文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<経営方針>
当社グループは、以下の企業理念に基づき、様々な産業分野に特色のある高品質な化学製品を提供することを主方針として経営諸活動を遂行しております。
・ 企業使命 「化学の力」で、よりよい明日を実現する。
・ 経営姿勢 確かな技術と豊かな発想で、夢を「かたち」にする。
・ 行動指針 「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦する。
当社グループは中長期的な視点から目指す姿を描くとともに、実現に向けた道筋を示すものとして「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を策定しております。
VISION 2030において、当社グループが目指す具体的な姿は以下の3点です。
目指す姿① 地球温暖化抑制・豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材を提供
事業活動を通じて地球温暖化抑制に資する製品や、よりよい暮らしに貢献できる素材を世界に向けて提供してまいります。
目指す姿② 戦略ドメインで世界シェアNo.1製品と新事業を拡大
当社が強みをもつ、冷凍機油原料、化粧品原料、高純度溶剤分野の製品を核とし、設備投資や研究開発など集中的に資源を配分する領域として、戦略ドメインを「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」に設定しました。この戦略ドメインにおいて、世界シェアNo.1の製品を拡大するとともに、新たな事業や製品を創出します。
目指す姿③ 国内で化学業界トップクラスの利益率
戦略ドメインにおいて、高付加価値で独自性の高い製品に対して生産能力の増強や新製品の開発を進め、AIやIoT等の最新技術を取り込み、生産効率を向上させることで、国内の化学業界の中でもトップクラスの営業利益率を目指します。
なお、2030年長期経営目標として、売上高 1,800億円、営業利益 250億円超、ROE 12%超、自己資本比率 50%を掲げております。
<経営環境>
当社グループを取り巻く経営環境は、コロナ禍からの世界経済の回復等により需要は堅調に推移しておりますが、米国におけるインフレの長期化による経済への影響や中国景気の減速リスク、東欧や中東の地政学的リスクなど、不確実性が高まってきています。また、世界が持続可能な開発目標(SDGs)への取組みを進めるなか、経済の発展とグローバル化に伴い、企業活動が環境や社会に与える影響はますます増大しております。このような外部環境において、当社グループが中長期にわたり成長していくためには、サステナビリティの観点が不可欠になってきています。
なお、事業分野別の中長期的な経営環境につきましては、次のように認識しており、様々な課題に当社グループ一丸となって取り組んでまいります。
■基礎化学品
溶剤、可塑剤原料においては、国内需要は成熟するものの、アジアを中心とした需要が着実に拡大しており、底堅く推移すると認識しています。
■機能性材料
主力の冷凍機油原料は、コロナ禍からの経済再開による世界的なエアコン市場の拡大に加えて、キガリ改正や米国EPA規則などの国際的な冷媒規制により、環境にやさしい冷媒(低GWP冷媒)への転換が進み、引き続き、需要が拡大することを見込んでおります。一方で、化粧品原料は、コロナ禍による需要縮小や競合他社の増強等により、需給バランスは軟化しておりますが、中長期的には、東南アジア諸国を中心に市場が拡大すると見込んでおります。
■電子材料
5GやIoT、AIの普及やDXの推進などにより、半導体を中心に需要拡大が続くと認識しております。
<対処すべき課題>
当社グループは、これまでも、「安心・安全・信頼」を基盤に、環境や人々の暮らしに役立つ製品を提供することで、社会課題解決に貢献してまいりました。今後は、その動きを更に加速し、事業を通じて様々な価値を提供し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループ自身が社会とともにサステナブルな成長を遂げていきたいと考えています。
具体的には、ステークホルダーの皆さまへ、サステナブル経営を推進する「7つの約束」を宣言し、それに沿った「マテリアリティ(重要課題)」16項目を特定しました。これら「マテリアリティ」に関する取り組みとマイルストーンとしてのKPIを設定し、中期経営計画においてその進捗を継続的にモニタリングしてまいります。
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当社グループのサステナブル経営 |
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サステナブル経営を推進する 「7つの約束」と「マテリアリティ(重要課題)」 |
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当社グループは、VISION 2030の達成に向けた新たな中期経営計画である、第4次中期経営計画を策定し、基本方針を「サステナブル経営の推進」と位置づけ、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値向上を図ってまいります。
具体的には、以下3つの基本戦略を中心に、各種施策を推進してまいります。
戦略Ⅰ 戦略ドメインにおける更なる成長
VISION 2030で掲げた戦略ドメインにおける更なる成長のため、冷凍機油原料等の大型設備投資を着実に実行することや、次世代半導体向け材料設備の活用による最先端分野への拡販など、各種施策を進めてまいります。
戦略Ⅱ 社会課題解決に向けた中長期的な取り組み
2050年までのカーボンニュートラル実現を目指してまいります。そのマイルストーンとして、2030年に温室効果ガス(GHG)排出量を2017年(法律に基づく届出数値)比で30%削減すべく、様々な取組みを進めてまいります。加えて、低GWP冷媒に適合した冷凍機油原料の供給を拡大させることで、地球温暖化の抑制に大きく貢献してまいります。
戦略Ⅲ ビジネス基盤の強化
スマート保安の推進による安全性と生産性の向上や職場環境の改善などに取り組んでまいります。また、リスクマネジメントをさらに強化するため、従来と異なる新たなリスク評価基準に基づくリスクマップを作成し、PDCAを回すとともに、経営戦略の一環として位置づけ、経営層がこれまで以上に重要リスクの解消にコミットする体制を構築してまいります。
なお、経営数値目標としては、2022年度~2024年度までの期間累計連結営業利益 486億円、期間累計連結EBITDA 635億円、ROE 15%以上の達成を目指してまいります。
第4次中期経営計画の初年度となる2022年度は、上記の基本戦略に基づき、冷凍機油原料等の大型設備完工に向けた取組みなど、各種施策を着実に実施いたします。また、2022年1月28日に賛同を表明しました気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の推奨開示項目に従い、積極的な情報開示を進めてまいります。具体的には、年央を目途に開示すべく、シナリオ分析やリスク管理、ガバナンス体制の整備等を進めてまいります。
一方、新型コロナウイルス感染症の拡大状況に留意し、引き続き感染対策を徹底するとともに、当社グループの事業への影響を抑制するなど、リスク管理を適切に行ってまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下の事項は当社グループのリスクのうち主要なものを記載しており、当社グループのリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測しがたいリスクが存在する可能性があるものと考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①経済環境及び市場環境の変動に係るリスク
当社グループの製品の需要は、自動車、住宅、電子電機機器及び消費財等の最終製品の需要に左右され、国内外の工業生産量の全体的な変動及び個別最終製品を消費する国または地域の経済状況や地政学的リスクが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による大型生産設備の建設等により供給過剰となった場合等により市場環境が大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、製品需要に応じた生産及び在庫調整を行うとともに、販売施策を講じることにより、これらの影響を低減するように努めております。
②原材料の価格変動に係るリスク
ナフサを分解して製造されるプロピレンやエチレンを主要原材料としているため、原油価格、需給バランス、為替等の影響によりナフサ価格が急激に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは棚卸資産の評価を主として総平均法による原価法で行っており、期中にナフサの価格が上昇した場合は、期首の相対的に安価な在庫の影響により売上原価の上昇が抑えられるため、増益要因となります。一方で、ナフサ価格が下落した場合は、期首の相対的に高価な在庫の影響により売上原価の下落が抑えられるため、減益要因となります。そのため、原油価格、需給バランス、為替等の影響によりナフサの価格が急激に変動した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、販売施策等の対応をタイムリーかつ適切に講じることによりこれらの影響を減殺するように努めております。
③為替変動に係るリスク
当社グループは、海外から原材料の一部を輸入するとともに、国内で製造した製品の一部を海外に輸出しております。そのため、為替レートが大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、為替予約等によりリスクヘッジを行っております。
④気候変動に係るリスク
当社グループは、気候変動を中長期的且つ社会的な重要課題と認識し、最新技術を活用した高度制御システムの導入を拡大することや自家発電設備の更新等、これまで培ってきた技術力を活用することで、温室効果ガス削減などに積極的に取り組んでおります。しかしながら、地球温暖化の原因とされる温室効果ガス排出削減などを目的とした世界的な取り組みが進展し、二酸化炭素(CO₂)等の排出規制や炭素税の賦課が導入され、原材料や用役に係るコストが上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、CO₂を原料として使用するオキソ技術を用いた製造や低GWP(地球温暖化係数)冷媒を使用したエアコンに使用される冷凍機油原料の供給等、事業を通じて地球温暖化抑制に貢献するとともに、生産活動におけるエネルギー効率向上などに取り組むことでリスク軽減に努めております。
⑤原材料調達に係るリスク
一部の原材料について製造拠点の立地条件及び運搬・貯蔵方法等に伴う制約から特定の仕入先に依存する場合があり、特定の仕入先の被災や事故等により長期間に亘る原材料の供給不能又は供給不足が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、原材料を複数の仕入先から購入することにより安定調達を図るとともに、適正在庫を保有することで、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めております。
⑥海外事業に係るリスク
当社グループは、アジア及び米州を中心とした海外事業を展開しておりますが、海外においては、政治、経済情勢の変化、予期しえない法規制の変更、自然災害、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等、それぞれの国や地域固有のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、駐在員の派遣等の対応により現地事情などの情報収集に努めております。
⑦事故・災害に係るリスク
当社グループは、生産活動において各種化学物質を使用しており、その取扱いには万全の対策を講じております。しかしながら、火災や爆発等の産業事故災害や自然災害などが発生した場合には、生産への影響や社会的信頼の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、製造設備に対する保守点検・計画的な検査修繕、安全確保のための設備投資等を実施するなど、工場の設備事故の発生防止に努めております。また、当社のRC(レスポンシブル・ケア)活動方針、保安管理の基本方針及び重点施策の審議・決定並びに進捗確認を行う環境保安委員会を設置し、原則として年1回開催しております。
地震をはじめとした災害に対しては、本社および両工場を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)を策定することで、災害が発生した際に損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図る体制を整備しております。
⑧感染症に係るリスク
当社グループが事業活動を行う国・地域で新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス等の感染症が発生・拡大し、事業活動に制限が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、新型コロナウイルスの感染症対策として、当社独自の行動ガイドラインを策定し、在宅勤務やフレックスタイム制度を活用した時差通勤などを推進するとともに、3密回避、うがい・手洗い、消毒等の基本行動を徹底することで感染防止に努めております。また、当社グループ内で感染者が発生した場合は、保健所などと連携の上、適切に対処することで事業活動への影響の最小化を図ります。
⑨人材に係るリスク
雇用情勢の悪化等により、多様性の観点からも必要な人材が確保できず、育成も計画通りに進まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、サステナブルな企業成長を実現するため、多様で優秀な人材の確保・育成、エンゲージメント向上を意識した働きやすい職場環境づくりなどに積極的に取り組んでおります。
⑩製品品質保証・製造物責任に係るリスク
大規模な製造物責任につながる製品の欠陥が発生した場合には、多額の賠償額が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001に従い、製品品質の向上に努めた生産活動を行うとともに、万一の事故に備え、製造物責任賠償保険に加入することでリスクヘッジしております。また、品質保証に関する方針等の審議・決定、活動の進捗確認等を行う品質保証委員会を設置し、原則として年に1回開催しております。
⑪法的規制・コンプライアンスに係るリスク
将来的に法規制の大幅な変更や規制強化が行われた場合には、事業上の制約や法令遵守のための費用の増加等、また、これら法規制に違反して行政処分、行政指導、罰則等の賦課、損害賠償請求等を受けた場合には、対応措置のための費用の発生又は増加、事業運営に対する影響、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、その対策として、当社グループの経営目標を達成するとともに持続的な成長を可能とするために実施すべき行動原則としてコンプライアンス・コードを定め、商取引、保安・安全衛生、環境・化学物質、労働などに関する国内外の様々な関連法規制のもと、コンプライアンスの徹底を図りながら事業活動を行っております。また、コンプライアンス研修・教育を行うなど、コンプライアンス意識向上に積極的に努めております。
⑫知的財産に係るリスク
第三者から特許権等への抵触を理由として差止訴訟、損害賠償請求訴訟等を提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、知財ポリシーを制定し、無形資産である知的財産を保全、管理、活用し、第三者の知的財産を尊重することを通じて、企業価値の維持・向上、知的財産リスク低減に努めております。このような管理体制のもと、研究開発の成果を特許権等の権利化をすることにより知的財産権の保護や他社へのライセンス等による活用を図るとともに、他社の知的財産を侵害しないために、新製品の開発前に先行技術等の調査を行うほか、既存製品についても定期的に調査を実施しております。
⑬情報セキュリティに係るリスク
当社グループは、事業活動を行ううえで多くの機密情報や個人情報を保有しております。そのため、万一、情報の流出や情報改ざんによる問題が発生した場合には、競争力の低下や社会的信用の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、情報システムに問題が発生した場合には、業務の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対策として、情報セキュリティポリシーおよび個人情報保護ポリシーを定め、厳正な管理体制のもとで情報漏洩の防止に努めるとともに、サイバー攻撃に対して様々な防衛策を講じております。
⑭有価証券の評価損に係るリスク
当社グループは、当社の企業価値向上のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落または株式保有先の経営状況の悪化により株式の評価額が著しく下落した場合には株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
株式の保有についての方針等は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の断続的な感染拡大を背景に、外出自粛や飲食店等の営業時間短縮など経済活動の抑制が長期化したことにより個人消費が低迷した一方、ワクチン接種の進展に伴い徐々に行動制限が緩和され、経済活動が正常化に向かうなかで、5GやAI等を活用した最先端分野における技術・品質の高度化、働き方やライフスタイルの変化・多様化に対応した製品やサービスへの新たな需要もみられました。
製造業においては、年初より自動車や半導体及び電子部品などを中心に需要の回復がみられましたが、半導体不足の影響、資源価格の高騰及び物流の逼迫などにより、旺盛な需要に対して供給不足となる状況が継続しました。
このような環境のもと、当社グループは、徹底した感染対策を行いながら工場をはじめとする各拠点の事業活動を安定して継続してまいりました。また、原料調達において供給元との連携を強化することで需要に見合った生産と適正在庫の確保を図るとともに、原油やナフサの価格変動、製品の需給バランスに応じた価格への見直しを行い利益確保に努めてまいりました。
第3次中期経営計画の戦略に基づいた取り組みとしては、冷凍機油原料や次世代半導体向け材料の新設備も活用して伸長する需要を着実に取り込み、収益拡大を図りました。また、千葉工場における冷凍機油原料等の生産能力を増強するため、総投資額が約95億円となる設備投資を決定しました。加えてオープンイノベーション拠点であるKH i-Lab(ケイエイチ アイラボ)にオープンラボを開設し、異分野での共同実験を進めるなど新規ビジネス創出に向けた動きを加速しております。さらに、CO₂排出削減効果が見込まれる自家発電設備を千葉工場に新設したことをはじめ環境負荷低減に取り組んだほか、統合報告書を発行し非財務情報の開示を充実させるなど、ビジネス基盤の強化に向けた施策を着実に推し進めました。
その結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高1,171億10百万円(前連結会計年度比51.4%増)、営業利益196億85百万円(同248.9%増)、経常利益198億9百万円(同252.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益136億91百万円(同238.3%増)と増収増益となり、各利益の段階で過去最高となりました。
事業分野別には、次のとおりであります。
基礎化学品は、溶剤、可塑剤原料ともに当連結会計年度を通じて堅調な需要が続きました。また、需給バランスのタイト化による海外市況の高騰により輸出の採算性が大きく向上したことに加え、国内においても価格の見直しを行ったことが寄与し、売上高578億1百万円(前連結会計年度比68.1%増)、営業利益93億55百万円(同597.1%増)となりました。
機能性材料は、冷凍機油原料については中国等で環境配慮型のエアコンの生産・販売が増加し、当連結会計年度を通じて当社製品の販売も好調に推移しました。化粧品原料においてはインバウンド需要が戻らず国内の需要は低迷したものの、一部の海外向け需要に回復がみられました。これらの結果、売上高442億48百万円(前連結会計年度比45.3%増)、営業利益99億76百万円(同94.5%増)となりました。
電子材料は、半導体向けを中心に前連結会計年度からの好調な需要が当連結会計年度においても継続しました。また、需給バランスのタイト化や原燃料価格の高騰、高品質ニーズの高まりにより製品価格が上昇し、売上高143億90百万円(前連結会計年度比25.1%増)、営業利益34億18百万円(同91.7%増)となりました。
その他は、売上高6億69百万円(前連結会計年度比32.5%減)、営業利益1億8百万円(同50.1%減)となりました。
(注)上記の事業分野別の「営業利益」には、全社に共通する管理費用等を配分しておりません。
②財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は702億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ263億52百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が78億68百万円、受取手形及び売掛金が111億28百万円、たな卸資産が71億64百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は517億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億7百万円増加いたしました。これは主に、建物及び構築物が4億58百万円、機械装置及び運搬具が18億1百万円それぞれ減少しましたが、リース資産が12億68百万円、建設仮勘定が11億12百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は1,220億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ265億60百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は532億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ180億70百万円増加いたしました。これは主に、短期借入金が3億40百万円、未払金が14億99百万円それぞれ減少しましたが、支払手形及び買掛金が113億77百万円、1年内返済予定の長期借入金が8億50百万円、未払法人税等が55億64百万円、修繕引当金が17億73百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は112億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億29百万円減少いたしました。これは主に、リース債務が13億46百万円増加しましたが、長期借入金が32億50百万円、繰延税金負債が4億99百万円、修繕引当金が6億59百万円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は645億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ149億40百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は575億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ116億20百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益136億91百万円及び剰余金の配当22億28百万円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ78億68百万円増加し、169億34百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は174億2百万円(前連結会計年度は69億31百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加額110億89百万円、たな卸資産の増加額70億76百万円及び法人税等の支払額11億55百万円により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益197億88百万円、減価償却費43億69百万円、修繕引当金の増加額11億14百万円、仕入債務の増加額112億56百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は43億95百万円(前連結会計年度は111億82百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出40億44百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は51億68百万円(前連結会計年度は45億30百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出24億円及び配当金の支払額22億29百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは化学品事業の単一セグメントであるため、事業分野別に記載しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業分野の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
基礎化学品 (百万円) |
53,543 |
180.8 |
|
機能性材料 (百万円) |
41,162 |
153.8 |
|
電子材料 (百万円) |
14,336 |
121.4 |
|
合計(百万円) |
109,041 |
159.9 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループでは一部受注生産を行っておりますが、売上高のうち受注生産の占める割合が低いため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業分野の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
基礎化学品 (百万円) |
57,801 |
168.1 |
|
機能性材料 (百万円) |
44,248 |
145.3 |
|
電子材料 (百万円) |
14,390 |
125.1 |
|
その他 (百万円) |
669 |
67.5 |
|
合計(百万円) |
117,110 |
151.4 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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出光興産㈱ |
9,286 |
12.0 |
13,417 |
11.5 |
|
ミヤコ化学㈱ |
8,613 |
11.1 |
10,929 |
9.3 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における財政状態及び経営成績の概要は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前連結会計年度から回復もしくは良好に推移した当社グループ製品への需要に的確に対応しながら、環境に配慮した製品や品質の高い製品へのニーズを取り込むことで販売シェアを拡大できたものと認識しております。また、原燃料価格の上昇やタイトな需給バランスに応じて、製品価値に見合った価格への見直しを行ってまいりました。
基礎化学品及び機能性材料で大きく販売数量が増加しましたが、付加価値の高い機能性材料の販売数量が大きく伸長したこと、また、基礎化学品の製品価格の見直しにより利幅の確保ができたことが営業利益の大幅な増加に寄与したものと認識しております。
電子材料においては、半導体向けを中心に前連結会計年度に引き続き良好な需要が継続いたしました。
当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を除く。)残高は前連結会計年度末に比べ27億40百万円減少の184億60百万円となりました。純有利子負債(リース債務を除く。)残高は現金及び預金の増加により前連結会計年度末に比べ106億8百万円減少の15億25百万円となりました。
当連結会計年度末における自己資本比率は44.99%となり、引き続き安定的な水準にあるものと認識しております。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、経済環境及び市場環境の変動、原材料の価格変動、為替相場の変動、製造物責任及び産業事故災害等が挙げられます。詳細につきましては「2 事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の概要は「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社は、運転資金及び設備投資に使用するための資金を内部資金または借入金及び社債により調達しております。このうち、有利子負債による資金調達につきましては、運転資金を主に短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにより、設備投資などのための長期資金を主に長期借入金及び社債により、それぞれ調達しております。
当連結会計年度における現金及び預金は169億34百万円となりました。前連結会計年度末の90億66百万円から78億68百万円増加しており、十分な手元流動性を確保しているものと認識しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
≪第3次中期経営計画の振り返り≫
2019年12月期を初年度とする第3次中期経営計画(3カ年)の最終年度である2021年12月期における経営指標の目標値と実績値は以下のとおりであります。
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売上高 |
営業利益 |
ROE (自己資本利益率) |
自己資本比率 |
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目標値 |
1,100億円 |
135億円 |
18% |
47% |
|
実績値 |
1,171億円 |
197億円 |
28% |
45% |
2021年12月期については事業環境の好転もあり過去最高益を達成しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた2020年12月期の落ち込みもあり、3カ年累計としては当初の目標に対して売上高、営業利益ともに下回る結果となりました。
一方で、大きく事業環境が変化するなかで、中長期の成長につながる戦略を着実に実行いたしました。
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戦略 |
<戦略Ⅰ> |
<戦略Ⅱ> |
<戦略Ⅲ> |
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新設備の稼働等による 収益拡大 |
将来の機能化学品事業拡大に 向けた積極投資 |
ビジネス基盤の強化 |
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・冷凍機油原料で圧倒的シェア獲得に向けた、新設備稼働や新製品の生産 ・次世代ニーズを先取りした半導体材料向け設備の稼働 |
・将来の収益の柱となる、機能化学品の大型投資判断
・独立した研究新拠点における、新ビジネスの早期創出 |
・最新技術(AI・IoT等)を活用したプラント制御システムの導入拡大 ・事業拡大を加速するための人財育成・獲得、職場環境の刷新・活性化 |
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主な実績 |
・冷凍機油原料の新設備稼働と新製品の生産開始
・次世代半導体向け材料設備稼働 |
・冷凍機油原料を中心とした千葉工場全体の生産能力増強を決定 ・研究新拠点(KH i-Lab)を立ち上げ、オープンイノベーションによる新ビジネス創出に向けた活動を加速 |
・プラント制御システムを計画通り導入 ・管理職を対象にした新たな人事制度の導入(ジョブ型) ・事業継続計画(BCP)の策定、統合報告書の発行 |
≪第4次中期経営計画について≫
2022年12月期を初年度とする第4次中期経営計画(3カ年)の経営指標の目標値は以下のとおりであります。
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期間累計連結営業利益 |
期間累計 連結EBITDA(注) |
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第2次中期経営計画 (2016年12月期~2018年12月期) |
実績値 |
313億円 |
415億円 |
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第3次中期経営計画 (2019年12月期~2021年12月期) |
実績値 |
349億円 |
465億円 |
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第4次中期経営計画 (2022年12月期~2024年12月期) |
目標値 |
486億円 |
635億円 |
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前提条件 為替:1米ドル113円 国産ナフサ価格:60,000円/KL |
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(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
コロナ禍からの世界経済回復により当社グループ製品への需要は堅調に推移すると見込んでおります。
一方で、米国におけるインフレの長期化による経済への影響、中国における景気の減速リスク、東欧や中東の地政学的リスクなど、不確実性は急速に増大しているものと認識しております。
なお、第4次中期経営計画における経営戦略等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
合弁関係
KHネオケム株式会社(当社)
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締結先 |
合弁会社名 |
設立の目的 |
資本金 |
設立年月日 |
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三菱ケミカル㈱ |
㈱ジェイ・プラス (持分法適用関連会社) |
可塑剤の製造および販売 |
480百万円 出資比率50.0% |
2000年4月 |
当社グループの研究開発活動は、主に当社(提出会社)が担っており、その内容は以下のとおりであります。
(1) 研究開発方針
今、我々を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。地球温暖化、海洋プラスチック問題等の地球規模の環境問題が深刻化する一方、中間所得層の拡大によりQOL(生活の質)向上への欲求が世界的に高まっています。さらに、IoTやAI技術の普及によりモビリティ分野を中心に技術革新が期待される等、世の中のニーズが高度化、多様化しています。
この様な背景の中、当社は、これらのニーズに応えるため、これまでに蓄積した当社コアおよびコア周辺技術を深く追求するだけでなく、オープンイノベーション等により外部との技術協創活動を促進することで、環境に配慮し、豊かな暮らしに貢献する新素材の開発に挑戦していきます。
また、当社が掲げる価値創造ストーリーにおいて、研究開発活動として社会課題解決に貢献する事業を目指すべく、イノベーションの促進および知的財産戦略の強化をマテリアリティに掲げています。
(2) 研究開発戦略
当社の研究開発は、「世界で輝くスペシャリティケミカル企業」を目指し、社会的な潮流や市場動向を踏まえた研究開発活動を通して高付加価値ファインケミカルズを創出、さまざまな産業分野の幅広いニーズに応える新素材の開発に取り組みます。
VISION 2030で掲げる「環境」、「ヘルスケア」、「エレクトロニクス」の3分野を中心に既存事業の拡張に加えて新規事業を展開し、新技術・新製品の開発を進めます。
第4次中期経営計画では、研究開発活動のマイルストーンとしてのKPIを「外部機関との協業件数10件以上/年」として設定し、自前主義にこだわることなく、外部との協創を深める取組みを加速してまいります。加えて、既存事業周辺および新規事業創出に向けた技術やナレッジ獲得を目的としたベンチャー及びスタートアップ企業に対する投資についても推進していきます。
(3) 研究開発体制
2021年4月より研究開発本部制を廃止し、既存事業及び周辺事業の戦略立案と推進を担う「事業戦略部」、既存技術の強化による工場の生産性向上への貢献やコア技術を応用した新たな素材や用途の探索から事業化までを推進する「R&D総合センター」及び新事業創出に向けたオープンイノベーションを推進する「イノベーション戦略部」の3部門に再編しフラットな組織体制に改めるとともに、各部門長に権限を委譲し、研究開発活動の効率性を高めていきます。加えて、特許等の知的財産に関する業務についてはR&D総合センターに機能を統一し、無形資産の価値向上と活用をこれまで以上に進めていきます。
(4) 既存事業周辺への取り組み
当社は、コア技術である高圧法と低圧法の2種類のオキソ反応技術や、精密蒸留等の精製技術、炭酸ガス回収や高度制御による省資・省エネ技術、超高純度維持管理技術等を駆使し、高品質で低コストな化学品を製造しており、R&D総合センターでは、化学的な生産性改善、生産プロセスの改変、新製法の研究等、既存製品の競争力強化に継続的に取り組んでいます。
また、これらの技術に、研究開発部門が持つ高度な各種評価技術を組み合わせて進化させ、天然由来製品、機能性製品など、「環境」、「ヘルスケア」、「エレクトロニクス」分野を視野に幅広い開発を進めております。顧客との対話や、展示会等での新製品候補群の提案等を通じて潜在ニーズを洞察し、仮説・検証サイクルをより早く回しながら、新事業立ち上げを目指しています。さらに、当社独自の技術、中間体、製品といったいわゆるシーズを起点とした新たな価値創造にも取り組んでおり、他社や大学との委託・共同研究を推進しています。
(5) 新規事業・新製品探索機能強化への取り組み
2019年に新川崎・創造の森(AIRBIC)に開設したオープンイノベーション拠点「KH i-Lab(KH Neochem innovation Laboratory)」では2021年4月に「オープンラボ」を構築し、有望な技術を持つベンチャー企業や研究機関と共同実験を通じて、新規事業創出を加速させています。産学官連携の先端研究開発拠点である新川崎地区のネットワーク等を通じてマーケットイン型での社会課題解決に資する新技術およびビジネスについて仮説立案と検証を繰り返しています。また、新事業探索に必須な人材多様化の施策として、新規採用、社内ローテーションに加え、2020年には異業種企業との人財交流プログラムを開始、異なる専門領域を掛け合わせることで、イノベーターの育成を図っています。特に、ゲノム技術の発展やカーボンニュートラルへの取組みが進み、化学プロセスからバイオプロセスによる物質生産の転換が加速する中、バイオインダストリーに対応できる人財の獲得および育成も進めています。これら活動により、海洋分解性樹脂や医薬品原料の開発において、取り組んできたベンチャー企業や大学などとの共同研究での成果が着実に具体化しております。
今後も、より一層外部とのネットワーク構築に注力し、自前主義にこだわらず協創、協業を図ることにより、スピード感をもった新規事業の創出に取り組んで参ります。
(6) 当連結会計年度の研究開発活動
当連結会計年度においては、潤滑油分野での展開が期待される当社新規素材を顧客に提案いたしました。
研究開発費の総額は
当社グループは、化学品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。