当社グループは、Phil=共存共栄を企業理念として設立され、土地オーナー・入居者・地域にとって三方良しとなる企画である、「空中店舗フィル・パーク」等、空間ソリューション事業を展開しております。駐車場の上空や駅から離れた郊外などの未活性空間に「空中店舗フィル・パーク」やガレージ付賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」を企画・提供し、その場所の需要に応じた空間の活性化を推進しております。
当社が取り組んでいることは、まちの中でコインパーキングでしか活用されていない土地、一本裏通りで活用が難しい土地、変形地や狭小地、あるいは駅から遠く土地活用に工夫が必要な土地、そういった土地をそのまち、地域のニーズをくみ取り活用させていくこと、その結果として、土地オーナー、入居者、地域の人すべてが幸せになれることを目指しております。
また、2024年1月に持続的成長を図ることを目的として、新たにパーパス・ビジョン・バリューを策定いたしました。策定にあたり、当社の存在意義や価値を再定義し、企業として今後目指していく方向性について経営陣だけでなく従業員も含めて議論いたしました。策定したパーパス・ビジョン・バリューは以下のとおりです。
パーパス(存在意義):まちのスキマを「創造」で満たす。
ビジョン(目指す姿):「まちづくり」をオーダーメイド。
バリュー(価値観) :「地域」と「お客様」のために全てのチカラを尽くす。
今後は、新たに定めたパーパス・ビジョン・バリューの実現に向けて事業を展開していくとともに、今回のパーパス・ビジョン・バリューの策定が、従業員エンゲージメントの向上や、外部ステークホルダーとのコミュニケーションの深化につながるよう、これら理念の社内外への浸透に努めてまいります。
(2) 経営環境及び経営戦略
当社グループを取り巻く環境は、少子高齢化を背景とした都市のスポンジ化による未活性空間の増加に加え、脱炭素社会への対応及び新型コロナウイルス感染症への対策に伴い、目まぐるしく社会構造が変化しております。
このような環境の中、当社グループは2023年11月期から第3創業期と位置づけ、2024年1月に中期経営計画を策定し、公表いたしました。
本中期経営計画は、従来の少数精鋭に頼ったやり方から脱皮し、組織としてビジネスを展開し、飛躍的にスケール化を果たすフェーズと捉えております。そのために改めて経営計画を進め、持続的成長の基盤となる体制・仕組みを構築してまいります。そして、経営改革により既存ビジネスをスケール化させるとともに、事業ポートフォリオの変革にも着手し、さらなる飛躍への布石を打ってまいります。
潜在市場は、建築業界の市場規模をベースとして算出し、全国の建築物の年あたり総工事費約26.7兆円と算出しております。そのうち、空中店舗フィル・パーク及びプレミアムガレージハウスのターゲットとなる市場規模はそれぞれ約2.9兆円と約2兆円と試算しております。空中店舗フィル・パークの市場規模は、「主要エリアの構築物の年あたり総工事費」×「フィル・パーク基準の区画の割合(15~120坪・駅徒歩10分)」で算出しております。プレミアムガレージハウスの市場規模は、「全国の賃貸住宅(長屋建・共同住宅)の新規着工戸数」×「プレミアムガレージハウス基準の区画割合(四角形以上・50~300坪)」×「プレミアムガレージハウス1戸あたり単価(2,200万円)」で算出しております。
当社グループの事業の強みは、空間の特性や土地オーナーのニーズに即した最適なプランの設計をするオーダーメイドの企画力と、企画、設計・施工、テナント誘致、物件管理までワンストップサービスにより、提案したソリューションの実現にコミットする実行力であります。
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は連結売上高、連結営業利益、ROE、問合数、提案数、請負受注件数、及び従業員数であります。当該KPIを採用した理由は、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、当社グループの収益力を客観的に評価できる指標であるためです。
2026年11月期の目標値は連結売上高15,000百万円、連結営業利益1,200百万円、ROE20%、問合数4,000件、提案数450件、請負受注件数90件、従業員数130名であります。当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
次期(2025年11月期)は中期経営計画の2年目となりますが、中期経営計画の達成並びにその先の持続的な成長のために、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
当社グループの提供価値である「オーダーメイドのまちづくり」をさらにスケール化させるため、デジタルを活用した事業プロセスの改革を進め、事業プロセスの再現性と生産性を高めることで早期の事業成長を目指してまいります。社内営業プラットフォームを用いて営業KPI等を集計し、精度の高い進捗管理を行うことにより、実績に応じた意思決定と戦略・戦術の立案をサポートし、定めた戦略の実行・検証までのサイクルを組織として回していくことで案件獲得の精度を向上させ、既存事業である空中店舗「フィル・パーク」及び「プレミアムガレージハウス」のスケール化を図ります。また、建物竣工後の物件管理については、PM事業として事業化し、土地オーナー様に対する提供価値の最大化、リピート率の向上を図ります。
持続的な企業価値の向上には、引き続き組織及び人材の開発が重要な課題であると認識しています。
組織開発においては、策定したパーパス・ビジョン・バリューを企業文化として定着させることに加えて、事業拡大に必要な機能から逆算した組織開発を行ってまいります。
人材開発においては、新たに人事制度と目標管理制度を導入し、組織としてキャリアマネジメント及びパフォーマンスマネジメントを行うことで、自発的、自律的な人材開発を推進してまいります。
③ 持続的成長の実現に向けた事業ポートフォリオの変革
中長期においてパーパス・ビジョンを具現化し、持続的な成長を実現するため、事業ポートフォリオの変革が重要な課題であると認識しています。引き続き新規事業への投資を継続し、新たな成長領域へ挑戦することで、事業ポートフォリオの変革を行ってまいります。
また、引き続きM&A・アライアンスによる外部経営資源を活用したビジネス機会の獲得やイノベーションの創出についてもチャンスを伺ってまいります。
地球規模での脱炭素社会への移行に伴い、国内では建物の省エネルギー化に関する法整備が進んでおり、同時に企業活動におけるGHG排出量削減も求められています。このような社会課題について、当社事業の成長における機会と捉え、ZEBやZEHなどの研究開発を推進することで環境に対応した商材へのシフトを図り、企業価値向上と社会課題の解決の両立を目指してまいります。
また、TCFD開示やCDP回答などを通してステークホルダーの皆様への情報開示を積極的に進めていく方針です。
持続的な企業価値向上とガバナンス体制の強化を高次に両立させることが重要な課題であると認識しています。当社グループでは取締役会を構成するメンバーの過半数を独立社外取締役とすることで、独立した立場からの監督機能が有効に働き、少数株主の利益も重視した公正な意思決定を可能とするガバナンス体制を構築します。そして、多様な価値観と知見を取り入れるために、様々な業界の経営者・投資家・専門家を取締役及び取締役候補者とし、取締役会を多角的に活性化する方針です。加えて、大株主である創業メンバーも取締役候補者とすることで、株主目線でのガバナンスにおいても強化し、株主価値向上につながる経営判断に寄与させてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ基本方針
当社グループは、創業当初からSPACE ON DEMAND(今の世の中の需要に合った空間づくり)をコンセプトとして、社会課題である「未活性空間の増加」に対して様々な事業を展開してきました。今一度、社会課題に対する当社の事業価値を明確化するため、ESG経営を推進し、持続可能な街づくりの実現に向けてステークホルダーの皆様と共に取り組んでまいります。
当社グループでは、サステナビリティへの対応が経営上の重点課題であるとして認識しており、事業活動を通じた社会課題の解決と中長期的な企業価値の向上を実現するため「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに関する活動を全社的に推進しております。本委員会は、サステナビリティに関する基本方針や重点課題の特定、重点課題に基づく戦略や進捗管理、気候変動関連問題への対応や情報開示に関する事項の審議を行っております。また、取締役会では、気候変動に関するリスクと機会について少なくとも年1回以上サステナビリティ委員会より報告を受け、課題への取組や設定した目標に対するモニタリングを行い、監督しております。
当社グループでは、TCFD提言に基づき、気候変動が事業に与える中長期的な影響について把握し事業戦略に組み込むため、当社の中核を担う空中店舗フィル・パーク及びプレミアムガレージハウス事業を対象とし、定性的なシナリオ分析を行いました。事業リスクの分析においては、主に1.5℃シナリオの途上に起こる「低炭素経済への移行に関連したリスク」と、世界のCO2排出量削減未達による4℃に至った場合に影響が大きくなる「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」について、TCFD分類に沿って検討いたしました。また、事業の機会についても検討しリスクに備え、機会につなげるための戦略的取組をまとめました。
財務的影響の評価については下記の基準で評価を行いました。
当社グループでは、リスク管理を含めた気候変動に関する事項は、取締役会の監督の下、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会が一元的に審議・調整しております。本委員会は、報告・提言された気候変動の影響と対応について審議を行い、評価しております。また、取締役会は、リスク管理の状況と対応を含めた気候変動に関する事項についてサステナビリティ委員会より報告を受け、課題への取り組みや設定した目標を監督しております。
当社グループでは、サステナビリティのマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティ委員会がマテリアリティごとのKPI(非財務目標)を設定し、実績をレビューするなど進捗状況を管理しております。
気候変動を含む、特定した重点課題と取組に関するKPIは以下のとおりであります。
排出量実績は以下のとおりであります。
(注)2024年11月期については、現在、集計中です。
当社グループにおいては、バリューである「「地域」と「お客様」のために全てのチカラを尽くす」の「全てのチカラ」を具体的に5つ、「創造力」「実行力」「引き出し力」「共感力」「チーム力」、と定義しています。なかでも「創造力」を発揮することがお客様への価値創出につながり、ビジネスの現場でも特に重視しております。「創造」の源泉は人であるという考えに基づき、優秀な人材の確保に取り組んでまいりました。当社の理念に共感し社会課題の解決を志す人材の採用や、「創造」という答えのない問いと向き合い続け他にはない価値を生み出すことのできる人材の育成することに注力しています。そして、会社と個人が一体となりお互いの価値を継続的に高め合う関係の構築を目指しております。「人材の多様性の確保」「人材の育成」「社内環境の整備」は当社グループの人的資本経営を実現する為に重要な事項です。それぞれの具体的な方針は、以下のとおりであります。
「人材の多様性の確保の方針」
ア. 多様な業界から優秀な人材を積極採用
当社は、これまでの業界の常識にとらわれない独自性のあるビジネスを展開し、社会課題の解決を行ってまいりました。2024年11月期においても、様々なバックグランドを持つ人材に参画いただき、各々の専門性を最大限発揮していただけるポジションでご活躍いただいており、引き続き、当社事業に共感いただけるプロフェッショナル人材を積極採用してまいります。また、新卒採用に加えて第二新卒を含めた業界未経験の若手の採用も積極的に行っており、採用から育成までの仕組み化と風土改革を進めてまいりました。今後も若手社員が活躍できる環境整備に注力してまいります。
イ. 女性活躍推進をはじめとして、誰もが活躍できる職場環境の整備と性別、採用方法、勤続年数に寄らない人事評価制度の導入
2024年11月期において、公正で透明性の高い人事評価制度を運用し、成長意欲の高い人材が働きがいを感じることのできる環境を整備してまいりました。2025年11月期においては、社員数の増加および組織の複層化に応じて、現在の人事評価制度を踏襲しながらも最適な評価制度の見直しを継続してまいります。
また、2024年11月期は中途プロフェッショナル採用に注力したことにより女性の管理職比率が26.7%となっております。引き続き職場環境の整備および人材育成によって女性管理職比率30%以上を目指します。
単位:%
「人材の育成方針」
ウ. 自発的・自律的な人材開発を推進
エ. 社内ノウハウの教育コンテンツ化
人事評価制度の整備によりキャリアアップの道筋を見える化し、属人化していた社内ノウハウを動画コンテンツ化することで社員が自発的・自律的に学び成長できる環境を整備しております。また、マネジメント層を対象とした研修の充実、若手社員が直面する会社に適応するまでの課題に対するフォローアップ制度の整備、上長との定期的な1on1を行うことで自身の役割期待と目標を明確にしながら業務の中で達成支援が行われる仕組みを構築することで、個人の成長を支援していきます。
上記の取り組みを通じて、ビジネスを「創造」できる人材の育成を推進いたします。
「社内環境整備に関する方針」
オ. 企業理念であるパーパス、ビジョン、バリューの浸透を推進
パーパスである「まちのスキマを「創造」で満たす」に適ったプロジェクトを全社会で表彰することや、他部門との交流機会を増やすイベントを開催することで、会社全体でパーパスの実現に向けた一体感を醸成しております。2025年11月期においても、引き続き事業への共感性を高めることのできる取り組みを積極的に実施してまいります。
カ. 定着率の維持向上
2024年11月期末時点における当社グループの定着率は84.5%(※)でした。社員の定着率の維持向上が継続的な企業価値向上に繋がると考え、イ)記載の通り、社員のライフステージに合わせて柔軟な働き方ができる環境の整備を進めるとともに、エンゲージメントサーベイを定期的に実施することで、社内環境の把握、課題の特定、対処までをスピーディーに実行し、2026年11月期末において85~90%まで向上させることを目指します。
※ 定着率:1 - 離職率
離職率:過去1年間の退職者数 ÷(過去1年間の入社人数+1年前の従業員数)× 100
単位:%
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済情勢について
当社グループの「空中店舗フィル・パーク」等、空間ソリューション事業については、景気の後退、金利の上昇、消費税増税等の税制変更などが、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが提案する空中店舗フィル・パークの主要なテナントは商業施設を運営する企業やオフィスとして利用する等の企業であるため、その需要は景気の動向による影響を受けやすい傾向にあります。そのため、景気の後退、商業施設やオフィスビルの供給過剰等により不動産市況が下落した場合に、土地オーナーが賃貸建物の建築を控えることにより、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 業績の変動について
当社グループの主な売上高は、「開発販売スキーム」においては販売による所有権移転時に計上されます。また、案件1件当たりの売上高が当社グループ全体の売上高に占める割合が高い状況にあるため、案件規模の大小による販売単価の変動や販売時期に偏りがあった場合、四半期又は連結会計年度ごとの一定期間で区切って比較した場合、期間ごとの業績に大きな差異が生じる可能性があります。
このリスクに対応するため、四半期ごとの「開発販売スキーム」における土地仕入と販売を安定して積み重ねるよう努めております。
(3) 各種法規制及び許認可によるリスク
当社グループは、建設業許可、建築士事務所登録及び宅地建物取引業の許認可を受けて事業を展開していることから、「建設業法」「建築基準法」「建築士法」「都市計画法」「消防法」「宅地建物取引業法」等の法令のほか、関連する条例等など多岐にわたる法規制を受けております。当社グループは、現時点の法規制に従って業務を遂行しておりますが、将来において、法令等の新たな施行や変更により、当社グループの義務及び費用負担等が増加することで、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業におきましては、以下の免許及び許認可等を取得しております。現在、当該免許及び許認可等が取消となる事由は発生しておりませんが、今後、何らかの理由によりこれらの免許及び許認可等の取消等があった場合、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を与える可能性があります。
このリスクに対応するため、関係法令の改正情報等を早期に入手し、その影響を検討して対策をとるとともに、関係法令の遵守を徹底いたします。
(当社)
(株式会社フィル・コンストラクション)
(株式会社プレミアムガレージハウス)
(4) 競合の状況について
当社グループは、空中店舗フィル・パーク及びプレミアムガレージハウスを事業展開しております。空中店舗フィル・パークにおいては、現在明確な競合他社はないものと認識しておりますが、ハウスメーカーや駐車場運営会社等が当社と類似した事業を展開する可能性はあり、それにより競争が激化し、当社グループの優位性が保てなくなった場合、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
プレミアムガレージハウスにおいては、当社独自の入居待ち登録システム、デザイン性の高さ、軽量鉄骨造等により競合他社との差別化を図っておりますが、競争環境が激化し当社グループの優位性が保てなくなった場合、当社グループの経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害等によるリスク
大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、被災した当社グループの建築現場の補修、お客様の建物の点検、自社保有設備の修理に加え、被災したお客様への支援活動などにより、多額の費用が発生する可能性があります。また、社会インフラの大規模な損害で建築現場の資材などの供給が一時的に途絶えたりすることで、工事着工・工事進捗・テナントリーシング活動に影響が生じ、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 売上総利益率の変動のリスク
当社グループの請負受注スキームの売上高は、2022年11月期の期首より新収益認識基準を採用しているため、プロジェクトの進行度に応じて計上されることとなります。
請負受注スキームにおいては、業務内容に応じて売上高及び売上総利益率が異なります。「企画・提案」業務に係る売上高は、契約時にプロジェクト受注額の約5%が計上されますが、売上原価が発生しないため、売上総利益率は100%となります。一方、「設計・施工」業務に係る売上高は、工事の着工から竣工までの工期で進行度に応じて計上され、売上高及び売上原価の割合は大きいですが、売上総利益率は低くなります。そのため、契約時期や工期に偏りがあった場合、四半期又は連結会計年度ごとの一定期間で区切って比較した場合、期間ごとの売上総利益率に差異が生じる可能性があります。
このリスクに対応するため、四半期毎の請負受注スキームにおける受注を安定して積み重ねるよう努めております。
(7) 組織体制について
当社グループは、成長段階であるため、内部管理体制も現在の組織規模に応じたものとなっております。当社グループは、今後の事業の拡大に伴い人員の増強、内部管理体制の一層の充実に努める方針でありますが、必要な人員が確保できない場合や、内部管理体制の充実に適切かつ充分な対応ができない場合、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、経営管理本部の人員の継続的な人材採用活動、及び外部協力者との連携に取り組んでおります。
(8) 販売用不動産等に関するリスク
当社グループは、土地の購入及び土地活用商品の開発から販売までを行う取り組みである「開発販売スキーム(不動産投資家向けサービス)」を推進しております。
現状は開発物件数が少なく、竣工から販売までの期間が短期であるものの、仕掛販売用不動産及び販売用不動産の保有資産の時価(主に土地の時価)が著しく下落した場合または収益性が著しく低下した場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 資本提携等の戦略投資について
当社グループは、他社との積極的な業務提携・連携による加速度的な事業拡大の実現を目指しております。そのため、企業価値を継続的に向上させる上で有効となる場合や、当社と提携先の事業内容から大きなシナジー効果が見込める場合には、必要に応じて資本提携等の戦略投資を実施していく方針です。戦略投資にあたっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財務状況、市場競争力、当社の事業内容との親和性等を十分に検討してまいりますが、投資後の市場環境や競争環境の著しい変化等により、投資先の事業展開が計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、提携先の業績、財務状況、市場競争力、当社とのシナジー効果を定期的にモニタリングする体制を整えております。
(10) 感染症等の影響について
当社グループは、新型コロナウイルス感染症等の治療方法が確立されていない感染症が流行するなどした結果、社会・経済活動の停滞や消費マインドの冷え込みによる長期的な景気悪化が生じる場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年12月1日から2024年11月30日まで)における我が国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の回復が進むとともに、インバウンド消費の拡大にも支えられ、緩やかな回復基調となりました。一方で、円安の進行による物価の上昇や不安定な国際情勢に起因する原材料・エネルギー価格の高止まりなど、依然として景気の先行きは不透明な状態が続いております。
このような状況の中、当社グループは「まちのスキマを「創造」で満たす」をパーパスとして掲げ、土地オーナー・入居者・地域にとって三方良しとなる企画である空中店舗「フィル・パーク」及びガレージ付賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」を事業展開してまいりました。土地オーナーに土地活用商品の企画提案をする「請負受注スキーム(既存土地オーナー向けサービス)」と、不動産投資家に当社が土地を購入し土地活用商品の開発から販売までを行う「開発販売スキーム(不動産投資家向けサービス)」の両スキームでソリューションサービスを提供しております。
・大幅な増収増益(売上高は前年同期比20.5%増、営業利益は前年同期比97.4%増)
当連結会計年度の経営成績は、売上高7,184,957千円(前年同期比20.5%増)、売上総利益1,810,405千円(前年同期比26.0%増)、営業利益424,091千円(前年同期比97.4%増)、経常利益408,774千円(前年同期比201.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益261,865千円(前年同期比588.5%増)となり、前連結会計年度より大幅な増収増益となりました。「請負受注スキーム」において年間を通じてコンスタントに受注を獲得できたことに加え、「開発販売スキーム」においても大型案件を含む計5件のプロジェクトの販売引渡を行い、請負受注・開発販売ともに前連結会計年度より売上高が増加いたしました。
当連結会計年度における売上高、売上内訳、売上原価、売上総利益及び売上総利益率は下表のとおりです。
(単位:千円)
・通期における受注高(59.6億円)、受注件数(46件)がともに過去最高を更新
当連結会計年度における「請負受注スキーム」の請負受注件数は46件(前年同期は29件)、受注高は5,958,689千円(前年同期は4,023,232千円)となりました。内訳は、空中店舗フィル・パークの請負受注件数が19件(前年同期は11件)、受注高が3,991,894千円(前年同期は2,872,141千円)、プレミアムガレージハウスの請負受注件数が27件(前年同期は18件)、受注高が1,966,795千円(前年同期は1,151,091千円)となり、受注高・受注件数ともに過去最高実績を更新する結果となりました。将来の売上計上額である期末時点受注残高についても5,037,184千円(前年同期比75.9%増)となり初めて50億円を突破いたしました。進行中の中期経営計画において掲げている事業プロセス改革及び組織改革の順調な進捗により、営業活動における再現性と生産性が向上したことで、第1四半期から第4四半期まで各四半期において10件以上の受注を獲得し、また第4四半期においては受注高が20億円を超え四半期における受注高としては過去最高となりました。
なお、「開発販売スキーム」に関しては、当連結会計年度における販売引渡件数は5件(前年同期は7件)、開発用地取得契約件数は6件(前年同期は5件)となりました。これにより、当連結会計年度末時点の開発プロジェクト残件数は5件(前年同期は4件)、将来の売上原価見込金額となる開発プロジェクト残高は計2,075,918千円(前年同期は2,903,515千円)となっております。
<事業の状況>
※1 受注高とは、新規受注したプロジェクト及び追加工事の合計額となります。
※2 プレミアムガレージハウスの受注高については、協力会社による受注の数値を含めております。
※3 期末時点受注残高とは、期末時点において売上に計上されていない受注高の残高合計(将来プロジェクトの進捗に応じて売上計上される金額)となります。
※4 期末時点進行プロジェクト件数とは、期末時点において進行中の請負受注スキームにおけるプロジェクト件数となります。
※5 開発用地取得契約件数については、当該土地の取得契約を締結し、手付金を支払った時点で1件とカウントしております。
※6 開発プロジェクト残高とは、期末時点における土地及び建物の完成に要する原価見込額の合計となります。
・従業員数は前連結会計年度末より約2割増加
当連結会計年度末時点の連結従業員数は84名となり、前連結会計年度末時点(69名)より約2割増加いたしました。中期経営計画においては最終年度である2026年11月期に連結従業員数を130名まで拡大する方針となっており、引き続き採用活動を強化するとともに、既存従業員のエンゲージメントを高めることで定着率の向上も図ってまいります。
※連結会計期間末時点での連結従業員数となります。
なお、財政状態につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 c.財政状態の分析」をご参照ください。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、4,822,267千円となり、前連結会計年度末と比較して2,672,883千円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は2,076,091千円(前年同期は541,350千円の支出)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益406,258千円、前受金の増加867,277千円、仕入債務の増加480,803千円などの増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により得られた資金は354,228千円(前年同期は498,142千円の支出)となりました。これは主として、定期預金の払戻による収入307,000千円、関係会社の整理による収入102,201千円などの増加要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により得られた資金は242,563千円(前年同期は938,218千円の収入)となりました。これは主として、長期借入れによる収入966,800千円などの増加要因に加え、長期借入金の返済による支出676,763千円などの減少要因によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、単一セグメントであるため、生産実績及び受注実績については、スキームごとの実績を記載しております。
当連結会計年度における生産実績については、土地の購入及び土地活用商品の開発から販売までを行う取り組みである「開発販売スキーム」の開発プロジェクト残高を記載しております。
(注) 1.開発プロジェクト残高とは、用地取得契約後にプロジェクトを開始した土地活用商品の、期末時点における土地及び建物の完成にかかる見込額の合計であり、将来の売上原価見込金額となります。
当連結会計年度における受注実績については、「請負受注スキーム」の受注高及び受注残高を記載しております。
(注) 1.受注高とは、当連結会計年度において新規に受注した工事やプロジェクトの合計(売価ベース)となります。
2.受注残高とは、当連結会計年度末時点において売上に計上されていない工事やプロジェクトの受注高の残高合計であり、将来の売上見込金額となります。
当連結会計年度における販売実績については、「空中店舗フィル・パーク」等、空間ソリューション事業の単一セグメントであるため、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
2.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は7,184,957千円(前期比20.5%増)となりました。これは主に、年間を通じてコンスタントに受注を獲得できたことで、「請負受注スキーム」に係る売上高が前期より877,260千円増加したことに加え、大型案件を含む計5件のプロジェクトの販売引渡を行ったことで「開発販売スキーム」に係る売上高も前期より335,537千円増加したことによるものです。
(営業利益)
販売費及び一般管理費1,386,314千円の計上により、当連結会計年度における営業利益は424,091千円(前期比97.4%増)となりました。販売費及び一般管理費の主な内訳は、役員報酬80,428千円、給料及び手当454,379千円、業務委託費159,925千円であります。
(経常利益)
営業外収益32,445千円、営業外費用47,761千円の計上により、当連結会計年度における経常利益は408,774千円(前期比201.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を加減したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は261,865千円(前期比588.5%増)となりました。
b. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、経済情勢の変動や各種法規制等による影響、自然災害の発生、感染症等の影響などが外的要因として挙げられます。また、内的要因としては、物件の竣工引渡時期の変動や、組織体制の充実に充分な対応ができない場合の事業展開への影響などが挙げられます。詳細については、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」をご参照ください。
c. 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて2,045,564千円増加し、7,496,339千円になりました。これは主として、現金及び預金が2,365,883千円、仕掛販売用不動産が299,820千円増加し、販売用不動産が589,448千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて1,794,986千円増加し、4,515,296千円になりました。これは主として、前受金が867,277千円、買掛金が480,803千円、1年以内返済予定の長期借入金を含む長期借入金が290,036千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて250,577千円増加し、2,981,043千円になりました。これは主として、配当金の支払による利益剰余金の減少27,026千円、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加261,865千円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2〔事業の状況〕4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、「開発販売スキーム」における土地仕入資金の機動的な調達を行うため、株式会社みずほ銀行と特別当座貸越契約(借入極度額1,000百万円)を締結しております。なお、当連結会計年度末における、本契約に基づく借入実行残高は148百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。