第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

提出会社の状況

回次

第22期

第23期

第24期

第25期

第26期

第27期

決算年月

2014年4月

2014年12月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

売上高

(千円)

826,581

643,713

1,327,176

1,477,760

1,629,689

2,582,550

経常利益

(千円)

74,370

51,484

194,702

172,374

28,736

338,266

当期純利益

(千円)

35,399

20,007

124,093

119,859

15,906

214,661

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

63,000

263,000

263,000

757,592

758,092

767,092

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

 

普通株式

220

3,700

3,700

2,600,000

2,604,000

2,622,000

A種優先株式

100

純資産額

(千円)

238,001

581,208

705,302

1,814,345

1,831,167

2,063,829

総資産額

(千円)

627,864

1,003,275

1,360,953

2,471,322

2,455,280

3,323,054

1株当たり純資産額

(円)

618,188.64

196.35

238.28

348.91

351.61

393.57

1株当たり配当額

(円)

 

 

 

 

 

 

普通株式

20,000

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

A種優先株式

20,000

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり

当期純利益金額

(円)

151,818.05

10.85

41.92

37.86

3.06

41.15

潜在株式調整後

1株当たり

当期純利益金額

(円)

34.94

2.90

38.39

自己資本比率

(%)

37.9

57.9

51.8

73.4

74.6

62.1

自己資本利益率

(%)

16.0

4.9

19.3

9.5

0.9

11.0

株価収益率

(倍)

19.9

163.8

35.2

配当性向

(%)

13.2

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

41,439

243,483

179,523

107,967

575,071

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

147,130

204,067

228,666

555,155

209,879

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

373,180

122,636

950,486

88,812

176,757

現金及び現金同等物の

期末残高

(千円)

399,072

315,853

1,217,196

465,260

1,007,210

従業員数

(人)

40

43

58

82

91

103

(外、平均臨時雇用者数)

(-)

(-)

(2)

(2)

(5)

(9)

 

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

4.第23期において2014年5月1日付でA種優先株式1株につき10株の割合で株式分割を行い、A種優先株式は1,000株となり2014年12月5日付でA種優先株式1,000株を消却しております。

5.第22期においては潜在株式がないため、潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、記載しておりません。第23期から第24期においては、新株予約権の残高はありますが、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、記載しておりません。

6.第22期から第24期までの株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

7.第22期においては、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

8.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

9.2014年12月5日開催の臨時株主総会決議により、決算期を4月30日から12月31日に変更いたしました。従って第23期は2014年5月1日から2014年12月31日までの8ヶ月間となっております。

10.第23期以降の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1963年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりますが、第22期については、「会社計算規則」(2006年法務省令第13号)に基づき算出しており、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。

11.当社は、2014年5月1日付で株式1株につき10株の株式分割を行っており、2016年8月12日付で株式1株につき400株の株式分割を行っており、2019年1月1日付で株式1株につき2株の株式分割を行っておりますが、第23期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。

 

2【沿革】

  当社設立以降、現在までの沿革は次のとおりであります。

 

年月

概要

1992年12月

 

1996年11月

1999年9月

 

 

 

 

2006年1月

 

 

 

2007年12月

 

2008年11月

 

2011年7月

2011年7月

2011年11月

2012年4月

2013年1月

2013年9月

2014年5月

 

2014年11月

 

2015年4月

 

2015年6月

 

2015年8月

 

2016年11月

2017年1月

2017年4月

2018年1月

 

2018年8月

 

2018年11月

 

光造形の外部委託によるモデル作製と総合保険業を目的として、横浜市港北区に有限会社ジェイ・エム・シー設立(資本金3,000千円)

横浜市港北区から横浜市港南区に本店を移転

光造形によるモデル作製での業容拡大を目的として、株式会社ジェイ・エム・シーへ組織変更

手術シミュレーション用頭蓋骨モデルの作製受託から作製工程を内製化し、3Dプリンター出力事業を開始

横浜市港南区から横浜市南区に本店を移転

試作品の受託範囲の拡大を目的として金属モデル作製を行う有限会社エス・ケー・イーを吸収合併し、砂型鋳造(注1)法による鋳造事業を開始

鋳造事業で燃料電池自動車向けドア部品の試作品を受注し、自動車部品作製分野に進出

横浜市南区から横浜市神奈川区に本店を移転

ロボドリル(立形マシニングセンタ(注2))導入により鋳造事業での木型(注3)作製工程を内製化

鋳造事業の受注量増加に対応するため、長野県飯田市にコンセプトセンター(注4)(鋳造棟)を新設

横浜市神奈川区から横浜市港北区に本店を移転

鋳造事業における木型作製工程拡充のため、コンセプトセンターに木型棟を新設

OKKVM5(立形マシニングセンタ)導入により鋳造事業での機械加工工程を内製化

鋳造事業における製品の品質向上を目的として、検査業務を行う人員を配置

鋳造事業の業容拡大に対応し、コンセプトセンターに仕上棟を新設

ヒューステン製熱処理炉の導入により鋳造事業での熱処理(注5)工程を内製化

コーポレート・アイデンティティの構築とブランド戦略の導入を開始し、株式会社JMCに商号変更

3Dプリンター出力事業においてナイロン造形機4台を導入し、ナイロン造形サービスを開始するとともに、横浜市都筑区にテクニカルセンター(注6)を開設

大学及び医療機関向けに心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」(注7)発売開始

金属製品の非破壊検査(注8)による品質検査強化を目的として産業用CT(注9)を導入

鋳造事業における機械加工と検査業務の工程拡充のため、コンセプトセンターに機械加工・検査棟を新設

東京証券取引所マザーズ上場

産業用CTによる検査・測定サービス(注10)を鋳造事業から分離しCT事業を開始

産業用CT及び関連サービスの販売を開始

鋳造事業の生産能力向上のため、コンセプトセンターに全館自動空調設備(注11)を導入した鋳造棟を増設

「医療機器製造業(登録番号14BZ200303)」、「第1種医療機器製造販売業(許可番号:14B1X10020)」の許可を取得

フルカラー3Dプリンター及び関連サービスの販売を開始

 

 

 

  (注)1.砂型鋳造

溶かした金属を砂で作った鋳型(砂型)に流し込んで鋳造品を作る工法です。砂型に流し込み作ることにより、形状が複雑な鋳造品の作製に向いています。

 

2.マシニングセンタ

自動工具交換機能をもち、目的に合わせて異種の加工を1台で行うことができる数値制御工作機械のことです。

 

3.木型

鋳型を作るときに用いる木製の製品模型のことです。通常は上下2つの部分に分けて作り、それぞれ上型用、下型用に用い、砂を詰めてから模型を抜き取り、上型、下型を合わせて組み立てると、製品の形の空洞をもつ砂型が出来ます。

 

4.コンセプトセンター

長野県飯田市に位置し、鋳造品を作製する施設であり、鋳造事業のすべての工程を行っております。

 

5.熱処理

加熱や冷却などの温度制御により金属材料の内部組織、性質を人工的に調整する方法です。焼入れ、焼戻しなど様々な方法があり、以後の工程又は使用に最良の状態にするために、組織・結晶粒度などが改善されます。

 

6.テクニカルセンター

ナイロン造形機4台、各種加工機を保有し、試作品を作製する工程を行っている当社の事業所の呼称であります。

 

7.HEARTROID(ハートロイド)

当社が国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科及びフヨー株式会社と共同で開発した心臓カテーテルシミュレーターです。X線透視下の実践に即した本格的なトレーニングから、机上でのイメージトレーニングまで環境を選ばずに手軽にカテーテル操作を練習することができます。オペに臨む医師や医学生が使用するほか、医療機器メーカーの研究開発や販売促進ツールとして利用されています。なお、同システムは、薬機法(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)上の「医療機器」に該当いたしません。

 

8.非破壊検査

部品や構造物の傷を、対象物を破壊することなく検出する検査技術のことです。

 

9.産業用CT

Ⅹ線を利用して物体を走査しコンピュータを用いて処理することで、物体の内部画像を構成する技術、あるいはそれを行うための機器のことです。

 

10.検査・測定サービス

産業用CTによる非破壊検査や三次元測定などを提供するサービスのことです。

 

11.全館自動空調設備

作業内容ごとに3種類の空調モードに切り替えることができる空調設備であります。また、本社からの作業環境管理が可能な設備であります。

 

3【事業の内容】

 「この国のものづくりを置き去りにする」という経営理念のもと、3次元CADデータ技術を用いて「樹脂を素材とする3Dプリンター」と「金属を素材とする砂型鋳造」の両成型法を利用、発展させながら、製造業を中心に幅広い業種の「試作品」から「最終製品」づくりをトータルサポートすることを主たる事業としております。

 また、当事業年度より報告セグメントの計算方法を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 当社の事業は、3Dプリンター出力事業、鋳造事業及びCT事業から構成されており、報告セグメントの区分も当該事業によっております。3つの事業を持つことで、3次元CADデータのノウハウを共有するだけでなく、人員のローテーションや設備の共同利用など社内のハード・ソフト資源を有効に活用することが可能になります。

 

 3Dプリンター出力事業につきましては、製品開発を行っている顧客からの試作の依頼を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。製造だけではなく、3次元CADデータの特殊な処理や装置のメンテナンスも自社で行うことで、製造メーカーと受託サービス会社が持つノウハウを一貫して有しております。

 なお、当該事業は年中無休の稼働体制で顧客のニーズに合わせて提供しております。

 また、「高度医療機器販売業・貸与業(許可番号:第111120352号)」、「医療機器製造業(登録番号14BZ200303」、「第1種医療機器製造販売業(許可番号:14B1X10020)」の許可を取得し、一般医療機器から高度管理医療機器まで、すべての医療機器の設計・開発・製造・薬事申請・販売を一貫して行うことが可能となりました。自社で医療機器の設計・製造・販売を行うことにより、当社の製造技術やノウハウを医療分野へ積極的に活用することが可能となり、事業部間のシナジー効果が見込めることや、国内外の医療機器関連企業とのアライアンスにより、利益構造を一層強化できるようになります。また、国外で開発された医療機器の輸入販売や、自社開発医療機器をJMCブランドとして輸出販売も可能となり、グローバルな事業展開を推進できるようになります。

 医療機器製造販売関連につきましては、販売開始に向けて準備を進めております。

 

 鋳造事業につきましては、多品種少量生産に適した砂型鋳造法を採用しております。また、多くの鋳造業者が鋳造以外の工程の外注化を図っているのに対し、当社では木型、鋳造、熱処理、機械加工、検査まで一貫した製造工程を内製化したことにより、顧客メーカーの要求に応える安定した製品品質と短納期化を実現しております。従来の「伝統の職人技」と言える部分を精緻な3次元CADデータの取り込みなどを通して、砂型鋳造の精度をダイカスト法(注1)と同等レベルまで向上させたことで、試作品のみならず最終製品の受託も手掛けております。また、最終製品と同素材の試作品を顧客に販売することで、製品に対する需要を把握するテストマーケティングにも利用されております。

 また、GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社製の産業用CTを複数機種導入し、自動車や航空宇宙分野で求められる品質検査体制を構築しております。

 このように品質検査体制と短納期を強みとして、一部の完成車メーカーからTier1(注2)企業として選定されています。

 

 CT事業につきましては、製品評価やリバースエンジニアリング(注3)等の高度な検査・測定サービスの受託に加えて、GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社製の産業用CT及び関連サービスの販売業務を行っております。

 また、産業用CTの販売に関連して、ボリュームグラフィックス株式会社製の産業用CT/ボクセルデータ用ソフトウェアの販売業務を行っております

 

[事業系統図]

0101010_001.jpg

 

(注)1.ダイカスト法

金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳造品を短時間に大量に生産する鋳造方式のことです。

 

2.Tier1

メーカーに部品を直接納入する一次サプライヤーのことです。一次請負とも言われています。

 

3.リバースエンジニアリング

物体を産業用CTでスキャンし、データをコンピュータに取り込み、そのデータから物体形状のCADデータを再構築することです。

 

4.撮像

産業用CTのスキャンで得られた被写体の全方向からのX線透過画像を解析し、断面画像を得ることです。

 

[事業フロー]

0101010_002.jpg

 

(1)3Dプリンター出力事業

 3Dプリンター出力事業では、製品開発を行っている顧客に対して試作品を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。当社が保有する3Dプリンターは、光造形方式7台、粉末焼結(ナイロン造形)方式4台、インクジェット方式1台の合計12台と、現在業界で採用されている主要な工法を備えております。工法が多岐にわたることに加えて、当社では顧客への短納期化を実現するために、自社による見積データの解析・補正サービスや年中無休の稼働体制を敷いております。また、3Dプリンターでの作製後の各種後加工(塗装・染色・ネジ加工・アルミ真空蒸着(注5)・真空注型(注6))も行っております。

 同事業においては、医療分野でも3Dプリンターによる製品の作製サービスを行っております。脳外科、口腔外科分野において、患者のCT・MRIデータから頭蓋骨や下顎骨のデータを作成し、3Dプリンターで実体モデルを作製しております。実体モデルは、手術前のシミュレーションや手術方式の説明等に利用されております。また、3Dプリンターと真空注型を組み合わせた独自の技術(特許番号5236103号)を保有しております。これは、臓器の複雑な形状を忠実に再現するため、型を3Dプリンターで作製し、シリコーンゴムなどの軟質材料を注入することで、軟質の臓器モデルを作製するものです。臓器モデルは医療機器の機能評価やカテーテルや内視鏡手術のトレーニングに利用されております。

 

 3Dプリンターのそれぞれの方式の特徴は以下のとおりであります。

 

a. 光造形方式

 工業製品の高速試作に用いられる3Dプリンターであります。液体樹脂にレーザーをあて、硬化させながら層を積み重ねていくことで作製します。他の3Dプリンターに比べて高精度な製品を作製することができる一方、導入コストが高額であり、運用には高度なノウハウが必要なため、ハイクラスなサービスビューロー(注7)や大企業の研究開発部等が導入するプロユースの装置であります。用途の例としては、医療機器の試作品、部品の接続の機能検証用のモデル、可視化用の透明モデル等になります。

 

b. 粉末焼結(ナイロン造形)方式

 ナイロン粉末をCO2レーザーで焼き固め、積み重ねていくことで、モデルを作製する3Dプリンターであり、強度や耐熱性が求められるモデルの作製に用いられます。装置は3Dプリンターの中で高額な部類に属し、また、材料費も高価なため導入に対する障壁が高い方式であります。用途の例としては、自動車の動作確認用部品モデルや内装部品の試作品等になります。

 

c. 粉末固着(石膏造形)方式

 他の3方式に比べて造形スピードが早く、試作品や簡易的な模型等の形状確認用モデルの作製に適した3Dプリンターであります。プリンターヘッドから接着剤を塗布し、石膏を硬化させて積層していきます。接着剤に色素を混ぜることにより、色彩豊かなモデルを造形することが出来ます。精度は他の3Dプリンターに比べて劣りますが、サイズの確認や短納期が要求されるモデルに使われております。用途の例としては、医療用実体モデル、製品の展示用模型等になります。

 

d. インクジェット方式

 紫外線硬化型樹脂をプリンターヘッドから微細な液滴として吐出し、紫外線ランプで硬化させてモデルを作製する3Dプリンターです。装置は光造形に比べて小型で、モデルの後処理が容易であり、大型の洗浄装置が必要ない方式です。用途の例としては、複雑な内部形状を持つモデル、流路解析用モデル等になります。

 

(注)5.アルミ真空蒸着

真空内でアルミニウムを加熱して、気化・昇華させ、離れた位置に置かれた基材・基板の表面に付着・堆積させて薄膜を形成する技術のことです。

 

6.真空注型

光造形品や切削加工品をマスターモデルにして、シリコーンゴム等の複製用の型を作製します。その型に樹脂を流し込み固化させた後、型を外して複製品を作製する工法のことです。

 

7.サービスビューロー

商用印刷やデスクトップパブリッシングに関連するサービスを行う業者のことで、出力センターとも呼ばれています。ページレイアウトソフトで作成したデータの出力や、スキャニングなど様々なサービスを行います。

(2)鋳造事業

 鋳造は、製品の形状を反転させた型に、鉄・銅・アルミニウム・マグネシウム等の溶かした金属を流し込み、製品を作製する工法になります。この時に用いる型を“鋳型(いがた)”と呼び、素材により金型・砂型・石膏型等、数種類に分けられます。

 鋳造工法は、複数の工程から成っており、顧客から受領したCAD(注8)データから型データの作成、木型の作製、砂型の作製、鋳込み(注9)、仕上げ、熱処理、機械加工、検査を経て、製品が完成いたします。これまでの鋳造業界では、その各工程をそれぞれ別会社が営んでおり、工程間のデリバリー時間が発生することや、工程間の情報共有不足による不良品発生が問題となっております。当社も事業開始時は砂型の作製、鋳込み、仕上げ工程のみ自社で行っており、それ以外の工程を外部委託しておりましたが、顧客からの短納期や品質向上の要求に応えるためには、完全素加一貫(注10)の生産体制を構築する必要があり、1工程ずつ着実に内製化してきました。3Dプリンター出力事業と同様に、顧客からはコストよりも短納期が重視される傾向があるため、当社のスピードが付加価値となり、価格競争面で有利に働く要素となっております。

 当社の砂型鋳造は、金型を使用するダイカスト工法に近い品質を実現しております。それは、切削機械で木型を作製し、同業の砂型鋳造業者よりも細かい粒径の鋳物砂(注11)を使用しているからであります。また、組織の密度等鋳造品の物性において、ダイカスト工法よりも砂型鋳造が優れており、表面粗さと寸法精度が担保されれば、品質は砂型鋳造品が優ると考えております。

 なお、当社では、主にアルミニウム合金及びマグネシウム合金による鋳造を行っております。

 

(注)8.CAD(Computer Aided Design)

コンピュータ支援設計とも訳され、コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツール(CADシステム)のことです。

 

9.鋳込み

溶かした金属を鋳型に流し入れることです。

 

10.素加一貫

素材(鋳造品)の作製から後加工まで一貫するという意味で、型作製から検査まですべて自社内で完結させることです。

 

11.鋳物砂

鋳造品用の鋳型(砂型)を作製するために用いる砂のことです。耐火性・通気性・伸縮性などが良いものを使います。

 

 

(3)CT事業

① 検査・測定サービス

 産業用CTによる非破壊検査や三次元測定などを提供するサービスです。

 当社では、GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社製の産業用CTphoenix v|tome|x c450」(ミリフォーカスCT)及びphoenix nanotom m」(ナノフォーカスCT)導入しており、2018年6月にはphoenix v|tome|x m」(マイクロフォーカスCT)を導入いたしした。これらの装置は、自動車、航空宇宙、電力等の幅広い分野において品質検査を行う用途に最適化されており、非破壊検査や三次元測定に生かされます。産業用CTによる撮像技術は製品現品の品質検査が求められる分野においては不可欠であり、製造規格やメーカー独自の品質検査レベルをクリアするために有効なものであります。当社の主なサービスは下記のとおりであります。

 

a. 鋳造品の内部品質評価

 鋳巣欠陥(注12)は、様々な要因によって発生します。産業用CTは素材内部の欠陥を簡単に検出することができるため、より質の高い製品開発をサポートできます。

 

b. 鋳造品中子(注13)形状の寸法測定

 産業用CTは、測定困難な内部形状や構造を測定するのに有効であるため、中子ズレ等切断面による評価を必要とするケースでも、フラットパネルによる高速スキャンを利用して、短時間で広範囲の評価を行うことができます。

 

c. リバースエンジニアリング

 産業用CTは品質検査だけではなく、図面のない製品や自然物のデータ化にも活用出来ます。更に当社では3Dプリンター出力事業の豊富な実績から、3Dプリンター出力用のデータの編集も可能であり、リバースエンジニアリングによるものづくりをサポートすることができます。

 

d. 素形材の解析

 カーボンの素材強度に影響するカーボン繊維の配向の解析サービスを行っております。

 

e. 放射線照射

 産業用CTにて放射線を物体に照射し続けることで、物体がどのように変化、変質していくのかを確認するサービスを行っております。

 

② 産業用CT販売

 GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社製の産業用CT及び関連サービスの販売を行っております。

 

(注)12.鋳巣欠陥

鋳巣欠陥とは、鋳造品の内部に空洞が発生するという不良のことです。

 

13.中子

中空の鋳造品を作製する際に、中空となる部分に入れる鋳型のことです。

 

 

4【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

2018年12月31日現在

 

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

103(9)

31.9

3.5

4,040,988

 

セグメントの名称

従業員数(人)

3Dプリンター出力事業

20(3)

鋳造事業

61(3)

CT事業

5(-)

報告セグメント計

86(6)

全社(共通)

17(3)

合計

103(9)

(注)1.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定の事業に区分できない管理部門及び企画部門に所属しているものであります。

4.従業員数が前事業年度末に比べ12人増加したのは、主に鋳造事業の拡大、管理部門強化に係る人員の増加によるものであります。

 

(2)労働組合の状況

 当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好であり、特に記載すべき事項はありません。