第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループは、以下の企業理念に基づき、様々な産業分野に特色のある高品質な化学製品を提供することを主方針として経営諸活動を遂行しております。

・企業使命 「化学の力」で、よりよい明日を実現する。

・経営姿勢 確かな技術と豊かな発想で、夢を「かたち」にする。

・行動指針 「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦する。

 

 当社グループを取り巻く事業環境は、欧米の政治動向や米中貿易摩擦、地政学リスクの高まりなどによる世界経済の不確実性や金融資本市場変動の影響、原燃料価格の変動など、依然として予断を許さない状況であると認識しております。このような事業環境の中、当社グループが中長期的な視点で目指す姿を描くとともに、実現に向けた道筋を示すものとして「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を策定しました。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年12月31日現在)において当社グループが判断したものであります。

 

 VISION 2030において、当社グループの目指す具体的な姿は以下の3点です。

 

目指す姿① 地球温暖化抑制・豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材を提供

事業活動を通じて地球温暖化抑制に資する製品や、よりよい暮らしに貢献できる素材を世界に向けて提供してまいります。

 

目指す姿② 戦略ドメインで世界シェアNo.1製品と新事業を拡大

当社が強みをもつ、冷凍機油原料、化粧品原料、高純度溶剤分野の製品を核とし設備投資や研究開発など集中的に資源を配分する領域として、戦略ドメインを「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」に設定しました。この戦略ドメインにおいて、世界シェアNo.1の製品を拡大するとともに、新たな事業や製品を創出します。

 

目指す姿③ 国内で化学業界トップクラスの利益率

戦略ドメインにおいて、高付加価値で独自性の高い製品に対して生産能力の増強や新製品の開発を進め、AIやIoT等の最新技術を取り込み、生産効率を向上させることで、国内の化学業界の中でもトップクラスの営業利益率を目指します。

 

 VISION 2030の実現に向けて4回にわたる中期経営計画の策定を予定しており、まず第一弾として平成31年から始まる3カ年の第3次中期経営計画「新たな挑戦」を策定しました。本計画の基本戦略は以下の3点です。

 

<戦略Ⅰ> 新設備の稼働等による収益拡大

・冷凍機油原料で圧倒的シェア獲得に向けた、新設備稼働や新製品の生産

・次世代ニーズを先取りした半導体材料向け設備の稼働

 

 具体的には、以下の各種施策に取り組みます。

 「環境」ドメインにおいては、エアコン市場の拡大や、地球温暖化係数の低い新冷媒への切り替えに伴う需要拡大を販売機会と捉え、地球温暖化抑制に貢献する冷凍機油原料において、平成32年に新製造設備の稼働を予定しています。これにより、対象製品の生産能力を1.5倍に増強することで、圧倒的シェア獲得の実現を目指します。加えて、より環境に優しい新たな冷凍機油原料の生産も開始いたします。

 「ヘルスケア」ドメインにおいては、保湿力や抗菌性が高く、高級化粧品やスキンケア製品向けに使用される1, 3-ブチレングリコールの生産能力の増強や低臭気化等の品質向上に取り組み、お客様の多様なニーズに応えていきます。

 「エレクトロニクス」ドメインにおいては、最先端の半導体材料向けに製造設備の稼働を計画しており、次世代ニーズを先取りした高品質な製品を提供いたします。

 

<戦略Ⅱ> 機能化学品事業拡大に向けた積極投資

・将来の収益の柱となる、機能化学品の大型投資判断

・独立した研究新拠点における、新ビジネスの早期創出

 

 具体的には、ドメイン別の戦略における設備投資やユーティリティー関連設備・原料受け入れ設備の更新等、戦略的に投資を実行します。さらに、将来の収益の柱となる機能化学品の大型投資に向けた投資判断を行い、全社一丸となってプロジェクトを推進してまいります。

 また、独立した研究開発拠点を新たに設置することで、企業間ネットワークを構築しながら、オープンイノベーションによる開発加速、新事業の早期創出を目指します。

 

<戦略Ⅲ> ビジネス基盤の強化

・最新技術(AI、IoT等)を活用したプラント制御システム導入拡大

・事業拡大を加速するための、人財育成・獲得、職場環境の刷新・活性化

 

 具体的には、競争力ある工場づくりのために、AIやIoT等の最新技術を活用したプラント制御システムの導入を拡大し、生産効率を飛躍的に高めてまいります。加えて、全社保全戦略を再構築する等の構造改革を進めることで、計画外の操業停止による生産機会の損失や生産効率の悪化を最小限にとどめるなど、競争力の強化を図ります。

 事業拡大に伴い、競争力ある人財を育成・確保するために、多様な人財が快適かつ柔軟に働けるよう全社的な職場改善計画を立案し、整備を進めてまいります。また、女性社外取締役の任用等による取締役会の多様性拡大を図り、さらなるガバナンスの強化に取り組みます。加えて、事業継続計画(BCP)を策定・強化し、リスク管理を徹底してまいります。併せて、株主との積極的な対話の一環として、統合報告書を作成し開示することで、経営の透明性の確保を図ります。

 

 当社グループは、コンプライアンス、環境保全、品質保証、安全操業など企業の社会的責任を誠実に全うし、特色ある高品質な製品を様々な産業分野のお客様に提供することで、持続的な成長を実現し、広く社会から信頼される企業でありたいと考えております。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある

事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下の事項は当社グループのリスクのうち主要なものを記載しており、当社グループのリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測しがたいリスクが存在する可能性があるものと考えております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な開示の観点から記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年12月31日現在)において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済環境及び市場環境の変動について

 当社グループの製品の需要は、自動車、住宅、電子電機機器及び消費財等の最終製品の需要に左右され、国内外の工業生産量の全体的な変動及び個別最終製品市場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、競合他社による大型生産設備の建設等により供給過剰となった場合等により市場環境が大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 原材料の価格変動について

 当社グループは、ナフサを分解して作られているプロピレンやエチレンを主要原材料としております。このため、原油価格、需給バランス、為替等の影響によりナフサの価格が急激に変動した場合は、製品価格への転嫁により対応しておりますが、価格上昇分を十分に製品価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、棚卸資産の評価を主として総平均法による原価法で行っており、期中にナフサの価格が上昇した場合は、期首の相対的に安価な在庫の影響により売上原価の上昇が抑えられるため、増益要因となります。一方で、ナフサの価格が下落した場合は、期首の相対的に高価な在庫の影響により売上原価の下落が抑えられるため、減益要因となります。このため、ナフサの価格変動が緩やかであれば製品販売施策等の対応によりこれらの影響を減殺する可能性があるものの、原油価格、需給バランス、為替等の影響によりナフサの価格が急激に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 原材料の調達について

 当社グループは、原材料を複数の仕入先から購入することにより安定調達を図り、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めております。しかしながら、一部の原材料については製造拠点の立地条件及び運搬・貯蔵方法等に伴う制約から特定の仕入先に依存する場合があり、特定の仕入先の被災や事故等により原材料の供給不能又は供給不足が長期間に亘り発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 為替変動について

 当社グループは、海外から原材料の一部を輸入するとともに、国内で製造した製品の一部を海外に輸出しております。このため、為替予約等によりリスクヘッジを行っておりますが、為替レートが大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 海外事業展開について

 当社グループは、アジア及び米州を中心に海外事業展開を拡大しつつありますが、海外においては、政治、経済情勢の変化、予期しえない法規制の変更、自然災害、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等、それぞれの国や地域固有のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 合弁事業について

 当社グループは、事業規模の拡大や競争力強化を目的として国内外において合弁事業を行っております。これらの合弁事業が当初期待していた成果をあげることができなかった場合には、事業の選択と集中に伴う不採算事業からの撤退やグループ会社の整理等を行うことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 たとえば、当社グループは、平成30年10月に台湾中油股份有限公司等と共同設立した台湾法人曄揚股份有限公司を通じたイソノニルアルコールプロジェクトの中止方針を決定し、手続きを進めておりますが、当該台湾法人の清算に向けた法的手続きの遅延等問題が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(7) 金利変動について

 当社グループは、有利子負債の削減に努めておりますが、今後有利子負債が増加した場合や、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 固定資産の減損について

 当社グループは、製造設備等の固定資産を多数所有しており、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な企業収益性の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 有価証券の評価損について

 当社グループは、当社の企業価値向上のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落または株式保有先の経営状況の悪化により株式の評価額が著しく下落した場合には株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10)繰延税金資産について

 当社グループは、将来減算一時差異に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、結果が予測・仮定と異なる場合、又は税制改正に伴い税率変更等が実施された場合、繰延税金資産の見直しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11)退職給付関係について

 当社の従業員及び元従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されます。年金資産の時価の下落、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12)法的規制について

 当社グループは、主に保安・安全衛生、環境及び化学物質に関する法規制のもと、コンプライアンスの徹底を図りながら事業活動を行っております。しかしながら、将来的に法規制の大幅な変更や規制強化が行われた場合には、事業上の制約や法令遵守のための設備投資に伴う費用の増加等、また、これら法規制に違反して行政処分、行政指導、罰則等の賦課、損害賠償請求等を受けた場合には、対応措置のための費用の発生又は増加、生産その他事業運営に対する影響、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13)製造物責任について

 当社グループは、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001に従って製品の品質向上に努めながら生産活動を行っております。また、万一の事故に備えて製造物責任賠償保険に加入してリスクヘッジしておりますが、賠償額が保険の補償枠を超える大規模な製造物責任につながる製品の欠陥が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14)事故、災害について

 当社グループは、保安防災活動や地震防災訓練を継続的に実施するなど、工場の設備事故の発生防止に努めておりますが、万一、火災や爆発等の産業事故災害や自然災害などが発生した場合には、生産への影響や社会的信頼の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15)研究開発について

 当社グループは、従前より市場ニーズの変化に対応した新しい機能性製品の研究開発を推進しております。このため、市場ニーズが当社グループの想定を超えて大きく変化した場合や、市場ニーズに合った開発品を適時に製品化できない場合には、研究開発投資を回収できないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16)知的財産について

 当社グループは、研究開発の成果を特許権等の権利化をすることにより知的財産権の保護や他社へのライセンス等による活用を図っております。また、他社の知的財産を侵害しないために、新製品の開発前に先行技術等の調査を行うほか、既存製品についても定期的に調査を実施しております。しかしながら、第三者から特許権等への抵触を理由として差止訴訟、損害賠償請求訴訟等を提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17)情報管理について

 当社グループは、事業活動を行ううえで多くの機密情報や個人情報を保有しております。当社グループでは、厳正な管理体制のもとで情報漏洩の防止に努めておりますが、万一、情報の流出や情報改ざんによる問題が発生した場合には、競争力の低下や社会的信用の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(18)訴訟について

 当社グループは、国内及び海外事業に関連して、取引先、第三者及び従業員等との間で紛争が発生し訴訟、その他法的手続きの当事者となるリスクを有しております。重要な訴訟等の提起があり、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、高水準の企業収益を背景に設備投資が堅調さを維持し、世界経済の緩やかな回復に伴い年央まで輸出が良好に推移する等緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、年後半に米中の貿易摩擦が顕在化したことに伴い中国及び欧州等の経済成長が減速しわが国の輸出も力強さに欠けるようになりました。加えて、英国のEU離脱等の欧米政治動向や米国の金利政策の各国経済への影響が懸念され景気の先行きの不透明感が高まりました。

 当社グループをとりまく環境は、アジア市場において化学品需要が着実に拡大するなか、前年に引き続き、需給バランスが引き締まり市況が改善する等良好に推移しました。しかしながら、年末にかけては米中の貿易摩擦に起因する海外経済の不確実性の高まり等の影響により、原油やナフサの価格が急落するとともに化学品全般の価格が下落する傾向が見られました。

 このような環境のもと、当社グループは当連結会計年度の重点課題として掲げた「高収益確保のための各種施策の実行」・「機能性材料の生産能力増強」・「高品質な製品を安定供給していくための生産基盤の強化」等に取り組み諸施策を着実に推し進めてまいりました。加えて、コーポレートガバナンスの強化やCSR(企業の社会的責任)活動の充実等にも積極的に取り組みました。

 また、台湾において推進してまいりましたイソノニルアルコールプロジェクトにつきまして、プラント建設費の高騰等を受けその継続の可否につき検討した結果、10月にプロジェクトの中止方針を決定し、当連結会計年度の特別損失に投資有価証券評価損及び関係会社整理損を合わせて14億43百万円計上しております。

 事業の成果につきましては、国内外の需要が前年に引き続き堅調に推移するなか、秋口までの原油及びナフサの価格高騰を背景に原燃料価格が上昇したことを受け製品販売価格の値上げを着実に実施しましたが、隔年で実施する大規模な定期修繕に伴い生産・販売数量が減少したことに加え、修繕費等の設備維持費用が増加したこと等の要因により、前連結会計年度に比べ増収減益となりました。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高1,011億99百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益108億58百万円(同5.5%減)、経常利益111億97百万円(同6.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益67億37百万円(同17.5%減)となりました。

 

 事業分野別には、次のとおりであります。

 基礎化学品は、大規模な定期修繕に伴い販売数量が減少しましたが、自動車生産が前年に引き続き高水準で推移する等国内需要が堅調ななか、原料価格の上昇を受けた製品販売価格の値上げを着実に実施したこと等により売上高、利益とも前連結会計年度を上回り、売上高493億44百万円(前連結会計年度比8.1%増)、売上総利益69億85百万円(同2.2%増)となりました。

 機能性材料は、中国等の新興国におけるエアコン用の環境配慮型冷媒の使用や化粧品の消費が伸長したことを背景に、当社製品である冷凍機油原料や化粧品原料の需要は前年に引き続き拡大しました。需給の引き締まりと原料価格の上昇を受けて製品販売価格の値上げを進めたことで、売上高は前連結会計年度を上回りました。しかしながら、大規模な定期修繕に伴い販売数量が減少したこと等により利益は前連結会計年度を下回り、売上高393億64百万円(前連結会計年度比5.5%増)、売上総利益118億12百万円(同4.7%減)となりました。

 電子材料は、国内外の半導体向け需要が前年に引き続き堅調に推移したこと等により売上高は前連結会計年度を上回りましたが、原料価格の上昇等の影響により利益は前連結会計年度を下回り、売上高117億82百万円(前連結会計年度比7.0%増)、売上総利益30億33百万円(同4.6%減)となりました。

 その他は、売上高7億7百万円(前連結会計年度比0.5%減)、売上総利益1億56百万円(同39.8%減)となりました。

 

②財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は524億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億81百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が27億39百万円、繰延税金資産が5億78百万円それぞれ減少しましたが、受取手形及び売掛金が26億97百万円、たな卸資産が11億84百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における固定資産は420億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億1百万円減少いたしました。これは主に、有形固定資産が6億85百万円増加しましたが、投資有価証券が13億69百万円、退職給付に係る資産が2億43百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 この結果、資産合計は945億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億19百万円減少いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は421億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億72百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が21億43百万円増加しましたが、短期借入金が2億90百万円、コマーシャル・ペーパーが9億99百万円、未払金が3億51百万円、未払法人税等が4億39百万円、修繕引当金が14億55百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 当連結会計年度末における固定負債は140億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億40百万円減少いたしました。これは主に、修繕引当金が5億98百万円増加しましたが、長期借入金が24億円、繰延税金負債が7億98百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は562億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ45億12百万円減少いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は383億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億92百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益67億37百万円、連結子会社株式の追加取得に伴う資本剰余金の増加7億46百万円、その他有価証券評価差額金の減少2億98百万円、非支配株主持分の減少10億77百万円及び剰余金の配当20億63百万円によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ25億39百万円減少し、101億26百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は77億7百万円(前連結会計年度は129億71百万円の獲得)となりました。これは主に、修繕引当金の減少額8億56百万円、売上債権の増加額27億4百万円、たな卸資産の増加額11億94百万円及び法人税等の支払額32億44百万円により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益97億54百万円、減価償却費31億20百万円、投資有価証券評価損8億90百万円及び仕入債務の増加額21億61百万円により資金が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は40億9百万円(前連結会計年度は32億81百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出40億61百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は62億24百万円(前連結会計年度は93億38百万円の使用)となりました。これは主に、コマーシャル・ペーパーの純減少額10億円、長期借入金の返済による支出24億円、配当金の支払額20億65百万円及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出4億10百万円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループは化学品事業の単一セグメントであるため、事業分野別に記載しております。

 

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。

事業分野の名称

当連結会計年度

(自 平成30年1月1日

至 平成30年12月31日)

前年同期比(%)

基礎化学品   (百万円)

43,950

104.5

機能性材料   (百万円)

34,697

107.5

電子材料    (百万円)

11,651

106.1

合計(百万円)

90,299

105.9

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループでは一部受注生産を行っておりますが、売上高のうち受注生産の占める割合が低いため、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。

事業分野の名称

当連結会計年度

(自 平成30年1月1日

至 平成30年12月31日)

前年同期比(%)

基礎化学品   (百万円)

49,344

108.1

機能性材料   (百万円)

39,364

105.5

電子材料    (百万円)

11,782

107.0

その他     (百万円)

707

99.5

合計(百万円)

101,199

106.9

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成30年1月1日

至 平成30年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

出光興産㈱

11,041

11.7

11,133

11.0

ミヤコ化学㈱

8,965

9.5

10,361

10.2

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の状況に関して

 当連結会計年度における経営成績の状況の概要は「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります。

 

<売上高>

 売上高は1,011億99百万円となり、前連結会計年度と比べ6.9%増加いたしました。これは主に、大規模な定期修繕の実施に伴い生産・販売数量が減少したものの、当社製品の国内外需要が堅調に推移するなか、秋口までの原油及びナフサの価格高騰を背景に原燃料価格が上昇したことを受け製品販売価格の値上げを着実に実施したことによるものであります。

 

<売上総利益>

 売上総利益は219億88百万円となり、前連結会計年度と比べ3.0%減少いたしました。これは主に、当連結会計年度が製造設備の大規模修繕を実施する年であったことにより生産・販売数量が減少したことに加え、修繕費等の設備維持費用が増加したこと等の要因によるものであります。

 

<販売費及び一般管理費、営業利益>

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ38百万円減少の111億30百万円となりました。この結果、営業利益は108億58百万円となり、前連結会計年度と比べ5.5%減少いたしました。なお、売上高営業利益率は10.7%となり、前連結会計年度と比べ1.4%低下いたしました。

 

<営業外収益、営業外費用、経常利益>

 営業外収益は、持分法による投資利益が減少しましたが受取配当金が増加したこと等により前連結会計年度と比べ16百万円増加の8億13百万円となり、営業外費用は、固定資産処分損が増加したこと等により前連結会計年度と比べ87百万円増加の4億73百万円となりました。この結果、経常利益は111億97百万円となり、前連結会計年度と比べ6.0%減少いたしました。

 

<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>

 平成30年10月に実施しました「イソノニルアルコールプロジェクト」の中止方針の決定に伴って投資有価証券評価損と関係会社整理損を合わせて14億43百万円特別損失に計上しました。この結果、税金等調整前当期純利益は97億54百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は67億37百万円となり、前連結会計年度と比べ17.5%減少いたしました。

 

 なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、経済環境及び市場環境の変動、原材料の価格変動、為替相場の変動、製造物責任及び産業事故災害等が挙げられます。詳細につきましては「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性の状況に関して

 運転資金及び設備投資に使用するための資金を内部資金または借入金により調達しております。このうち、借入金による資金調達につきましては、運転資金を主に短期借入金やコマーシャル・ペーパーにより、設備投資などのための長期資金を主に長期借入金により、それぞれ調達しております。

 当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は前連結会計年度末に比べ36億89百万円減少の210億40百万円となり、純有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ9億50百万円減少の109億13百万円となりました。

 なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の概要は「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、事業活動の成果を示す主な経営指標として売上高及び営業利益を掲げているほか、資本及び資産の効率性を示す経営指標としてROE(自己資本利益率)、財務の安定性を示す経営指標として自己資本比率を掲げております。

平成31年12月期を初年度とする第3次中期経営計画(3カ年)の最終年度である平成33年12月期における当該経営指標の目標値は以下のとおりであります。

 

<売上高>1,100億円 <営業利益>135億円 <ROE>18% <自己資本比率>47%

(前提条件 為替:1米ドル110円、国産ナフサ価格:46,000円/KL)

 

 なお、当連結会計年度におけるROEは20.13%、当連結会計年度末における自己資本比率は37.98%となりました。また、上記目標の達成に向けた経営方針・経営戦略等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

合弁関係

KHネオケム株式会社(当社)

締結先

合弁会社名

設立の目的

資本金

設立年月日

三菱ケミカル㈱

㈱ジェイ・プラス

(持分法適用関連会社)

可塑剤の製造および販売

480百万円

出資比率50.0%

平成12年4月

㈱国際協力銀行

KH Neochem U.K. Ltd.

(非連結子会社)

合弁会社(曄揚股份有限公司)への投資

12,400千米ドル

出資比率100%

平成27年7月

台湾中油股份有限公司

(CPC Corporation, Taiwan)、

兆豊國際商業銀行股份有限公司(Mega International Commercial Bank Co.,Ltd.)

曄揚股份有限公司

(持分法非適用関連会社)

イソノニルアルコール等の製造及び販売

850百万台湾ドル

平成27年9月

㈱国際協力銀行との契約については、平成30年10月25日のイソノニルアルコールプロジェクト中止に向けた諸手続きを進める方針の決定を受け、本書提出日現在、解約をしております。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、主に当社(提出会社)が担っており、その内容は以下のとおりであります。

 

(1) 研究開発方針

 地球温暖化をはじめとする環境問題、エネルギー・資源問題、少子高齢化問題など、社会が直面する様々な課題は、高度で多様化された新製品の新たなニーズを生み出しつつあります。

 当社は、このようなニーズにスピィディーに応えるためにこれまでに蓄積してきた技術を深く追求するとともに、国内外の研究機関や企業と連携した研究開発に積極的に取り組み、豊かでサスティナブルな未来に貢献する新製品の開発に果敢に挑戦しております。

 石油化学製品の開発を通じて培った有機合成技術を基盤として、「Solution提供」「環境対応・貢献」「新規高機能製品の創造」をキーワードにした研究開発活動により、さまざまな分野に特色のある製品を提供し、地球環境と人々の快適な暮らしを支える化学品メーカーを目指してまいります。

 

(2) 研究開発フロー

 当社の新製品創造は、研究開発部門、知的財産部門、製造部門、販売部門、企画部門が一体となって進められます。「自社の強み」を機軸に要素技術を固め、販売部門と連携して収集した「お客様の声」に加え、「社会要請」、及び「市場の潮流」を考慮して、研究開発部門がお客様にSolutionを提案し、製造部門と連携して供給体制を整えます。

 

 四日市研究所は、高機能スペシャリティケミカルの創出と事業化の拠点として以下の研究開発に取り組んでおります。

A.低GWP(地球温暖化係数)冷媒向け潤滑油素材の開発

B.オキソ技術を用いた機能性製品の開発とソリューション提供

C.ヘルスケア・化粧品素材の開発

D.当社製品の生産性改善・競争力強化

 

 現在の強みである潤滑油関連素材と化粧品原料素材事業を深化させる研究と、オキソ反応や合成技術など自社の要素技術を展開していく研究の組合せで、企画部門とも連携しながら成長戦略に沿った新製品の事業化を目指します。

 

(3) 新規事業・新製品探索機能強化への取り組み

 当社の新製品創造をさらに加速させるため、新規事業分野や新製品の探索機能の強化のために、お客様ヒヤリングや市場調査に基づく探索検討と新たな顧客価値提案に向けた外部との連携によるもの創り技術・評価技術・設備の拡充を図りながらフィードバックサイクルの迅速化に向けて取り組んでおります。

 

 特に、「お客様の声」に対する対応力の強化を目指し、より一層密な双方向での情報交換を行うべく専任者の配置を行い、取り組みを継続しております。

 また、「社会要請」、及び「市場の潮流」への感度を上げ、さらには全社一体となった新規事業立ち上げに向け運営された「新規事業構築会議」により絞り込まれた候補案件について、本年度より企画部門、販売部門と連携して検討に着手しております。

 

(4) 当連結会計年度の研究開発活動

 当連結会計年度においては、潤滑油分野での展開が期待される当社新規素材を顧客に提案いたしました。

 研究開発費の総額は8億22百万円となっております。

 

 当社グループは、化学品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。