第2 【事業の状況】

 

当社グループは、経営資源の配分、業績評価等の観点により、建設コンサルタント事業を営む単一セグメントとしていましたが、2020年2月4日付の事務所用物件(土地・建物)の取得により、当社と現賃貸人との間で賃貸借契約を締結したことから、賃貸収入が発生しました。

ついては、前連結会計年度より報告セグメントに不動産賃貸事業を追加し、単一セグメントから変更しています。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)経営方針

当社グループは、「新しい価値を創造する専門家集団」の形成を志向し、地域の安全・安心と持続ある国土形成に寄与する事業分野における活動を行っています。

当社設立母体であり現在は当社の特定完全子会社である株式会社福山コンサルタントにおいて、運営の基本としてきた「基本は技術」という考え方を、当社グル―プ全体に共通する「Strong Culture」として承継・育成し、多様化・複雑化する社会資本整備における要請に対して、常に高い技術力で応え続けてまいります。

(2)中長期的な経営戦略および経営指標

中長期の経営戦略は以下のとおりです。

 ①建設コンサルティング分野の多分野化による市場投入商品群の拡張

 ②国内市場の広域展開加速と海外市場への参入加速化による対象市場規模の拡張

 ③官公庁に加えて民間顧客展開加速による顧客増の拡張

具体的な目標数値としては、2019年7月からスタートした新中期経営計画で掲げる「Co-Creation(共創)22」を旗印に、同計画期間末である2022年6月期では、連結売上高85億円、営業利益・経常利益9億50百万円、当期純利益6億円、営業利益率10%以上、ROE10%以上を目指しています。

(3)経営環境

当社グループの属する建設コンサルタント業界は、国の予算早期成立や公共投資規模の持続を受けて、概ね堅調に推移しています。2021年6月には、ポストコロナ社会に向け、グリーン社会の実現、デジタル化の加速、活力ある地方創り等の改革の基本方針が国から公表され、新たな社会ニーズへの対応が強く求められています。

特に、頻発・激甚化する気象災害や南海トラフ、首都直下などの巨大地震災害への防災・減災事業、深刻化する橋梁・道路等の老朽化対策事業に加えて、高齢化・人口減少等の急進により緊急性が増している活力ある地方創生の取組みなど、様々な課題への対応が求められています。また、i-Constructionの推進による建設生産システム全体の生産性向上とともに、ワーク・ライフ・バランスや在宅勤務によるテレワークの推進といった働きやすい労働環境整備の促進など、より高い次元での経営力・有機的組織力が必要となっています。

(4)対処すべき課題

各国政府の継続した政策支援やワクチン接種の拡大による実体経済の回復が期待されるものの、同感染症の収束までには相当の期間が必要であると予想され、国内外の経済は依然として予断を許さない状況で推移していくものと思われます。

一方、当社グループの属する建設コンサルタント業界にあっては、国内では、防災・減災事業や、橋梁・道路等の老朽化対策事業、地方創生事業等が大きなテーマとなっています。政府による国土強靱化のための5か年加速化対策が決定された点等を踏まえて、公共事業予算は一定の規模が継続確保されると予想しています。当社としては、中期経営計画最終年として、掲げた戦略を着実に実行していくとともに、グループマネジメントの強化、ICT活用による業務効率化を推進し、高い水準で次期中期経営計画につなげていく所存です。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する記述は、当連結会計年度末(2021年6月30日)現在において、当社グループが判断したものです。

①  国・地方公共団体への高い受注依存

国および地方公共団体からの受注比率が高いことから、社会基盤整備関係予算が縮減された場合には、経営成績に影響を受ける可能性があります。このリスクに対応するため、民間や海外案件の受注増加に向けた活動を強化しています。

 

②  法的規制

会社法、金融商品取引法、独占禁止法、個人情報保護法、下請法、建設コンサルタント登録規程などの様々な法的規制の適用を受けています。関連する内容で会社の信頼を損なう事態が発生した場合には、国および地方公共団体からの受注の前提となる指名競争入札参加資格の取り消しや一定期間の停止も予想され、その場合には経営成績に影響を受ける可能性があります。このリスクに対応するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化、コンプライアンス姿勢の徹底を経営の重要課題として運営しています。

 

③  契約不適合責任

契約不適合責任が発生した場合には、当該顧客からの指名競争入札参加資格の停止等により経営成績に影響を受ける可能性があります。そのため、品質保証規格ISO9001を活用して、成果品質の確保と向上に努めています。なお、万一契約不適合責任が発生した場合の損害賠償請求に備え、建設コンサルタント損害賠償責任保険に加入しています。

 

④  情報セキュリティ

事業活動において個人情報等、種々の秘匿対象情報を取り扱う場合もあります。万が一情報漏洩等が発生した場合には、経営成績に影響を受ける可能性があります。このリスクに対応するため、プライバシーマークの取得(17003301)による信頼性を確保するとともに、リスク管理マニュアルならびに情報セキュリティ管理規程に基づき、漏洩防止の徹底を図っています。IT化や電子納品制度の進展に伴い、情報セキュリティに関する潜在的なリスクが増大していることから、管理体制と社員教育の一層の強化を進めています。

 

⑤ 災害等による事業活動への影響

当社グループでは、万一の自然災害に備えてBCP(事業継続計画)を策定するとともに、定期的な訓練により防災管理体制を敷いています。しかし、自然災害の規模によっては事業活動が低下あるいは制約される等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 新型コロナウイルス等、感染症拡大の影響

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に関しては、感染症に備えたBCP(事業継続計画)にそって危機管理本部を設置し、在宅勤務、時差ならびに交代出勤、事業場の三密排除、出張等の移動制限等、役職員の安全衛生と健康管理対応を徹底して、経営への影響の最小化を図っています。しかし、今後当社グループ役職員や事業展開する地域において、新型コロナウイルス等の感染症が拡大した場合には、一時的に事業場の閉鎖等によって、経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

 

⑦ 業績の季節変動

当社グループの売上高は、主要顧客である国および地方公共団体への納期が年度末に集中することから、売上高ならびに利益が第4四半期連結会計期間に偏重しています。

なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の各四半期連結会計期間の売上高、営業損益は下表のとおりです。

                                                                                   (単位:千円)

 

2020年6月

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

  合計

売上高

768,960

584,600

1,742,717

4,316,444

7,412,721

営業損益

△68,334

△160,364

282,747

807,269

861,318

 

 

                                                      (単位:千円)

 

2021年6月

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

  合計

売上高

744,730

930,981

2,471,341

4,042,139

8,189,192

営業損益

△160,366

△201,920

456,523

801,113

895,349

 

 

 

⑧ 業務提携・企業買収等のリスク

当社グループでは、中期経営計画に基づいて他社との業務提携を積極的に推進しています。加えて、企業買収等についても重要な成長戦略のひとつと位置付けています。企業買収等に際しては、対象企業の財務・事業等について事前に十分にリスクを吟味し正常収益力を分析した上で機関決定しますが、買収後に偶発の債務の発生や未認識債務の判明等事前調査で把握できなかった問題が生じた場合、また事業の展開等が計画どおりに進まず想定した企業価値の向上を生まない場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 人材確保と育成について

当社グループの事業は、人材への依存度が高く、成長戦略の推進においては専門性の高い人材の確保と育成が大きな鍵となっています。「Strong Culture」と位置付けた「基本は技術」の風土の浸透により、多様な人材、専門性の高い人材の獲得策を推進するとともに、社内外研修会、技術士資格取得支援制度、博士号取得支援制度に代表される教育訓練システムの活用と多様な働き方の制度導入によって、人材の育成施策、定着施策を強化しています。しかし、他産業を交えた工学系専門人材の獲得競争激化によって、人材採用が計画通り進まなかった場合や優秀な人材の流出が続いた場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

前連結会計年度より報告セグメントに不動産賃貸事業を新たに追加し、建設コンサルタント事業を営む単一セグメントから変更しています。

① 財政状態の状況

当連結会計年度の財政状態は、総資産は前連結会計年度末に比べて1億25百万円増加し、94億4百万円となりました。これは主に、現金及び預金が3億12百万円増加した一方で、完成工事未収入金が2億37百万円、未成業務支出金が36百万円それぞれ減少したことによるものです。

負債は前連結会計年度末に比べて2億39百万円減少し、41億78百万円となりました。これは主に、未成業務受入金が1億37百万円、未払法人税等が1億20百万円、未払消費税等が1億14百万円などそれぞれ増加する一方で、借入返済による長期借入金が6億75百万円減少したことによるものです。

純資産は前連結会計年度末に比べて3億65百万円増加し、52億25百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加2億67百万円によるものです。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、変異を重ねつつ全世界的に流行する新型コロナウイルス感染症の影響により社会経済活動が広範囲にわたり抑制されました。各国政府の政策支援による景気押し上げ効果を受けて、世界経済成長率(GDP伸び率)においては統計上の回復傾向が見られるものの、実体経済の不透明感を払拭するまでには至っていません。

わが国経済も世界経済と同様の状況に置かれました。巣ごもり関連やリモートワーク関連の需要などにより一部に堅調な業績となっている業界がありますが、全体としては停滞した傾向が今なお続いています。なお、株式市場は、進んできたワクチン接種による効果とポストコロナ社会への期待等を先取りする形で比較的堅調に推移していますが、実体経済の回復時期を見通せる段階までには至っていません。

当社グループの属する建設コンサルタント業界は、国の予算早期成立や公共投資規模の持続を受けて、概ね堅調に推移しました。2021年6月には、ポストコロナ社会に向け、グリーン社会の実現、デジタル化の加速、活力ある地方創り等の改革の基本方針が国から公表され、新たな社会ニーズへの対応が強く求められています。

このような状況の中で、当社グループは2期目を迎えた中期経営計画「Co-creation(共創)22」(共創する技術サービス)に基づいて、以下を基本戦略として事業活動を強化しています。①防災、環境など拡大が見込まれる分野へのコンサルティング業務の多分野化、②国内の空白地域への進出や海外展開の加速化を中心とした市場の拡張、③民間分野の拡大による顧客の多層化の3点です。これらの戦略推進にあたっては、高度専門人材の強化、グループ内・外の連携推進、DXによる業務・生産工程改革や多様な働き方の定着施策などを進めました。また、2020年12月には「SDGs宣言」を発出して、持続可能な社会の実現への取り組みをグループ全社で強化しています。

以上の結果、当連結会計年度は、連結対象範囲の拡大に加え、国内の公共事業が堅調だったことを受けて、受注高は86億18百万円(前年同期比6.5%増)、売上高は81億89百万円(同10.5%増)と過去最高を更新しました。

損益面では、売上高の増加に伴い、経常利益は9億39百万円(同9.4%増)と過去最高を更新しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルス感染症拡大による海外渡航制限等の外部環境の急変と開発途上国における事業活動の回復期間を考慮して、株式会社地球システム科学に係るのれんの減損損失2億66百万円を特別損失に計上した結果3億72百万円(同28.1%減)となりました。

 

 

セグメントごとの業績は、次のとおりです。

(建設コンサルタント事業)

建設コンサルタント事業の具体的戦略としては、現在比較優位にある既存事業分野において、異業種企業なども含む様々な連携により一層の強化を図るとともに、AIやICT活用により多様な新規事業の創出を目指しています。

事業会社毎の概況としては、主要子会社である株式会社福山コンサルタントでは、茨城県守谷市と進めている戦略的グリーンインフラ推進プロジェクトにおいて「第1回グリーンインフラ大賞生活空間部門」の国土交通大臣賞を受賞しました。同社では、他にも京都産業大学や民間企業と協力して、デジタル技術を用いたグリーンインフラ活用・モニタリングシステム構築に関するプロジェクトである「グリーンインフラDXプロジェクト」をスタートしました。また、北九州市に提案し採択された「環境未来技術開発助成事業」では、グループ会社である株式会社エコプラン研究所などとの協力により、新技術を活用した循環型社会の実現に向けた事業活動を進めています。重点強化中の防災分野では、研究開発の成果として市場投入したAI水位予測システム導入のコンサルティングや「ICT技術を活用した橋梁下部工モニタリング」の受注が順調に増加しています。更に、2020年7月豪雨災害で氾濫した球磨川水系の河川整備計画業務を受注するなど、河川防災業務の拡大を図っています。地方活性化分野や民間の資金やノウハウを活用するPPP/PFI関連事業分野では、沖縄コザ運動公園サッカー場跡地整備運営事業のPark-PFI事業に参加するなど、着実に新たな分野の受注を増やしています。これらの活動により、国並びに関係顧客からの業務表彰や感謝状は過去最多を数えるレベルに達しました。

四国を拠点とする株式会社環境防災では、地元徳島県下での受注が堅調に推移しており、さらに戦略的な展開を強化している愛媛地域においては、防災関連分野の顧客基盤強化策として2021年3月に新たに宇和島営業所を開設しました。

開発途上国向けの防災、水資源開発業務を主力とする株式会社地球システム科学は、新型コロナウイルス感染症の影響による海外渡航制限等により現地での生産活動に制約が生じていますが、国内業務への振り替えやリモートによる遠隔業務実施の工夫を進めています。受注高は計画どおり確保できていることから、対象地域におけるワクチン接種の拡大などにより業績も徐々に回復してくるものと見込んでいます。

株式会社エコプラン研究所では、主要分野の自然環境調査・計画等においてグループ会社との連携による受注力強化や成果品質の高度化に加え、地域での環境教育やビオトープ施設の管理運営を通したSDGs活動を推進しており、その一環として、自治体との生物多様性に関する連携協定を予定しています。

株式会社SVI研究所では、移動履歴情報システムに関する特許を出願するなど、人の“流れ”を可視化するサービス「Fracti」の提供を開始し、マーケティング分野など新規事業の拡大を図っています。

以上の結果、売上高は81億81百万円(前年比10.6%増)、損益面では、新型コロナウイルス感染症の影響による生産性の低下もあって、営業利益は8億81百万円(同1.2%増)となりました。

 

当社グループは、「中期経営計画」に掲げる目標達成に向けて、事業分野の拡大と海外展開の加速化を進めており、当連結会計年度より建設コンサルタント事業における事業分野の見直しを実施しています。なお、前連結会計年度と比較した事業分野別の売上高は次のとおりです。

 

事業分野

前連結会計年度

当連結会計年度

前年比(%)

 

金額(千円)

比率(%)

金額(千円)

比率(%)

モビリティ形成事業

2,585,912

35.0

2,763,262

33.8

6.9

環境、都市・地域創生事業

1,143,672

15.4

1,514,848

18.5

32.5

社会インフラ、防災事業

3,667,858

49.6

3,903,441

47.7

6.4

合計

7,397,444

100.0

8,181,551

100.0

10.6

 

 

 

建設コンサルタント事業における当連結会計期間の国内・海外での販売実績は以下のとおりです。

 

事業分野

前連結会計年度

当連結会計年度

前年比(%)

 

金額(千円)

比率(%)

金額(千円)

比率(%)

国内

7,237,466

97.8

7,725,681

94.4

6.8

海外

159,978

2.2

455,870

5.6

185.0

合計

7,397,444

100.0

8,181,551

100.0

10.6

 

 

(不動産賃貸事業)

不動産賃貸事業については、前連結会計年度の事務所用物件の取得により、当社と取得時の賃貸人との間で賃貸借契約を締結していることから賃貸収入が発生しています。その結果、売上高は52百万円(前年比102.7%増)、うち外部顧客への売上高は7百万円(同50.0%減)、セグメント営業利益は13百万円(同245.7%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金および現金同等物(以下「資金」という)は、22億3百万円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は14億72百万円(前連結会計年度は21百万円の獲得)となり大きく増加しました。

これは主に、税金等調整前当期純利益6億73百万円と非資金項目であるのれんの減損損失2億66百万円の合計額に加えて、売上債権の減少額2億54百万円、法人税等の支払額3億14百万円などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は3億33百万円(前連結会計年度は24億7百万円の使用)となりました。

これは主に、生産施設整備増強策としての建物並びにOA機器等の有形固定資産の取得による支出3億58百万円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は8億44百万円(前連結会計年度は21億45百万円の獲得)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出6億75百万円、配当金の支払額1億6百万円などによるものです。

 

④ 受注及び販売の状況

1) 受注の状況

当連結会計年度における受注状況は次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

受注高

金額(千円)

前年比(%)

建設コンサルタント事業

8,618,945

6.5

不動産賃貸事業

合計

8,618,945

6.5

 

 

(注)1 当連結会計年度における建設コンサルタント事業の分野別の受注実績は、次のとおりです。

事業分野

当連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

受注高

金額(千円)

前年比(%)

モビリティ形成事業

2,644,214

8.4

環境、都市・地域創生事業

1,706,656

9.9

社会インフラ、防災事業

4,268,075

4.1

合計

8,618,945

6.5

 

 

(注)2 当連結会計年度における建設コンサルタント事業の国内・海外での受注状況は次のとおりです。

事業分野

当連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

受注高

金額(千円)

前年比(%)

国内

7,154,662

0.1

海外

1,464,283

54.0

合計

8,618,945

6.5

 

 

 

2) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

売上高

金額(千円)

前年比(%)

建設コンサルタント事業

8,181,551

10.6

不動産賃貸事業

7,640

△50.0

合計

8,189,192

10.5

 

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。

(注)2 当連結会計年度における建設コンサルタント業界の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自  2019年7月1日

至  2020年6月30日)

当連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国土交通省

2,470,477

33.3

2,486,715

30.3

 

 

(注)3 当連結会計年度における建設コンサルタント事業の分野別の販売実績は、次のとおりです。

事業分野

当連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

金額(千円)

前年比(%)

モビリティ形成事業

2,763,262

6.9

環境、都市・地域創生事業

1,514,848

32.5

社会インフラ、防災事業

3,903,441

6.4

合計

8,181,551

10.6

 

 

(注)4 当連結会計年度における建設コンサルタント事業の国内・海外での販売実績は次のとおりです。

事業分野

当連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

売上高

金額(千円)

前年比(%)

国内

7,725,681

6.8

海外

455,870

185.0

合計

8,181,551

10.6

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年6月30日)現在において、当社が判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われており、資産・負債の状況を反映しています。これらの見積りおよび仮定については、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、これらの見積りおよび仮定には不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。

当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に重要なものは以下のとおりです。

1) 受注損失引当金

当社グループは、受注業務に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末の未成業務のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることができる業務については損失見込額を計上しています。想定外の事象の発生等により、当初の想定損失見込額より多額となる場合は、実際の損失見積額と異なる可能性があります。

2) 繰延税金資産

当社グループは、連結貸借対照表上の資産・負債の計上額と課税所得の計算上の資産・負債との一時差異に関して法定実効税率を用いて繰延税金資産および繰延税金負債を計上しています。また、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積っていますが、将来の課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。

3) のれんの減損

当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しています。資産性については、子会社の業績および事業計画等をもとに検討し、判断していますが、将来において経営環境の悪化等により収益が当初の想定を下回る場合は、のれんの減損処理を行う可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は81億89百万円と前連結会計年度と比べ7億76百万円増加しました。これは主に、2020年4月から子会社化した株式会社地球システム科学および当連結会計年度から子会社化した株式会社エコプラン研究所の売上高の増加と、IT等を活用した環境、都市・地域創生事業への展開によるものです。

売上総利益は24億63百万円と前連結会計年度と比べ1億41百万円増加しました。これは主に、外注費や間接経費のコスト縮減によるものです。売上高に対する売上総利益率は30.0%となり、前連結会計年度と比べ1.3ポイント減少しました。

販売費及び一般管理費は15億67百万円と前連結会計年度と比べ1億7百万円増加しました。売上高に対する販売費及び一般管理費率は19.1%となり、前連結会計年度と比べ0.6ポイント減少しました。

営業利益は8億95百万円と前連結会計年度と比べ34百万円増加しました。売上高に対する営業利益率は10.9%となり、前連結会計年度と比べ0.7ポイント減少しました。

営業外収益は64百万円と前連結会計年度と比べ53百万円増加しました。これは主に、株式会社地球システム科学の保険解約返戻金31百万円と、助成金収入17百万円です。一方、営業外費用は20百万円と前連結会計年度と比べ6百万円増加しました。

経常利益は9億39百万円と前連結会計年度と比べ80百万円増加しました。売上高に対する経常利益率は11.4%と前連結会計年度とほぼ同率です。

特別損失に、新型コロナウイルス感染症拡大による海外渡航制限等の外部環境の急変と開発途上国における事業活動の回復期間を考慮して、株式会社地球システム科学に係るのれんの減損損失2億66百万円を計上しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3億72百万円となり、前連結会計年度と比べ1億45百万円減少しました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益を除き、売上高、営業利益、経常利益はすべて過去最高を更新しました。

また、当連結会計年度末の総資産が94億4百万円と前事業年度と比べ1億25百万円増加し、自己資本比率が55.6%と前連結会計年度末と比べ3.3ポイント上昇し、当社グループは引き続き健全な財政状態であると認識しています。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資やM&A等によるものです。

事業の運転資金及び設備投資資金は、自己資金及び金融機関からの借入金を基本方針としています。なお、当連結会計年度末における長期借入金残高(1年以内返済予定を含む)は19億54百万円となりましたが、その目的は前述の設備投資および株式取得によるものであり、すべて金融機関から調達しました。

 

 ④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2019年6月に新中期経営計画(計画期間3年間で対象期間は2019年7月から2022年6月)を策定しました。目標とする経営指標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な経営戦略および経営指標」に記載のとおりです。

新中期経営計画の2年目である当連結会計年度においては、連結売上高81億89百万円、営業利益は8億95百万円、経常利益9億39百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3億72百万円、営業利益率10.9%、ROE7.4%となりました。引き続き中期経営計画に沿って、特に「事業の多様化」と「生産性の効率化」のスピードアップと重点的な施策展開を実施していき、これら経営指標の向上に努めていきます。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、建設コンサルタント事業を営む単一セグメントとしていましたが、2020年2月4日付の事務所物件の取得により、賃貸収入が発生し、前連結会計年度より報告セグメントに不動産賃貸事業を新たに追加しました。

しかし、不動産賃貸事業は賃料収入のみであり、研究開発活動を行っておりません。ここでは、建設コンサルタント事業の研究開発活動のみを記載しています。

 

(建設コンサルタント事業)

国民の生活を一変させた新型コロナウイルス感染症の蔓延により、ICTの活用が一層進められており、社会構造を変化させるDXへの対応が求められています。また、気候変動に伴い激甚化する自然災害に対して、人の命を守る減災・防災の技術開発も重要なテーマです。当社グループは、これらの社会課題に対して、先端的な技術を積極的に取り込み、社会実装するため体系的、戦略的な研究開発を進めています。具体的には、幅広いテーマを扱う「基礎研究」、研究の熟度を高め知財化や商品化をめざす「新技術開発」、開発商品の業務展開や販売を促進する「新商品事業展開」の3つに区分しています。

「基礎研究」については、既存技術の高度化に加え、新事業の展開を支える技術としてAI、ブロックチェーン、最適化等の先端的技術についても、大学との共同研究、学位取得制度、企業連携等を活用して、その技術習得に努めています。これらに加え、より幅広い技術習得のため、MBA取得やPFI技術習得など工学系以外の分野へも現在4名がチャレンジ中です。また、FCHDグループ企業の新たな事業創出のために社内公募制度を設けており、当期は若手技術者を中心に10件の応募があり次世代事業の育成を進めています。

「新技術開発」では、AIベンダー、IoTメーカー、ビッグデータホルダー等の外部異業種企業とのアライアンスを加速し、外部企業の持つ技術と当社技術のシナジーにより先端的技術開発を早期に商品化できるよう研究開発を進めています。特に、防災・減災分野、インフラメンテナンス分野、スマートシティ分野、交通ビッグデータ分析、新モビリティ分野の研究テーマについては集中的に投資し、早期の商品化を目指しています。

「新商品事業展開」では、防災分野、都市・地域マネジメント分野、新モビリティ分野、地方創生分野等の新商品について、業務活用や販売促進等の展開を図っています。

具体的な主な製品開発は以下のとおりです。

 

 インフラモニタリングシステムの開発

河川内の橋梁下部工が洗掘されると橋梁の固有振動数が低下する特性に着目し、センサーを用いて洗掘状況を遠隔から監視することのできるシステムを開発し、各地への実装を進めています。現地に自治体職員らが行くことなく安全に橋梁の健全度の確認を行うことができ、豪雨等発生時には橋梁の通行可否を迅速に判断することに役立ちます。本システムは、国土交通省の「点検支援技術性能カタログ(案)/2020年6月」に掲載されるなど市場環境が整いつつあり、今後その実装を本格化させていきます。

 

② 高度防災情報サービス(内水氾濫システム)の開発

頻発する豪雨による内水氾濫を監視するため、水位センサーを用いた中小河川のリアルタイム水位観測およびAI水位予測データを提供するサービスを開発し、各地への実装を進めています。さらに、豪雨災害時の住民の早期避難の支援、行政危機管理オペレーションの効率化支援のため、AI水位予測を活用した3次元の河川氾濫シミュレーションの開発を進めています。避難行動支援については、東京海上日動火災保険株式会社、東京海上ディーアール株式会社、日本電気株式会社とともに自然災害時の事前避難を支援する新たなサービスの実証実験などの取り組みを予定しています。

 

③ 新モビリティマネジメントシステムの開発

高齢化の進展や、新型コロナウイルス感染症などにより利用形態が変わり、多くの課題を抱える地域公共交通の維持に向け、新しいモビリティサービスの社会実装と高度化に向けた取り組みを進めています。このような取り組みの一つとして九州の自治体をモデル地区として一般社団法人九州経済連合会と「きやま地方創生モビリティ研究会」を立ち上げました。

 

④ データの見える化・解析サービスの開発

株式会社SVI研究所で開発した、人の"流れ"を可視化するシステム「Fracti」を活用し、商業エリアや大規模商業施設へのマーケティング分析、都市の賑わい分析、公共交通計画策定等の商品提供を開始しました。今後も地域の課題に対応した、地方創生の取り組みを進めていきます。

 

⑤ 特許技術開発

当社グループの株式会社地球システム科学では、発明名称「既設アンカーの緊張力推定法」が、2021年2月に特許登録されました。また、株式会社SVI研究所では、移動履歴情報システムに関する特許を2021年6月に出願しました。

 

当社グループは、今後も最新技術を活用したオリジナル技術の開発を進めてまいります。

 

上記活動における支出は122,010千円です。