第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<経営方針>

(1) 企業理念

 当社グループは、以下の企業理念に基づき、様々な産業分野に特色のある高品質な化学製品を提供することを主方針として経営諸活動を遂行しております。なお、2022年度に安全指針を追加し、職場における安全に対する意識を醸成してまいります。

・ 企業使命 「化学の力」で、よりよい明日を実現する。

・ 経営姿勢 確かな技術と豊かな発想で、夢を「かたち」にする。

・ 行動指針 「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦する。

・ 安全指針 自分を守る、仲間を守る。

 

(2) VISION 2030

 当社グループは中長期的な視点から目指す姿を描くとともに、実現に向けた道筋を示すものとして「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を策定しております。

 VISION 2030において、当社グループが目指す具体的な姿は以下の3点です。

 

目指す姿① 地球温暖化抑制・豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材を提供

 事業活動を通じて地球温暖化抑制に資する製品や、よりよい暮らしに貢献できる素材を世界に向けて提供してまいります。

 

目指す姿② 戦略ドメインで世界シェアNo.1製品と新事業を拡大

 当社が強みをもつ、冷凍機油原料、化粧品原料、高純度溶剤分野の製品を核とし、設備投資や研究開発など集中的に資源を配分する領域として、戦略ドメインを「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」に設定しました。この戦略ドメインにおいて、世界シェアNo.1の製品を拡大するとともに、新たな事業や製品を創出します。

 

目指す姿③ 国内で化学業界トップクラスの利益率

 戦略ドメインにおいて、高付加価値で独自性の高い製品に対して生産能力の増強や新製品の開発を進め、AIやIoT等の最新技術を取り込み、生産効率を向上させることで、国内の化学業界の中でもトップクラスの営業利益率を目指します。

 

 なお、2030年長期経営目標として、売上高 1,800億円、営業利益 250億円超、ROE 12%超、自己資本比率 50%を掲げております。

 

(3) 第4次中期経営計画

 当社グループは、VISION 2030の達成に向けて、2022年度から2024年度の3ヵ年を対象とした第4次中期経営計画を策定し、その基本方針を「サステナブル経営の推進」と位置づけ、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値向上を図ってまいります。なお、基本戦略として以下の3つを掲げ、各種施策を推進しております。

 

戦略Ⅰ 戦略ドメインにおける更なる成長

戦略Ⅱ 社会課題解決に向けた中長期的な取り組み

戦略Ⅲ ビジネス基盤の強化

 

 なお、経営数値目標としては、2022年度~2024年度までの期間累計連結営業利益 486億円、

期間累計連結EBITDA 635億円、ROE 15%以上としており、目標達成に向けて邁進してまいります。

(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

 

 以上のような、長期ビジョン及び中期経営計画のもと、2023年において、次のように、経営環境を認識し、様々な課題に全社一丸となって取り組んでまいります。

 

 

<経営環境>

 足もとでは、ウクライナ情勢の長期化、急激な物価上昇に伴う、世界経済の成長鈍化が懸念されております。また、昨年のゼロコロナ政策や不動産市況悪化等により減速した中国経済の回復速度も定かではなく、不透明な経営環境が続くと予想されます。

なお、当社グループにおける事業分野別の経営環境は以下の通りです。

 

■機能性材料

 主力の冷凍機油原料においては、主な用途となるエアコン需要が中国や先進国で底堅く推移することに加え、インドや東南アジア等の新興国では引続き需要の拡大が期待されます。加えて、キガリ改正や米国EPA規則などの国際的な冷媒規制により、環境にやさしい冷媒(低GWP冷媒)への転換が進むことで、引き続き、需要が拡大していくと予想しております。

 化粧品原料においては、国内の化粧品市場におけるインバウンド需要の本格的な回復や、中国でのゼロコロナ政策からの転換に伴う需要の増加により、徐々に回復に向かうものと思われます。今後も、人口増加や経済発展が顕著な東南アジア諸国において市場が拡大すると見込んでおります。

 

■電子材料

 世界の半導体市場は一時的な調整局面が見込まれるものの、下期にかけて半導体やディスプレイ関連等の在庫調整が進展することで、当社製品につきましても徐々に需要が回復すると想定しております。今後も、5GやIoT、AIのさらなる普及やDXの推進などにより、半導体需要の拡大が続くと予想しております。

 

■基礎化学品

 国内自動車生産台数は自動車向け半導体不足の緩和によって徐々に回復に向かい、住宅着工件数においても堅調に推移すると見ております。また、輸出についても下期に掛けて市場環境が改善すると想定しております。

 

<対処すべき課題>

 上記、経営環境の下、当社グループにおきましては、引き続き、第4次中期経営計画の基本戦略は堅持しつつも、個々の施策については、臨機応変に修正することで競争力を高めてまいります。また、原燃料費の高騰や物流費、設備費の上昇に対しては、適切なタイミングで製品価格へ転嫁することにより、収益確保に努めてまいります。

 

戦略Ⅰ「戦略ドメインにおける更なる成長」につきましては、「環境・ヘルスケア・エレクトロニクス」の3つの戦略ドメインのうち、環境ドメインの主力製品である冷凍機油原料において、2021年12月に設備投資を決定した千葉工場での能力増強を計画どおりに推進し、拡大する需要を確実に取り込めるよう準備を進めてまいります。また、エレクトロニクスドメインでは、半導体向けを中心に需要の増加が予測される高純度溶剤の供給インフラ拡充や、グループ会社である黒金化成株式会社における次世代半導体向け材料設備の第Ⅱ期増強計画を進めてまいります。

 

戦略Ⅱ「社会課題解決に向けた中長期的な取り組み」としては、2022年度にオープンイノベーションなどを活用し、アクプランタ株式会社や株式会社糖鎖工学研究所といったスタートアップ企業への出資を決めるなど、社会課題解決に向けた新規事業創出への足掛かりを築いてまいりました。2023年度は出資したスタートアップ企業との取組みを深化することに加え、新たな出資やM&Aの検討も進めてまいります。また、省エネや新技術の導入検討により、一層のGHG排出量削減を進め、2050年カーボンニュートラルを目指してまいります。

 

戦略Ⅲ「ビジネス基盤の強化」では、2022年度において大規模定期修繕の期間延長や生産設備の不具合等により、製品の供給を制限せざるを得なくなったことを重く受け止め、サステナブル経営の基盤である「安心・安全・信頼」の再構築を図ってまいります。まず、安全については「安全総点検運動2022」として開始した取り組みを徹底いたします。加えて、予防保全やスマート保安の推進など各種施策を実行し、安全・安定操業を続けることにより、ステークホルダーからの信頼回復に努めてまいります。

その他、取締役会の諮問機関として新設したサステナビリティ委員会における議論や、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の開示推奨項目に準拠した情報開示の拡充により、経営の透明性を高めてまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下の事項は当社グループのリスクのうち主要なものを記載しており、当社グループのリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測しがたいリスクが存在する可能性があるものと考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)リスク管理への取組み状況

① リスク管理活動

 当社グループは、リスクを経営活動・事業活動に影響を及ぼす不確実性と定義しております。部門横断による全社視点からの内部リスク及び政治・経済・社会情勢等を考慮した外部リスクの両面から可能な限りリスクを洗い出したうえで、一覧化した全社リスク台帳を作成し、リスク毎に影響度と発生可能性を評価したリスクマップを作成しております。リスクを把握することによって、リスクの顕在化を可能な限り未然防止するとともに、クライシス発現時においてその影響を最小限にとどめるためのリスク管理活動をしています。

 

② リスク管理体制

 当社グループのリスク管理を推進するため、管掌取締役を委員長、全部門長をメンバーとするリスク管理委員会を設置し、当社グループの経営上重要なリスクの抽出・評価・対策計画の立案に関する検討及び審議を行い、対策の進捗状況のモニタリングを行っております。本委員会は、原則として年2回開催することとし、議論された内容は、取締役会に報告します。

 

(2)リスク認識

① 外部環境リスク

 当社グループの事業は、経済・市場環境、原燃料の価格変動、為替変動等の外部環境の影響を受けるおそれがあります。

 

1)経済及び市場環境の変動に係るリスク

 当社グループの製品の需要は、自動車、住宅、電子電機機器及び消費財等の最終製品の需要に左右され、国内外の工業生産量の全体的な変動及び個別最終製品を消費する国または地域の経済状況や地政学的リスクが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による大型生産設備の建設等により供給過剰となった場合等により市場環境が大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、製品需要に応じた生産及び在庫調整を行うとともに、販売施策を講じることにより、これらの影響を低減するように努めております。

 

2)原燃料の価格変動に係るリスク

 当社グループは、ナフサを分解して製造されるプロピレンやエチレンを主要原材料とし、またLNG等を原燃料とする等、グローバルな経済活動と連動した事業特性を有しております。そのため、原油価格、需給バランス、為替等の影響により、これらの価格が急激に変動した場合、もしくは価格の高騰が続く場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、製品販売価格への転嫁等をタイムリーかつ適切に講じることにより、これらの影響を低減するように努めております。

 

3)為替変動に係るリスク

 当社グループは、海外から原材料の一部を輸入するとともに、国内で製造した製品の一部を海外に輸出しております。そのため、為替レートが大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、為替予約等によりリスクヘッジを行っております。

 

4)感染症に係るリスク

 当社グループが事業活動を行う国・地域で新型コロナウイルス等の感染症が発生・拡大し、事業活動に制限が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、新型コロナウイルスの感染症対策として、当社独自の行動ガイドラインを策定し、在宅勤務やフレックスタイム制度等の活用及び消毒等の基本行動を徹底することで感染防止に努めております。

② 重要リスク

 当社グループの経営上、極めて影響度・重要度が高いリスクを重要リスクと位置づけ、重要リスク毎に取締役をリスクオーナーとして任命し、リスク対策の立案及び対策の実行を推進する統括部門及び関連部門とも連携を図りながら、実効的なリスク対策を推進しています。

リスク分類

リスク項目

1)コンプライアンス

法令違反、法的規制

2)生産活動

設備・機械の損傷・故障、事故

3)人材

人員不足、中核人材の育成停滞

4)事業継続

大地震・自然災害、特定原料・資材の調達不能

5)情報セキュリティ

サイバー攻撃

6)気候変動

異常気象、炭素税の賦課

 

1)コンプライアンスに係るリスク

 当社グループは、事業の特性上、高圧ガス保安法に基づく高圧ガス製造に係る許認可をはじめとする各種許認可を受け事業を展開しております。さらに、取り扱う化学物質に関する国内外の様々な法規制の適用を受けており、法令遵守とともに、これら法令に基づく手続きを漏れなく適切に行うことが求められます。これらの規制は強化される傾向にあり、法規制の大幅な変更や規制強化が行われた場合、あるいは予期せず対応が遅れた場合、事業上の制約や法令遵守のための費用の増加、もしくは行政処分、罰則等の賦課により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループにおいて、全役職員等による個人的なコンプライアンス上の違反が判明した場合、当社グループの社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、損害賠償請求等を受けた場合には、対応措置のための費用の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、その対策として、当社グループの持続的な成長を可能とするために実施すべき行動原則としてコンプライアンス・コードを定め、商取引、保安・安全衛生、環境・化学物質、労働などに関する国内外の様々な関連法規制に則り、コンプライアンスの徹底を図りながら事業活動を行っております。また、コンプライアンス研修・教育を行うなど、コンプライアンス意識向上に積極的に努めております。

 

2)生産活動に係るリスク

 当社グループは、生産活動において各種化学物質を使用しており、その取扱いには万全の対策を講じております。しかしながら、火災や爆発等の産業事故災害、労働災害等が発生した場合には、生産への影響、行政処分、社会的信頼の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、製造設備に対する保守点検・計画的な検査修繕、安全確保のための設備投資等を実施するなど、工場の保安事故の発生防止に努めております。また、保安・安全及び環境保全に係る環境保安ポリシーを定め、当社のRC(レスポンシブル・ケア)活動を確実に推進するとともに、全社重点施策等を立案する機関として、環境保安委員会を設置し、原則として年1回開催しております。

 

3)人材に係るリスク

 当社グループは、雇用情勢の悪化等により、必要な人材が確保できず、また中核人材等の育成が計画通りに進まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、採用活動・体制を強化し、人材要件を明確化した上で採用計画を策定するなど、必要な人材の確保に取り組んでおります。また、中核人材の育成計画の策定及び研修制度の整備などに積極的に取り組んでおります。

 

4)事業継続に係るリスク

(大地震・自然災害等に係るリスク)

 当社グループは、大規模な地震、大型台風等の自然災害の発生等により、当社グループの役職員等の人的な被害、製造設備の被害による生産活動の停止及び修繕のための費用の発生、または、サプライチェーン上の障害に伴う機会損失が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、地震をはじめとした災害に対しては、本社及び工場を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的に訓練を実施することで、災害が発生した際に損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図る体制を整備しております。

 

(原材料等の調達に係るリスク)

 当社グループは、原材料について製造拠点の立地条件及び運搬・貯蔵方法等に伴う制約から特定の仕入先に依存する場合があり、特定の仕入先の被災や事故等により長期間に亘る原材料の供給不能又は供給不足が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、原材料を複数の仕入先から購入することにより安定調達を図るとともに、適正在庫を保有することで、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めております。

 

5)情報セキュリティに係るリスク

 当社グループは、事業活動を行ううえで多くの機密情報や個人情報を保有しております。年々高度化するサイバー攻撃や不正アクセス、ネットワーク障害等が発生した場合には、業務活動に支障が出るとともに、競争力の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、不測の事態により、個人情報等の情報漏洩やデータ改ざんが発生した場合には、社会的信用の低下を招く可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、情報セキュリティポリシー及び個人情報保護ポリシーを定め、厳正な管理体制のもとで情報漏洩の防止に努めるとともに、様々な情報セキュリティに関する防衛策を講じております。

 

6)気候変動に係るリスク

 当社グループは、気候変動に関して生じる変化を重要なリスク要因と認識しております。当社グループでは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、TCFD提言の枠組みに基づき、事業活動への影響分析を行い、統合報告書等において、その対応結果や進捗の開示に努めております。

 気候変動によって、高潮・豪雨・洪水・台風等の異常気象が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、脱炭素社会の実現に向け、炭素税等のカーボンプライシングの導入が進むことで、財務的な負担が増加するおそれがあります。具体的には、IEA(国際エネルギー機関)のNZE2050に基づく、1.5℃シナリオでは、2030年時点における炭素価格が130USD/1トンとなり、仮に炭素税等が導入された場合、2021年度のGHG排出量約42.2万トンに対し、約71.3億円/年(為替1USD=130円)の負担が増加する可能性があります。

 当社グループは、これらへの対応策として、最新技術を活用したプラント高度制御システムの導入を拡大することや自家発電設備の更新等、これまで培ってきた技術力を活用することにより、生産活動におけるエネルギー効率向上を通じた温室効果ガス削減などに積極的に取り組んでおります。また、CO₂を原料として使用するオキソ技術を用いた製品の製造や低GWP(地球温暖化係数)冷媒を使用したエアコンに使用される冷凍機油原料の供給等、事業を通じ、地球温暖化抑制に取り組んでおります。

 さらに、気候変動による事業活動への影響分析や、その対応策等に関しては、サステナビリティ委員会において、審議・モニタリングを行い、定期的に施策を見直すことで、リスクの低減に努めてまいります。

 

③ その他事業上のリスク

1)海外事業に係るリスク

 当社グループは、アジア及び米州を中心とした海外事業を展開しておりますが、海外においては、政治、経済情勢の変化、予期しえない法規制の変更、自然災害、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等、それぞれの国や地域固有のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、駐在員の派遣等の対応により現地事情などの情報収集に努めております。

 

2)製品品質保証・製造物責任に係るリスク

 当社グループにおいて、大規模な製造物責任につながる製品の欠陥が発生した場合には、多額の賠償額が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001に従い、製品品質の向上に努めた生産活動を行うとともに、万一の事故に備え、製造物責任賠償保険に加入することでリスクヘッジしております。また、品質保証に係る品質保証ポリシーを定め、当社の品質管理活動を確実に推進するとともに、全社重点施策等を立案する機関として、品質保証推進会議を設置し、原則として年1回開催しております。

 

3)知的財産に係るリスク

 当社グループにおいて、第三者から特許権等への抵触を理由として差止訴訟、損害賠償請求訴訟等を提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、その対策として、知的財産ポリシーを制定し、無形資産である知的財産を保全、管理、活用し、第三者の知的財産を尊重することを通じて、企業価値の維持・向上、知的財産リスク低減に努めております。このような管理体制のもと、研究開発の成果について特許権等の権利化を進めることにより知的財産権の保護や他社へのライセンス等による活用を図るとともに、他社の知的財産を侵害しないために、新製品の開発前に先行技術等の調査を行うほか、既存製品についても定期的に調査を実施しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍による行動制限が緩和され、感染拡大防止と経済活動の両立が図られる中、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、半導体不足による自動車の減産影響やウクライナ情勢の長期化に伴う原材料・エネルギー価格の高騰、中国の経済成長率鈍化や欧米諸国での金融引締めによる景気の減速懸念など、先行き不透明な状況が継続しております。

 このような環境のもと、当社は第4次中期経営計画「サステナブル経営の推進」の基本戦略に基づき、持続可能な社会の実現への貢献と当社企業価値向上の両立を目指して、各種施策を進めてまいりました。戦略ドメインである「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」の各事業分野を中心に伸長する需要を取り込み、収益確保に努めたほか、拡大する市場のニーズに応え、次の成長を実現するための生産能力増強投資も着実に推進しました。また、新規事業創出やカーボンニュートラルへの対応にも取り組みました。一方で、大規模定期修繕の期間延長や生産設備の不具合等により、販売機会損失を招くこととなりました。

 その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は1,148億80百万円(前連結会計年度は1,171億10百万円)、営業利益は124億56百万円(前連結会計年度比36.7%減)、経常利益は127億9百万円(同35.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は80億73百万円(同41.0%減)となりました。

 

 なお、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績のうち、売上高については前連結会計年度との比較ができないことから、前年同期比(%)を記載しておりません。営業利益以下の各利益については、当該会計基準等を適用したことによる数値への影響はございません。

 

 事業分野別には、次のとおりであります。

(事業分野別の売上高の概況)

 

 

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

機能性材料

44,248

37.8

46,158

40.2

1,910

-

電子材料

14,390

12.3

13,684

11.9

△706

-

基礎化学品

57,801

49.4

54,265

47.2

△3,535

-

その他

669

0.6

771

0.7

101

-

合計

117,110

100.0

114,880

100.0

△2,229

-

 

(事業分野別の営業利益の概況)

 

 

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

機能性材料

9,976

43.6

7,730

49.3

△2,246

△22.5

電子材料

3,418

15.0

3,047

19.4

△371

△10.9

基礎化学品

9,355

40.9

4,850

30.9

△4,505

△48.2

その他

108

0.5

57

0.4

△50

△47.1

本社費

△3,173

-

△3,229

-

△55

1.7

合計

19,685

100.0

12,456

100.0

△7,229

△36.7

 

 

 機能性材料は、世界エアコン販売台数が、インド等新興国向けの需要増を主因に好調を維持したことにより当社冷凍機油原料の売上高も前年を上回ったこと、および化粧品原料の国内需要が下期にかけて回復傾向に転じたことから、売上高は461億58百万円(前連結会計年度は442億48百万円)となりました。一方で原燃料価格・物流費の高騰や設備不具合による生産効率の低下等により、営業利益は77億30百万円(前連結会計年度比22.5%減)となりました。

 電子材料は、半導体向けを中心に好調な需要が続きましたが、ディスプレイ向けが巣ごもり需要の一巡で弱含んだことに加え、年度後半にはパソコンやテレビ、データセンター向けなど一部の半導体用途にも陰りがみられたことから、売上高136億84百万円(前連結会計年度は143億90百万円)、営業利益30億47百万円(前連結会計年度比10.9%減)となりました。

 基礎化学品は、国内向け需要は、住宅用途は堅調でしたが自動車用途は本格回復に至らず、また海外市況の軟化により輸出が振るわず、売上高は542億65百万円(前連結会計年度は578億1百万円)となりました。また、ナフサ価格上昇に応じた製品価格見直しは進みましたが、LNGなどエネルギー価格が想定を上回って高騰したことから、営業利益は48億50百万円(前連結会計年度比48.2%減)となりました。

 その他の分野の売上高は7億71百万円(前連結会計年度は6億69百万円)、営業利益は57百万円(前連結会計年度比47.1%減)となりました。

 

(注)上記の事業分野別の「営業利益」には、全社に共通する管理費用等を配分しておりません。

 

②財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は742億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ39億48百万円増加いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が41億15百万円、棚卸資産が40億92百万円増加しましたが、現金及び預金が60億8百万円減少したことによるものであります。

 固定資産は570億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ52億29百万円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が17億80百万円減少しましたが、有形固定資産が65億23百万円増加したことによるものであります。

 この結果、資産合計は1,312億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ91億77百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は567億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億82百万円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が32億50百万円、未払法人税等が50億4百万円、修繕引当金が16億64百万円それぞれ減少しましたが、支払手形及び買掛金が47億19百万円、未払金が32億65百万円、コマーシャル・ペーパーが59億99百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 固定負債は124億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億33百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金負債が6億14百万円、修繕引当金が6億60百万円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は691億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ46億15百万円増加いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は620億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ45億61百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益80億73百万円及び剰余金の配当32億50百万円によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ60億8百万円減少し、109億26百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は51億31百万円(前連結会計年度は174億2百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加額40億57百万円、棚卸資産の増加額39億43百万円及び法人税等の支払額74億67百万円により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益116億34百万円、減価償却費41億59百万円、仕入債務の増加額45億42百万円により資金が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は100億82百万円(前連結会計年度は43億95百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出104億2百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は10億76百万円(前連結会計年度は51億68百万円の使用)となりました。これは主に、コマーシャル・ペーパーの純増加額59億99百万円により資金が増加しましたが、長期借入金の返済による支出32億50百万円及び配当金の支払額32億50百万円により資金が減少したことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループは化学品事業の単一セグメントであるため、事業分野別に記載しております。

 

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。

事業分野の名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

機能性材料   (百万円)

42,615

103.5

電子材料    (百万円)

13,578

94.7

基礎化学品   (百万円)

51,798

96.7

合計(百万円)

107,992

99.0

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当社グループでは一部受注生産を行っておりますが、売上高のうち受注生産の占める割合が低いため、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。

事業分野の名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

機能性材料   (百万円)

46,158

電子材料    (百万円)

13,684

基礎化学品   (百万円)

54,265

その他     (百万円)

771

合計(百万円)

114,880

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

出光興産㈱

13,417

11.5

13,772

12.0

ミヤコ化学㈱

10,929

9.3

12,460

10.8

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の当社グループの売上高は1,148億80百万円(前連結会計年度は1,171億10百万円)、営業利益は124億56百万円(前連結会計年度比36.7%減)、経常利益は127億9百万円(同35.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は80億73百万円(同41.0%減)となり、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。

 当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を除く。)残高は前連結会計年度末に比べ24億9百万円増加の208億69百万円、純有利子負債(リース債務を除く。)残高は前連結会計年度末に比べ84億18百万円増加の99億43百万円となりました。これは主に、設備資金の支払のための借入が増加したことと法人税等の支払等のために現金及び預金が減少したことによるものであります。

 当連結会計年度末における自己資本比率は45.22%となり、引き続き安定的な水準にあるものと認識しております。

 なお、経営成績等の概要につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況及び②財政状態」に記載のとおりであります。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、経済・市場環境、原燃料の価格変動、為替変動が挙げられます。詳細につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の概要は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社は、運転資金及び設備投資に使用するための資金を内部資金または借入金及び社債により調達しております。このうち、有利子負債による資金調達につきましては、運転資金を主に短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにより、設備投資などのための長期資金を主に長期借入金及び社債により、それぞれ調達しております。

 当連結会計年度末における現金及び預金は109億26百万円となりました。前連結会計年度末の169億34百万円から60億8百万円減少しておりますが、十分な手元流動性を確保しているものと認識しております。

 当社グループは、現在の手元流動性と営業活動によるキャッシュ・フローの創出により、財務健全性を維持しながら、今後の資金需要に対応可能であると考えております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

合弁関係

KHネオケム株式会社(当社)

締結先

合弁会社名

設立の目的

資本金

設立年月日

三菱ケミカル㈱

㈱ジェイ・プラス

(持分法適用関連会社)

可塑剤の製造および販売

480百万円

出資比率50.0%

2000年4月

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社(提出会社)及び黒金化成㈱が担っており、その内容は以下のとおりであります。

 

(1) 研究開発方針

 今、我々を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。地球温暖化、海洋プラスチック問題等の地球規模での環境問題が深刻化する一方、中間所得層の拡大によりQOL(生活の質)向上への欲求が世界的に高まっています。さらに、IoTやAI技術の普及によりモビリティ分野を中心に技術革新が期待される等、世の中のニーズが高度化、多様化しています。

 この様な環境の中、当社はこれらのニーズに応えるため、当社コアおよびコア周辺技術を深く追求するだけでなく、オープンイノベーション等により外部との技術協創活動を促進することで環境に配慮し、豊かな暮らしに貢献する方針で研究開発活動に取り組んでいます。また、2022年から始まった第4次中期経営計画ではサステナブル経営を推進する7つの約束を宣言し、当社が掲げる価値創造ストーリーにおいて社会課題解決に貢献する事業の創出・拡大を目指すべく、イノベーションの促進および知的財産戦略の強化、工場の生産性向上・効率化の追求をマテリアリティに掲げています。

 

(2) 研究開発戦略

 VISION 2030で掲げる「環境」、「ヘルスケア」、「エレクトロニクス」の3分野を中心に既存事業の拡大に加えて新規事業の創出を目標に掲げ、新技術・新製品の導入により「稼ぐ力の強化」に努めます。

 第4次中期経営計画では、研究開発活動のマイルストーンとしてのKPIを「外部機関との協業件数10件以上/年」として設定し、自前主義にこだわることなく、外部との協創を深める取組みを加速してまいります。加えて、既存事業周辺および新規事業創出に向けた技術やナレッジ獲得を目的としたベンチャー及びスタートアップ企業に対する投資についても推進していきます。

 

(3) 研究開発体制

 既存事業及び周辺事業の戦略立案と推進を担う「事業戦略部」、既存技術の強化による工場の生産性向上やコア技術を応用した新製品開発を推進する「R&D総合センター」及び新事業創出を推進する「イノベーション戦略部」の3部門を設置し、フラットな組織体制かつ各部門長への大胆な権限委譲により、研究開発活動の効率性を高めています。加えて、特許・ノウハウ等の知的財産に関する業務についてはR&D総合センターに機能を統一し、無形資産の価値向上と活用を効率的に進めています。

 また、黒金化成㈱では、受託事業に関連した研究開発活動を中心に行っています。新規受託案件を検討する「研究部」と量産化に向けた工業的製法の確立と製造担当部門への業務移管を行う「生産技術部」の2部門を設置し、開発段階に応じた業務分担により、委託者であるお客様に対して柔軟かつ迅速に対応できる体制をとっております。

 

(4) 生産性向上、新技術開発への取組み

 当社は、コア技術である高圧法と低圧法の2種類のオキソ反応技術や、精密蒸留等の精製技術、炭酸ガス回収や高度制御による省資・省エネ技術、超高純度管理技術等を駆使し、高品質で低コストな化学品を製造しており、R&D総合センターでは、化学的な生産性改善、生産プロセスの改変、新製法の研究等、既存製品の競争力強化に継続的に取り組んでいます。

 また、カーボンニュートラルへの対応や、当社独自の技術を起点とした新たな価値創造にも取り組んでおり、他社や大学との委託・共同研究を推進しています。

 

 

(5) 既存事業周辺への取り組み

 当社の持つ技術に、研究開発部門が獲得した高度な各種評価技術を組み合わせて進化させ、天然由来製品、機能性製品など、「環境」、「ヘルスケア」、「エレクトロニクス」分野を視野に幅広い開発を進めております。顧客との対話や、展示会等での新製品候補群の提案等を通じて潜在ニーズを洞察し、仮説・検証サイクルをより早く回しながら、新製品の早期事業化を目指しています。また、当社独自の技術、中間体、製品といったいわゆるシーズを起点とした新たな価値創造にも取り組んでおり、他社や大学との委託・共同研究を推進しています。

 さらに、当社の知的財産を体系化、データベース化し、共有できる「技術プラットフォーム」の構築を進めています。知的財産の可視化と集約により、社会の課題や顧客のニーズを意識しつつ、他社技術と比較して俯瞰することで、知的財産戦略や新規事業創出に貢献していきます。

 

(6) 新規事業・新製品探索機能強化への取り組み

 2019年に新川崎・創造の森(AIRBIC)に開設したオープンイノベーション拠点「KH i-Lab(KH Neochem innovation Laboratory)」では2021年4月に「オープンラボ」を開設し、スタートアップ企業や様々な研究機関との技術検証を加速させ、社会課題解決に資するマーケットイン型での新規ビジネス創出を加速させています。特に、カーボンニュートラル実現に向けバイオ原料からの新素材開発は、当社のコア技術である化学プロセス技術と出資・共同研究により獲得したバイオプロセス技術とのシナジーを意識して進めています。中でも海洋分解性樹脂の開発については取り組みを強化し用途開発など様々な領域でのマーケティング活動を推進しています。

 また、2022年は2件のスタートアップ企業への出資を行いました。アクプランタ株式会社はバイオスティミュラント材に強みがありアグリバイオビジネスを展開、また、株式会社糖鎖工学研究所は医薬等への応用が期待される素材(糖鎖)の量産化技術を有しています。出資後、2社との共同研究体制の強化を図り、また、当社独自にオープンラボを活用した成蹊大学等との外部研究機関との協創検証による新たな知見獲得も目指しながらビジネスプラン検証を進めています。今後も、新規ビジネスの創出に必須な人材の多様化を図りながら、より一層外部とのネットワークを活用した協創検証を加速して、新規事業の創出によりポートフォリオの幅を拡げる取り組みを進めて参ります。

 

(7) 黒金化成㈱での取組み

 半導体関連材料やディスプレイ関連材料等の電子材料分野の受託製造に関する研究活動を主に行っております。2022年は2020年秋に完成した「次世代半導体向け材料設備(第Ⅰ期投資)」を活用した受託製造をはじめとする半導体関連材料の研究開発活動を精力的に推進しています。これまでの電子材料の研究開発で培った製造技術を半導体関連材料に対応可能な水準に洗練させ、高まる品質要求への対応を進めています。

 また2022年6月には第Ⅱ期投資を機関決定しました。第Ⅱ期投資では大型の製造設備を増設し、拡大する需要を取り込んでいきます。次世代半導体向けの素材需要取込みをより確実なものにするため、引き続き半導体関連材料の研究開発活動を進めていきます。

 

(8) 当連結会計年度の研究開発活動

  当連結会計年度における研究開発費の総額は871百万円となっております。

 

 当社グループは、化学品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。