文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
当社グループは「挑戦」を企業理念とし、「BAROQUE発の文化を世界へ発信する」という目標に向けて、世界中のお客様から支持されるグローバル企業を目指しております。
その「挑戦」をより具現化する為に、“Enjoy life more.”「もっと人生を楽しもう。」をCorporate Sloganに、小売業の未来を変えることを“OUR MISSION”に掲げ、Innovationを通じて、新しい社会の姿を提案します。
2030年に目指す姿を実現するためのPhase1として、2021年10月に新たな中期経営計画を発表しております。コロナ禍による市場への影響等、先行き不透明な状況が当面続くと想定しており、この間は、着実に利益を創出できる体質に強化すること、将来的な拡大の準備を整えることを優先していく方針でおり、3年をかけて再び成長軌道に乗せるための期間として位置付けております。計画最終年度の2024年2月期における経営指標として、連結営業利益率:7.5~8.0%、在庫回転率:5.5~6.0回転、ROE:13~15%と設定しております。更に海外成長指標として、中国事業での年間純増20店舗、海外展開国数30ヵ国についても設定しております。係る経営指標の達成に向けて、グループ連結での利益体質の向上、作りすぎないものづくりの実現などの事業構造の進化、海外アパレル事業の着実な成長などの取り組みを推進して参ります。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループでは、事業面では、国内アパレル事業の体質強化、中国アパレル事業の着実な成長、新規事業の創出を重点課題として取り組んで参ります。また、基盤面では、サステナビリティへの対応、事業を支える基盤の整備に注力して参ります。
① 国内アパレル事業の体質強化
イ. コロナ後の事業の在り方を見据えて、ブランド競争力の向上を図って参ります。EC販路の強化、商品企画力の強化等に取り組み、ブランド別・販路別の強化を推進致します。また、マーケットに合致したリブランディングを行いブランド価値・認知度も向上することを目指します。新常態にマッチした店舗のスクラップアンドビルドも実施し、今後強化すべき分野へ資源を集中投下して参ります。
ロ. コロナ後に向けた体質強化として、更なる利益率の向上に取り組んで参ります。作り過ぎないものづくり体制の構築、ニューリテールの実現による顧客利便性の向上及び効率化などを推進致します。また、作り過ぎないこと=サステナブルとの認識の下、品番数の適正化などの施策にも取り組んで参ります。
ハ. 当社のニューリテールとして、CRMの強化、OMOの強化などに取り組むことで、ビジネスの効率化と顧客利便性向上の実現を目指します。
② 中国アパレル事業の着実な成長
中国アパレル事業においては、継続的な成長を維持しつつ、同時に事業運営体制の強化・再構築を図って参ります。今後も年間20店舗程度の成長を維持することを目指し、中国アパレル事業の着実な成長を目指します。また中国におけるブランドポジションを再定義し、競争力向上を目指します。
③ 新規事業の創出
当社の強さを活かしつつ、サステナブルな社会の実現に寄与するという要件を満たす新規事業に取り組んで参ります。お客様との関係構築力と、これに基づく販売力こそが、コロナ禍で売れない環境でも売上を作る当社の強みです。これに当社のもう一つの強みである中国展開力を組み合わせ、持続可能な新たな事業を創造し強みを活かして展開することを目指します。また、時代の変化に合わせた新規ブランドの立ち上げにも取り組んで参ります。
④ サステナビリティへの対応
「地球環境を守るために当社ができること」、「サステナビリティに貢献するきっかけの提供」、「皆がイキイキとした職場・挑戦できる会社」を目標に掲げ具体的な施策を推進して参ります。作り過ぎないものづくりとしては、品番数の削減、QRによる数量コントロールの実現を目指します。また、環境配慮素材の積極活用、下げ札やショッパーへの再生紙や織ネームへの再生素材の利用促進、プラ素材の削減・廃止等の施策に注力して参ります。さらに、働きやすい環境整備として、人事制度改革を進め、リモートワーク環境・制度の定着化を図ります。これらの施策を元に、すべてのステークホルダーの方々に豊かで広がりのある未来を提供できるよう取組みを進めて参ります。
本年度については、気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、TCFD の枠組みに基づいて、必要なデータの収集と分析を行い、リスクと機会を特定するとともに、シナリオ分析による戦略の検証を行い開示いたしました。
また、サステナビリティに関わる基本方針や重要事項等を検討・審議する組織として、今般、サステナビリティ委員会を設置致しました。
⑤ 事業を支える基盤の整備
現下の厳しい市場環境でこそ、次の成長基盤となる投資は積極的に実施して参ります。OMO推進に向けた投資や新たなマーケティング機能の構築、基幹システムの更改などの投資を、次の成長の準備として推進して参ります。また、サプライチェーンの見直しについても継続して取り組んで参ります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、次のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努めて参ります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループが属するカジュアルウェア専門店業界は、国内外の競合企業との厳しい競争状態にあり、流行や嗜好の変化が速く商品のライフサイクルが短い傾向にあるため、当社が顧客の嗜好の変化に対応した商品を提供できない場合、また景気の急激な悪化により消費者の購買意欲が大きく減退した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、このようなリスクに対し、EC会員分析及び現場従業員とお客様の日々のコミュニケーションを通じて、お客様のニーズを適切に捉え、速やかに商材に反映し、商品提供に努めて参ります。
当社グループの商品は、中国を中心としたアジア諸国の縫製メーカー等に生産委託しており、生産国の政治情勢・経済環境、急激な為替レートの変更、戦争やテロ、自然災害等が発生した場合、当社グループの調達に影響し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループは複数国に生産拠点を分散することにより、世界情勢の変化に臨機応変に対応できる安定的な商品供給体制の構築に努めております。また、為替変動の対応として、適切な為替ヘッジ対策を検討し、リスクの軽減を図って参ります。
当社グループの事業活動を支える基幹システム、情報システム及びECサイト等に関し、サイバー攻撃等によりシステムの不具合が生じ、事業運営の継続が困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。外部からの不正アクセス防止のため、サイバー攻撃に対するセキュリティ対策の強化を行うとともに、営業秘密や個人情報などの重要情報について、暗号化やバックアップなど情報保護に向けた対策を講じると共に、社員への情報セキュリティ教育と意識向上の徹底を図って参ります。
当社はBelle社の100%子会社であるMUTUAL CROWN LIMITEDから発行済株式(自己株式を除く。)の20.11%の出資を受けております。当社は、Belle社との合弁で中国事業を展開しており、Belle社グループに対する売上高は52億58百万円であり、連結売上高に占める比率は8.9%となっております。今後、当社及びBelle社間の業務提携の方針に変更があった場合、当社グループの事業展開が影響を受け、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループはBelle社と円滑なかつ良好な関係を維持するよう努めております。Belle社とブランドラインセンス契約についても、10年間継続する対応などを行っております。
世界的に流行している新型コロナウイルスを含めた大規模感染症の影響により、当社グループが出店する国内及び海外の商業施設が時短営業乃至一時休業の措置を取ることが予想され、売上高が減少し、当社業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このような状況が拡大・長期化した場合、売上高の減少に伴い、当社グループの収益性にも影響を与える可能性があります。
当社グループはお客様に安心、安全の環境をご提供できるよう、感染拡大防止及び感染リスク軽減の観点により店舗を含め感染防止措置の徹底、従業員及び家族を対象にしたワクチン接種の推進に取り組んでおります。また、感染拡大による時短、休業の影響を軽減するため、店舗と通販の間に機動的な商品移動等の管理体制の構築に努めております。
(6) 環境に関するリスク
温室ガス排出量削減等の環境負荷に関する規制強化や消費者の環境意識の高まりに十分対応できない場合、社会的信頼度が低下することにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「地球環境を守るため」、「サステナビリティに貢献するきっかけの提供」などの目標を掲げ、再生素材、プラスチック削減等の環境負荷低減に向けて取り組んでおります。
なお、上記以外の一般的な事業リスクとして、自然災害、事故、取引先破綻、法的規制及び訴訟等のさまざまな要因が考えられます。
当連結会計年度における当社グループの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、各種行動制限が緩和され、国内経済は回復に向けた動きがみられました。しかしながら、原材料・エネルギー価格の高騰、急激な円安進行などが重しとなり、先行き不透明な経営環境が続きました。また、中国においては、上海ロックダウンが中国内の個人消費のみならず日本向けのサプライチェーンにも影響を及ぼしました。さらにゼロコロナ政策の急緩和に伴う爆発的な感染者増加も発生するなど、個人消費は停滞しました。
当社グループの国内事業につきましては、行動制限の緩和に伴い人流が回復する中、店舗売上が前年同期比104.0%と増加しました。特に百貨店ブランドが顕著な伸長を示しました。EC売上高についても前年同期比101.2%と増加し、当連結会計年度における国内売上高は前年同期比102.7%となりました。適正量の仕入及びセール販売の抑制に継続して取り組み、当連結会計年度における国内売上総利益は前年同期比101.5%となりましたが、原価高騰と急激な円安による為替影響が売上総利益の重しとなりました。
全社的に経費抑制に努めたものの、広告及び販売促進費、売上連動の販売手数料等の増加があり、販売費及び一般管理費は前年同期比103.7%となりました。その結果、営業利益及び経常利益については前年同期を下回りました。
米国事業に関しては、EC及び卸売(高級百貨店、セレクトショップ向け)を中心としたビジネスモデルで事業拡大しており、日本製高級デニムを中心とした販売が好調を継続しました。米国事業は前年同期比、大幅な増収増益となりました。
また、戦略的事業パートナーであるBelle International Holdings Limitedとの中国合弁事業においては、上海ロックダウンに伴う店舗休業等に加えて、ロックダウン解除後も断続的に中国各地で行動制限が発生するなど、中国の新型コロナウイルス感染症の拡大影響を大きく受けました。商業施設の閉鎖に伴う店舗休業、消費者マインドの冷え込み等が中国事業に大きく影響し、TikTok等のECチャネルからのライブコマース等のEC施策を強化したものの、中国事業は前年同期比、大幅な減収減益となりました。この影響により中国合弁事業からの持分法による投資損失9億40百万円を計上しております。
一方で、アジア展開強化の一環として、2022年9月、韓国・ソウルにENFOLDの新規出店を行いました。
この結果、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下の通りとなりました。
(売上高及び売上総利益)
売上高は、前連結会計年度に比べて2億97百万円減少し、588億42百万円となりました。国別の売上高及び構成比は以下のとおりです。
売上総利益は、前連結会計年度に比べて6億28百万円増加し、334億10百万円となり、売上高に対する比率は55.4%から56.8%になりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて12億30百万円増加し、312億59百万円となり、売上高に対する比率は50.8%から53.1%になりました。
この結果、営業利益は21億50百万円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
為替差損1億47百万円計上されていること、持分法による投資損失9億40百万円計上されていること等により営業外費用は、8億71百万円増加し、11億71百万円となり、この結果、経常利益は前連結会計年度に比べて16億35百万円減少し、12億11百万円となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
減損損失が計上されたことにより、特別損失は1億38百万円となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて15億2百万円減少し、10億72百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて12億28百万円減少し、2億43百万円となりました。
当該連結会計年度における資産、負債及び純資産の状況については以下の通りです。
(総資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて13億86百万円減少して372億45百万円となりました。これは、現金及び預金が2億66百万円減少したこと、売掛金が8億46百万円減少したこと、商品が3億66百万円増加したこと、持分法投資損失を反映し投資有価証券が8億29百万円減少したこと等によるものです。
(負債)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて10億35百万円減少して151億59百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が3億39百万円減少したこと、未払金が1億33百万円減少したこと、未払法人税等が6億13百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて3億51百万円減少して220億85百万円となりました。これは、配当金の支払いにより利益剰余金が13億76百万円減少した一方、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により2億43百万円増加したこと、為替換算調整勘定が3億95百万円増加したこと、及び非支配株主持分が3億79百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2億66百万円減少し、147億44百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、20億41百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が10億72百万円、持分法による投資損失が9億40百万円、売上債権の減少額が13億33百万円、法人税等の支払額が11億25百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、12億73百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が5億73百万円、無形資産の取得による支出が6億59百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、13億81百万円となりました。これは主に、配当金による支出が13億76百万円あったことによるものです。
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当連結会計年度の仕入実績は次の通りであります。なお、当社グループは、衣料品等の企画販売事業を単一の報告セグメントとしております。
当連結会計年度の販売実績は次の通りであります。なお、当社グループは、衣料品等の企画販売事業を単一の報告セグメントとしております。
(注) 1.参考として販売経路ごとの内訳を記載しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表作成に当たって、資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当連結会計年度の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
これまでの当社グループの運転資金需要の主なものは、商品仕入れのほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、主として国内出店・改装等の設備投資によるものです。
当社グループの運転資金及び出店資金については自己資金及び銀行借入で賄っております。
今後は国内出店・改装以外にも海外出店及び拠点設立、国内店舗・自社ECにおけるデジタル化、ICT化の推進、基幹システム整備、物流倉庫の自動化等を目的に設備投資を計画しておりますが、資本と有利子負債の最適配分を見極め、投下資本の効率的な活用を主眼とした事業運営を行ってまいります。
当社グループの経営方針・経営戦略については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)経営の基本方針」及び「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的に目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、営業利益、経常利益及び自己資本利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いており、各指標等の状況は次のとおりであります。
(注)2021年2月期、2022年2月期及び2023年2月期の営業利益、経常利益及び自己資本利益率(ROE)低下の主な要因は、新型コロナウイルスの影響により、売上が減少したためであります。
(注)下記(2)の「ブランドライセンス及び独占的販売代理店契約」が終了した場合には、上記合弁事業に係わる契約も同時に終了する旨の規定があります。
該当事項はありません。