文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
大地に根を張り、常に大きく成長し続ける樹。私たちはこの樹のように、常にお客様のネットワークの中に根付き、お客様と共に発展し続けます。時代の開拓者であり、時代の証人であるために、医療・介護ネットワーク業界の先駆者として常に最善を尽くすことを経営の基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
当社は収益性を重視する観点から「営業利益」を目標数値とし、常に収益の改善に努め、コストの削減意識をもって企業経営に取り組んでおります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社は高齢化社会に求められる医療・介護分野においてICT(Information and Communication Technology)による地域包括ケアの実現に寄与するために、多職種間連携を可能とする当社システムを医療・介護業界全体のプラットフォームとして提供してまいりました。
今後は医療・介護分野における地域連携をさらに推進させ、患者・要介護者、全ての医療・介護事業者に有益なソリューションの提供に取り組んでまいります。
(4) 対処すべき課題
近年の医療・介護業界に関連するステークホルダーの様々な課題が顕在化してきております。まず家族と患者・要介護者である高齢者とが抱える課題としては、家族の介護のために介護をする方が仕事を辞めなければならないという介護による雇用喪失の問題や家族の繋がりの希薄化の問題が考えられます。次に、介護事業者が抱える課題としては、業界全体としての人材不足やケアマネジャーなどの採用の難しさ、そして介護事業者のサービス内容が患者やその家族に伝わらないといった問題が考えられます。加えて、特に業界で多くを占める中小介護事業者において、設備投資や資金繰り、資金決済といった事業規模に伴う諸問題がございます。また、病院医師や在宅医師の抱える課題として、業務があまりに多忙すぎる点や患者の情報不足に起因して、有効な医薬品の利用や患者への対応が遅延することがあります。さらに、看護師や介護士における課題として、最新の治療等の情報不足や知識・経験の欠如から来るサービス品質の低下があります。
当社は、このような医療・介護業界全体が抱える課題を克服することが当社の課題と考えて、以下のような対処を行っております。
① クラウドサービス提供事業の拡大
当社のクラウドサービスは、自治体・医療・看護・介護の連携に関してシステム内でのコミュニケーションが可能な多職種間連携を実現する介護請求・業務管理システムとして介護保険制度施行時の平成12年より提供されているシステムであり、当該システムにより国が目指す「地域包括ケア」の実現に寄与してまいりました。当社システムの導入により、医師、看護師、ケアマネジャー、介護士といった方たちの情報連携による地域包括ケアを実現することが可能となり、サービスの質の向上と業務の効率化が進められるようになっております。
今後は、介護サービスのニーズの高い地域から順次営業所を設立し、各地域に根ざしたサービスを提供し、患者とその家族に対して効果的かつ安定的な介護環境を生み出すことで、家族介護による離職問題を回避し、若者の社会進出の活性化を図るとともに、家族の繋がり自体を活性化させることを課題と考えております。
また、地域連携のさらなる推進により、患者、要介護者、全ての医療・介護事業者といった医療・介護業界全体のユーザーの利便性を向上させ、情報共有プラットフォームの構築に貢献し、急性期医療から回復期医療、そして在宅医療といった各段階における適切な医療や介護の対応を可能にするため、各段階の患者のニーズの変化に適宜対応できるようシステム開発への取り組みを継続していく方針であります。
② 新規事業領域の拡大
ⅰ コンテンツ事業
当社のカナミッククラウドサービス内において、医療・介護に関連する有益な情報をコンテンツとして提供し、広告宣伝収入を得ております。当社の提供する広告は、医療・介護に関連する方々に有益な情報をタイムリーに提供するものであり、その導入によって、医療・介護関係者が最新の医薬品の情報や介護関連機器等の情報を取得することができるようになり、医療・介護の質の向上に寄与します。
今後は、在宅医療・介護の広がりにあわせ、広告を通じた情報に対するニーズがより高まっていくと予想され、より広い情報を提供するため、大手広告代理店と協力し、広告宣伝主を広く集め、さらに医療・介護関係者の役に立つ情報提供システムとなっていく必要があると考えております。
ⅱ ビッグデータ解析事業
当社は、カナミッククラウドサービスの提供を通じて取得した膨大な医療・介護関係のデータを蓄積しております。
今後は、平均寿命の伸びと少子化に伴う高齢化社会が進展する状況下において、クラウドに蓄積されたビッグデータの解析事業を通じて、よりよく、かつ効率的に介護を行える環境を整えることに寄与してまいります。
ⅲ シェアリングエコノミー関連事業
当社は、カナミッククラウドサービス上で当社のシステムユーザーにおける求人ニーズと人材データベースのマッチングサービスを提供しております。
今後は、人材のみならず、介護関連器具、車両、施設といった介護事業者が必要とするあらゆるニーズに対応できる仕組みを整え、介護業界の発展に寄与してまいります。
ⅳ フィンテック関連事業
当社はカナミッククラウドサービスの提供を通じた効率的な請求管理サービスを提供しておりますが、介護事業では介護給付費の決済に関連する業務に従来型の非効率な部分が多く存在しております。
今後は、請求管理に加え、資金繰り、新たな決済手段などのサービスラインナップの追加を図り、決済関連の効率化に寄与してまいります。
③ 情報管理体制の強化
当社は、提供するカナミッククラウドサービスにおいて数多くの患者・要介護者の情報を保有しており、個人情報保護を含む情報管理が経営の重要課題であると認識し、平成18年5月に「プライバシーマーク」を、平成29年12月に「医療情報ASP・SaaS情報開示認定制度」をそれぞれ取得しておりますが、今後も定期的な社内教育の実施、セキュリティシステムの整備等により、引き続き情報管理体制の強化を図ってまいります。
④ システム基盤の強化
当社は主にクラウドを利用したインターネット上での事業を展開していることから、サービス提供に係る当該システム稼働の安定性を確保することが経営上の重要な課題であると認識しております。また、長期的に高齢者人口の増加が見込まれており、要介護者数も合わせて増加するため、ユーザー数の増加に備えたサーバーリソースが必要になります。当社は、今後もその重要性に鑑み、継続的に安定運用を図るため、システム基盤の強化への取り組みを継続していく方針であります。
⑤ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社は現在成長段階にあり、継続的な成長を続けることができる事業基盤の確立に向けて、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制のさらなる強化が経営上の重要な課題であると認識しております。事業の拡大に伴い、内部管理体制の一層の充実に努め、業務の適切性、財務報告の信頼性及びコンプライアンス体制の強化を図ってまいります。
⑥ 人材の採用と育成
当社は、継続的成長のためには、優秀な人材の採用と育成が重要であると考えております。
特に高齢社会に関連する市場はますます拡大し、多くの事業機会が生まれており、これに対応した営業所の新設に伴う営業やサポート面において必要とされる人員を確保する必要があります。
また、当社は介護保険制度等の改正に対応したシステム開発のための人員を確保する必要があります。
そのため、当社は当該人材の採用と育成に注力してまいります。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① 介護保険制度の改正について
当社が行っている介護・医療分野におけるカナミッククラウドサービスについては、介護保険法の影響を強く受けます。
介護保険法については、定期的に法律全般に関する検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等が行われ(介護保険法附則第2条)、また3年に1度介護報酬の見直しが行われることになっており、平成30年にも介護保険法及び介護報酬の改正が行われました。介護保険法や介護報酬の改正が行われた場合、これらの改正に対応するための適時なシステム開発が必要となります。一方、医療及び介護業界全般で市場の停滞・縮小や、一部大手事業者による寡占化、廃業の増加など、新たな市場動向の変化が生じることも想定されます。
こうした状況は、同業他社も同様の条件であるため、開発において他社に先んじることや差別化を図ること、適切な価格戦略を取ることがそのまま他社との格差を広げ、シェアの拡大に直結することになりますが、逆に遅れをとった場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新たな市場動向の変化が業績の拡大に寄与する場合もある一方で、当社サービスの導入延期やサービス利用数の削減、他社サービスへの乗り換えなどに繋がった場合は、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 他社との競合について
現在、国内で介護・医療分野におけるクラウドサービス事業を展開する競合企業が複数存在しており、また、今後の市場規模拡大に伴い新規参入を検討する企業が増加する可能性があります。
しかし、医療介護業界のシステム構築には、業界に精通した知識や経験が必要とされるため、参入障壁が高いと考えられます。その中で当社のカナミッククラウドサービスは、自治体・医療・看護・介護の連携に関してシステム内でのコミュニケーションが可能な多職種間連携を実現する介護請求・業務管理システムとして介護保険制度施行時の平成12年より提供されているシステムであり、当該システムにより国が目指す「地域包括ケアシステム」の実現に寄与するとともに、市場における優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。
今後も、各地域に根ざしたサービスの提供、地域連携のさらなる推進により、患者、要介護者、全ての医療・介護事業者といった医療・介護業界全体のユーザーの利便性を向上させ、情報共有プラットフォームの構築を推進してまいりますが、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について
当社のサービスはインターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。また、ハード面においては、スマートフォンの普及が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。このため、当社は技術者の採用・育成やスマートフォンに関する技術やノウハウの取得に注力しております。しかしながら、このような技術やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社の対応が遅れた場合には、当社の競争力が低下する可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する可能性があり、その結果、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報の管理について
当社は、展開する各サービスの運営過程において、ユーザーより個人情報を取得することがあります。当該個人情報の管理については、権限を有する者以外の閲覧をシステム上で制限しております。また、当社では個人情報保護マネージメントシステムを設定し、従業員に対して研修を実施しております。さらに、より一層の情報セキュリティの安全性を確保するために、平成18年5月にプライバシーマークを取得し、平成30年5月に6回目の更新を行いました。しかしながら、外部からの不正なアクセス、その他想定外の事態の発生により個人情報が流出した場合には、当社の社会的信用を失墜させ、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ システム障害について
当社のサービスは、当社のウェブサイトを主な情報通信手段としており、サービスの信頼性及び取引の安全性の観点からも、当社の事業用ITインフラは障害に強い設計としております。また、管理を強化するため、情報システム開発及び運用経験の豊富な人材の採用を積極的に実施しております。さらに、今後の高齢者人口の増加をにらみ、サーバー容量等についても十分な容量を確保しております。しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、自然災害や事故等が起こった場合、当社役職員の操作過誤が生じた場合、ハッカー等外部からの侵入による不正行為が生じた場合、さらに高齢者人口の増加に伴い当社ユーザーが爆発的に増加した場合等には、システム障害やサーバー容量不足による当社コンピューターシステムの機能の低下、誤作動や故障等の深刻な事態を招く可能性があります。これらの事態が生じた場合には、インターネット上のウェブサイトを主な情報提供手段とする当社はサービス提供及び営業取引に深刻な影響を受け、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑥ 知的財産権について
当社は、当社の提供するサービスの基礎をなすシステムについて、特許権を有しております。
しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。一方で、当社の事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社に対する訴訟やクレーム等が発生し、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社では、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万が一当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 業績の季節変動性について
介護保険法の改正のある年は、改正が4月から実施されることが通例となっており、新制度が施行される4月初めまでに当社クラウドサービスのバージョンアップを実施することが求められます。また、地域包括支援センターを運営する自治体及び委託を受ける介護事業者は、新年度が始まる4月に導入を図ることが多く、需要がこの時期に偏る傾向があります。その結果、当社の業績は法改正のタイミングに連動してピークを迎える傾向にあります。
第17期事業年度及び第18期事業年度の売上高及び営業利益の変動は以下の通りであります。
現在はこれらの変動性に適切に対応できる体制を整備しておりますが、事業環境等の変化により季節変動性に大きな変化が生じた場合や、当社がこれらの季節変動性に適切に対応する体制がとれなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 研究開発について
IoTクラウド利用の地域包括ケア・グローバル構築を目的とした遠隔医療・介護に関する研究開発を進めるため、継続的なR&D投資、ならびに外部パートナーとの連携を進めてまいりますが、これらの技術の導入、実装が想定通りに進まなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社事業体制に関するリスク
① 特定人物への依存について
当社の取締役会長山本稔は、当社の創業者であり、設立以来、経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において取締役としての役割を果たしております。
当社では、同氏以外の者へ代表権を付与するなど、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 小規模組織であること及び人材の確保及び育成について
当社は平成30年9月30日現在、従業員数が63名と小規模な組織であり内部管理体制もそれに応じたものとなっております。また、カナミッククラウドサービスにおけるユーザーの利便性の向上には、当社システムの付加価値増加のためのシステム開発が必要であり、これに対応できる人材を確保・育成することが今後の事業の成長においても不可欠であります。
事業の成長とともに人員の採用及び育成を行っていくとともに、内部管理体制の強化を行っていく方針でありますが、人員採用などが適切に行えなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について
当社の継続的な成長のためには、内部管理体制が適切に機能することが必要不可欠であると認識しており、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業が拡大することにより、内部管理体制が有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ コンプライアンスについて
当社は、法令その他諸規則、社会規範を遵守すべく、「倫理規範」を制定し、役職員に対してその周知、徹底を図っております。また、研修等を通じて、継続的にコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分なコンプライアンス体制の構築が追いつかず、法令違反等が生じた場合、ユーザー及び取引先等の信頼失墜を招く、もしくは訴訟を提起されるという事態が発生し、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ サービスの安全性及び健全性について
当社のカナミッククラウドサービスは医療・看護・介護・自治体といった多職種他法人の垣根を越えた情報共有を可能にするシステムとなっており、高度なセキュリティ対策を施すことにより安心して利用していただける環境を整えておりますが、ユーザーを通じて個人情報の流出や、健全性を損なう情報の発信、違法行為などが行われる危険性があります。それらはシステムの利用規約において禁止事項にするとともに当社の責任範囲を限定しておりますが、当社が法的責任を問われ、また法的責任を問われない場合でもサービスのブランドイメージ悪化を招くことにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社のコンテンツサービスは、インターネット広告サービスとホームページ作成サービスを手掛けており、それらコンテンツに関する権利関係や健全性に対する確認を取る体制は十分に整えておりますが、利用に関連して風評問題が発生した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 特定のサービスへの依存について
当社は、カナミッククラウドサービス、コンテンツサービス、その他サービスを提供しておりますが、現在、全体の売上高に占めるカナミッククラウドサービスの割合が多く、同サービスに依存しております。当社といたしましては、収益源の多様性を持つことにより、より安定した体制の構築を目指すべく、コンテンツサービスの拡大や、新たに当社の柱となる新規サービス、事業の開発に向け積極的に取り組んでおります。しかしながら、現在時点において主要サービスであるカナミッククラウドサービスが顧客のニーズと乖離した場合や競合他社に対する優位性を喪失するなどの事態に陥った場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新規事業展開に伴うリスクについて
当社では、既存システムを活用した新規事業の開発を進めております。新規事業の展開にあたっては、当初見込み通りの展開ができず投資を回収できなくなる可能性があり、当社の業績に影響を与える可能性があります。当社は新機能の開発計画を立て進捗管理を適切に行っておりますが、開発が想定通りに立ち上がらなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスク
① 資金の投資効果について
当社は、将来のサービスの拡大に備えたシステム及び関連設備への投資、人員拡充における採用費用、広告宣伝費等に充当する目的で、資金を調達する場合があります。
しかしながら、当社が属する業界の急速な変化により、当初の計画通りに資金を使用した場合でも、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。
② 配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要課題の一つとして位置付けており、株主への長期的な利益還元を実現するため、内部留保資金を充実し、環境の変化を先取りした積極的な事業展開を行う必要があると考えております。
当社は現在、成長過程にあり、そのため内部留保資金の充実を図ることで、財務体質の強化と事業拡大のための投資等により株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
また、今後の配当政策の基本方針としては株主への利益還元と内部留保充実を総合的に判断し、業績と市場動向の状況に応じて柔軟な対応を行っていく所存であります。
③ 訴訟等について
これまで、当社に対して、業績に重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりません。また、現時点において提起される見通しもありません。しかしながら、知的財産権侵害の訴訟等が提起され、当社に不利な判断がなされた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 固定資産に係る減損リスクについて
当社は、事務設備備品等の固定資産及びソフトウエア資産を有しており、これらは潜在的に資産価値の下落による減損リスクにさらされております。当社では、対象となる資産について減損会計ルールに基づき適切な処理を行っております。しかしながら、今後資産価値が低下した場合は、当社の業績等が影響を受ける可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在に判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的と考えられる金額を計上しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、見積もった数値と実際の結果は異なる場合があります。
(2) 経営成績等
①経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、政府による経済政策などを背景として企業業績や雇用、所得環境の改善傾向が継続しており、景気は緩やかな回復を続けております。一方、米国の保護主義的な通商政策や貿易摩擦の拡大、新興国の景気減速、今後予定される消費税増税など、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社を取り巻く環境におきましては、超高齢社会の到来に伴い、介護費、介護保険サービス利用者数及びサービス提供事業者数は増加し、介護事業全体の底上げが続いております。平成30年度の介護保険制度改正では、高品質かつ効率的な介護サービスの提供可能な体制整備を推進する観点から、地域包括ケアシステムのより一層の推進と、ICTの活用及び介護の担い手の拡大などが謳われており、また、各市区町村において在宅医療・介護の連携推進が平成30年4月に義務化されるなど、医療・介護事業全体でサービス提供のより一層の効率化が求められております。
このような状況のもと、当社は、医療・介護をつなぐ地域包括ケアを実現するシステムを提供していることから、各省庁との共同プロジェクトに参加し、国の政策と同じ方向性をもつシステム開発会社となるよう努めるとともに、介護保険制度改正に対応する準備を整え、継続して適時にシステム改修を行い、システム利用者の負担軽減により、ユーザーの利便性の向上を図っております。その結果、昨年に引き続き当社の「カナミッククラウドサービス」が経済産業省のサービス等生産性向上IT導入補助金の対象に認定され、総務省の「IoTサービス創出支援事業」の実証実験を通じて「カナミッククラウドサービス」を基軸とした介護における各種データの活用連携を進めるとともに、高齢者の栄養改善・虚弱予防支援を対象とした新たな実証実験にも参画しております。さらに、大手在宅医療グループで在宅医療の情報連携システムに「カナミッククラウドサービス」が採用されるなど、医療・介護それぞれにおいて実績を残しております。また、「IoTサービス創出支援事業」の実証実験で得られた知見を活かし、平成30年4月より遠隔医療に豊富な実績のある国立大学法人 旭川医科大学と「遠隔医療・介護のIoTクラウド利用の地域包括ケア・グローバルモデル構築」を目的とした共同研究を開始しております。一方で、当社システムのプラットフォーム化の一環として、コンテンツサービスの充実、人材データベースマッチングサービスの稼働、サービス付き高齢者向け住宅におけるIoT連携など、他社との業務連携を進めてまいりました。
さらに、当社システムがプラットフォーム化に対応していくことに伴い取得される患者・要介護者等の情報をビッグデータとして解析し、国や自治体、保険会社等が必要としているエビデンスを見つけ出すAIサービス等の展開を通じて医療・介護分野における地域連携をさらに推進させ、患者・要介護者、全ての医療・介護事業者にソリューションを提供するための研究活動も実施しております。
これらの結果、当事業年度の売上高は1,504,408千円(前事業年度比212,553千円増、16.5%増)、営業利益は399,021千円(前事業年度比68,816千円増、20.8%増)、経常利益は380,835千円(前事業年度比50,305千円増、15.2%増)、当期純利益は256,731千円(前事業年度比33,519千円増、15.0%増)となりました。
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ212,553千円増加し、1,504,408千円となりました。これは、主に当社の主力サービスであるカナミッククラウドサービスの契約数が増加したことによるものであります。なお、当社は医療・介護分野における情報共有プラットフォームの構築を目的とする事業ならびにこれに付帯する業務の単一セグメント事業であるため、セグメント情報は記載しておりませんが、個別サービスごとの売上高は以下となります。
ⅰ カナミッククラウドサービス
カナミッククラウドサービスはストックビジネスをメインとしており、既存顧客のストック部分をベースに、継続的な新規顧客の獲得を続けた結果、売上高は1,299,047千円(前事業年度比17.0%増)となりました。
ⅱ コンテンツサービス
コンテンツサービスにつきましては、大手介護事業者からの依頼によるホームページ構築業務や公益財団法人介護労働安定センターを通じた介護事業社向けホームページの受託制作、運営・管理が安定した収益基盤となっており、また介護関連情報を提供するインターネット広告サービスも手がけることで、売上高は67,049千円(前事業年度比16.3%増)となりました。
ⅲ その他サービス
その他サービスにつきましては、大口顧客向けカスタマイズ開発やIoTサービス創出支援事業の受託などにより、売上高は138,311千円(前事業年度比12.0%増)となりました。
(売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ128,228千円増加し、1,294,356千円となりました。これは、主にカナミッククラウドサービスの売上高が増加する一方で、カナミッククラウドサービスの機能強化に伴い、ソフトウエアの減価償却費が増加したことなどによるものであります。
(営業利益)
売上総利益は1,294,356千円と前事業年度に比べ128,228千円増加しました。これに対して、販売費及び一般管理費は895,334千円と前事業年度に比べ59,411千円増加しました。販売費及び一般管理費の増加要因は、人件費の増加や、国立大学法人 旭川医科大学との共同研究を開始したことなどによるものであります。この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ68,816千円増加し399,021千円となりました。
(経常利益)
営業利益は399,021千円と前事業年度に比べ68,816千円増加しました。これに対して、営業外収益は8千円と前事業年度に比べ675千円減少しました。これは、主に従業員教育に対する助成金収入が減少したことによるものです。また営業外費用は18,194千円と前事業年度に比べ17,835千円増加しました。これは主に上場市場の変更に伴う費用が発生したことによるものであります。この結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べ50,305千円増加し380,835千円となりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、前事業年度に比べ33,519千円増加し、256,731千円となりました。これは、主に税引前当期純利益が48,084千円増加した一方、これに伴い、法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計額が14,564千円増加したことによるものであります。
②生産、受注及び販売の状況
ⅰ生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
ⅱ 受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
ⅲ 販売実績
当事業年度の販売実績をサービスごとに示すと、次の通りであります。
(注)1. 当社グループの報告セグメントは単一であるため、サービス毎に記載しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
(資産の状況)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ189,588千円増加し、1,487,876千円となりました。これは、主に現金及び預金が101,467千円、前払費用が36,535千円、カナミッククラウドサービスの機能強化や法改正対応に伴う開発によりソフトウエアが79,880千円それぞれ増加する一方で、売掛金が12,240千円、仕掛品が6,785千円、減価償却に伴い有形固定資産が3,464千円それぞれ減少したことによるものであります。
(負債の状況)
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べ26,906千円減少し、315,266千円となりました。これは、主に預り金が3,670千円増加する一方で、未払金が13,871千円、返済に伴い長期借入金が16,008千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産の状況)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ216,495千円増加し、1,172,610千円となりました。これは、主に当期純利益256,731千円を計上したことにより利益剰余金が増加した一方で、配当の実施により利益剰余金が40,109千円減少したことによるものであります。
(4) キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ101,467千円(前事業年度末比12.9%)増加し、889,934千円となりました。
当事業年度におけるに各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、369,225千円(前事業年度は345,533千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は税引前当期純利益380,835千円、非資金損益項目である減価償却費106,530千円、売上債権の減少額12,240千円等であり、支出の主な内訳は法人税等の支払額129,487千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、193,719千円(前事業年度は136,659千円の使用)となりました。支出の主な内訳は、カナミッククラウドサービスの機能強化に伴うサーバーの増強などを要因とした有形固定資産の取得による支出13,985千円、開発投資に伴う無形固定資産の取得による支出178,280千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、74,038千円(前事業年度は39,629千円の使用)となりました。支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出16,008千円、市場変更費用の支出17,794千円、配当金の支払額40,109千円等であります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性
当社における資金需要の主なものは製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金および設備投資資金であります。当社の資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フローによる資金調達となります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境に関するリスク、当社事業体制に関するリスク等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は、介護保険制度の改正に対応した継続的なシステム開発、各地域に根差したサービスの提供、地域連携の更なる推進による情報共有プラットフォームの構築、優秀な人材の採用及び育成等により、経営成績に重要な影響を与えるリスクを分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針
当社の経営陣は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後の業容拡大を遂げるためには、厳しい環境の下で、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、当社は、需要の変化に適宜対応できるようなシステム開発への取り組みを継続していく方針であります。また、新規事業領域である、コンテンツ事業及びビッグデータ解析事業の拡大を行っていくことにより様々な需要に対応できるような事業体制を構築してまいります。
(8) 経営戦略の現状と見通し
当社は高齢化社会に求められる医療・介護分野においてICTによる地域包括ケアの実現に寄与するために、多職種間連携を可能とする当社システムを医療・介護業界全体のプラットフォームとして提供してまいりました。
今後はビッグデータ解析サービス等の展開を通じて医療・介護分野における地域連携をさらに推進させ、患者・要介護者、全ての医療・介護事業者に有益なソリューションの提供に取り組んでまいります。
(9) 経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は収益性を重視する観点から「営業利益」を目標数値としております。当事業年度の目標360,000千円に対する実績は399,021千円(達成率110.8%)となりました。これは「(2)経営成績等 ①経営成績の状況」に記載した要因によるものであります。
翌事業年度は450,000千円(当事業年度比12.8%増)を目標とし、地域連携の強化による医療・介護事業者への営業を進めるとともに、国や自治体と一体となった事業を進めることにより業績を伸ばしてまいります。
該当事項はありません。
当社は、在宅医療・看護・介護分野の連携を実現する情報ネットワーク基盤の強化を目的として研究開発を行っております。研究開発活動の内容といたしましては、主に東京大学高齢社会総合研究機構との共同研究体制により、在宅医療・看護・介護のシームレスな連携を実現するネットワークシステムにおける多職種間連携の機能強化に関する研究を進めております。また、当事業年度より国立大学法人 旭川医科大学との共同研究を開始し、同大学との共同研究体制を通じてIoTクラウド利用の地域包括ケア・グローバルモデル構築を目的とした遠隔医療・介護に関する研究を進めております。
このような研究開発活動の結果、当事業年度における研究開発費は14,150千円となりました。