第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績

 当中間連結累計期間におけるわが国経済は、政府による経済対策や金融政策の支援を背景に、個人消費や設備投資は底堅く推移しており、景気は緩やかな回復基調にあります。一方で、国際情勢の影響による資源価格の高騰や世界的な金融政策の変化により、先行き不透明な状況が続いています。

 当社の属する情報サービス産業におきましては、ビッグデータ、IoT、人工知能(AI)等のIT技術革新が加速度的に発展し、市場の拡大が引き続き見込まれる一方で、国内でこれらの開発を担う人材の不足が懸念されております。

 このような状況の中、当社は、課題先進国と言われる日本の社会課題を革新的なITソリューションにより解決するビジネスモデルを提供してまいりました。

 メディカル事業においては、医療従事者の働き方改革の推進、医療機関の収益改善、医療安全と質の向上に向けて、レセプト点検ソフトウエア市場におけるリーディングカンパニーとして、医療機関向け経営支援ソリューションであるレセプト点検ソフトウエア『MightyChecker®』シリーズ並びに、オーダリングチェックソフト『Mighty QUBE®』のシェア拡大に向けた取り組みを継続してまいりました。「AI×サブスクモデル」を実現した次世代型レセプトチェックシステム「MightyChecker® EX」、オーダリングチェックソフトの進化版「Mighty QUBE® Hybrid」においては、引き合い及び販売も大手医療機関を中心に好調に推移しております。

 さらにはクラウドコンピューティングを活用したレセプト点検の推進や、学会や健保組合等へのデータ分析の取り組みの実施など、事業ポートフォリオの構成を変革したことにより、前倒しで実施した高収益モデルの確立による効果が継続しております。

 また、当社事業戦略のスローガンの1つである、「当社知財等を活用した新規事業の育成」においては、新規プラットフォームビジネスとして、2020年9月より提供を開始した保険業界向け業務効率化ソリューション「保険ナレッジプラットフォーム」の横展開に続いて、新たなプラットフォームの複数展開に向け推進しております。

 テクノロジーコンサルティング事業においては、国内IT人材の不足に対応するべく、オフショア開発30年のノウハウを生かし、オフショア開発コンサルティング事業を国内外の大手企業向けにスタートいたしました。各企業様のプロジェクトに合ったベンダー選定からオフショア環境の提供・多様な開発スタイルへの対応、その後の保守運用フェーズまで一気通貫でのサポートが可能となります。これにより、精度の高いコンサルティングを実現すると同時に、国内外に向けマーケットを拡大してまいります。

 当社はこれまで、主にフィリピンを拠点とする効率の高いオフショアリソースを活用したITアウトソーシング及びソリューション開発事業を展開しており、「ソフトウエアテスト等の実行・管理の自動化(Automation)」「ビッグデータと分析(Analytics)」「人工知能(AI)」等のコア技術を活かし、戦略市場である医療・金融/公共・自動車(EV)・モバイル・不動産等の領域に向け、数々のソリューションを継続して提案しております。さらに、旺盛な引き合いから予想される大型開発需要や既存の主要顧客、AI事業のビジネス拡大等、成長市場での新たなソリューションに係る受注に対応すべく、高難度のプロジェクトマネジメントや成長市場で必須となる技術分野に特化した高度人材の育成、フィリピン以外のアジアパシフィック地域を含めたグローバルリソースの獲得を実施してまいりました。

 

 この結果、当中間連結累計期間の業績は、売上高3,138,502千円(前年同中間期比7.1%増)、営業利益591,357千円(前年同中間期比9.3%増)、経常利益629,279千円(前年同中間期比34.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益443,184千円(前年同中間期比47.5%増)となりました。

 

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

  a.メディカル事業

 メディカル事業においては、2024年4月から医師にも適用となった働き方改革・診療報酬改定の影響による医療機関のDX投資が加速したことを背景に、基幹ソリューション「Mighty」シリーズユーザー数は前連結会計年度末比3.3%増の21,503件となり、子会社である株式会社エーアイエスの主力製品であるレセプト点検ソフト「MightyChecker®」及びオーダリングチェックソフト「Mighty QUBE®」の引き合いは、引き続き順調に拡大しております。

 次世代レセプトチェックシステム「MightyChecker® EX」は、旧製品Mighty Checker For ORCAの新規販売終了によるアップセル施策によって200施設のリプレイスが完了し、ユーザー単価アップに向けた施策を継続しております。また、WEBを活用した営業・サポートへの移行によるダイレクトアカウント(直接販売)獲得、ソリューションの重ね売り(顧客単価アップ)の推進、当社ソリューション導入による経済効果を見据えた新価格への切り替えの取り組みを強化しております。

 オーダリングチェックソフト「Mighty QUBE® Hybrid」は、中小病院をターゲットとした電子カルテメーカーと業務提携(OEM提供)を結ぶことでクロスセル施策を展開し、現在2社の電子カルテメーカーとの業務提携を締結し受注拡大を図っております。また、今期より在宅医療に特化した、クラウド型電子カルテへのOEM供給の開始により、診療所領域における「Mighty QUBE® Hybrid」の販売を推進しております。ターゲットとなる在宅クリニックは、2025年問題を控える少子高齢化が顕著な日本において、今後もニーズが高まり続けることが予想されます。

 さらに、医療クラウドサービスSonaM(そなえむ)や、当社知財等を活用した、データ分析(健保組合・学会等)を含む新規プラットフォームビジネスの推進など、医療のデジタル化に関する新事業を積極的に立ち上げ、Mightyシリーズに次ぐ将来の「新たなサブスク型の収益源」の確保に向け、積極的な投資を実施し、更なる収益率向上の実現に向けた施策に取り組んでおります。これら新施策の一つである、医療データベースを活用した支払審査検索エンジン「保険ナレッジプラットフォーム」は、複数の生命保険会社との実証実験を経て、現在4社の生命保険会社にて実装されております。さらに、今後は同プラットフォームにおける追加オプションのクロスセルを推進すると同時に、新たなサブスクリプション型メニューとして、保険業界全体へ向けた浸透を図ってまいります。

 利益面につきましては、サブスクリプションモデルによる盤石な収益基盤の拡大と、プロジェクト毎の徹底した収益管理及び継続的なコスト削減等が奏功した結果、セグメント利益は過去最高水準の高収益性を継続、売上高セグメント利益率が64.4%と、引き続き高い収益性を達成いたしました。

 

この結果、メディカル事業の売上高は840,880千円(前年同中間期比5.3%増)、セグメント利益は541,784千円(前年同中間期比13.5%増)となりました。

 

b.テクノロジーコンサルティング事業

 国際情勢の複雑化や社会経済構造の変化等を背景に、大手企業・大手SIerはオフショア開発委託先の見直しを行っております。この結果、安全な業務委託先であると同時に、オフショア開発30年のノウハウと国内外大手企業との取引実績・サービス品質の高さから、フィリピンをベースとする当社への需要が拡大しております。さらに、今期よりAPAMANグループとの戦略的パートナシップ構築に向け、フィリピンオフショア拠点における組織再編やラボ拡張により、中期的にスケールアップを目指すべく、年間5億円規模の大型プロジェクトに対応可能な開発体制の構築や大口顧客の獲得推進、グローバルマーケットへの進出に対応するため、当社独自の教育プログラムにより、高度な技術力と日本語環境における業務遂行能力を有するトップノッチエンジニアの育成を実施しております。現在約900名のグローバルIT技術者を有し、春の新卒採用においては新たにトップ大学の成績優秀者を含めた人材を獲得し、第2成長フェーズ推進に向けた高度人材の教育を実施しております。

 ソフトウエアテストやその実行・管理の自動化、製品開発支援及びアプリケーション開発分野では、日本における既存の大口顧客からの受注が堅調に推移しております。AI先進分野の領域においては、グローバル製薬企業などの医療領域をはじめとする新規受注を順調に拡大、またEV分野の大手グローバル企業との取引も継続するなど、業界を代表する大手顧客を中心に、積極的な取り組みを継続強化いたしました。引き続き、コンサルティング営業の強化により、国内外の大手企業を含む既存顧客からの受注拡大と新規顧客からの受注獲得を目指すと同時に、ドル建て取引の増加を図り、さらなる収益拡大に向けた施策を推進してまいります。

 また、中国の拠点においては、継続的な法人向けPC需要を基盤としており、新製品開発を見据えたグローバル大手PCメーカーの戦略に沿った取引深耕により、新OS発売時の特別受注を目指しています。また、当社が出資を行っているシリコンバレーのベンチャーキャピタル「GoAhead Ventures」のオフィスにて、当社サテライトオフィスを開設している米国での調査や、テクノロジー企業との協業に向けた取り組みを推進し、グローバルAI市場の拡大を見据えた、先進技術に係る取り組みの継続強化を図っております。

 

  この結果、テクノロジーコンサルティング事業の売上高は2,297,621千円(前年同中間期比7.8%増)、セグメント利益は239,544千円(前年同中間期比2.7%増)となりました。

 

② 財政状態

  (資産の部)

 当中間連結会計期間末における流動資産は6,107,355千円となり、前連結会計年度末に比べ447,180千円増加しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が60,668千円減少したものの、現金及び預金が536,750千円増加したことによるものであります。固定資産は1,116,940千円となり、前連結会計年度末に比べ106,699千円減少いたしました。これは、有形固定資産が18,884千円、無形固定資産が78,768千円、投資その他の資産が9,046千円減少したことによるものであります。

 

  (負債の部)

 当中間連結会計期間末における流動負債は1,714,064千円となり、前連結会計年度末に比べ11,893千円減少しました。これは主に、買掛金が17,569千円、契約負債が80,945千円、賞与引当金が81,522千円増加したものの、リース債務が45,033千円、未払法人税等が76,250千円、その他の流動負債が70,646千円減少したことによるものであります。固定負債は376,808千円となり、前連結会計年度末に比べ61,255千円減少しました。これは主に、リース債務が27,472千円と退職給付に係る負債が32,721千円減少したことによるものであります。

 

  (純資産の部)

 当中間連結会計期間末における純資産は5,133,423千円となり、前連結会計年度末に比べ413,629千円増加しました。これは主に、為替換算調整勘定が46,783千円、その他有価証券評価差額が26,473千円減少したものの、利益剰余金が288,945千円、資本金が81,417千円、資本剰余金が81,417千円、新株予約権が20,305千円、退職給付に係る調整累計額が14,857千円増加したことによるものであります。

 

 (2) キャッシュ・フローの状況

 当中間連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ536,750千円増加し、4,562,851千円となりました。

 当中間連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結累計期間において営業活動の結果獲得した資金は651,067千円(前年同中間期は503,671千円の獲得)となりました。これは主に、前受金の増加額80,945千円、その他流動負債の減少額67,460千円、売上債権及び契約資産の減少額44,023千円、法人税等の支払額247,767千円、賞与引当金の増加額86,351千円、税金等調整前中間純利益629,279千円の計上、現金支出を伴わない減価償却費100,655千円の計上があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は38,667千円(前年同中間期は220,653千円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出26,257千円、有形固定資産の取得による支出8,624千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結累計期間において財務活動の結果使用した資金は56,678千円(前年同中間期は168,537千円の使用)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入162,722千円があったものの、リース債務の返済による支出65,481千円、配当金の支払額153,862千円があったことによるものであります。

 

 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

 (4) 研究開発活動

当中間連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。