向けた誌面リニューアルを推進し、2020年6月に発行した誌面刷新号が売上を大きく牽引いたしました。

 以上の結果、当事業年度における売上高は133,707千円(前期比30.0%増)、セグメント利益は40,100千円(同263.5%増)となりました。

 

 d.その他

 その他には、主にマチイロ・マチカゴなど他の報告セグメントに含まれないサービスを含めております。

 当事業年度における売上高は9,322千円(前期比2,308.8%増)、セグメント損失は11,643千円(前期はセグメント損失4,568千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

  当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、財務活動により1,136,237千円増加した一方で、営業活動及び投資活動によりそれぞれ118,996千円、211,143千円減少したため、前事業年度末に比べ806,097千円増加し、当事業年度末には、1,289,856千円となりました。

  当事業年度中に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果使用した資金は、118,996千円(前期は使用した資金257,706千円)となりました。これは主に、税引前当期純利益963,924千円の計上、排出クレジット償却額134,110千円の計上、投資有価証券評価損48,499千円の計上、たな卸資産の減少152,000千円、仕入債務の増加1,376,949千円、未払費用の増加95,140千円、未払消費税等の増加244,822千円があったものの、売上債権の増加2,552,025千円、前渡金の増加265,190千円、営業保証金の増加295,074千円、法人税等の支払額38,611千円があったことによるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は、211,143千円(前期は使用した資金33,904千円)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出192,009千円があったことによるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果得られた資金は、1,136,237千円(前期は得られた資金343,293千円)となりました。これは主に短期借入金の純増加233,000千円、長期借入れによる収入920,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出181,779千円があったことによるものであります。

 

 また、資本の財源及び資金の流動性については次のとおりです。

a.資金需要

 当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、仕入費用及び外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

b.財務政策

 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、主に内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期借入金又は長期借入金、当座貸越契約、社債で調達しております。当事業年度末における有利子負債の残高は、短期借入金、長期借入金及び社債の1,594,562千円となっております。

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。

 

b.仕入実績

 当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2019年7月1日

至 2020年6月30日)

前期比(%)

広告

(千円)

648,256

△21.0

エネルギー

(千円)

10,901,441

771.6

メディア

(千円)

小計

(千円)

11,549,697

457.7

その他

(千円)

合計

(千円)

11,549,697

457.7

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.広告事業及びメディア事業に係る外注費については、記載を省略しております。

    3.「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、当事業年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。

 

c.受注実績

 当社は受注生産が僅少であるため、記載を省略しております。

 

d.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2019年7月1日

至 2020年6月30日)

前期比(%)

広告

(千円)

1,987,449

△15.3

エネルギー

(千円)

12,277,425

769.6

メディア

(千円)

133,707

30.0

小計

(千円)

14,398,582

272.8

その他

(千円)

9,322

2,308.8

合計

(千円)

14,407,904

273.0

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主要な販売先については、相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

3.「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、当事業年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されています。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりです。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っています。

 なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。

(たな卸資産)

 当社のたな卸資産の評価については、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合、簿価切下げの方法によりたな卸資産の評価損を計上しております。

 将来の市場環境に重要な変動が生じた場合、たな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績の分析・評価

 広告事業におけるSRサービスの収益性改善、エネルギー事業における供給件数の順調な増加メディア事業におけるジチタイワークス誌面リニューアルによる売上高増加により、売上高は14,407,904千円(前期比273.0%増)となり、売上総利益は2,261,511千円(同117.5%増)となりました。販売費及び一般管理費は1,240,929千円(同30.3%増)となりました。これは、主に事業拡大に伴う人件費等の増加によるものであります。結果として、営業利益は1,020,582千円(同1,072.7%増)となりました。

 営業外損益(純額)は8,158千円の損失(前期は8,310千円の利益)となりました。これは、主に助成金収入が9,342千円減少、支払利息が6,232千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、経常利益は1,012,424千円(同961.9%増)となりました。

 法人税等は、主に税引前当期純利益の計上等により、298,919千円(同1,603.1%増)となりました。

 以上の結果、当期純利益は665,005千円(同779.9%増)となりました。これにより、1株当たり当期純利益は117.97円(同770.6%増)となりました。

 

ロ.財政状態の分析

a.資産

  当事業年度末における総資産合計は6,519,583千円となり、前事業年度末に比べて3,775,593千円増加しました。流動資産は5,750,315千円となり、前事業年度末に比べて3,466,605千円増加しました。これは主として現金及び預金が806,098千円増加、売掛金が2,552,025千円増加したことによるものであります。固定資産は769,267千円となり、前事業年度末に比べて308,987千円増加しました。これは主としてソフトウエアが32,446千円増加、無形固定資産のその他が41,389千円増加、敷金及び保証金が291,949千円増加したことによるものであります。

b.負債

  当事業年度末における負債合計は5,259,762千円となり、前事業年度末に比べて3,043,451千円増加しました。流動負債は4,485,152千円となり、前事業年度末に比べて2,505,524千円増加しました。これは主として買掛金が1,376,949千円増加、1年内返済予定の長期借入金が300,294千円増加、未払法人税等が269,076千円増加したことによるものであります。固定負債は774,610千円となり、前事業年度末と比べて537,927千円増加しました。これは社債が100,000千円増加、長期借入金が437,927千円増加したことによるものであります。

c.純資産

  当事業年度末における純資産合計は1,259,820千円となり、前事業年度末に比べて732,141千円増加しました。これは主として当期純利益計上により利益剰余金が665,005千円増加したことによるものであります。

  以上の結果、自己資本比率は、前事業年度の18.9%から19.1%となりました。

 

 

ハ.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した経営課題への対応、及び内部管理体制の強化を通して、リスクの低減に努めてまいります。

 

ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高成長率、売上高営業利益率及び従業員一人当たりの売上総利益を経営指標としております。

 当事業年度の売上高成長率は273.0%(前事業年度は70.2%)、売上高営業利益率は7.1%(前事業年度は2.3%)、従業員一人当たりの売上総利益は13,412千円(前事業年度比132.0%増)となりました。主に広告事業における収益性の改善と、エネルギー事業の規模拡大により、各数値において前事業年度を上回る結果となりましたが、引き続きこれらの指標について、改善・向上されるよう取り組んでまいります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。