第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針の内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営理念

① Unique beyond comparison 

  時代の先を見据え、社会課題の解決に資するITソリューションを創造する、唯一無二のビジネスイノベーションカンパニーであり続けます。

② Go Global

  Ubicomグループのビジネススキームを、米国及びアジア各国を中心にグローバルに展開していきます。

③ Win-Win

  お客様、協業先、そして全てのステークホルダーの皆様との相互発展を通じて、Ubicomグループの「仲間」を増やしてまいります。

 

(2) 事業展開方針

  当社グループは、以下の事業展開の方針のもと、顧客との持続発展的な関係を構築し、収益基盤の構築と収益力の向上を図ってまいります。

① 常に他社に先駆けてマーケットを創造

  グループ各企業の特性を最大限に活かし、その力を自在に統合し、時代の変化を先取りした新たなマーケットを創造する企業集団であり続けます。

② ニッチNo.1のポジションを構築

  新たに創造したニッチマーケットにおいて、No.1の地位を築き、マーケットの成長とともに当社グループも成長を目指します。

③ グローバル展開

  常に世界目線で思考し続け、当社グループのビジネススキームを、アジア各国を中心にグローバルに展開しています。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

長期的な成長を目指し、収益基盤を一層強固なものにするために、当社グループの対処すべき課題としましては、特に以下の点について、重要課題として取り組んでおります。

① メディカル事業

メディカル事業においては、「MightyChecker® EX」及び「MightyChecker® Cloud」、「Mighty QUBE® Hybrid」の販売に伴う「Mighty」シリーズの既存のストック型ビジネスの安定した拡大に加え、これまで培ってきたコア分析技術、知財及び医療データにアクセスできる有利なポジションを活かし、第2成長フェーズとして、さらなる高収益モデル・新規プラットフォームビジネスの創出を推進してまいります。具体的には、生命保険会社の業務効率化に資する「保険ナレッジプラットフォーム」の横展開・機能強化、健保組合・学会などの要請に応える「データ分析プラットフォーム」の強化、医療のDX化を推進する「遠隔サービスプラットフォーム」の構築、国民の健康増進に寄与する「マイナポータルプラットフォーム」「PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)プラットフォーム」の開発などを進め、Mightyシリーズに次ぐ将来の「新たなサブスク型の収益源」の創出を図ってまいります。

 

② テクノロジーコンサルティング事業

   テクノロジーコンサルティング事業については、当社が戦略的ドメインとして位置付ける顧客層(医療・金融/公共・自動車(EV)・モバイル・不動産等)に向け、次世代型ソリューションとして位置付ける「ソフトウエア テスト等の実行・管理の自動化(Automation)」「ビッグデータと分析(Analytics)」「人工知能(AI)」等のコア技術を活かして数々のソリューションを積極的に展開してまいります。今後は、フィリピンのオフショア拠点を中核としつつ、若く優秀なバイリンガルITエンジニアの強みを生かし、高度IT人材の育成や日本国内の営業体制の強化を通じて、価格競争を回避するための組織体制強化により収益性の高い案件の獲得力を高めてまいります。さらに、フィリピン以外のオフショアパートナーや国内SIerの協業を通じ、外部リソースとの連携による柔軟な対応体制の構築も推進してまいります。

 

 

③ 全社的な取り組み

当社は既存事業の成長に加え、「当社知財等を活用した新規事業の育成」及び「協業企業様との投資を介したWin-Winインベストメントモデル」を事業戦略に掲げており、それらの実現に向けたさらなる投資活動 の展開及びそれら投資効果の本格的な発現に向けた取り組みを強化してまいります。今後は、先端IT人材のさらなる育成やメディカル事業でのフィリピン人材の活用拡大などの人的投資を推進することにより、新たな収益ピラーの立ち上げ、新規事業モデルの創出に全社的に取り組み、引き続き「最高益達成」の実現を目指してまいります。また、当社は2022年4月よりプライム市場へ移行し、ガバナンス・経営成績・財政状態等の整備に向けて改善を実施しており、今後もより高い水準の経営体制に向け取り組んでまいります。

 

 ④ 協業・戦略的提携

当社はこれまでWin-Winインベストメントモデルとして資本業務提携及び開発協業を実施しており、現在 も、進行・交渉段階にある国内外における複数の協業パイプライン(含むM&A)の早期実現及び新たな事業構築を目指し、継続的な成長戦略の実現を目指してまいります。中でも、メディカル事業においては、全国販売代理店との関係性をベースにしたM&A戦略を推進しており、2025年3月期より交渉を開始した株式会社ISMとの戦略的提携は、当社の中長期的成長を支えるモデルケースとして位置づけています。今後も当社グループは、提携先、当社共にWin-Winの関係を構築する協業・戦略的提携を不断に実行することにより、企業価値の継続的な向上を目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する基本的な考えや方針は以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社は持続可能な社会の実現に向けた企業の責任を強く認識し、全てのステークホルダーと協同して社会課題の解決と持続的な企業価値向上を目指すために、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標及び目標についての取り組みを記載しました。

(1)ガバナンス

 当社は、「唯一無二のビジネスイノベーションカンパニーであり続けること」「グローバル展開」「Win-Winモデルの推進による相互発展」の経営理念のもと、更なる企業価値の向上及びグローバルな競争力を維持していくためには、サステナビリティの推進が重要課題であると認識しており、コーポレート本部が統括しております。具体的には、サステナビリティ関連の方針の検討や、社内への浸透、関連部門との意見交換や重要事項の共有を行い、サステナビリティの全社的な取組みを図っております。また、必要に応じて取締役会にサステナビリティに関する活動状況の報告を行い、取締役会がサステナビリティの取組みについて監督し、重要な事項については審議を行う体制となっております。

(2)戦略 

 当社においては、性別・国籍を問わず経験・能力等に基づいたキャリア採用により事業拡大を行っております。そのため、「女性」「外国人」「キャリア採用者」に特化した管理職への登用に関する施策・目標設定は行っておりません。また、現在国外の子会社の取締役(外国籍)を含めて3名の女性役員が活躍しておりますが、今後も性別、国籍によらず、人格、見識、経営能力ともに優れた多様な人材の登用を推進して参ります。さらなる多様性の確保に向けた人材育成方針や社内環境整備方針を含め、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略を検討することとしております。

 当社グループにおける、人材の多様性確保を含む人材育成、社内環境整備、SDGsへの取り組みに関する方針は、以下のとおりであります。

①人材育成方針

 人材育成の基本方針は以下の通りです。「新しいスキルの再教育」、「リーダー教育」、「リソースプール化」(事業間連携による稼働率の最大化)

~テクノロジーコンサルティング事業におけるエンジニア教育について~

戦力となる真のトップエンジニアに育て上げるための当社の研修・教育制度は、他社が容易にキャッチアップすることのできない強力な差別化要因の一つです。

フィリピンの自社研修センター「ACTION」における当社自社開発の研修は、IT基礎概念、先進技術、対人ソフトスキル、日本語の4カテゴリーで構成され、PhilNITS(フィリピン国家情報技術者試験)と日本語検定4級の合格を目標としています。

 研修終了後、研修生はボードメンバーに対して成果を発表し面接評価を経て初めてプロジェクトへの参加がアサインされます。優秀な学生であっても実際に仕事を一任されるまでのプロセスは容易ではなく、このような関門を突破したプログラム卒業者は高度な技術力と日本語環境における業務遂行能力を有することから日本のIT市場において圧倒的な優位性を発揮しており、当社成長の強力なエンジンとなっています。

②社内環境整備方針

 今年度は男性の育児休暇取得実績もあり多様性の確保に向けて、多様な人材がそれぞれの個性やライフステージの変化に合わせて働き方を選択できる制度や環境・風土を作ることを社内環境整備方針として、以下の施策を実施・推進しています。

・定年後の社員をパフォーマンスに応じて処遇する再雇用制度の導入

・在宅勤務制度の導入

③気候変動・環境問題への取り組み方針

 医療機関向けに販売しているレセプト点検システム「MightyChecker®」シリーズにより、医療従事者の労働時間削減を進めております。その結果として医療機関での二酸化炭素排出量の削減を進めております。

(3)リスク管理

 事業に重大な影響を与える事態の発生防止と万が一の発生時の損害・影響の最小化、並びに事業の継続性及び業務の適正性を目的に、「危機管理規程」を定めています。総務人事部を統括部門として、全社的なリスクに関する情報を収集及び一元管理し、予防と発生時における対策の整備を推進していて、サステナビリティに関しては、長期的な視点が必要なため、通常のリスク管理に加え、リスクに対する対応策及び機会の活用施策を検討しており、定期的に取締役会にその状況を報告しています。

 重要度の高いリスクに関しては、重大なリスクへの対策を集中して行い、リスク発生の回避や発生時の影響の最小化を図っています。引き続き、当社に関するリスクの分析・評価を行い、統合的リスク管理体制の構築を進めていきます。リスクの内容については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(4)指標及び目標

 メディカル事業の主力製品である「MightyChecker®」シリーズの導入により、医療従事者の労働時間削減に寄与する結果となりました。当社製品を導入している医療機関全体の1か月における削減労働時間は、約42万時間となり二酸化炭素削減量に換算すると約(注)840万リットルとなります。今後も医療機関における当社製品導入件数が増加することにより、二酸化炭素削減量も増加する見込みです。

 また社内環境整備の「定年後の社員をパフォーマンスに応じて処遇する再雇用制度」については、数名ではありますが採用に至りました。この制度は長年培ってきたスキルや知識を持つ定年後の社員が引き続き活躍できるよう、その業績や貢献度に応じた処遇を行うことを目的としております。「在宅勤務制度」につきましても週2日の在宅勤務を推進しており、社員のワークライフバランス向上を目指しております。この取り組みにより、通勤時間の削減や柔軟な働き方が可能となり多くの社員から高い評価を受けております。

 人的資本及び人材育成に関して当社は性別、国籍などに囚われず、事業活動に必要な人材を今後も幅広く採用する方針です。持続可能な社会を目指すために人材投資は重要であるという認識ではございますが、現時点において指標及び目標に関して具体的な数値の設定はしておりません。今後については人材の多様性を鑑み、適切な指標を設けるための検討を進めてまいります。

 

(注)人間は一時間あたり20リットルの二酸化炭素を排出するデータを基に試算

  (423,692時間 X 20リットル = 8,473,846リットル)

(出典:日本建築学会環境系論文集 第81巻 第728号 885-892 換気測定のための在室者の二酸化炭素呼出量の測定)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク要因について、以下に記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 経済動向による影響について

 当社グループは、日本国内のほか、フィリピン、中国及び米国に事業拠点を設置し、事業を展開しており、また当社グループの取引先についても、その多くが日本国内に留まらず海外にて事業を展開しております。このため、当社グループの事業活動は、日本や事業拠点のある現地の国々や地域に限らず、当社グループの取引先が事業展開を行っている国々や地域の経済環境や社会環境の変化及び景気動向の影響を受ける可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (2) メディカル事業に係るリスク

 ① 情報システムの障害について

 当社グループがインターネットを通じて提供するクラウドサービスにおいては、患者様の既往歴・処方薬等の診療記録をはじめとする、医療機関よりお預かりした重要な個人情報を取り扱っております。情報システムの構築にあたっては、これらの重要情報についての改ざんや大規模盗難等の危険性を排除した万全の品質管理を徹底しておりますが、万が一、医療機関に提供した情報システムに予想し難い欠陥や不具合が生じた場合、あるいは個人情報が漏洩した場合には、当社グループの信用低下や、損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定製品への依存について

 当社グループが展開するメディカル事業において、レセプト点検ソフトMightyシリーズは、2025年3月期の連結売上高の約27%を占める主力製品となっております。当製品が想定外の事由により販売中止となった場合や、他社製品への乗替え等により売上高が大幅に減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ 診療報酬の改定について

 現行法上、診療報酬は2年に1度改定されており、この改定において診療報酬が引き下げられた場合、当社グループの販売先である医療機関の経営を圧迫する可能性があり、これに伴い当該医療機関の設備投資が縮小された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) テクノロジーコンサルティング事業に係るリスク

① システム開発プロジェクトに関する採算性について

 当社グループは、システム開発の受注活動の準備段階において、予め、顧客の要求する仕様・機能その他の顧客のニーズに応えるために必要な延べ作業時間(作業工数)の見積もりを出し、開発に要する費用を確定させて契約しております。しかしながら、特に請負の契約においては、その開発作業の過程において、仕様の変更や何らかのトラブル等の発生により、予め見積もっていた作業時間を超える作業が発生した際には、その費用を当社グループが負担しなければならない場合があります。また、開発したシステムの顧客への検収完了後不具合が発生した場合においても、その解消を当社グループの費用負担で行わなければならない場合があります。したがって、これらの事象が発生した場合には、予め見積もった費用を超える費用を当社グループが負担し、システム開発案件の採算性が悪化することとなります。当社グループとしてはこのようなリスクを考慮し、品質向上の取り組みを強化するとともに、できる限り準委任もしくは派遣の契約を優先しておりますが、請負の契約の割合が高まり、かつ、上述のような事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 受託開発における実行予算の見積りに関するリスク

 受託開発においては、請負業務に関する収益の計上に際して、一定の期間にわたり履行義務が充足される契約については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、一定の期間にわたり収益を認識しております。当該収益認識に係る進捗度の見積り方法は、実行予算に対する実際原価の割合(インプット法)で算出しております。実行予算の見積りは、対象となる請負業務ごとに内容や工期が異なるため個別性が強く、また、進行途上において当初想定していなかった事象の発生により業務内容の変更が行われる等の特徴があるため、今後、想定していなかった状況の変化等により実行予算の見積りの見直しが改めて必要となった場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、業務の進行途上において業務内容の変更等が行われる場合には、当該状況の変化に関する情報を適時に適切な部署・権限者に伝達し、当該情報をもとに適宜実行予算を見直すことにより、適切な収益認識となるように対応しております。

 

 ③ 海外での事業展開について

 当社グループは、日本国内のほか、フィリピン、中国及び米国に事業拠点を設置し、事業を展開しております。海外での事業展開において適用を受ける関連法令・税制・政策の制定、改正又は廃止、並びに解釈の相違、政治経済情勢・外交関係の変化、電力・輸送・通信等のインフラの停止・遅延、法令・規制・商慣習の実務上の取扱いの変更、人件費の上昇、テロ、戦争、伝染病等が発生した場合や、日本との商習慣との違いから生じる取引先等との潜在的リスクが顕在化し、現地での事業活動に悪影響が生じる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④ 為替相場の変動、送金について

 当社グループは、日本国内のほか、フィリピン、中国及び米国において製品開発及び販売を行っております。連結財務諸表を作成するにあたっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。為替相場の変動は中長期的には平準化されるものと考え、為替予約等は行っておりません。また、これら4カ国間の送金が、それぞれの国の法規制や政策の変更、外交関係の大きな変化により、円滑に行い難い状況となった場合には、当社グループの業務に影響が生じ、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑤ 自然災害等について

 当社グループは、日本国内のほか、フィリピン、中国及び米国において事業を展開しており、地震・台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。特に、日本及びフィリピンにおいて大規模災害が発生し、当社グループや常駐先企業が人的及び物的被害を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑥ 競合状況及び競争政策(価格競争)について

 当社グループは、フィリピンにおいて、長年に渡り日系企業との取引関係の実績を積み上げ、また、ノウハウを蓄積することにより、競合他社との差別化を図っておりますが、競合他社のフィリピン市場への参入やベトナム等他国における日系企業向けオフショア開発企業との競争等により、当社グループを取り巻く市場の競争環境がより一層激化し、コスト面や技術力等で競合他社に対し、競合優位性を確保することが困難となる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑦ 国内の法規制について

 当社の事業の遂行にあたっては、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)、職業安定法、出入国管理及び難民認定法(入管法)等の関連法令による規制の適用を受けております。当社では、これらの関連法令の遵守に努めておりますが、万が一法令違反に該当するような事態が発生した場合や、当該法令の変更や新たな法令の施行等により事業上の制約を受けるような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑧ 技術革新への対応について

 当社グループが主力事業として展開するテクノロジーコンサルティング事業においては、技術革新のスピードが速く、新言語・新技術によるサービスの導入が加速しております。このような状況の中、技術革新への対応が遅れた場合、あるいは想定を上回る速度での技術革新や新技術が出現し普及した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑨ 租税に係るリスクについて

 フィリピン共和国において当社連結子会社Advanced World Systems, Inc.及びAdvanced World Solutions, Inc.(本項目において、以下、「当連結子会社」という。)は、付加価値税の還付請求権を有しております。当連結子会社は、同国の内国歳入庁に対し遅滞なく還付請求を行っておりますが、同庁による付加価値税の還付手続の遅延により、未だ9,026千フィリピン・ペソの付加価値税については還付されておらず、そのうち一部の請求については、同庁より還付の否認通知書を受領しております。当連結子会社は同否認通知書には重要な認識の誤りがあり不当であるとして、同国租税裁判所へ否認の取り消し及び還付の実施を求め提訴あるいは提訴の準備を進めております。

 当連結子会社においては、引き続き、付加価値税の還付請求を行ってまいりますが、同庁と当連結子会社側の主張・見解と相違する結果となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 代表取締役への依存

 当社代表取締役社長青木正之は、当社グループの経営戦略の立案・決定や業務上の提携先及び取引先との交渉において中心的な役割を担うほか、実務レベルでの事業運営の推進においても重要な役割を果たしております。当社は、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成・強化に注力しておりますが、依然として同氏の経営判断、行動力、営業力及び人脈等に一定程度依存している傾向にあるため、同氏が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの今後の事業展開及び業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(5) 情報セキュリティについて(個人情報・機密情報の流出)

 当社グループでは、事業遂行にあたり、顧客の企業情報や顧客が保有する個人情報等、様々な機密情報に接する機会があります。それらの情報管理やセキュリティ管理に対しては個人情報保護規程や企業機密管理規程を整備するとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得し、情報の適正な取扱いと厳格な管理を的確に行っておりますが、万が一、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用低下や損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) コンピュータウイルス等について

 当社、国内子会社及びフィリピン子会社は、不正アクセスやコンピュータウイルスによる被害、内部不正者や外注先による情報漏洩等の脅威に備えるため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しております。また、月1回定期的にISMS管理策チェックを行い、全ての役員・従業員に対する意識付けを組織的かつ継続的に行っております。しかしながら、万が一、不正アクセスやコンピュータウイルスによる被害等、不測の事態が生じた場合には、当社グループの信用低下等を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 知的財産権について

 当社グループは、事業活動において、第三者の特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう、常に注意を払うとともに、必要に応じて当社グループの知的財産権の登録を申請することで、当該リスクの回避を図っております。しかしながら、当社グループの認識していない第三者の知的財産権が既に成立している可能性や当社グループの事業分野で第三者の知的財産権が成立する可能性があること等から、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性があり、その第三者より、損害賠償請求、使用差止請求及びロイヤリティの支払い要求等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 人材の確保と育成について

 当社グループの事業を推進していくためには、高度な専門知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠であります。当社グループは、ストック・オプション等のインセンティブの付与や、人材育成に係るプログラムの強化、人事評価の適正の確保、福利厚生制度の拡充、ワークライフバランスの実現等により、優秀な人材の確保・育成及び流出防止に努めておりますが、予定していた人員の確保及び育成が計画どおり進まない場合や既存の人材の社外流出、また、賃金水準が急激に高騰した場合における人件費負担増等があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 今後の事業展開について

当社グループでは今後も引き続き、企業価値の継続的な向上を目指し、当社グループのノウハウを活かした収益力の高い製品、サービスの創出及び協業・戦略的提携に積極的に取り組んでまいりますが、事前に十分な検討をしたにもかかわらず、期待した成果があがらない場合や予想困難なリスクの発生により当初の事業計画を達成できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 投融資について

当社グループでは、今後の事業展開の過程において、出資、設備投資、アライアンス、M&A等の投融資の実施を目指しております。投融資については、投資リスクを十分に検討し、また、当社グループの財政状態等を総合的に勘案して決定してまいりますが、予定していた投融資が回収できない場合や、減損損失の対象となるような事象が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、当社グループの役員、従業員ならびに社外協力者に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しております。2025年5月31日現在、新株予約権による潜在株式数は356,000株となっており、発行済株式総数株の2.9%に相当します。

これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が一定程度希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。

さらに、潜在株式の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 配当政策について

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、事業成長と戦略的投資のバランスを見極めながら、安定した配当を継続的に実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当社グループの業績が計画どおりに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

a.財政状態

(資産)

  当連結会計年度末における流動資産は6,604,056千円となり、前連結会計年度末に比べ943,881千円増加いたしました。これは主に、売掛金が97,695千円、未収入金が16,423千円減少したものの、現金及び預金が834,351千円、契約資産が214,666千円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,266,349千円となり、前連結会計年度末に比べ42,709千円増加いたしました。これは、有形固定資産が23,254千円、投資その他の資産が63,056千円減少し、無形固定資産が129,020千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

  当連結会計年度末における流動負債は1,771,613千円となり、前連結会計年度末に比べ45,655千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が19,592千円、契約負債が20,005千円、リース債務が14,026千円増加したこと等によるものであります。固定負債は497,000千円となり、前連結会計年度末に比べ58,937千円増加いたしました。これは主に、リース債務が104,841千円増加したものの、退職給付に係る負債が37,401千円、繰延税金負債が7,773千円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

  当連結会計年度末における純資産は5,601,792千円となり、前連結会計年度末に比べ881,998千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金が165,425千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払により利益剰余金が704,160千円増加したこと等によるものであります。

 

 

b.経営成績

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府による経済対策や金融政策の影響に加え、個人消費や賃金上昇、企業の設備投資等の継続を背景に、緩やかな景気回復基調が続いております。当社の属する情報サービス産業におきましては、デジタル化や人手不足への対応を主因に拡大傾向にあり、人材確保と生産性向上へのニーズが高まっております。

 

 このような状況の中、当社は、課題先進国と言われる日本の少子高齢化、医療問題といった社会課題に着目し、革新的なITソリューションにより解決するビジネスモデルを提供してまいりました。

 

 メディカル事業においては、医療従事者の働き方改革の推進、医療機関の収益改善、医療安全と質の向上に向けて、レセプト点検ソフトウエア市場におけるリーディングカンパニーとして、医療機関向け経営支援ソリューションであるレセプト点検ソフトウエア「MightyChecker®」シリーズ並びに、オーダリングチェックソフト「Mighty QUBE®」のシェア拡大に向けた取り組みを継続してまいりました。「AI×サブスクモデル」を実現した次世代型レセプトチェックシステム「MightyChecker® EX」、オーダリングチェックソフトの進化版「Mighty QUBE® Hybrid」においては、引き合い及び販売も大手医療機関を中心に好調に推移しております。さらにはクラウドコンピューティングを活用したレセプト点検の推進や、学会や健保組合等へのデータ分析の取り組みの実施など、事業ポートフォリオの構成を変革したことにより、前倒しで実施した高収益モデルの確立による効果が継続しております。また、当社事業戦略のスローガンの1つである、「当社知財等を活用した新規事業の育成」においては、新規プラットフォームビジネスとして、2020年9月より提供を開始した保険業界向け業務効率化ソリューション「保険ナレッジプラットフォーム」の横展開に続いて、レセプト点検プラットフォームである「遠隔サービスプラットフォーム」を新たにリリースいたしました。

 

 テクノロジーコンサルティング事業においては、国内IT人材の不足に対応するべく、オフショア開発30年のノウハウを生かし、オフショア開発コンサルティング事業を国内外の大手企業向けにスタートいたしました。各企業様のプロジェクトに合ったベンダー選定からオフショア環境の提供・多様な開発スタイルへの対応、その後の保守運用フェーズまで一気通貫でのサポートが可能となります。これにより、精度の高いコンサルティングを実現すると同時に、国内外の市場に向けて、マーケットを拡大してまいります。当社はこれまで、主にフィリピンを拠点とする効率の高いオフショアリソースを活用したITアウトソーシング及びソリューション開発事業を展開しており、「ソフトウエアテスト等の実行・管理の自動化(Automation)」「ビッグデータと分析(Analytics)」「人工知能(AI)」等のコア技術を活かし、戦略市場である医療・金融/公共・自動車(EV)・モバイル・不動産等の領域に向け、数々のソリューションを継続して提案しております。さらに、旺盛な引き合いから予想される大型開発需要や既存の主要顧客、AI事業のビジネス拡大等、成長市場での新たなソリューションに係る受注に対応すべく、高難度のプロジェクトマネジメントや成長市場で必須となる技術分野に特化した高度人材の育成、フィリピン以外のアジアパシフィック地域を含めたグローバルリソースの教育及び獲得を実施してまいりました。

 なお、当連結会計年度より、2024年5月1日に実施した組織変更に伴い、従来の「グローバル事業」の名称を「テクノロジーコンサルティング事業」に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高6,340,989千円(前期比6.7%増)、営業利益1,315,569千円(前期比22.7%増)、経常利益1,341,490千円(前期比43.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は858,398千円(前期比63.1%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績を示しますと、次のとおりであります。

 a. メディカル事業

  2024年4月より医師にも適用された働き方改革および診療報酬改定の影響を受け、医療機関におけるDX投資の加速が進行しています。この市場環境の追い風を背景に、当社の基幹ソリューション「Mighty」シリーズのユーザー数は、前連結会計年度末比5.4%増の21,944件となりました。子会社である株式会社エーアイエスが展開する主力製品、レセプト点検ソフト「MightyChecker®」およびオーダリングチェックソフト「Mighty QUBE®」に対する需要も、引き続き堅調に推移しています。次世代レセプトチェックシステム「MightyChecker® EX」は、旧製品「Mighty Checker For ORCA」及び「(旧)MightyChecker® PRO」の新規販売終了によるアップセル施策によって順調にリプレイスが完了し、ユーザー単価アップに向けた施策を継続しております。

 また、WEBを活用した営業・サポートへの移行によるダイレクトアカウント(直接販売)獲得、ソリューションの重ね売り(顧客単価アップ)の推進、当社ソリューション導入による経済効果を見据えた新価格への切り替えの取り組みを強化しております。また、新たに当社ではメディカル事業のさらなる収益拡大を目的に、すでに関係を構築している全国の販売代理店の買収による「M&A戦略」を推進してまいります。「Mighty」シリーズの販売は、現在約95%が販売代理店経由となっており、この施策により販路の拡大と直接取引ルートの強化を図ります。2025年3月期に交渉を開始した株式会社ISMとのM&Aを見据えた戦略的な提携は、当社の中長期的成長を支えるモデルケースとして位置づけています。

 また、同社が有する全国800件以上の医療機関との強固なネットワークを活かし、既存導入施設には次世代製品へのリプレイス、新規医療機関には「MightyChecker® EX」などの新規導入を推進してまいります。これにより、顧客単価の向上と導入医療機関数の増加を実現するとともに、エーアイエスが長年蓄積してきた販売ノウハウを融合させることで、代理店における販売力の最大化を図ります。今後は、同社のM&Aを成功モデルとして、すでに関係を構築している全国の地域密着型販売代理店との関係性をベースに、段階的な協業体制の強化とグループとして連携を進めることで、代理店ネットワークを活用した営業効率の最大化と、より盤石な収益構造への転換を目指してまいります。Mightyシリーズに次ぐ新たなサブスク型の収益源の確保及び、さらなる収益率向上に向け、医療クラウドサービス「SonaM(そなえむ)」や、当社知財等を活用した、データ分析(健保組合・学会等)を含む新規プラットフォームビジネスの推進など、医療のデジタル化に関する新事業を積極的に立ち上げております。これら施策の一つである保険業界向け業務効率化ソリューション「保険ナレッジプラットフォーム」は、複数の生命保険会社との実証実験を経て、現在4社の生命保険会社にて実装されております。今後は、追加オプションのクロスセルを推進すると同時に、新たなサブスクリプション型メニューとして、保険業界全体へ向けた浸透を図ってまいります。

 また、新たに提供を開始した「遠隔サービスプラットフォーム」は、「MightyChecker® EX」のエンジンと医療クラウドサービス「SonaM」を搭載した、レセプト点検プラットフォームです。大手医療人材派遣業を手掛ける株式会社日本教育クリエイトとの業務提携により、同社が提供するオンラインレセプトチェックサービス「レセノテ」への採用が実現しました。今後、「レセノテ」の契約医療機関増大により、「MightyChecker® EX」の拡販とエンジン提供によるサービス提供料の2つの収益モデルで、売上・利益の向上に寄与します。利益面につきましては、サブスクリプションモデルによる盤石な収益基盤の拡大と、プロジェクト毎の徹底した収益管理及び継続的なコスト削減等が奏功した結果、セグメント利益は過去最高水準の高収益性を継続、売上高セグメント利益率が65.5%と、引き続き高い収益性を達成いたしました。

 

 この結果、メディカル事業の売上高は1,723,673千円(前期比4.7%増)、セグメント利益は1,128,432千円(前期比11.7%増)となりました。

 

 b.テクノロジーコンサルティング事業 

 国際情勢の複雑化や社会経済構造の変化を背景に、大手企業やSIerにおいてオフショア開発委託先の再編が進む中、当社は、安全性と品質を両立した開発体制、ならびに30年に及ぶフィリピンオフショア開発の実績を評価され、引き続き高い需要を確保しております。その結果、新規プロジェクトの開始や外部環境の影響により2024年3月期第3四半期に発生したSIer関連案件の一時的な時期ずれは徐々に解消し、売上高・営業利益ともに前年を上回る結果となりました。2025年3月期第4四半期単体においては、世界経済の先行き不透明感を背景に、米国の関税措置の影響を受けるクライアントが顕在化したことにより、製造業を中心に一部案件において値下げ圧力が強まっております。それに伴い、オフショア開発領域においては価格競争が激化しつつありますが、当社はこのような環境においても価格競争に巻き込まれることなく、収益性を慎重に精査・選別した上で、戦略的な受注の絞り込みを実施いたしました。また、同四半期にて発生した請負案件のオーバーランへの対応に伴い、短期的には利益面に一定の影響を及ぼしております。このような方針のもと、2026年3月期上期では、価格競争を回避するための組織体制強化として、特にAIを含む先端技術領域に対応可能な高度IT人材の育成と、高単価な上流工程に対応する体制の強化を推進に加え、日本国内営業体制の強化により、高単価で収益性の高い案件の獲得力向上にも取り組んでまいります。

 また、フィリピン以外のオフショアパートナー企業との連携や、日本国内のSIerとの協業を通じ、外部リソースとの連携による柔軟な対応体制の構築も推進してまいります。さらに、米中関係由来のサプライチェーンの変化や中国国内経済の低迷を背景に、日本およびグローバル企業における中国拠点の縮小・撤退が進む中、当社もこうした構造変化に対応し、中国拠点の構造改革(拠点縮小・人員削減)を実施いたします。具体的には、昆山事業所の縮小と合肥事業所への事業集約を実施し、固定費の圧縮と収益構造の最適化を図ります。これにより、主要顧客である、グローバル大手PCメーカーとの取引関係を維持しつつ、営業利益の確保を可能とする体制を進めてまいります。なお、当施策に伴う人員削減および移転関連の費用については、2026年3月期上期に一時的な損金として発生する見込みです。他方で、フィリピン拠点におけるラボ型開発体制において、クライアントである日本の大手企業の幹部候補者を出向者として受け入れる「出向ラボ型開発」を推進しております。このモデルは、出向者が現地エンジニアと協働することでクライアント企業内でのオフショア活用のノウハウや技術継承・人材育成にも寄与しています。円滑なコミュニケーション、円滑なプロジェクト進行と長期的な取引継続を目的とした新しい開発体制です。出向ラボ型では、出向者が現地外国人エンジニアとの共同作業を通じ、英語による開発・マネジメント経験を蓄積し、異文化環境下でのコミュニケーションスキルの向上、さらにオフショア拠点活用のノウハウを自社に蓄積することができるため、クライアント企業における次世代幹部人材の育成にも資するモデルとなります。実際、在フィリピン日系企業が同国の投資環境におけるメリットとして最も重視する点の一つに「言語・コミュニケーション上の障害の少なさ」が挙げられており、この環境は出向ラボ型開発の円滑な実施と相性が良く、戦略的人材育成とオフショア開発の生産性を同時に実現できる手法として、当社の差別化要素となっております。(出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)「海外進出日系企業実態調査アジア・オセアニア編(2024年度)」)ソフトウエアテストやその実行・管理の自動化、製品開発支援及びアプリケーション開発分野では、日本における既存の大口顧客からの受注が堅調に推移しております。AI先進分野の領域においては、グローバル製薬企業などの医療領域をはじめとする新規受注を順調に拡大、またEV分野の大手グローバル企業との取引も継続するなど、業界を代表する大手顧客を中心に、積極的な取り組みを継続強化いたしました。

 

 この結果、テクノロジーコンサルティング事業の売上高は4,617,315千円(前期比7.5%増)、セグメント利益は562,017千円(前期比33.7%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ834,351千円増加し、4,860,452千円となりました。。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は930,831千円(前期比28.1%増)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加及び法人税等の支払等があったものの、税金等調整前当期純利益及び現金支出を伴わない減価償却費の計上等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は18,799千円(前期に使用した資金は272,761千円)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等があったものの、投資有価証券の償還による収入があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は126,432千円(前期比18.4%減)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入があったものの、リース債務の返済による支出及び配当金の支払等があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

テクノロジーコンサルティング事業

3,504,690

5.4

メディカル事業

325,340

△11.4

合計

3,830,030

3.7

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.金額は、製造原価(売上原価)によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

テクノロジーコンサルティング事業

4,619,709

△4.7

1,156,358

0.2

メディカル事業

1,810,468

1.3

923,531

10.4

合計

6,430,178

△3.1

2,079,889

4.5

 

(注) セグメント間取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

テクノロジーコンサルティング事業

4,617,315

7.5

メディカル事業

1,723,673

4.7

合計

6,340,989

6.7

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本アイ・ビー・エム株式会社

807,986

13.6

1,127,444

17.8

レノボ・ジャパン合同会社

638,970

10.8

694,079

10.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

(売上高)

当社グループは、請負業務に関する収益の計上に際して、一定の期間にわたり履行義務が充足される契約については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、一定の期間にわたり収益を認識しております。当該収益認識に係る進捗度の見積り方法は、実行予算に対する実際原価の割合(インプット法)で算出しております。実行予算の見積りは、対象となる請負業務ごとに内容や工期が異なるため個別性が強く、また、進行途上において当初想定していなかった事象の発生により業務内容の変更が行われる等の特徴があるため、今後、想定していなかった状況の変化等により実行予算の見積りの見直しが改めて必要となった場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

a.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は6,340,989千円となり、前連結会計年度に比べ398,347千円増加いたしました。これは主に、テクノロジーコンサルティング事業において、大手新規顧客の増加及び自動化や分析等の当社のコア技術を活用したソリューション案件が伸長したこと、また、メディカル事業において、主力製品であるMightyシリーズの導入医療機関の順調な増加により、サブスクリプションモデルによる盤石な収益基盤が構築されたことによるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,340,989千円(前期比6.7%増)となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度の売上原価は3,830,030千円となり、前連結会計年度に比べ135,937千円増加いたしました。また、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,195,389千円となり、前連結会計年度に比べ19,143千円増加いたしました。

 これらの増加は主に、グループ全体で、開発需要に対応するため戦略的に人員強化を実施したことによる、人件費の増加等によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は1,315,569千円(前期比22.7%増)となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は48,237千円となり、前連結会計年度に比べ37,352千円増加いたしました。これは主に、為替差益及び投資事業組合運用益の増加によるものであります。

 当連結会計年度の営業外費用は22,316千円となり、前連結会計年度に比べ125,015千円減少いたしました。これは主に、為替差損及び投資事業組合運用損の計上が減少したこと等によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は1,341,490千円(前期比43.3%増)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度の特別利益は3,294千円となり、前連結会計年度に比べ3,285千円増加いたしました。これは主に、投資有価証券償還益の増加によるものであります。特別損失は0千円となり、前連結会計年度に比べ17,293千円減少いたしました。これは主に、投資有価証券評価損の計上が減少したこと等によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は1,344,785千円(前期比46.4%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計)は486,387千円となり、前連結会計年度に比べ93,957千円増加いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は858,398千円(前期比63.1%増)となりました。

 

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、事業成長と将来の成長を見据えた戦略的投資と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。
 当連結会計年度末における有利子負債残高は407,480千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,860,452千円となっております。
 内部留保については、安定した配当を継続しつつ、将来の成長のための事業展開と経営体質の強化に優先的に充当してまいります。既存事業の成長に加え、今後の事業展開の過程において、出資、アライアンス、M&A等の投融資の可能性も積極的に追求してまいります。
 なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります

 

c.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

5 【重要な契約等】

 

契約会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

株式会社Ubicom

ホールディングス
(当社)

日本アイ・ビー・エム株式会社

日本

IBM戦略パートナー契約書

2023年
5月30日

2023年6月1日から
相手先により終了されるまで

日本アイ・ビー・エム株式会社に対し、サービスを提供することに関する契約

株式会社Ubicom

ホールディングス

(当社)

日本アイ・ビー・エム株式会社

日本

企業グループ適用に関する覚書

2023年

5月30日

2023年6月1日から戦略パートナー契約終了まで、または相手先により終了されるまで

日本アイ・ビー・エム株式会社に対し、サービスを提供することに関する契約

株式会社Ubicom

ホールディングス

(当社)

株式会社オージス総研

日本

資本業務提携基本契約書

2024年2月2日

2024年2月2日から資本業務提携契約終了まで、または相手先により終了されるまで

株式会社オージス総研が当社の株式を保有することによる資本業務提携契約

株式会社エーアイエス

日本アイ・ビー・エム株式会社

日本

企業グループ適用に関する覚書

2023年

5月30日

2023年6月1日から戦略パートナー契約終了まで、または相手先により終了されるまで

日本アイ・ビー・エム株式会社に対し、サービスを提供することに関する契約

 

 当社の連結子会社である株式会社エーアイエスは、2025年5月26日開催の取締役会において、株式会社ISMとの間で、株式譲渡契約書を締結することを決議いたしました。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

6 【研究開発活動】

  該当事項はありません。