文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、以下の企業理念に基づき、様々な産業分野に特色のある高品質な化学製品を提供することを主方針として経営諸活動を遂行しております。
・企業使命 「化学の力」で、よりよい明日を実現する。
・経営姿勢 確かな技術と豊かな発想で、夢を「かたち」にする。
・行動指針 「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦する。
当社グループは中長期的な視点から目指す姿を描くとともに、実現に向けた道筋を示すものとして「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を策定しております。
VISION 2030において、当社グループが目指す具体的な姿は以下の3点です。
目指す姿① 地球温暖化抑制・豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材を提供
事業活動を通じて地球温暖化抑制に資する製品や、よりよい暮らしに貢献できる素材を世界に向けて提供してまいります。
目指す姿② 戦略ドメインで世界シェアNo.1製品と新事業を拡大
当社が強みをもつ、冷凍機油原料、化粧品原料、高純度溶剤分野の製品を核とし、設備投資や研究開発など集中的に資源を配分する領域として、戦略ドメインを「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」に設定しました。この戦略ドメインにおいて、世界シェアNo.1の製品を拡大するとともに、新たな事業や製品を創出します。
目指す姿③ 国内で化学業界トップクラスの利益率
戦略ドメインにおいて、高付加価値で独自性の高い製品に対して生産能力の増強や新製品の開発を進め、AIやIoT等の最新技術を取り込み、生産効率を向上させることで、国内の化学業界の中でもトップクラスの営業利益率を目指します。
なお、2030年長期経営目標として、売上高 1800億円、営業利益 250億円超、ROE 12%超、自己資本比率 50%を掲げております。
VISION 2030の実現に向けて4回にわたる中期経営計画の策定を予定しており、まず第一弾として2019年から始まる3カ年の第3次中期経営計画「新たな挑戦」を発表し、現在推進しております。本計画の基本戦略は以下の3点です。
これらの施策に加えて、コンプライアンス、環境保全、品質保証、安全操業など企業の社会的責任を誠実に全うし、特色ある高品質な製品を様々な産業分野のお客様に提供することで、持続的な成長を実現し、広く社会から信頼される企業でありたいと考えております。
以上のような長期ビジョン及び中期経営計画のもと、2021年において、当社は、次のように経営環境を認識し、様々な課題に全社一丸となって取り組んでまいります。
<経営環境>
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を背景とした世界経済の不確実性の高まり、米中貿易摩擦や金融資本市場の変動の影響、不安定な中東情勢を反映した原燃料価格の変動など、依然として予断を許さない状況であると見込まれます。
(事業分野別)
■基礎化学品
自動車向けは2020年下期からの堅調さが続き、住宅向けも底堅く推移すると認識しています。また、需給バランスが改善傾向にあるため、市況についても堅調に推移するものと認識しております。
■機能性材料
冷凍機油原料については、2020年第4四半期から需要が回復傾向にあります。これから夏場に向けて、エアコン生産台数の増加と共に需要の伸長が期待されるものと認識しております。また、化粧品原料については、移動制限解除によるトラベルリテールの復活やインバウンド需要の回復などコロナ禍の鎮静化がポイントになるものと予想しておりますが、新規算入や競合他社の増設など競争環境にも変化が生じていることから、市況の回復には多少の時間を要すると認識しています。
■電子材料
新しい生活様式の定着によるテレワークや遠隔学習、5GやAIの普及などの需要拡大を背景に市況は堅調に推移するものと認識しております。
<対処すべき課題>
2021年重点課題に対する取組み
2020年上期に稼働を開始した環境配慮型エアコン向け冷凍機油原料の新設備を活用することで、コロナ禍から回復し、拡大する需要を着実に取り込むとともに、同年下期にグループ会社の黒金化成株式会社で本格稼働した次世代半導体向け材料の新設備を活用し、情報技術の発展や半導体の高度化とともに高まる顧客からの技術要求に対応することで収益拡大に努めてまいります。併せて、適切な販売価格の見直し等による採算管理についても徹底・強化してまいります。
また、ビジネス基盤をより強固なものとしていくため、設備トラブル防止に向けた戦略的保全を着実に実行するとともに、積極的に導入しているプラント制御システムについては、生産性向上とコスト削減のより高い効果が期待される設備への優先的な導入を進めていくことで収益力強化に努めてまいります。
さらに、機能性材料事業の拡大に向けた投資については、需要予測を再精査し、投資のタイミングをしっかりと見極める等、慎重かつ適切な判断を行ってまいります。加えて、オープンイノベーション拠点であるKH i-Labでは、外部企業と共同実験を行うための「オープンラボ」を新たに設け、新事業の早期創出に向けた具体的な検討を進めてまいります。
また、ステークホルダーの皆様からの一層の信頼獲得に向けた取組みの一環として、統合報告書の作成を進め、財務情報だけでなく、ESG、持続可能な開発目標(SDGs)の視点も踏まえた非財務情報の開示についても充実させてまいります。さらに、2020年に制定した「コンプライアンス・コード」の下、ガバナンスの強化を推進することで、健全かつ透明性の高いグループ経営を実践し、企業価値の最大化を図ってまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応
当社では新型コロナウイルス対策本部を設置し、同感染症に関する情報収集を行うとともに、当社独自の「行動ガイドライン」を制定する等の各種対策を立案・実施することで感染防止に努めております。引き続き、感染防止対策の徹底を図るとともに、当社グループ業績に与える同感染症の影響を注視し、リスクへの感度を高めることで、経営環境の変化に応じた事業運営を推進してまいります。
以上の取組みを確実に遂行するとともに、中長期的かつ多様な視点から当社グループを取り巻く経営環境や社会課題を捉え、地球環境に配慮した製品の拡大や新たな成長戦略の模索、デジタル技術のさらなる活用、人材・エンゲージメント等の課題に対して、持続的な企業成長を実現していくための道筋をつけてまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下の事項は当社グループのリスクのうち主要なものを記載しており、当社グループのリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測しがたいリスクが存在する可能性があるものと考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年12月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
①経済環境及び市場環境の変動
当社グループの製品の需要は、自動車、住宅、電子電機機器及び消費財等の最終製品の需要に左右され、国内外の工業生産量の全体的な変動及び個別最終製品市場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による大型生産設備の建設等により供給過剰となった場合等により市場環境が大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、製品需要に応じた生産及び在庫調整を行うとともに、販売施策を講じることにより、これらの影響を低減するように努めております。
②原材料の価格変動
ナフサを分解して製造されるプロピレンやエチレンを主要原材料としているため、原油価格、需給バランス、為替等の影響によりナフサ価格が急激に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは棚卸資産の評価を主として総平均法による原価法で行っており、期中にナフサの価格が上昇した場合は、期首の相対的に安価な在庫の影響により売上原価の上昇が抑えられるため、増益要因となります。一方で、ナフサ価格が下落した場合は、期首の相対的に高価な在庫の影響により売上原価の下落が抑えられるため、減益要因となります。そのため、原油価格、需給バランス、為替等の影響によりナフサの価格が急激に変動した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、製品販売施策等の対応を適切に講じることによりこれらの影響を減殺するように努めております。
③為替変動
当社グループは、海外から原材料の一部を輸入するとともに、国内で製造した製品の一部を海外に輸出しております。そのため、為替レートが大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、為替予約等によりリスクヘッジを行っております。
④気候変動
当社グループは、気候変動を中長期的且つ社会的な重要課題と認識し、これまで培ってきた技術力を活用することで、温室効果ガス削減などに積極的に取り組んでおります。しかしながら、地球温暖化の原因とされる温室効果ガス排出削減などを目的とした世界的な取り組みが進展し、二酸化炭素(CO₂)等の排出規制や炭素税の賦課が導入され、原材料や用役に係るコストが上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、CO₂を原料として使用する環境配慮型の技術であるオキソ技術を用いた製造や低GWP(地球温暖化係数)冷媒を使用したエアコンに使用される冷凍機油原料の供給等を通じて、地球温暖化抑制に貢献するとともに、生産活動におけるエネルギー効率向上などに取り組むことでリスク軽減に努めております。
⑤事故・災害
火災や爆発等の産業事故災害や自然災害などが発生した場合には、生産への影響や社会的信頼の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、製造設備に対する保守点検・計画的な検査修繕、安全確保のための設備投資等を実施するなど、工場の設備事故の発生防止に努めております。また、地震をはじめとした災害に対しては、本社および両工場を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)を策定することで、災害が発生した際に損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図る体制を整備しております。
⑥人材
雇用情勢の悪化等により必要な人材が確保できず、育成も計画通りに進まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、持続的な企業成長を実現するため、多様で優秀な人材の確保・育成、エンゲージメント向上を意識した働きやすい職場環境づくりなどに積極的に取り組んでおります。
⑦原材料調達
一部の原材料について製造拠点の立地条件及び運搬・貯蔵方法等に伴う制約から特定の仕入先に依存する場合があり、特定の仕入先の被災や事故等により長期間に亘る原材料の供給不能又は供給不足が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、原材料を複数の仕入先から購入することにより安定調達を図るとともに、適正在庫を保有することで、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めております。
⑧感染症
当社グループが事業活動を行う国・地域で新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス等の感染症が発生・拡大し、事業活動に制限が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、新型コロナウイルスの感染症対策として、当社独自の行動ガイドラインを策定し、在宅勤務やフレックスタイム制度を活用した時差通勤などを推進するとともに、3密回避、うがい・手洗い、消毒等の基本行動徹底することで感染防止に努めております。また、当社グループ内で感染者が発生した場合は、保健所などと連携の上、適切に対処することで事業活動への影響の最小化を図ります。
⑨海外事業
当社グループは、アジア及び米州を中心とした海外事業を展開しておりますが、海外においては、政治、経済情勢の変化、予期しえない法規制の変更、自然災害、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等、それぞれの国や地域固有のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、駐在員の派遣等の対応により現地事情などの情報収集に努めております。
⑩法的規制
将来的に法規制の大幅な変更や規制強化が行われた場合には、事業上の制約や法令遵守のための費用の増加等、また、これら法規制に違反して行政処分、行政指導、罰則等の賦課、損害賠償請求等を受けた場合には、対応措置のための費用の発生又は増加、事業運営に対する影響、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、その対策として、当社グループの経営目標を達成するとともに持続的な成長を可能とするために実施すべき行動原則としてコンプライアンス・コードを定め、商取引、保安・安全衛生、環境・化学物質、労働などに関する国内外の様々な関連法規制のもと、コンプライアンスの徹底を図りながら事業活動を行っております。また、コンプライアンス研修・教育を行うなど、コンプライアンス意識向上に積極的に努めています。
⑪製造物責任
大規模な製造物責任につながる製品の欠陥が発生した場合には、多額の賠償額が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001に従い、製品品質の向上に努めた生産活動を行うとともに、万一の事故に備え、製造物責任賠償保険に加入することでリスクヘッジしております。
⑫知的財産
第三者から特許権等への抵触を理由として差止訴訟、損害賠償請求訴訟等を提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、知財ポリシーを制定し、無形資産である知的財産を保全、管理、活用し、第三者の知的財産を尊重することを通じて、企業価値の維持・向上、知的財産リスク低減に努めております。このような管理体制のもと、研究開発の成果を特許権等の権利化をすることにより知的財産権の保護や他社へのライセンス等による活用を図るとともに、他社の知的財産を侵害しないために、新製品の開発前に先行技術等の調査を行うほか、既存製品についても定期的に調査を実施しております。
⑬情報セキュリティ
当社グループは、事業活動を行ううえで多くの機密情報や個人情報を保有しております。そのため、万一、情報の流出や情報改ざんによる問題が発生した場合には、競争力の低下や社会的信用の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、情報システムに問題が発生した場合には、業務の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、情報セキュリティポリシーおよび個人情報保護ポリシーを定め、厳正な管理体制のもとで情報漏洩の防止に努めるとともに、サイバー攻撃に対して様々な防衛策を講じております。
⑭有価証券の評価損
当社グループは、当社の企業価値向上のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落または株式保有先の経営状況の悪化により株式の評価額が著しく下落した場合には株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
株式の保有についての方針等は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を背景に、輸出や鉱工業生産が減少したほか、企業の設備投資を先送りする動きや個人の消費行動を自粛する動きなどが見られ悪化しました。また、石油製品需要の減少懸念等に伴うOPECプラスの協調減産協議が決裂したことも重なり原油価格が大幅に下落したほか、自動車等の生産・販売が減少するなど、極めて厳しい状況となりました。5月以降、国内の経済活動の再開が進められ、中国向け輸出や自動車を中心とする鉱工業生産、所得支援等の政策に後押しされた個人消費が持ち直したほか、年末には同感染症予防に有望なワクチンが一部の国々で実用化され世界経済の本格的な回復が期待されるようになったものの、感染の拡大が収まらない状況が続きました。
このような環境のもと、当社グループは、同感染症予防のため、当社において対策本部を設置し、行動ガイドラインを策定するなど徹底した感染対策を行うことにより従業員の感染を防ぎ、工場をはじめとする各拠点の事業活動を支障なく継続してまいりました。加えて、市場動向が不透明ななか需要見通しの把握と分析に注力したほか、原料調達について供給元との連携を強化することで需要に見合った生産と適正在庫の確保を図るとともに、原油やナフサの価格変動、製品の需給バランスに応じた適切な価格政策、さらには、経費を費用対効果の観点からゼロベースで見直し、削減・抑制することにより、利益確保に努めました。
また、第3次中期経営計画の基本戦略に基づいた取組みとして、冷凍機油原料や次世代半導体向け材料の新設備を稼働させたほか、最新技術を活用したプラント制御システムの導入継続、2019年に設置したオープンイノベーション拠点であるKH i-Lab(ケイエイチ アイラボ)における新ビジネス創出に向けた取組み、人事制度改革における管理職層の成果責任の明確化等の諸施策を着実に推し進めました。その他、独立社外取締役の増員や新たにグループ全体の行動原則として「コンプライアンス・コード」を策定するなどガバナンスの強化に努めてまいりました。
当連結会計年度における当社グループの業績は、同感染症の拡大の影響により国内外の需要が低迷したため、前連結会計年度に比べ販売数量が大幅に減少するなか、販売価格についても原油・ナフサ価格の急落や需要の低迷に伴い弱含みで推移しました。テレワーク関連需要が底堅く推移したことにより電子材料は販売数量・利益ともに堅調だったものの、機能性材料における需要が大きく低迷したことなどにより厳しい状況が続きました。加えて、大規模定期修繕に伴う修繕費等の製造固定費が増加したことなどにより、売上高773億32百万円(前連結会計年度比17.9%減)、営業利益56億42百万円(同41.0%減)、経常利益56億27百万円(同43.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益40億46百万円(同41.5%減)と減収減益となりました。
事業分野別には、次のとおりであります。
基礎化学品は、第2四半期において同感染症の拡大に伴い、幅広い分野で国内需要が減退して、厳しい状況で推移しました。また、第3四半期以降、自動車関連を中心に緩やかに需要が回復しましたが、販売数量、売上高、利益ともに前連結会計年度を下回り、売上高343億84百万円(前連結会計年度比22.7%減)、営業利益13億42百万円(同47.0%減)となりました。
機能性材料は、同感染症の拡大によりエアコン用冷凍機油原料の需要が第2四半期に大きく落ち込み、サプライチェーンにおける在庫調整の影響等により第3四半期まで低迷が続きました。また、外出自粛による化粧品販売の減少に伴い、化粧品原料の需要が低調に推移したことなどにより販売数量、売上高、利益ともに前連結会計年度を下回り、売上高304億49百万円(前連結会計年度比18.7%減)、営業利益51億29百万円(同36.7%減)となりました。
電子材料は、国内外のテレワーク拡大や5Gへの移行進展等を背景とした半導体・ディスプレイ向け需要が堅調に推移するなか、高純度溶剤の売上が前連結会計年度を上回ったことなどにより販売数量、売上高、利益ともに前連結会計年度を上回り、売上高115億7百万円(前連結会計年度比1.8%増)、営業利益17億83百万円(同8.3%増)となりました。
その他は、売上高9億90百万円(前連結会計年度比1.2%減)、営業利益2億16百万円(同31.5%減)となりました。
(注)上記の事業分野別の「営業利益」には、全社に共通する管理費用等を配分しておりません。
②財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は439億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ111億円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が88億1百万円、受取手形及び売掛金が5億76百万円、たな卸資産が19億70百万円それぞれ減少したことによるものであります。
固定資産は515億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億47百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が35億62百万円、投資有価証券が7億68百万円それぞれ増加したことによるものであります。有形固定資産の増加の主なものは、当社四日市工場における冷凍機油原料生産設備の新設によるものであります。
この結果、資産合計は955億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ67億52百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は352億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億13百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が32億60百万円、未払金が20億97百万円、未払法人税等が12億74百万円、修繕引当金が17億17百万円それぞれ減少したことによるものであります。
固定負債は144億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債が6億52百万円、修繕引当金が6億59百万円それぞれ増加しましたが、長期借入金が24億円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は496億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ91億14百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は458億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億61百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益40億46百万円、その他有価証券評価差額金の増加5億71百万円及び剰余金の配当22億24百万円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ88億1百万円減少し、90億66百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は69億31百万円(前連結会計年度は109億62百万円の獲得)となりました。これは主に、修繕引当金の減少額10億58百万円、仕入債務の減少額31億97百万円及び法人税等の支払額23億2百万円により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益56億27百万円、減価償却費37億37百万円、売上債権の減少額5億56百万円、たな卸資産の減少額19億31百万円及びその他の流動負債の増加額15億77百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は111億82百万円(前連結会計年度は35億12百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出108億85百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は45億30百万円(前連結会計年度は2億94百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出24億円及び配当金の支払額22億30百万円により資金が減少したことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは化学品事業の単一セグメントであるため、事業分野別に記載しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業分野の名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
基礎化学品 (百万円) |
29,610 |
73.0 |
|
機能性材料 (百万円) |
26,768 |
77.1 |
|
電子材料 (百万円) |
11,809 |
105.0 |
|
合計(百万円) |
68,189 |
78.8 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループでは一部受注生産を行っておりますが、売上高のうち受注生産の占める割合が低いため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業分野の名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
基礎化学品 (百万円) |
34,384 |
77.3 |
|
機能性材料 (百万円) |
30,449 |
81.3 |
|
電子材料 (百万円) |
11,507 |
101.8 |
|
その他 (百万円) |
990 |
98.8 |
|
合計(百万円) |
77,332 |
82.1 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
出光興産㈱ |
9,740 |
10.3 |
9,286 |
12.0 |
|
ミヤコ化学㈱ |
9,925 |
10.5 |
8,613 |
11.1 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における財政状態及び経営成績の概要は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い電子材料を除く各事業分野で需要が低迷、市況の軟化もあり、事業環境の悪化により前連結会計年度と比較して大幅な減収減益となりました。
基礎化学品においては、第2四半期(4~6月)に自動車の生産調整などによって大幅に需要が減少いたしました。第3四半期(7~9月)から自動車分野を中心に需要が回復し、住宅分野向けも底堅く需要が推移しているものと認識しております。
機能性材料においては、冷凍機油原料は第2四半期から第3四半期にかけてエアコン等の在庫調整などによって需要が減少いたしましたが、第4四半期(10~12月)から需要が回復しているものと認識しております。一方で、化粧品原料については移動制限によるインバウンド需要の減少、化粧品販売の落ち込みによって第2四半期から需要の低迷が継続いたしました。
電子材料においては、テレワークや巣籠需要などにより、当連結会計年度を通じて良好な需要が継続いたしました。
当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を除く。)残高は前連結会計年度末に比べ22億90百万円減少の212億円となりましたが、純有利子負債(リース債務を除く。)残高は前連結会計年度末に比べ65億11百万円増加の121億33百万円となりました。これは主に、設備資金の支払により現金及び預金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における自己資本比率は45.42%となり、安定的な水準にあるものと認識しております。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、経済環境及び市場環境の変動、原材料の価格変動、為替相場の変動、製造物責任及び産業事故災害等が挙げられます。詳細につきましては「2 事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の概要は「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社は、運転資金及び設備投資に使用するための資金を内部資金または借入金及び社債により調達しております。このうち、有利子負債による資金調達につきましては、運転資金を主に短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにより、設備投資などのための長期資金を主に長期借入金及び社債により、それぞれ調達しております。
設備資金の支払により現金及び預金が前連結会計年度末より減少しておりますが、コミットメントラインを含めて月商の2ヶ月以上の手元流動性を維持しております。
2019年12月5日に発行した第1回無担保普通社債(発行価額の総額50億円)により調達した資金については、当社四日市工場における冷凍機油原料生産設備への投資を主な使途として、全額を設備資金に当連結会計年度末までに充当いたしました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、当社は有形固定資産(リース資産を除く。)の減価償却方法について、当連結会計年度より定額法に変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」に記載しております。
当社グループにおいて重要と認識している会計上の見積りは、以下のとおりであります。
・製造設備の定期修繕に要する支出見込額の見積り
過去の実績等を勘案して判断しておりますが、新設した設備を除いて、概ね同程度の修繕を実施すると仮定して修繕引当金を計上しております。
・繰延税金資産の回収可能性における将来の課税所得の見積り
新型コロナウイルス感染症については、2021年12月期以降の課税所得に一定の影響があるものと認識しておりますが、繰延税金資産の回収可能性に与える重要な影響はないものと仮定しております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、事業活動の成果を示す主な経営指標として売上高及び営業利益を掲げているほか、資本及び資産の効率性を示す経営指標としてROE(自己資本利益率)、財務の安定性を示す経営指標として自己資本比率を掲げております。
2019年12月期を初年度とする第3次中期経営計画(3カ年)の最終年度である2021年12月期における当該経営指標の目標値として以下を掲げておりました。
<売上高>1,100億円 <営業利益>135億円 <ROE>18% <自己資本比率>47%
(前提条件 為替:1米ドル110円、国産ナフサ価格:46,000円/KL)
〔事業環境の認識〕2018年12月期(売上高1,012億円、営業利益109億円)から、主にアジアにおける当社製品への需要拡大が継続するものと認識。
一方、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う事業環境の大幅な変化を踏まえ、2021年12月期における当該経営指標は以下となることを見込んでおります(本書提出日現在)。
<売上高> 864億円 <営業利益> 82億円 <ROE>13% <自己資本比率>46%
(前提条件 為替:1米ドル107円、国産ナフサ価格:34,000円/KL)
〔事業環境の認識〕感染症の拡大により大幅に需要が減少した2020年12月期(売上高773億円、営業利益56億円)から、一部のアジア諸国を中心に段階的な需要の回復が期待されるものと認識。
なお、当連結会計年度におけるROEは9.58%、当連結会計年度末における自己資本比率は45.42%となりました。引き続き当該指標の改善・向上を図り、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した経営方針・経営戦略等を着実に実施していく所存でございます。
合弁関係
KHネオケム株式会社(当社)
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締結先 |
合弁会社名 |
設立の目的 |
資本金 |
設立年月日 |
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三菱ケミカル㈱ |
㈱ジェイ・プラス (持分法適用関連会社) |
可塑剤の製造および販売 |
480百万円 出資比率50.0% |
2000年4月 |
当連結会計年度において、契約を終了したものは以下のとおりであります。
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締結先 |
合弁会社名 |
設立の目的 |
資本金 |
設立年月日 |
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台湾中油股份有限公司 (CPC Corporation, Taiwan)、 兆豊國際商業銀行股份有限公司(Mega International Commercial Bank Co.,Ltd.) |
曄揚股份有限公司 (持分法非適用関連会社) |
イソノニルアルコール等の製造及び販売 |
850百万台湾ドル |
2015年9月 |
当社グループの研究開発活動は、主に当社(提出会社)が担っており、その内容は以下のとおりであります。
(1) 研究開発方針
今、我々を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。地球温暖化、海洋プラスティック問題等の地球規模の環境問題が深刻化する一方、中間所得層の拡大によりQOL(生活の質)向上への欲求が世界的に高まっています。さらに、IoTやAI技術の普及によりモビリティ分野を中心に技術革新が期待される等、世の中のニーズが高度化、多様化しています。
この様な背景の中、当社は、これらのニーズに応えるため、これまでに蓄積した当社コアおよびコア周辺技術を深く追求するだけでなく、オープンイノベーション等により外部との技術協創活動を促進することで、環境に配慮し、豊かな暮らしに貢献する新素材の開発に挑戦していきます。
(2) 研究開発戦略
当社の研究開発は、「世界で輝くスペシャリティケミカル企業」を目指し、社会的な潮流や市場動向を踏まえた研究開発活動を通して高付加価値ファインケミカルズを創出、さまざまな産業分野の幅広いニーズに応える新素材の開発に取り組みます。
VISION 2030で掲げる「環境」、「ヘルスケア」、「エレクトロニクス」の3分野を中心に既存事業の拡張に加えて新規事業を展開し、新技術・新製品の開発を進めます。
(3) 研究開発体制
研究開発本部では、2019年度より新事業創出に向けた専門組織「イノベーション戦略室」、総合研究所の位置づけとなる「R&D総合センター」、既存事業の市場調査などを担当する「開発推進部」の3部署体制にて各機能が有機的に機能しながら新事業の創出、コア事業の発展に結び付ける動きを進めております。
(4) 既存事業周辺への取り組み
既存事業周辺展開は、強みである潤滑油関連素材と化粧品原料素材事業を深化させつつ、オキソ反応等自社の要素技術の活用によりVISION 2030で掲げる事業分野を中心に、SDGsを見据えながら成長戦略に沿った新製品の事業化を目指しています。
「環境」分野においては、潤滑油関連素材開発に関して新プラントを立上げ低GWP(地球温暖化係数)冷媒向け製品含めた材料の供給を開始しました。「ヘルスケア」分野においては、当社化粧品原料の高品質化、高付加価値化、ラインナップ拡充に向け、展示会出展等による顧客ニーズ・市場動向の調査を進めています。
また、当社のコア技術である高圧法と低圧法の2種類のオキソ反応技術やノウハウを分野横断的な横串技術として進化させ天然由来製品、機能性製品など、「環境」、「ヘルスケア」、「エレクトロニクス」分野を視野に幅広い開発を進めており、展示会等で新製品候補群の提案を行っています。このような対外発信や顧客との対話を通じ、仮説・検証サイクルをより早く回しながら新事業立ち上げを目指しています。
これらに加え、当社既存製品の生産性改善・競争力強化にも継続的に取り組んでいます。
(5) 新規事業・新製品探索機能強化への取り組み
2019年に新川崎・創造の森(AIRBIC)に開設したオープンイノベーション拠点「KH i-Lab(KH Neochem innovation Laboratory)」では、川崎市が運営する研究開発型ベンチャー企業成長支援プログラム「Kawasaki Deep Tech Accelerator」などと連携しながら、マーケットイン型での社会課題解決に資する新技術およびビジネスについて仮説立案と検証を繰り返しています。また、新事業探索に必須な人材多様化の施策として、新規採用、社内ローテーションに加え、2020年には異業種企業との人財交流プログラムを開始、異なる専門領域を掛け合わせることで、新規事業構築を目指しています。これら活動により、昨年度から取り組んできたベンチャー企業や大学などとの共同研究での成果が着実に具体化しております。
今後も、より一層外部とのネットワーク構築に注力し、自前主義にこだわらず協創、協業を図ることにより、スピード感をもった新規事業の創出に取り組んで参ります。
(6) 当連結会計年度の研究開発活動
当連結会計年度においては、潤滑油分野での展開が期待される当社新規素材を顧客に提案いたしました。
研究開発費の総額は
当社グループは、化学品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。