文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針、経営戦略等
当社グループは、「私たちは、社会の安定と発展に貢献する責任を自覚し、公正かつ誠実な企業活動を基盤とした創造的なサービスの提供を通して、全社員と私たちに関わる全ての人の幸せを追求します。」という企業理念を掲げております。
「誰もが自分の人生をまっとうできる社会をつくる」を未来ビジョンとして、市場の環境変化に対応する柔軟性と実行力を発揮し、様々な企業との提携等を通して各種サービスを充実させるとともに、家賃保証以外のサービスも展開することで、企業価値を高めていくこととしております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表しておりますが、主力事業の堅調な拡大や、K-netのグループ化により、計画を大幅に上回る見込みです。
2026年3月期は、以下の数値目標を設定しております。
売上高 21,000百万円
営業利益 3,500百万円
営業利益率 16.7%
(3)経営環境及び対処すべき課題
主力の家賃債務保証事業においては、賃貸借契約における家賃債務保証会社の利用率は増加傾向にありますが、企業間の競争が激しさを増しております。また、関連する賃貸不動産業界も含め、時代のニーズにあわせた様々な技術革新や新たなサービスの導入が進もうとしております。このような状況の中、当社グループは「地域密着」で培ってきた情報力・対応力を最大限に発揮することで深い信頼関係を築くとともに、人財・システム等への積極的な投資を行い、市場環境の変化や顧客ニーズにあわせて変化すること、及び新たな事業展開を図ることによって継続的な事業拡大を目指しております。そのため次の項目を重点課題として取り組んでまいります。
① 利益の拡大
a. 売上の拡大
既存店舗網を活用し、当社が培ってきた地域密着の強みを活かした営業展開を継続するとともに、首都圏での営業強化や新規出店による営業エリア拡大を図り、認知が拡大している事業用賃料保証においては、大型オフィスや商業施設にも積極展開してまいります。また、新規契約による受取保証料だけでなく、既存契約からの継続保証料や代位弁済手数料、収納代行手数料等の増加により、継続的な売上維持・拡大を図ってまいります。さらには、医療費保証等の新たな収益基盤の拡大も進めてまいります。
b. サービス開発
家賃債務保証業界においては、競争環境が厳しさを増しており、関連する賃貸不動産業界も含め、時代のニーズにあわせた様々な技術革新や新たなサービスの導入も進んでおります。当社の市場シェア拡大のためには、これらの情報収集とニーズや環境変化への的確な対応を図ることが重要であり、様々な業種とのコラボレーションも含め、既存の取引にとらわれない革新的サービスの開発と申込チャネルの拡大を図ってまいります。
c. コストの抑制
各種先行投資を続ける中で、競争力を高めるためにも、与信審査の強化等による将来的な貸倒コストの抑制及びグループ各社における各種業務の効率化に取り組むことで、経費増加の抑制を図ってまいります。
d. システムの強化
サービスを安定的かつ柔軟に提供するため、システムの安定が経営上の最重要課題の一つであると認識しております。先々の業績拡大や事業展開を踏まえ、基幹システムの更改も含めて抜本的な刷新を含めたシステムの強化を進めてまいります。
② リスクコントロール
a. 審査体制の強化
家賃債務保証事業において、保証契約の締結における与信精度の向上を図り、代位弁済立替金の発生を適切な水準に抑制することが、安定的な収益の確保に資すると考えております。これまで当社が蓄積してきた債権データや個人信用情報機関の信用情報の活用、AI分析を用いた与信審査モデルの高度化により、さらなる与信精度の向上を図ってまいります。
b. 債権管理体制の強化
家賃債務保証サービスは、賃料債務の不履行の都度、代位弁済を行うものであり、毎月相当額の立替えと回収が発生するため、資金管理面からも債権管理回収の状況を重要視しております。延滞が続く賃借人に対しては、生活の立て直しを共に考えるなど支払いに向けたサポートに努めております。よりサポートの必要な方に対しては「お客様生活支援室」による生活支援相談や行政サービス情報の提供等も行っております。また、代位弁済立替金の残高、回収状況等を定期的に把握するとともに、債権管理部門の人員体制の強化、ITシステムの活用、弁護士や司法書士との連携等によって総体的なリスクコントロールを図り、滞納債権の増加抑制に努めてまいります。
③ 事業領域の拡大
当社グループビジョンの「誰もが自分の人生をまっとうできる社会をつくる」ことを目指し、家賃債務保証事業だけでなく、既存事業のノウハウを活かした新サービスの開発や、シナジーの高い企業等への資金投入やM&Aも含めた、事業領域の拡大を図ってまいります。
④ デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
デジタル技術を活用し、様々な業界との提携をすることで、業務プロセスの改革、顧客への新しい価値提供を展開してまいります。デジタル化のスピードが進みにくいとされる不動産業界において、ITを活用した手続きの効率化は重要な課題であり、当社は、グループ会社のエイビスとの連携をさらに強化するとともに、AIを活用したデータ分析の高度化及び電子申込・契約等の移行への積極的な取り組み等により、業務改革を進めてまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
社会から信用・信頼され持続可能な企業経営を行うため、経営管理体制の充実、リスク管理体制並びにコンプライアンス体制の強化は重要な課題であると認識しております。内部監査部門による内部統制の有効性評価を適切に実施するとともに、経営陣や従業員に対する研修の実施、人財の確保、業務手順の運用徹底などを通じてグループ全体の内部管理体制の一層の強化に努めてまいります。
⑥ 財務基盤の強化
継続的な成長のためには、安定した経営基盤・財務基盤が重要であると認識しております。市場シェアの拡大、良質な保証契約の拡大、ITの活用や業務効率化等、各種の施策による収益性の向上及びキャッシュ・フローの拡大を図るとともに、資金調達環境のさらなる安定化を図り、効率的な資本の活用及び強固な財務基盤の構築に努めてまいります。
⑦ 人財育成・確保
上記の課題を達成するためには、優秀な人財の確保及び育成が最も重要と認識しております。当社グループ最大の資産は人財、との考えのもと、役員を含めた管理職に対するマネジメント研修や階層別・職種別の社員教育や集合研修等を通じて理念経営を実践し、社会に貢献できる人財の育成と、当社グループの事業成長を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、各種取組み等は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社が先んじて行っており、「当社グループ」と記載している部分以外の記載内容は提出会社のものになります。
当社グループは、「全社員と私たちに関わる全ての人の幸せを追求する」ことを企業理念とし、「誰もが自分の人生をまっとうできる社会をつくる」を未来ビジョンとして掲げております。人的資本経営をはじめ、各種取組みを通じて企業理念のもと未来ビジョンの達成を目指しております。
(1) 方針
当社では、気候変動への対応を経営課題の一つと認識し、以下の環境方針のもと、サステナブルな社会の実現に貢献するため、気候変動に関連するリスク及び機会の評価や管理を行い、適切な情報開示を行うとともに、課題解決に向け取り組んでおります。
ジェイリース環境方針
当社グループは、事業活動が環境・気候等に与える影響を認識し、社会・経済の発展と地球環境の保全が両立した「持続可能な社会」の実現に向け、取組みを続けます。
1.環境管理の確立
環境に関するガバナンスの整備と運用により、環境目標の設定及び管理、定期的な見直しを行い、継続的改善を図りつつ、環境に配慮した取組みを実施する。
2.法令等の遵守
環境保全に関連する諸法令・規則及び各種協定等を遵守する。
3.環境負荷の低減
事業活動が環境・気候等に与える影響を定期的に認識し、必要な取組みを実施することで環境保全・持続可能な社会の実現に努める。
4.組織内周知
環境に関する組織内啓発活動を行い、従業員の意識を高める。
5.情報公開
この環境方針を一般に公開し、環境保全活動の推進に努める。
(2) ガバナンス
当社は、環境課題に対する取組みを通じ、取引先、顧客、株主・投資家、地域社会をはじめとするステークホルダーの皆さまからの期待及び社会からの期待に応えるため、環境経営に関するガバナンス体制を構築しております。
環境経営推進体制のトップに取締役会を位置付けております。経営企画部にて議論した環境経営に関する情報は取締役会へ報告(随時、年1回以上)され、取締役会は、環境目標の設定、目標に関する主要項目に関する進捗と実績の確認及び評価、戦略及び重要な施策についての意思決定をしております。2024年6月の取締役会では、リスク評価及び気候変動対策と中長期の目標の決定をいたしました。
当社の環境経営体制

将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務影響を把握するため、リスク及び機会の識別・評価を行い、気候変動対策を推進することで、気候変動リスクの軽減や機会獲得に向けた取組みを推進しております。
リスク及び機会の識別・評価については、IPCCやIEA等のシナリオを参考に、「1.5℃」と「4℃」の2つのシナリオを用いて2050年の状況を検討しました。また、短期(5年先)、中期(10年先)、長期(30年先)の時間軸で気候変動に関連するリスク(移行リスク、物理的リスク)及び機会を定量的、定性的に分析しております。詳細は、当社
当社は、環境関連のリスク・機会の管理を次のとおり実施しております。
①リスクの識別及び評価、管理
リスク・コンプライアンス部は、年に1回、シナリオ分析をもとに気候変動リスクの洗い出しを行い、関連部門と連携し各種リスクの評価等を行う際に、環境関連のリスク及び機会の観点も考慮に入れた上で取りまとめを行い、その内容をリスク管理委員会へ報告しております。リスク管理委員会は、リスク管理に関する対応方針や対応策の決定を行っております。
②リスクの取りまとめ及び計画・戦略案の作成
経営企画部は、担当取締役である経営企画本部長主導のもと年に1回、リスク・コンプライアンス部及び関連部門と連携し、環境関連のリスク管理の状況について取りまとめるとともに、環境関連の計画・戦略の案を作成しております。
③計画・戦略の決定
経営企画本部長は、環境関連の計画・戦略案を取締役会で説明し、取締役会で内容について審議、決定しております。
当社は、2023年度(2024年3月期)より、GHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)削減への方針及び施策を決定し、具体的な取組みを開始しています。
当社は、商品・サービスの生産に伴う直接的なGHGの排出はありませんが、脱炭素社会の実現に向け、本社や営業店での日々の事業活動に伴うGHGの排出量削減に努めています。
当社におけるGHG排出量及び削減目標については、当社
・社用車の電動車(EV)、ハイブリッド車(PHV)への移行
・夏場、冬場の室内温度調整
・業務効率化による経費削減
・LED照明への切り替え
・電子申込の普及促進、電子契約の普及促進、会議資料の電子閲覧(紙の使用量及び輸送量の削減)
・招集通知の電子提供措置(印刷資料の削減)
・社用車使用時のエコドライブ(急発進・急加速・急減速の抑制、アイドリング時間の抑制、速度超過の防止、効率的なルート選択)
※社用車にテレマティクスを搭載し運転状況を管理
・各所での野外清掃活動
なお、気候変動対応に関する評価機関であるCDPから8段階中3番目のB評価を得ています。
(1) 方針、戦略
当社の最大の資産は社員一人ひとりであり、多様な人財が未来ビジョン達成のために活躍できる会社、社員にとって物心両面が充実している会社を目指しています。
人的資源の最大化を目指し「人事制度改革」「優秀な人財獲得・人財育成」「労働環境改善」を重点テーマとして取り組んでおります。
具体的な実施内容は以下のとおりです。
①人事制度改革
社員主導の人事制度改革プロジェクト「Team Up Project」により各種制度等の追加、改善等を実施しました。一定期間運用後にさらなる見直し、改善を行う予定です。
・業績連動賞与の導入(2022年12月賞与より)
・等級制度の見直し(2023年4月実施)
・給与の大幅ベースアップ(2023年4月実施)
・各種手当の新設・見直し(2023年4月実施)
②優秀な人財獲得・人財育成
社員一人ひとりが共に働きたいと感じられる仲間を増やしていくことが、優秀な人財獲得につながることから、全社員採用(全社員によるリクルーティング)を掲げるとともに、国籍、性別等に囚われずその能力・成果に応じた人事評価を行うことを基本方針としており、多様な働き方やキャリアプランを推進することで、企業価値の向上を図っております。
<人財採用>
・リファラル採用
・アルムナイ採用
・リクルーター制度
<人財育成>
・理念浸透ディスカッション(全社員を対象に2024度2回実施):参加率100%
・毎週月曜朝にマネジメント勉強会(役員~一般社員):参加率4割超
・営業力向上のための勉強(セールススキルアッププログラム):180名以上参加
・社員の倫理観を高めるグループ学習(木鶏会):約90名参加
③労働環境改善
物心両面の充実によるエンゲージメントの向上及び生産性の向上を図っております。
・スーパーフレックス制度の導入(2023年4月)
・カフェテリアスペースの拡充
・ストレスチェックの実施
・キャリア形成支援、復職フォロー面談
当社では、社員一人ひとりが健康で自分らしく働き続けられる環境を構築するため、代表取締役社長を健康経営責任者、人財戦略本部長を健康経営推進責任者とする体制を構築しており、健康経営優良法人2025に認定(2年連続)されました。従業員が健康的に働けるようになることで、モチベーション向上及び会社全体の労働生産性向上を図ってまいります。
当社における各指標の実績及び目標は以下の通りです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクを十分に認識したうえで、発生を極力回避し、また発生した場合に迅速かつ的確な対応を行うための努力を継続してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 賃貸不動産市場の動向について
当社グループの主力事業である家賃債務保証事業は、国内賃貸不動産市場の動向に影響を受けており、人口減少、少子高齢化の進展、経済状況の悪化等に伴い、賃貸不動産の空室率上昇や賃料水準の低下、居住形態の動向(持ち家率)の変化、貸家着工件数の減少による流動性の低下、また、オフィスや店舗などの開業や転居を控える状況等によって、賃貸不動産市況が低迷した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(2) 競合について
当社の属する家賃債務保証業界は、特に住居用賃料保証においては大小様々な競合他社が存在し、また、不動産管理会社による保証サービスの提供も行われているなど、競争激化による影響を受けやすい業界構造となっております。当社では、個人信用情報を利用した入居審査に加え、ノウハウ蓄積やAI分析による精度の高い与信審査、地域密着の営業体制によって不動産会社等との取引深耕を図っておりますが、今後他社による新商品や新たなサービスの提供、価格競争等により、当社の優位性が失われた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(3) 法的規制について
① 家賃債務保証業務に関する法規制
現時点において家賃債務保証業務を制限する直接的な法的規制は存在しておりませんが、当社は国土交通省監督の家賃債務保証業者登録制度に基づく登録を行っております。また、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等の一部を改正する法律案が2025年10月に施行され、この法改正により、住宅確保要配慮者の賃貸住宅ニーズに家賃債務保証会社として対応することが求められることから、当社グループの代位弁済立替金等に影響を与える可能性がありますが、一方で、保証ニーズ拡大も見込まれます。今後、既存法令の改正や新たな法的規制等によって、家賃債務保証業務に対する法的規制等が導入された場合には、当社の事業内容及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② その他法令
不動産賃貸・仲介事業を行っている連結子会社のあすみらい株式会社は、宅地建物取引業法等の適用を受けており、また、IT関連事業を行っている連結子会社の株式会社エイビスならびに当社の医療費保証事業及び養育費保証事業においては、特段の法規制はありませんが、これら宅地建物取引業法やガイドライン等の規制が強化されたり、新たに法整備がなされたた場合には、当社グループの業務活動及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 協定代理店について
当社は、業務協定を締結している不動産事業者を介して、賃借人となる入居希望者との家賃債務保証委託契約を交わしており、当該契約に基づく保証料が当社の主な収入源となっております。当社と取引している不動産事業者は、特定の取引先に依存しておらず、その会社規模や取引数は様々でありますが、当該不動産事業者からの入居希望者の紹介が減少した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(1) 人財の確保、育成について
当社グループは、様々な経営課題克服のため、優秀な人財を継続的に確保し育成していくことが重要な課題であると認識しております。今後も教育・研修制度の充実を図り、様々な市場ニーズへの対応や付加価値の高いサービスを提供していくために積極的な人財投資を行っていく方針でありますが、優秀な人財の流出や、計画通りに確保または育成できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 新規事業について
当社グループは、事業基盤の拡大と収益の安定化による継続的な成長を図るために、家賃債務保証業務等で培ったノウハウを活かし、関連・周辺事業及び海外への展開を図っております。新規事業展開にあたっては慎重な検討を重ねた上で取り組んでまいりますが、地政学リスクを含む当該事業を取り巻く環境の変化等により、当初の計画通りの成果が得られず、新規事業に対する投資の回収ができなかった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(3) コンプライアンスについて
当社グループは、コンプライアンスについて社内教育等により徹底しておりますが、当社グループ役職員によるコンプライアンス違反や不祥事等が発生した場合、当社グループの業務遂行及び信用に影響を与える可能性があります。
(4) 外部委託先について
当社は、家賃債務保証業務を含む様々な業務を外部委託しております。外部委託先の事業環境悪化等により外部委託先のサービス提供が困難になった場合等には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(5) 風評について
当社グループや当社グルーブが属する業界を対象として、その健全性等を懸念する否定的な内容の報道、インターネット等での書き込み等がなされ、または、競合他社における業界全体に影響を与えるような不祥事によって、業界の評判が悪化した場合には、当社グループの業務遂行及び信用に影響を与える可能性があります。
(1) 信用リスクについて
① 代位弁済について
当社の家賃債務保証業務は、賃借人(保証委託者)の家賃債務の保証をする業務であるため、賃借人の家賃不払い等の債務不履行が発生した際に賃貸人に対して代位弁済を行っております。
当社は、保証の受託審査に際しては、当社と業務協定を締結した不動産事業者を通じて保証委託申込を受け付け、各種社内情報に加え、個人信用情報機関の保有する借入、貸金延滞情報や一般社団法人全国賃貸保証業協会が提供する家賃弁済情報データベースへの照会を行うなど、賃借人及び対象賃貸不動産に関する定量情報と定性情報を総合的に勘案したうえで審査判断を行っております。また、AIを活用した分析に基づく審査モデルを構築しており、審査精度の向上に努めております。代位弁済の管理回収については、初期発生債権、中長期債権に分類した上でそれぞれの担当部門を定め、各段階において賃借人の状況の早期把握と滞納解消に向けたきめ細やかな対応を行っております。
これら与信判断の適正化と代位弁済の回収の効率化等に努めることで代位弁済の管理を行っておりますが、経済環境や雇用環境が著しく悪化し、賃借人の家賃支払いに影響を及ぼす場合には、代位弁済の増加や、回収率の低下など、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
② 貸倒引当金について
当社は、代位弁済立替金等について、当社の会計方針に基づき貸倒引当金を計上し、今後予想される貸倒れ等に備えておりますが、経済環境や雇用環境が著しく悪化し、実際の貸倒れが当該見積りを上回る場合や、貸倒引当金の算定方法、区分等を変更する必要が生じた場合は、貸倒引当金の追加計上等によって当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 資金の流動性について
当社は、家賃債務保証業務において今後予想される代位弁済のために、十分な資金の流動性を維持する必要があります。
当社は、保証債務及び求償債権の管理を行い、家賃債務保証業務の代位弁済のための十分な資金を確保するとともに、金融機関との間で十分な借入枠を確保しておりますが、急激な経済状況の悪化等による代位弁済の急増、借入枠の維持・拡大が困難となった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(3) 繰延税金資産について
当社は、契約時に受領する保証料の会計処理として、契約時に売上計上する部分(信用補完相当分)と、保証期間にわたって按分して売上計上する部分(賃料保証相当分)に区分しておりますが、他方、税務上の処理においては、契約時に受領する保証料は全額当該事業年度の益金として計上していることから、その差額に対して繰延税金資産を計上しております。
当社は、将来の課税所得に関する予測に基づいて繰延税金資産を計上しておりますが、収益の悪化等により繰延税金資産の回収可能性に疑義が生じたり、将来的な会計基準の変更や法人税の税率変更等により、繰延税金資産を減額することとなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) M&Aについて
当社は、企業買収(M&A)や資本提携による既存事業の強化や事業領域の拡大を戦略の一つとしております。M&Aを行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について、弁護士・税理士・公認会計士等の外部専門家の助言を含めたデューデリジェンスを実施すること等により、各種リスク低減に努めておりますが、買収・出資後において偶発債務の発生や未認識債務又は瑕疵等が判明したり、想定したシナジーや事業拡大等の効果が得られない可能性があることに加えて、子会社化後の業績悪化やのれんの償却又は減損、投資株式等の減損等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 情報システムについて
当社グループは、業務管理のために情報システムを使用しており、適切な情報セキュリティの対策を講じておりますが、これらのシステムについて、ウイルス感染や外部からの不正アクセス、事故、災害又は人為的ミス等により、システムの安定稼働を妨げたり、機能に重大な障害が発生した場合には、当社グループの業務運営、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 情報漏洩について
当社グループは、多くの個人情報を含むデータベースを管理しております。個人情報の取り扱いにおいては、社内規程に基づきファイル保管の厳重化、社内情報監視システムの導入、アクセス権限の制限等により適切に管理しております。また、当社はプライバシーマークの認証を取得更新しており、個人情報管理規程に基づき従業員の情報管理教育を徹底しておりますが、第三者によるデータベースへの侵入や役職員及び業務委託先による人為的ミスや事故等により、情報漏洩が発生した場合には、当社グループの信用が失墜し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 自然災害、感染症等について
台風・地震・洪水等の自然災害及び感染症拡大等による被害の発生は、大幅な入居需要の縮小とともに取引先である不動産事業者の営業体制に影響を及ぼし、被害の発生地域において、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、事業継続計画(BCP)を策定し、災害時の体制整備を行っており、感染症に対しては、お客様、取引先及び社員の健康と安全を確保しつつ、サービスの維持を図るため、社内の衛生管理徹底等を実施し、感染症拡大防止のため適切な対策を実施しておりますが、万が一、当社グループの従業員が感染した場合、健康被害や事務所の一時的な閉鎖などにより業務遂行に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあり緩やかな回復が続くことが期待されるものの、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れによる国内景気の下押しリスクや、物価上昇、通商政策など米国の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響が残る状況となりました。
賃貸不動産業界におきましては、入居需要は底堅く、加えてオフィスやテナント等、事業用物件に対する賃料保証の利用が増加傾向にあります。
このような環境の下、当社グループは、地域密着を基本とした顧客(不動産会社、賃貸人、賃借人)に寄り添った丁寧な対応を徹底し、与信審査及び債権管理の強化によるリスクコントロールを継続するとともに、人的資本経営に取り組んでまいりました。
また、当社は2024年4月に、ソフトウェア開発等を行う株式会社エイビスを100%子会社化し、2024年5月より連結の範囲に含めております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は17,267,928千円(前年同期比30.6%増)、営業利益は3,102,498千円(前年同期比19.0%増)、経常利益は3,097,233千円(前年同期比18.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,089,102千円(前年同期比16.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
(保証関連事業)
売上面では、住居用賃料保証が首都圏への人的戦力投入や人財育成、外部企業や業界団体とのアライアンスなどの各種戦略の奏功により、計画を大きく上回りました。事業用賃料保証は、アフターコロナの頻繁な入退去が一巡したものの、サービスの認知拡大及び市場の拡大等により堅調に推移しました。また、当社の強みである地域密着サービスの拡大のため、2024年7月に富山支店、滋賀支店、10月に山梨支店、奈良支店を開設しました。
経費面では、貸倒関連費用の増加や競争激化による不動産会社向け事務手数料(売上原価)の増加に加え、第4四半期においてはK-net株式会社の子会社化に伴う費用等が発生したものの、売上の増加や緻密なリスクコントロールを通じた貸倒関連費用の抑制等により、過去最高益を更新いたしました。
医療費保証業務においては、引き続き販路拡大と営業強化に取り組み、多岐にわたる新規開拓ルートにより公立病院や赤十字病院などの新規取引が拡大し、計画を上回って推移いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の保証関連事業の売上高は15,245,189千円(前年同期比19.3%増)、営業利益は3,133,582千円(前年同期比21.7%増)となりました。
(不動産関連事業)
不動産仲介・管理業務及び不動産賃貸業務においては、外国人向けのサービスを中心に展開しており、円安の影響等により日本の不動産に対する外国人ニーズが高まり、売買仲介案件等が増加しました。一方で、前年同期は販売用不動産売上が大きく拡大したことから、その反動により減収となりました。
これらの結果、当連結会計年度の不動産関連事業の売上高は299,597千円(前年同期比33.1%減)、営業損失は38,257千円(前年同期は営業利益31,962千円)となりました。
(IT関連事業)
ソフトウェア開発等を行う株式会社エイビスにおいては、環境検査システムの開発販売をはじめとするITサービスを展開しており、ソフトウェア販売等が好調に推移するとともに、単発大型受注もあり、売上高、営業利益ともに計画を大幅に上回って推移いたしました。
これらの結果、当連結会計年度のIT関連事業の売上高は1,848,417千円、営業利益は30,953千円となりました。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
本項目「(1)経営成績の概要」において示しております。
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末比4,055,552千円増加し15,641,973千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加912,738千円、子会社取得に伴うのれんの増加636,171千円、代位弁済立替金の増加587,850千円、繰延税金資産の増加364,996千円、未収保証料の増加273,115千円、収納代行立替金の増加256,978千円、売掛金及び契約資産の増加236,916千円、土地の増加142,191千円、販売用不動産の増加126,321千円、貸倒引当金の増加428,977千円によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末比2,766,136千円増加し9,725,499千円となりました。これは主に、長期借入金の増加1,110,439千円、前受金の増加397,433千円、未払法人税等の増加377,564千円、未払金の増加318,408千円、1年内返済予定の長期借入金の増加126,920千円、短期借入金の減少137,000千円によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末比1,289,416千円増加し5,916,474千円となりました。これは主に利益剰余金の増加1,284,556千円によるものであります。
これらにより、自己資本比率は前連結会計年度末比2.1ポイント減少し37.8%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比912,738千円増加し、2,351,163千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動による収入は、2,061,149千円(前連結会計年度は1,361,619千円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益3,063,773千円、貸倒引当金の増加428,977千円、前受金の増加303,587千円、減価償却費198,147千円、法人税等の支払額1,003,397千円、代位弁済立替金の増加586,803千円、売上債権の増加402,102千円、収納代行立替金の増加256,978千円によるものであります。
投資活動による支出は、1,283,602千円(前連結会計年度は346,574千円の支出)となりました。主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出828,159千円、有形固定資産の取得による支出298,925千円、ソフトウェア等の無形固定資産の取得による支出205,840千円によるものであります。
財務活動による収入は、135,192千円(前連結会計年度は777,682千円の支出)となりました。主な要因は、子会社株式取得に伴う長期借入れによる収入1,270,000千円、配当金の支払額804,546千円、短期借入金の減少157,000千円、長期借入金の返済による支出117,799千円によるものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債の残高及び収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績や現在の状況ならびに入手可能な情報に応じて、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、債権の分類については、債務者毎の延滞期間に基づいて、一般債権、貸倒懸念債権及び破産更生債権等に分類しております。
その見積りの前提とした条件や仮定について変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する貸倒引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
b. 保証料売上
当社グループは、保証料売上については、「信用補完相当分」を保証契約締結時に、「家賃債務保証相当分」を過去の平均保証期間により均等按分し、収益計上しております。ただし、保証期間の定めのある保証料については、当該期間に基づき収益計上しております。
その見積りの前提とした条件や仮定について変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する保証料売上の金額に重要な影響を与える可能性があります。
c. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
その見積りの前提とした条件や仮定について変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
d. 固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
その見積りの前提とした条件や仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
当社は、2024年4月12日開催の取締役会において、株式会社エイビスの全株式を取得し子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結するとともに、2024年4月30日に当該株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 企業結合等関係」に記載のとおりであります。
当社グループの研究開発活動は、「私たちに関わる全ての人の幸せを追求します」という企業理念に基づき、子会社である株式会社エイビスにおいて、社会・経済の発展と地球環境の保全を両立した持続可能な社会の実現に向けて、水質検査、大気検査、浄化槽法定検査等の環境分析業務を支援するシステムの開発を行っております。
研究開発体制については、子会社エイビスの品質管理基準に則り、その妥当性、方向性、市場性、工程および予算について審議し、効果的かつ迅速的に遂行できる体制を構築しております。また、実施した活動については、水質、大気など環境検査・分析に係る新たな支援システムの開発を進めております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は28,069千円であります。