第2 【事業の状況】

 

当社グループは、建設コンサルタント事業のみの単一セグメントのため、セグメント別の記載はしていません。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)経営方針

当社グループは、英文社名“Founder's Consultants Holdings Inc.”に込めた「新しい価値を創造する専門家集団」を志向した事業活動を行っています。

特定完全子会社である株式会社福山コンサルタントが創業時より掲げてきた「基本は技術」という基本方針を、当社グル―プ全体に共通する「Strong Culture」として承継し、多様化・複雑化する社会資本整備における要請に対して、常に高い技術力で応え続けてまいります。

(2)中長期的な経営戦略および経営指標

中長期の経営戦略は以下のとおりです。

 ①九州と東京の二核体制による戦略的受注と事業領域の拡大

 ②積極的な、人材採用・他社との連携推進による生産力の強化

 ③IT等の基盤整備による生産効率並びに品質レベルの継続的向上と社員のワークライフバランスの推進

 ④新技術開発の促進と商品化の加速

 ⑤資本・業務提携の促進による新たなビジネス領域への進出

 具体的な目標数値としては、2019年6月期からスタートする第4次長期プランの計画期間中(6年間)に、連結売上高100億円以上の企業集団への飛躍を目指しています。

(3)経営環境

当社グループが属する建設コンサルタント業界にあっては、頻発する気象災害や、発生が懸念される巨大地震への対策としての防災・減災事業や、橋梁・道路等の老朽化対策事業、人口減少下における地方経営施策等が目前の課題となっています。また、企業内活動としては、BIM/CIM(三次元設計)の導入やi-Constructionの推進による生産性向上と、ワークライフバランスによる仕事と生活の調和が求められています。

(4)対処すべき課題

上記の経営環境に対処するため、短期的には生産力・生産体制の強化を図り、中・長期的には新技術開発の強化と企業間連携の推進により、企業価値の継続的向上を図っていくことが課題と認識しています。これらに対して、特に人材育成を重点課題として、以下の施策等を実施しています。

 社会資本整備を担うコンサルタント技術者集団として、社員個々の技術力、企画力、提案力等の強化・育成が不可欠です。そのため、人事考課制度に基づき知識・能力の育成や企画力、表現力等を評価しつつ、社内外に設けた教育訓練制度によりこれらを継続的に補い強化しています。

また、技術士取得教育に加えて、博士号取得支援制度により、高度な知見を有する人材育成を推進しています。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には以下のようなものがあります。当社は、これらのリスクの可能性を認識し、発生の回避および発生した場合の対応に備えております。

なお、文中の将来に関する記述は、当連結会計年度末(平成30年6月30日)現在において、当社が判断したものです。

①  国・地方公共団体への高い受注依存

国および地方公共団体からの受注比率が高いことから、社会基盤整備関係予算の縮減が継続した場合には、
経営成績に影響を受ける可能性があります。

②  法的規制

会社法、金融商品取引法、独占禁止法、個人情報保護法、建設コンサルタント登録規程などの様々な法的規
制の適用を受けており、万一会社の信頼を損なう事態が発生した場合には、経営成績に影響を受ける可能性が
あります。そのため、コーポレートガバナンス体制の強化、コンプライアンス姿勢の徹底を図っています。

③  成果品の瑕疵

成果品に瑕疵が発生した場合には、公共発注機関からの指名停止等により経営成績に影響を受ける可能性が
あります。そのため、品質保証規格ISO9001 を主要ツールとして、成果品質の確保と向上に努めています。なお、万一瑕疵が発生した場合に備え、建設コンサルタント損害賠償責任保険に加入しています。

④  情報セキュリティ

事業活動において個人情報等、種々の秘匿対象情報を取り扱う場合もありますが、リスク管理マニュアル並
びに情報セキュリティ管理規程に基づき、漏洩防止の徹底を図っています。IT化や電子納品制度の進展に伴
い、情報セキュリティに関する潜在的なリスクが増大していることから、管理体制と社員教育の一層の強化を
進めています。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

   当社グループは建設コンサルタント事業のみの単一セグメントのため、セグメント別の記載はしていません。 

(業績等の概要)

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府の経済対策や日銀の量的・質的金融緩和施策の継続もあり、企業収益は向上し、雇用情勢は堅調に推移するなど景気は緩やかながらも回復基調を継続して推移しました。一方で、国内政治の混乱、米中間での貿易摩擦を巡る緊張感の高まりや米国の長期金利上昇への懸念並びに朝鮮半島情勢の変化等を受けて、株価や為替相場は不安定な動きをしており、景気の先行きは楽観視できる状況には至っておりません。

当社グループの属する建設コンサルタント業界においては、加速する橋梁・道路等のインフラ老朽化の対策事業、発生が懸念される巨大地震や激甚化する気象災害に対する防災・減災事業および人口減少・高齢化社会に対応した持続可能な社会の形成を目指した地域活性化事業などの公共事業投資を中心とした需要が継続し、比較的堅調な事業環境で推移しました。

このような状況の中で、当社グループは次年度を最終年次とする「第3次長期プラン」に基づき、生産力・生産体制の機動力強化を目的とした各営業地域と技術部門の縦横連携による運営体制(マトリックス型組織運営)を深化継続しています。

加えて、平成29年10月には「M&A戦略推進室」を設置し、他社との連携強化戦略と企業グループ再編成のスピードアップを図っています。その一環として、平成30年5月に無線センサーネットワークシステムを活用した土木構造物等の健全度測定等を行っていた子会社株式会社HMBを吸収合併するとともに、平成30年7月には新たに次代の中核事業となり得る技術開発を行う当社グループ全体の研究機関として株式会社SVI研究所(Social Value Incubation Lab)を設立するなど、経営資源の集中と開発技術の市場投入を加速するための組織再編成を進めました。

更に、事業会社の一層の営業基盤強化と顧客サービスの高度化並びに職員の職場環境整備による生産性向上と働き方改革を目的に、平成30年3月に広島県広島市に特定完全子会社である株式会社福山コンサルタントの中四国支社社屋建設用地を取得しました。

また、株式会社福山コンサルタントでは、平成29年7月に、既存事業における競争力強化と領域拡大を目的に、研究開発活動や新規事業創出活動を推進するため、技術企画室および新規事業推進室の強化を図りました。同時に、東北地域を中心に事業展開してきた施工管理等を含む建設事業マネジメント分野の全国展開を目指して、建設事業マネジメント準備室を事業部に格上げ・再編成し体制強化を行いました。

この結果、当連結会計年度の受注高は、当社グループが得意とする交通マネジメント分野や老朽化対策分野、鉄道関連分野等の堅調な業務受注により71億80百万円(前年比10.7%増)、売上高は67億6百万円(同2.2%減)となりました。

一方、損益面では、経常利益は7億48百万円(同4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億10百万円(同17.0%増)となりました。

当連結会計年度の事業分野別の売上高は次のとおりです。

 

事業分野

前連結会計年度

当連結会計年度

前年比(%)

 

金額(千円)

比率(%)

金額(千円)

比率(%)

交通マネジメント系

2,520,101

36.8

2,576,910

38.4

2.3

地域マネジメント系

248,036

3.6

287,208

4.3

15.8

環境マネジメント系

521,190

7.6

587,349

8.8

12.7

ストックマネジメント系

1,236,939

18.0

1,055,456

15.7

△14.7

リスクマネジメント系

1,609,110

23.5

1,508,829

22.5

△6.2

建設事業マネジメント系

721,729

10.5

690,847

10.3

△4.3

合計

6,857,108

100.0

6,706,603

100.0

△2.2

 

(2) 財政状態の状況の概要

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容  (1) 財政状態の分析」を参照下さい。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金および現金同等物(以下「資金」という)は、20億42百万円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は5億10百万円(前連結会計年度は4億28百万円の獲得)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益7億48百万円、減価償却費1億21百万円、未成業務支出金(たな卸資産)の増加額1億83百万円、売上債権の減少額1億9百万円、法人税等の支払額2億11百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は2億45百万円(前連結会計年度は3百万円の獲得)となりました。

これは主に、経営成績の概況に記載した社屋建設用地等の有形固定資産の取得による支出2億36百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

獲得した資金は6百万円(前連結会計年度は72百万円の使用)となりました。

これは主に、経営成績の概況に記載した従業員持株信託制度導入に伴う長期借入れによる収入96百万円、自己株式の売却による収入1億14百万円、自己株式の取得による支出95百万円、配当金の支払額84百万円によるものです。

 

(受注及び販売の状況)

(1) 受注の状況

当連結会計年度における受注状況は次のとおりです。

 

事業分野

当連結会計年度

(自  平成29年7月1日

至  平成30年6月30日)

受注高

金額(千円)

前年比(%)

交通マネジメント系

2,786,761

9.4

地域マネジメント系

290,818

21.4

環境マネジメント系

568,466

△13.9

ストックマネジメント系

1,116,463

11.6

リスクマネジメント系

1,723,452

20.6

建設事業マネジメント系

694,705

13.5

合計

7,180,668

10.7

 

 

 

(2) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。

 

事業分野

当連結会計年度

(自  平成29年7月1日

至  平成30年6月30日)

金額(千円)

前年比(%)

交通マネジメント系

2,576,910

2.3

地域マネジメント系

287,208

15.8

環境マネジメント系

587,349

12.7

ストックマネジメント系

1,055,456

△14.7

リスクマネジメント系

1,508,829

△6.2

建設事業マネジメント系

690,847

△4.3

合計

6,706,603

△2.2

 

(注)  主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

(自  平成28年7月1日

至  平成29年6月30日)

当連結会計年度

(自  平成29年7月1日

至  平成30年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国土交通省

2,522,281

36.8

2,375,826

35.4

 

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年6月30日)現在において、当社が判断したものです。

(1)  財政状態の分析

(資産)

総資産は、前連結会計年度と比べ5億43百万円増加し、56億75百万円となりました。

これは主に、現金及び預金の増加2億71百万円、未成業務支出金の増加1億83百万円、土地の増加1億27百万円、退職給付に係る資産の増加1億30百万円、受取手形・完成工事未収入金の減少1億9百万円によるものです。

(負債)

負債は、前連結会計年度と比べ46百万円増加し、14億97百万円となりました。

これは主に、業務未払金の増加57百万円、従業員持株信託制度導入に伴う長期借入金の増加78百万円、未払消費税の減少61百万円によるものです。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度と比べ4億97百万円増加し、41億78百万円となりました。

これは主に、利益剰余金の増加4億26百万円によるものです。

当連結会計年度末の自己資本比率は73.6%となり、前連結会計年度末と比べ1.9ポイント上昇し、当社グループは引き続き健全な財政状態であると認識しています。

(2) 経営成績の分析

    ① 売上高

売上高は67億6百万円となり、前連結会計年度と比べ1億50百万円減少しました。

② 売上総利益

 売上総利益は19億89百万円となり、前連結会計年度と比べ48百万円増加しました。売上高に対する売上総利益率は29.7%となり、前連結会計年度と比べ1.4ポイント上昇しました。

③ 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は12億43百万円となり、前連結会計年度と比べ19百万円増加しました。売上高に対する販売費及び一般管理費率は18.5%となり、前連結会計年度と比べ0.6%ポイント上昇しました。

④ 営業利益

 営業利益は7億45百万円となり、前連結会計年度と比べ29百万円増加しました。売上高に対する営業利益率は11.1%となり、前連結会計年度と比べ0.7ポイント上昇しました。

⑤ 営業外損益

 営業外収益は9百万円となり、前連結会計年度と比べ2百万円増加しました。一方、営業外費用は6百万円となり、前連結会計年度と比べ1百万円減少しました。

⑥ 経常利益

 経常利益は7億48百万円となり、前連結会計年度と比べ33百万円増加しました。

売上高に対する経常利益率は11.2%となり、前連結会計年度と比べ0.8ポイント上昇しました。

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は5億10百万円となり、前連結会計年度と比べ74百万円増加しました。

当連結会計年度の経営成績は、売上高は減収となったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高益を更新しており、順調であったと認識しています。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要  (2) キャッシュ・フローの状況」を参照下さい。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものです。

 事業の運転資金及び設備投資資金は、自己資金及び金融機関からの借入金を基本方針としています。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は78百万円です。これは、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」の導入に伴い、「FCホールディングスグループ社員持株会専用信託口」が借り入れたものです。

 

   

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

近年、ビッグデータ、AI、センサー技術等のICTに関する技術や市場が急速に進展しています。これらの先端的な技術を用いて、社会資本に関する様々な課題を解決することが求められています。当社グループは、ICT技術をはじめとする先端的技術を積極的に取り込み、体系的、戦略的な研究開発を進めています。具体的には、幅広いテーマを扱う「基礎研究」、研究の熟度を高め知財化や商品化をめざす「新技術開発」、開発商品の業務展開や販売を促進する「新商品事業展開」の3つに区分しています。

「基礎研究」においては、学位取得支援制度により、大学の先進的・基礎的技術力の習得に努めています。同制度で11名が学位を取得し、更に現在4名が取得に向けてチャレンジ中です。また、新たな事業創出のために設けた、新規事業の公募制度では10数件の応募があり、可能性のある新規事業候補案件について、具体的な取り組みを開始しています。

「新技術開発」では、当社を中心として、マーケット分析、事業スキーム、外部企業とのアライアンス等の事業化検討を並行して実施し、商品成立を目標とした研究開発を実施しています。特に、グリーンインフラ、モニタリング、交通系ICT等の開発テーマについては集中的に投資し、早期の商品化を目指しています。

「新商品事業展開」では、簡易トラフィックカウンター(PoST Gauge)、ビッグデータ解析レポートビジネス、水位センサー、UAVなど新商品について、業務活用や販売促進等の展開を図っています。

具体的な製品開発は以下のとおりです。

 

① グリーンインフラの推進
 平成29年11月に茨城県守谷市と全国初のグリーンインフラに関する包括連携協定を締結いたしました。この連携により、守谷市の自然資本を活用したグリーンインフラの推進を図り、地域の課題に適切に対応し、活力のある豊かな地域社会の形成と発展を目指して活動しています。

活動は3年を目途とし、初年度は守谷市の庁内に検討組織を立ち上げ、今後求められるグリーンインフラ(自然資本)の価値化を検討し、具体的な事業展開を進めています。

 

② 道路構造物点検自動化技術
 道路構造物の点検ロボット及び解析技術の開発を、大学及び複数の企業と進めており、主要技術については過年度特許出願済みです。現在は解析技術の高度化を目指して、大学と連携して実証試験、商品化を進めています。

 

③ モニタリング商品の開発
 ・センサー技術を使った橋梁・道路構造物モニタリング
 内閣府の戦略的イノベーションプログラムで採択された「センサー技術を使った橋梁モニタリング」の実証実験を行っており、現在は大学や国内外の複数企業とともに、道路構造物のモニタリングシステムの事業スキームの検討を行っています。また、商品展開の一つとして、海外市場も視野に入れており、海外政府機関や企業等とのマッチングセミナーにも参加し、海外市場へのアプローチを開始しています。
 ・水位センサーを用いた河川氾濫監視システム
 近年の集中豪雨により中小河川等の氾濫を監視するシステムとして、以前より水位センサーの実証検証を実施しており、今期は当該システムを高松市のオープンフラットフォームに実装して、河川水位の多点観測モニタリングを開始しました。今後は多点観測の水位データを活用して、河川水位予測システムの開発に着手していきます。
 

④  交通系ICTデータを活用した商品開発
 ・交通データのモニタリング
 高松市において弊社が開発したGPSロガーをレンタサイクルに実装し、主に外国人観光客の動向を把握する取り組みを開始しました。高松市のオープンプラットフォームと連携して事業展開を検討しています。

・交通ビッグデータを活用した解析予測
共同研究会社と連携して、交通系ビッグデータを活用した新たな交通解析技術の開発を行い、モデル的な取り組みとして業務受注しています。さらには、交通事故、渋滞データ、各種画像データ等の交通ビッグデータのAI解析の取り組みを実施し、当社グループオリジナルの解析手法の開発を促進しています。
 
 上記活動における支出は63,039千円です。