第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」ことを企業理念に掲げ、創業以来、自治体の自主財源確保支援を主軸とした事業を展開してまいりました。近年では、自治体との強固なネットワークやノウハウを活かし、広告事業、ジチタイワークス事業に加え、企業版ふるさと納税支援事業や空き家対策関連事業など、より多角的な事業展開を進めております。

 広告事業においては、自治体が有するホームページや広報紙等の広告枠を活用したSRサービスや、子育て情報・空き家対策冊子等を当社グループがデザイン・制作し、自治体と協働で発行するマチレット等のSCサービスを提供し、財源確保と経費削減の両面から自治体を支援しております。

 ジチタイワークス事業では、自治体の業務改善や民間企業のマーケティング活動を支援するBtoGソリューションの提供や、自治体職員向け行政マガジン『ジチタイワークス』を通じて、情報提供と官民連携促進を図っております。

 また、企業版ふるさと納税支援事業では、寄附促進に向けた民間企業とのマッチングを行い、地域の魅力発信および自治体の財源確保をサポートしています。空き家対策関連事業では、自治体が抱える空き家問題の解決に向けた各種支援を展開しております。

 当社グループは今後も、自治体のさまざまな課題に寄り添いながら、既存サービスの高度化と新たなサービス開発を推進し、自治体を通じた社会価値の創出と企業価値・株主価値の持続的な向上を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは営業利益成長率及び従業員一人当たりの売上総利益を重要な経営指標として定め、それらの維持又は向上を方針としております。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

 わが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復傾向にあります。一方で、欧米の高い金利水準の継続や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気に影響を与える可能性があります。また、物価上昇、通商政策を含む欧米の政策動向、金融資本市場の変動等の影響にも十分な注意が必要な状況であり、先行きは不透明な状況が続いております。

 このような状況下において、グループ全体での事業規模の拡大を推進するとともに、事業運営におけるリスク管理体制の一層の強化を図るなどの取り組みを推進することで、グループ企業理念の実現及び企業価値の向上に努めております。

 当社は、2024年5月15日付で、当連結会計年度を初年度とする3か年の中期経営計画を策定・公表しており、適切な資源配分によるオーガニック成長の実現、堅実な投資による事業価値の創出、リスクマネジメント機能の強化、資本配分方針/財務の規律付け、攻守兼ね備えた強固なミドル層の構築に積極的に取り組んでおります。

 当連結会計年度においては上述の中期経営計画で公表した財務方針に従い、自己株式取得を実行するなど資本生産性の改善・向上と経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行に努めております。

 各事業における中期的な取り組みは次のとおりであります。

 広告事業においては、連結子会社である株式会社ジチタイアドにて、当連結会計年度においても引き続き生産性を可能な限り維持しつつ、利益創出事業として計画的な事業規模の再拡大を目指し、事業全体におけるコスト効率化と受注単価の向上に向けた取り組みを行ってまいりました。また、SCサービスにおけるマチレットの新媒体や広告以外の新サービス開発にも積極的に取り組んでおります。2026年3月期以降においては、引き続き1人当たりの生産性の維持・向上に努め、利益創出事業として安定成長を目指してまいります。

 ジチタイワークス事業においては、官民連携に対する需要が大きく、市場の開拓余地は十分に存在することから、連結子会社である株式会社ジチタイワークスにおいて、自治体ビジネスのニーズの顕在化に対応していくことで、サービス提供機会を増やすことを目指しております。併せて、行政マガジン『ジチタイワークス』のブランド力を強化することで、BtoGソリューション等の拡大による収益の追求、また多面的展開の促進による高付加価値なサービスの拡大に繋げております。

 その先に、当社グループを中心とした自治体情報の循環によるさらなる官民連携の促進、また、自治体情報データベースを活用した、事業の強化・支援・創造が可能になると考えております。これを実現するための施策として、引き続き、公務員個人の領域でマーケットを拡大し、事業を展開するとともに、さらなるコンテンツ制作体制の充実と、BtoGソリューションの推進、官民協働を支援するweb上のプラットフォームである「ジチタイワークス民間サービス比較」(旧 「ジチタイワークスHA×SH(ハッシュ)」)の運営推進等多面的な展開を進め、公務員プラットフォーム構想(注)の実現を目指してまいります。

 また、当社は、株式会社地方創生テクノロジーラボ(以下「地方創生テクノロジーラボ」)を連結子会社化しました。

 同社は、自治体市場において、民間企業による実証実験の段階から事業化、さらには事業拡大に至るまで、一貫して支援を行う「伴走型サポート体制」を強みとしており、主な顧客層は、自治体市場において新規事業の立ち上げ及び事業拡大を目指す民間企業であることから、当社グループとは主な顧客対象が異なります。そのため、相互送客によるシナジーの創出が期待できるほか、同社は当社グループとは異なるアプローチで自治体の課題解決に取り組んでおり、当社グループがこれまでに築いてきた自治体リレーションや営業力を活用することで、同社の事業拡大を後押しできると考えております。あわせて、当社グループとしても新たな事業領域への進出が可能になることから、両社の強みを掛け合わせることでシナジーを発揮し、自治体の課題解決を一層加速させるとともに、資本関係を構築することが当社の企業価値向上に資するものと捉えております。

(注)公務員だけが利用可能なプラットフォームを構築し、自治体が抱える様々な課題をto公務員というアプローチで解決支援を図るネットワーク構想

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 当社の中長期的な経営戦略を実現させるためには、以下の課題への対処が必要であると考えております。

 

(優先的に対処すべき課題)

① 生産性向上に向けた業務改革とDXの推進

 当社グループが持続的に成長していくためには、全社的な生産性の抜本的な向上が不可欠であると認識しております。事業の拡大や人員の増加に伴い、従来のやり方のままではスピードや効率に限界が生じつつある中で、今後は経営資源をより高付加価値な領域に集中させ、業務の精度・迅速性を高める取り組みを全社的に推進してまいります。

 この生産性向上を実現する上での中核的な手段が、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進です。現在は、生成AIなどの新技術の活用や業務プロセスの見直しに着手し始めた段階であり、今後、これらを本格化させていく考えです。また、現場起点の改善のみならず、グループ全体での業務最適化に向けて、デジタル基盤の整備や人材育成も含め、段階的に取り組んでまいります。

 今後も、継続的な技術の導入と運用改善を繰り返しつつ、グループ全体の競争力強化と企業価値向上につなげてまいります。

 

② 優秀な人材の確保及び育成

 今後、当社グループが持続的に成長していくためには、組織において中核的な役割を担う人材の確保と育成が課題であると認識しております。この課題に対処するために、一般的なビジネスリテラシー水準の向上と、ミドル層や経営者候補人材の育成に繋がる教育制度や仕組みの構築に積極的に取り組んでおります。

 

③ ジチタイワークス事業におけるサービスのブランド価値向上及び事業規模の拡大

 当社グループは、ジチタイワークス事業を、成長をけん引する「花形事業」と位置付けております。ジチタイワークスのブランド価値を高め、自治体と民間を繋ぐメディアとしての地位を確立させることが成長の実現につながるものと認識しており、この数年にわたりこれに努めてまいりました。

 今後より一層、成長のけん引役として、BtoGソリューション等、ジチタイワークスブランド下のプロダクト、サービス開発、その運営体制のさらなる充実化等を進めていく予定です。

 

(その他対処すべき課題)

① 広告事業の生産性維持、収益性改善・向上

 当社グループは広告事業を「利益創出事業(金のなる木)」と位置付け、より安定した収益事業への転換に向けて、事業規模の適正化に加えて、その収益性の改善・向上を進めてまいりました。

 具体的には、SRサービスにおいて、中長期的な収益性の改善を実現するために、戦略的な観点を踏まえ、適切な価格で仕入れを行うことを目的とした応札価格の妥当性の検証を行うことにより、ノウハウの一層の蓄積を重ね、業務実態へと反映させるPDCAサイクルの運用を行っております。また、各施策を通じて事業全体におけるコスト効率化と受注単価の向上を推進してまいりました。引き続き利益創出事業として生産性の維持・向上に努め、安定成長を目指してまいります。

 なお、SCサービスにおけるマチレットについては、冊子の発行が下半期へ偏重する傾向があります。これについては、サービスの性質上、事業拡大により偏重度合いが高まる構造である一方で、コスト合理化における継続課題として認識していることから、引き続き事業拡大とのバランスを保ちながら平準化努力を継続してまいります。

 

② 経営管理体制の強化

 事業の成長や業容の拡大に伴い、経営管理体制のさらなる充実・強化が課題であると認識しております。当社グループにおいては、従来より経営の意思決定や社内手続等が適正に行われるようガバナンスの強化に努め、コンプライアンスや適時開示体制を重視した経営管理体制の構築を行っておりましたが、今後はこれらに加えて、次の点についても強化を進めます。

 ・投資規律・財務規律のアップデート: 当社は事業成長のための投資において、より厳格な規律を設け、戦略的な投資判断を徹底する方針です。これにより、投資効率を最大化し、リスクを最小限に抑えることを目指します。財務規律についても、資本コストの最適化やキャッシュフロー管理の強化に取り組み、企業価値の持続的向上を目指します。

 ・PMI体制の確立: 新規事業開発やM&A活動の実施に伴い、PMI(Post Merger Integration)体制の確立は重要な課題です。当社では、M&A後の統合プロセスを円滑に進めるため、統合計画の立案及び実行を一元的に管理する体制を強化し、シナジー創出に向けた組織・業務の統合を徹底します。

 これらの取り組みにより、リスク管理体制を全社的な視点で合理的かつ最適な方法で運用し、より高い企業価値の実現を目指してまいります。既存事業が抱えるリスクに対する対応策の検討・協議に加え、新規事業開発やM&A実施時におけるリスク評価・分析を強化し、内部統制の整備・見直しを進めるとともに、法令遵守の徹底にも引き続き注力します。

 

③ 新規事業・サービスへの挑戦

 当社グループの行う事業は行政政策や社会的な課題の変化に直接的に影響を受け、誕生・発展してきたと言えます。広告事業及びジチタイワークス事業に加えて、企業版ふるさと納税支援事業と空き家対策関連事業akisol(アキソル)の2つを次なる事業の柱とするべく取り組んでおります。企業版ふるさと納税支援事業においては中期的な花形化を目指し、akisolにおいては早期の収益モデルの確立を目指しております。これらに加えて、マチイロ事業においては、改めてアプリ「マチイロ」の機能充実化を図り、収益化を進めていく方針です。

 また今後も、行政政策等自治体を取り巻く環境の変化への機敏な対応を軸に、自治体との取引実績、ノウハウ、営業力の有効活用、ITによる効率的な事業化への取り組み等を行い、継続的に自治体の自主財源確保に繋がる新たなサービスを開発していくことが重要であると考えております。

 

④ 東京証券取引所「グロース市場」の上場維持基準について

 当社グループは、東京証券取引所における市場区分「グロース市場」に上場しております。本書提出日現在、当該市場では「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」が開催され、実効性のある市場形成に向けた議論が行われており、この中では、上場後の成長を促すことを目的として、現行の上場維持基準の引き上げが検討されています。本書提出日現在においては、検討の段階であり、当該規則の改正は行われていないものの、上述の会議にて、「2030年以降、上場5年経過している企業」に対して「時価総額100億円以上」とする新たな基準を適用する案が提案されております(なお、現行の上場維持基準は「上場10年経過後から時価総額40億円以上」)。

 当該基準は検討の段階であるものの、足元の当社グループの時価総額はこの基準を大幅に下回っていることから、将来的に当該基準に抵触する可能性があるため、リスクとして認識しております。これに対し、当社グループは方針として、営業利益年平均25%成長を2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画上の目標に掲げておりますが、同様の継続的な利益成長の実現とともに、より一層のアカウンタビリティ(説明責任)の充実に努めてまいります。これは、一定の成長を継続的に実現していくことにより、当期純利益(及びEPS)を高め、あわせて当社グループの経営戦略及び業績を市場に対して透明性高く、かつ、明確に説明していくことが、市場における当社グループへの成長期待を向上させ、結果的にPER(株価収益率)を押し上げ、株式の評価を高めていくことに繋がると考えているからです。引き続き東京証券取引所の議論の進展を注視しつつ、当該リスクの解消に向けた上記方針に基づき、中長期的な視点での施策の検討と実行を通じて企業価値の向上に努めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループは、グループ企業理念「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」の実現に向けて、自治体に特化したサービスを提供しています。税収だけでなく、自治体が自ら新たな財源を生み出し、経費削減を実現するための提案を行い、自治体が、自ら確保した財源で住民サービスの向上につなげていく。その結果、日本全国に暮らす人々全員に新たな価値の提供を可能にし、ともに成長することが、当社グループの事業目的です。これらの考えのもと、長期的な視点で持続的に社会価値と経済価値を創出できるようステークホルダーと良好な関係を築き、グループ企業価値の向上を目指し、サステナビリティを重視した経営を実践してまいります。

  今後の方針としましては、サステナビリティに関する課題について、引き続き当社グループにて検討をしていくとともに、ガバナンス及びリスク管理の重要性に鑑み、各体制の整備を進めていくことで、当社グループの企業経営への反映を目指してまいります。

  当社グループのサステナビリティに関する取組は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

  ガバナンス

  当社は、現状、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と区別しておらず、同様としておりますが、サステナビリティ推進の観点からもガバナンス体制の見直しを継続的に検討してまいります。

  なお、基本的な体制は、「第4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 

  リスク管理

  当社は、当連結会計年度より、従前から取り組んできたコンプライアンス体制に加え、前連結会計年度に構築した新たなリスクマネジメント体制の運用を行っております。具体的には、従来の「コンプライアンス規程」を「リスク・コンプライアンス規程」へ改定し、また「コンプライアンス委員会」を「リスク・コンプライアンス委員会」とすることで、当社グループにおける多様なリスクを一元的に管理し、適切な対応策の検討を行っております。当連結会計年度においては、同委員会を年2回開催し、リスクの把握、管理状況および対策の進捗状況を確認いたしました。

  また、M&Aや投資に際しては、リスク分析を含む複数の視点から総合的な評価を行うため、代表取締役および取締役会への諮問機能を担う「投資諮問委員会」を設置し、当連結会計年度より所定の条件に基づき開催しております。

  これらの取組みを進めることにより、リスクの回避及び軽減を図り、安定した事業運営を実現しております。

 

  戦略

  当社グループとしては特に人的資本を重視し、人的資本の充実化を図ることを目的として、人材育成を含めた投資を積極的に行うことが、当社グループのサービスの付加価値向上につながり、ひいてはグループ企業理念の実現及び企業価値の向上につながるものと考えております。なお、以下に記載する具体的な取り組みは、人事制度の違いにより当社グループにおける一律の記載が困難であることから、提出会社を対象として記載しております。

 

 人的資本経営に関する取り組み

 (1)多様性の確保に向けた人材育成方針

 当社では、多様性を確保するための様々な人材育成の取り組みを行っております。柔軟な働き方の制度や人材育成を通じて、従業員一人ひとりが当社において成長意欲を高め、最大限能力を発揮し、自己実現できる環境を提供できるように努めております。

 

  ① 企業・組織風土の共有に関する取り組み

 当社では、企業理念や事業の目的、行動指針などに関して、従業員との共通認識を得るための機会の創出が重要であると考え、様々な取り組みを行っております。これらの取り組みを通じて相互の信頼関係を深め、組織風土の共有機会を設けることを重視しております。その上で人材育成プログラムの提供や当社での就業経験そのものが、従業員一人一人の健全な成長意欲を促進するものと考えております。

 

 

   (ⅰ)経営陣との交流会(ななかい)

 2018年より月に1回以上実施している「ななかい」では、経営陣(CEO、COO、CFOから1名)と順不同でピックアップされた従業員6名との計7名での対話の機会を設けております。対話の内容は、議事録として全社員へ内容を共有しております。

 

   (ⅱ)週報の活用(月次アワード)

 2009年より、毎週末に全従業員が業務報告書として1週間の取り組みを記載する週報を実施しており、この週報で秀でたアウトプットを行った従業員を月に1度表彰する、月次のアワードを実施しております。基本的には全員が閲覧でき、誰もがコメントを記載できるため、取り組みに対して他の部署からも意見や感想をもらうことができるなど、従業員一人一人にとってのアウトプットの場となるとともに、双方向コミュニケーションの手段の一つとして重要な役割を果たしております。

 

   (ⅲ)社内報

 年2回、社内報を発行しております。社内の状況を踏まえ、現状の社内にどんなトピックスをどのようなアプローチで伝えるのが適切かをプロジェクトチームで議論し、作成・発行しております。

 

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 上記をはじめとした様々な取り組みが企業文化の醸成・維持につながり、企業理念を実現するための人材育成を可能としていくものと考えております。また、これらの取り組みは従業員一人一人の個性を尊重しつつ、健全な議論を伴った定期的な取り組みが重要であると考えております。

 

  ② 人材育成に関する取り組み

 上記、企業文化の醸成に関する取り組みの他、人材育成に関するプログラムや制度を設けており、従業員が個性を発揮しながら希望する環境で活躍できるよう、育成機会を広く提供することに努めております。

 

   (ⅰ)ミドル層の育成(ミドツク)

 組織力の強化および今後の事業成長のためには、周囲への強い波及力を持つミドル層のマネジメント力向上が必須であると考えております。従来からのミドル層向けプログラムを2023年にコンテンツを追加し、「ミドツク」と称したミドル層育成プログラムとしてリニューアルしました。

 ミドツクでは、人事部と経営陣が確立したミドル層育成への基本方針に従ってマインド形成を行いつつ、研修、マネジメントに関するケーススタディ、評価、実際に直面している悩みに関する議論、などがその主な内容となっています。一般的に管理職は同じ立場の人材が少なくなるため相談相手が限られていきますが、このプログラムを通じて同じミドル層同士のコミュニティ形成にも役立っており、マネジメントに対する悩みを相談できる場としても活用され、ミドル層の心理的安全性向上を図ることも可能になっております。

 ミドル層の管理職以外からも、挙手制でこのプログラムに参加している社員もおり、その中から管理職へ昇進した実績も出ております。

 なお、2024年5月15日に公表の「中期経営計画」における「人・組織方針」の中で、攻守兼ね備えたミドル層の構築を最重要課題として位置づけております。当連結会計年度においては外部講師を招いた専門性の高い研修を取り入れるなど、客観的視点を取り入れてさらなる充実を図っております。今後とも成長のための施策としてより内容を充実させていく方針です。

 

   (ⅱ)次世代管理職育成プログラム(NEXT GENERATION)

 次世代の管理職を育成するために、1年間の様々なイベント(経営会議へのオブザーバー参加など)を通して直接経営者からマネジメントを学ぶ機会を提供しております。毎年2~3名程度の選出を行います。参加者自身で経営に関する知識や視点を向上させるための目標を設定し、課題図書の深掘りやケーススタディ、CEOからの助言など、1年間の活動を通して目標達成を目指します。スキルやマインドを含め、将来的に管理職や経営に関与していく人材としての視座の向上を目的としています。

 

   (ⅲ)社内研修プログラム(Hope Discovery Channel)

 全従業員だけでなくパートタイマーも含めて、誰でも参加可能な勉強会を開催しています。講師は社内、社外含めて様々なバックグラウンドを持った人材により幅広いテーマで提供され、例えばビジネスパーソンとしてのマインド形成や、論理的思考、営業スキルの向上などについて、それまでの人生経験を交えて講義が行われます。

 

   (ⅳ)リーダー選出制度(支社長選挙)

 広告事業における取り組みです。広告事業においては、全国のエリアを7つにわけて、エリアごとの事業部制組織(支社)を設置し、営業活動を行っております。新たな連結会計年度における各支社長を決める際に、希望する従業員が立候補し、広告事業に従事する従業員による投票で決定する制度を導入しており、所属する部署のリーダーを自身が選出することで、その後の支社体制について当事者意識を強く持つことができます。また同時に、次世代リーダーとして、自身の立候補を通じてキャリア形成について向き合い、考える機会となっております。

 

   (ⅴ)ジョブローテーション

 年1回、当社の全社員から所属する自部署を含む働きたい部署(職種)を第3希望まで収集し、翌連結会計年度に向けた配属を検討しております。個人の意思をもって配属を決定することによる、業務へのコミットメント、それによるパフォーマンスの最大化が主な目的です。毎回第3希望までの部署への配属を約9割、実現しています。

 自分のキャリアを考える機会になること、様々なキャリアを描けること、等により結果としてモチベーションが上がることで、成長の促進につながっております。

 

  ③ 柔軟な働き方を実現するための制度

 柔軟な働き方を実現するため、以下のとおり様々な制度を設けております。

 

   (ⅰ)テレワークの推進

 新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の予防措置をきっかけに当社においてもテレワークが浸透いたしました。ノートパソコンの支給やSaaSサービスの利用にて実現させています。場所に囚われない柔軟な労働環境が提供できるようになったことにより、人材の確保にもつながっています。例として、家庭の事情で居住地がオフィスから遠方に移転した場合でも、当社の社員として引き続き活躍しているケースが増加しております。

 

   (ⅱ)時短勤務

 子育てや介護などの家庭の事情により希望する場合には時短勤務が可能です。実際に時短勤務を活用して子育てを行う社員もおります。

 

   (ⅲ)子育てさぽーと

 妊娠期に40時間分の法定外休暇(有給券)、育児期に子の月齢に応じて有給券を別途配布するなど、各段階に応じて有給券を支給しています。育児期には父母や監護者であれば利用可能となっています。

 

  ④ 女性活躍の推進に向けた取り組み

 当連結会計年度については、女性活躍推進に向けた目標や行動計画等を、以下のとおり公表しておりました。なお、以下(ⅰ)~(ⅳ)に記載する内容は提出会社を対象としたものになります。

 

   (ⅰ)当社の課題

 行動計画立案当時、従業員における男女比や管理職における男女比、採用における男女の競争倍率などに大きな差はありませんでしたが、平均年齢が33.9歳(2025年3月末時点)になり、出産・育児といったライフイベントに直面する従業員が従前と比べ増加しており、今後、従業員や管理職などにおける割合や、平均勤続年数の差が男女で大きくなる可能性がありました。

 

   (ⅱ)指標及び目標

 当社は人的資本に関する取組において、家庭と仕事の両立に対しての不安を軽減し、従業員および管理職(課長以上)に占める女性割合を40~60%に維持することを目標としています。

 

   (ⅲ)行動計画

    イ.多様な働き方への制度整備

 出産・育児や結婚による転居といったライフイベントと仕事の両立を支援するため、短時間勤務や在宅勤務など多様な働き方を実現すると共に、制度の改善・整備を行います。

 

    ロ.制度や実績の周知浸透

 出産・育児を支援する制度の存在や利用実績が周知されていないことによる不安を解消するため、適切な制度改正を行い、サポートを受けやすい環境を構築すると共に、制度周知を推進します。

 

   (ⅳ)結果

 行動計画に沿って、多様な働き方への制度を整備すること、また出産・育児に関する制度改正を行い、社内に向けて周知を徹底するなどの取り組みを引き続き行っております。2025年3月期の女性活躍推進に対する目標に関しては下記「⑤ 成果・実績データ等」  (ⅲ)人事データに記載のとおり、従業員に占める女性割合は58.7%で目標範囲に対し比較的高い水準で達成できました。管理職(課長以上)に占める女性割合は37.0%と目標の水準を下回る結果となりましたが、従業員数全体が増加していることによるものです。

 

  ⑤ 成果・実績データ等

   (ⅰ)従業員のモチベーションの状況

    従業員のモチベーションの状況

 当社では、2019年7月よりモチベーションクラウド(注)を全社に導入し、組織状態を把握する指標としております。当社の組織スコアは最新時点のサーベイ(2024年11月11日実施)において67.3、6回連続AAAを維持しております。B/50.0が全国の平均、AAA~DDまでの11段階中AAAは最上位となります。

 

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   (ⅱ)トピックス

    akisol(アキソル)運営課が「モチベーションチームアワード2025」優秀賞を初受賞

 akisol(アキソル)運営課は、2021年から「空き家の総合相談窓口」として事業活動を展開しております。

発足以来の取り組みにより2023年11月時点では66.1であった組織スコアは、2024年5月時点では84.6となり、+18.5と著しい改善を遂げ、これらの取り組みと成果に対して評価いただき「モチベーションチームアワード 2025」優秀賞を受賞いたしました。優秀賞の受賞は当社グループとしては初の受賞となります。

 

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(注)「モチベーションクラウド」は、株式会社リンクアンドモチベーションが提供する、延べ12,650社、509万人という国内最大級のデータベースをもとに組織状態を診断し、従業員エンゲージメント向上を支援するクラウドサービスです。

 

   (ⅲ)人事データ

 上記「④ 女性活躍の推進に向けた取り組み」及び「⑤ 成果・実績データ等 (ⅰ)従業員のモチベーションの状況」における2025年3月末時点の当社の人事データは以下のとおりです。正規雇用の従業員のみのデータとなっています。

 

2024年3月期

2025年3月期

採用した労働者に占める女性労働者の割合

67%

74

労働者に占める女性労働者の割合

55.7%

58.7

係長級にある者に占める女性労働者の割合

35.7%

50.0

管理職(課長以上)に占める女性労働者の割合

39.3%

37.0

役員に占める女性の割合

12.5%

12.5

男女の平均継続勤務年数の差異

男性 6.02年 女性 4.98年

男性 6.01年 女性 4.67年

労働者の一月当たりの平均残業時間

24.1時間

25.9時間

有給休暇取得率

71.6%

74.6

子育てさぽーと利用実績

対象者37名(男性25名・女性12名)中、29名(男性18名・女性11名)が利用

対象者41名(男性27名・女性14名)中、36(男性22名・女性14名)が利用

離職率

2.91%

5.97

従業員エンゲージメントスコア

69.0

67.3

(注)提出会社のみの集計数値となっております。

 

 (2)社内環境整備方針

 当社では、社内環境の整備として以下の取り組みを行っております。これらの取り組みを通して、社員の健康及び安全の確保、働く環境の維持改善に努めております。なお、以下に記載する具体的な取り組み及び制度は、当社における一律の記載が困難であることから、提出会社を対象としたもののみを記載しております。

 

  ① 健康に関する制度

   (ⅰ)インフルエンザ予防接種無償提供(社員本人が対象、任意)

 毎年秋に、インフルエンザ予防接種を1回分無償で受けられる制度を設けております。

 

   (ⅱ)配偶者健康診断

 福利厚生の一環として、配偶者健康診断を実施しております(諸条件あり)。

 

   (ⅲ)PCログ監視システム

 勤怠管理システムと併用して、各社員のパソコンにはログ監視ツールを導入しており、事前に許可を得ていない時間や休日に業務が発生していないか、勤怠管理システムと齟齬が出ていないか、を把握できるようにしております。

 

  ② 安全に関する制度

   (ⅰ)BCP(事業継続管理手順)の策定

 当社の事業継続を踏まえ、BCPを作成しております。台風や集中豪雨など地域的にリスクの高い災害に対しては予防措置行動を促すアナウンスを行うなど、社員の安全を確保するための緊急時の指示命令系統などについてあらかじめ定め、備えております。 また社員に対し、災害伝言ダイヤルへの登録を促すなど、緊急時に通常の通信手段が途切れることを想定し、連絡手段を複数確保するよう努めております。

 

   (ⅱ)入退室管理システム

 入退室管理システムにより、オフィスへの不審者の出入り防止、情報漏洩対策等を行っております。

 

  ③ 各種登録・認定・賛同企業としての取り組み

   (ⅰ)ふくおかエコ事業所

 ふくおかエコ事業所とは、福岡県内に所在する事業所(オフィスや工場、学校、店舗、病院等)のうち、電気や自動車燃料(ガソリン)の使用量削減等・省エネルギー・省資源に取り組むことを宣言する事業所のことです。

 この宣言に関連する当社グループでの取り組みとして、全社横断で、電気の使用量削減をはじめとする省エネや省資源のための組織を組成し、室内温度の管理や、電子化を推進し印刷物の削減、その他省資源の方法の周知など、継続的な啓発に取り組んでおります。

 

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   (ⅱ)子育て応援企業宣言

 子育て応援企業宣言とは、企業・事業所のトップが、従業員の仕事と子育ての両立を支援するために具体的に取り組むことを宣言するものです。

 この宣言に関連する取り組みの例として、以下の制度を設けております。

 

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    イ.学資保険手当

 学資保険料の20%を会社が負担

    ロ.オムツ手当

 3歳以下の子どものオムツを毎月現物支給

    ハ.クリスマスプレゼント手当

 満5歳以下のお子様がいる社員に、クリスマスプレゼント代を支給

    ニ.子育てさぽーと

 妊娠期に40時間分の有給券、育児期に子の月齢に応じて有給券を別途配布など、各段階に応じて有給券を支給。育児期には父母や監護者であれば利用可能

 

 

    ホ.「Family Birthday」

 子どもの誕生日は1日休、配偶者の誕生日は半日休を取得可能

 

   (ⅲ)「い~な」ふくおか・子ども週間

 「い~な」ふくおか・子ども週間とは、毎月1日~7日の少なくとも1日は、企業(職場)や地域・家庭など、いろいろな場で子どもたちのためにできることに取り組もうという運動です。

 当社グループの株式会社ジチタイアドが賛同企業になっております。株式会社ジチタイアドでは事業の一環で子育て支援冊子を作成しており、全国の自治体のニーズにあわせて、自治体が発行する子育て支援についての情報冊子を協働で作成発行し、自治体から住民への情報提供にお役立ていただいています。また広告を組み合わせることで自治体の歳出削減にも同時に貢献しております。

 

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3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

(1)事業内容に由来するリスク

① 広告事業

イ.競合について

 現在、契約する自治体数、取り扱う媒体数の観点から、当社と同規模以上にSRサービスについての事業展開をしている企業は存在しないものと認識しております。SCサービスにおけるマチレットについては、複数の競合企業を認識しておりますが、コンテンツの拡充による媒体価値の向上に努めることで、優位性を強固なものにしてまいります。

 一方で、大手企業の新規参入や地域ごとの同業者における事業規模拡大等により、マーケット・シェアの獲得競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.入札(商品仕入)に係るリスクについて

 当社グループの行うSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、自治体における入札により仕入れております。当社グループは適正な媒体価値の把握とノウハウ・営業力により、適切な応札価格(入札に応じる金額)で商品仕入を行うよう最善の努力を行っております。

 しかしながら、媒体価値の見誤り、他社の応札金額の保守的な見積り等による高い金額での落札により、売上原価が上昇するリスクがあります。また、他社による高い金額の応札、自治体による最低落札価格の引上げ等外部環境の変化により、十分に商品仕入を行えなくなるリスクがあります。これにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.商品特性に固有のリスク(在庫リスク)について

 当社グループの行うSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、暦年度(4月から翌年3月)を一括の期間とし、12か月分を自治体から在庫リスクを負担する形で仕入れており、これを一定の単位に区切って広告主に販売しております。そのため、販売実績が計画から大幅に乖離した場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② ジチタイワークス事業

イ.競合について

 現在、国内でジチタイワークスと類似する事業として自治体職員向けに情報誌を発行している競合企業が存在しております。当社は、情報提供だけでなく自治体職員の課題の把握、またそれに対する解決策の提案を行うなど、多面的な展開によって付加価値の向上に努めてまいりますが、競合企業の動向によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)共通的なリスク

① 優秀な人材の確保及び育成について

 当社グループは、優秀な人材の確保及び育成によって持続的な成長を実現するために、引き続き、一般的なビジネスリテラシー水準の向上と、ミドル層や経営者候補人材の育成に繋がる教育制度や仕組みの構築に積極的に取り組んでまいりますが、組織において中核的な役割を担う人材の確保と育成ができなかった場合、将来的にマネジメント人材不足に陥る可能性があります。

 

② わが国の人口動態に係るリスクについて

 自治体における持続性のある自治体運営と行政サービス提供の担保には、各自治体における人口が密接に関連しております。しかしながら、わが国の合計特殊出生率は、1960年代後半以降減少傾向にあり、極めて低い水準にあります。

 今後、人口の減少に伴い、税収や行政需要が減少することになれば、当社が取扱うサービスの需要が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 事業の成長性について

 当社グループの行う広告事業は、SRサービスについてはスタートして20年が経過し、現在はSCサービスも加えて安定した収益事業化を目指す段階に到達しております。ジチタイワークス事業におけるジチタイワークスは、2017年12月に創刊したメディアであり、国策や時流に応じて取り扱うテーマが多岐に渡り変化することから、今後もコンテンツの拡充や、ニーズに応えたメディアの制作によって、配布先自治体、顧客企業からの継続的な需要が見込めます。

 しかしながら、各事業における事業計画の立案や実施に何らかの支障が生じ、これらが実現できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 業績の季節変動による影響について

 売上高及び営業利益が一定の時期に偏重する傾向にあります。

 これは、広告事業のマチレットにおける子育て情報冊子等の発行が集中する時期があるためです。

 当社グループは、マチレットにおける当該季節的要因を踏まえた受注計画及び制作計画を策定し、発行の増加が見込まれる時期の売上の確保に努める方針ですが、何らかの事情によりこれらを計画どおりに行えなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 風評の影響について

 当社グループが取扱うサービスにおいて、全国の自治体との取引が多く存在しております。そのため、何らかのリスクが顕在化し、風評の影響等により自治体との取引を制限された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 特定経営者への依存について

 当社グループ代表取締役社長である時津孝康は当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として重要な役割を果たしております。

 当社グループでは、同氏に過度に依存しないための組織体制として、経営組織の強化を図っておりますが、当面の間は同氏への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状況において、同氏の事業への関与が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 小規模組織であることについて

 当社グループは、本書提出日現在、取締役5名(うち社外取締役2名)、監査役3名(うち非常勤監査役2名)、従業員数204名(臨時雇用者を除く)の人員数で事業を展開しており、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制を整備しております。万一、業容拡大等に応じた人員の確保・育成が順調に進まず、役職員による業務執行に影響が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 新株予約権行使の影響について

 当社グループは、当社グループ役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。

 これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在これらの新株予約権による潜在株式数は515,400株であり、2025年3月31日現在の発行済株式総数(自己株式を除く)15,481,694株の3.3%に相当しております。

 

⑨ 自治体を取り巻く環境について

 世界的にデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、デジタル技術の革新スピードは年々高まっております。こうした状況において、わが国ではデジタル技術の活用を通じて地域の社会課題の解決を目指す「デジタル田園都市国家構想」が掲げられており、今後、自治体を取り巻く環境は大きく変化していくことが見込まれます。

 当社グループにおいても、自治体関連ビジネスに資する情報の収集・把握に努めておりますが、環境変化のスピードが当社グループの対応能力を上回る場合、中長期的な経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3)法的規制に関するリスク

① 事業に関する法的規制について

 当社グループが行う事業では、主に以下に掲げる法律等の規制を受けております。

 不当景品類及び不当表示防止法

・商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止が求められております。

 

② 個人情報の漏洩リスクについて

 当社グループは、顧客の個人情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当いたします。個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護基本規程の整備・運用等厳重な対策を講じています。また、個人情報の適切な保護措置を講ずる体制の構築・維持の一環として、ISMS(ISO 27001)について、再認証及び2022年版移行審査を実施し、引き続き不適合がない旨の審査報告を受けるなど、個人情報の適切な取扱いに努めております。

 しかしながら、万一個人情報が外部に流出した場合には、当社の社会的信用が毀損され企業イメージの低下を招くなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償請求等、不測の損害が生じる可能性もあります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復傾向にあります。一方で、欧米の高い金利水準の継続や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気に影響を与える可能性があります。また、物価上昇、通商政策を含む欧米の政策動向、金融資本市場の変動等の影響にも十分な注意が必要な状況であり、先行きは不透明な状況が続いております。

 このような状況下において、グループ全体での事業規模の拡大を推進するとともに、事業運営におけるリスク管理体制の一層の強化を図るなどの取り組みを推進することで、グループ企業理念の実現及び企業価値の向上に努めております。

 当社は、2024年5月15日付で、当連結会計年度を初年度とする3か年の中期経営計画を策定・公表しており、適切な資源配分によるオーガニック成長の実現、堅実な投資による事業価値の創出、リスクマネジメント機能の強化、資本配分方針/財務の規律付け、攻守兼ね備えた強固なミドル層の構築に積極的に取り組んでおります。

 当連結会計年度においては上述の中期経営計画で公表した財務方針に従い、自己株式取得を実行するなど資本生産性の改善・向上と経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行に努めてまいりました。

 広告事業におきましては、連結子会社である株式会社ジチタイアドにて、当連結会計年度においても引き続き生産性を可能な限り維持しつつ、利益創出事業として計画的な事業規模の再拡大を目指し、事業全体におけるコスト効率化と受注単価の向上に向けた取り組みを行ってまいりました。また、SCサービスにおけるマチレットの新媒体や広告以外の新サービス開発にも積極的に取り組んでまいりました。

 ジチタイワークス事業におきましては、官民連携に対する需要が大きく、市場の開拓余地は十分に存在することから、連結子会社である株式会社ジチタイワークスにおいて、自治体ビジネスのニーズの顕在化に対応していくことで、サービス提供機会を増やすことを目指しております。併せて、行政マガジン『ジチタイワークス』のブランド力を強化することで、BtoGソリューション等の拡大による収益の追求、また多面的展開の促進による高付加価値なサービスの拡大に繋げてまいりました。

 その中において、当社は、株式会社地方創生テクノロジーラボ(以下「地方創生テクノロジーラボ」)を連結子会社化しました。

 なお、地方創生テクノロジーラボのみなし取得日を当連結会計年度末日としていることから、当連結会計年度においては貸借対照表のみを連結しており、連結損益計算書においては、地方創生テクノロジーラボの業績を含んでおりません。

 

 以上の結果、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末における資産合計は、2,145,594千円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は、995,271千円となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、1,150,323千円となりました。

 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ロ.財政状態の分析」をご参照ください。

 

(経営成績)

 売上高は3,140,691千円、営業利益は291,628千円、経常利益は295,468千円、親会社株主に帰属する当期純利益は358,008千円となりました。

 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 イ.経営成績の分析・評価」をご参照ください。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

 

 a.広告事業

 広告事業におきましては、自治体から様々な媒体の広告枠を入札により仕入れ民間企業に販売するSR(SMART RESOURCE)サービス、また、自治体から市民へ専門性が高い情報をよりわかりやすく確実に伝える情報冊子マチレットを自治体と協働発行(無料)し、自治体の経費削減を支援するSC(SMART CREATION)サービス等を提供しており、前連結会計年度までの収益性改善を目的とした事業規模の適正化を踏まえて、計画的な再拡大を推進してまいりました。

 当連結会計年度においては、計画的な再拡大に伴う施策の結果、各サービスによる売上が好調に推移しております。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は1,856,767千円(前年同期比11.8%増)、セグメント利益は419,075千円(前年同期比20.8%増)となりました。

 

 b.ジチタイワークス事業

 ジチタイワークスは、当社グループの官民連携を推進する様々なサービスを総称するブランドの名称とし、「自治体で働く“コトとヒト”を元気に。」をコンセプトに「BtoGソリューション」、「行政マガジン『ジチタイワークス』」及びジチタイワークス民間サービス比較(旧 ジチタイワークスHA×SH(ハッシュ))など複数のサービスを展開しております。

 行政マガジン『ジチタイワークス』は、全国1741自治体の市区町村・47都道府県に加え、地方議会議員への無償提供を行うことで、行政マガジン『ジチタイワークス』を通じて事業全体の持続的なブランディングの向上を実現しており、その結果、事業全体として前年同期を上回る実績となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は1,079,294千円(前年同期比42.8%増)、セグメント利益は310,563千円(前年同期比28.9%増)となりました。

 

 c.その他

 その他には、企業版ふるさと納税支援事業や空き家対策関連事業akisol(アキソル)及びマチイロなど他の報告セグメントに含まれないサービスが含まれております。

 当連結会計年度における売上高は204,629千円(前年同期比48.6%増)、セグメント損失は5,538千円(前年同期はセグメント利益5,206千円)となりました。

 なお、セグメント損失の主な要因は、中長期的な事業規模の拡大に向けた人的投資やマーケティング費用等の営業費用の増加であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ45,593千円減少し、966,592千円となりました。

 当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、229,867千円(前年同期は得られた資金143,931千円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益409,246千円の計上、棚卸資産の減少73,038千円があったものの、投資有価証券売却益113,778千円の計上、売上債権の増加147,574千円があったことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は、29,621千円(前年同期は使用した資金31,672千円)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入113,778千円があったものの、有形固定資産の取得による支出29,899千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出45,251千円があったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、305,081千円(前年同期は使用した資金598,221千円)となりました。これは主に、社債の償還による支出100,000千円、自己株式の取得による支出205,313千円があったことによるものであります。

 

 また、資本の財源及び資金の流動性については次のとおりです。

a.資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、仕入費用及び外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 

b.財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期借入金、長期借入金(1年内返済含む)、当座貸越契約で調達しております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は、短期借入金及び長期借入金(1年内返済含む)の139,720千円となっております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

広告

(千円)

614,735

17.1

ジチタイワークス

(千円)

小計

(千円)

614,735

17.1

その他

(千円)

合計

(千円)

614,735

17.1

 (注)広告事業及びジチタイワークス事業に係る外注費については、記載を省略しております。

 

c.受注実績

 当社は受注生産が僅少であるため、記載を省略しております。

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

広告

(千円)

1,856,767

11.8

ジチタイワークス

(千円)

1,079,294

42.8

小計

(千円)

2,936,061

21.5

その他

(千円)

204,629

48.6

合計

(千円)

3,140,691

23.0

 (注)1.主要な販売先については、相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

 また、この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績の分析・評価

 広告事業における計画的な再拡大に伴う施策、ジチタイワークス事業における幅広いマーケティング支援の提案及びBtoGソリューション等のサービス拡大等もあり、売上高は3,140,691千円(前年同期比23.0%増)、売上総利益は1,885,376千円(前年同期比31.1%増)となり、また、販売費及び一般管理費は1,593,748千円(前年同期比31.7%増)となりました。その結果、営業利益は291,628千円(前年同期比27.9%増)と、黒字の段階利益となりました。

 営業外損益(純額)は3,840千円の利益(前連結会計年度は135千円の利益)となりました。これは、主に違約金収入が2,017千円増加したものの、支払利息が1,330千円減少したことによるものであります。

 以上の結果、経常利益は295,468千円(前年同期比29.5%増)となりました。

 特別損益は113,778千円の利益となりました。これは、投資有価証券売却益が発生したためであります。

 法人税等は、主に税金等調整前当期純利益及び法人税等調整額の計上により、51,238千円(前連結会計年度は△33,677千円)となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は358,008千円(前年同期比36.7%増)となりました。これにより、1株当たり当期純利益は22.36円(前年同期比40.3%増)となりました。

 

ロ.財政状態の分析

a.資産

 当連結会計年度末の総資産合計は2,145,594千円となり、前連結会計年度末に比べて161,118千円増加しました。流動資産は1,804,876千円となり、前連結会計年度末に比べて29,105千円増加しました。これは主として売掛金及び契約資産が148,828千円増加したものの、現金及び預金が45,592千円減少、商品及び製品が73,235千円減少したことによるものであります。固定資産は340,718千円となり、前連結会計年度末に比べて132,013千円増加しました。これは主として建物が9,282千円、ソフトウエアが13,258千円、のれんが80,292千円、繰延税金資産が20,448千円増加したことによるものであります。

b.負債

 当連結会計年度末の負債合計は995,271千円となり、前連結会計年度末に比べて13,960千円増加しました。流動負債は965,159千円となり、前連結会計年度末に比べて16,151千円減少しました。これは主として未払費用が74,303千円増加したものの、1年内返済予定の長期借入金が89,985千円減少したことによるものであります。固定負債は30,112千円となり、前連結会計年度末に比べて30,112千円増加しました。これは長期借入金が30,112千円増加したことによるものであります。

c.純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は1,150,323千円となり、前連結会計年度末から147,158千円増加しました。これは主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が358,008千円増加したものの、自己株式の取得により自己株式が205,313千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の50.4%から53.8%となりました。

 

ハ.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した経営課題への対応、及び内部管理体制の強化を通して、リスクの低減に努めてまいります。

 

ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、営業利益、売上高営業利益率及び従業員一人当たりの売上総利益を経営指標としております。

 当連結会計年度においては、広告事業による収益性の改善とジチタイワークス事業における業容の拡大等により売上高営業利益率は9.3%、従業員一人当たりの売上総利益は8,951千円となりました。引き続きこれらの指標について、改善・向上されるよう取り組んでまいります。

 

5【重要な契約等】

(共通支配下の取引等)

  当社は、2025年5月14日開催の取締役会において、2025年7月1日を効力発生日(予定)として、当社完全子会社である株式会社ジチタイアドの企業版ふるさと納税支援事業に関する権利義務を単独の簡易新設分割により新設会社である株式会社ジチタイリンクに承継させるとともに、本新設会社を当社の完全子会社とすることを決議いたしました。

  詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(企業・株主間のガバナンスに関する合意に関する契約)

 1.当該契約の概要

  (1)相手方の名称  株式会社チェンジ(現 株式会社チェンジホールディングス、以下チェンジ。)

  (2)相手方の所在地  東京都港区虎ノ門3-17-1 TOKYU REIT 虎ノ門ビル6階

  (3)契約締結日  2022年12月23日

  (4)合意の内容  当該契約において以下の事項を合意しております。

・チェンジグループが保有する当社の株式等に係る完全希釈化ベース議決権割合が15%を下回らない限り、チェンジが当社の取締役候補者1名を指名する権利を有すること

 

 2.当該合意の目的

  事業パートナーとしての関与を担保し、両社間の緊密な協働体制と経営の一体性を維持することを目的としています。なお、当該合意に含まれる取締役候補者の指名に関する権利については、あくまでも候補者として株主総会への選任議案の上程に関するものであり、株主総会での決議を経て正式に選任されるものであって、その結果を拘束するものではありません。

 

 3.取締役会における検討状況その他の当該提出会社における当該合意に係る意思決定に至る過程及び当該合意が当該提出会社の企業統治に及ぼす影響

  当社は2022年12月23日開催の取締役会において、当該合意については十分に討議、検討を行い、決議いたしました。これらの合意は、資本業務提携に基づく協働体制の構築と、企業価値向上を図るためのガバナンス強化の一環として合理的に位置づけられるものであり、当社の企業統治に与える影響は限定的であると判断しております。

 

(企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意に関する契約)

 1.当該契約の概要

  (1)相手方の名称  株式会社チェンジ(現 株式会社チェンジホールディングス、以下チェンジ。)

  (2)相手方の所在地  東京都港区虎ノ門3-17-1 TOKYU REIT 虎ノ門ビル6階

  (3)契約締結日  2022年12月23日

  (4)合意の内容  当該契約において以下の事項を合意しております。

・チェンジは、本第三者割当増資に係る払込日から3年を経過する日までの間、当社の事前の書面による承諾がない限り、直接又はその子会社を通じて、チェンジグループが保有する当社株式に係る議決権割合が30%を超えるような結果となる当社株式の追加取得を行わないこと

・チェンジグループが保有する当社の株式等に係る完全希釈化ベース議決権割合が15%以上である場合に限り、当社が、当社の株式等の発行、処分又は付与その他既存株主の持株比率(潜在的持株比率を含みます。)に影響を与える行為(以下「株式発行等」といいます。)を行うことにより、チェンジグループが保有する当社の株式等に係る完全希釈化ベース議決権割合が15%を下回る場合には、(i)当該株式発行等について、チェンジに対して当該株式発行等を行うことを決定する日の60日前(但し、当社において速やかな株式発行等を行う必要性・合理性が認められる場合には、当社とチェンジは、当該期間の短縮について誠実に協議するものとします。)までに通知の上、事前にチェンジとの間で誠実に協議すること、及び(ii)チェンジに対して、当該株式発行等が行われる直前の時点におけるチェンジグループが保有する当社の株式等に係る完全希釈化ベース議決権割合に応じた株式等を、当該株式発行等に係る払込金額その他の経済条件と同一の条件又はよりチェンジに有利な条件により、優先的に引き受ける権利(チェンジが当該権利を行使する場合には、上記(i)の通知を受領してから45日以内(但し、当社において速やかな株式発行等を行う必要性・合理性が認められる場合には、当社とチェンジは、当該期間の短縮について誠実に協議するものとします。)に、引受けを希望する当社の株式等の種類及び数を当社に対して書面により通知する必要があります。)を与えること

 

 

 2.当該合意の目的

  チェンジグループによる当社株式の追加取得を、払込日から3年間、当社の書面承諾制とすることで、資本関係の急激な変化を防ぎ、安定的な資本構成と経営基盤を確保することを目的とするとともに、当社が新株発行等を行いチェンジグループの議決権割合が15%を下回る可能性がある場合、事前協議と合理的な条件に基づく優先的な引受け権を設定することで、チェンジグループの持株比率を希薄化から保護し、安定的かつ継続的な関与を支える資本体制を構築することを目的としています。

 

 3.取締役会における検討状況その他の当該提出会社における当該合意に係る意思決定に至る過程

  当社は2022年12月23日開催の取締役会において、当該合意については十分に討議、検討を行い、決議いたしました。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。