当事業年度の我が国のインターネット市場においては、インターネット広告費の総広告費に占める割合が2割を
超える(電通「2016年日本の広告費」)等、市場拡大が継続しております。これに関連して、日本国内における
Twitterの月間利用者数が平成27年12月の3,500万人から平成28年9月に4,000万人を超える等ソーシャルメディアの利用者数も増加の一途を辿っております。
一方で、ソーシャルメディアでの消費者の行動や投稿を契機として企業が予期せぬリスクに晒される状況も増加
しており、ソーシャルメディアを有効に活用するためにリスク管理体制の整備と強化が求められております。
このような環境の中、当社は「リスクを解決する社会インフラの創出」を経営理念として、リスクに特化したビ
ッグデータ解析技術をベースに、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに
対するソリューションを企業等に提供しております。
当事業年度におきましては、大手損害保険会社との連携によるネット炎上時の補償サービスの開発を行ったほか、顧客の特性に合わせたリスクマネジメント支援に注力するため、組織を産業種類別に再編して業種毎の営業・コンサルティング体制を構築し、付加価値の高いサービス提供を図ってまいりました。
新規領域においても、人工知能を活用した内部不正検知サービスであるリスクインテリジェンスサービスを本格
的に開始し、IT先進国であるエストニアの企業との提携によるソフトウエア「Vizkey」の提供を開始する等、サ
ービスの複層化を図りました。
これらにより、顧客が抱える課題解決に貢献することで、既存顧客の深耕や大手企業・新規顧客の獲得、競合か
らのリプレイスを行うことができました。
また、今後の成長を見据えて、セキュリティ機能及びコーポレートブランディングの強化のため、本社移転を実
施いたしました。
この結果、売上高は前年同期比43.7%増の1,379,977千円となり、営業利益は前年同期比35.8%増の183,588千円、経常利益は前年同期比28.9%増の170,014千円、当期純利益は前年同期比17.0%増の104,027千円となりました。
なお、当社はソーシャルリスク事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ510,969千円増加
し、1,448,635千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであ
ります。
営業活動の結果得られた資金は、185,850千円(前期比35,640千円増加)となりました。これは主に、税引前当
期純利益167,646千円(前期比35,825千円増加)と増益だったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、142,324千円(前期比112,777千円増加)となりました。これは主に、敷金の
差入による支出114,719千円(前期比111,314千円増加)によるものであります。
財務活動の結果得られた資金は、467,444千円(前期比194,112千円減少)となりました。これは主に、株式の
発行による収入299,325千円(前期比332,665千円減少)、新株予約権の行使による株式の発行による収入192,000
千円(前期比146,166千円増加)によるものであります。
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社はソーシャルリスク事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。
|
サービスの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ソーシャルリスクコンサルティングサービス |
894,714 |
137.0 |
|
ソーシャルリスクモニタリングサービス |
464,138 |
159.9 |
|
その他 |
21,124 |
123.7 |
|
合計 |
1,379,977 |
143.7 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社が対処すべき主な課題は、以下の項目と認識しております。
今後も高い成長性を維持していくために、当社では費用対効果を見極めながら、広告宣伝活動及び広報活動に積極的に取り組んでまいります。
SNSの利用率の増加に伴い、企業によるソーシャルメディアマーケティングも活性化しておりますが、同時にソーシャルメディアの有効活用のために、ソーシャルリスクに対する管理体制の整備運用が求められます。
このような環境下、当社サービスの拡販には、企業を取り巻くソーシャルリスクを正しく理解していただくことが重要であると考えております。当社は、通常の営業活動のほか、ソーシャルリスクに対する研究成果を各種メディアやWeb媒体などを通じて広く情報提供することにより、社会にリスクを周知し、それらに応じた適切なマネジメントを促す活動に、取り組んでおります。
また、パフォーマンスの高いサービスを提供し、顧客満足度を更に高め、信頼を得ることにより、継続的な取引をしていただき、クライアントや市場からの認知度を高めることが重要であると考えております。
当社が強みとするリスク検知に特化したビッグデータ解析によるソリューションには様々な可能性があると考えており、Webの風評・情報漏洩・従業員不正・産業スパイ等、企業の競争力にも影響を与える重大なリスクを解決するための新規ビジネスの創出に取組んでおります。
企業にとって重大な影響を与える組織内部の不正を検知するサービスについて、ログデータから内部不正の予兆を見つけ実行を阻止する事前検知型のアプローチを提供するなど、市場や顧客の潜在需要を予測し掘り起こすサービスの開発を継続的に行ってまいります。
加えて、専門性を持ったパートナーとの連携を推進することにより、新規サービスの展開や既存サービスの領域拡大を早期に図ることで、既存クライアントに付加価値の提供を拡充し、新規クライアントの獲得を図り、優良なサービスを継続的に提供していく方針です。
継続的に企業価値を高めていくため、業容拡大に向けた人材の強化が重要であると考えております。当社事業は法人顧客が主となるため、コンサルティング部門や営業部門を更に強化していく必要があります。また、付加価値の高いサービス提供のため、ビッグデータ解析やインターネット関連の技術を持つ人員の安定的な確保も必要不可欠であります。そのため、採用による増員を行うと同時に、継続的な社員教育を行い、能力向上の機会を増やし、人材の育成及び強化を行ってまいります。
また、実力のある人材には積極的に責任のある役割を任せる等、人事制度の構築や権限委譲の促進による組織力の強化に取り組み、組織の活性化を図るとともに経営幹部候補の育成に努めてまいります。
ステークホルダーの皆さまから信頼される企業として相応しい組織的な管理体制を安定的に運用していくことが重要であると考えており、経営の公正性や透明性を維持確保するために、内部統制システム強化に継続的に取り組んでおります。
また、人材の採用により、組織規模が拡大することが見込まれるため、社内管理体制の充実やシステム化が重要であると考えており、管理機能の補強やシステム化の推進を引き続き実施してまいります。
当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。また、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありません。
ソーシャルメディアの活性化などに伴い、ビッグデータ関連ビジネスが推進されております。しかしながら、法令等の制改定により、ビッグデータの利用について何らかの規制が生じた場合には、サービス提供のための情報収集やサービス提供の手法自体に何らかの制約が発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 情報取得について
当社は、ソーシャルメディアから生成されるビッグデータをソフトウェアにより自動的に収集しております。しかしながら、ソーシャルメディアの運営側の方針により収集に制限が加えられた場合や禁止された場合には、サービスの品質が低下し、また、情報収集のための追加コストが発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
Webに関連する技術革新は急速に進んでおり、機能の変更や拡充が日々求められため、当社は継続的な技術開発に取り組んでおります。しかしながら、技術開発が想定通りに進まず、サービスが有効に機能しなくなる場合には、サービスの品質が低下し、また、対応するための追加コストが発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ソーシャルリスク関連市場は将来の成長が期待される市場であるため、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。新規参入する他社との競合状況が激化した場合には、価格の下落、又は、価格競争以外の要因でも受注を失うおそれがあり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在は、多くの企業や消費者がソーシャルメディアの積極的利用を行っており、それに伴いソーシャルリスクマネジメントに対する意識も高まっております。しかしながら、ソーシャルメディア自体が衰退し、利用者数が減少した場合には、関連する投稿数や記事数が減少し、ソーシャルメディアに起因するリスクが低下することが予想されるため、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
創業者であり代表取締役社長である菅原貴弘は、設立以来の代表者であり、経営方針や事業戦略、サービスコンセプト等についてリーダーシップを発揮しております。各事業部門のリーダーへ権限委譲を進めることで、当人に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、万が一、当人に不測の事態が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
業容拡大に伴う優秀な人材の確保と育成が重要な課題であり、実務を担うデータアナリストやエンジニアをはじめ、内部での人材育成及び外部からの人材登用に努めております。しかしながら、採用や育成に支障をきたす事態や雇用に支障をきたす事態が発生した場合には、円滑な業務の遂行及び積極的な受注活動が阻害されるおそれがあり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、24時間365日体制でサービス提供しておりますが、通信ネットワークに依存しており、サーバー等の自社設備や第三者の通信設備等のインターネット接続環境が良好に稼動することが前提であります。そのため、災害や事故による通信ネットワークの切断、サーバーの停止、コンピュータウィルスによる被害、外部からの不正侵入やソフトウェアの不具合などが生じた場合には、サービスの提供に支障をきたし、また、障害や不具合の原因が当社にあった場合には、 顧客企業からの信頼度が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、顧客の営業機密や社内情報等の機密情報を扱う場合があり、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISMS「ISO/IEC27001」の認証を取得するなど、規程やマニュアル等に従った体制や教育の下で、機密情報を厳しく管理しております。しかしながら、何らかの理由により機密情報の漏洩が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、高い公共性を有するインターネットにおいて、リスクマネジメントを支援する事業会社として、重責を負託されていることを十分に認識し社会的責任を果たすために、取引にあたり当社独自の基準を設け、社会から信頼される健全性と倫理観を常に保持するための取り組みが有効かつ継続的に機能する体制を運用しております。しかしながら、何らかの理由によりレピュテーション上のリスクが生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が保有する知的財産権に関しては、商標登録等を行っており、今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定であります。しかしながら、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかる等、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社による第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社の事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、認識せずに侵害してしまう可能性が否定できず、この場合には、当社に対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われる等、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、関係者の不正行為等が発生しないよう、国内外の法令及びルールの遵守を行動基準として定め、内部監査等で遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や関係者による不正行為が発生する可能性は否定できず、これらの事態が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、会社法の規定に従って平成28年2月15日開催の臨時株主総会決議に基づき、新株予約権を付与しております。当事業年度末現在新株予約権による潜在株式数は57,000株であり、同日現在の発行済株式総数2,544,000株の2.2%に相当し、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
該当事項はありません。
当社は、インターネット上で収集可能なデータをクロールし、分析、可視化することで、顧客企業の問題解決を行うソリューションを提供するために、ビッグデータ処理技術の向上、自然言語処理技術の多言語対応、統計解析・機械学習、データビジュアライゼーションに関する研究、開発を行っております。また、技術開発や先端技術の導入を目的とした大学との共同研究を実施しており、当事業年度における研究開発費として1,388千円計上しております。
なお、当社は、ソーシャルリスク事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
(売上高)
当事業年度の売上高は1,379,977千円(前年同期比43.7%増)となりました。この主な要因は、ソーシャルリスクモニタリングサービスが堅調に推移し、顧客数が増加したことによるものであります。
(売上原価)
当事業年度の売上原価は508,567千円(前年同期比58.6%増)となりました。この主な内訳は、労務費276,327千円、外注費232,239千円であります。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は687,822千円(前年同期比36.3%増)となりました。この主な内訳は、給与手当186,248千円であります。
(営業外損益及び特別損益)
営業外損益の主な内容は株式公開費用12,209千円であります。
以上の結果、当事業年度における業績は、売上総利益871,410千円(前年同期比36.2%増)、営業利益183,588千円(前年同期比35.8%増)、経常利益170,014千円(前年同期比28.9%増)、当期純利益104,027千円(前年同期比17.0%増)となりました。
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて、740,575千円増加し、1,927,582千円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて554,166千円増加し、1,648,926千円となりました。これは主に、現金及び
預金の増加(前期比510,969千円増加)、売掛金の増加(前期比39,684千円増加)によるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べて186,408千円増加し、278,655千円となりました。これは主に、有形固定資
産の増加(前期比70,631千円増加)、敷金の増加(前期比106,990千円増加)によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて、144,171千円増加し、353,318千円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて152,495千円増加し、328,302千円となりました。これは主に、未払金の増
加(前期比86,679千円増加)、未払法人税等の増加(前期比56,206千円増加)によるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて8,324千円減少し、25,016千円となりました。これは、長期借入金の減少
(前期比8,324千円減少)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて596,403千円増加し、1,574,263千円となりました。これ
は主に、新株の発行により資本金および資本剰余金が、それぞれ246,188千円増加したこと、利益剰余金の増加
104,027千円によるものであります。
なお、純資産の内訳は、資本金751,078千円、資本剰余金727,528千円、利益剰余金95,656千円であります。
「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、リスクに特化したビッグデータ解析力を基に、顧客の特性に応じたソーシャルリスクマネジメントをワンストップで支援するサービスを展開しております。ソーシャルメディアの多様化や伝播力の拡大による、ソーシャルメディアマーケティングの活性化とリスクマネジメントに対する意識の向上に伴い、当社の新規顧客数が増加しております。今後も、引き続きソーシャルリスク事業に経営資源を投下し、付加価値の向上、顧客数増加に合わせた提供体制及び営業体制の強化に努め、事業の拡大と収益力の強化を図ってまいります。
「第2 事業の状況 4事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 3対処すべき課題」に記載のとおりであります。